説明

送風式薬剤放散装置

【課題】使用状態を表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易いようにした送風式薬剤放散装置とする。
【解決手段】本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで薬剤を含む空気を放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、この本体10の外周に設けられ、その本体10の外周に沿った環状の室20を有する筒状体2を備え、この筒状体2に放出口14と連通した入口21と出口22を形成すると共に、環状の室20内に浮遊物体23を設け、前記送風機11を駆動することで薬剤を含む空気が環状の室20に流通して浮遊物体23が浮遊し、それを人が目視確認することで使用状態であることを表示できるようにすることで、使用状態を表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住空間において、その空間の芳香、消臭、害虫防除などの目的で使用される送風式薬剤放散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された送風式の薬剤放散器が知られている。
この薬剤放散器は、本体内に送風機と揮散性の薬剤を設け、その送風機を駆動することで本体の吸込口から空気を吸い込み、その空気を薬剤に触れることで薬剤を含む空気とし、その薬剤を含む空気を本体の放出口から大気に放散するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−102361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の送風式の薬剤放散器は、本体の放出口から薬剤を含む空気を大気に放出するものであるが、その薬剤を含む空気が放出口から大気に放出されているのかどうか、などの使用状態を、その薬剤放散器の近くの人が分からない。
このために、本体にランプを取付け、送風機を駆動することでランプが点灯するようにすることで、使用状態を薬剤放散器の近くの人が分かるようにした送風式の薬剤放散器が提案されている。
しかし、ランプの点灯では、空気の流れなどの動く現象ではないので、実際に薬剤を含む空気が大気に放出されている実感が湧かないから、使用状態であることを認識しづらい。
【0005】
また、従来の送風式の薬剤放散器は、持ち運び易さなどの面から電源として乾電池を用いているので、前述のようにランプを点灯することで、乾電池の寿命がそれだけ短くなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、使用状態であることを表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易い送風式薬剤放散装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外周面に沿った環状の室20を有し、この室20は入口21で前記放出口14に連通し、かつ出口22で大気に開口して薬剤を含む空気が流通するようにし、
前記環状の室20内に浮遊物体23を、薬剤を含む空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、環状の室20内における入口21と出口22との間に、空気が流通する収容室24を形成し、この収容室24内にのみ浮遊物体23を設けた送風式薬剤放散装置である。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、環状の室20内における入口21と出口22との間に、空気が流通し、かつ浮遊物体23が設けられた容器27を設けた送風式薬剤放散装置である。
【0010】
第4の発明は、本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外面に設けた室50を有し、この室50は入口21で前記放出口14に連通し、かつ出口22で大気に開口して薬剤を含む空気が流通するようにし、
前記室50内に浮遊物体23を、薬剤を含む空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置である。
【0011】
第5の発明は、本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外周面に沿った環状の室20を有し、
前記環状の室20を、第1室20aと第2室20bに区画し、その第1室20aに入口21と出口22を形成して薬剤を含む空気が流通するようにし、
前記第2室20b内に浮遊物体23を設けると共に、その第2室20b内に、送風機11を駆動することで薬剤を含まない空気が流通し、その空気によって浮遊物体23が浮遊するようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置である。
【0012】
第6の発明は、本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外周面に沿った環状の室20を有し、
前記本体10は、送風機11を駆動することで薬剤を含まない空気が流通する室40を有し、
