説明

透明ポリプロピレン系シートの製造方法及び透明ポリプロピレン系シート

【課題】透明性を維持しつつ、引張特性、耐衝撃性、剛性を備え、かつ折り曲げ加工時の白化の少なさ等、透明シートとしての諸特性が良好で、更に成形時のメヤニの発生を防止でき、連続生産も可能な透明ポリプロピレン系シートおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】製造装置1は、原料を溶融混練してシート状に押し出す押出手段11と、溶融状態のシート状樹脂組成物20aを冷却してシート20(シート状物)とする第1の冷却手段12と、シート20を再加熱する予熱手段13と、シート状樹脂組成物20aを熱処理する熱処理手段14と、熱処理後のシート20の冷却を行う第2の冷却手段15とを備える。得られるシート21の原料は、ポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明ポリプロピレン系シートの製造方法及び透明ポリプロピレン系シートに関する。
【背景技術】
【0002】
透明シートの分野においては、透明性に加え成形性が良好であり、また安価であるポリ塩化ビニルシートが広く用いられてきた。一方、近年の環境問題等への意識の高まりから、ポリ塩化ビニルシートの使用が制限されるとともに、当該ポリ塩化ビニルシートに代わる新たな透明シートの提供が求められている。
【0003】
ポリ塩化ビニルシートの代替品としては、ポリプロピレンによるシートが注目されている。しかし、ポリプロピレンは、結晶性樹脂であるために、透明性について十分でない場合もある。また、透明性シートは、各種物品を包装する分野で主として用いられることからも、シート基材において基本的な透明性が良好であるだけでなく、他の特性の優れていることが求められている。
【0004】
このような他の特性としては、特に低温時の耐衝撃性や、折り曲げ加工時の白化の少ないことが望まれている。そして、低温時の耐衝撃性については、例えばシートを折り箱等に適用して低温地域で輸送する場合にあっては、折り箱の割れ防止のため緩衝材を挟み込むようにしていたが、これは非常にコストがかかることから、シート自体における低温時の衝撃性の向上が強く望まれていた。
【0005】
透明ポリプロピレン系シートにおける透明性及び耐衝撃性の向上手段としては、これまでも各方面で検討がなされており、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)に低結晶性樹脂を配合したポリプロピレン系樹脂を溶融押出して急冷する、いわゆる急冷法を用いてシートを得る方法が提供されていた。
【0006】
このような技術としては、ホモポリプロピレン(HPP)に対してエチレン−ブテン−1共重合体を配合したポリプロピレン系樹脂を溶融押出した後急冷してシートを得る方法や(例えば、特許文献1)、ホモポリプロピレン(HPP)に対して低密度のエチレン−ブテン−1共重合体及び核剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物を用いる方法(例えば、特許文献2)が提供されていた。なお、後者については、ホモポリプロピレン(HPP)にランダムポリプロピレン(RPP)を配合するポリプロピレン系樹脂を適用した方法も知られている(例えば、特許文献3)。
【0007】
更には、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)を配合したホモポリプロピレン(HPP)をポリプロピレン系樹脂として用いて、溶融押出後急冷する方法や(例えば、特許文献4)、低結晶性ポリプロピレンを配合したポリプロピレン樹脂組成物を用いて急冷、熱処理する方法も提供されていた(例えば、特許文献5)
【0008】
一方、透明なポリプロピレン系シートの剛性及び透明性の改良方法としては、ポリプロピレンの原料に、造核剤や脂肪族又は脂環族系石油樹脂などを添加してシートを得る方法が知られている(例えば、特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公平6−81698号公報
【特許文献2】特公平6−81796号公報
【特許文献3】特開平1−306448号公報
【特許文献4】特開平9−29818号公報
【特許文献5】特開2003−170485号公報
【特許文献6】特開昭58−25341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記した技術のうち、特許文献1ないし特許文献4に開示された方法では、耐衝撃性の改良は期待できるものの、シートの剛性の低下を伴うとともに、透明性に対しても悪影響を与えてしまう場合があった。加えて、シートを成形する場合にあってはダイリップ等に樹脂状付着物(いわゆるメヤニ)が付着してしまい、連続生産ができないといった製造上の問題も発生していた。更には、シートのリサイクル時のゲルの発生による透明性、外観不良、印刷適性の低下、折り曲げ加工時の白化などの問題点もあり、透明シートとしては十分なものではなかった。
【0011】
また、特許文献5に開示された方法は、シートの透明性に対して特段の効果が得られないばかりか、耐衝撃性の低下が問題となっていた。更には、特許文献6に開示された方法は、このような問題に加えて、添加剤のブリードによる汚染といった新たな問題も生じていた。従って、従来の技術では、透明シートとして十分に満足のいくものは得られていなかったのが実状であった。
【0012】
