透明フィルタ付キャピラリー
所定の公称寸法またはフロー注入口(12)に入いるサイズ範囲である1または2以上の粒子をトラップするマイクロ流体反応器(10)は、透明反応ゾーン(14)を含む。当該透明反応ゾーンは、その場検出ゾーンとしても機能し、当該検出ゾーンは、光検出器(456)に形状が対応するように配置される。公称寸法または粒子(200)のサイズ範囲より小さい複数の孔(160)を有する多孔性フィルタ(16)は、反応ゾーンにおいて粒子をトラップするように配置されるが、流体(18)は、フロー注入口(12)から反応ゾーン(14)およびフィルタ(16)を通って流れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、高生産性の生物学的測定デバイスに関し、特には高生産性である粒子ベースの生物学的測定デバイスにおけるキャピラリーチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子ベースの測定法(particle-based assay)が知られている。粒子ベースの測定法を用いて、生体分子反応が、微粒子と呼ばれる微小なビーズの表面またはマイクロロッドと呼ばれる微小な棒の表面において行なわれる(標準サイズは、サブミクロンおよびミクロンの範囲である)。生体分子反応を研究するための粒子ベースの測定法を使用するために、各反応に対して、多くの分子が、最初に粒子の表面に付着されるかまたは固定化される。これらの付着分子は、通常プローブと呼ばれている。ターゲット分子を含むサンプル溶液が、それぞれの井戸またはチューブに適用され、”処理された”粒子と混合される。サンプル中に存在するターゲットすなわち分析物は、プローブ分子と反応する。一般に、サンプルにおけるターゲットと同時に出る(co-exited)ターゲット分子すなわち参照分子は、光学活性化合とくっついており、当該光学活性化合物の蛍光または発光は、例えば、ターゲット分子(すなわち参照分子)とプローブ分子との間の反応中に増加する。従って、サンプル流体の組成についての定性的および/または定量的な分析は、井戸の内容物を照射し且つ光学的にスキャンすることによって行われ得る。多重化した測定フォーマットにおいて、粒子は、内部で色分けされるかまたは異なる所定の色またはバーコード付きロッドのカラーストライプのような反射パターンでコード化されるかまたは組み込まれた赤外(IR)分光およびラマン分光と合成され、多数の反応がたった1つのチューブまたは井戸において行われるようになり得る。この場合に、2つの情報源があり、当該2つの情報源は、反応のタイプを特定するための、粒子内部の所定パターンおよび生体分子反応の大きさを示すための、粒子表面上におけるレポーターカラー(reporter color)である。
【0003】
粒子ベースの測定法は、通常、多くの洗浄サイクル,培養の異なる段階およびデータ分析からなる。他の手間のかかる方法のうちで、当該測定は、例えばミリポア社(Millipore Corporation, Bedford, MA)から入手できる、底部にフィルタが付けられたマイクロプレートCat.#MABVN−1210または遠心分離管において行われる。底部にフィルタが付けられたマイクロプレートを使用する際に、洗浄サイクルおよび培養が、マイクロプレートのそれぞれの井戸において実行される。試薬またはサンプル(ターゲット分子)が、粒子を含むそれぞれの井戸に加えられ、各ステップの後に、ろ過マニホールド(filtration manifold)(例えば、ミリポア社,Bedford, MA,Cat.#MAVM09601)を使用して、溶液が真空を介して井戸から除去される。洗浄および培養は、測定が終わるまで繰り返される。遠心分離管が使用される場合には、最初にチューブ中の粒子を遠心分離することによって洗浄が手動で行われ、次に、チューブから溶液を完全に吸引することが続けられる。当該吸引は、吸引チップ(吸引器)をそれぞれのチューブの底部に静かに下ろすことによってなされる。粒子ペレットを吸引しないように気を付けなければならない。吸引後に、測定が終わるまで、洗浄および培養が繰り返される。多重化した測定フォーマットにおいて、異なる井戸またはチューブから異なる粒子が除去され、洗浄および培養の第1段階後に1つのチューブまたは井戸の中で混合される。その後、さらなる洗浄サイクルおよび培養が行われて測定が終了する。両方の方法において、粒子ベースの測定を行うときに、多くの洗浄サイクルおよび培養は手間がかかり且つ粒子の損失が問題となる。
【0004】
測定終了時に、試験結果を分析するために、粒子混合物は井戸またはチューブから除去され、一列に粒子を並べる血球計算器中に注入される。血球計算器においては、レーザがそれぞれの粒子の表面に色を照射する。粒子の内部に所定のパターンがある場合には、(例えば改良された血球計算器のような)特注の機器が必要とされ、余分のレーザが粒子内部のパターンを照射して反応のタイプを識別することとなる。次に、最新式光学素子が色信号を捕らえる。最後に、デジタル信号処理が、信号をそれぞれの反応に対してリアルタイムで定量的なデータに変える。或いは、粒子は、粒子混合物から分離され且つ乾燥される。その後、それらはデータ分析のためにスキャナでスキャンされおよび/または光学顕微鏡で撮像される。両方の方法は、粒子混合物のさらなる処理および移動を必要とすることは明らかである。このことによって、粒子の損失が引き起こされるかもしれないので、多くの粒子が必要とされ得る。乾燥方法において、粒子がデータ分析に影響を与える単分子層を形成するように積み重なることを防ぐことは極めて難しい。また、データ分析のためのイメージングまたはスキャニングに対する粒子を準備する効率的な方法を提供しないかかる従来方法において、複雑な流体の処理が必要とされる。
【0005】
低圧フィルタアッセンブリは市販されている。しかし、既存製品の主な不利点は、それらは透明ではないので、スキャニングおよびイメージングを通して粒子のデータ分析を妨げることである。また、低圧フィルタアッセンブリはポリマーから作られており、当該ポリマーは、生体適合性がないかもしれず且つ熱または溶媒に耐えないかもしれない。従って、最低限のサンプル,最小限の粒子損失または人による操作で、粒子ベースの測定を便利に行うためのツールが望まれている。
【0006】
さらに、遺伝子検査は、本発明が意図するところのもう1つの分野である。遺伝子検査の手順における2つの重要段階である細胞単離および核酸増幅反応は、コンピュータ数値制御で機械加工されたPlexiglasをベースにしたマイクロチップモジュールにおいて示されている。当該マイクロチップモジュールは、温度サイクリングのための特注のヒーター−クーラー,人間の全血および試薬を二重目的のガラス−シリコンマイクロチップの内外に運ぶ、一連のマイクロチャンネルからなっている(Yuenなど,Genomic Reserch,2001,11,405−412)。細胞単離およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、一連の3.5m形状のダム型フィルタ(フローチャンバーにかかっているエッチングされたシリコンダムによって形成される)を含む、二重目的のガラス−シリコンマイクロチップの内部で行われる。マイクロチップモジュールは、細胞単離およびPCRを統合するための有効なツールであることが示されているが、このマイクロチップモジュールは、クリーンルーム環境で作製されなければならないガラス−シリコンマイクロチップを作製する困難なステップを必要とする。また、マイクロチップモジュールのそれぞれの構成部品は、別々に作製された後、使用の前に一緒に組み立てられなければならない。従って、マイクロチップモジュールのこの欠点を克服することができるマイクロチップモジュールに対する別の方法は貴重であり且つ魅力的である。
【発明の開示】
【0007】
本発明の1つの態様は、フロー注入口に入るサイズ範囲または所定の公称寸法である1または2以上の粒子をトラップするマイクロ流体反応器であって、その場検出ゾーン(in-situ detection zone)としても機能する透明反応ゾーンを含み、当該検出ゾーンは、光検出器の形状に対応するようになされている。公称寸法または粒子のサイズ範囲より小さい、複数の孔を有する多孔性フィルタは、反応ゾーンにおいて粒子をトラップするようになされているが、流体はフロー注入口から反応ゾーンおよびフィルタを通って流れることを特徴としている。
【0008】
他の態様において、本発明は、複数の小さいキャピラリーの大きいキャピラリーに対する一体化を含み、マイクロ流体反応器としてフィルタ付キャピラリーチューブを形成する。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明において説明されており、部分的にその説明から当業者に明らかであるかまたは添付図面と同様に、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を含み本願に説明されている発明を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
前述の概要および以下の詳細な説明は、本発明の実施例を示すものであり、特許請求の範囲にあるように、本発明の性質および特徴を理解するための概要又は構造を与えることを意図しているということが理解されるべきである。添付図面は本発明のさらなる理解をあたえるために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ且つ本明細書の一部を構成するものである。図面は、本発明のさまざまな実施例を示しており、説明とともに本発明の原理および動作を説明する働きをしている。