この室40内に浮遊物体23を、薬剤を含まない空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにし、
前記環状の室20は入口21で前記放出口14に連通し、かつ出口22で大気に開口して薬剤を含む空気が流通するようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置である。
【0013】
第7の発明は、本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1を有し、
前記本体10は、送風機11を駆動することで薬剤を含まない空気が流通する室40を有し、
この室40内に浮遊物体23を、薬剤を含まない空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置である。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、送風機11を駆動することで薬剤を含む空気を大気に放出すると、その薬剤を含む空気の流れによって浮遊物体23が浮遊し、そのことを人が目視確認できる。
したがって、薬剤を含む空気の流れを利用して使用状態であることを表示できるので、使用状態であることを表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易い。
【0015】
また、薬剤を含む空気は環状の室20を流れて出口22から大気に放出されると共に、その出口22は送風機11とは関係なしに任意の位置に形成できるので、薬剤を含む空気を任意の位置から大気に放出できる。
【0016】
第2の発明によれば、環状の室20における収容室24以外の部分に薬剤を設けることができるので、全体を大きくせずに薬剤を多量に設けることが可能である。
【0017】
第3の発明によれば、環状の室20における容器27以外の部分に薬剤を設けることができるので、全体を大きくせずに薬剤を多量に設けることが可能である。
【0018】
第4の発明によれば、送風機11を駆動することで薬剤を含む空気を大気に放出すると、その薬剤を含む空気の流れによって室50で浮遊物体23が浮遊し、そのことを人が目視確認できる。
したがって、薬剤を含む空気の流れを利用して使用状態であることを表示できるので、使用状態であることを表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易い。
【0019】
第5の発明によれば、送風機11を駆動することで薬剤を含む空気が第1室20aを流通して大気に放出すると共に、その送風機11が吸い込む空気が第2室20bを流通し、その流れによって浮遊物体23が浮遊し、そのことを人が目視確認できる。
したがって、送風機11による空気の流れを利用して使用状態であることを表示できるので、使用状態であることを表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易い。
しかも、薬剤を含まない空気で浮遊物体23を浮遊するので、その浮遊物体23に薬剤が付着することがなく、薬剤が無駄にならない。
【0020】
また、薬剤を含む空気は環状の室20の第1室20aを流れて出口22から大気に放出されると共に、その出口22は送風機11とは関係なしに任意の位置に形成できるので、薬剤を含む空気を任意の位置から大気に放出できる。
【0021】
第6の発明によれば、送風機11を駆動することで薬剤を含む空気を大気に放出すると、その送風機11が吸い込む空気が室40内を流通し、その流れによって浮遊物体23が浮遊し、そのことを人が目視確認できる。
したがって、送風機11による空気の流れを利用して使用状態であることを表示できるので、使用状態であることを表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易い。
しかも、薬剤を含まない空気で浮遊物体23を浮遊するので、その浮遊物体23に薬剤が付着することがなく、薬剤が無駄にならない。
【0022】
また、薬剤を含む空気は環状の室20の第1室20aを流れて出口22から大気に放出されると共に、その出口22は送風機11とは関係なしに任意の位置に形成できるので、薬剤を含む空気を任意の位置から大気に放出できる。
【0023】
第7の発明によれば、送風機11を駆動することで薬剤を含む空気を大気に放出すると、その送風機11が吸い込む空気が室40内を流通し、その流れによって浮遊物体23が浮遊し、そのことを人が目視確認できる。
したがって、送風機11による空気の流れを利用して使用状態であることを表示できるので、使用状態であることを表示するために電源を必要としないと共に、使用状態であることを認識し易い。
しかも、薬剤を含まない空気で浮遊物体23を浮遊するので、その浮遊物体23に薬剤が付着することがなく、薬剤が無駄にならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1、図2、図3に示すように、送風式の薬剤放散器1と、この薬剤放散器1の周囲に設けた筒状体2で送風式薬剤放散装置としてある。
前記送風式の薬剤放散器1は、本体10と、この本体10内に設けた送風機11、薬剤12を備えている。
