説明

送風ファン装置及びそれを備えた電子機器

【課題】空気吸込側においてケーシングの一対の面板の周部に形成された風洞部の高さ相当の空気流入路の空間を確保し、相互に対向する空気吸込口からも十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる送風ファン装置及びそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】送風ファン装置1は、上側送風ファンユニット1aと下側送風ファンユニット1bとを具備し、相互に隣接するケーシング2aと2bにより挟まれた空間に空気流入路8を設け、上側送風ファンユニット1aの空気吹出口5aと下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bとが同一方向に向くように重ねられ、その空気流入路8を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の筐体内部に実装された超小型演算処理装置(以下、MPUと称する)などの発熱体の冷却に用いる送風ファン装置で、受熱体から放熱体までの熱輸送をヒートパイプや液体冷媒の循環などの方式により効率的に行った後、その放熱体を強制的に放熱する送風ファン装置及びそれを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近のコンピュータにおけるデータ処理の高速化の動きはきわめて急速であり、MPUのクロック周波数は、以前と比較して格段に高いものになってきている。
【0003】
その結果、MPUの発熱量が増大し、従来のように放熱フィンを有するヒートシンクなどの発熱体に接触させて放熱する方法だけなく、そのヒートシンクを送風ファンで直接冷却する方法、あるいは受熱体と放熱体とをヒートパイプを用いて熱接続したヒートシンクモジュールを構成して、その放熱体を送風ファンの送風で強制冷却する方法や、さらには、熱伝導性の高い液体冷媒をポンプによって強制循環させ受熱部と放熱部との間で熱輸送された放熱体を送風ファン装置により強制的に送風して放熱することが必要不可欠となっており、今後さらにその冷却性能の向上と併せて小型化・薄型化が必要とされている。
【0004】
一方、送風ファン装置の冷却性能の向上は、その高風量化、高静圧化などの送風性能の向上に大きく依存し、加えて空気吹出口で広範囲に均等に吹き出すことによっても、例えばその空気吹出口に設置された放熱フィンと効率的に熱交換が行われるので、大きく改善することが可能となっている。
【0005】
図11(a)は従来の技術における送風ファン装置が具備する送風ファンの単体の斜視図、図11(b)は従来の技術における送風ファン装置の全体の斜視図である。
【0006】
図11(b)で示した従来の送風ファン装置50は、図11(a)で示した送風ファン51と同一形状のものを2個準備し上下方向に重ねられて構成されている。
【0007】
ここで、送風ファン51の単体は、アルミニウム合金や銅合金などの金属材料やPPS、PBT、PETなどの樹脂材料を用いた成形品などによりなる偏平な、そして、ほぼ立方箱状のケーシング52を有している。
【0008】
そして、そのケーシング52の内部には、モータ保持部53の下部に位置するモータ駆動部(図示せず)と、そのモータ駆動部で回転させられ、所要の風を発生させる遠心ファン54を設けてあり、ケーシング52の上面板55と下面板56にはそれぞれ空気吸込口57を形成してあり、また、その空気吸込口57と直交する一側部に空気吹出口58を形成している。
【0009】
なお、モータ駆動部はマグネットモータとしており、遠心ファン54はそのアウターロータをなしている。
【0010】
また、送風ファン51のケーシング52は、外周部の少なくとも2辺部a、bにわたり、空気吹出口58に至り、かつ、上面板55の2辺部a、bが中央面部cより上方向に凸状に膨らまされて内部高さ幅の大きい略L字状の風胴部59を有する構成としているので、空気吹出口58からの空気の逆流がなく、風洞部59は空気吹出口58に近づくにつれて風路断面積が次第に大きくなるように形成されているので、遠心ファン54の回転により発生する風が抵抗少なくして空気吹出口58に案内されるので、より効果的に高風量化が図れる。
【0011】
さらに、上面板55には、嵌め合わせ用開口部60を設けている。
【0012】
そして、送風ファン装置50は、前述した送風ファン51と同一の形状の送風ファン51aと送風ファン51bを2個上下に重ねて構成されている。
【0013】
ここで、図11(b)に示すように上側の送風ファン51aは、上下が逆になるように裏返して下側の送風ファン51bに重ねられ、送風ファン51aの遠心ファン54aと送風ファン51bの遠心ファン54bのそれぞれの回転軸が相互に非同軸となるようにずらされ、送風ファン51bの上面板55bにおける吸込み口57bの全部または一部が、他方の送風ファン51aによって塞がれないようにしている。
【0014】
さらに、送風ファン51a、51bのそれぞれのケーシング52a、52bは、略L字状の風洞部59a、59bを除く凹んだ部分の上面板55a、55bの一部が接触または近接するように重ね合わされており、それぞれの嵌め合わせ用開口部(図示せず)が、対向するモータ保持部(図示せず)に対向するように設けられている。
【0015】
また、それぞれの送風ファン51a、51bにおけるそれぞれの空気吹出口58a、58bが同一方向へ向くように重ねられ、図示していないが、送風ファン51a、51bはネジまたは他の結合手段によって一体となるように結合されている。
【0016】
以上のような構成において、送風ファン51a、51bを駆動することによりそれぞれの遠心ファン54a、54bが回転して空気吹出口58a、58bより空気を吹出し、所要の放熱体を送風冷却する。
【0017】
ここで、図11(a)で説明したのと同様に、前述したように送風ファン51bのケーシング52bは、外周部の少なくとも2辺部a、bにわたり、空気吹出口58bに至り、かつ、上面板55bの2辺部a,bが中央面部cより上方向に凸状に膨らまされて内部高さ幅の大きい略L字状の風胴部59bを有する構成としている。
【0018】
また、空気吹出口58bからの空気の逆流がなく、風洞部59bは空気吹出口58bに近づくにつれて風路断面積が次第に大きくなるように形成されているので、遠心ファン54bの回転により発生する風が抵抗少なくして空気吹出口58bに案内されるので、より効率的に高風量化が図れる。
【0019】
また、説明するまでもないが、送風ファン51aについても送風ファン51bと同一形状であるので同様の効果を有している。
【0020】
したがって、同一または類似の形状の送風ファンを複数個準備し上下方向に重ねて構成さすることによって、複数の送風ファンを単純に重ねた厚みより小さくすることができ、冷却性能の向上と併せて小型化・薄型化が図れている(特許文献1)。
【0021】
また、他の従来の技術において、図示しないがシロッコファンを用いた多方向送風装置があり、単一のシロッコファンに複数の送風ハウスを互いに連結かつ回転できるような機構により装着し、それぞれの送風ハウスの送風口を任意の異なる方向へ向けて送風できるようにしたものも提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−247457号公報(第7頁の図1、第8頁の図4)
【特許文献2】特開2000−161298号公報(第3頁の図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、前記のような従来の技術における送風ファン装置50では、小型化・薄型化が図れているものの、相互に向かい合わせる側の上面板55bに形成された空気吸込口57bと上面板55aに形成された空気吸込口57a(図示せず)は、いずれも半月状の形状で、それぞれの下面板56a、56bに形成された空気吸込口57a、57b(図示せず)の開口面積と比較して約半分程度なので、それら上面板55a、55bに形成された空気吸込口57a、57bから十分な空気を吸い込むことが困難となり、送風ファン装置50の全体として十分な風量を確保できないという課題があった。
【0023】
また、その送風ファン装置50が電子機器内に設置され、それぞれの送風ファン51a、51bの下面板56a、56bに形成された空気吸込口57a、57bがその電子機器の筐体内壁や他の周辺装置により塞がれた場合には、それぞれの上面板55a、55bに形成された開口面積の小さな空気吸込口57a、57bからしか空気を吸い込むことができずに送風ファン装置50の全体の風量が著しく低下してしまうという課題もあった。
【0024】
さらに、それぞれの空気吹出口58a、58bは同一方向へ向くように重ねられているので、空気の吹出し方向は一定方向であるものの、一方それぞれの空気吸込口57a、57bがいずれも遠心ファン54a、54bの回転軸方向の全周囲より空気を吸い込みこととなるので、空気の吸込み方向が定まらず空気の送風方向の整流性が低いという課題もあった。
【0025】
つまり、パーソナルコンピュータなどの電子機器内に実装された超小型演算処理装置(MPU)、チップセット、表示コントローラ、またはHDDなど様々な発熱体を効率的に冷却するためには、その電子機器内において空気が滞留することなく所定の方向へ円滑に流して熱交換を行わせる必要があるが、送風ファン装置50では、空気の吸込み方向が定まらず空気の送風方向の整流性が低いので、例えば軸流ファンのような効率的な送風を行うのが困難という課題があった。
【0026】
本発明は、前記のような従来の課題を解決するもので、空気吸込側においてケーシングの一対の面板の周部に形成された風洞部の高さ相当の空気流入路の空間が確保されるので、それぞれの送風ファンユニットの相互に対向する空気吸込口からもその空気流入路を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる送風ファン装置及びそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記従来の課題を解決するために、本発明の送風ファン装置は、送風ファンユニットを複数具備した送風ファン装置であって、送風ファンユニットを空気吸込口の形成された面板が各々対向するとともに空気吹出口を各々同一方向に向けて重ね、送風ファンユニットの相互に隣接するケーシング間に面板と風洞部とで囲まれた空気流入路を設けるように重ねて構成した。