本発明の目的は、透明性の更なる改善、引張特性、耐衝撃性、剛性を備え、かつ、二次加工としての折り曲げ加工時の白化のないといった透明シートとしての諸特性を備えるとともに、透明性シートの成形時におけるいわゆるメヤニの発生を防止して、連続生産も可能となる透明ポリプロピレン系シートの製造方法及び透明プロピレン系シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の透明ポリプロピレン系シートの製造方法は、アイソタクチックペンタッド分率が0.85〜0.99、メルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10分のポリプロピレン樹脂(a)が70〜99.8質量%と、メタロセン触媒を用いて製造した密度が880〜920kg/m、メルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分のメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が30〜0.02質量%と、からなる樹脂組成物を用い、前記樹脂組成物をシート状に溶融押出する溶融押出工程と、溶融押出されたシート状樹脂組成物を急冷してシート状物とする冷却工程と、冷却されたシート状物を熱処理温度100〜220℃で熱処理する熱処理工程と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
この本発明の製造方法によれば、前記した特定のポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)からなる樹脂組成物を溶融押出し、冷却、熱処理をすることにより、透明性を確保しつつ、耐衝撃性(低温時の耐衝撃性含む)、剛性を備え、かつ、二次加工としての折り曲げ加工時の白化のない透明ポリプロピレン系シートが得られる。
特に、シート材料において、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)(メタロセンLL)を添加することで透明性の改良が図れる。このメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の添加は少量でも効果があり、しかも例えば10質量%添加でも剛性は殆ど低下しない。従って、特に剛性が必要な場合には添加量を減らしても透明性を向上でき、一方で透明性を優先して添加量を増しても剛性の低下を回避できる。
さらに、シート状物を熱処理温度100〜220℃で熱処理する熱処理工程を含むので、剛性が向上し、また、熱処理法の選択によりシート形状を保ったまま、表面を平坦にして鏡面処理等を施すので、シートの表面状態を良好にすることができる。
また、本発明の製造方法は、成形時におけるいわゆるメヤニの発生を防止できるため、シートの連続生産性も良好である。そして、添加剤のブリードによる汚染といった問題も少ないものである。
【0015】
本発明の透明ポリプロピレン系シートの製造方法は、前記したポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が造核剤を含まないことが好ましい。
造核剤は、結晶化速度を速める造核効果があり、再加熱して成形する場合にあっては、所定の形状に至るまでに結晶化し、形状を固定化してしまい、成形性に悪影響を与える場合がある一方、本発明によれば、原料であるポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が造核剤を含有しないため、透明ポリプロピレン系シートの二次加熱成形に際して成形性を良好に保つことができる。
【0016】
本発明の透明ポリプロピレン系シートの製造方法は、前記した冷却工程が、冷却水が流下するスリットに対して溶融押出されたシート状樹脂組成物を通過させて、当該シート状樹脂組成物を急冷する工程か、
溶融押出されたシート状樹脂組成物を、冷却ロールとエンドレスベルトとの間に入れて、これらに接触させて急冷する工程か、
の少なくとも何れか一方の工程を含むことが好ましい。
この本発明によれば、前記した冷却工程がスリットを用いる工程の場合、冷却水が流下するスリットに対して溶融押出されたシート状樹脂組成物を通過させることにより当該シート状樹脂組成物を急冷することによりなされるため、シート状樹脂組成物がスリットを通過しながら、冷却水がシート状の当該組成物を直接水冷してシート状物となるため、得られるシート状物のシート形状に歪み等を生じさせずに、シート状の樹脂組成物を効率よく冷却固化してシート状物とすることができる。また、前記冷却工程がエンドレスベルトを用いる工程の場合、冷却ロールとエンドレスベルトとで圧接して急冷することで表面光沢、透明性に優れ、歪が抑制されたポリプロピレン系シートを効率よく製造することができる。
【0017】
本発明の透明ポリプロピレン系シートの製造方法は、前記した熱処理工程が、鏡面を有する金属製エンドレスベルトおよび/または金属ロールにより前記シート状物の表裏面を挟持して加熱することが好ましい。
この本発明によれば、前記した熱処理工程が、鏡面を有する金属製エンドレスベルトや金属ロールを用いて、前記シート状物の表裏面を挟持して加熱することによって行われるため、シート状物に対する熱伝達が簡便に効率よく行われるとともに、シート状物と当接する面が鏡面であるので、シート状物の表面が良好に鏡面加工されることとなる。
