説明

送風装置及び画像形成装置

【課題】送風機からの空気を取り入れる入口と、その空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物の長手方向の部分にその空気を当該長手方向と直交する方向に沿って流すように出す出口との開口形状が異なる送風管を備えた送風装置として、装置の複雑化や大型化を招くことなく、その送風管の出口から空気を長尺な対象構造物の長手方向及び短手方向に対応する両方向での風速のむらが低減された状態で出すことができる送風装置等を提供する。
【解決手段】送風装置は、送風機と、上記入口と出口との間をつないで空気を流す通路空間が形成された本体部を有する送風管と、送風管の本体部の通路空間の空気を流す方向における異なる部位に設けられ、空気の流れを抑制する複数の抑制部とを備え、抑制部のうち通路空間の空気を流す方向の最下流の部位に設ける最下流の抑制部が、その最下流の部位の通路空間を複数の通気部が点在する通気性部材で塞いだ状態に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送風装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現像剤で構成される画像を記録用紙に形成する画像形成装置においては、例えば、感光体等の潜像保持体を帯電させる工程又は除電する工程や、記録用紙に未定着像を転写させる工程などにおいてコロナ放電を行うコロナ放電器を使用するものがある。
【0003】
また、コロナ放電器では、放電ワイヤやグリッド電極等の構成部品に紙粉、放電生成物等の不要物が付着することを未然に防ぐため、その構成部品にむけて空気を吹きつける送風装置が併設されることがある。この場合の送風装置は、一般に、空気を送る送風機と、その送風機から送られる空気をコロナ放電器等の対象構造物まで導いて送り出すダクト(送風管)とで構成されている。
【0004】
そして、従来においては、送風装置等について、空気を放電ワイヤ等の構成部品の長手方向に対して均一に吹きつけることを可能にするための改良等が各種行われている。特に、このような送風装置等としては、ダクトの空気を流す通路空間の形状を特殊な形状で形成する構成や、ダクトの通路空間内に空気の流れる方向を調整する整流板などを設置する構成を採用するのではなく、以下に例示するような別の構成を採用する送風装置等が提案されている。
【0005】
送風ファンの空気をコロナ放電装置に導くためのエアダクトとして、そのエアダクト内にコロナ放電装置(のシールドケース)の長手方向に沿う隙間が形成される仕切り壁を立設し、その仕切り壁の手前側で、送風ファンから送られる空気の流れ(空気流)の圧力を一時的に高めるようにしたエアダクトを採用する送風装置やコロナ放電装置が知られている(特許文献1)。
【0006】
特許文献1には、上記送風装置やコロナ放電装置によれば、ダクトを流れる空気流が仕切り壁を通過するときにシールドケースの長手方向に沿って均一化され、一様な流れとなってシールドケース内に吹き込まれるようになることが示されている。また、特許文献1には、その仕切り壁がエアダクト内の流路を塞ぐように設けるエアフィルターで構成される場合もあることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−198128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、送風機から送られる空気を入口から取り入れ、その空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物の長手方向の部分に対してその空気を当該長手方向と直交する方向に沿って流すように出口から出す送風管を備え、その送風管の入口と出口とが異なる開口形状で形成されている送風装置として、装置の複雑化や大型化を招くことなく、その送風管の出口から空気を長尺な対象構造物の長手方向及び長手方向と直交する短手方向に対応する両方向での風速のむらが低減された状態で出すことができる送風装置を提供するものである。また、この発明は、その送風装置を用いて長尺な対象構造物に対する空気の長手方向及び短手方向での風速むらに起因した対象構造物の性能劣化がなく、かかる性能劣化に影響した画質のむらが発生することを防止できる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の送風装置(A1)は、
空気を送る送風機と、
前記送風機から送られる空気を取り入れる入口と、その入口から取り入れた空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物の長手方向の部分と向き合う状態で配置されて当該空気を当該長手方向と直交する方向に沿って流れるように出す出口と、その入口と出口の間をつないで空気を流すための通路空間が形成された本体部とを有し、前記出口が前記対象構造物の長手方向の部分と平行する長尺な開口形状で形成されており、前記入口と前記出口とが異なる開口形状で形成されている送風管と、
前記送風管の本体部の通路空間の空気を流す方向における異なる部位に設けられ、空気の流れを抑制する複数の抑制部とを備え、
前記抑制部のうち前記通路空間の空気を流す方向の最下流の部位に設ける最下流の抑制部が、その最下流の部位における通路空間を複数の通気部が点在する通気性部材で塞いだ状態になるよう形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明の送風装置(A2)は、上記発明A1の送風装置において、前記最下流の抑制部が、前記送風管の出口を前記通気性部材により塞いだ状態で形成されているものである。
【0011】
この発明の送風装置(A3)は、上記発明A1又はA2の送風装置において、前記抑制部のうち前記最下流の抑制部よりも空気を流す方向の上流側に設けられる1つの抑制部又は複数の抑制部の少なくとも1つの抑制部が、前記通路空間に前記出口の開口形状の長手方向と平行する方向に延びる形状の隙間を有する形態で構成されているものである。
【0012】
この発明の送風装置(A4)は、上記発明A3の送風装置において、前記送風管の本体部が、空気を流す方向が曲げられた後の曲げ通路部を有し、前記曲げ通路部の通路空間のうち空気を流す方向の上流側になる部位前記隙間を有する形態の抑制部を設けているものである。
【0013】
また、この発明の画像形成装置(B1)は、空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物と、前記対象構造物の長手方向の部分に向けて空気を吹きつける送風装置とを備え、