【好ましい実施例の詳細な説明】
【0011】
本発明の好ましい実施例に対する言及が詳細になされ、その例は添付図面に示されている。可能ならばいつでも、同一の参照番号が同一部分または類似部分を言及するために図面を通して使用されるであろう。本発明のマイクロ流体反応器の1つの実施例は、図1に示されており、参照番号10で示されている。本発明によると、マイクロ流体反応の方法および装置に対する本発明は、所定の公称寸法またはフロー注入口12に入るのサイズ範囲である1または2以上の粒子をトラップする第1の要素またはステップを含む。透明反応ゾーン14は、その場検出ゾーン(in-situ detection zone)として機能し、図4,図5および図6に示されているように、この検出ゾーンは、光検出器456に形状において対応するように配置される。粒子200のサイズ範囲または公称寸法より小さい、複数の孔160を有する多孔性フィルタは、反応ゾーン14における粒子をトラップするように配置されるが、流体18は、フロー注入口12から反応ゾーンおよびフィルタ16を通って流れる。本願において具現化され且つ図1に示されるように、反応ゾーン14は、透明なキャピラリーから形成されることができ、当該キャピラリーは、ガラス,ポリマーまたは適切な耐溶剤性を備えて被覆され得る他の適切な材料から作られ得る。
【0012】
キャピラリチューブの内面および外面は、検出器に対してイメージ可能な表面(imageable surface)を与えるような適当な形状であることができる。例えば、円形,正方形または長方形の内部チャンネルは、キャピラリチューブによって与えられることができ、多孔性フィルタ16と一体化される反応ゾーン14を形成することとなる。キャピラリチューブの断面形状は、正方形または長方形であることが好ましく、その内部および外部は、図4,図5および図6において使用される検出器456の形状に対応している。円形のキャピラリチューブよりもむしろ正方形または長方形のキャピラリチューブを使用する利点は、粒子がデータ分析のために容易にスキャンされ且つ像を取得されることができるということである。図1に見られるように、長方形のキャピラリフィルタチューブは、粒子をイメージングするための表面積をも増大させる。多孔性フィルタ16は、反応ゾーン14にわたって横方向に延在する。フロー注入口12はフロー軸120を定め、フィルタ16はフロー軸120と交差し、フィルタをキャピラリーと統合することによって多孔性反応チャンバを形成してフィルタ付キャピラリチューブまたはマイクロ流体反応器10を与えることとなる。
【0013】
マイクロ流体反応器10を与えるフィルタ付キャピラリチューブの中で、多くの洗浄サイクル,異なる段階の培養およびデータ分析を含む、粒子ベースの測定は、最小限の粒子損失および人の操作で容易に行われ得る。可能である粒子ベースの測定は、DNAハイブリダイゼーション,免疫学的検定,酵素/基板のアクティビティ等を含む。
【0014】
1つの長方形であるフィルタ付キャピラリチューブが、図1に簡単に示されている。ミクロンからナノサイズの粒子100または200は、分析物,サンプルまたはターゲット300として、またはキャリア,基板または珍しい官能基またはプローブ400を取り付けるためのミクロサイズの支持ビーズとしての使用に対する、検出可能なナノサイズのラベル100として、フィルタ付キャピラリチューブの内部に配置される。支持ビーズ200からプローブ400またはナノサイズラベル100からターゲット300への強い結合を示す線が示されているけれども、実際の化学結合が形成されることは必要とされないが、物理吸着が、例えば官能基の形で結合を形成するために示され得るということが認識されるべきである。しかし、官能基は、プローブ400,ターゲット300,支持ビーズ200,ナノサイズラベル100またはそれらの結合を示す線の一部であり得る。
【0015】
マイクロビーズの代わりに、粒子200は、例えば分析されるべき血球または他の生体分子のような細胞でもあり得る。この場合に、フィルタ付キャピラリチューブは、単離の間に赤血球がフィルタを通って通過する、人間の全血から白血球を分離するために使用され得る(Yuenなど,Genomic Reserch,2001,11,405−412)。その後、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、フィルタ付キャピラリチューブの内部の白血球と行われ得る。従って、本発明の他の実施例は、可能である分析の1つのタイプとして、細胞単離および核酸増幅反応を行う遺伝子検査の分野である。
【0016】
図10〜図13を参照すると、白血球200”の形である粒子は、最初にフィルタ付きキャピラリ10における少容量(例えばマイクロリットル未満)の人間の全血から分離される。当該フィルタ付キャピラリ10は、一連のミクロンサイズ(例えば3.5μm)のフィルタまたは開口部160を含み、小さい赤血球100’は除去される。ゲノムターゲットは、生物分析を行うために、キャピラリー10のフィルター部または反応ゾーン14において分離された白血球から放たれたDNAに関してPCRによって徐々に直接的に増幅される。このことは、最初にフィルタ付キャピラリーをリン酸塩緩衝化塩(phosphate buffered saline)で通すことによってなされ、フィルタ付キャピラリーの内部に残る空気がないことを確実にする。その後、少量の人間の全血がフィルタ付キャピラリー10の内部に注入される。全血の注入に続いて、ゲノムターゲットを含むPCR測定混合物は、フィルタ付キャピラリーを通して注入され、細胞単離工程が終了する。最後に、フィルタ付キャピラリーは、反応ゾーン14に適用された発熱体137を有する温度制御モジュールの内部で熱サイクリングを受け、フィルタ付キャピラリー10の各端部は一対のゴム製ガスケット750でシールされて、熱サイクリングの間にPCR測定混合物の蒸発を妨げることとなる。最後に、PCR生成物は、検出のために再生され得る。
【0017】
粒子100または200は、例えばガラスまたはセラミックのホストにおいて、希土類元素(RE)A,B,CまたはDのさまざまな組み合わせで均質的にドープされるかまたは空間的にパターンがつけられ、例えばコード0,1および2のそれぞれに対して、図7における最終的な粒子200’,201および202を形成するようにコード0,1,2,4または8を与えることとなる。空間的にストライプのあるロッドすなわちパターンロッドは、図4において1とマークがつけられた粒子200としてみられる。希土類元素でドープされたガラスは、それらの狭発光帯域,高量子効率,一般の蛍光ラベルとの非干渉性および殆どの有機溶剤または水溶液に対する不活性のために、キャリアビーズに対して好ましい。粒子100または200は、キャリアビーズとして使用され、後の蛍光検出のために、それぞれプローブ400またはターゲット300と結合する。従って、粒子100はREターゲットラベルとして使用されることができ、粒子200はREプローブキャリアとして使用されることができる。また、粒子100は、従来のプローブを有するREターゲットとして使用され得る。さらに、例えば一般的な蛍光分子色素ラベルのような、従来のターゲットラベルは、例えば図7における最終的な粒子200’,201および202のようなREプローブキャリアとして粒子200とともに使用され得る。
【0018】
流体が通って流れる一方粒子を捕らえることを可能にするように、材料が多孔性である限り、多孔性フィルタはガラス,ポリマー,金属またはいかなる他の材料から作られ得る。複数の孔は、パターン化されるかまたは無作為化された、例えば長方形,六角形,円形,正方形などのようないかなる形状からなり得る。通常は、フィルタのサイズは、ミクロサイズの粒子200の流れをブロックするように十分小さく設計される。しかし、他のアプリケーションにおいては、フィルタは、より小さいナノサイズの粒子100を捕らえるように十分小さくも作られ得る。
【0019】
図1に示されるように長方形である代わりに、反応ゾーン14を形成するキャピラリチューブは、円形の多孔性フィルタを収容するために円形であり得る。
【0020】
図2を参照すると、可能である多孔性フィルタ16の断面が示されている。本願で例として挙げられ且つ図に示されるように、多孔性フィルタ16は、ミクロ構造ファイバの一部を含む。ミクロ構造ファイバ(例えば、20μmの孔を有するコーニングフォトニック結晶ファイバ)は、図1の粒子200のサイズより小さいサイズの孔を有する、他のタイプのミクロ構造を使用するドレインまたは濾過のシステムであり得る。525μmの外径は、21.4μmのピッチすなわち間隔で分離された、最大直径20μmの孔を有するフォトニック結晶ファイバの直径として使用され、約0.94のピッチD/Pにわたってボイド充填部(void filling fraction)または体積比直径(volume ratio diameter)を与えることとなる。かかるフォトニック結晶ファイバを作製する工程は、より小さいキャピラリーを管またはスリーブの中に挿入し且つ積み重ねることによって知られている。当該ピッチは、それぞれの孔が粒子の最も小さい直径よりも小さい限り、規則的である必要はない。
【0021】