別の熱処理方法としては、雰囲気温度が100〜220℃の媒体中に、冷却されたシート状物を入れて熱処理してもよい。この場合は、雰囲気温度は130〜200℃がより好ましい。媒体は、空気、窒素等の、ポリプロピレンには不活性な気体であれば使用でき、通常は空気である。更に、シート状組成物の片面を、エンドレスベルトおよび/またはベルトで熱処理し、他面に、雰囲気温度が100〜220℃の媒体(空気等)を当てて熱処理してもよい。
【0018】
本発明の透明ポリプロピレン系シートは、アイソタクチックペンタッド分率が0.85〜0.99、メルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10分のポリプロピレン樹脂(a)が70〜99.8質量%と、メタロセン触媒を用いて製造した密度が880〜920kg/m、メルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分のメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が30〜0.02質量%と、から構成される樹脂組成物からなるシートであって、押出成形方向(MD方向)の引張弾性率が1500MPa以上であり、シート厚みがt[mm]である場合の全ヘイズHが下記式(I)により表されることを特徴とする。
【0019】
(数1)
H≦70t−30t+6 …… (I)
【0020】
このように、本発明の透明ポリプロピレン系シートは、前記した効果を好適に享受し、透明性に優れるとともに、引張特性、耐衝撃性(低温時の耐衝撃性含む)、剛性を備え、かつ、二次加工としての折り曲げ加工時の白化が発生しないといった透明シートとしての諸特性を備える高品質のポリプロピレン系シートを提供可能とする。
また、引張弾性率及びヘイズが特定の範囲であるので、剛性と透明性がより一層優れたポリプロピレン系シートとなる。
特に、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)(メタロセンLL)を添加することで透明性の改良が図れる。このメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の添加は少量でも効果があり、しかも例えば10質量%添加でも剛性は殆ど低下しない。従って、特に剛性が必要な場合には添加量を減らしても透明性を向上でき、一方で透明性を優先して添加量を増しても剛性の低下を回避できる。
【0021】
また、本発明の透明ポリプロピレン系シートは、シート厚みがt[mm]である場合の全ヘイズHが下記式(II)により表される場合には、前記の効果をより好適に発揮することができる。
【0022】
(数2)
H≦70t−30t+5.2 …… (II)
【0023】
本発明の透明ポリプロピレン系シートは、−5℃における衝撃強度が2000J/m以上であることが好ましい。
この本発明によれば、−5℃における衝撃強度が特定範囲にあるので、低温域における衝撃強度が優れた透明ポリプロピレン系シートとなり、包装体としての低温流通、保管など、低温環境に適用される包装材料としても最適である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態の製造装置を示す概略図である。
【図2】図1の実施形態における小型水槽の拡大図である。
【図3】図2の他の態様を示す部分拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態の製造装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の透明ポリプロピレン系シートの製造方法にあっては、下記構成のポリプロピレン樹脂(a)とメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)からなる樹脂組成物を使用するものである。
【0026】
[ポリプロピレン樹脂(a)]
ポリプロピレン樹脂(a)としては、アイソタクチック分率が0.85〜0.99、好ましくは、0.88〜0.99の高結晶性のポリプロピレン樹脂を使用する。アイソタクチック分率がかかる範囲内であれば、結晶性に優れ、引張特性や耐衝撃性に優れるシートを形成できるとともに、透明性とのバランスも良好である。その一方、アイソタクチックペンタッド分率が0.85より小さいと、引張弾性率などが低下する場合があり、また、アイソタクチックペンタッド分率が0.99を超えると、急冷工程での内部ヘイズが悪くなり、透明ポリプロピレン系シートとしての使用が困難になる場合があるため好ましくない。
【0027】
本発明において使用するアイソタクチックペンタッド分率とは、エー・ザンベリ(A.Zambelli)らによってマクロモレキュル(Macromolecules),6,925(1973)に発表された方法、すなわち、13C−NMRを使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。換言すれば、アイソタクチックペンタッド分率はプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、ピークの帰属に関しては、マクロモレキュル(Macromolecules),8,687(1975)の記載の方法に基づいて行った。
具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの強度分率としてアイソタクチックペンタッド単位を測定する。
【0028】