前記送風装置が、上記発明A1からA4のいずれかの送風装置で構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
この発明の画像形成装置(B2)は、上記発明B1の画像形成装置において、前記対象構造物がコロナ放電器であるものである。
【発明の効果】
【0015】
上記発明A1の送風装置によれば、送風機から送られる空気を入口から取り入れ、その空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物の長手方向の部分に対してその空気を当該長手方向と直交する方向に沿って流すように出口から出す送風管を備え、その送風管の入口と出口とが異なる開口形状で形成されている送風装置として、その発明の構成を有しない場合に比べて、装置の複雑化や大型化を招くことなく、空気を送風管の出口から長尺な対象構造物の長手方向及び長手方向と直交する短手方向に対応する両方向での風速のむらが低減された状態で出すことができる。
【0016】
上記発明A2の送風装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、送風管の出口から出る空気をその出口を塞ぐ通気性部材の複数の点在する通気部だけを通過させて拡散させることが可能となり、上記発明A1による効果を確実に得ることができる。
【0017】
上記発明A3の送風装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、隙間を有する形態の抑制部を通過した後の空気の流れが均一化されるようになり、上記発明A1又はA2による効果をより確実に得ることができる。
【0018】
上記発明A4の送風装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、送風管に曲げ通路部が存在するにもかかわらず、その曲げ通路部において隙間を有する形態の抑制部を通過した後の空気の流れが均一化されるようになり、上記発明A3による効果を得ることができる。
【0019】
上記発明B1の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、送風装置の長尺な対象構造物に対する空気の長手方向及び短手方向での風速むらに起因した対象構造物の性能劣化がなく、かかる性能劣化に影響した画質のむらが発生することを防止できる。
【0020】
上記発明B2の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、送風装置のコロナ放電器に対する空気の長手方向及び短手方向での風速むらに起因したコロナ放電器の放電性能の劣化がなく、かかる放電性能の劣化に影響した画質のむらが発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1等に係る送風装置を用いた画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置が装備するコロナ放電器からなる帯電装置を示す概略斜視図である。
【図3】図2の帯電装置に適用する送風装置の概要を示す概略斜視図である。
【図4】図3の送風装置(送風ダクト)のQ−Q線に沿う断面図である。
【図5】図3の送風装置を上方から見たときの状態を示す概略図である。
【図6】図3の送風装置を下方(出口)の方から見たときの状態を示す図である。
【図7】図3の送風装置の動作の状態などを示す説明図である。
【図8】図3の送風装置における送風ダクトの出口での風速状態を測定した評価試験の結果を示すグラフ図である。
【図9】実施の形態2に係る送風装置(送風ダクト)を示す説明図である。
【図10】図9の送風装置の動作の状態などを示す説明図である。
【図11】図9の送風装置における送風ダクトの出口での風速状態を測定した評価試験の結果を示すグラフ図である。
【図12】送風ダクトの種々の形態例を示す上面説明図である。
【図13】送風装置(送風ダクト)の比較例を示す断面図である。
【図14】図13の比較例である送風ダクトの出口での風速状態を測定した評価試験の結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を実施するための形態(単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0023】
[実施の形態1]
図1から図3は、実施の形態1に係る送風装置を用いた画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の概要を示し、図2はその画像形成装置に使用されており、その送風装置により空気を突きつけるべき対象構造物としての帯電装置を示し、図3はその送風装置の概要を示している。
【0024】
画像形成装置1は、図1に示すように、支持フレーム、外装カバー等で構成される筐体10の内部空間に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して被記録材の一例としての用紙9に転写する作像ユニット20と、作像ユニット20に供給する用紙9を収容するとともに搬送する給紙装置30と、作像ユニット20で形成されたトナー像を用紙9に定着する定着装置35を設置している。実施の形態1では、作像ユニット20として1つのみで構成されるものを例示しているが、複数のもので構成される作像ユニットを使用しても差し支えない。
【0025】
上記作像ユニット20は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものであり、矢印Aで示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置4と、帯電後の感光体ドラム21の表面に外部から入力される画像情報(信号)に基づく光(矢付き点線)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置23と、その静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像装置24と、そのトナー像を用紙9に転写する転写装置25と、転写後の感光体ドラム21の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置26とで主に構成されている。
【0026】
