説明

透明なヘアゲル固定剤

本発明は、透明なヘアゲル組成物における固定ポリマー系としてのポリビニルホルムアミドおよび1つまたは複数のポリビニルアルコールの単純な混合物の使用を詳述している。ポリマー系とゲル化剤との相互作用は、20NTU未満の透明性および他の物理的特性、例えば、良好なカール圧縮率、高湿度耐性およびフレーキング耐性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ヘアケア製品では透明であることは高純度および高品質を表すものと消費者が理解しているところから、透明なヘアゲル固定剤が長年にわたり求められてきた。さらに課題は、これまでずっと、単に透明である以上のものを得ることであった。カール強度または保持力(剛性とも称する)および湿気に対する耐性などの他の特性も、ヘアスタイリング製品にとっては同様に重要である。本発明は、優れた保持力および湿度耐性を有する透明な組成物を処方者に提供するための、安全であり、かつ容易に入手可能なポリマーの混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
純水がクリスタルクリアという語で表されるように、パーソナルケア製品における透明性は長年、純度と同義であるとされてきた。さらに、透明性を得ようと努力する際に、他の特性は透明性の探求においては重要視されなくなってきた。この透明性を得ることが全ての応用例の中で最も難しいのは、ゲル状毛髪用製品においてであった。ゲルは、ポリマーの会合または架橋によって処方の液体部分を構造化することにより典型的に形成される。これらの会合体は潜在的に結晶領域のような働きをし、その形成は、結晶の形成が光を散乱させるのと同様に、ゲルを半透明にする傾向がある。さらに、スタイリングポリマーとゲル化剤との間に不適合性があれば、同様に透明性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
ゲル状製品の透明性を増大するための一手法は、より低い分子量が溶液およびゲルのいずれにおいてもより良好な透明性を与えることが周知であるように、ポリマー物質の分子量を低減することである。低分子量の欠点は、液体が一度乾燥すると、ポリマーは良好な物理的特性をもたらすことができなくなることである。カール強度(剛性)および湿度耐性などの特性は、ポリマー系の分子量が低下すると悪影響を受けることになる。
【0004】
低分子量の欠点を克服するために、特殊三成分ポリマーが調製された。しかしこれらポリマーは全ての特性を提供するのには非常に役立ったが、一方では、このような特殊化されたポリマーのコストはヘアケア市場にとってはかなり高額であった。今日の市場において、安全であって、高価ではなく容易に入手可能な原料で作られた透明なゲル状固定剤系によって保持力および湿度耐性を提供するための系に対するニーズは依然として存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリビニルアルコール(PVOH)とポリビニルホルムアミド(PVF)との、特定の比率、分子量および加水分解度を有する、非常に特殊なブレンドは、ヘアゲル系において透明性を保ちながら全ての所望の特性を提供することができることが、今般見出されている。毛髪固定剤(スタイリング化合物としても知られる)の大部分の使用者が関心を持つ特性は、毛髪を適切に保持またはセットできることであり、それは実験室においてカール圧縮率を用いて、およびスタイリングゲルの毛髪上にある間の湿気に耐える能力(耐性垂下(resist droop))によって測定される。全てのヘアスタイリング化合物はシャンプーと水の作用によりシャワーで除去できなくてはならないため、湿度耐性を得ることは、特に難しい。
【0006】
物理的特性に加えて、スタイリングゲルは毛髪が自然に見えるよう維持し、かつ、毛髪に適用されている間のフレーキングおよび剥離に対する耐性がなければならない。フレーキングは、使用者の衣類上にふけの発生を引き起こすことになり、甚だ望ましくないであろう。剥離は、毛髪に不自然で光沢のない外観を与えることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のPVOHとPVFのブレンドは、カール圧縮率および湿度耐性によって測定されるように、優れた保持力を提供することが示されている。驚くべきことに、これらのブレンドはフレーキングおよび剥離に対して非常に耐性があり、かつ、毛髪に自然な外観を提供する。