ポリプロピレン樹脂(a)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30g/10分である。MFRが前記範囲を下回るとシート成形時に流動不良となって厚み変動を起こす場合があり、また、MFRが前記範囲を超えると、溶融張力が不足して、粘度が低くなってシート成形時のドローダウンが発生しやすくなり、押出成形性が不良となる。
なお、ポリプロピレン樹脂(a)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠した方法で測定することができる。
【0029】
ポリプロピレン樹脂(a)の含有率は、樹脂組成物全体の70〜99.8質量%、好ましくは70〜97質量%であり、特に好ましくは75〜95質量%である。含有率が70質量%より小さいと、耐熱性、剛性が十分でない場合があり、また、含有率が99.8質量%を超えると、透明性、耐衝撃性の改良変化が十分でない場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0030】
[メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)]
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)は、メタロセン触媒を用いて製造したエチレン−α−オレフィン共重合体のことである。
すなわち、エチレン−α−オレフィン共重合体のコモノマーであるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜18、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、より具体的には、α−オレフィンとして、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ヘプテン−2、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。
【0031】
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の密度は、880〜920kg/mであり、900〜915kg/mであることが好ましい。密度がかかる範囲であれば、柔軟性及び結晶性が良好である一方、密度が前記範囲を下回ると低結晶成分のブリードが発生しやすくなる場合があり、また、密度が前記範囲を超えると、シートの透明性の低下、耐衝撃性の不足が生じてしまう場合がある。
更に、メタセロン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の密度が919kg/m3と高くなると透明性への影響が生じることがある。
なお、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の密度は、JIS K7112(23℃)に準拠して測定すればよい。
【0032】
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)のメルトフローレート(MFR)は、1〜30g/10分である。MFRが前記範囲を下回ると積層シート成形時に流動不良となって厚み変動を起こす場合があり、また、MFRが前記範囲を超えると、粘度が低くなってシート成形時のドローダウンが発生しやすくなり、成形安定性が不足する。
なお、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)のMFRは、JIS K7210に準拠した方法で測定することができる。
【0033】
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の含有率は、樹脂組成物全体に対して30〜0.02質量%、好ましくは3〜30質量%であり、特に好ましくは5〜25質量%である。含有率が0.02質量%より小さいと、透明性、耐衝撃性の改良効果が少ない場合があり、また、含有率が30質量%を超えると、耐熱性、剛性が低下する場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0034】
そして、エチレン−α−オレフィン共重合体(b)は、前記したコモノマーを、公知のメタロセン系触媒を用いて製造することができる。メタロセン系触媒を用いた共重合の方法としては、気相法、スラリー法、高圧イオン重合法、溶液法等を挙げることができる。
【0035】
また、このようなメタロセン系触媒としては、通常、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物からなるメタロセン触媒成分(A)、及び有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分及び/またはイオン性化合物触媒成分(B)、必要に応じて微粒子状担体(C)、有機アルミニウム化合物触媒成分(D)、イオン化イオン性化合物触媒成分(E)とから形成される。
なお、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体は、GPC法(Gel Permeation Chromatography)により求めた分子量分布(M/M)が、1.5〜4.0と狭い分布を有するという特徴がある。
【0036】
本発明の透明ポリプロピレン系シートを構成するポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)は、造核剤を含まないことが好ましい。造核剤は、結晶化速度を速める造核効果がある一方、溶融加熱して成形する場合に、所定の形状に至るまでに結晶化して、形状を固定化してしまうことがあるため、シート成形における成形性に悪影響を与える場合があるため、原料であるポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が造核剤を含有しないようにすることにより、透明ポリプロピレン系シートの製造に際して成形性を良好に保つことができる。