このうち帯電装置4としては、コロナ放電器が使用されている。このコロナ放電器からなる帯電装置4は、図2等に示すように、長方形状の天板40aとその天板40aの長手方向Bに沿って延びる長辺部から下方に垂れ下がった状態の側板40b,40cを有した外観形状からなるシールドケース(覆い部材)40と、シールドケース40の長手方向Bにおける両端部(短辺部)にそれぞれ取り付けられる図示しない2つの端部支持体と、この2つの端部支持体の間に、シールドケース40の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bと、シールドケース40の下部開口部に、その下部開口部を覆ってコロナ放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に存在した状態で取り付けられる格子状のグリッド電極(電界調整板)42とを備えている、いわゆるスコロトロン型のコロナ放電器で構成されている。図4等に示す符号40dは、2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bが配置される空間を仕切る隔壁である。
【0027】
また、帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41が、感光体ドラム21の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム21の回転軸の方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態になるよう配置される。また、帯電装置4は、画像形成時になると、図示しない電源装置から放電ワイヤ41(と感光体ドラム21との間)に帯電用の電圧が印加されるようになっている。
【0028】
さらに、帯電装置4は、その使用に伴ってコロナ放電ワイヤ41やグリッド電極42に、用紙9の紙粉、コロナ放電により生成される放電生成物、トナーの外添剤等の物質(不要物)が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら等の帯電不良が発生することがある。このため、帯電装置4には、放電ワイヤ41及びグリッド電極42に不要物が付着することを防止又は抑制するため放電ワイヤ41とグリッド電極42に対して空気を突きつけるための送風装置5が併設されている。また、帯電装置4のシールドケース40の上面40aには、送風装置5からの空気を取り込むための開口部43が形成されている。開口部43は、その開口形状が長方形になるよう形成されている。なお、送風装置5の詳細については後述する。
【0029】
給紙装置30は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙9を積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される用紙9を1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置32とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙9を1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体31は、利用態様に応じて複数装備される。図1における矢付きの一点鎖線は、用紙9が主に搬送されて通過する搬送路を示す。この用紙の搬送路は、複数の用紙搬送ロール対33a,33bや、図示しない搬送ガイド部材等で構成されている。
【0030】
定着装置35は、用紙9が通過する導入口及び排出口が形成された筐体36の内部に、表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体37と、この加熱回転体37の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体38とを備えている。この定着装置35は、その加熱回転体37と加圧回転体38との間に形成される定着処理部にトナー像が転写された後の用紙9を導入して通過させることで定着を行う。
【0031】
この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
【0032】
画像形成装置1では、その制御装置等が画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット20において、回転始動する感光体ドラム21の周面が帯電装置4により所定の極性及び電位に帯電される。このとき、帯電装置4では、コロナ放電ワイヤ41に帯電用の電圧が印加されて放電ワイヤ41と感光体ドラム21の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生させ、これにより感光体ドラム21の周面を所要の電位に帯電させる。この際、感光体ドラム21の帯電電位はグリッド電極42により調整される。
【0033】
続いて、帯電された感光体ドラム21の周面に対して、露光装置23から画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。しかる後、感光体ドラム111に形成された静電潜像が、現像装置24を通過する際に、その現像ロール24aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
【0034】
次いで、感光体ドラム21上に形成されたトナー像は、感光体ドラム21の回転により転写装置25と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置30から搬送路を通して供給される用紙9に対して転写装置25により転写される。この転写後の各感光体ドラム21の周面は、清掃装置26で清掃される。
【0035】
続いて、作像ユニット2においてトナー像が転写された用紙9は、感光体ドラム21から剥離された後に定着装置35に導入されるように搬送され、定着装置35における加熱回転体37と加圧回転体38との間の定着処理部を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が溶融して用紙9に定着される。この定着が終了した後の用紙9は、定着装置35から排出されて筐体10の外部等に形成される図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
【0036】
以上により、1枚の用紙9の片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作の指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0037】