【0008】
本発明は、1つまたは複数のグレードのポリビニルアルコール、ポリビニルホルムアミドおよび水のブレンドを含む。PVFが高レベルの透明性、フレーキングに対する耐性および良好なカール圧縮率を提供する一方で、PVOHは、湿度耐性を提供する。ポリビニルアルコールは、いくつかの異なる供給元により市販されており、1つはCelanese Chemicals(1601 West LBJ Freeway、Dallas TX)であり、同社は多種多様なグレードを供給している。PVOHのグレードは、分子量および加水分解度により異なる。分子量は粘度によって表され、低粘度(3〜5mPas)、中粘度(15〜35mPas)、および高粘度(50mPas以上)がある。本発明の一実施形態において、分子量は低いかまたは中程度である。もう1つの実施形態においては、分子量は低い。
【0009】
ポリビニルアルコールは、ポリビニル酢酸から、エステル基のアルカリ加水分解によって誘導され、したがって加水分解度という用語が使われる。したがって、加水分解度88%のPVOHは、ポリマーにおいて12%の酢酸基が依然として存在することを意味する。加水分解度はまた、PVOHの特性をも変化させる。応用を目的として、PVOHは5つの異なるグレード、低加水分解度のもの(78〜85%)、部分的に加水分解されたもの(87〜89%)、中程度に加水分解されたもの(90〜97%)、完全に加水分解されたもの(98〜99%)および超加水分解されたもの(99%超)、で入手可能である。本発明名の一実施形態において、PVOHは、部分的に加水分解されたものと完全に加水分解されたものとの間(87〜99%)である。もう1つの実施形態においてPVOHは、部分的に加水分解されている。
【0010】
ポリビニルホルムアミド(PVF)は、種々の方法によって、かつ異なる溶媒中で製造することができる。PVFを製造する過程は、Leblanc他に対する米国特許第5,977,274号に詳述されており、参照することにより本明細書に組み込まれる。PVFの合成の種々の態様を記述した他の刊行物は、米国特許第6,541,573号および米国特許第4,421,602号の両方である。PVFに良好な性能を付与するためには、分子量は可能な限り高いことが望ましい。本発明名の一実施形態において、PVOHの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィで測定して、100,000から300,000ダルトンである。
【0011】
この応用を目的として、透明性は、AMPで中和した0.6%のCarbopolを増粘剤として水に溶解した3%のポリマー固体において、20未満のあらゆる濁度レベルである。試験は、ヘアゲル処方に光線束を通過させて光減少のパーセンテージを測定することにより行われる。NTU(比濁時計単位、濁度の尺度)が20未満である場合、ヘアゲルは透明であるとされる。本発明の一実施形態において、透明なヘアゲルの濁度は15NTU未満である。
【0012】
カール圧縮率は、15cmの長さの毛束において剛性の総計を調べるための試験である。毛髪をスタイリングゲルで処理し、次いでしっかりしたカールに巻く。カールをその最初の直径の30%圧縮するために必要な力を測定する。値は、標準K90サンプルに標準化され、標準のパーセントとして報告される。この標準化は、取扱いにおける変動、毛髪の質およびその他の変数を考慮に入れるためのものである。カール圧縮率は可能な限り高いことが望ましいが、少なくとも標準と同等であるのが望ましい。本発明の一実施形態において、カール圧縮率は、0.8(80%)であるか、あるいはK90サンプルよりも大きい。第二の実施形態において、カール圧縮率は、0.9(90%)であるか、あるいはK90標準よりも大きい。
【0013】
高湿度下カール保持率は、25cmの長さの毛束の湿度耐性に関連する。毛髪をスタイリングゲルで処理して巻き、次いで片方の端から吊り下げる。毛髪を一定相対湿度90%(温度21℃で)に24時間、供し、毛髪の長さを測定して、初期状態の毛束のパーセントとして報告する。スタイリングゲルの適用者に気候条件にかかわらず垂下耐性のあるヘアスタイルを提供するために、理想的には、カール保持率は、可能な限り初期値に近いものであることになる。本発明の一実施形態において、高湿度下カール保持率は、50%超である。第二の実施形態において、高湿度下カール保持率は、70%超である。第三の実施形態において、高湿度下カール保持率は、90%超である。
【0014】