図3を参照すると、マイクロ流体反応器10に対する1つのフィルタ付キャピラリチューブを作製するための融解工程および崩壊工程(collapsed process)が、例示的な工程として示されている。図2に示されるような断面を有するフィルタ16は、反応ゾーン14としてキャピラリーチューブの一部分を与えるために、加熱を通してキャピラリーチューブの内部で融解される。図2に示されたもののような短いミクロ構造ファイバ(濾過の間に圧力降下を低減するために出来る限り短い(例えば<3mm)ことが好ましい)は、最初に1つのキャピラリーチューブの内部に配置される。円形のキャピラリーチューブの外径は約2.65mmであり、約0.54mmの内径を有している。しかし、キャピラリーチューブおよびミクロ構造ファイバの寸法は、アプリケーションに応じて変動し得る。その後、真空302がキャピラリーチューブの両端に加えられる。次に、熱304がミクロ構造ファイバの位置でキャピラリーチューブの外表面に加えられる。局所的な加熱は、ミクロ構造ファイバが配置されている全ての方向から均一にキャピラリーを加熱するために、リングまたは同様な形状のバーナーを使用して行われ得る。真空の存在によって、加熱されているキャピラリーチューブは、それがミクロ構造ファイバの外表面に接触し且つ融解するまで崩壊する。ミクロ構造ファイバの部分は、崩壊領域よりも長いかまたは短くても良い。
【0022】
製造についての他の方法は、キャピラリーチューブの一端または両端から延在する、ミクロ構造ファイバの長い部分を挿入することである。 ファイバは、1または2以上の場所でスクライブされることができ、崩壊工程の後に当該ファイバが容易に且つきれいに壊されることを可能にし、チューブ内部に融解した短い部分のみを残すこととなる。ミクロ構造ファイバの内部の圧力は、チューブ内部と同じ真空下におかれるかまたはその圧力は変動され得る。
【0023】
基本型は、2.65mmの外径および540μmの内径を有するガラスキャピラリーチューブの内部に融解したフィルタと同様に、525μmの外径,20μmの孔および21.4μmのピッチを有するコーニングフォトニック結晶ファイバを使用して製造される。キャピラリーチューブは、12−ポート、5/16インチのリングバーナーからのメタン/酸素の炎および15インチのHg真空を使用して崩壊され、チューブがファイバに融合されている、3〜4mmの崩壊領域を生じることとなる。一体化したフィルタ付キャピラリーチューブの周囲は、容易な積重ねおよび/または容易なイメージングのために長方形または正方形を形成するようにスライスされるかまたは形付けられ、または円形に残され得る。
【0024】
基本型の一体型キャピラリーフィルタは、粒子としての部分カタログ#07668としてポリサイエンス社(Polysciences, Inc., Warrington, PA)から入手可能な、10〜30μmのガラスビーズで試験される。結果は、ガラスビーズの損失を最小限にして、多くの洗浄サイクルおよび培養を行うことが可能であるということを示している。また、キャピラリーフィルタチューブの反対端およびフィルタが付けられた端部に溶液を注入する事によって、最小の損失でガラスビーズを再生することが可能である。このことは、図7〜図9に見られるように、最初に異なるビーズが分離して処理されなければならなくて、その後、それらがさらなる培養および洗浄のために1つのチューブの中で再生され且つ混合される複合測定が行われるときに重要である。有利なことに、フォトニック結晶ファイバフィルタは、高性能のための極めて低い逆圧を有する高効率濾過を与える。さらに、小さいフィルタを連続して積み重ねる事によって、さまざまなサイズのビーズが、高度に多重化した測定に対して分離され得る。
【0025】
図7〜図9を参照すると、フィルタ付キャピラリー10で多重測定を行うときに、異なる化学作用および異なるプローブ固定が、最初に、異種粒子または異なる蛍光発光をする希土類ビーズ200で別々に行われ得る。図7の固定ステップが終わった後に、粒子は再生され且つそれぞれのフィルタ付キャピラリー10の反対端部に洗浄溶液を注入することによって、図8のきれいで未使用のフィルタ付キャピラリー10中で混合される。次に、異なるターゲットを含む溶液120は、図9における混合粒子201,200’および202を含むフィルタ付キャピラリ−10の中に注入され得る。測定の最後に、粒子は、洗浄され且つ一度に1つの粒子または一度に全シーケンスがイメージされる。
【0026】
図4を参照すると、3つの個々のフィルタ付キャピラリーチューブを積み重ねるかまたはまとめることについての簡略化された表示が示されている。各々のフィルタ付キャピラリーチューブは分離したマイクロ流体反応器10として機能し、複合した態様で作用する。より多くのチューブがともにまとめられ得るが、図面の簡略化のために3つのみが示されている。全ての異なるマイクロビーズすなわち粒子200をバイオ分析することに対して同じマイクロ流体反応器10を使用する代わりに、光学検出システムがかかる複数のビーズの配置の検出を許容しない場合には、その後、ビーズ200は、図4に示されるようなまとめられた配置において、個々のマイクロ流体反応器10の中に分離され得る。
【0027】
本発明の教示によると、1つ以上の一体化したフィルタ付キャピラリーチューブを使用することによって、高生産性の粒子ベースの測定デバイスを与えることができる。正方形または長方形のキャピラリーフィルタチューブの内部の高さ40は、チューブがまとめられたときに粒子の単層のみがキャピラリーチューブの内部に形成され得るように、粒子の高さの2倍未満であるべきである。この場合に、漏斗形状をした注入口界面は、図7〜図9に見られるように、粒子をチューブ中に注入するために使用され得る。それぞれのキャピラリーチューブの内部のフィルタは、さらなる流体処理またはそれぞれのキャピラリーチューブの内部への移動なしに粒子を分離する性能を有するが、高生産性フォーマットにも適合され得る。従って、流体処理および流体移動を除去することによって、本発明の教示は粒子損失および積み重ねに関連した問題を解決し、故に必要とされる粒子数を低減し且つ撮像される結果の質を高めることとなる。また、サンプル量すなわち必要とされる測定混合物の量がかなり低減され、潜在的にサンプルおよび粒子消費における低減によって多大なるコスト節約を与える。高生産性フォーマットに適合する性能によって、本発明は低処理量の障壁を克服している。
【0028】
図7〜図9を参照すると、本発明の教示によって、注入界面700は、状況に応じてフィルタ付チューブ10とともに使用され得る。注入界面700は、フィルタ付チューブ10の分離部または一体部分であることができ、フロー注入口を与えるのに役立つ。注入界面700は、漏斗形状をしており且つ図1の粒子200をそれぞれの分離して形成されたフィルタ付チューブ10の中に注入する為に使用されることができ、異なる化学作用および固定を有する粒子200’,201および202を形成する。
【0029】
図1におけるように、フィルタ付キャピラリー10は、粒子200の高さの2倍未満の内部高さを有し、例えば粒子が約30μmであるときに、60μm未満であることが好ましい。
【0030】
界面700は、ガラス,ポリマーまたは金属から作られ得る。漏斗形状の界面700の大きな開口は、例えば約0.05mmから約5mmまで広くなり、漏斗形状の注入口を形成する。界面700は、ポリマー,金属または他の適切な支持材でできたスリーブ710をも含む。スリーブ710は、コーティングまたは同様な材料の内部にポリマーを有し、フィルター付キャピラリー10が界面に差し込まれるときに、水密シールが界面700とフィルタ付キャピラリーとの間に形成されるようになる。その後、例えば図5に見られるシステムのような自動流体分注システムが、粒子溶液20をフィルタ付キャピラリー10中に注入するために使用され得る。粒子200が界面700の注入口で固着される場合には、粒子200がフィルタ付キャピラリー10中に単分子層を形成するまで、粒子溶液120は、粒子200を開放するようにポンプアップおよびポンプダウンが行われ得る。
【0031】
図5を参照すると、高生産性システムが、図4のまとめられたフィルタ付キャピラリーチューブを使用して示されている。高生産性システムは、正方形または長方形のキャピラリーフィルタチューブ10を並行して且つ単分子層で配置することによって生じることができ、スキャニングおよびイメージングは一度に1層に対して便利に行うことができるようになる。正方形または長方形のキャピラリーフィルタチューブの内部の高さは、粒子の高さの2倍未満であり、粒子の単分子層のみがキャピラリーチューブの内部に形成され得るようになることが好ましい。従って、単分子層の全ての粒子が同時にスキャンされ且つ像の取得がなされ得る。
【0032】
複雑な流体処理システムなしで、本発明は、現在のマイクロプレートフォーマットに適合され得る。長方形のキャピラリーフィルタチューブは、再利用可能なホルダ502において保持され、当該ホルダは、測定を行うために、標準的なマイクロプレート504と同じフットプリントを有する。X,YおよびZの方向に移動するためのロボットアームを有する、従来のロボット流体処理システム506は、多くの洗浄サイクル509および培養504を実行するために使用され得る。標準的なマイクロプレート504と同じフットプリントを有する再利用可能なホルダ502(例えば96、384および1536井戸プレートフォーマット)は、複数のキャピラリーフィルタチューブ10を保持し、既存のロボット流体処理システム506が井戸504から個々のキャピラリーフィルタチューブ10のフロー注入口に試薬508およびサンプルを注入するようになる。個々のキャピラリーフィルタチューブの1つが壊れるかまたは他の界面化学に対して変更される必要がある場合には、ホルダ502は個々のキャピラリーフィルタチューブの容易且つ便利な交換または置換を可能にする。
【0033】