【0028】
本構成によって、空気吸込側においてケーシングの一対の面板の周部に形成された風洞部の高さ相当の空気流入路の空間が確保されるので、それぞれの送風ファンユニットの相互に対向する空気吸込口からもその空気流入路を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0029】
さらに、本発明の電子機器は、本発明の請求項1から6いずれか1項に記載の送風ファン装置を具備し、その送風ファン装置を用いて放熱体の放熱を行う。
【0030】
本構成によって、放熱フィンなどの放熱体に対する放熱性能が向上し、より高速なクロック周波数で駆動するMPUやCPUなどの発熱電子部品を搭載した場合の発熱対策がより容易になるので、その電子機器の高性能化を実現できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の送風ファン装置によれば、空気吸込側においてケーシングの一対の面板の周部に形成された風洞部の高さ相当の空気流入路の空間が確保されるので、それぞれの送風ファンユニットの相互に対向する空気吸込口からもその空気流入路を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
請求項1記載の発明によれば、複数のブレードの回転によって遠心方向へ空気を送風する遠心ファンと、遠心ファンの回転軸方向を挟み込むように配置されかつ空気吸込口を形成した一対の面板と、一対の面板の周部に一対の面板間に連通し一対の面板間の内高さよりも大きな内高さに形成した風洞部と、風洞部と連通し一対の面板で挟まれた側面に形成した空気吹出口と、を有するケーシングと、を有する送風ファンユニットを複数具備した送風ファン装置であって、送風ファンユニットを空気吸込口の形成された面板が各々対向するとともに空気吹出口を各々同一方向に向けて重ね、送風ファンユニットの相互に隣接するケーシング間に面板と風洞部とで囲まれた空気流入路を設けるように構成したことにより、空気吸込側においてケーシングの一対の面板の周部に形成された風洞部の高さ相当の空気流入路の空間が確保されるので、それぞれの送風ファンユニットの相互に対向する空気吸込口からもその空気流入路を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0033】
また、送風ファン装置の上下方向に電子機器の筐体内壁や他の周辺装置が置かれ空気吸込口が塞がれた場合でも、それぞれの送風ファンユニットのケーシングで挟まれた空間に面板と風洞部とで囲まれた空気吸込み側の空気流入路の空間が確保されるので、冷却性能が大きく低下することを防止できる。
【0034】
さらに、同一または類似の形状の送風ファンユニットを複数個組み合わせる構成とすれば、単一の送風ファン装置で同一風量を得るために遠心ファン、回転軸、軸受けスリーブ、モータ、及びケーシングなどそれぞれの構成部材を単純拡大した場合と比較して、機械的な負荷が軽減するので、駆動トルクも小さくてよく、その分軸受けスリーブの機械的な寿命やモータの発熱に対する影響も軽減し、より高寿命で信頼性の高い送風ファン装置を提供できる。
【0035】
請求項2記載の発明によれば、送風ファンユニットの風洞部の外壁面は、その風洞部の頂部から空気吸込口に向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面を有することにより、一方の送風ファンユニットの風洞部の頂部と隣接する他方の送風ファンユニットのケーシングの面板との間の隙間から吸入された空気がその傾斜面に沿って空気吸込口に直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、それぞれの送風ファンユニットの空気吸込口に空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0036】
請求項3記載の発明によれば、送風ファンユニットの遠心ファンは、一方に寄せられて配置され、その寄せられた方向と反対の方向に位置するように一対の面板の周部に風洞部を形成することにより、風洞部を遠心ファンの回転軸方向である高さ方向と直交する幅方向においても拡大して風路断面積を大きくできるので、より風路抵抗を小さくして空気吹出口に空気を案内し、高風量化を実現できる。
【0037】
請求項4記載の発明によれば、一方の送風ファンユニットの空気流入路を囲む風洞部は、その頂部が隣接する他方の送風ファンユニットのケーシングの面板に対向し、その風洞部と連通する空気吹出口に近づくにつれてその頂部の高さが段階的に大きくなるような複数の段差面を有することにより、一方の送風ファンユニットの風洞部の頂部と他方の送風ファンユニットのケーシングの面板との間の隙間が段階的に狭まっていくので、空気吹出口の側からの空気の吸込みが少なくなる一方、空気吹出口の反対側からの空気の吸込みが増大するので、その送風ファン装置を設置したときの空気の吸込み方向と吹出し方向が直線状となり空気の送風方向の整流性が高まり、例えば軸流ファンのような効率のよい送風を実現できる。
【0038】
つまり、パーソナルコンピュータなどの電子機器内に実装された超小型演算処理装置(MPU)、チップセット、表示コントローラ、またはHDDなど様々な発熱体を効率的に冷却するためには、その電子機器内において空気が滞留することなく所定の方向へ円滑に流して熱交換を行わせる必要があるが、本発明によれば空気吹出口の反対側の方向からの空気の吸込が増大し、より整流性の高い送風ファン装置が得られる。
【0039】
請求項5記載の発明によれば、相互に隣接する送風ファンユニットの各々の遠心ファンは、相互に逆方向に回転するように駆動されることにより、それぞれの送風ファンユニットの空気吸込口が相互に近接しても、その空気吸込口近傍において吸い込まれる空気の流れが相互に逆方向となりキャンセルされるので、渦流化が抑制されてより効率的な空気の吸込みが実現できる。
【0040】
請求項6記載の発明によれば、相互に隣接する送風ファンユニットにおいて、相互に対向する面板に形成された各々の空気吸込口に遠心ファンを回転駆動するモータ駆動部を各々配置し、各々のモータ駆動部に接続されたリード線を空気流入路に導入することにより、外部にそのリード線が不要に延在することがなくなり、送風ファン装置を電子機器内に搭載する際において、そのリード線を作業者が手や工具にひっかけて、リード線引き出し部に機械的なダメージや断線状態を引き起こしてしまうのを未然に防止することができるので、製品安全性や取付け作業性の向上を実現できる。
【0041】
請求項7記載の発明によれば、請求項1から6いずれか1項に記載の送風ファン装置を具備し、その送風ファン装置を用いて放熱体の放熱を行うことにより、放熱フィンやヒートシンクなどの放熱体に対する放熱性能が向上し、より高速なクロック周波数で駆動するMPUやCPUなどの発熱電子部品を搭載した場合の発熱対策がより容易になるので、その電子機器の高性能化を実現できる。
【0042】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0043】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における送風ファン装置の斜視図で、図2(a)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの斜視図で、図2(b)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する下側送風ファンユニットの斜視図で、図3(a)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置の正面図で、図3(b)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの正面図で、図3(c)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する下側送風ファンユニットの正面図で、図4(a)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置の側面図で、図4(b)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの側面図で、図4(c)は本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する下側送風ファンユニットの側面図で、図5(a)は図4(a)のA−A矢視断面図で、図5(b)は図4(a)のB−B矢視断面図で、図6は風量静圧特性の比較グラフである。
【0044】
まず、図1で示したように、送風ファン装置1は、上方に位置する上側送風ファンユニット1aと、その下方に位置し上側送風ファンユニット1aと同一または類似の形状でかつそれを反転させた状態で組み合わされる下側送風ファンユニット1bとにより構成されている。
【0045】
ここで、上側送風ファンユニット1aの上側の面板を構成するファンカバー21aは、アルミニウムやステンレス鋼などの金属材料の打ち抜き成形や樹脂成形によりプレート状に成形されており、その略中央部に外部から空気を吸い込む略円形状の空気吸込口3aが形成されている。
【0046】
また、そのファンカバー21aの下方には、下側の面板23a(図5(a)参照)を備えたファンフレーム22aが組み合わされてケーシング2aが構成されている。
【0047】
そして、遠心ファン4aは、円筒形状の外周面を有するハブ部41aとその外周面から遠心方向へ略放射状に延びる複数のブレード42aとから構成され、ケーシング2aの内部に配置され、ファンカバー21aとファンフレーム22aとに挟まれて収容されている。
【0048】
そして、そのブレード42aが回転中心である破線で示した回転軸43aを中心として回転することによって、空気吸込口3aから吸い込まれた空気はその遠心ファン4aの遠心方向へ送風される。
【0049】