スタイリングゲルのもう1つの非常に重要な特性は、適用されている間または櫛で梳く間に、毛髪からのフレーキングを防ぐ能力である。このようなフレーキングは、適用者に白色の粉末のような外観の物質を経験させることになり、このことがフレークの多いスタイリングゲルという結果をもたらす。これらのフレークは、ふけのある人であるかのような認識を与えることになるため、回避することが非常に望まれる特性である。フレーク試験は、管理された梳きを行った毛髪サンプルからどのくらいの量のスタイリングゲルが毛羽落ちするかの測定であり、次いで対照(K90)に対するパーセンテージで表される。一実施形態において、フレークは標準(100%)未満である。本発明の第二の実施形態において、フレークは標準の80%未満である。
【0015】
ほとんど全ての透明なヘアゲル中には、下記の処方に例示するように、種々の原料が存在する。本発明において、ポリマー固定剤は、ポリビニルホルムアミドと1つまたは複数のグレードのポリビニルアルコールとの混合物として定義付けられている。ポリマー固定剤中のPVOHのPVFに対する比率は、20から80%のPVOHおよび20から80%のPVFという範囲である。本発明の一実施形態において、ポリマー固定剤中のPVOHのPVFに対する比率は、40から70%のPVOHおよび30から60%のPVFという範囲である。
【0016】
いくつかの応用に関して、2つ以上のグレードのPVOHのブレンドを使用することができる。したがって、低分子量PVOHと中分子量、または完全に加水分解されたPVOHと部分的に加水分解されたPVOHとのブレンドは、処方者に、個々のスタイリングゲルに求められる様々な特性を得るための選択肢を与える。本発明の一実施形態において、低分子量で部分的に加水分解されたPVOHと中分子量で部分的に加水分解されたPVOHとのブレンドは、1:1から4:1の比率で使用される。
【0017】
本発明の毛髪固定剤処方は、ゲルに毛髪固定特性を与えるのに有効な量の毛髪固定剤ポリマーを含む。ポリマーの量が多過ぎると、それにより形成されるゲルおよび皮膜は許容し難い濁りを示す。ポリマーの量が少な過ぎると、剛性および湿度耐性などの特性が悪影響を受ける。一実施形態において、ゲルは、(ゲルの全重量に基づき)約0.5から約15重量%のポリマーを含む。もう1つの実施形態において、固定剤ポリマーは、約1から10重量%存在する。第三の実施形態において、固定剤ポリマーは、ゲルの2から7重量%の量で存在する。
【0018】
さらに、適切なテクスチャ状態を提供するためにゲル化剤が存在する。ゲルは、0.05から約1重量%のゲル化剤を含む。一実施形態において、ゲル化剤は、毛髪固定剤ゲルの全重量に基づき、0.1から0.6重量%の量で存在する。
【0019】
このようなゲル化剤の例には、B.F.Goodrich、Cleveland、Ohioより入手可能な増粘剤であるアクリルベースのCarbopol(登録商標)シリーズなどの合成ポリマーおよびRohm&Haas、Philadelphia、Paより入手可能なAculyn(商標)などの会合性増粘剤が含まれる。他の典型的なゲル化剤には、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルセルロース誘導体などのセルロース系増粘剤、アセチル化デンプンなどのデンプンベースの増粘剤、ならびに天然由来のガム例えば寒天、アルギン、アラビアガム、グアーガムおよびキサンタンガム、が含まれる。
【0020】
この応用の一実施形態において、ゲル化剤はカルボマーである。第二の実施形態において、ゲル化剤はCarbopol 940または908である。カルボマー(Carbopolとしても知られる)は、ある程度の架橋を有するアクリル酸のポリマーである。グレードによって架橋の程度が変化する。追加的なモノマー(複数可)もまた、他の特性および種々のグレードを提供するために重合の間に添加されてよい。
【0021】
カルボマーをゲル化剤として機能させるために、酸基を水酸化物またはアミンなどの塩基により中和しなければならない。本発明の一実施形態において、中和剤はトリエタノールアミン(TEA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、アンモニアおよび水酸化ナトリウムからなるリストから選択される。第二の実施形態において、中和剤はTEAまたはAMPである。第三の実施形態において、中和剤はAMPである。
【0022】