次に、送風装置5について説明する。
【0038】
送風装置5は、図1や図3等に示すように、空気を送る回転ファンを有する送風機50と、その送風機50から送られる空気を取り入れて送風対象の帯電装置4にまで導いて噴出させる送風ダクト51とを備えている。
【0039】
送風機50としては、例えば輻流型の送風ファンが使用され、所要の風量の空気を送るように駆動制御される。また、送風ダクト51は、図3〜図6に示すように、送風機50から送られる空気を取り入れる入口52と、その入口52から取り入れた空気を吹きつけるべき長尺な帯電装置4の長手方向Bの部分(シールドケース40の上面40a)と向き合う状態で配置されてその空気を長手方向Bと直交する方向に沿って流れるように出す出口53と、その入口52と出口53の間をつないで空気を流すための通路空間54aが形成された本体部54とを有した形状のものである。
【0040】
送風ダクト51の本体部54は、一端部が入口52を設けて開口され、他端部が閉鎖されており、全体が帯電装置4の長手方向Bに沿って延びるように形成された角筒形状の導入通路部54Aと、導入通路部54Aの他端部寄りの部位から通路空間の幅を広げた状態でほぼ水平方向(座標軸Xとほぼ平行する方向)にほぼ直角に曲げられて延びるように形成された角筒形状の第1曲げ通路部54Bと、第1曲げ通路部54Bの一端部から通路空間の幅が同じ状態のままで下方に向かう鉛直方向(座標軸Yとほぼ平行する方向)に曲げられて帯電装置4に向けて延びるように形成された第2曲げ通路部54Cとで構成されている。第2曲げ通路部54Cの終端部には、その終端部の通路空間の断面形状よりも少し狭い開口形状からなる出口53が形成されている(ただし長方形状の長手方向の長さはほぼ同じである。)。第1曲げ通路部54B及び第2曲げ通路部54Cの通路空間54aはいずれも、その幅(長手方向Bに沿う寸法)がほぼ同じ寸法に設定されている。
【0041】
送風ダクト51の入口52は、開口形状がほぼ正方形になるよう形成されている。この入口52には、送風機50との間を接続して送風機50からの空気を送風ダクト51の入口52にまで送るための接続ダクト55が取り付けられている(図3)。また、送風ダクト51の出口53は、その開口形状が帯電装置4の長手方向Bの部分と平行する長尺な形状(例えば長方形)になるよう形成されている。このため、送風ダクト51は、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている関係になっている。なお、入口52と出口53が同じ形状である場合も、その開口面積が互いに異なるよう形成されているとき(相似形状であるとき)には、互いに異なる開口形状で形成されている関係に含まれる。
【0042】
ここで、このように入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクト51では、その入口52と出口53の間をつなぐ本体部54に通路空間54aの断面形状が途中で変更される部分が存在する。ちなみに、この送風ダクト51では、導入通路部54Aのほぼ正方形からなる通路空間54aの断面形状が、第1曲げ通路部54Bにおいて(高さがかわらず)水平方向のみに広がった長方形からなる通路空間54aの断面形状に変更されている。換言すれば、導入通路部54Aの通路空間54aの断面形状が、第1曲げ通路部54Bにおいて急激に広くなった通路空間54aの断面形状になっている。
【0043】
また、このような通路空間54aの断面形状が変化する部分が存在する送風ダクト51の場合は、その断面形状が変化する部分において空気の流れに剥離や渦等の乱れが生じ、このため入口52から均一な風速の空気を取り入れても出口53から出る空気はその風速が不均一になってしまう傾向がある。なお、このように出口から出る空気の風速が最終的に不均一になる傾向は、通路空間54aの断面形状の変化の有無にかかわらず、送風ダクト51における空気を流す(進行)方向が変化する場合もほぼ同様に発生する。
【0044】
図12a〜cは、入口52と出口53とが互いに異なる開口形状で形成されている送風ダクトの代表例510A〜510Cを示すものであり、図中にはその各ダクド510における入口52に取り入れる空気の風速と出口53から出る空気の風速の各状態を矢印の長さでそれぞれ示している。図12においては、各送風ダクト510をその上面側から見た状態で示している。また、図中において矢印の長さが同じ場合は風速が同じであることを示し、その長さが異なる場合は風速が異なっていることを示している。さらに、図中の点線は各ダクトの通路空間(を形成する側壁部)を示している。ちなみに、送風ダクト510B、510Cは、その空気を流す方向が途中で変更されているとともに通路空間の断面形状及び断面面積の少なくとも一方が変更されている構成例でもある。この他、図12dに示す送風ダクト510Dは、入口52と出口53とが互いに同じ開口形状(かつ同じ開口面積)で形成されている構成例であり、その通気を流す方向のみが途中で変更されているダクトである。
【0045】
そこで、この送風装置5の送風ダクト51には、図3〜図6等に示すように、本体部54の通路空間54aの空気を流す方向における異なる部位に空気の流れを抑制する2つの抑制部61,62を設けており、しかも、その2つの抑制部のうち通路空間54aの空気を流す方向の最下流の部位(出口53を含む)に設ける最下流の抑制部62が、その最下流の部位における通路空間(出口53の開口を含む)を複数の通気部71を有する通気性部材70で塞いだ状態になるよう形成している。
【0046】
1つの抑制部61は、最下流の抑制部62よりも空気を流す方向の上流側であって第1曲げ通路部54Bの通路空間54aのうち空気を流す方向(符合Eで示す矢印の方向)の上流側になる部位に設けられている。また、この抑制部61は、出口53の開口形状の長手方向(帯電装置4の長手方向Bと同じ方向)と平行する方向に延びる形状の隙間63を有する形態で構成されている。
【0047】
実施の形態1における抑制部61は、第1曲げ通路部54Bの外形を変更せずに、その曲げ通路部54Bの通路空間54a内に板状の仕切り部材64を存在させることで構成されている。具体的には、仕切り部材64は、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aにおける上方側部分を塞ぎ、その部材の下端部64aが通路空間54aの底部に対して所要の間隔Hをあけた状態になるよう配置され、これにより、通路空間54aの下部に隙間63が存在する構造を形成している。仕切り部材64は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものか、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものである。
