説明

透明オイルゲル化系

【課題】唇に油性感を与えないが、最終製品のつや(gloss)および輝き(shine)を改良する有意な水準の透明度及びソフトな液状ゲルタイプの製品の提供。
【解決手段】ゲル化剤として、効果的な量の少なくとも1種のシリカおよび少なくとも1種の糖脂肪酸エステルを含んでなるゲル化剤システムを利用する。この系は、極性オイルのゲル化に対して有用であり、局所組成物に有用な透明または半透明のゲルを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野に関する。より具体的には、本発明は、化粧オイル用のゲル化系に関する。
【背景技術】
【0002】
女性に、絶対不可欠な化粧品はと訊ねると、一般的に高い確率でリップカラーがビューティーワードローブの不可欠なものであると答える。化粧品の一般消費者に非常に幅広く用いられる製品においては、新しく斬新な製品種に継続的な要求があることは驚くべきことではない。リップ製品の最近の傾向として、化粧直しの必要なしに数時間適切な場所にとどまるもの、および高水準のつやと輝きを提供するものがある。多くの場合には、これら2つの特徴を組み合わせることは非常に望ましい。現在利用可能なこれら製品種は非常に多種類存在するが、化粧品上利用可能な製品は類似の根本的な問題を抱えるいくつかの欠点を示すことが多い。例えば、そのままで長持ちする製品は、唇で乾燥し易く不快であり、つやのない仕上がりとなり、そのため保湿トップコートをその上に塗る必要がある。しかしながら、かかるトップコートは処方することが困難である。というのは、かかるトップコートは、非極性炭化水素およびシリコーンを原料とするベースコートの耐久性を損なわないように当該ベースコートと十分に不相溶性である必要があり、同時に、唇に最高水準のつやのある外観を与えるために透明であることが好ましいからである。しかしながら、現在利用可能なトップコート製品は一般に、ほんのわずかな輝きを生じる不透明なスティックである。同様に、高い輝きを付与することを目的としたリップグロス製品では、過度に液状あるいはオイル状の製品を生成することなく、望ましいレベルの透明なつやを達成することは困難である。完全な製品を作る際の問題は、大多数のリップ製品の土台を構成している化粧オイルのゲル化が難しいことにある。最もなじみのあるオイルは一般的に、極性であるので、好ましいレベルの粘度と透明度を達成することは、やっかいである。かかるオイルをゲル化することはもちろん可能であるが、用いられる通常の増粘剤は、ワックスおよび/またはクレーであり、かかる材料の使用により得られる最終製品は一般的に、非常に不透明であるか、さもなければ粘性が低く、望ましい程度より油性感が強い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
唇に油性感を与えないが、最終製品のつや(gloss)および輝き(shine)を改良する有意な水準の透明度を提供する、ソフトな液状ゲルタイプの製品に対するニーズが依然としてある。本発明は、この要求に対する解決法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも1種の化粧品上許容される極性オイルと、少なくとも1種のシリカおよび少なくとも1種の糖脂肪酸エステルを含有する当該オイル用ゲル化剤とを含んでなるゲルタイプの局所用組成物に関する。本発明はまた、オイルをゲル化するのに十分な量および条件下で、少なくとも1種のシリカと少なくとも1種の糖脂肪酸エステルとを、当該オイルに加えることを含んでなる、化粧品上許容される極性オイルをゲル化する方法に関する。本発明の組成物は、滑らか(ソフト)で、つるつるした、透明のゲル、粘稠液またはペーストであり、特に移りにくい(trasnfer resistant)ベースコートのためのつやのあるトップコートとしての、あるいはそれ自体高い輝きを有するリップグロスとしての使用によく適している。本発明はまた、少なくとも1種の極性オイルと、少なくとも1種のシリカおよび少なくとも1種の糖脂肪酸エステルの複合物(complex)を含むゲル化剤とを含有する組成物を皮膚表面に塗布(適用)することを含んでなる、皮膚表面に輝きを付与する方法も含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