また、ファンフレーム22aは、樹脂成型やアルミニウム合金のダイカスト成型などにより下面と側面が一体的に成形され、そのファンフレーム22aの下部に位置するフラット形状の面板23aの略中央部にも外部から空気を吸い込む空気吸気口6a(図5(a)参照)が前述した上方の空気吸込口3aと同径で略円形状に形成され、さらにその面板23aの周部には面板23aとファンカバー21aとの間に連通し、下方向に膨らんだ風洞部51aが一体成形で形成されている。
【0050】
そして、そのファンフレーム22aの一方の側面には、ケーシング2aの内部に吸気されケーシング2aの内壁面に沿って流れた空気を吹き出す空気吹出口5aが、風洞部51aと連通しファンカバー21aとファンフレーム22aとで挟まれて形成されている。
【0051】
また、その空気吸込口6aを横断するように、その空気吸込口6aの周部の3箇所にはスポーク(図示せず)が連設されている。
【0052】
そして、そのスポークにより遠心ファン4aを回転駆動するモータ駆動部7a(図5(a)参照)が保持されていて、その遠心ファン4aが矢印Rで示した回転方向に高速で回転すると、そのハブ部41aの上面に対向するようにファンカバー21aの中央部に形成された空気吸込口3aとファンフレーム22aの下側の面板23aの中央部に形成された空気吸込口6aとの両方から空気が吸気される。
【0053】
つまり、空気吸込口3aを形成した面板であるファンカバー21aと空気吸込口6aを形成した下側の面板23aとが、複数のブレード42aの回転によって遠心方向へ空気を送風する遠心ファン4aの回転軸43a方向を挟み込むように配置されている。
【0054】
そして、ケーシング2aの内部に吸い込まれた空気は、遠心ファン4aの回転によりその遠心方向へと風向きが変えられながら送風され、さらにはケーシング2aの内壁にぶつかりながら、その内壁に沿って遠心ファン4aの矢印Rで示した回転方向へ送られて、最終的に上下方向で広角となるように形成された空気吹出口5aから外部へ吹き出される。
【0055】
さらに、ファンフレーム22aの下部の面板23aの周部には、その面板23aとファンカバー21aとの間に連通し、下方向に膨らんだ風洞部51aが形成されており、空気吹出口5aからの空気の逆流がなく、風洞部51aは空気吹出口5aに近づくにつれて風路断面積が次第に大きくなるように設定されている。
【0056】
したがって、遠心ファン4aの回転により発生する風が抵抗少なくして空気吹出口5aに案内されるので、より効率的に高風量化が図れる。
【0057】
そして、そのファンフレーム22aの側面の上部には、略円筒形状の凸部24aが4箇所に設けられていて、ファンカバー21aの取り付け穴に嵌挿して熱溶着やカシメなどにより固定されている。
【0058】
一方、下側送風ファンユニット1bの構成は、上側送風ファンユニット1aと同一で、それを反転させただけなので詳細な説明は省略するが、その下側送風ファンユニット1bはファンカバー21bとファンフレーム22bとにより構成されたケーシング2bを備えている。
【0059】
さらに、ファンフレーム22bの上部の面板23bの周部には、遠心ファン4b(図2(b)参照)の回転軸43b(図5(a)参照)の方向において上方向に膨らんだ風洞部51bが形成されており、空気吹出口5bからの空気の逆流がなく、風洞部51bは空気吹出口5bに近づくにつれて風路断面積が次第に大きくなるように形成されているので、遠心ファン4bの回転により発生する風が抵抗少なくして空気吹出口5bに案内されるので、より効率的に高風量化が図れる。
【0060】
そして、上側送風ファンユニット1aの風洞部51aの頂部が、下側送風ファンユニット1bのケーシング2bの面板23b(図2(b)参照)と対向し、下側送風ファンユニット1bの風洞部51bの頂部が、上側送風ファンユニット1aのケーシング2aの面板23a(図5(a)参照)と対向するように重ねられている。
【0061】
つまり、空気吸込口6aの形成された面板23aと空気吸込口6bの形成された面板23bとが各々対向し、上側送風ファンユニット1aの上下方向で広角となるように形成された空気吹出口5aが、下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bと同一方向に向くように重ねられている。
【0062】
その際、上側送風ファンユニット1aの側面の2箇所に設けられたブラケット25aと下側送風ファンユニット1bの側面の2箇所に設けられたブラケット25bとがそれぞれ図示しない固定ネジとナットによって締め付けられて上側送風ファンユニット1aと下側送風ファンユニット1bとが相互に所定の位置関係となるように重ねられている。
【0063】
そして、上側送風ファンユニット1aと下側送風ファンユニット1bとが組み合わされ、空気吸込口6aの形成された面板23aと空気吸込口6bの形成された面板23bとが各々対向し、上側送風ファンユニット1aの上下方向で広角となるように形成された空気吹出口5aが、下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bと同一方向に向くように重ねられ、相互に隣接する上側送風ファンユニット1aのケーシング2aと下側送風ファンユニット1bのケーシング2bとの間の空間に、それぞれの面板23a、23bとそれぞれの風洞部51a、51bとで囲まれた空気流入路8が設けられることにより、空気吸込側においてケーシング2a、2bのそれぞれの一対の面板23a、23bの周部に形成された風洞部51a、51bの高さ相当の空気流入路8の空間が確保されるので、相互に対向する上側送風ファンユニット1aの下側の空気吸込口6aと下側送風ファンユニット1bの上側の空気吸込口6b(図2(b)参照)とからも空気流入路8を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0064】
次に、図2(a)、(b)は前述した上側送風ファンユニット1aと下側送風ファンユニット1bとを上下方向に分離し組み合わせる前の状態を分かりやすく斜視図で示している。
【0065】
ここで、図2(a)で示した上側送風ファンユニット1aについては前述したとおりなので説明を省略する。
【0066】
一方、図2(b)で示したように、下側送風ファンユニット1bの下側の面板を構成するファンカバー21bは、アルミニウムやステンレス鋼などの金属材料の打ち抜き成形や樹脂成形によりプレート状に成形されており、その略中央部に外部から空気を吸い込む略円形状の空気吸込口3b(図5(a)参照)が形成されている。
【0067】
また、そのファンカバー21bの上方には、上側の面板23bを備えたファンフレーム22bが組み合わされてケーシング2bが構成されている。
【0068】
そして、遠心ファン4bは、そのケーシング2bの内部に配置され、ファンカバー21bとファンフレーム22bとに挟まれて収容されている。
【0069】
また、ファンフレーム22bは、樹脂成型やアルミニウム合金のダイカスト成型などにより上面と側面が一体的に成形され、そのファンフレーム22bの上部に位置するフラット形状の面板23bの略中央部にも外部から空気を吸い込む空気吸気口6bが前述した下方の空気吸込口3bと同径で略円形状に形成され、さらにその面板23bの周部には面板23bとファンカバー21bとの間に連通し、上方向に膨らんだ風洞部51bが一体成形で形成されている。
【0070】
そして、そのファンフレーム22bの一方の側面には、ケーシング2bの内部に吸気されケーシング2bの内壁面に沿って流れた空気を吹き出す空気吹出口5bが、風洞部51bと連通しファンカバー21bとファンフレーム22bとで挟まれて形成されている。
【0071】
また、空気流入路8を囲む風洞部51bは、ファンフレーム22bのフラット形状の面板23bの周部に形成され、その外壁面が空気吹出口5bに近づくにつれてその頂部の高さが段階的に大きくなるような3つの段差面511b、512b、513bを有していて、その面板23bの略中央には略円形状の空気吸込口6bが形成されている。
【0072】
そして、風洞部51bの外壁面は、その風洞部51bの頂部を構成する段差面511b、512b、513bのそれぞれから空気吸込口6bに向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面521b、522b、223bを有している。
【0073】
また、空気吸込口6bを横断するように、その空気吸込口6bの周部の3箇所にはスポーク26bが連設されて、そのスポーク26bにより遠心ファン4bを回転駆動するモータ駆動部7bが保持されていて、遠心ファン4bが矢印Rで示した回転方向に高速で回転すると、上側の面板23bの中央部に形成された空気吸込口6bと下側の面板を構成するファンカバー21bの中央部に形成された空気吸込口3b(図5(a)参照)との両方から空気が吸気される。
【0074】
つまり、空気吸込口3bを形成した下側の面板であるファンカバー21bと空気吸込口6bを形成した上側の面板23bとが、遠心方向へ空気を送風する遠心ファン4bの回転軸43b(図5(a)参照)方向を挟み込むように配置されている。
【0075】
なお、前述したモータ駆動部7bには、外部より駆動電圧を印可するためのリード線71bが上側の面板23bを這うように導入されており、空気吸込口6bを通過させて接続されている。
【0076】
そして、ケーシング2bの内部に吸い込まれた空気は、遠心ファン4bの回転によりその遠心方向へと風向きが変えられながら送風され、さらにはケーシング2bの内壁にぶつかりながら、その内壁に沿って遠心ファン4bの矢印Rで示した回転方向へ送られて、最終的に広角に形成された空気吹出口5bから外部へ吹き出される。
【0077】
また、図2(a)、(b)の矢印Rで示された回転方向を比較すれば明らかなように、上側送風ファンユニット1aの遠心ファン4aと下側送風ファンユニット1bの遠心ファン4bとは相互に逆方向に回転するように駆動されている。
【0078】
さらに、両者の組み合わせにおいては、下側送風ファンユニット1bにおいて3つの段差面511b、512b、513cを構成する風洞部51bの頂部が、上側送風ファンユニット1aのファンフレーム22aの下側の面板23aと対向し、かつ上側送風ファンユニット1aの風洞部51aの頂部が、下側送風ファンユニット1bのファンフレーム22bの上側の面板23bと対向するように重ねられている。