【0048】
隙間63の高さH,経路長M、及び幅(長手方向の長さ)Wは、導入通路部54Aから第1曲げ通路部54Bに流れ込んだ空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定され、またダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。例えば、隙間63の高さHは、その幅方向において同じ寸法である場合に限らず、上記観点などから一律に又は部分的に変更される寸法に設定することができる。
【0049】
最下流の抑制部62は、複数の通気部71を有する通気性部材70により、第2曲げ通路部54Cの終端部(出口53)における通路空間(開口)を塞いだ状態にすることで形成されている。
【0050】
複数の通気部71はいずれも、図6に示すように、その各開口形状がほぼ円形で直線状に貫通するよう延びる貫通孔である。また、複数の通気部71は、例えば出口53の開口形状の長手方向(B)に沿って等間隔に並べかつその長手方向と直交する短手方向Cにも前記等間隔と同じ間隔で4列存在させるように並べている。これにより、複数の通気孔71は、第2曲げ通路部54Cの終端部の通路空間又は出口53の開口形状の全域に点在して存在するように形成されている。このため、実施の形態1における通気性部材70は、板状の部材に複数の通気部(孔)71が点在するように形成された多孔板になっている。さらに、複数の通気部71は、出口53の開口領域に対してほぼ均一に点在して(ほぼ一定の密度で)存在するように形成されていることが好ましいが、出口53から出る空気がむらになって出ない限りは、わずかな粗密の状態になって存在するように形成されていても構わない。
【0051】
通気性部材70は、ダクト51と同じ材料で一体に成形することで形成したものでも、あるいはダクト51とは別の材料で形成したものでもよい。通気部(孔)71の開口形状、開口寸法、孔長さ、及び孔の存在密度は、第2曲げ通路部54Cから出口53を通して流れ出る空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定され、またダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。
【0052】
以下、この送風装置5の動作について説明する。
【0053】
送風装置5は、画像形成動作時などの駆動設定時期になると、まず送風機50が回転駆動して所要の風量の空気を送り出す。始動した送風機50から送られる空気(E)は、接続ダクト55を通して送風ダクト51の入口52から本体部54の通路空間54a内に取り入れられる。
【0054】
続いて、送風ダクト51に取り入れられた空気(E)は、図5に示すように、導入通路部54Aの通路空間54aを通して第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むよう送られる(図5の矢印E1a,51b等を参照)。第1曲げ通路部54Bに送り込まれる空気(E1)は、第1の抑制部61の隙間63を通過してその進行方向(空気の流れる方向)がほぼ直角の方向に変えられた状態になって(図5の矢印E2aの向きを参照)、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流入するように送られる(図7の矢印E2a,E2bの向き等を参照)。
【0055】
この際、第1の抑制部61の隙間63を通過して第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むときの空気(E2)は、その流れが第1の抑制部61により抑制され(圧力が上昇した状態になり)、その隙間63から均一な状態になって流れ込む。しかも、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込むときの空気(E2)は、抑制部61の隙間63から流れ出るときの向きが出口53の長手方向(B)とほぼ直交する方向に揃えられる。
【0056】
続いて、第1曲げ通路部54Bの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、第1曲げ通路部54Bから下方にむけてほぼ直角の方向に曲げられた状態で連続する第2曲げ通路部54Cの通路空間54aへ移動する。第2曲げ通路部54Cの通路空間54aに流れ込んだ空気(E2)は、導入通路部54Aの通路空間54aや隙間63の空間よりも容積の広い第2曲げ通路部54Cの通路空間54aに流れ込むことにより、その第2曲げ通路部54Cの通路空間54a内で滞留して風速のむらが低減される。
【0057】
最後に、第2曲げ通路部54Cに流れ込んで滞留した空気(E2)は、図7に示すように、その曲げ通路部54Cの終端部又は出口53に設けられた最下流の抑制部62を構成する通気性部材70における複数の通気部(孔)71を通過して出口53から進行方向が変えられた状態で吹き出される(図7の矢印E3の向きや長さ等を参照)。
【0058】
この際、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の開口面積よりも相対的に狭い通気性部材70の複数の通気部71を通過することで流れが抑制された状態になって(このときも圧力が上昇した状態になり)送り出される。また、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の開口領域全体にわたって点在するとともに同じ条件で形成された複数の通気部71を通過することで出口53の開口形状にほぼ近い領域の面に相当するよう均一な状態になって出口53から送り出される。さらに、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の長手方向とほぼ直交する方向に進行方向を変えて送り出される。
【0059】
以上により、通気性部材70の複数の通気部71からそれぞれ出る空気(E3)はいずれも、その進行方向が出口53の長手方向とほぼ直交する方向になって送り出されるとともに、その風速がほぼ揃った状態になる。また、出口53から出る空気(E3)の風速は、出口53の開口形状(長方形)の長手方向(B)においてほぼ揃った状態になることに加え、その短手方向Cにおいてもほぼ揃った状態になる。
