説明

逆火防止装置、及び逆火防止装置に複数の穴を組み込む方法

【課題】通路のギャップのデザインを変更せず、逆火防止装置の巻きを固定すること。
【解決手段】逆火防止装置であって、この逆火防止装置は、ほぼ円形の外周を有するディスクを形成するように共に巻かれている2つの金属ストリップ(8、9)から形成され、この逆火防止装置の第1の金属ストリップ(8)は、滑らかなストリップであり、第2の金属ストリップ(9)は、規定された溝を備えている溝が設けられたストリップであり、これら2つのストリップ(8、9)は、互いに支持しあうことにより、流体を通過させるための複数の規定されたギャップ(11)を形成し、複数の径方向の穴(6)に挿入された固定用ピンにより互いに相対的に位置が保持され、複数の穴(6)は、第2の金属ストリップに形成された溝を変形させることなく放電加工により組み込まれるため、複数のギャップ(11)は、溝により規定されたように複数の穴(6)の領域にも存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほぼ円形の外周を有するディスクを形成するように共に巻かれている2つの金属ストリップから形成された逆火防止装置に複数のピンを固定するための複数の径方向に向いた穴を組みこむ方法に関する。この逆火防止装置の、第1の金属ストリップは、滑らかなストリップであり、第2の金属ストリップは、規定された溝を有する溝が設けられたストリップである。これら2つのストリップは、互いに支持しあうことにより、流体を通過させるための複数の規定されたギャップを形成している。
【0002】
本発明は、また、ほぼ円形の外周を有するディスクを形成するように共に巻かれている2つの金属ストリップから形成された逆火防止装置に関する。この逆火防止装置の第1の金属ストリップは、滑らかなストリップであり、第2の金属ストリップは、規定された溝を有する溝が設けられたストリップである。これら2つのストリップは、互いに支持しあうことにより、流体を通過させるための複数の規定されたギャップを形成し、複数の径方向の穴に挿入された複数の固定用ピンにより互いに対して位置が保持されている。
【背景技術】
【0003】
流体が通過する複数のギャップが、規定された溝、すなわちコルゲーションを備えた溝が設けられたストリップと、両側面にこの溝が設けられたストリップを規定している滑らかなストリップとにより形成されている逆火防止装置が、長い間知られてきた。このような逆火防止装置は、この溝が設けられたストリップと結合されて共にらせん状に巻かれて
いる滑らかなストリップにより製造される。
【0004】
逆火防止用挿入物を製造するために用いられる金属のストリップは、必要な熱的安定性を備えるためだけではなく、攻撃性の媒質(aggressive media)に対して抵抗力を備えるため、即ち腐食しないために、耐熱(high-temperature)高級鋼鉄で形成されなければならない。腐食現象は、規定された流体通過のためのギャップを変更してしまいかねず、この結果、場合によっては、安全性の危険を構成する。
【0005】
逆火防止装置の機械的強度は、特に、複数の接触点での金属ストリップの摩擦係数に依存している。
【0006】
用いられる耐腐食性の素材は、非常に滑らかな、即ち磨かれた表面により見分けられ、従って、この場合問題となっているタイプの逆火防止装置は、特に比較的大きな直径では、比較的小さな摩擦係数が理由で、問題を生じうる。場合によっては、特別な装置が、中に挿入物が安定して保持されるハウジングの中へと巻かれた逆火防止挿入物を取り付けることができるために、設けられなければならない。逆火防止挿入物の安定性を軸方向へのろう付けされた補強物により増加する試みがすでになされてきた。しかしながら、結果として、費用が高くなるだけでなく、逆火防止装置の製造と維持との両方での取り扱いが扱いにくくなる。
【0007】
このような逆火防止装置に外側から複数の径方向の穴を組み込むことが既知であり、これら穴は、逆火防止装置の巻かれている中心まで延びうる。巻かれた逆火防止装置の複数の接続(link)の間の径方向の積極的な固定接続(positive-locking connection)は、これらの穴の中に固定用ピンを挿入することにより生ぜられる。巻かれたディスクのサイズに応じて、通常固定用ピンを備えた4つから8つの間の穴が設けられる。もちろん、逆火防止装置の直径全体を通して複数の穴を穿つ(drive)ことも可能である。
【0008】
複数の径方向の穴が逆火防止装置にドリルにより注意深く穿たれたとしても、これら穴の領域の金属ストリップは、変形する。この結果、径方向に組み込まれた複数の穴の領域、又は固定用ピンの領域での逆火防止装置の通路のギャップは、変形される。結果として、穴の特定の名目上の最大径は、信頼性を持って維持されない。これは、変形が制御されず、したがって、このギャップの断面のサイズの増加をもたらしうるからである。しかしながら、増加したギャップの断面積のために逆火防止装置を通して逆火が置きうる。これは、貫通する点火したガスが、この拡大したギャップの断面では十分に冷却されず、この結果、火炎が信頼性を持って消火されないからである。