ゲルの外観に影響を及ぼすであろうが、上記に定義の特性にはいかなる重大な影響をも与えないような他の物質を透明なヘアゲル処方に添加してもよい。このような成分は、これらに限定するものではないが、着色剤、香料、フィラー、顔料、コンディショナーおよび他の活性成分である。当業者であれば、これら他の成分とスタイリングポリマーおよびゲル化剤との適合性が最終処方の透明性に最終的に影響するであろうこと、したがって成分の注意深い選択によって透明な製品を確実に得るために注意を払わなければならないことを認識するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
下記の実施例は、本発明をさらに例証するために提示するものである。これらは本発明の範囲および実用性を限定することを意図するものではなくあるいは定義付けをすることも全く意図するものではない。
【0024】
実験
原料:
Celaneseのポリビニルアルコール
Celvol 523:87〜89%の加水分解、4%固体での粘度は、20℃で、23.0〜27.0cPs
Celvol 325:98〜99%の加水分解、4%固体での粘度は、20℃で、28.0〜32.0cPs
Celvol 203:87〜89%の加水分解、4%固体での粘度は、20℃で、3.5〜4.5cPs
Lubrizol(旧Noveon)のカルボマー
Carbopol 980:架橋ポリアクリレート
LonzaのDMDMヒダントイン
Glydant PlusLiquid:100%固体
Angus Chemical Companyの2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール
AMP−95:水中95%固体
Huntsman Corporation、East Lansing、Ml 48823−5691のトリエタノールアミン
ゲル処方(一般):
3% 全ポリマー
0.6% カルボマー
0.5% AMP−95
0.5% Glydant Plus Liquid
【実施例1】
【0025】
高粘度ポリビニルアルコール調製物(Celvol 325またはCelvol 523、Celanese)
1Lの三口丸底フラスコにコンデンサ、温度プローブ、加熱マントル、およびオーバーヘッドスターラを備え付けた。脱イオン水(450.0g)をフラスコに加え、攪拌速度を350rpmに設定した。ポリビニルアルコール(50.0g)をゆっくりとフラスコに加えて、10%固体溶液とした。ポリビニルアルコールを90℃で30分間加熱した。最終溶液を40℃に冷却した後、フラスコから注ぎ出した。
【実施例2】
【0026】
低粘度ポリビニルアルコール調製物(Celvol 203)
150.0gのポリビニルアルコールを350gの水に加えて30%固体溶液とすること以外は、実施例1と同様の手順。
【実施例3】
【0027】
ゲル処方(三成分ブレンド)
A部 − ポリマー溶液
250mLのビーカーにパドルブレード付きオーバーヘッドスターラを備え付けた。脱イオン水(32.2g)をビーカーに加え、攪拌速度を350rpmに設定した。
ポリビニルホルムアミド(0.5g、100%固体)をビーカーに加えて、完全に溶解するまで攪拌を続けた。低粘度ポリビニルアルコール(Celvol 203、4.2g、30%固体)、中粘度ポリビニルアルコール(Celvol 523、12.6g、10%固体)、DMDMヒダントイン(Glydant Plus Liquid、0.5g)および2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP−95、0.5g)をビーカーに加えた。
B部 − カルボマー溶液
カルボマー(Carbopol 980、2%溶液を30g)および脱イオン水(20.0g)をマグネティックスターラを備え付けた100mLのビーカーに加えた。攪拌プレートを使用して溶液を400rpmで均一になるまで混合した。
B部をA部に加えてゲルを形成する。ゲルを350rpmで10分間攪拌する。
【実施例4】
【0028】
追加のゲル処方
実施例3の手順を用いて、A部に下記の置き換えを行った:
【0029】
【表1】

【実施例5】
【0030】
濁度の測定
濁度
ヘアゲルの濁度を、Hach(Loveland,CO)Model2100N濁度計を用いて、濁度計の試料コンパートメントにヘアゲルを含む30mLバイアルを置いて測定した。正確な読み取り値を得るために、ヘアゲルのサンプルは、気泡を全く含まないようにする必要がある。
【0031】
【表2】

【0032】