【0060】
そして、送風ダクト51の出口53から送り出された空気(E3)は、図7に示すように、帯電装置4のシールドケース40の上面40aに形成された開口部43を通してケース40内に吹き込まれ、そのケース40の内部中央に存在する隔壁40dを境に区分される空間内に配置された2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bとそのケース40の下部開口部に存在するよう取り付けられたグリッド電極42に吹き付けられる。このときコロナ放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42に吹き付けられる空気は、送風ダクト51の出口53の長手方向及び短手方向の両方向においてほぼ揃った風速で出口53から出るため、その2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にもほぼ等しい状態で吹きつけられる。
【0061】
これにより、2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にそれぞれ付着しようとする紙粉、トナーの外添剤、放電生成物などの不要物を遠ざけることができる。この結果、帯電装置4における放電ワイヤ41A,41Bやグリッド電極42に不要物がまばらに付着することが原因で帯電性能にむら等の劣化が発生することが防止され、感光ドラム21の周面をより均一(その軸方向と回転方向Aに沿う周方向との双方に対して均一)に帯電することが可能になる。また、この帯電装置4を備えた作像ユニット20で形成されるトナー像ひいては用紙9に最終的に形成される画像は、帯電むら等の帯電不良に起因した画質不良(濃度むら等)の発生が低減された良好な画像として得られるようになる。
【0062】
図8は、送風装置5の性能特性(送風ダクト51の出口53での風速分布)を調べた評価試験の結果を示す。
【0063】
試験は、送風ダクト51の出口53からの平均風速が約1.0m/秒になる風量の空気を送風機50から導入し、その出口53の長手方向(B)における風速を測定した。測定は、風速計(ケンブリッジアキュセンス社製:F900)を使用し、図7に示すように出口53の感光ドラム21の回転方向A上流側に位置する端部位置P1(pre位置)とその回転方向A下流側に位置する端部位置P2(post位置)との2箇所において風速計を長手方向Bに移動させることで行った。
【0064】
送風ダクト51としては、その全体の形状が図3〜図6に示すようなものであり、その入口52が22mm×23mmのほぼ正方形の開口形状であり、出口53が17.5mm×350mmの長方形の開口形状であるものを使用した。また、抑制部61は、隙間63の高さHが1〜2mmの範囲内で傾斜する寸法で、経路長Mが8mm、幅Wが345mmとなるように構成した。さらに、最下流の抑制部62は、孔径が1mm、長さが3mmの通気孔71を密度が0.42個/mm2(≒42個/cm2)となる条件で設けた多孔部材70を用いて構成した。
【0065】
図8に示すように、送風ダクト51の出口53の長手方向(B)における風速が、ほぼその全域にわたって目標値の平均風速である約1.0m/秒に近い値になった。また、出口53のpre位置P1とpost位置P2での各風速の結果が、出口53の長手方向(B)においてほぼ同じ値になっており、これにより出口53の短手方向Cでの風速もほぼ揃った状態になっていることがわかる。
【0066】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2に係る送風装置を示すものであり、その送風装置(5B)における送風ダクト51Bを示している。
【0067】
この送風装置(5B)は、構成の一部が異なる送風ダクト51Bを使用するように変更した以外は実施の形態1に係る送風装置5と同じ構成になっている。その送風ダクト51Bは、図9に示すように、実施の形態1における第1曲げ通路部54B及び第2曲げ通路部54Cを構成が異なる第1曲げ通路部54D及び第2曲げ通路部54Eに変更するとともに3つめの抑制部65を追加して変更した以外は実施の形態1における送風ダクト51と同じ構成である。これ以降や図面においては、共通する構成要素については同じ符合を付し、また必要な場合以外はその構成要素の説明を省略する。
【0068】
すなわち、送風ダクト51Bの第1曲げ通路部54Dは、通路空間54aの空気を流す方向の下流側になる部分の高さがその下流側になるにつれて次第に低くなる形状にしている点で変更している。また、送風ダクト51Bの第2曲げ通路部54Eは、第1曲げ通路部54Dの空気を流す方向におけるほぼ中間の地点となる下部から、通路空間の幅が同じ状態のままで下方に向かう方向に曲げられて帯電装置4に近づくよう延びた状態で形成している点と、その通路部54Eの終端部に、その終端部の通路空間54aの断面形状とほぼ同じ開口形状(長方形状)からなる出口53を形成している点で変更している。
【0069】
また、3つめの抑制部65は、通路空間54aの空気を流す方向において第1の抑制部61と最下流の抑制部62との間になる部位であり、具体的には、第2曲げ通路部54Eの通路空間54aの空気を流す方向の上流側になる部位に設けられている。また、この抑制部65は、出口53の開口形状の長手方向(B)と平行する方向に延びる形状の隙間66を有する形態で構成されている。
【0070】
実施の形態2における抑制部65は、第2曲げ通路部54Eの外形をしぼるような形状に変更し、その通路部54Eの通路空間54aのほぼ中央部に狭めた状態の隙間(狭小通路)66を存在させる形状に形成することで構成されている。また、この隙間66の高さH,経路長M、及び幅Wは、第1の抑制部61における隙間63の場合とほぼ同様に、第1曲げ通路部54Dから第2曲げ通路部54Eに流れる空気の風速を可能な限り均一化するという観点から選択設定され、またダクト51の寸法(容量)や、ダクト51又は帯電装置4に流すべき空気の単位時間当たりの流量なども考慮して設定される。
【0071】
以下、この送風装置(5B)の動作について説明する。
【0072】
この送風装置では、送風ダクト51に入口52を通して取り入れられた送風機50からの空気(E)は、導入通路部54Aに取り込まれ(図10の矢印E1の向き等を参照)、しかる後、第1曲げ通路部54Dにむけて送り込まれる(図10の矢印E2a,52bの向き等を参照)。この際、第1曲げ通路部54Dに流れ込んだ空気(E2)は、第1の抑制部61における隙間63を通過することにより、実施の形態1における第1曲げ通路部54Bに流れ込んだ空気(E2)の場合とほぼ同様の状態にされる。