そして、送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気とし、その薬剤を含む空気を本体10の放出口14から外部に放出する。
【0025】
前記筒状体2は、前記本体10の外周面を覆うように取付けられ、その本体10の外周面に沿った環状の室20を有している。
この環状の室20は入口21で前記放出口14と連通し、かつ出口22で大気に開口し、前記薬剤を含む空気が入口21から環状の室20に流入し、その環状の室20内を流れて出口22から大気に放出される。
【0026】
前記環状の室20内には浮遊物体23が収容してある。
この浮遊物体23は、その環状の室20内を流れる薬剤を含む空気によって環状の室20内で浮遊する。
前記筒状体2は、前述の環状の室20内で浮遊している浮遊物体23を、その筒状体2の近くの人が目視確認できるようにしてある。
【0027】
このようであるから、薬剤を含む空気を大気に放出している使用状態の時には、環状の室20内で浮遊物体23が浮遊し、その浮遊している浮遊物体23を目視確認できる。つまり、浮遊物体23が浮遊している状態が使用状態を表示することになる。
したがって、薬剤を含む空気の流れを利用して使用状態であることを表示するので、電源を必要とせずに使用状態であることを表示できると共に、使用状態であることを認識し易い。
【0028】
また、薬剤を含む空気は本体10の放出口14、筒状体2の入口21から環状の室20内に流入し、その環状の室20内を流通して出口22から大気に放出されるので、その出口22を放出口14の位置(送風機11の位置)に関係なく筒状体2の上下方向、周方向の任意の位置に形成できる。
したがって、薬剤を含む空気を任意の位置から大気に放出できる。
【0029】
つまり、前述した従来の薬剤放散器の本体の放出口は、送風機と対向した位置に形成する必要があり、薬剤を含む空気を大気に放出する位置は送風機と対向した位置に限られ、任意の位置から薬剤を含む空気を大気に放出できない。
これに対して前述のように出口22から大気に放出することで、薬剤を含む空気を任意の位置から大気に放出できる。
【0030】
次に、各部材の具体形状を説明する。
前記本体10は周面板10aと背面板10bと中間隔板10cで送風機収納室10dと薬剤収納室10eを有している。その薬剤収納室10eは本体10の正面に開口していると共に、送風機収納室10dと薬剤収納室10eは開口連通している。
前記周面板10aに放出口14が形成され、この放出口14は送風機収納室10dに開口連通して放出口14は送風機11と対向した位置となっている。
前記背面板10bには電池収納室10fが形成され、電池15が収納してある。この電池収納室10fは本体10の外面に設けても良い。
【0031】
前記送風機11はモータ11aでファン11bを回転するもので、そのモータ11aは前記電池15を電源として駆動される。
前記薬剤12は、通気性を有する容器12a内に、揮散性の薬剤を含浸する薬剤含浸プレート12bを設け、通気性を有するプレート12cで保持したものである。
この容器12aを薬剤収納室10e内に挿入し、押さえリング16で抜けないように保持することで、薬剤12を薬剤収納室10e内に挿入、抜き出し自在に設けてある。
【0032】
前記筒状体2は内側周面板2a、外側周面板2b、背面板2c、正面板2dで環状の室20を有する形状である。
この内側周面板2aに入口21が形成され、外側周面板2bに出口22が形成してある。
そして、筒状体2は本体10に、その内側周面板2aと周面板10aが嵌合するようにして取付けられ、その入口21が放出口14と連通する。
前記筒状体2の各板2a,2b,2c,2dを透明材料として環状の室20内で浮遊している浮遊物体23を目視できるようにしてある。なお、筒状体2の外側周面板2bのみを透明材料にしても良い。
【0033】
また、筒状体2は外側周面板2b、背面板2c、正面板2dで内側周面板2aのない形状とし、その背面板2c、正面板2dの内周面を本体10の周面板10aに嵌合して環状の室20を形成するようにしても良いし、その筒状体2を本体10の周面板10aに一体として設けて環状の室20を形成しても良い。
すなわち、本体10の外周面に沿って環状の室20を形成すれば良い。
【0034】
前記浮遊物体23は、紙片、布片、木片、樹脂片などの軽いもので、空気の流れで浮遊するようにしてある。
なお、浮遊物体23が環状の室20内で浮遊するとは、図3に示すように環状の室20内で浮いている状態及び、長い紙片の一端部を環状の室20の底部に固着して空気の流れで波打ち状に動く状態などである。
【0035】
この実施の形態では、図3に仮想線で示すようにテーブルや玄関の棚などの居住空間の横面aに載置して使用される。例えば、筒状体2の外側周面板2bを横面aに載置して使用される。
そして、使用状態においては本体10の背面側が下側で正面側が上側となり、送風機11が下で薬剤12が上となって、放出口14は本体10の下部寄りに設けてある。
前記筒状体2の入口21が下部寄りで出口22が上部寄りで、薬剤を含む空気は環状の室20内で下から上に向けて流通するので、浮遊物体23は環状の室20内でスムーズに浮遊する。
【0036】
これに限ることはなく、壁やドアなどの居住空間の縦面に取付けて使用するようにしても良い。
例えば、筒状体2にフックを設け、このフックを縦面に引掛けて取付けて使用する。