【0079】
つまり、空気吸込口6aの形成された面板23aと空気吸込口6bの形成された面板23bとが各々対向し、上側送風ファンユニット1aの上下方向で広角となるように形成された空気吹出口5aが、下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bと同一方向に向くように重ねられている。
【0080】
ここで、ケーシング2aの面板23aに形成された空気吸込口6aとケーシング2bの面板23bに形成された空気吸込口6bは相互に対向し、空気吸込口6aに配置されたモータ駆動部7a(図5(a)参照)にはリード線71aが接続され、空気吸込口6bに配置されたモータ駆動部7bにはリード線71bが接続され、上側送風ファンユニット1aと下側送風ファンユニット1bとの間の空間においてそれぞれの面板23a、23bとそれぞれの風洞部51a、51bとで囲まれた空気流入路8にそれぞれのリード線71aと71bが導入されている。
【0081】
このような構成により、外部にそのリード線71a、71bが不要に延在することがなくなり、送風ファン装置1を電子機器内に搭載する際において、そのリード線71a、71bを作業者が手や工具にひっかけて、リード線引き出し部に機械的なダメージや断線状態を引き起こしてしまうのを未然に防止することができるので、製品安全性や取付け作業性の向上を実現できる。
【0082】
次に、図3(a)は前述した送風ファン装置1の正面図で、さらに分かりやすく説明するために組み合わせる前の上下方向に分離した状態として、図3(b)は上側送風ファンユニット1aの正面図を、図3(c)は下側送風ファンユニット1bの正面図を示している。
【0083】
ここで、図3(a)で示したように上側送風ファンユニット1aの空気吹出口5aと下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bとが同一方向に向けて重ねられているので、送風ファン装置1の総風量はそれぞれで2分されており、全幅方向において空気吹出口5aと空気吹出口5bが重なっているばかりでなく、それぞれの風洞部51aと51bが相互に幅方向で隣接するように重ねて構成されている。
【0084】
また、図3(b)で示したように上側送風ファンユニット1aの風洞部51aの吹出口の幅Wfaをその上側送風ファンユニット1aの空気吹出口5aの全幅Wtaの略半分となるように設定し、風洞部51aの吹出口の高さHfaを遠心ファン4aの上下に位置するケーシング2aのファンカバー21aと面板23aとの間の内高さHaの約0.5倍〜1.5倍に設定し、その風洞部51aの頂部を構成する段差面513aが図3(c)で示した下側送風ファンユニット1bのファンフレーム22bの面板23bと対向するように組み合わされる。
【0085】
したがって、風洞部51aの吹出口の内高さHfiaは、ケーシング2aのファンカバー21aと面板23aとの間の内高さHaよりも大きくなっている。
【0086】
さらに、図3(c)で示したように下側送風ファンユニット1bの風洞部51bの吹出口の幅Wfbをその下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bの全幅Wtbの略半分となるように設定し、風洞部51bの吹出口の高さHfbを遠心ファン4bの上下に位置するケーシング2bのファンカバー21bと面板23bとの間の内高さHbの約0.5倍〜1.5倍に設定し、その風洞部51bの頂部を構成する段差面513bが図3(b)で示した上側送風ファンユニット1aのファンフレーム22aの面板23aと対向するように組み合わされる。
【0087】
したがって、風洞部51aの吹出口の内高さHfibは、ケーシング2aのファンカバー21bと面板23bとの間の内高さHbよりも大きくなっている。
【0088】
以上のように、上側送風ファンユニット1aの風洞部51aの吹出口の幅Wfaを、上側送風ファンユニット1aの空気吹出口5aの全幅Wtaの略半分とし、下側送風ファンユニット1bの風洞部51bの吹出口の幅Wfbを、下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bの全幅Wtbの略半分とし、風洞部51a,51bの吹出口を相互に幅方向で隣接するように重ねて構成することにより、その送風ファン装置1の全幅の領域全体に渡って風洞部51aまたは51bに案内された空気が吹き出されるので、高風量化に加えて送風ファン装置1の空気吹出口全体において風量の偏りが少なくより均等な風圧分布が得られる。
【0089】
次に、図4(a)は前述した送風ファン装置1の側面図で、さらに分かりやすく説明するために上下方向に分離し組み合わされる前の状態として、図4(b)は上側送風ファンユニット1aの側面図を、図4(c)は下側送風ファンユニット1bの側面図を示している。
【0090】
ここで、図4(a)で示したように上側送風ファンユニット1aと下側送風ファンユニット1bとが組み合わされ、空気吸込口6aの形成された面板23aと空気吸込口6bの形成された面板23bとが各々対向し、上側送風ファンユニット1aの上下方向で広角となるように形成された空気吹出口5aが、下側送風ファンユニット1bの空気吹出口5bと同一方向(本図では左方向)に向くように重ねられ、相互に隣接する上側送風ファンユニット1aのケーシング2aと下側送風ファンユニット1bのケーシング2bとの間の空間に、それぞれの面板23a、23bとそれぞれの風洞部51a、51bとで囲まれた空気流入路8が設けられることにより、空気吸込側においてケーシング2a、2bのそれぞれの一対の面板23a、23bの周部に形成された風洞部51a、51bの高さ相当の空気流入路8の空間が確保されるので、上側送風ファンユニット1aの上側の空気吸込口3aや下側送風ファンユニット1bの下側の空気吸込口3bから破線の矢印で示したように上下方向から吸い込まれる空気に加え、相互に対向する上側送風ファンユニット1aの下側の空気吸込口6aと下側送風ファンユニット1bの上側の空気吸込口6bとからも実線の矢印で示したように空気流入路8を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0091】
また、送風ファン装置1の上下方向に電子機器の筐体内壁や他の周辺装置が置かれ、上側に位置する空気吸込口3aまたは下側に位置する空気吸込口3bが塞がれた場合でも、ケーシング2aとケーシング2bとで挟まれた空間にそれぞれの面板23a、23bとそれぞれの風洞部51a、51bとで囲まれた空気吸込み側の空気流入路8の空間が確保されるので、冷却性能が大きく低下することを防止できる。
【0092】
さらに、同一または類似の形状の送風ファンユニットを2個組み合わせる構成であることにより、単一の送風ファン装置で同一風量を得るために遠心ファン、回転軸、軸受けスリーブ、モータ、及びケーシングなどそれぞれの構成部材を単純拡大した場合と比較して、機械的な負荷が軽減するので、駆動トルクも小さくてよく、その分軸受けスリーブの機械的な寿命やモータの発熱に対する影響も軽減し、より高寿命で信頼性の高い送風ファン装置を提供できる。
【0093】
また、図4(c)でも示したように、下側送風ファンユニット1bの空気流入路8を囲む風洞部51bは、ファンフレーム22bに一体成形され、その外壁面が空気吹出口5bに近づくにつれてその頂部の高さが段階的に大きくなるような3つの段差面511b、512b、513bを有している。
【0094】
さらに、その風洞部51bの頂部を構成する段差面511b、512b、513bは、隣接する上側送風ファンユニット1aのケーシング2aを構成するファンフレーム22aの下側の面板23aに対向している。
【0095】
このような構成により、空気吹出口5bに近づくにつれて、下側送風ファンユニット1bの空気流入路8を囲む風洞部51bの頂部と上側送風ファンユニット1aのケーシング2aの面板23aとの間の隙間が段階的に狭まっていくので、空気吹出口5bの側からの空気の吸込みが少なくなる一方、空気吹出口5bの反対側からの空気の吸込みが増大する。
【0096】
同様に、図4(b)でも示したように、上側送風ファンユニット1aの空気流入路8を囲む風洞部51aは、ファンフレーム22aに一体成形され、その外壁面が空気吹出口5aに近づくにつれてその頂部の高さが段階的に大きくなるような3つの段差面511a、512a、513aを有している。
【0097】
さらに、その風洞部51aの頂部を構成する段差面511a、512a、513aは、隣接する下側送風ファンユニット1bのケーシング2bを構成するファンフレーム22bの上側の面板23bに対向している。
【0098】
このような構成により、空気吹出口5aに近づくにつれて、上側送風ファンユニット1aの空気流入路8を囲む風洞部51aの頂部と下側送風ファンユニット1bのケーシング2bの面板23bとの間の隙間が段階的に狭まっていくので、空気吹出口5aの側からの空気の吸込みが少なくなる一方、空気吹出口5aの反対側からの空気の吸込みが増大する。
【0099】
以上のように、上側送風ファンユニット1aの風洞部51a、面板23aと下側送風ファンユニット1bの風洞部51b、面板23bとが相互に作用し合って、その送風ファン装置1を設置したときの空気の吸込み方向と吹出し方向が直線状となり空気の送風方向の整流性が高まり、例えば軸流ファンのような効率のよい送風を実現できる。
【0100】
つまり、パーソナルコンピュータなどの電子機器内に実装された超小型演算処理装置(MPU)、チップセット、表示コントローラ、またはHDDなど様々な発熱体を効率的に冷却するためには、その電子機器内において空気が滞留することなく所定の方向へ円滑に流して熱交換を行わせる必要があるが、本発明によれば空気吹出口5a、5bの反対側の方向からの空気の吸込が増大し、より整流性の高い送風ファン装置が得られる。
【0101】
次に、図5(a)では、相互に隣接する上側送風ファンユニット1aのケーシング2aと下側送風ファンユニット1bのケーシング2bとの間のそれぞれの面板23a、23bとそれぞれの風洞部51a、51bとで囲まれた空気流入路8の領域を2点鎖線で囲んで示している。
【0102】