組成物のベースは、化粧品上許容される極性オイルである。「化粧品上許容されるオイル」の用語は、製品を塗布しようとする皮膚表面に用いるのに安全であるとして産業上受け入れられるオイルを意味する。極性オイルは、化粧品組成物によくみられる成分であり、疎水性が相対的に欠如していることにより非極性オイル(例えば炭化水素)と区別される。極性オイルは一般的に、炭素より高い電気陰性度を有するヘテロ原子、例えばアルコール残基、またはエステルまたはトリグリセリド成分を含む。有用な極性オイルの例は、制限されるわけではないが、植物油;トリグリセリド(例えば水素化液状植物油など)、例えばヒマシ油、ヤシ油、コーン油、ホホバ油、綿実油、大豆油、クルミ油、小麦の胚種油、杏仁油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヒマワリ(種子)油、パーム核油、キンセンカオイル、イリッペ脂、シアバターおよびカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド;式RCO-OR’を有するエステル(式中RCOはカルボン酸基を表し、OR’はアルコール残基を表す)、例えばネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸トリデシル、パルミチン酸セチル、オクタン酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、2-イソステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ネオペンチルグリコール、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸デシル、セバシン酸ジイソプロピル、ジヘプタン酸PEG-4、リンゴ酸ジオクチル、およびネオペンタン酸イソヘキシル;ポリオール脂肪酸ポリエステル、例えば少なくとも4個の遊離水酸基(ここで当該遊離水酸基の少なくとも80%が、8〜22個の炭素原子を有する1種以上の脂肪酸にてエステル化される)を有する脂肪族もしくは芳香族ポリオール由来の脂肪酸ポリエステルであって、好ましくは、単糖、二糖、および多糖または糖アルコールをはじめとする糖ポリオール由来のポリオール脂肪酸ポリエステルである(米国特許第6,555,097号を参照のこと、当該特許の内容は引用により本明細書に組み込まれる);ならびに脂肪アルコール、例えばラノリンアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコールまたはオレイルアルコールがある。単一の極性オイル、または複数の極性オイルの組み合わせを、当該組成物中で用いてもよい。極性オイルは通常、当該組成物の約10〜約99重量%、より好ましくは組成物の約30〜約95重量%を構成する。固体または半固体である極性オイルを用いる場合には、より量が少なく、例えば約10%以下であり、透明または半透明効果を保持することが好ましい。
【0006】
極性オイル、特に非シリコーン極性オイルは一般的に、ゲル化し、且つ好ましい透明度を保持することが困難である。しかしながら、本発明によれば、極性オイルを首尾よくゲル化する一方で、かなりの透明度を保持する上で重要な要素は、少なくとも1種のシリカと少なくとも1種の糖脂肪酸エステルまたはエーテルとの組み合わせであるいうことが見出された。これら物質が単独で用いられる場合にはどれも、好ましいゲル化効果を提供しないが、以下に詳述するように、一緒に用いる場合には、高粘度で、透明または半透明な液状ゲルであるうえに、透明な輝きまたはつやが望まれる唇その他の皮膚表面に塗布する上で卓越した美観も提供する。いかなる特定の理論にも制限されることは望まないが、スクロース脂肪エステルの水酸基は、シリカ粒子の表面上の水酸基との水素結合を介して相互作用し、エステル分子の脂肪酸部分とその残余の水酸基は、組成物の極性オイル成分と相互作用することができると考えられる。したがって、おそらく、縣濁したシリカが、物理的な架橋結合中心として作用する一方で、脂肪エステルはネットワークスペーサーとして作用し、ゲル相を形成する。この組み合わせの成功は特に、透明感のあるゲル化された極性オイルをこれまでは一般的に首尾よく生成することができなかったという点から驚かされる。