この使用状態においては本体10の背面側が縦面側で、正面側が縦面と反対側となり、筒状体2の入口21が縦面側で、出口22が縦面と反対側となるから、環状の室20内に薬剤を含む空気が縦面側から縦面と離れる方向に向けて横向きに流れ、浮遊物体23も横向きに流れながら浮遊する。
それ以外に、筒状体2に吊るし紐を設けても良いし、又は筒状体2の正面に位置する部分を本体10から離隔させて隙間を有する形状とし、その隙間を縦面に取付けたフックに引掛けて使用するようにしても良い。
【0037】
前述の実施の形態では環状の室20の全体に浮遊物体23を設けたが、環状の室20の一部分にのみ浮遊物体23を設けるようにしても良い。
図4と図5に示すように環状の室20内における入口21と出口22との間に収容室24を形成し、この収容室24に環状の室20内の空気が流通するようにすると共に、その収容室24内に浮遊物体23を設け、その浮遊物体23を人が目視確認できるようにする。
例えば、筒状体2の環状の室20内の周方向の一部分に一対の横片25を内側周面板2a、外側周面板2bに亘って一体的に設けると共に、その一対の横片25間に亘って一対の縦片26を一体的に設けて収納室24とし、その横片25、縦片26に孔を形成して収納室24内に空気が流通するようにする。
なお、筒状体2の正面板2dと1つの横板25との間に収納室24を形成して、出口22まで収納室24としても良い。
また、前述の収納室24の数は1つでも、複数でも良い。
【0038】
また、図6、図7に示すように環状の室20内に空気が流通する容器27を設け、その容器27内に浮遊物体23を設けて収容室24とする。
例えば、筒状体2の外側周面板2bの周方向の一部分に開口28を形成し、この開口28から容器27を環状の室20内に挿通して容器27内に環状の室20内の空気が流通するようにすると共に、開口部28を容器27で閉塞する。
このようにすれば、容器27のみを透明とすれば良いから、コストを安くできる。
この容器27の数は1つでも複数でも良い。
また、容器27の形状として、筒状体2の正面板2dに開口部を設け、筒状体2の内部に嵌まる大きさの筒状の容器形状とし開口部に挿通する、又は筒状体2の一部を縦方向に連続して切り取った筒状の容器形状とし、切り取った開口部分に嵌め込むようにしても良い。
【0039】
前述のように、環状の室20に収容室24を形成することで、その環状の室20の収納室24以外の部分に薬剤を設けることができる。
例えば、図5、図7における環状の室20の下部と収容室24との間に薬剤を設ける。
このようにすることで、環状の室20内に設けた薬剤の量だけ、多量に薬剤を有するものにできる。
【0040】
前述の図4〜図7に示す実施の形態において、浮遊物体23を設けた収容室24、容器27を入口21の周方向に同じ位置とし、その入口21を本体10の周面板10aの放出口14と連通する形態を示したが、これに限定されず、薬剤を含む空気を環状の室20及び収容室24、容器27の内部に流通させれば浮遊物体23が動作することから、浮遊物体23を設けた収容室24、容器27と入口21を周方向に位置をずらし、その入口21を放出口14と連通しても良い。
また、浮遊物体23を設けた環状の室20は勿論であるが、収容室24、容器27についてもその数に関係なく、本体10の外周面(周面板10a)の全周に放出口14、又は複数箇所に放出口14、又は1箇所に放出口14、また環状の室20(内側周面板2a)の全周に入口21、又は複数箇所に入口21、又は1箇所に入口21を設けることができる。
【0041】
前述の各実施の形態では、筒状体2による環状の室20の径方向の寸法を下部から上部まで同一としたが、下部の径方向の寸法を小さく上部の径方向の寸法を大きくしても良い。
例えば、図示は省略するが図3における筒状体2の外側周面板2bを漏斗形状として内側周面板2aとの間の間隔を、下部が狭く、上部に向かうにつれて順次広くなるようにする。
【0042】
また、前述の各実施の形態では筒状体2の高さ(縦方向の寸法)を本体10の高さ(縦方向の寸法)よりも大きくして筒状体2の下部を横面aに載置するようにしたが、筒状体2の高さを本体10の高さよりも小さくして本体10の放出口14部分に嵌合して取付け、本体10を横面aに載置するようにしても良い。
この場合、環状の室20の縦断面形状は、矩形状、半円形状など任意である。
また、図示は省略するが、筒状体2の入口21部分(内側周板2a)を網体としても良い。
【0043】
前述の各実施の形態においては本体10の外周面に沿った環状の室20に浮遊物体23を設けたが、本体10の外面の一部分に室を設け、この室に薬剤を含む空気が流通するようにすると共に、浮遊物体23を設けるようにしても良い。
例えば、図8、図9に示すように室50を有する複数の収納体51を複数の連結用部材52でリング形状に連結し、その複数の収納体51と複数の連結用部材52を本体10の外面(周面板10a)に嵌合して取付ける。
前記収納体51の内面51aに入口21を形成し、外面51bに出口22を形成して薬剤を含む空気が室50内に流通するようにする。
前記室50に浮遊物体23を設ける。
この場合には本体10の外面における室50以外の部分に電池収納室10fを設けることができる。
【0044】