【0009】
したがって、複数の穴の中に挿入されたピンを固定することにより共に保持されている既知の逆火防止装置を必要な製品の安全性を備えて使用することは、少なくとも重大な用途、例えば非常に爆発性のガスの場合には、不可能である。
【0010】
したがって、逆火防止装置を安定化するために、他の方法が、例えば、ろう付けの複数の補強部材などを適用することにより、追及されてきた。しかしながら、結果として、逆火防止装置のための支出、従って、価格がかなり増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、巻かれた逆火防止装置の巻きの積極的なロックによる固定(positive-locking fixing)を、規定された通路のギャップのデザインに対するリスクを引き起こす必要なく可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、本発明によれば、前記巻かれた逆火防止装置が両側面で保持プレートにより軸方向に完全に閉鎖され、前記穴が、スパークエロージョン電極により外周から径方向内向きに組み込まれる一方で冷却液を注入する、冒頭で述べたタイプの方法により達成される。
【0013】
従って、前記目的は、前記複数の穴が、前記第2の金属ストリップに形成されているみぞを変形することなく放電加工により組み込まれ、この結果、前記ギャップも形成されている前記溝により規定されているように、前記穴の領域に存在している冒頭で述べたタイプの逆火防止装置により達成される。
【0014】
本発明は、穴を形成するように互いに補い合う複数の穴が、また、生じた複数の穴の領域で金属のストリップを変形することなく放電加工により複数の薄い金属ストリップに組み込まれることができるという知識に基づいている。したがって、本発明によれば、本発明(it)が可能となるために、放電加工に必要とされ、前記金属ストリップを冷却し、また、もし、巻かれた逆火防止装置が軸方向に両側面で保持プレートにより完全に閉鎖されているならば、軸方向に開いた逆火防止装置内に前記穴が導入されるために腐食された素材を取り除く役割を果たす液体が供給される。このことは、生じた穴の領域に液体の回路が形成され、液体が、軸方向に開いた複数のギャップを介して規定されていない方法で出て行かないことを意味している。
【0015】
これは、硬い素材だけを実際に目的とし、本発明によれば、規定されたスペースで巻かれた逆火防止装置で用いられる放電加工による穿孔のための方法に関して、本質的な前提条件である。
【0016】
この場合、本発明によれば、複数の穴が前記溝により規定された前記ギャップを変化させない逆火防止装置が実現され、この結果、前記固定用ピンは、重要な火炎のギャップのディメンジョンが変更されるリスクなく、巻かれた逆火防止装置の複数の接続の積極的な固定接続のために挿入されることができる。
【0017】
本発明による逆火防止装置が、らせん状に巻かれていることは好ましい。しかしながら本発明によれば、原理的には、平行に巻かれた複数の金属ストリップの巻きのために、固定を与えることも可能である。
【0018】
本発明は、添付された図面を参照して以下で説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、ほぼ円形の外周を有する平坦なディスクを形成し、外側で周方向閉鎖層2により径方向に閉鎖されることができる、巻かれた逆火防止装置1を示している。この逆火防止装置1は、保持シャフト4が挿入されている中心の軸方向の貫通孔3を有し、この結果、この逆火防止装置1は、保持シャフト4に回転可能に取り付けられている。
【0020】
本発明による方法を実行するために、この逆火防止装置1は、それぞれの保持プレート5により密封されるように軸方向に両側から閉じられている。
【0021】
図1には、この逆火防止装置1に径方向の穴6を組み込むために、スパークエロージョン電極(spark erosion electrode)7が、前記逆火防止装置に外周から挿入されることが示されている。このスパークエロージョン電極7は、この逆火防止装置の複数の巻かれた層内に放電加工(spark erosion)により複数の穴を開け、この結果、事実上、穴6が、ディスク形状の逆火防止装置1の中心に向かって径方向に空く。
【0022】
図2は、このことを拡大図で示している。
【0023】