【0007】
あらゆるシリカ粒子は、当該粒子の表面が完全に被覆されていなければ、本発明のゲル化法において用いることができる。部分的に被覆された製品の使用は、可能ではあるが、好ましい効果を得るためにより高水準のシリカの使用が必要となろう。用いられるシリカの量は特に重要ではないが、組成物の約40重量%の量まで用いることができる。しかし一方で、より高水準のものである程、より乾燥した審美的にはより劣る生成物が生成し、また、露出表面積のより少ない粒子で必要なより高水準のものは、より低水準のものと同様な粘性が得られない。ゲル化剤成分中に用いられる好ましいシリカはヒュームドシリカである。「ヒュームドシリカ」は、例えば空気中で四塩化ケイ素を焼成するなどの焼成法(即ち、四塩化ケイ素の火炎加水分解)によって調製され得る表面積の大きい粉末化されたシリカを意味し、純度が99.8%以上のものである。この方法においては、サブミクロンサイズの溶融シリカ球が衝突し、融合して、約0.1〜0.5ミクロン長の三次元で分岐した鎖状様の集合体を形成する。冷却は非常に速く、粒子の成長を制限して、ヒュームドシリカの無定形を確保する。ヒュームドシリカは、未処理の形態であるか、あるいはシリカをより極性または非極性にするように表面処理された形態で入手可能である。あらゆる種類が用いられ得るが、本発明において用いられるヒュームドシリカは、未処理の、あるいはせいぜい部分的に処理されたものが好ましい。非極性物質で完全に被覆されたヒュームドシリカは、好ましい効果を提供しないであろう。一方で、極性物質(例えばジメチコーンコポリオール)で被覆されたシリカは、多少の有用性を与えるであろう。ヒュームドシリカの表面積は、好ましくは約90〜約380m2/g、最も好ましくは、約200〜約380m2/gである。特に有用なヒュームドシリカは、Cabot社から商品名Cab-O-Sil M-5として市販されている。審美的に美しい製品のためには、指針として、ヒュームドシリカは、全組成物の約0.2〜約10重量%、好ましくは約1〜約5%で用いる。
【0008】
本発明中で用いられる糖脂肪酸エステルは、飽和もしくは不飽和のC12-C22脂肪酸、好ましくはC16-C20脂肪酸と、糖またはアルキル糖(当該アルキル基は、1〜8個の炭素原子を含有する)との反応によって得られる化合物である。糖は、好ましくは単糖またはオリゴ糖である。有用な単糖またはオリゴ糖の例には、制限されるわけではないが、グルコース、スクロース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、マンノース、マルトース、トレハロース、メリビオース、ラフィノース、またはリボースが含まれる。好ましい糖脂肪エステルは、グルコースまたはアルキルグルコースの脂肪エステルである。アルキルグルコースの脂肪酸エステルは、グルコースのエーテルであり、当該アルキル鎖には1〜8個の炭素原子、好ましくは1-4個の炭素原子が含まれる。好ましいエステルは、モノ-、ジ-、トリ-およびテトラエステル誘導体の混合物を含有してもよい(ここでそれら誘導体の割合は、混合物全重量中、モノ-およびジエステル誘導体が少なくとも50重量%、通常95重量%を超えない)。本発明において用いてもよい糖脂肪エステルの例には、制限されるわけではないが、スクロースモノラウリン酸エステル、グルコースパルミチン酸エステル、アルキルグルコースセスキステアリン酸エステル、例えばメチルグルコースセスキステアリン酸エステルおよびアルキルグルコースパルミチン酸エステル、例えばメチルグルコースパルミチン酸エステルまたはエチルグルコースパルミチン酸エステル、並びに、かかる化合物のPEGもしくはPPG誘導体、例えば、PEG-20メチルグルコースセスキステアリン酸エステルが含まれる。かかる化合物は、例えば商標GlucateTM、GlucamTM、およびGlucamateTM(Amerchol)、GrillocoseTM(Grillo-Werke)、およびAntilTM(Goldschmidt)の下で広く市販されている。当該組成物中に用いられるエステル量は、組成物重量%で約0.1〜約10%、好ましくは約0.5〜約5%である。
【0009】