フィルタ付キャピラリーチューブ10の各々は、好ましくはガラスホストにおいて少なくとも1つの希土類蛍光ドーパントで記号化される粒子のような、1つのキャリア支持ビーズ200で満たされる。次に、ガラスビーズの最小損失で、多くの洗浄サイクル509および培養が行われ得る。サンプルは、試薬508とともに、井戸に含まれた異なるタイプのプローブを配置することによって形成される。ビーズに付着させるための異なるタイプのプローブを含むサンプルは、それぞれのチューブに注がれ、粒子の混合物を形成することとなる。各チューブにおける溶液で未付着のプローブは、廃棄物貯蔵所510の中へと取り除かれる。各チューブにおいて付着プローブと結合するための異なるラベル付ターゲットは、各チューブ中に注がれる。各チューブにおける全ての非結合ラベル付ターゲットは取り除かれる。図4に見られるように、3,4および8とマークが付けられているそれらのラベル100に関連した、非結合ターゲットすなわちフリーターゲット300は、多孔性フィルタから流れる溶液中に浮遊している。各ステップの間において、洗浄509,乾燥および培養が、状況に応じて測定されるサンプルを浄化するために付加され得る。測定の終了時に、粒子混合物は、データ分析を行うために血球計算器の中に直接注入され得る。或いは、紙への方向(Z方向)において輝く光は、ラベル付ターゲットと結合した個々の付着プローブでビーズを検出するかまたは像の取得がなされ得る。チューブは、プレーナアレイにおいて、互いに隣に並行に並べられ、紙への方向(Z方向)において検出器のイメージ光ヘッドに適合することとなる。
【0034】
フィルタ付キャピラリーチューブを、検出のために垂直(Y)位置において配置する代わりに、フィルタ付キャピラリーチューブの単分子層は、フィルタ付きキャピラリーチューブの水平単分子層の上面または底部の両方を示す、検出器のイメージ光ヘッドにも適合する。
【0035】
図6を参照すると、データスキャニングおよびイメージングの間の水平配置に対する、自動化された高生産性粒子ベースの測定システムの断面図が示されている。図5の測定の終了時に、長方形のキャピラリーフィルタチューブを運ぶホルダは、サイドウエイを回動し、チューブ10は、図6の自動化システムのローディングコンテナの中に積まれる。長方形のキャピラリーフィルタチューブの第1の層は、第1のピストンによって押し上げられ(ステップ1)、第2のピストンはコンベヤーベルトに対して前方にチューブを押し(ステップ2)、当該コンベヤーベルトはチューブをデータ分析システムに運ぶ(ステップ3、ステップ4)。最後に、分析されたキャピラリーフィルタチューブは、保管のためにアンロードコンテナ中に放り込まれる(ステップ5)。
【0036】
状況に応じて、試薬は水平位置からキャピラリーフィルタチューブ中に注入され得るが、試薬が後方に流れない場合には、キャピラリーフィルタはコンベヤーベルト上にある。さもなければ、逆圧が印加されるかまたはフィルタ付チューブは僅かに下方に傾けられる。しかし、各キャピラリーに対する界面は、試薬およびサンプルの容易且つ便利なローディングまたはアンローディングに対して適合され得る。
【0037】
自動化された高生産性粒子ベース測定システムの別の構成において、全システムは90度回転されるであろう(すなわち、図6は、対側での側面および像平面456’の代わりに、図5に示されたシステム上面図および図4の像平面456である。この像平面456’は、図4におけるフィルタ付キャピラリーチューブの上部および底部に対するものであり得る。)言い換えると、キャピラリーフィルタチューブは、垂直位置において並べられ且つ立っており、コンベヤーベルトは、キャピラリーフィルタチューブをデータ分析システムに対して移動する、当該データ分析システムは、キャピラリーフィルタチューブに垂直な水平位置にある。その後、必要であれば、試薬は上部または底部からキャピラリーフィルタチューブの中に容易に注入され得る。
【0038】
要約すれば、本発明は、最小限のサンプル,最小限の粒子損失または人間による操作で、粒子ベースの測定が行われることを可能にする、高生産性の生物学的な粒子ベースの測定デバイスであり、さらなる流体処理または移動なしで、測定の終了時に沿うが取得されるかまたはスキャンされることを可能にする。また、データ分析は、さらなる流体処理および移動なしで、デバイス内で行われ得る。粒子を勝利するために複雑な流体処理システムを必要とする現在の技術とは違って、本発明は、同じデバイス内で粒子を分離し、容易なスキャニングおよび/またはイメージングのために単分子層を形成し、高生産性フォーマットに適合され得る。
【0039】
さまざまな変更および変形が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく本発明になされ得るということが、当業者に明らかであるであろう。従って、本発明の変更および変形が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるならば、本発明は、当該変形および変更を包含する、ということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の1つの実施例の斜視図である。
【図2】本発明による、図1のフィルタ16のほかの実施例の断面図である。
【図3】図2のフィルタ16をキャピラリーチューブの内部に一体化し、本発明による、図1のマイクロ流体反応器10の他の実施例を形成する工程の側面図である。
【図4】本発明による、図1のマイクロ流体反応器10についての束ねられた配置の平行配列である。
【図5】本発明による、図4のマイクロ流体反応器10の束ねられた配置を使用する、垂直自動化システムである。
【図6】本発明による、図4のマイクロ流体反応器10の束ねられた配置を使用する、水平自動化システムである。
【図7】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で複合測定がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図8】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で複合測定がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図9】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で複合測定がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図10】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で白血球分離がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図11】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で白血球分離がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図12】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で白血球分離がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図13】本発明による、フィルタ付チューブ10を有する側面図およびフィルタ付チューブ10なしの上面図における、図10〜図12のフィルタ付チューブ10に対する温度制御モジュールの概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、高生産性の生物学的測定デバイスに関し、特には高生産性である粒子ベースの生物学的測定デバイスにおけるキャピラリーチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子ベースの測定法(particle-based assay)が知られている。粒子ベースの測定法を用いて、生体分子反応が、微粒子と呼ばれる微小なビーズの表面またはマイクロロッドと呼ばれる微小な棒の表面において行なわれる(標準サイズは、サブミクロンおよびミクロンの範囲である)。生体分子反応を研究するための粒子ベースの測定法を使用するために、各反応に対して、多くの分子が、最初に粒子の表面に付着されるかまたは固定化される。これらの付着分子は、通常プローブと呼ばれている。ターゲット分子を含むサンプル溶液が、それぞれの井戸またはチューブに適用され、”処理された”粒子と混合される。サンプル中に存在するターゲットすなわち分析物は、プローブ分子と反応する。一般に、サンプルにおけるターゲットと同時に出る(co-exited)ターゲット分子すなわち参照分子は、光学活性化合とくっついており、当該光学活性化合物の蛍光または発光は、例えば、ターゲット分子(すなわち参照分子)とプローブ分子との間の反応中に増加する。従って、サンプル流体の組成についての定性的および/または定量的な分析は、井戸の内容物を照射し且つ光学的にスキャンすることによって行われ得る。多重化した測定フォーマットにおいて、粒子は、内部で色分けされるかまたは異なる所定の色またはバーコード付きロッドのカラーストライプのような反射パターンでコード化されるかまたは組み込まれた赤外(IR)分光およびラマン分光と合成され、多数の反応がたった1つのチューブまたは井戸において行われるようになり得る。この場合に、2つの情報源があり、当該2つの情報源は、反応のタイプを特定するための、粒子内部の所定パターンおよび生体分子反応の大きさを示すための、粒子表面上におけるレポーターカラー(reporter color)である。
【0003】
