説明

逆盃形小区画付コップ

あらかじめ調製されたある用量の粉末状製品を下部に配設された容積中に包蔵し、該容積が空気および湿気に対して密封性を有するように小区画化されたコップ(1)。コップは、底(3)を有し、該底(3)とともに密封小区画を構成する逆盃形部(6)が該底(3)に固定されており、底(3)および盃形部(6)の素材が製品の特徴を保持するバリアを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に粉末状にあらかじめ調製したある用量の製品を、利用者が容易に開けることができ空気および湿度に対する密封性を有する小区画内に収めた状態でその下部に包蔵するコップに関する。
【背景技術】
【0002】
当該の粉末状製品は、コーヒーのようなフリーズ・ドライ成分からなるものでも、また単にチョコレート、果物ジュース、スープなどのような粉末食品からなるものでもよい。この種のコップは、コップ下方のある容積をふさぐシール蓋を備えるものなど、かなり以前から知られ、利用されている。この種のコップは、たとえば、飛行機や列車などで人手によって配給される。その場合には、客室乗務員によって粉末状製品の入ったコップに湯または水が注がれる。
【0003】
これらのコップは自動販売を行うこともできる。飲物を望む利用者は、販売機からコップを取り出し、シール蓋を外した後、給湯器または給水器によって湯または水を満たす。一般に、販売機は、密閉小区画に収められた製品の種類によるコップの選択を可能にする。
【0004】
大半の場合、使用されるコップはプラスチック製であり、シール蓋は、たとえばコップ下部に設けられた肩部に接合される。製造の点からもリサイクルの点からも、製造物に起因する環境への影響に対する意識が広がりを見せる時代にあって、コップの製造にプラスチックを使用することには今や様々な差し障りがあるように思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、用量の粉末を蓄えるための密封小区画を内部に備えることはそのままに、厚紙など、よりエコロジカルな素材でコップを生産することを目指した。ところで、既知のコップにおいては、シール蓋によるシールは、アルミニウムなど、空気および湿気に対する優れた密封性を確保し、それによって製品の味覚的品質を保つことができる材料によって行われている。
【0006】
したがって、フリーズ・ドライ製品が入っている区域に対する該シール蓋の固定も完璧な密封を果たすものでなければならないことは明らかである。プラスチック製コップでは、この固定は、シール蓋を肩部などに接合することによって行われている。
【0007】
一方、本体が厚紙で作られているコップもあり、当然のことながら厚紙に接合は行えないため、その場合は、プラスチック加工したカプセルを挿入し、アルミニウム製のシール蓋で閉じることで問題を解決している。エコロジーの面からは、プラスチック製カプセルは確かにコップよりかさばりはしないものの、ここで提起する問題に対する解答としてはきわめて不完全なものでしかない。
【0008】
本発明によるコップは、環境にやさしい視点に立つものとして、プラスチック製ではなく、したがって、アルミニウム製などのシール蓋の利用は前述の理由からコップへの固定に関して問題を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これに対処するため、あらかじめ調製されたある用量の粉末状製品を従来通り下部に配設された容積中に包蔵し、該容積が空気および湿気に対して密封性を有するように小区画化されたこのコップは、基本的に、コップが厚紙製であり、底を有し、該底とともに密封小区画を構成する逆盃形部が該底に固定されており、底および盃形部の素材が製品の特徴を保持するバリアを形成することを特徴とする。
【0010】
プラスチックと比較すると、厚紙は、リサイクルが容易で汚染もほとんどないことから、環境保全に貢献する代替物として今日では欠かせないものとなっている。したがって、必要とされる空気および湿気に対する密封性が厚紙では果たされないという点を除けば、コップの製造に厚紙を利用することは当然と考えられる。
【0011】
いわゆる「バリア」材料の助けを借りる必要があるが、バリアの質は小区画内に収める物質のもろさによって異なる。アルミニウムは、最も質の高いバリアをなすことから、好ましいものとして取り上げるが、それが唯一の解決方法というわけではない。
【0012】
また、従来技術と同様のアルミニウム製シール蓋だけを利用しても、製品が含まれる小区画の一部はコップの厚紙製の壁で画定されたままなので、十分とは言えない。さらに、厚紙とその種のシール蓋との組合せには接合の問題があり、しかもその接合は2つの材料の間の密封性を確保するのに十分な質のものでなければならない。
【0013】
本発明は、材料の利用においても、その成形においても独創的な解決方法を提示する。
【0014】
接合作業を容易にするために、盃形部は平らなフランジ部を有することができる。この縁は、コップの平らな底に平面で支えられることにより、従来技術のコップの場合と同じ条件で接合を行うことを可能にする。また、その後に盃形部とコップ側壁の間に残る環状の外周空間は他の目的に利用されるが、それについては以下で詳述する。
【0015】
盃形部は、たとえば熱シールによって底と結合されるが、この種のコップにおける従来の手法に従って、誘導または接着によって固定することもできる。
【0016】
可能な一形態によれば、
− 底は厚紙/アルミニウム複合材料製で、アルミニウム層がコップ内側を向く。
− 底は少なくとも片面が少なくとも1つの合成材料層で覆われる。
− 盃形部はアルミニウム製である。
【0017】
こうして、厚紙/アルミニウム複合材料の底とアルミニウム製の盃形部により、すべての面がアルミニウム製の小区画を作り出すことができる。また、合成材料層が存在することで、要求される密封を果たすことができる条件での接合が可能になる。
【0018】
別法として、底および盃形部は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの材料の中から選ぶことができる。
【0019】
当該材料は、そのほか、それにめっきを施すことも、および/または紙の層などの上にフィルムの形で配設することもできる。より一般的には、上述したように、バリアを形成するものであれば、どのような材料であってもよい。
【0020】
純粋に機能的な目的から、また通例でもあるため、盃形部はコップの縁の方向に延びるつまみ用突起部を備えることができる。利用者は、突起部を引っ張って該盃形部を取り出し、粉末状製品を中から出した後、それを給水器または給湯器の下に置く。