最終製品の粘度は、シリカ量と糖脂肪酸エステル量の比に依存する。概して、これらの物質(シリカ対エステル)の比は、約10:0.5〜0.5:5.0の範囲にあり、シリカの量がより少ない程、より低粘度の製品となり、シリカの量がより多い程、より高粘度の製品となる。製品のシリカ:エステル比が、約6:1〜1:5、より好ましくは約4.0:1.0〜1:1、最も好ましくは約3:1〜1:1であることが、特に好ましい。当該粘度はまた、最終的に、極性オイルの量に対して用いるゲル化剤の量に影響され、より高粘度は、より量の多いゲル化成分にてもたらされる。当該粘度はまた、シリカが、より極性のオイル中でより容易に縣濁するので、用いるオイルの極性によっても影響される。これは恐らく、シリカの水酸基とオイルの極性基との相互作用によるものであり、その結果、十分に縣濁するシリカは、それほど容易に縣濁しないシリカよりも少量にて使用可能である。ゲルの透明度もまた、用いる糖エステルの量により影響され得る。より不透明なゲルは一層、独特で審美的に美しい性質を有するゲル系を提供するのではあるが、透明性または半透明性のゲルがより好ましい。したがって、最終製品の透明度を維持するために、配合物中に、全体として、約3%以下のエステルを用いることが好ましい。透明度はまた、シリカをエステル中に、十分に分散されることを確保することにより増大し、これは均一化時間を引き延ばすことによって達成され得る。
【0010】
オイルをゲル化する際にシリカと糖脂肪酸エステルとの組み合わせを用いることは、比較的簡単である。シリカとオイル成分が滑らかになるまで一緒に混合する。次いで、当該エステル以外の組成物の任意追加成分を添加し、ブレンドする。この間、糖エステルの融点を約10℃超える温度にまで上昇させる。次いで、エステルを混合物に添加して、溶解するまで混合し、その同一温度および混合条件下で、数分間(例えば30分)、ネットワーク形成が完成する(一般的に、全成分が溶解する時点に起こる)まで混合を継続する。次いで、生成物を室温あるいは好ましい注入温度に下げる。
【0011】
上記成分は、許容可能なゲルを生成するのに必要とされる最低限を示しているが、追加の官能性を付与するために組成物中に追加成分を混合することが望ましいかもしれない。特に好ましい成分は、1種以上の炭化水素ポリマー、特に分子量が約400〜6000ダルトンの高粘度液体またはペースト状のポリマーである。より高分子量が用いられ得るが、製品の透明度が減少する傾向にあり、透明よりも寧ろより半透明な外観となる。炭化水素ポリマーは、若干の追加の粘度を付与する場合に有用となり、製品の触感の一因ともなる。一般に、炭化水素ポリマーは、組成物に、より大きな粘着性を付与し、より長持ちとなる。当該目的にとって有用な物質の例は、線状または分岐したポリブテン、ポリイソブテン、ポリエチレン、ポリデセン、それらの水素化誘導体、およびそれらのコポリマー、ならびにこれらの混合物である。特に好ましいものは、水素化ポリイソブテンである。炭化水素ポリマーを用いる場合には、組成物重量%で約1〜約70%、好ましくは約5〜約50%である。
【0012】
追加の任意成分は、油溶性膜形成剤、例えば、アクリレートポリマー、ポリウレタン、線状または分岐したポリ炭化水素膜形成剤であってもよい。膜形成剤は一般的に、0〜約20重量%の量で用いられる。
【0013】
組成物はまた、油溶性活性剤およびスキンコンディショナーを含有してもよい。非限定的なこれらの物質の例には、抗酸化剤、セラミド、脂肪酸、日焼け止め剤、皮膚軟化剤、油溶性ビタミンおよび植物抽出物などが含まれる。組成物をエマルジョンの油相として用いる場合には、水溶性活性剤も含み得る。
【0014】
意図する最終用途に応じて、製品はまた、着色剤も含み得る。表面処理されていても、あるいはいなくても、製品を適用する領域での顔料の使用が許容され得る限りにおいて、あらゆるタイプの顔料を、本発明の製品に用いることができる。有用な顔料の例には、酸化鉄(黄色、赤色、褐色または黒色)、二酸化チタン(白色)、酸化亜鉛、酸化クロム(緑色)、クロム水和物(緑色)、ウルトラマリン、マンガンバイオレット、フェロシアン化第二鉄、カルミン40、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、またはそれらの組合せが含まれる。干渉顔料は、高い屈折率を有する薄い板状の層状粒子であり、特定の厚みにて異なるプレート層からの一般的に2、場合によりそれ以上の反射光の干渉により生じる干渉色を生み出すが、所望により、この顔料を添加することで製品に真珠光沢を付与することもできる。組成物はまた、1種以上の化粧品上許容されるグリッター(glitter)、即ち、透明または着色した、固体有機材料の粒子、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリメタクリレート、およびポリ(ビニルブチラール)、金属粒子、または金属被覆されたフィルムもしくは紙の粒子を含有してもよい。