粒子ベースの測定法は、通常、多くの洗浄サイクル,培養の異なる段階およびデータ分析からなる。他の手間のかかる方法のうちで、当該測定は、例えばミリポア社(Millipore Corporation, Bedford, MA)から入手できる、底部にフィルタが付けられたマイクロプレートCat.#MABVN−1210または遠心分離管において行われる。底部にフィルタが付けられたマイクロプレートを使用する際に、洗浄サイクルおよび培養が、マイクロプレートのそれぞれの井戸において実行される。試薬またはサンプル(ターゲット分子)が、粒子を含むそれぞれの井戸に加えられ、各ステップの後に、ろ過マニホールド(filtration manifold)(例えば、ミリポア社,Bedford, MA,Cat.#MAVM09601)を使用して、溶液が真空を介して井戸から除去される。洗浄および培養は、測定が終わるまで繰り返される。遠心分離管が使用される場合には、最初にチューブ中の粒子を遠心分離することによって洗浄が手動で行われ、次に、チューブから溶液を完全に吸引することが続けられる。当該吸引は、吸引チップ(吸引器)をそれぞれのチューブの底部に静かに下ろすことによってなされる。粒子ペレットを吸引しないように気を付けなければならない。吸引後に、測定が終わるまで、洗浄および培養が繰り返される。多重化した測定フォーマットにおいて、異なる井戸またはチューブから異なる粒子が除去され、洗浄および培養の第1段階後に1つのチューブまたは井戸の中で混合される。その後、さらなる洗浄サイクルおよび培養が行われて測定が終了する。両方の方法において、粒子ベースの測定を行うときに、多くの洗浄サイクルおよび培養は手間がかかり且つ粒子の損失が問題となる。
【0004】
測定終了時に、試験結果を分析するために、粒子混合物は井戸またはチューブから除去され、一列に粒子を並べる血球計算器中に注入される。血球計算器においては、レーザがそれぞれの粒子の表面に色を照射する。粒子の内部に所定のパターンがある場合には、(例えば改良された血球計算器のような)特注の機器が必要とされ、余分のレーザが粒子内部のパターンを照射して反応のタイプを識別することとなる。次に、最新式光学素子が色信号を捕らえる。最後に、デジタル信号処理が、信号をそれぞれの反応に対してリアルタイムで定量的なデータに変える。或いは、粒子は、粒子混合物から分離され且つ乾燥される。その後、それらはデータ分析のためにスキャナでスキャンされおよび/または光学顕微鏡で撮像される。両方の方法は、粒子混合物のさらなる処理および移動を必要とすることは明らかである。このことによって、粒子の損失が引き起こされるかもしれないので、多くの粒子が必要とされ得る。乾燥方法において、粒子がデータ分析に影響を与える単分子層を形成するように積み重なることを防ぐことは極めて難しい。また、データ分析のためのイメージングまたはスキャニングに対する粒子を準備する効率的な方法を提供しないかかる従来方法において、複雑な流体の処理が必要とされる。
【0005】
低圧フィルタアッセンブリは市販されている。しかし、既存製品の主な不利点は、それらは透明ではないので、スキャニングおよびイメージングを通して粒子のデータ分析を妨げることである。また、低圧フィルタアッセンブリはポリマーから作られており、当該ポリマーは、生体適合性がないかもしれず且つ熱または溶媒に耐えないかもしれない。従って、最低限のサンプル,最小限の粒子損失または人による操作で、粒子ベースの測定を便利に行うためのツールが望まれている。
【0006】
さらに、遺伝子検査は、本発明が意図するところのもう1つの分野である。遺伝子検査の手順における2つの重要段階である細胞単離および核酸増幅反応は、コンピュータ数値制御で機械加工されたPlexiglasをベースにしたマイクロチップモジュールにおいて示されている。当該マイクロチップモジュールは、温度サイクリングのための特注のヒーター−クーラー,人間の全血および試薬を二重目的のガラス−シリコンマイクロチップの内外に運ぶ、一連のマイクロチャンネルからなっている(Yuenなど,Genomic Reserch,2001,11,405−412)。細胞単離およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、一連の3.5m形状のダム型フィルタ(フローチャンバーにかかっているエッチングされたシリコンダムによって形成される)を含む、二重目的のガラス−シリコンマイクロチップの内部で行われる。マイクロチップモジュールは、細胞単離およびPCRを統合するための有効なツールであることが示されているが、このマイクロチップモジュールは、クリーンルーム環境で作製されなければならないガラス−シリコンマイクロチップを作製する困難なステップを必要とする。また、マイクロチップモジュールのそれぞれの構成部品は、別々に作製された後、使用の前に一緒に組み立てられなければならない。従って、マイクロチップモジュールのこの欠点を克服することができるマイクロチップモジュールに対する別の方法は貴重であり且つ魅力的である。
【発明の開示】
【0007】
本発明の1つの態様は、フロー注入口に入るサイズ範囲または所定の公称寸法である1または2以上の粒子をトラップするマイクロ流体反応器であって、その場検出ゾーン(in-situ detection zone)としても機能する透明反応ゾーンを含み、当該検出ゾーンは、光検出器の形状に対応するようになされている。公称寸法または粒子のサイズ範囲より小さい、複数の孔を有する多孔性フィルタは、反応ゾーンにおいて粒子をトラップするようになされているが、流体はフロー注入口から反応ゾーンおよびフィルタを通って流れることを特徴としている。
【0008】
他の態様において、本発明は、複数の小さいキャピラリーの大きいキャピラリーに対する一体化を含み、マイクロ流体反応器としてフィルタ付キャピラリーチューブを形成する。
【0009】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明において説明されており、部分的にその説明から当業者に明らかであるかまたは添付図面と同様に、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を含み本願に説明されている発明を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
前述の概要および以下の詳細な説明は、本発明の実施例を示すものであり、特許請求の範囲にあるように、本発明の性質および特徴を理解するための概要又は構造を与えることを意図しているということが理解されるべきである。添付図面は本発明のさらなる理解をあたえるために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ且つ本明細書の一部を構成するものである。図面は、本発明のさまざまな実施例を示しており、説明とともに本発明の原理および動作を説明する働きをしている。
【好ましい実施例の詳細な説明】
【0011】
本発明の好ましい実施例に対する言及が詳細になされ、その例は添付図面に示されている。可能ならばいつでも、同一の参照番号が同一部分または類似部分を言及するために図面を通して使用されるであろう。本発明のマイクロ流体反応器の1つの実施例は、図1に示されており、参照番号10で示されている。本発明によると、マイクロ流体反応の方法および装置に対する本発明は、所定の公称寸法またはフロー注入口12に入るのサイズ範囲である1または2以上の粒子をトラップする第1の要素またはステップを含む。透明反応ゾーン14は、その場検出ゾーン(in-situ detection zone)として機能し、図4,図5および図6に示されているように、この検出ゾーンは、光検出器456に形状において対応するように配置される。粒子200のサイズ範囲または公称寸法より小さい、複数の孔160を有する多孔性フィルタは、反応ゾーン14における粒子をトラップするように配置されるが、流体18は、フロー注入口12から反応ゾーンおよびフィルタ16を通って流れる。本願において具現化され且つ図1に示されるように、反応ゾーン14は、透明なキャピラリーから形成されることができ、当該キャピラリーは、ガラス,ポリマーまたは適切な耐溶剤性を備えて被覆され得る他の適切な材料から作られ得る。
【0012】
キャピラリチューブの内面および外面は、検出器に対してイメージ可能な表面(imageable surface)を与えるような適当な形状であることができる。例えば、円形,正方形または長方形の内部チャンネルは、キャピラリチューブによって与えられることができ、多孔性フィルタ16と一体化される反応ゾーン14を形成することとなる。キャピラリチューブの断面形状は、正方形または長方形であることが好ましく、その内部および外部は、図4,図5および図6において使用される検出器456の形状に対応している。円形のキャピラリチューブよりもむしろ正方形または長方形のキャピラリチューブを使用する利点は、粒子がデータ分析のために容易にスキャンされ且つ像を取得されることができるということである。図1に見られるように、長方形のキャピラリフィルタチューブは、粒子をイメージングするための表面積をも増大させる。多孔性フィルタ16は、反応ゾーン14にわたって横方向に延在する。フロー注入口12はフロー軸120を定め、フィルタ16はフロー軸120と交差し、フィルタをキャピラリーと統合することによって多孔性反応チャンバを形成してフィルタ付キャピラリチューブまたはマイクロ流体反応器10を与えることとなる。
【0013】
マイクロ流体反応器10を与えるフィルタ付キャピラリチューブの中で、多くの洗浄サイクル,異なる段階の培養およびデータ分析を含む、粒子ベースの測定は、最小限の粒子損失および人の操作で容易に行われ得る。可能である粒子ベースの測定は、DNAハイブリダイゼーション,免疫学的検定,酵素/基板のアクティビティ等を含む。
【0014】