上記の表2に報告した結果では、得られた実測値を2列目に、予想値を3列目に示している。予想値は、1から4までのサンプルの加重平均である。相乗効果、または濁度の低下を4列目に示す。正の数字はサンプルが、加重平均から予想された値よりも低い濁度であったか、あるいはより透明であったことを意味する。
【実施例6】
【0033】
カール圧縮率の測定
カール圧縮率試験
ヘアゲルの各サンプルを試験するために、6インチの茶色のバージンヘアの毛束を5つ使用する。30%カール圧縮率は、毛束のカールをその直径の30%歪めるために必要な力の量である。30%カール圧縮率は、下記の手順を用いて測定する。
【0034】
手順
1.150mmの茶色のバージンヘアの毛束を用いて、各毛束を先ず水で湿らせ、もつれをほぐすために、目の細かい櫛で毛束を2〜3回梳かす。毛束を親指と人差し指の間で絞って余分な水を毛束から絞り出す。
2.カールを巻くのに先立ち、余分な湿り気をペーパータオルで拭き取る。
3.0.50gのヘアゲルを各毛束に適用し、上から下まで10回染み込ませ、その際、毛束を裏返しにしながら行う。
4.湿った毛束を、長さ75mm−直径13mmのテフロン(登録商標)心棒に上の方から巻き付ける。
5.巻き付けた毛束をテフロン(登録商標)の心棒から外し、シングルタイプのヘアクリップでしっかりと保つために留め付ける。
6.巻いた毛髪を50℃のオーブンで1時間、乾燥させる。この乾燥時間後は、巻いた毛束を、22℃/相対湿度50%に保たれた恒温室に置いて一晩、調整する。
毛束は、翌日、装置の製造元(Diastron Ltd.Andover,Hampshire,England)より入手可能なカール圧縮ジグをセットしたDiastron MTT 160小型引張試験機を用いて試験する。巻いた毛束をそれぞれ、カール圧縮ジグの中に置き、試験する。Diastron MTT 160小型引張試験機は、20mm/分の速度で、巻いた毛束をその直径の30%、圧縮する。グラムフォースで表す力は、試験したサンプルの30%カール圧縮率である。5つの6インチ毛束に対する30%カール圧縮率を、次いで記録し、これら5つの毛束に基づいて平均値を決定する。PVP K90ヘアゲルを一連のヘアゲルを評価するたびに毎回評価する。PVP K90で標準化した30%カール圧縮率の値を下記の式によって求める。
PVP K90
標準化カール圧縮率=ヘアゲルサンプルの平均30%カール圧縮率/PVP K90ヘアゲルサンプルの平均30%カール圧縮率
【0035】
【表3】

【0036】
上記表3の結果は、各サンプルのカール圧縮率を示す。予想値は、1から4までの行の成分それぞれからの加重平均であり、結果を3列目に示す。相乗効果(予想値からの偏差)を4列目に示す。正の値は、個々の成分から予想されるであろう値よりもカールを圧縮するのにより大きな力が必要であったことを意味する。
【実施例7】
【0037】
%フレークの決定
%フレーク試験
試験をする各ヘアゲルサンプルに対して、250mmのアジア人の毛束2つを使用する。ヘアゲルを毛髪に適用し、乾燥させ、櫛で梳かし、次いで画像解析を用いて%フレークを測定した。
【0038】
手順
1.各毛束を先ず水で湿らせ、もつれをほぐすために、目の細かい櫛で毛束を2〜3回梳かす。毛束を親指と人差し指の間で絞って余分な水を毛束から絞り出す。
2.カールを巻くのに先立ち、余分な湿り気をペーパータオルで拭き取る。
3.0.50gのヘアゲルを各毛束に適用し、上から下まで10回染み込ませ、その際、毛束を裏返しにしながら行う。
4.毛束を60℃のオーブンで1時間乾燥させる。この乾燥時間後は、毛束を、22℃/相対湿度50%に保たれた恒温室に置いて一晩、調整する。
5.毛束をMTS(Eden Prairie,MN)Synergie 200引張試験機のコームアタッチメントに置き、次いで毛束を300mm/分の速度で2回梳かす。
6.毛髪のデジタル画像を、Olympus(Center Valley,PA)SZX10立体顕微鏡とインターフェースで接続したOptronics(Goleta,CA)Microfireデジタルカメラで、10倍の対物レンズによって倍率1で捕らえた。1つの毛束に付き5つのデジタル画像を撮った。
7.デジタル画像を、フレークに関してMicrosuite Analytical Suite 2.6(Olympus Soft Imaging Solutions GmbH,Munster,Germany)を用いて解析した。画像を先ず、グレースケールに変換し、次いでグレースケールレンジを全てのフレーク粒子を捕捉するように調節した。次いで、ソフトウエアが、全画像領域に対するフレークの量(選択されたグレースケールレンジによって)を算出した。各へアゲルサンプルに対するフレークの量は、10の画像(2つの毛束について5つの画像)の平均である。