【0073】
続いて、第2曲げ通路部54Dに流れ込んだ空気(E2)は、図10に示すように、第2曲げ通路部54Eに設けられた3つめの抑制部65における隙間66を通過してその通路部54Eの通路空間54a内に流れ込むよう送られる(図10の矢印E4の向き等を参照)。
【0074】
この際、抑制部65の隙間66を通過して第2曲げ通路部54Eに流れ込むときの空気(E4)は、その流れが抑制部65により抑制され(圧力が上昇した状態になり)、その隙間66から均一な状態になって流れ込む。しかも、第2曲げ通路部54Eの通路空間54aに流れ込むときの空気(E4)は、抑制部65の隙間66から流れ出るときの向きが出口53の長手方向(B)とほぼ直交する方向に、より確実に揃えられる。また、第2曲げ通路部54Eの通路空間54aに流れ込んだ空気(E4)は、第1曲げ通路部54Dの通路空間54aや隙間66の空間よりも容積の広い第2曲げ通路部54Eの通路空間54aにおいて滞留して風速のむらが更に低減される。
【0075】
最後に、第2曲げ通路部54Eに流れ込んで滞留した空気(E4)は、図10に示すように、第2曲げ通路部54Eの終端部(出口53よりも空気を流す方向の少し上流側の部位)に設けられた最下流の抑制部62を構成する通気性部材70における複数の通気部(孔)71を通過して出口53から吹き出される(図10の矢印E5の向きや長さ等を参照)。
【0076】
この際、出口53から吹き出される空気(E5)は、出口53の開口面積よりも相対的に狭い通気性部材70の複数の通気部71を通過することで流れが抑制された状態になって(このときも圧力が上昇した状態になり)送り出される。また、また、出口53から吹き出される空気(E5)は、出口53の開口領域全体にわたって点在するとともに同じ条件で形成された複数の通気部71を通過することで出口53の開口形状にほぼ近い領域の面の相当するように均一な状態になって出口53から送り出される。さらに、出口53から吹き出される空気(E3)は、出口53の長手方向とほぼ直交する方向に沿って送り出される。
【0077】
以上により、通気性部材70の複数の通気部71からそれぞれ出る空気(E5)はいずれも、その進行方向が出口53の長手方向とほぼ直交する方向になって送り出されるとともに、その風速がほぼ揃った状態になる。また、出口53から出る空気(E3)の風速は、出口53の開口形状(長方形)の長手方向(B)においてほぼ揃った状態になることに加え、その短手方向Cにおいてもほぼ揃った状態になる。
【0078】
そして、送風ダクト51の出口53から送り出された空気(E5)は、図10に示すように、帯電装置4のシールドケース40の上面40aに形成された開口部43を通してケース40内に吹き込まれ、そのケース40の内部に存在する2本のコロナ放電ワイヤ41A,41Bとそのケース40の下部開口部に存在するグリッド電極42に吹き付けられる。このときコロナ放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42に吹き付けられる空気は、実施の形態1の場合とほぼ同様に、送風ダクト51の出口53の長手方向及び短手方向の両方向においてほぼ揃った風速で出口53から出るため、その2本の放電ワイヤ41A,41Bとグリッド電極42にもほぼ等しい状態で吹きつけられる。
【0079】
この結果、送風装置(5B)が併設された帯電装置4では、その放電ワイヤ41A,41Bやグリッド電極42に不要物がまばらに付着することが原因で帯電性能にむら等の劣化が発生することが防止され、感光ドラム21の周面をより均一(その軸方向と回転方向Aに沿う周方向との双方に対して均一)に帯電することが可能になる。また、この帯電装置4を備えた作像ユニット20で形成されるトナー像ひいては用紙9に最終的に形成される画像は、帯電むら等の帯電不良に起因した画質不良(濃度むら等)の発生が低減された良好な画像として得られるようになる。
【0080】
図11は、この送風装置(5B)の性能特性(送風ダクト51Bの出口53での風速分布)を調べた評価試験の結果を示す。試験は、実施の形態1における試験の場合と同様にして行った。
【0081】
送風ダクト51Bとしては、その全体の形状が図9に示すようなものであり、実施の形態1の送風装置5における送風ダクト51と同様に、その入口52が22mm×23mmのほぼ正方形の開口形状であり、出口53が17.5mm×350mmの長方形の開口形状であるものを使用した。また、抑制部61は、隙間63の高さHが1〜2mmの範囲内で傾斜する寸法で、経路長Mが6mm、幅Wが345mmとなるように構成した。また、抑制部65は、隙間66の高さHが1mm、経路長Mが10mm、幅Wが345mmになるよう構成した。さらに、最下流の抑制部62は、実施の形態1における制御部62と同様に、孔径が1mm、長さが3mmの通気孔71を密度が0.42個/mm2(≒42個/cm2)となる条件で設けた多孔部材70を用いて構成した。
【0082】
図11に示すように、送風ダクト51Bの出口53の長手方向(B)における風速が、ほぼその全域にわたって目標値の平均風速である約1.0m/秒に近い値になった。また、出口53のpre位置P1とpost位置P2での各風速の結果が、出口53の長手方向(B)においてほぼ同じ値になっており、これにより出口53の短手方向Cでの風速もほぼ揃った状態になっていることがわかる。なお、本実施の形態の送風装置(5B)では、上記送風ダクト51Bの採用(制御部の増加)により、実施の形態1の送風装置5(の送風ダクト51)に比べて、送風ダクト51に取り込む空気の流量を増減しても、出口53から出る空気の風速をより安定的に均一な状態にすることが可能である。
【0083】
<比較例>
図13は、参考までに採り上げる比較例としての送風ダクト510を示している。
【0084】
比較例の送風ダクト510は、実施の形態1に係る送風装置5の送風ダクト51(図7参照)に対し、その出口53に複数の通気部71を有する通気性部材70を設けないように変更した点のみで相違するものである。すなわち、この送風ダクト510は、図13に示すように、その出口53が、1つの長方形の開口形状からなる開口として形成されている。図13の符合E6は、その出口53から出る空気の状態を模式的に示している。
【0085】