図3は、逆火防止装置1の軸方向中心面に沿った縦断面を示しており、滑らかな第1の金属ストリップ8と、規定の溝(コルゲーション、ひだ)(fluting)が設けられ第2の金属ストリップ9を形成している溝付のストリップとが交互に配置された、巻かれたもの(winding)である逆火防止装置1の構成を示している。さらに、図3の記載から冷却液10がスパークエロージョン電極7の中心孔13を介して、前記穴の中へと導かれている。ことが明確となる。この液体は、封止するように配置されている保持プレート5により軸方向に流れ出ることが防止されている。一方で、第1の金属ストリップ8と第2の金属ストリップ9との間の前記孔により影響を受ける複数のギャップ11は、周方向に液体10で満たされている。しかしながら、この工程では、前記液体は、第1の金属ストリップ8と第2の金属ストリップ9との間の複数の接触点12までしか進むことができず、したがって、穴6の領域内の囲まれたスペース内に保持される。このことにより、前記液体が規定されたように穴6の中へと導入され、スパークエロージョン電極7の外周で穴6から再び脱出し、この結果、侵食された素材を冷却し取り除く機能を果たすことができることが確実とされる。この機能は、放電加工による穿孔にとって必要である。
【0024】
したがって、本発明による手段によると、前記逆火防止装置は、複数のギャップ11を形成する軸方向に開いた複数のスペースを有しているが、穴6は、硬い素材での方法と同様な方法で組み込まれることができる。
【0025】
放電加工により組み込まれた穴6により、第2の金属ストリップ9の溝の形状、又は滑らかな第1の金属ストリップ8の形状には、全く変化はもたらされず、この結果、逆火防止装置1の複数のギャップ11の規定された断面は、穴6の領域においても変化されずに維持されることが見出された。
【0026】
この後、適切な複数の固定用ピンが処理された複数の穴6に挿入される。この結果、巻かれた金属ストリップ8、9の巻き(windings)は、積極的に固定するように(positive-locking manner)、互いに接続される。したがって、金属ストリップ8、9の巻きが軸方向に移動することは、もはや不可能である。この場合、逆火防止装置1をさらに安定させることは、もはや必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】スパークエロージョン電極により穴を組み込むための2つの保持プレートの間の巻かれた逆火防止装置の概略図である。
【図2】図1のXの拡大詳細図である。
【図3】穴を生じさせるために挿入されたスパークエロージョン電極を共に、外周の領域での巻かれた逆火防止装置の巻きに沿った断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1…逆火防止装置、 2…周方向閉鎖層、 3…貫通孔、 4…保持シャフト、 5…保持プレート、 6…穴、 7…スパークエロージョン電極、 8…金属ストリップ、 9…金属ストリップ、 10…液体(冷却液)、 11…ギャップ、 12…接触点、 13…中心孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆火防止装置(1)に複数の固定用ピンのための径方向に向けられた穴(6)を組み込む方法であって、前記逆火防止装置は、ほぼ円形の外周を有するディスクを形成するように共に巻かれている2つの金属ストリップ(8、9)から形成され、この逆火防止装置の第1の金属ストリップ(8)は、滑らかなストリップであり、第2の金属ストリップ(9)は、規定された溝を備えている溝が設けられたストリップであり、これら2つのストリップ(8、9)は、互いに支持しあうことにより、流体を通過させるための複数の規定されたギャップ(11)を形成し、巻かれた前記逆火防止装置(1)は、両側面で、保持プレート(5)により軸方向に完全に閉鎖され、前記穴は、スパークエロージョン電極(7)により前記外周から径方向内向きに組み込まれ、一方で冷却液(10)を注入する、方法。
【請求項2】
逆火防止装置であって、この逆火防止装置は、ほぼ円形の外周を有するディスクを形成するように共に巻かれている2つの金属ストリップ(8、9)から形成され、この逆火防止装置の第1の金属ストリップ(8)は、滑らかなストリップであり、第2の金属ストリップ(9)は、規定された溝を備えている溝が設けられたストリップであり、これら2つのストリップ(8、9)は、互いに支持しあうことにより、流体を通過させるための複数の規定されたギャップ(11)を形成し、複数の径方向の穴(6)に挿入された固定用ピンにより互いに相対的に位置が保持され、前記複数の穴(6)は、前記第2の金属ストリップに形成された前記溝を変形させることなく放電加工により組み込まれ、この結果、前記複数のギャップ(11)は、前記溝により規定されたように前記複数の穴(6)の領域にも存在する、逆火防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−326210(P2007−326210A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−144300(P2007−144300)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(596140922)ライネマン・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー (5)
【Fターム(参考)】