その空気流入路8の高さH8は、ケーシング2aの面板23aの周部に形成された風洞部51aの高さHfa(図3(b)参照)やケーシング2bの面板23bの周部に形成された風洞部51bの高さHfb(図3(c)参照)に相当する高さが確保され、空気吸込側において相互に対向する上側送風ファンユニット1aの下側の空気吸込口6aと下側送風ファンユニット1bの上側の空気吸込口6bとからも実線の矢印で示したように空気流入路8を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0103】
また、風洞部51aの外壁面は、その風洞部51aの頂部を構成する段差面512aから空気吸込口6aに向けて所定の傾斜角度θ2で形成された傾斜面522aを有していて、その傾斜面522aは面板23aに対してその傾斜角度θ2が30°〜60°の範囲となるように設定されている。
【0104】
このような構成により、上側送風ファンユニット1aの風洞部51aの頂部と下側送風ファンユニット1bのケーシング2bの面板23bとの間の隙間から吸入された空気がその傾斜面522aに沿って空気吸込口6aに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口6aに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0105】
同様に、風洞部51bの外壁面は、その風洞部51bの頂部を構成する段差面512bから空気吸込口6bに向けて所定の傾斜角度θ2で形成された傾斜面522bを有していて、その傾斜面522bは面板23bに対してその傾斜角度θ2が30°〜60°の範囲となるように設定されている。
【0106】
このような構成により、下側送風ファンユニット1bの風洞部51bの頂部と上側送風ファンユニット1aのケーシング2aの面板23aとの間の隙間から吸入された空気がその傾斜面522bに沿って空気吸込口6bに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口6bに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0107】
また、ケーシング2aに収容された遠心ファン4aの回転軸43aは、一方に寄せられて配置され、その寄せられた方向と反対の方向に位置するようにケーシング2aの面板23aの周部に風洞部51aを形成することにより、風洞部51aを遠心ファン4aの回転軸43a方向である高さ方向と直交する幅方向においても拡大して風路断面積を大きくできるので、より風路抵抗を小さくして空気吹出口5aに空気を案内し、高風量化を実現できる。
【0108】
同様に、ケーシング2bに収容された遠心ファン4bの回転軸43bは、一方に寄せられて配置され、その寄せられた方向と反対の方向に位置するようにケーシング2bの面板23bの周部に風洞部51bを形成することにより、風洞部51bを遠心ファン4bの回転軸43b方向である高さ方向と直交する幅方向においても拡大して風路断面積を大きくできるので、より風路抵抗を小さくして空気吹出口5bに空気を案内し、高風量化を実現できる。
【0109】
また、前述したようにそれぞれの遠心ファン4a、4bは、相互に逆方向に回転するように駆動されることにより、上側送風ファンユニット1aの空気吸込口6aと下側送風ファンユニット1bの空気吸込口6bが相互に近接しても、それら空気吸込口6a、6b近傍において吸い込まれる空気の流れが相互に逆方向となりキャンセルされるので、渦流化が抑制されてより効率的な空気の吸込みが実現できる。
【0110】
次に、図5(b)では、相互に隣接する上側送風ファンユニット1aのケーシング2aと下側送風ファンユニット1bのケーシング2bとの間のそれぞれの面板23a、23bとそれぞれの風洞部51a、51bとで囲まれた空気流入路8の領域を2点鎖線で囲んで示している。
【0111】
その空気流入路8の高さH8は、ケーシング2aの面板23aの周部に形成された風洞部51aの高さHfa(図3(b)参照)やケーシング2bの面板23bの周部に形成された風洞部51bの高さHfb(図3(c)参照)に相当する高さが確保され、実線の矢印で示したように空気流入路8を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0112】
また、風洞部51aの外壁面は、その風洞部51aの頂部を構成する段差面511aから空気吸込口6aに向けて所定の傾斜角度θ1で形成された傾斜面521aを有していて、その傾斜面521aは面板23aに対して傾斜角度θ1が30°〜60°の範囲となるように設定されている。
【0113】
このような構成により、上側送風ファンユニット1aの51aの頂部を構成する段差面511aと下側送風ファンユニット1bのケーシング2bの面板23bとの間の隙間から吸入された空気がその傾斜面521aに沿って空気吸込口6aに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口6aに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0114】
同様に、風洞部51bの外壁面は、その風洞部51bの頂部を構成する段差面511bから空気吸込口6bに向けて所定の傾斜角度θ1で形成された傾斜面521bを有していて、その傾斜面521bは面板23bに対してその傾斜角度θ1が30°〜60°の範囲となるように設定されている。
【0115】
このような構成により、下側送風ファンユニット1bの風洞部51bの頂部を構成する段差面511bと上側送風ファンユニット1aのケーシング2aの面板23aとの間の隙間から吸入された空気がその傾斜面521bに沿って空気吸込口6bに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口6bに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0116】
次に、図6を用いて本発明の実施の形態1に係わる送風ファン装置1の効果を説明する。風量静圧特性の評価を行った送風ファン装置1としては、上側送風ファンユニット1aのケーシング2aは、内高さHaが約14mm、空気吹出口5aの全幅Wtaが87mm、風洞部51aの吹出口の幅Wfaが約43mm、風洞部51aの高さHfaが約17mm、風胴部51aの内高さHfiaが約40mm、空気吸込口3a、6aの開口半径が約22mm、遠心ファン4aは回転半径が約30mmで17枚のブレード42aを有するものを用い、下側送風ファンユニット1bのケーシング2bや遠心ファン4bのそれぞれのサイズも上側送風ファンユニット1aのそれと同一とした。
【0117】
そして、回転駆動時におけるファン騒音値が43dBAとなるように回転速度を3500rpmに設定して測定し、空気流入路8の設けられていない従来の送風ファン装置の同一ファン騒音値における風量静圧特性との比較を行った。
【0118】
この図6からも明らかなように、本発明の実施の形態1に係わる送風ファン装置1の風量静圧特性は、風量が0.11m3/min以上の領域において従来の送風ファン装置よりも良好な風量静圧特性を示し、同一静圧値において最大で約27%程度の高風量化の改善効果が得られた。
【0119】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における送風ファン装置の斜視図で、図8(a)は本発明の実施の形態2における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの斜視図で、図8(b)は本発明の実施の形態2における送風ファン装置を構成する中側送風ファンユニットの斜視図で、図8(c)は本発明の実施の形態2における送風ファン装置の下側送風ファンユニットの斜視図で、図9(a)は本発明の実施の形態2における送風ファン装置の側面図で、図9(b)は図9(a)のC−C矢視断面図である。
【0120】
図7で示したように、送風ファン装置101は、上方に位置する上側送風ファンユニット101aと、その下方に位置し上側送風ファンユニット101aと同一または類似の形状でかつそれを反転させた状態の中側送風ファンユニット101bと、その下方に位置し上側送風ファンユニット101aと同一または類似の形状の下側送風ファンユニット101cを上下方向に3段重ねして構成されている。
【0121】
ここで、必要とする送風ファンユニットの数や形状は異なるものの基本的な構成は前述した実施の形態1とほぼ同じであるので、以下相違する部分について詳しく説明する。
【0122】
まず、上側送風ファンユニット101aは、複数のブレードの矢印方向への回転によってその遠心方向へ空気を送風する遠心ファン102aを有し、遠心ファン102aの回転軸107a(図9(b)参照)を挟む上下のそれぞれの面板に空気吸込口103aが形成され、その上下の面板の周部にその面板間に連通しその面板間の内高さよりも大きな内高さに形成されて上下方向に膨らんだ風洞部106aと、その風洞部106aと連通し一対の面板で挟まれた側面に形成された空気吹出口104aと、を有するケーシング105aを有している。
【0123】
ここで、風洞部106aは、上下方向に広角となるように形成されている空気吹出口104aと同一の高さで略L字状となるようにケーシング105aの上下の面板の周部に形成されていて、その風洞部106aは空気吹出口104aに近づくにつれて風路断面積が次第に大きくなるように形成されているので、遠心ファン102aの回転により発生する風が抵抗少なくして空気吹出口104aに案内されるので、より効率的に高風量化が図れる。
【0124】
同様に、中側送風ファンユニット101bは、複数のブレードの矢印方向への回転によってその遠心方向へ空気を送風する遠心ファン102bを有し、さらに遠心ファン102bの回転軸107b(図9(b)参照)を挟む上下のそれぞれの面板に空気吸込口103bが形成され、その上下の面板の周部にその面板間に連通しその面板間の内高さよりも大きな内高さに形成されて上下方向に膨らんだ風洞部106bと、その風洞部106bと連通し一対の面板で挟まれた側面に形成された空気吹出口104bと、を有するケーシング105bを有している。
【0125】