【0015】
場合により、有機顔料も含んでいてよく、これらの中には天然着色剤ならびに合成モノマーおよびポリマー性着色剤がある。例としては、フタロシアニンブルーおよびグリーン顔料、ジアリリドイエローおよびオレンジ顔料、およびアゾタイプ赤色および黄色顔料、例えばトルイジンレッド、リソレッド、ナフトールレッドおよび褐色顔料がある。アルミナ、バリウム、またはカルシウム水和物など、不溶性基材上での有機染料の析出および吸収によって形成される顔料であるレーキも有用である。特に好ましいレーキは、主としてFD&CまたはD&Cレーキ、およびそれらのブレンドである。例えばブロモダイおよびフルオレセインダイなどの染料もまた用いることができる。顔料が用いられる場合には一般的に、組成物重量%で約0.1〜約30%、好ましくは約0.1〜約20%の量で存在する。
【0016】
本発明のゲル系は、他のゲル化系が化粧品組成物中に存在するのと同様の方法にて用いることができる。化粧品におけるゲル化剤系の一般的な使用は、構造上の支持、液体の流れ止め、含有活性体の放出制御などである。本発明のゲル系は、あらゆるこれらの機能性を提供し、あらゆる極性オイル含有化粧品、例えばスキンケアクリーム、ローション、スティックまたは美容液の増粘成分として、並びに、カラー化粧品、例えばアイシャドー、ほお紅、マスカラ、リップスティック中に用いることもできる。この極性オイル系ゲルは、無水の製品中にそのままで、あるいは水油性エマルジョン系の油相を増粘するために用いることができる。当該ゲル系は、リップ製品のベースとして非常に有用である。つや消しの、耐久性の、移りにくいまたは乾燥性であり得る炭化水素またはシリコーン系ベースコート(制限されるわけではないが、例えば米国特許第6340466号または第6019962号に記載のものであり、当該内容は本明細書に引用により組み込まれる)に対して、保湿または輝き付与のトップコートに用いるときに特に有利であり、耐久性もしくは移りにくい製品の持ち(wear)を改良し得る。当該ゲル系は、そのままで、リップグロス、リップクリームおよびソフトゲルリップカラーとして有用となり得る。この点で、高い輝きのリップ製品における非常に一般的なフェザリング(feathering)の防止や、製品自体および一緒に用いられるあらゆる移りにくいベースコートの耐久性および移りにくさを高めるのに有用である。
【実施例】
【0017】
本発明をさらに、下記の非限定的な実施例にて説明する。
【0018】
実施例1
本実施例は、本発明の組成物の配合物を例証する。
【0019】
A
【表1】

【0020】
B
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の極性オイルと、少なくとも1種のシリカ、少なくとも1種の糖脂肪酸エステルおよび分子量が400〜6000である炭化水素ポリマーを含有する極性オイル用ゲル化剤系とを含んでなる、皮膚に局所適用するための透明液状ゲル組成物であって、シリカと糖脂肪酸エステルの比が3:1〜1:1であり、炭化水素ポリマーは組成物重量%で5〜50%の量で存在し、シリカ粒子は極性オイルに十分に懸濁しており、架橋結合中心として作用し、糖脂肪酸エステルはネットワークスペーサーとして作用し、糖脂肪酸エステルの水酸基は、シリカ粒子の表面上の水酸基と水素結合を介して相互作用するとともに、極性オイルと相互作用してゲル相を形成する、前記組成物。
【請求項2】
極性オイルが、植物油、トリグリセリド、式RCO-OR’を有するエステル(式中RCOはカルボン酸基、OR’はアルコール残基である)、ポリオール脂肪酸ポリエステル、脂肪アルコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シリカがヒュームドシリカである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