【0039】
PVP K90ヘアゲルを一連のヘアゲルを評価するたびごとに毎回評価する。標準化したPVP/K90フレーク値を下記の式によって求める。
PVP K90標準化フレーク=ヘアゲルサンプルの平均%フレーク/PVP K90ヘアゲルサンプルの平均%フレーク
【0040】
【表4】

【0041】
上記表4の結果は、各サンプルについて得られた実測地を示す。3列目に示す予想値は、それぞれの成分からの加重平均を表す。相乗効果値は、PVOHとPVFとが共にブレンドされた場合、フレークが減少することを示している。フレーク値が低ければ低いほど処方の望ましさは大きくなる。
【実施例8】
【0042】
高湿度下カール保持率の測定
高湿度下カール保持率
試験をする各ヘアゲルサンプルに対して、10.0インチの茶色のバージンヘアの毛束9つを使用し、これら9つの毛束に基づき平均値を決定する。本発明の毛髪固定剤ポリマーのカール保持特性を互いに比較し、かつ市販の基準的製品と比較する。試験は、70°F(21℃)、相対湿度90%で24時間にわたり行う。手順は、処方の変数の統計解析を可能にする。
【0043】
手順
1.毛束を水で湿らせてもつれをほぐすために、2〜3回櫛で梳かす。
2.毛束を親指と人差し指の間を通して、余分な水を絞り出す。
3.0.50gのヘアゲルを各毛束に適用し、優しく毛束に染み込ませ、櫛で梳かす。
4.毛束を長さ3インチ−直径1/2インチのテフロン(登録商標)心棒に巻き付ける。巻いた毛束を注意深く心棒から外し、2つのヘアクリップで確実に固定する。
5.巻いた毛束を120°Fのオーブンで、一晩乾燥させる。
6.巻いた毛束をオーブンから取り出し、室温まで冷却する。
7.巻いた毛束を、固定された端から、目盛り付きの透明カール保持率ボードに吊り下げる。
8.巻いた毛束からクリップを外し、ガラス棒で優しくカールを緩める。
9.最初のカールの高さの読み取り値Lを取り、次いでカール保持率ボードを環境室(70°F、相対湿度90%)にセットする。
10.24時間後に、カール長Lを記録する。
【0044】
高湿度下カール保持率を下記の式によって計算する:
%高湿度下カール保持率=(L−L)/(L−L100、
式中、L=完全に伸びた毛髪の長さ、L=最初のカールの長さ、L=所与の時間tにおけるカールの長さ、である。
【0045】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤およびポリマー固定剤を含む透明なヘアゲル組成物であって、前記ポリマー固定剤が、好ましくは分子量が100,000から300,000ダルトンである少なくとも1つのポリビニルホルムアミド(PFV)と、少なくとも1つのポリビニルアルコール(PVOH)とのブレンドを含む、透明なヘアゲル組成物。
【請求項2】
前記ポリマー固定剤が、PVFおよび1つまたは複数のポリビニルアルコール(PVOH)を、80から20%のPVFおよび20から80%のPVOHという比率で、好ましくは60から30%のPVFおよび40から70%のPVOHという比率で含む、請求項1に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項3】
低分子量から中分子量のPVOH、好ましくは低分子量のポリビニルアルコールを含む、請求項1または2に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項4】
PVOHが、低加水分解、部分的加水分解、中程度加水分解、完全加水分解または超加水分解のPVOHの群から、好ましくは部分的加水分解、中程度加水分解、および完全加水分解のPVOHの群から選択される、請求項3に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項5】
PVOHが、2つ以上の異なるグレードのPVOHのブレンド、好ましくは低分子量グレードのPVOHおよび中分子量のPVOHのブレンドを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項6】
PVOHのブレンドが、部分的に加水分解されたPVOHおよび完全に加水分解されたPVOHを含む、請求項5に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項7】