また、図示は省略するが前述の室50を形成する収納体51を本体10の外面(周面板10a)に一体的に設けても良い。
【0045】
前述した室50の数は1つでも良いし、複数でも良い。
【0046】
前述の各実施の形態においては、送風機11の吐出側において浮遊物体23を、薬剤を含む空気の流れで浮遊させたが、これに限ることはなく、送風機11の吸込側において浮遊物体23を、吸い込み空気の流れで浮遊させるようにしても良い。
例えば、図10、図11に示すように、筒状体2の環状の室20を第1室20aと第2室20bに区画し、その第1室20aに前記入口21と出口22を形成することで、薬剤を含む空気が第1室20aを流通して出口22から大気に放出されるようにする。
この場合にも筒状体2を本体10の周面板10aに一体的に設けても良い。
【0047】
前記第2室20bに流入口30と流出口31を形成し、その流入口30を大気に開口連通すると共に、流出口31を本体10の吸気口32に連通する。
この吸気口32は薬剤12を通らずに送風機11の吸込側11cに連通している。
これによって、送風機11を駆動することで、図11に矢印で示すように流入口30から空気が、第2室20b、流出口31、吸気口32、吸込側11cを通って送風機収納室10dに流入するので、前述の第2室20bに下から上に向けて薬剤を含まない空気が流通する。
したがって、前記第2室20bに浮遊物体23を設けることで、その浮遊物体23が第2室20bで浮遊する。
【0048】
図10と図11においては、図3、図5、図7に示す本体10を上下反転して背面板10bが正面(上面)となると共に、薬剤12が背面側(下面側)となるようにしてある。
そして、本体10の周面板10aの下端面に切欠部を形成し、その切欠部17から吸込口13に空気が流入するようにしてある。
前記第1室20aが上で第2室20bが下である。流入口30が下で流出口31が下であり、前述のように第2室20b内に下から上に空気が流通する。
【0049】
このようにすれば、送風機11の吸い込み空気、つまり薬剤を含まない空気によって浮遊物体23が浮遊するので、浮遊物体23に薬剤が付着することがなく、薬剤が無駄にならない。
【0050】
また、浮遊物体23が浮遊する室を本体10に一体的に設け、筒状体2の環状の室20には薬剤を含む空気が流通するようにしても良い。
例えば、図12、図13に示すように、本体10の下部寄りの外周部分に室40を形成し、この室40を流入口41で大気、例えば吸込口13における薬剤12よりも外側に開口連通すると共に、前記室40を流出口42で薬剤12を通さずに送風機11の吸込側11cに適用する。
これによって、送風機11を駆動することで、空気が流入口41、室40、流出口42を経て送風機11の吸込側11cに流れる。
前記室40に浮遊物体23を設け、送風機21を駆動することで室40内に空気が流通して浮遊物体23が浮遊するようにする。
そして、室40で浮遊している浮遊物体23を、前述の実施の形態と同様に目視確認できるようにする。
【0051】
前記本体10の上部寄りの外周面に筒状体2を嵌合して取付け、その入口21を本体10の放出口14に連通する。
これによって、送風機11を駆動することで、切欠部17、吸込口13、薬剤12、吸込側11cに空気が流れ、薬剤を含む空気が放出口14、入口21、環状の室20、出口22より大気に放出される。
なお、図12には筒状体2が図示していない。
【0052】
前述のように薬剤を含まない空気で浮遊物体23を浮遊するようにした場合には、薬剤を含む空気を放出口14から直接大気に放出するようにしても良い。
例えば、図14に示すように本体10の放出口14を直接大気に開口して、薬剤を含む空気が放出口14から直接大気に放出するようにする。
【0053】
また、このようにした場合には、薬剤12を送風機11の吐出側に設けることで、前述の室50を吸込口13と連通して室50に多量の空気が流通するようにできる。
【0054】
前述した各実施の形態における筒状体2の形状としては、前述の実施の形態で示した円形の他に、正方形、長方形、楕円形、菱形、多角形などでも良い。
また、薬剤放散器1の形状も前述の実施の形態で示した円形に限定されない。
また、薬剤放散器1の周囲に設けた筒状体2の形状として、薬剤放散器1(本体10)の放出口14に連通する筒状体2(環状の室20)の入口21部分を除き離間した形態にすることもできる。
【0055】
本発明における薬剤12としては、前述のように揮散性の薬剤を含浸した薬剤含浸プレート12bを通気性を有する容器12aと、通気性を有するプレート12cで保持したものに限定されず、薬剤含浸粒剤を収納した通気性容器であったり、薬剤含浸ハニカム構造体を支持板で保持したものであったり、など公知のものを使用できる。
また、図示は省略しているが、本体10に薬剤収納室10eを有しない薬剤放散器において、送風機11のファン11bに前述の薬剤12を固着したものを使用する、又は揮散性薬剤を含有したファンを使用するようにしても良い。
【0056】
本発明において使用される薬剤としては、芳香剤、消臭剤、殺菌剤、殺ダニ剤、害虫あるいは害獣忌避剤、殺虫剤または害虫の成長制御剤、吸血行動阻止剤などで、揮散性のものが用いられる。