エステルが、スクロースモノラウリン酸エステル、グルコースパルミチン酸エステル、アルキルグルコースセスキステアリン酸エステル、アルキルグルコースパルミチン酸エステル、それらのPEG誘導体、それらのPPG誘導体、およびこれらエステルのいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
植物油、トリグリセリド、式RCO-OR’を有するエステル(式中RCOはカルボン酸基、OR’はアルコール残基である)、ポリオール脂肪酸ポリエステル、脂肪アルコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の極性オイルと、
少なくとも1種のヒュームドシリカ、およびスクロースモノラウリン酸エステル、グルコースパルミチン酸エステル、アルキルグルコースセスキステアリン酸エステル、アルキルグルコースパルミチン酸エステル、それらのPEG誘導体、それらのPPG誘導体、およびこれらエステルのいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の糖脂肪酸エステルを含む極性オイル用ゲル化剤系と
を含んでなる、皮膚に局所適用するための透明液状ゲル組成物であって、
シリカと糖脂肪酸エステルの比が3:1〜1:1であり、シリカ粒子は極性オイルに十分に懸濁しており、架橋結合中心として作用し、糖脂肪酸エステルはネットワークスペーサーとして作用し、糖脂肪酸エステルの水酸基は、シリカ粒子の表面上の水酸基と水素結合を介して相互作用するとともに、極性オイルと相互作用してゲル相を形成する、前記組成物。
【請求項6】
唇に塗るための組成物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
(a)炭化水素またはシリコーンを含むベースコート、および
(b)極性オイルと、少なくとも1種のシリカ、および少なくとも1種の糖脂肪酸エステルを含有する極性オイル用ゲル化剤系とを含んでなる透明液状ゲルトップコートであって、シリカと糖脂肪酸エステルの比が3:1〜1:1であり、シリカ粒子は極性オイルに十分に懸濁しており、架橋結合中心として作用し、糖脂肪酸エステルはネットワークスペーサーとして作用し、糖脂肪酸エステルの水酸基は、シリカ粒子の表面上の水酸基と水素結合を介して相互作用するとともに、極性オイルと相互作用してゲル相を形成する、前記透明液状ゲルトップコート、
を含んでなる、色および/または輝きを唇に付与するための、組み合わせ化粧品。
【請求項8】
トップコートが、
植物油、トリグリセリド、式RCO-OR’を有するエステル(式中RCOはカルボン酸基、OR’はアルコール残基である)、ポリオール脂肪酸ポリエステル、脂肪アルコール、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の極性オイルと、
ゲル化剤として効果的な量の、少なくとも1種のヒュームドシリカ、ならびにスクロースモノラウリン酸エステル、グルコースパルミチン酸エステル、アルキルグルコースセスキステアリン酸エステル、アルキルグルコースパルミチン酸エステル、それらのPEG誘導体、それらのPPG誘導体、およびこれらエステルのいずれか2種以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の糖脂肪酸エステルを含むゲル化剤系と、
を含んでなる、請求項7に記載の組み合わせ化粧品。
【請求項9】
ベースコートが長持ちする、あるいは移りにくい、請求項7に記載の組み合わせ化粧品。

【公開番号】特開2010−280692(P2010−280692A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175182(P2010−175182)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【分割の表示】特願2006−539683(P2006−539683)の分割
【原出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】