ポリマー固定剤が、ゲルの全重量に基づき0.5から15重量%の量、好ましくはゲルの全重量に基づき1から10重量%の量、より好ましくはゲルの全重量に基づき2から7重量%の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項8】
ゲル化剤が、ゲルの全重量に基づき0.005から1.0重量%の量、好ましくはゲルの全重量に基づき0.1から0.6重量%の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項9】
前記ゲル化剤が、ポリマーが水酸化物、アミンまたはこれらの混合物選択される中和剤によって好ましくは中和されているか、より好ましくは中和剤がトリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、またはこれらの混合物から選択される架橋アクリレートポリマーを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項10】
ゲル組成物が毛髪に、50%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える高湿度下カール保持率を提供する、請求項1から9のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項11】
20NTU未満、より好ましくは15NTU未満の濁度を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項12】
標準K90処方の80%超、好ましくは90%超のカール圧縮率を提供する、請求項1から11のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項13】
1.0未満、好ましくは0.85未満のフレーク試験値を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の透明なヘアゲル組成物。
【請求項14】
ポリマー固定剤系ならびに2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールで中和されたアクリレート架橋ゲル化剤を含み、前記ポリマー固定剤系が少なくとも1つのポリビニルホルムアミドおよび少なくとも1つのポリビニルアルコールのブレンドを含む透明なヘアゲル組成物であって、前記ポリビニルアルコールが低分子量、かつ部分的に加水分解されたポリビニルアルコールであり、かつ前記ポリビニルホルムアミドが100,000から300,000の分子量を有し、ポリビニルアルコールのポリビニルホルムアミドに対する比率が4:1から1:4であり、前記ポリマー固定剤がゲルの全重量に基づき2から7重量%の量で存在し、かつ、前記ゲル化剤がゲルの全重量に基づき0.1から0.6%の量で存在し;前記ヘアゲル組成物が15NTU未満の濁度、90%超の高湿度下カール保持率、標準K90処方の90%超のカール圧縮率および0.85未満のフレーク値を有し、それにより透明ヘアゲル組成物が0.3から0.6重量%のゲル化剤および2から4重量%のポリマー固定剤系を含み、前記ポリマー固定剤系が、部分的に加水分解された低分子量のポリビニルアルコールおよびポリビニルホルムアミドの混合物を含み、ポリビニルアルコールのポリビニルホルムアミドに対する比率が1:2から2:1であり、かつ、前記ゲル化剤がAMPで中和されたカーボポール940を含む、透明なヘアゲル組成物。
【請求項15】
好ましくは100,000から300,000の分子量を有する少なくとも1つのPVF、および少なくとも1つのPVOH、好ましくは少なくとも1つの低分子量PVOHの混合物を含むポリマーヘア固定剤系であって、前記低分子量PVOHが、好ましくは部分的に加水分解されたグレードである、ポリマーヘア固定剤系。

【公表番号】特表2012−509358(P2012−509358A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543769(P2011−543769)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065325
【国際公開番号】WO2010/057887
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】