【0021】
可能な一構成によれば、本発明によるコップは上げ底であり、それによってコップ下部裏側に窪みを作り出すことができ、該窪みとシェルのそれぞれの高さによってコップの積み重ねが可能になる。
【0022】
ただし、この積み重ねはシェルの周囲に環状の凹所があるのでなければ不可能であり、その凹所は、たとえば、平らな外周縁を有する盃形のシェルに関する前述の仮定のもとで存在するものである。
【0023】
また、裏側の窪みはわずかに口が広がっていてもよい。これによって接合作業を容易にすることができる。なぜなら、接合器具の相方部分は、それによって底を構成する壁に楽にアクセスできるようになり、該底の全周にわたって正確にその作用を及ぼすことができるためである。
【0024】
以下では、本発明について、添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるコップの側面図である。
【図2】本発明によるコップの積み重ねの可能性を概略で示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照して説明すると、コップ(1)は、上部縁(2)を丸めた円錐台形の第1の本体部ならびに窪み(5)を画定する底(3)および下部(4)を有する。このコップは、垂直軸(A、A’)のまわりに巻いた厚紙で作られ、内面は合成材料のフィルムで覆われる。一方、底(3)は、たとえばアルミニウムが上面をなす厚紙/アルミニウム複合材などで作られる。このような仮定のもとでは、そのアルミニウムも、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレンなどの合成材料のフィルムで覆われる。前述したように、アルミニウムの存在は不可欠というわけではなく、底および蓋は、ポリプロピレンのようなその他のバリア材料で作ることもできる。
【0027】
粉末状のフリーズ・ドライ製品は、底(3)と、熱シールによって底(3)に接合される平らな外周フランジ縁(7)を備えるアルミニウム製などの盃形部またはシェル[coque](6)との間に配置される。
【0028】
コップの下部(4)に設けた窪み(5)およびシェル[coque](6)のそれぞれの高さが、該シェル(6)のまわりの外周空間(8)の存在と相まって、とりわけ図2において模式的に示すように、特にもろい製品のためのコップの積み重ねを可能にする。この図では、シェル(6)は、上方のコップの底(3)の近くにその上面が位置している。
【0029】
図1および2に示す構成では、容積(5)を画定する下部の壁(4)は、厚紙/アルミニウム複合材料製の底に対するフランジ(7)の接合が容易になるように、ごくわずかながら口が広がっている。しかし、これらの壁は、コップの上部壁の延長上にある円錐台形であることもできよう。
【0030】
これにより、コップに含まれる粉末状製品は、アルミニウム製の壁、すなわち底(3)のアルミニウム面と逆盃形のアルミニウム製シェル(6)とによって画定される密封小区画内に収容される。
【0031】
この製品は、現在市場に出回っているような、全体または一部がプラスチック素材からなるコップと比べるとはるかにエコロジカルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ調製されたある用量の粉末状製品を下部に配設された容積中に包蔵し、該容積が空気および湿気に対して密封性を有するように小区画化されたコップ(1)において、
前記コップ(1)が厚紙製であり、底(3)を有し、前記底(3)とともに密封小区画を構成する逆盃形部[coupelle inversee]](6)が前記底(3)に固定されており、前記底(3)および前記逆盃形部(6)の素材が製品の特徴を保持するバリアを形成することを特徴とするコップ(1)。
【請求項2】
前記盃形部(6)が平らなフランジ(7)を有することを特徴とする、前記請求項に記載のコップ(1)。
【請求項3】
前記盃形部(6)が、熱シール、誘導または接着によって前記底(3)と結合されることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のコップ(1)。
【請求項4】
前記底(3)が厚紙/アルミニウムの複合材料製であり、アルミニウム層が前記コップの内側を向き、
前記底(3)が少なくとも片面を少なくとも1つの合成材料層によって覆われており、
前記盃形部(6)がアルミニウム製であること
を特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のコップ(1)。
【請求項5】
前記底(3)および前記盃形部(6)が、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンのいずれかの材料の中から選ばれたものであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のコップ(1)。
【請求項6】
前記材料にめっきが施されることを特徴とする、前記請求項に記載のコップ(1)。
【請求項7】
前記材料が紙の層の上にフィルムの形で配設されることを特徴とする、請求項5および6のいずれかに記載のコップ(1)。
【請求項8】
前記盃形部(6)が前記コップ(1)の前記縁(2)の方向に延びるつまみ用突起部を備えることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載のコップ(1)。
【請求項9】
前記コップ(1)が上げ底(3)であり、それによって前記コップ(1)下部の裏側に窪み(5)を作り出しており、前記窪み(5)とシェル(6)のそれぞれの高さによって前記コップ(1)の積み重ねが可能となっていることを特徴とする、請求項2から8のいずれか一項に記載のコップ(1)。
【請求項10】
裏側の前記窪み(5)の口が広がっていることを特徴とする、前記請求項に記載のコップ(1)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−531785(P2010−531785A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514039(P2010−514039)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000936
【国際公開番号】WO2009/027592
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(509349462)
【Fターム(参考)】