1つの長方形であるフィルタ付キャピラリチューブが、図1に簡単に示されている。ミクロンからナノサイズの粒子100または200は、分析物,サンプルまたはターゲット300として、またはキャリア,基板または珍しい官能基またはプローブ400を取り付けるためのミクロサイズの支持ビーズとしての使用に対する、検出可能なナノサイズのラベル100として、フィルタ付キャピラリチューブの内部に配置される。支持ビーズ200からプローブ400またはナノサイズラベル100からターゲット300への強い結合を示す線が示されているけれども、実際の化学結合が形成されることは必要とされないが、物理吸着が、例えば官能基の形で結合を形成するために示され得るということが認識されるべきである。しかし、官能基は、プローブ400,ターゲット300,支持ビーズ200,ナノサイズラベル100またはそれらの結合を示す線の一部であり得る。
【0015】
マイクロビーズの代わりに、粒子200は、例えば分析されるべき血球または他の生体分子のような細胞でもあり得る。この場合に、フィルタ付キャピラリチューブは、単離の間に赤血球がフィルタを通って通過する、人間の全血から白血球を分離するために使用され得る(Yuenなど,Genomic Reserch,2001,11,405−412)。その後、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、フィルタ付キャピラリチューブの内部の白血球と行われ得る。従って、本発明の他の実施例は、可能である分析の1つのタイプとして、細胞単離および核酸増幅反応を行う遺伝子検査の分野である。
【0016】
図10〜図13を参照すると、白血球200”の形である粒子は、最初にフィルタ付きキャピラリ10における少容量(例えばマイクロリットル未満)の人間の全血から分離される。当該フィルタ付キャピラリ10は、一連のミクロンサイズ(例えば3.5μm)のフィルタまたは開口部160を含み、小さい赤血球100’は除去される。ゲノムターゲットは、生物分析を行うために、キャピラリー10のフィルター部または反応ゾーン14において分離された白血球から放たれたDNAに関してPCRによって徐々に直接的に増幅される。このことは、最初にフィルタ付キャピラリーをリン酸塩緩衝化塩(phosphate buffered saline)で通すことによってなされ、フィルタ付キャピラリーの内部に残る空気がないことを確実にする。その後、少量の人間の全血がフィルタ付キャピラリー10の内部に注入される。全血の注入に続いて、ゲノムターゲットを含むPCR測定混合物は、フィルタ付キャピラリーを通して注入され、細胞単離工程が終了する。最後に、フィルタ付キャピラリーは、反応ゾーン14に適用された発熱体137を有する温度制御モジュールの内部で熱サイクリングを受け、フィルタ付キャピラリー10の各端部は一対のゴム製ガスケット750でシールされて、熱サイクリングの間にPCR測定混合物の蒸発を妨げることとなる。最後に、PCR生成物は、検出のために再生され得る。
【0017】
粒子100または200は、例えばガラスまたはセラミックのホストにおいて、希土類元素(RE)A,B,CまたはDのさまざまな組み合わせで均質的にドープされるかまたは空間的にパターンがつけられ、例えばコード0,1および2のそれぞれに対して、図7における最終的な粒子200’,201および202を形成するようにコード0,1,2,4または8を与えることとなる。空間的にストライプのあるロッドすなわちパターンロッドは、図4において1とマークがつけられた粒子200としてみられる。希土類元素でドープされたガラスは、それらの狭発光帯域,高量子効率,一般の蛍光ラベルとの非干渉性および殆どの有機溶剤または水溶液に対する不活性のために、キャリアビーズに対して好ましい。粒子100または200は、キャリアビーズとして使用され、後の蛍光検出のために、それぞれプローブ400またはターゲット300と結合する。従って、粒子100はREターゲットラベルとして使用されることができ、粒子200はREプローブキャリアとして使用されることができる。また、粒子100は、従来のプローブを有するREターゲットとして使用され得る。さらに、例えば一般的な蛍光分子色素ラベルのような、従来のターゲットラベルは、例えば図7における最終的な粒子200’,201および202のようなREプローブキャリアとして粒子200とともに使用され得る。
【0018】
流体が通って流れる一方粒子を捕らえることを可能にするように、材料が多孔性である限り、多孔性フィルタはガラス,ポリマー,金属またはいかなる他の材料から作られ得る。複数の孔は、パターン化されるかまたは無作為化された、例えば長方形,六角形,円形,正方形などのようないかなる形状からなり得る。通常は、フィルタのサイズは、ミクロサイズの粒子200の流れをブロックするように十分小さく設計される。しかし、他のアプリケーションにおいては、フィルタは、より小さいナノサイズの粒子100を捕らえるように十分小さくも作られ得る。
【0019】
図1に示されるように長方形である代わりに、反応ゾーン14を形成するキャピラリチューブは、円形の多孔性フィルタを収容するために円形であり得る。
【0020】
図2を参照すると、可能である多孔性フィルタ16の断面が示されている。本願で例として挙げられ且つ図に示されるように、多孔性フィルタ16は、ミクロ構造ファイバの一部を含む。ミクロ構造ファイバ(例えば、20μmの孔を有するコーニングフォトニック結晶ファイバ)は、図1の粒子200のサイズより小さいサイズの孔を有する、他のタイプのミクロ構造を使用するドレインまたは濾過のシステムであり得る。525μmの外径は、21.4μmのピッチすなわち間隔で分離された、最大直径20μmの孔を有するフォトニック結晶ファイバの直径として使用され、約0.94のピッチD/Pにわたってボイド充填部(void filling fraction)または体積比直径(volume ratio diameter)を与えることとなる。かかるフォトニック結晶ファイバを作製する工程は、より小さいキャピラリーを管またはスリーブの中に挿入し且つ積み重ねることによって知られている。当該ピッチは、それぞれの孔が粒子の最も小さい直径よりも小さい限り、規則的である必要はない。
【0021】
図3を参照すると、マイクロ流体反応器10に対する1つのフィルタ付キャピラリチューブを作製するための融解工程および崩壊工程(collapsed process)が、例示的な工程として示されている。図2に示されるような断面を有するフィルタ16は、反応ゾーン14としてキャピラリーチューブの一部分を与えるために、加熱を通してキャピラリーチューブの内部で融解される。図2に示されたもののような短いミクロ構造ファイバ(濾過の間に圧力降下を低減するために出来る限り短い(例えば<3mm)ことが好ましい)は、最初に1つのキャピラリーチューブの内部に配置される。円形のキャピラリーチューブの外径は約2.65mmであり、約0.54mmの内径を有している。しかし、キャピラリーチューブおよびミクロ構造ファイバの寸法は、アプリケーションに応じて変動し得る。その後、真空302がキャピラリーチューブの両端に加えられる。次に、熱304がミクロ構造ファイバの位置でキャピラリーチューブの外表面に加えられる。局所的な加熱は、ミクロ構造ファイバが配置されている全ての方向から均一にキャピラリーを加熱するために、リングまたは同様な形状のバーナーを使用して行われ得る。真空の存在によって、加熱されているキャピラリーチューブは、それがミクロ構造ファイバの外表面に接触し且つ融解するまで崩壊する。ミクロ構造ファイバの部分は、崩壊領域よりも長いかまたは短くても良い。
【0022】
製造についての他の方法は、キャピラリーチューブの一端または両端から延在する、ミクロ構造ファイバの長い部分を挿入することである。 ファイバは、1または2以上の場所でスクライブされることができ、崩壊工程の後に当該ファイバが容易に且つきれいに壊されることを可能にし、チューブ内部に融解した短い部分のみを残すこととなる。ミクロ構造ファイバの内部の圧力は、チューブ内部と同じ真空下におかれるかまたはその圧力は変動され得る。
【0023】
基本型は、2.65mmの外径および540μmの内径を有するガラスキャピラリーチューブの内部に融解したフィルタと同様に、525μmの外径,20μmの孔および21.4μmのピッチを有するコーニングフォトニック結晶ファイバを使用して製造される。キャピラリーチューブは、12−ポート、5/16インチのリングバーナーからのメタン/酸素の炎および15インチのHg真空を使用して崩壊され、チューブがファイバに融合されている、3〜4mmの崩壊領域を生じることとなる。一体化したフィルタ付キャピラリーチューブの周囲は、容易な積重ねおよび/または容易なイメージングのために長方形または正方形を形成するようにスライスされるかまたは形付けられ、または円形に残され得る。
【0024】
基本型の一体型キャピラリーフィルタは、粒子としての部分カタログ#07668としてポリサイエンス社(Polysciences, Inc., Warrington, PA)から入手可能な、10〜30μmのガラスビーズで試験される。結果は、ガラスビーズの損失を最小限にして、多くの洗浄サイクルおよび培養を行うことが可能であるということを示している。また、キャピラリーフィルタチューブの反対端およびフィルタが付けられた端部に溶液を注入する事によって、最小の損失でガラスビーズを再生することが可能である。このことは、図7〜図9に見られるように、最初に異なるビーズが分離して処理されなければならなくて、その後、それらがさらなる培養および洗浄のために1つのチューブの中で再生され且つ混合される複合測定が行われるときに重要である。有利なことに、フォトニック結晶ファイバフィルタは、高性能のための極めて低い逆圧を有する高効率濾過を与える。さらに、小さいフィルタを連続して積み重ねる事によって、さまざまなサイズのビーズが、高度に多重化した測定に対して分離され得る。