図14は、この比較例の送風装置における送風ダクト510の性能特性(出口53での風速分布)を調べた評価試験の結果を示す。試験は、次の点で異なるものの、それ以外については実施の形態1における試験の場合と同様にして行った。つまり、比較例の送風ダクト510では、その出口53のpre位置P1での風速がほぼゼロに近い状態であったため、風速の測定は、図13に示すように出口53の感光ドラム21の回転方向Aにおける前記pre位置P1と前記post位置P2の中間地点となるcenter位置P3と、そのpost位置P2との2箇所において行った。
【0086】
図14の結果から明らかなように、この送風ダクト510では、その出口53の特にpost位置P2での長手方向(B)での風速が大幅に異なる状態になっており、また、出口53の短手方向Cでの風速も揃っていない状態になることがわかる。出口53のpre位置P1では、前述したとおり風速がほぼゼロに近い状態にあって、空気がほとんど出ていないことが判明した。
【0087】
[他の実施の形態]
送風ダクト51における抑制部としては、実施の形態1では2つの抑制部61,62を設けた場合、実施の形態2では3つの抑制部61,62,65を設けた場合を示したが、4個以上設けても構わない。また、抑制部は、最下流の抑制部も含めて、そのいずれもダクト51の本体部54の通路空間54aにおいてその断面形状が変更される部位や、その通路空間54aにおいて空気を流す方向が変更された後(直後など)の部位に設けることが好ましい。
【0088】
最下流の抑制部62について、実施の形態1,2において複数の通気部(孔)71を出口53の開口領域全体にほぼ均一に点在させるよう形成した通気性部材70を用いて構成した場合を例示したが、その最下流の抑制部62は、例えば、ファルター等に適用される不織布等の多孔質部材(複数の通気部71が不規則な形状の貫通隙間であるもの)に代表される通気性部材70を用いて構成することもできる。
【0089】
また、送風ダクト51としては、その全体の形状が実施の形態1,2で例示した場合に限らず、他の形状のものを適用することができ、例えば、図12に例示したような送風ダクト510(510A〜510C)を適用してもよい。
【0090】
この他、送風装置5(5B)を適用する帯電装置4については、グリッド電極24を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置であってよい。また、帯電装置4は、コロナ放電ワイヤ41として1本使用するものや3本以上使用するものであってもよい。また、送風装置5を適用する対象構造物としては、感光ドラム21等の除電を行うコロナ放電器や、感光ドラム以外の被帯電体を帯電又は除電させるコロナ放電器であってもよい他、コロナ放電器以外の空気の吹きつけが必要であって長尺な構造物であっても構わない。
【0091】
また、画像形成装置1については、送風装置5(5B)を適用する必要がある長尺な対象構造物を装備するものであれば、その画像形成方式等の構成については特に限定されない。必要であれば、現像剤以外の材料で構成される画像を形成する画像形成装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0092】
1 …画像形成装置
4 …帯電装置(長尺な対象構造物、コロナ放電器)
5 …送風装置
41…コロナ放電ワイヤ(長尺な対象構造物の長手方向の部分)
42…グリッド電極(長尺な対象構造物の長手方向の部分)
50…送風機
51,51B…送風ダクト(送風管)
52…入口
53…出口
54…本体部
54a…通路空間
54B,54C,54D,54E…曲げ通路部
61,65…抑制部
62…最下流の抑制部
63,66…隙間
70…通気性部材
71…通気部
B …長手方向
C …短手方向
E …空気(の流れ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を送る送風機と、
前記送風機から送られる空気を取り入れる入口と、その入口から取り入れた空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物の長手方向の部分と向き合う状態で配置されて当該空気を当該長手方向と直交する方向に沿って流れるように出す出口と、その入口と出口の間をつないで空気を流すための通路空間が形成された本体部とを有し、前記出口が前記対象構造物の長手方向の部分と平行する長尺な開口形状で形成されており、前記入口と前記出口とが異なる開口形状で形成されている送風管と、
前記送風管の本体部の通路空間の空気を流す方向における異なる部位に設けられ、空気の流れを抑制する複数の抑制部と
を備え、
前記抑制部のうち前記通路空間の空気を流す方向の最下流の部位に設ける最下流の抑制部が、その最下流の部位における通路空間を複数の通気部が点在する通気性部材で塞いだ状態になるよう形成されていることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記最下流の抑制部が、前記送風管の出口を前記通気性部材により塞いだ状態で形成されている請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記抑制部のうち前記最下流の抑制部よりも空気を流す方向の上流側に設けられる1つの抑制部又は複数の抑制部の少なくとも1つの抑制部が、前記通路空間に前記出口の開口形状の長手方向と平行する方向に延びる形状の隙間を有する形態で構成されている請求項1又は2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記送風管の本体部が、空気を流す方向が曲げられた後の曲げ通路部を有し、
前記曲げ通路部の通路空間のうち空気を流す方向の上流側になる部位に前記隙間を有する形態の抑制部を設けている請求項3に記載の送風装置。
【請求項5】
空気を吹きつけるべき長尺な対象構造物と、
前記対象構造物の長手方向の部分に向けて空気を吹きつける送風装置とを備え、
前記送風装置が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の送風装置で構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記対象構造物は、コロナ放電器である請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−88731(P2013−88731A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231299(P2011−231299)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】