ここで、風洞部106bは、上下方向に広角となるように形成されている空気吹出口104bと同一の高さで略L字状となるようにケーシング105bの上下の面板の周部に形成されていて、その風洞部106bは空気吹出口104bに近づくにつれて風路断面積が次第に大きくなるように形成されているので、遠心ファン102bの回転により発生する風が抵抗少なくして空気吹出口104bに案内されるので、より効率的に高風量化が図れる。
【0126】
同様に、下側送風ファンユニット101cは、複数のブレードの矢印方向への回転によってその遠心方向へ空気を送風する遠心ファン102cを有し、さらに遠心ファン102cの回転軸107c(図9(b)参照)を挟む上下のそれぞれの面板に空気吸込口103cが形成され、その上下の面板の周部にその面板間に連通しその面板間の内高さよりも大きな内高さに形成されて上下方向に膨らんだ風洞部106cと、その風洞部106cと連通し一対の面板で挟まれた側面に形成された空気吹出口104cと、を有するケーシング105cを有している。
【0127】
ここで、風洞部106cは、上下方向に広角となるように形成されている空気吹出口104cと同一の高さで略L字状となるようにケーシング105cの上下の面板の周部に形成されていて、その風洞部106cは空気吹出口104cに近づくにつれて風路断面積が次第に大きくなるように形成されているので、遠心ファン102cの回転により発生する風が抵抗少なくして空気吹出口104cに案内されるので、より効率的に高風量化が図れる。
【0128】
そして、上側送風ファンユニット101a、中側送風ファンユニット101b、及び下側送風ファンユニット101cが組み合わされ、空気吸込口103aの形成されたケーシング105aの下側の面板と空気吸込口103b(図8(b)参照)の形成されたケーシング105bの上側の面板が各々対向するとともに、空気吸込口103bの形成されたケーシング105bの下側の面板と空気吸込口103c(図8(c)参照)の形成されたケーシング105cの上側の面板が各々対向している。
【0129】
また、上側送風ファンユニット101a、中側送風ファンユニット101b、及び下側送風ファンユニット101cのそれぞれの空気吹出口104a、空気吹出口104b、及び空気吹出口104cが同一方向に向くように重ねられて、相互に隣接する上側送風ファンユニット101aのケーシング105aの下側の面板と送風ファンユニット101bのケーシング105bの上側の面板とそれぞれの風洞部106a、106bとで囲まれた空気流入路110が設けられ、同様に相互に隣接する中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの下側の面板と下側送風ファンユニット101cのケーシング105cの上側の面板とそれぞれの風洞部106b、106cとで囲まれた空気流入路111が設けられている。
【0130】
このような構成により、空気吸込側においてケーシング105a、105b、及び105cのそれぞれの一対の面板の周部に形成された風洞部106a、106b、及び106cの高さ相当の空気流入路110、111のそれぞれの空間が確保される。
【0131】
そして、相互に対向する上側送風ファンユニット101aのケーシング105aの下側の面板に形成された空気吸込口103a(図9(b)参照)と中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの上側の面板に形成された空気吸込口103b(図9(b)参照)とからも空気流入路110を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0132】
同様に、相互に対向する中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの下側の面板に形成された空気吸込口103b(図9(b)参照)と下側送風ファンユニット101cのケーシング105cの上側の面板に形成された空気吸込口103c(図9(b)参照)とからも空気流入路111を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0133】
次に、さらに分かりやすく説明するために組み合わせる前の上下方向に分離した状態として、図8(a)は上側送風ファンユニットの斜視図を、図8(b)は中側送風ファンユニットの斜視図を、図8(c)は下側送風ファンユニットの斜視図を示している。
【0134】
ここで、図8(b)で示したように風洞部106bの外壁面は、その風洞部106bの頂部から空気吸込口103bに向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面1061bを有している。
【0135】
このような構成により、中側送風ファンユニット101bの風洞部106bの頂部と上側送風ファンユニット101aのケーシング105aの下側の面板との間の隙間から空気流入路110に吸入された空気がその傾斜面1061bに沿って空気吸込口103bに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口103bに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0136】
また、図8(a)では図示されない上側送風ファンユニット101aの風洞部106aの外壁面は、その風洞部106aの頂部から空気吸込口103aに向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面1061a(図9(b)参照)を有していて、上側送風ファンユニット101aの風洞部106aの頂部と中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの上側の面板との間の隙間から空気流入路110に吸入された空気がその傾斜面1061aに沿って空気吸込口103aに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口103aに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0137】
また、図8(c)では図示されない下側送風ファンユニット101cの風洞部106cの外壁面は、その風洞部106cの頂部から空気吸込口103cに向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面1061c(図9(b)参照)を有していて、下側送風ファンユニット101cの風洞部106cの頂部と中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの下側の面板との間の隙間から空気流入路111に吸入された空気がその傾斜面1061cに沿って空気吸込口103cに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口103cに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0138】
さらに、図8(b)で示したように空気吸込口103bを横断するように、その空気吸込口103bの周部の3箇所にはスポーク108bが連設されて、そのスポーク108bにより遠心ファン102bを回転駆動するモータ駆動部109bが保持されている。
【0139】
また、図示されない上側送風ファンユニット101aや下側送風ファンユニット101cの下側の面板についても同じ構成となっているので説明は省略するが、それぞれの遠心ファン102a、102b、102cは、相互に逆方向に回転するように駆動されることにより、相互に隣接する空気吸込口103aと103b、または空気吸込口103bと103cが相互に近接しても、それら空気吸込口103a、103b、103cの近傍において吸い込まれる空気の流れが相互に逆方向となりキャンセルされるので、渦流化が抑制されてより効率的な空気の吸込みが実現できる。
【0140】
また、図9(a)で示したように、上側送風ファンユニット101a、中側送風ファンユニット101b、及び下側送風ファンユニット101cのそれぞれの空気吹出口104a、空気吹出口104b、及び空気吹出口104cが同一方向(本図では左方向)に向くように重ねられて、相互に隣接する上側送風ファンユニット101aのケーシング105aの下側の面板と送風ファンユニット101bのケーシング105bの上側の面板とそれぞれの風洞部106a、106bとで囲まれた空気流入路110が設けられ、同様に相互に隣接する中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの下側の面板と下側送風ファンユニット101cのケーシング105cの上側の面板とそれぞれの風洞部106b、106cとで囲まれた空気流入路111が設けられている。
【0141】
したがって、空気吸込側においてそれぞれのケーシング105a、105b、105cの一対の面板の周部に形成された風洞部106a、106b、106cの高さ相当の空気流入路110、111の空間が確保されるので、上側送風ファンユニット101aの上側の空気吸込口103aや下側送風ファンユニット101cの下側の空気吸込口103cから破線の矢印で示したように上下方向から吸い込まれる空気に加え、相互に対向する上側送風ファンユニット101aの下側の面板の空気吸込口103aと中側送風ファンユニット101bの上側の面板の空気吸込口103bには実線の矢印で示したように空気流入路110を通過した十分な空気が送り込まれ、また相互に対向する中側送風ファンユニット101bの下側の面板の空気吸込口103bと下側送風ファンユニット101cの上側の面板の空気吸込口103cには実線の矢印で示したように空気流入路111を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0142】
また、送風ファン装置101の上下方向に電子機器の筐体内壁や他の周辺装置が置かれ上側に位置する空気吸込口103aまたは下側に位置する空気吸込口103cが塞がれた場合でも、ケーシング105aの下側の面板とケーシング105bの上側の面板とそれぞれの風洞部106a、106bとで囲まれた空間が空気吸込み側の空気流入路110の空間として確保され、ケーシング105bの下側の面板とケーシング105cの上側の面板とそれぞれの風洞部106b、106cとで囲まれた空間が空気吸込み側の空気流入路111の空間としてそれぞれ確保されるので、冷却性能が大きく低下することを防止できる。