【0025】
図7〜図9を参照すると、フィルタ付キャピラリー10で多重測定を行うときに、異なる化学作用および異なるプローブ固定が、最初に、異種粒子または異なる蛍光発光をする希土類ビーズ200で別々に行われ得る。図7の固定ステップが終わった後に、粒子は再生され且つそれぞれのフィルタ付キャピラリー10の反対端部に洗浄溶液を注入することによって、図8のきれいで未使用のフィルタ付キャピラリー10中で混合される。次に、異なるターゲットを含む溶液120は、図9における混合粒子201,200’および202を含むフィルタ付キャピラリ−10の中に注入され得る。測定の最後に、粒子は、洗浄され且つ一度に1つの粒子または一度に全シーケンスがイメージされる。
【0026】
図4を参照すると、3つの個々のフィルタ付キャピラリーチューブを積み重ねるかまたはまとめることについての簡略化された表示が示されている。各々のフィルタ付キャピラリーチューブは分離したマイクロ流体反応器10として機能し、複合した態様で作用する。より多くのチューブがともにまとめられ得るが、図面の簡略化のために3つのみが示されている。全ての異なるマイクロビーズすなわち粒子200をバイオ分析することに対して同じマイクロ流体反応器10を使用する代わりに、光学検出システムがかかる複数のビーズの配置の検出を許容しない場合には、その後、ビーズ200は、図4に示されるようなまとめられた配置において、個々のマイクロ流体反応器10の中に分離され得る。
【0027】
本発明の教示によると、1つ以上の一体化したフィルタ付キャピラリーチューブを使用することによって、高生産性の粒子ベースの測定デバイスを与えることができる。正方形または長方形のキャピラリーフィルタチューブの内部の高さ40は、チューブがまとめられたときに粒子の単層のみがキャピラリーチューブの内部に形成され得るように、粒子の高さの2倍未満であるべきである。この場合に、漏斗形状をした注入口界面は、図7〜図9に見られるように、粒子をチューブ中に注入するために使用され得る。それぞれのキャピラリーチューブの内部のフィルタは、さらなる流体処理またはそれぞれのキャピラリーチューブの内部への移動なしに粒子を分離する性能を有するが、高生産性フォーマットにも適合され得る。従って、流体処理および流体移動を除去することによって、本発明の教示は粒子損失および積み重ねに関連した問題を解決し、故に必要とされる粒子数を低減し且つ撮像される結果の質を高めることとなる。また、サンプル量すなわち必要とされる測定混合物の量がかなり低減され、潜在的にサンプルおよび粒子消費における低減によって多大なるコスト節約を与える。高生産性フォーマットに適合する性能によって、本発明は低処理量の障壁を克服している。
【0028】
図7〜図9を参照すると、本発明の教示によって、注入界面700は、状況に応じてフィルタ付チューブ10とともに使用され得る。注入界面700は、フィルタ付チューブ10の分離部または一体部分であることができ、フロー注入口を与えるのに役立つ。注入界面700は、漏斗形状をしており且つ図1の粒子200をそれぞれの分離して形成されたフィルタ付チューブ10の中に注入する為に使用されることができ、異なる化学作用および固定を有する粒子200’,201および202を形成する。
【0029】
図1におけるように、フィルタ付キャピラリー10は、粒子200の高さの2倍未満の内部高さを有し、例えば粒子が約30μmであるときに、60μm未満であることが好ましい。
【0030】
界面700は、ガラス,ポリマーまたは金属から作られ得る。漏斗形状の界面700の大きな開口は、例えば約0.05mmから約5mmまで広くなり、漏斗形状の注入口を形成する。界面700は、ポリマー,金属または他の適切な支持材でできたスリーブ710をも含む。スリーブ710は、コーティングまたは同様な材料の内部にポリマーを有し、フィルター付キャピラリー10が界面に差し込まれるときに、水密シールが界面700とフィルタ付キャピラリーとの間に形成されるようになる。その後、例えば図5に見られるシステムのような自動流体分注システムが、粒子溶液20をフィルタ付キャピラリー10中に注入するために使用され得る。粒子200が界面700の注入口で固着される場合には、粒子200がフィルタ付キャピラリー10中に単分子層を形成するまで、粒子溶液120は、粒子200を開放するようにポンプアップおよびポンプダウンが行われ得る。
【0031】
図5を参照すると、高生産性システムが、図4のまとめられたフィルタ付キャピラリーチューブを使用して示されている。高生産性システムは、正方形または長方形のキャピラリーフィルタチューブ10を並行して且つ単分子層で配置することによって生じることができ、スキャニングおよびイメージングは一度に1層に対して便利に行うことができるようになる。正方形または長方形のキャピラリーフィルタチューブの内部の高さは、粒子の高さの2倍未満であり、粒子の単分子層のみがキャピラリーチューブの内部に形成され得るようになることが好ましい。従って、単分子層の全ての粒子が同時にスキャンされ且つ像の取得がなされ得る。
【0032】
複雑な流体処理システムなしで、本発明は、現在のマイクロプレートフォーマットに適合され得る。長方形のキャピラリーフィルタチューブは、再利用可能なホルダ502において保持され、当該ホルダは、測定を行うために、標準的なマイクロプレート504と同じフットプリントを有する。X,YおよびZの方向に移動するためのロボットアームを有する、従来のロボット流体処理システム506は、多くの洗浄サイクル509および培養504を実行するために使用され得る。標準的なマイクロプレート504と同じフットプリントを有する再利用可能なホルダ502(例えば96、384および1536井戸プレートフォーマット)は、複数のキャピラリーフィルタチューブ10を保持し、既存のロボット流体処理システム506が井戸504から個々のキャピラリーフィルタチューブ10のフロー注入口に試薬508およびサンプルを注入するようになる。個々のキャピラリーフィルタチューブの1つが壊れるかまたは他の界面化学に対して変更される必要がある場合には、ホルダ502は個々のキャピラリーフィルタチューブの容易且つ便利な交換または置換を可能にする。
【0033】
フィルタ付キャピラリーチューブ10の各々は、好ましくはガラスホストにおいて少なくとも1つの希土類蛍光ドーパントで記号化される粒子のような、1つのキャリア支持ビーズ200で満たされる。次に、ガラスビーズの最小損失で、多くの洗浄サイクル509および培養が行われ得る。サンプルは、試薬508とともに、井戸に含まれた異なるタイプのプローブを配置することによって形成される。ビーズに付着させるための異なるタイプのプローブを含むサンプルは、それぞれのチューブに注がれ、粒子の混合物を形成することとなる。各チューブにおける溶液で未付着のプローブは、廃棄物貯蔵所510の中へと取り除かれる。各チューブにおいて付着プローブと結合するための異なるラベル付ターゲットは、各チューブ中に注がれる。各チューブにおける全ての非結合ラベル付ターゲットは取り除かれる。図4に見られるように、3,4および8とマークが付けられているそれらのラベル100に関連した、非結合ターゲットすなわちフリーターゲット300は、多孔性フィルタから流れる溶液中に浮遊している。各ステップの間において、洗浄509,乾燥および培養が、状況に応じて測定されるサンプルを浄化するために付加され得る。測定の終了時に、粒子混合物は、データ分析を行うために血球計算器の中に直接注入され得る。或いは、紙への方向(Z方向)において輝く光は、ラベル付ターゲットと結合した個々の付着プローブでビーズを検出するかまたは像の取得がなされ得る。チューブは、プレーナアレイにおいて、互いに隣に並行に並べられ、紙への方向(Z方向)において検出器のイメージ光ヘッドに適合することとなる。
【0034】
フィルタ付キャピラリーチューブを、検出のために垂直(Y)位置において配置する代わりに、フィルタ付キャピラリーチューブの単分子層は、フィルタ付きキャピラリーチューブの水平単分子層の上面または底部の両方を示す、検出器のイメージ光ヘッドにも適合する。
【0035】
図6を参照すると、データスキャニングおよびイメージングの間の水平配置に対する、自動化された高生産性粒子ベースの測定システムの断面図が示されている。図5の測定の終了時に、長方形のキャピラリーフィルタチューブを運ぶホルダは、サイドウエイを回動し、チューブ10は、図6の自動化システムのローディングコンテナの中に積まれる。長方形のキャピラリーフィルタチューブの第1の層は、第1のピストンによって押し上げられ(ステップ1)、第2のピストンはコンベヤーベルトに対して前方にチューブを押し(ステップ2)、当該コンベヤーベルトはチューブをデータ分析システムに運ぶ(ステップ3、ステップ4)。最後に、分析されたキャピラリーフィルタチューブは、保管のためにアンロードコンテナ中に放り込まれる(ステップ5)。
【0036】
状況に応じて、試薬は水平位置からキャピラリーフィルタチューブ中に注入され得るが、試薬が後方に流れない場合には、キャピラリーフィルタはコンベヤーベルト上にある。さもなければ、逆圧が印加されるかまたはフィルタ付チューブは僅かに下方に傾けられる。しかし、各キャピラリーに対する界面は、試薬およびサンプルの容易且つ便利なローディングまたはアンローディングに対して適合され得る。
【0037】