そして上記の薬剤で、殺虫を目的として使用する場合、従来より用いられている各種揮散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等が挙げることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられる。
さらに、微量で効力を発揮する高活性のメトフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリンが薬剤含浸体を薄く、また小さくできることからより好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す正面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を示す正面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態を示す正面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態を示す断面図である。
【図12】本発明の第6の実施の形態を示す正面図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態を示す断面図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1…送風式の薬剤放散器、2…筒状体、10…本体、11…送風機、12…薬剤、13…吸込口、14…放出口、20…環状の室、20a…第1室、20b…第2室、21…入口、22…出口、23…浮遊物体、24…収容室、27…容器、40…室、50…室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外周面に沿った環状の室20を有し、
この室20は入口21で前記放出口14に連通し、かつ出口22で大気に開口して薬剤を含む空気が流通するようにし、
前記環状の室20内に浮遊物体23を、薬剤を含む空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置。
【請求項2】
環状の室20内における入口21と出口22との間に、空気が流通する収容室24を形成し、この収容室24内にのみ浮遊物体23を設けた請求項1記載の送風式薬剤放散装置。
【請求項3】
環状の室20内における入口21と出口22との間に、空気が流通し、かつ浮遊物体23が設けられた容器27を設けた請求項1記載の送風式薬剤放散装置。
【請求項4】
本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外面に設けた室50を有し、
この室50は入口21で前記放出口14に連通し、かつ出口22で大気に開口して薬剤を含む空気が流通するようにし、
前記室50内に浮遊物体23を、薬剤を含む空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置。
【請求項5】
本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外周面に沿った環状の室20を有し、
前記環状の室20を、第1室20aと第2室20bに区画し、その第1室20aに入口21と出口22を形成して薬剤を含む空気が流通するようにし、
前記第2室20b内に浮遊物体23を設けると共に、その第2室20b内に、送風機11を駆動することで薬剤を含まない空気が流通し、その空気によって浮遊物体23が浮遊するようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置。
【請求項6】
本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1と、
前記本体10の外周面に沿った環状の室20を有し、
前記本体10は、送風機11を駆動することで薬剤を含まない空気が流通する室40を有し、
この室40内に浮遊物体23を、薬剤を含まない空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにし、
前記環状の室20は入口21で前記放出口14に連通し、かつ出口22で大気に開口して薬剤を含む空気が流通するようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置。
【請求項7】
本体10に送風機11と薬剤12を設け、その送風機11を駆動することで本体10の吸込口13から空気を吸い込み、その空気を薬剤12に触れて薬剤を含む空気として本体10の放出口14から放出する送風式の薬剤放散器1を有し、
前記本体10は、送風機11を駆動することで薬剤を含まない空気が流通する室40を有し、
この室40内に浮遊物体23を、薬剤を含まない空気が流通することで浮遊するように設け、この浮遊している浮遊物体23を目視確認できるようにしたことを特徴とする送風式薬剤放散装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−312629(P2007−312629A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143597(P2006−143597)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】