【0143】
さらに、同一または類似の形状の送風ファンユニットを3個組み合わせる構成であることにより、単一の送風ファン装置で同一風量を得るために遠心ファン、回転軸、軸受けスリーブ、モータ、及びケーシングなどそれぞれの構成部材を単純拡大した場合と比較して、機械的な負荷が軽減するので、駆動トルクも小さくてよく、その分軸受けスリーブの機械的な寿命やモータの発熱に対する影響も軽減し、より高寿命で信頼性の高い送風ファン装置を提供できる。
【0144】
次に、図9(b)では、相互に隣接する上側送風ファンユニット101aのケーシング105aと中側送風ファンユニット101bのケーシング105bとで囲まれた空気流入路110の領域を2点鎖線で囲んで示している。
【0145】
この図からも明らかなように、空気吸込口103aの形成されたケーシング105aの下側の面板と空気吸込口103bの形成されたケーシング105bの上側の面板が各々対向するとともに、空気吸込口103bの形成されたケーシング105bの下側の面板と空気吸込口103cの形成されたケーシング105cの上側の面板が各々対向している。
【0146】
また、その空気流入路110の高さは、ケーシング105aの一対の面板の周部に形成された風洞部106aの高さやケーシング105bの一対の面板の周部に形成された風洞部106bの高さに相当する高さが確保され、相互に対向する上側送風ファンユニット101aの下側の面板の空気吸込口103aと中側送風ファンユニット101bの上側の面板の空気吸込口103bには実線の矢印で示したように空気流入路110を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0147】
また、相互に隣接する中側送風ファンユニット101bのケーシング105bと下側送風ファンユニット101cのケーシング105cとで囲まれた空気流入路111の領域を2点鎖線で囲んで示している。
【0148】
その空気流入路111の高さは、ケーシング105bの一対の面板の周部に形成された風洞部106bの高さやケーシング105cの一対の面板の周部に形成された風洞部106cの高さに相当する高さが確保され、相互に対向する中側送風ファンユニット101bの下側の面板の空気吸込口103bと下側送風ファンユニット101cの上側の面板の空気吸込口103cには実線の矢印で示したように空気流入路111を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できる。
【0149】
また、前述したように風洞部106aの外壁面は、その風洞部106aの頂部から空気吸込口103aに向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面1061aを有していて、その傾斜面1061aはケーシング105aの下側の面板に対してその傾斜角度が30°〜60°の範囲となるように設定されている。
【0150】
このような構成により、上側送風ファンユニット101aの風洞部106aの頂部と中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの上側の面板との間の隙間から空気流入路110に吸入された空気がその傾斜面1061aに沿って空気吸込口103aに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口103aに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0151】
同様に、風洞部106bの外壁面は、その風洞部106bの頂部から空気吸込口103bに向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面1061bを有していて、その傾斜面1061bはケーシング105bの上側の面板に対してその傾斜角度が30°〜60°の範囲となるように設定されている。
【0152】
このような構成により、中側送風ファンユニット101bの風洞部106bの頂部と上側送風ファンユニット101aのケーシング105aの下側の面板との間の隙間から空気流入路110に吸入された空気がその傾斜面1061bに沿って空気吸込口103bに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口103bに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0153】
同様に、風洞部106cの外壁面は、その風洞部106cの頂部から空気吸込口103cに向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面1061cを有していて、その傾斜面1061cはケーシング105cの下側の面板に対してその傾斜角度が30°〜60°の範囲となるように設定されている。
【0154】
このような構成により、下側送風ファンユニット101cの風洞部106cの頂部と中側送風ファンユニット101bのケーシング105bの下側の面板との間の隙間から空気流入路111に吸入された空気がその傾斜面1061cに沿って空気吸込口103cに直線的に流れ乱流や渦流などが発生することが防止されるので、その空気吸込口103cに空気が円滑に送り込まれ高風量化を実現できる。
【0155】
また、ケーシング105aに収容された遠心ファン102aの回転軸107aは、一方に寄せられて配置され、その寄せられた方向と反対の方向に位置するようにケーシング105aの一対の面板の周部に風洞部106aを形成することにより、風洞部106aを遠心ファン102aの回転軸107a方向である高さ方向と直交する幅方向においても拡大して風路断面積を大きくできるので、より風路抵抗を小さくして空気吹出口104aに空気を案内し、高風量化を実現できる。
【0156】
同様に、ケーシング105bに収容された遠心ファン102bの回転軸107bは、一方に寄せられて配置され、その寄せられた方向と反対の方向に位置するようにケーシング105bの一対の面板の周部に風洞部106bを形成することにより、風洞部106bを遠心ファン102bの回転軸107b方向である高さ方向と直交する幅方向においても拡大して風路断面積を大きくできるので、より風路抵抗を小さくして空気吹出口104bに空気を案内し、高風量化を実現できる。
【0157】
同様に、ケーシング105cに収容された遠心ファン102cの回転軸107cは、一方に寄せられて配置され、その寄せられた方向と反対の方向に位置するようにケーシング105cの一対の面板の周部に風洞部106cを形成することにより、風洞部106cを遠心ファン102cの回転軸107c方向である高さ方向と直交する幅方向においても拡大して風路断面積を大きくできるので、より風路抵抗を小さくして空気吹出口104cに空気を案内し、高風量化を実現できる。
【0158】
(実施の形態3)
図10(a)は、本発明の実施の形態3における電子機器の筐体内部を示した概略図で、図10(b)は、図10(a)の主要部を示した断面図である。
【0159】
まず、図10(a)で示した電子機器201は、開閉型の液晶表示装置202が操作部を有する本体装置203の端部のヒンジ機構204に回動支持された構成のノート型PCである。
【0160】
この図では、電子機器201の本体装置203の筐体内部に配置された回路基板205の下側面には、冷却されるべき発熱電子部品(図示せず)が実装されていて、その発熱電子部品と熱的に接続された複数の放熱フィン206が本体装置203の筐体側面203aの側方に設置されている状態を示している。
【0161】
また、本発明による送風ファン装置207は、実施の形態1で説明した構成のものと同一で、前述した放熱フィン206の方向へその空気吹出口2075a、2075bが向けられ、その空気吸込側が回路基板205の方向へ向けられて実装されている。
【0162】
このように、電子機器201の本体装置203の筐体内部に送風ファン装置207が配置されることで、図10(b)において実線の矢印で示したように本体装置203の下側の空気は、本体装置203の筐体底面203bに設けられた複数の通気口208を通過して下側送風ファンユニット207bの空気吸込口2071bから吸い込まれるのと同時に、本体装置203の筐体内部の空気は、上側送風ファンユニット207aの空気吸込口2071aから吸い込まれる。
【0163】
一方、回路基板205の上下面に沿って流れてきた空気は、上側送風ファンユニット207aのケーシングと下側送風ファンユニット207bのケーシングとの間のそれぞれのケーシングで囲まれた空間領域である空気流入路2073(2点鎖線で示した)を通過して上側送風ファンユニット207aの下側の空気吸込口2072aと下側送風ファンユニット207bの上側の空気吸込口2072bから吸い込まれる。
【0164】
そして、空気吸込口2071aと空気吸込口2072aとから吸い込まれた空気は、遠心ファン2074aの回転運動により上側送風ファンユニット207aのケーシングの内部でその遠心ファン2074aの遠心方向へと風向きが変えられるので、その大部分はケーシングの内壁にぶつかりながら、その内壁に沿って遠心ファン2074aの回転方向と同一の方向へ送風され、最終的に空気吹出口2075aから空気が吹き出される。
【0165】
また、空気吸込口2071bと空気吸込口2072bとから吸い込まれた空気は、遠心ファン2074bの回転運動により下側送風ファンユニット207bのケーシングの内部でその遠心ファン2074bの遠心方向へと風向きが変えられるので、その大部分はケーシングの内壁にぶつかりながら、その内壁に沿って遠心ファン2074bの回転方向と同一の方向へ送風され、最終的に空気吹出口2075bから空気が吹き出される。
【0166】
このように、送風ファン装置207の上下方向に電子機器201の本体装置203の筐体内壁が近接して上側と下側に位置する空気吸込口2071aや空気吸込口2071bが塞がれるように狭くなった場合でも、上側送風ファンユニット207aと下側送風ファンユニット207bのそれぞれの面板と風洞部とで囲まれた空間が空気吸込み側の空気流入路2073の空間として確保されるので、冷却性能が大きく低下することを防止できる。
【0167】