自動化された高生産性粒子ベース測定システムの別の構成において、全システムは90度回転されるであろう(すなわち、図6は、対側での側面および像平面456’の代わりに、図5に示されたシステム上面図および図4の像平面456である。この像平面456’は、図4におけるフィルタ付キャピラリーチューブの上部および底部に対するものであり得る。)言い換えると、キャピラリーフィルタチューブは、垂直位置において並べられ且つ立っており、コンベヤーベルトは、キャピラリーフィルタチューブをデータ分析システムに対して移動する、当該データ分析システムは、キャピラリーフィルタチューブに垂直な水平位置にある。その後、必要であれば、試薬は上部または底部からキャピラリーフィルタチューブの中に容易に注入され得る。
【0038】
要約すれば、本発明は、最小限のサンプル,最小限の粒子損失または人間による操作で、粒子ベースの測定が行われることを可能にする、高生産性の生物学的な粒子ベースの測定デバイスであり、さらなる流体処理または移動なしで、測定の終了時に沿うが取得されるかまたはスキャンされることを可能にする。また、データ分析は、さらなる流体処理および移動なしで、デバイス内で行われ得る。粒子を勝利するために複雑な流体処理システムを必要とする現在の技術とは違って、本発明は、同じデバイス内で粒子を分離し、容易なスキャニングおよび/またはイメージングのために単分子層を形成し、高生産性フォーマットに適合され得る。
【0039】
さまざまな変更および変形が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく本発明になされ得るということが、当業者に明らかであるであろう。従って、本発明の変更および変形が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にあるならば、本発明は、当該変形および変更を包含する、ということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の1つの実施例の斜視図である。
【図2】本発明による、図1のフィルタ16のほかの実施例の断面図である。
【図3】図2のフィルタ16をキャピラリーチューブの内部に一体化し、本発明による、図1のマイクロ流体反応器10の他の実施例を形成する工程の側面図である。
【図4】本発明による、図1のマイクロ流体反応器10についての束ねられた配置の平行配列である。
【図5】本発明による、図4のマイクロ流体反応器10の束ねられた配置を使用する、垂直自動化システムである。
【図6】本発明による、図4のマイクロ流体反応器10の束ねられた配置を使用する、水平自動化システムである。
【図7】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で複合測定がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図8】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で複合測定がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図9】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で複合測定がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図10】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で白血球分離がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図11】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で白血球分離がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図12】本発明による、図1のフィルタ付チューブ10で白血球分離がおこなわれるときに含まれるステップを示す図である。
【図13】本発明による、フィルタ付チューブ10を有する側面図およびフィルタ付チューブ10なしの上面図における、図10〜図12のフィルタ付チューブ10に対する温度制御モジュールの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の公称寸法またはサイズ範囲である1または2以上の粒子をトラップするマイクロ流体反応器であって、
フロー注入口と、
分析のためのその場ゾーンを与える透明キャピラリーと、
前記透明キャピラリーと一体化した多孔性フィルタと、を含み、
前記フィルタは定義された複数の孔を有し、前記孔は前記公称寸法またはサイズ範囲より小さく且つ当該分析ゾーンにおいて前記粒子をトラップするように配置されるが、流体は前記フロー注入口から前記分析ゾーンおよび前記フィルタを通って流れることを特徴とするマイクロ流体反応器。
【請求項2】
前記フィルタは、前記分析ゾーンにわたって横方向に延在することを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項3】
前記フロー注入口はフロー軸を定め且つ前記フィルタは多孔性反応チャンバーを形成するように前記フロー軸と交差することを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項4】
前記多孔性反応チャンバの孔は六角形であることを特徴とする請求項3記載のマイクロ流体反応器。
【請求項5】
前記孔は、前記透明キャピラリーより小さい複数の小さいキャピラリーの壁の間で定義されることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項6】
前記複数の小さいキャピラリーは平行であることを特徴とする請求項5記載のマイクロ流体反応器。
【請求項7】
前記透明キャピラリーは、少なくとも1つの長方形チューブを含み平面を形成することを特徴とする請求項6記載のマイクロ流体反応器。
【請求項8】
前記透明キャピラリーはガラスから作られていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項9】
前記透明キャピラリーはポリマーから作られていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項10】
前記透明キャピラリーは耐溶剤性を有して被覆されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項1】
所定の公称寸法またはサイズ範囲である1または2以上の粒子をトラップするマイクロ流体反応器であって、
フロー注入口と、
分析のためのその場ゾーンを与える透明キャピラリーと、
前記透明キャピラリーと一体化した多孔性フィルタと、を含み、
前記フィルタは定義された複数の孔を有し、前記孔は前記公称寸法またはサイズ範囲より小さく且つ当該分析ゾーンにおいて前記粒子をトラップするように配置されるが、流体は前記フロー注入口から前記分析ゾーンおよび前記フィルタを通って流れることを特徴とするマイクロ流体反応器。
【請求項2】
前記フィルタは、前記分析ゾーンにわたって横方向に延在することを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項3】
前記フロー注入口はフロー軸を定め且つ前記フィルタは多孔性反応チャンバーを形成するように前記フロー軸と交差することを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項4】
前記多孔性反応チャンバの孔は六角形であることを特徴とする請求項3記載のマイクロ流体反応器。
【請求項5】
前記孔は、前記透明キャピラリーより小さい複数の小さいキャピラリーの壁の間で定義されることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項6】
前記複数の小さいキャピラリーは平行であることを特徴とする請求項5記載のマイクロ流体反応器。
【請求項7】
前記透明キャピラリーは、少なくとも1つの長方形チューブを含み平面を形成することを特徴とする請求項6記載のマイクロ流体反応器。
【請求項8】
前記透明キャピラリーはガラスから作られていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項9】
前記透明キャピラリーはポリマーから作られていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【請求項10】
前記透明キャピラリーは耐溶剤性を有して被覆されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロ流体反応器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−530039(P2007−530039A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504995(P2007−504995)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/008061
【国際公開番号】WO2005/102528
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(501246857)コーニング・インコーポレーテッド (37)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/008061
【国際公開番号】WO2005/102528
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(501246857)コーニング・インコーポレーテッド (37)
【Fターム(参考)】
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