また、送風ファン装置207を設置したときの空気の吸込み方向と吹出し方向が直線状となり空気の送風方向の整流性が高まり、例えば軸流ファンのような効率のよい送風を実現できる。
【0168】
つまり、このノートPCである電子機器201の内部に実装された超小型演算処理装置(MPU)、チップセット、表示コントローラ、またはHDDなど様々な発熱体(図示せず)を効率的に冷却するために、その電子機器201の内部において空気が滞留することなく所定の方向へ円滑に流して熱交換が行われている。
【0169】
また、高風量化に加えて送風ファン装置207の空気吹出口2075aと2075bの全体において風量の偏りが少なくより均等な風圧分布が得られるので、送風ファン装置207から吹き出された空気は、そのような広範囲に均等な空気の吹き出しと風量の増大の効果が得られ放熱フィン206での熱交換が効率的に行われ、冷却性能の向上を実現できる。
【0170】
また、放熱フィン206に対して偏った送風が行われることに起因した放熱フィン206間の隙間の通風時における風切り騒音などの異音の発生も抑制できるので、より静音性の向上を実現できる。
【0171】
そして、複数の放熱フィン206間の隙間をその放熱フィン206と熱交換しながら通過した空気は、最終的に本体装置203の筐体側面203aに設けられた通気口209を通過して外部へ排出される。
【0172】
つまり、前述したような送風ファン装置207を具備し、その送風ファン装置207を用いて放熱フィン206などの放熱体の放熱を行うことにより、放熱フィン206などの放熱体に対する放熱性能が向上し、より高速なクロック周波数で駆動するMPUやCPUなどの発熱電子部品を搭載した場合の発熱対策がより容易になるので、この電子機器201の高性能化を実現できる。
【0173】
なお、以上の実施の形態の説明において、構成要素の寸法、数量、材質、形状、その相対的な配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なるひとつの実施の形態の説明に過ぎず、様々な変形が可能であって、例えば、風洞部の段数、形状、形成場所は適宜設定すればよいし、ケーシングの外形についても略円形ではなく、略三角形、略四角形、略平行四辺形、あるいはそれ以外の種々の多角形でも構わなく、空気吸込口も、上下の両方ではなくファンカバーやファンフレームのいずれか一方のみに形成してもよいし、空気吹出口も2個または3個以上設けてもよい。
【0174】
また、ケーシングの構成についても、単にファンカバーとファンフレームとからのみ構成されたものではなく、そのファンフレームの一部に発熱電子部品と熱的な接続を行う受熱部を設けたり、放熱性を有する放熱フィンからなるヒートシンクなどをダイカスト成型やプレス成形などによって一体的に設けたりする構成でもよいし、さらにその間の熱輸送を効率的に行うヒートパイプ、熱伝導性シートなどのような熱輸送部材を備えていてもよい。
【0175】
さらに、遠心ファンは、複数のブレードを有し、そのブレードの回転によって遠心方向へ空気を送風する遠心ファンであればよく、例えばシロッコファンのようにブレードが外周部のみに形成されたような形態の遠心ファンであっても構わず、その場合における回転中心軸は、ブレードの外周部で形成される仮想の外周円の中心軸に相当するものとして解釈すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明にかかる送風ファン装置及びそれを備えた電子機器は、空気吸込側においてケーシングの一対の面板の周部に形成された風洞部の高さ相当の空気流入路の空間が確保されるので、それぞれの送風ファンユニットの相互に対向する空気吸込口からもその空気流入路を通過した十分な空気が送り込まれ高風量化を実現できるので、受熱体から放熱体までの熱輸送をヒートパイプや液体冷媒の循環などの方式により効率的に行った後、その放熱体を強制的に放熱する送風ファン装置及びそれを備えた電子機器等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の実施の形態1における送風ファン装置の斜視図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの斜視図、(b)本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する下側送風ファンユニットの斜視図
【図3】(a)本発明の実施の形態1における送風ファン装置の正面図、(b)本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの正面図、(c)本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する下側送風ファンユニットの正面図
【図4】(a)本発明の実施の形態1における送風ファン装置の側面図、(b)本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの側面図、(c)本発明の実施の形態1における送風ファン装置を構成する下側送風ファンユニットの側面図
【図5】(a)図4(a)のA−A矢視断面図、(b)図4(a)のB−B矢視断面図
【図6】風量静圧特性の比較グラフ
【図7】本発明の実施の形態2における送風ファン装置の斜視図
【図8】(a)本発明の実施の形態2における送風ファン装置を構成する上側送風ファンユニットの斜視図、(b)本発明の実施の形態2における送風ファン装置を構成する中側送風ファンユニットの斜視図、(c)本発明の実施の形態2における送風ファン装置の下側送風ファンユニットの斜視図
【図9】(a)本発明の実施の形態2における送風ファン装置の側面図、(b)図9(a)のC−C矢視断面図
【図10】(a)本発明の実施の形態3における電子機器の筐体内部を示した概略図、(b)図10(a)の主要部を示した断面図
【図11】(a)従来の技術における送風ファン装置が具備する送風ファンの単体の斜視図、(b)従来の技術における送風ファン装置の全体の斜視図
【符号の説明】
【0178】
1,101,207 送風ファン装置
1a,101a,207a 上側送風ファンユニット
1b,101c,207b 下側送風ファンユニット
2a,2b,105a,105b,105c ケーシング
3a,3b,6a,6b,103a,103b,103c,2071b,2072b 空気吸込口
4a,4b,102a,102b,102c,2074a,2074b 遠心ファン
7a,7b モータ駆動部
8,110,111,2073 空気流入路
21a,21b ファンカバー
22a,22b ファンフレーム
23a,23b 面板
24a 凸部
25a,25b ブラケット
26b スポーク
41a ハブ部
42a ブレード
43a,43b,107a,107b,107c 回転軸
51a,51b,106a,106b,106c 風洞部
511a,511n 差面
511c,511b,512b,513b 段差面
521a,522a,523a,521b,522b,523b,1061a,1061b,1061c 傾斜面
71a,71b リード線
101b 中側送風ファンユニット
104a,104b,104c,2075a,2075b 空気吹出口
201 電子機器
202 液晶表示装置
203 本体装置
203a,203b 筐体底面
204 ヒンジ機構
205 回路基板
206 放熱フィン
208,209 通気口
Hfa,Hfb 風洞部の高さ
Hfia,Hfib 風洞部の内高さ
Ha,Hb ケーシングの内高さ
H8 空気流入路の高さ
R 遠心ファンの回転方向
Wfa,Wfb 風洞部の吹出口の幅
Wta,Wtb 空気吹出口の全幅
θ1,θ2 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブレードの回転によって遠心方向へ空気を送風する遠心ファンと、
前記遠心ファンの回転軸方向を挟み込むように配置されかつ空気吸込口を形成した一対の面板と、前記一対の面板の周部に前記一対の面板間に連通し前記一対の面板間の内高さよりも大きな内高さに形成した風洞部と、前記風洞部と連通し前記一対の面板で挟まれた側面に形成した空気吹出口と、を有するケーシングと、
を有する送風ファンユニットを複数具備した送風ファン装置であって、
前記送風ファンユニットを前記空気吸込口の形成された前記面板が各々対向するとともに前記空気吹出口を各々同一方向に向けて重ね、前記送風ファンユニットの相互に隣接するケーシング間に前記面板と前記風洞部とで囲まれた空気流入路を設けることを特徴とする送風ファン装置。
【請求項2】
前記送風ファンユニットの風洞部の外壁面は、その風洞部の頂部から前記空気吸込口に向けて所定の傾斜角度で形成された傾斜面を有することを特徴とする請求項1記載の送風ファン装置。
【請求項3】
前記送風ファンユニットの遠心ファンは、一方に寄せられて配置され、その寄せられた方向と反対の方向に位置するように前記一対の面板の周部に前記風洞部を形成することを特徴とする請求項1記載の送風ファン装置。
【請求項4】
一方の送風ファンユニットの前記空気流入路を囲む風洞部は、その頂部が隣接する他方の送風ファンユニットのケーシングの面板に対向し、その風洞部と連通する前記空気吹出口に近づくにつれてその頂部の高さが段階的に大きくなるような複数の段差面を有することを特徴とする請求項1記載の送風ファン装置。
【請求項5】
相互に隣接する前記送風ファンユニットの各々の遠心ファンは、相互に逆方向に回転するように駆動されることを特徴とする請求項1記載の送風ファン装置。
【請求項6】
相互に隣接する送風ファンユニットにおいて、相互に対向する前記面板に形成された各々の空気吸込口に前記遠心ファンを回転駆動するモータ駆動部を各々配置し、各々の前記モータ駆動部に接続されたリード線を前記空気流入路に導入することを特徴とする請求項1記載の送風ファン装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれか1項に記載の送風ファン装置を具備し、その送風ファン装置を用いて放熱体の放熱を行うことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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