【0037】
なお、本発明の透明ポリプロピレン系シートを構成する樹脂組成物には、必須成分である前記した樹脂材料のほか、10質量%以下のエチレン、炭素数が4以上のα−オレフィン含有ランダムポリプロピレンなど公知のシート成形用の他のオレフィン含有共重合体を、本発明の効果を妨げない範囲において配合するようにしてもよく、また、公知のシート成形用の添加剤である帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等を、本発明の効果を妨げない範囲において添加してもよい。
【0038】
[成型から熱処理]
本発明のポリプロピレン系シートの製造方法は、前記した特定のポリプロピレン樹脂(a)と特定のメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)からなる樹脂組成物をシート状物に溶融押出する溶融押出工程と、溶融押出されたシート状樹脂組成物を急冷する冷却工程と、冷却されたシート状物を熱処理温度100〜220℃で熱処理する熱処理工程とを備えているものである。
【0039】
ここで、溶融押出工程では、樹脂組成物をシート状に溶融押し出ししてシート状樹脂組成物とするのであるが、溶融押出工程における溶融押出方法としては、特に制限はなく、例えばTダイ押出法等を採用することが好ましい。
【0040】
また、冷却工程では、シート状樹脂組成物は、一旦形状を固定される。冷却工程の冷却方法としては、水冷、空冷、エンドレスベルトまたはロール等による冷却方法を挙げることができるが、水冷またはエンドレスベルト/ロールの組み合わせが好ましく、特に水冷、中でも冷却水が流下するスリットを用いた水冷や、冷却ロールとエンドレスベルトとの間を接触走行させて急冷することが好ましい。
エンドレスベルトと冷却ロールとを併用する場合、例えば、溶融押出されたシート状樹脂組成物を、第1の冷却ロールおよび第2の冷却ロールに巻装されたエンドレスベルトと、その外側にある第3の冷却ロールとの間に導入し、これらの表面に接触した状態で走行させるとともに、エンドレスベルトを介して第1の冷却ロールと第3の冷却ロールとで圧接して急冷する方法が挙げられる。この場合、シート状組成物に接触する第3の冷却ロールの表面またはエンドレスベルトの表面の少なくとも何れか鏡面仕上げされていれば、表面光沢および透明性に優れ、歪が抑制されたポリプロピレン系シートを効率よく製造できる。
【0041】
次に、熱処理工程としては、熱処理温度100〜220℃の範囲であれば特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。
そして、熱処理工程では、一旦シート状物に固化された樹脂組成物の表面を良好に仕上げることができる。この熱処理工程においては、エンドレスベルトやロール等を用いて、熱処理を行うことができる。
【0042】
ここで、熱処理の温度条件としては、エンドレスベルト、ロール、板状のヒータのように、前記シート状組成物に接触する熱処理装置を用いる場合は、前記熱処理装置の前記シート状組成物に接触する面の温度が100〜220℃であり、好ましくは100℃以上で前記した樹脂組成物におけるポリプロピレン樹脂(a)の融点以下である。
熱処理する時間は、熱処理温度が前記ポリプロピレン樹脂(a)の融点を超えない場合には特に制限はない。しかし、熱処理温度が前記ポリプロピレン樹脂(a)の融点を超える場合には1分以内、好ましくは1〜30秒である。必要以上に長く熱処理すると、シートの生産性が低下することに加え、シートが溶融した後、徐冷されて結晶化が進むことで、白化したシートが得られる虞がある。
このような熱処理に鏡面エンドレスベルト及び/またはロールを用いることにより、シート形状を保ったまま、シートの表面を平坦にして、シートの表面を鏡面処理して、表面を良好な光沢状態で仕上げることも可能となる。
【0043】
あるいは、雰囲気温度が100〜220℃の媒体中に冷却されたシート状物を入れて熱処理してもよい。より好ましい雰囲気温度は130〜200℃である。
この場合、媒体としては、空気、窒素などの気体が利用でき、通常は空気を用いることができる。熱処理装置は、空気などの媒体を加熱するヒータ等と、冷却されたシートがヒータに触れずに収まるか通過できるスペースがある装置であれば、特に制限なく使用することができる。通常は、熱処理装置としてオーブン、恒温槽、テンター等を用いることができる。
【0044】
以下、本発明の透明ポリプロピレン系シートを製造する方法の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る透明ポリプロピレン系シートの製造装置1が示されている。
この製造装置1は、原料である樹脂組成物を溶融混練してシート状樹脂組成物20aに押し出す押出手段11と、シート状に押し出されたシート状樹脂組成物20aを冷却固化する第1の冷却手段12と、冷却したシート状樹脂組成物であるシート状物(シート20)を再加熱する予熱手段13と、シート20を熱処理してシート21とする熱処理手段14と、熱処理後のシート21の冷却を行う第2の冷却手段15とを備えている。
【0045】
押出手段11は、例えば、単軸押出機或いは多軸押出機などの既存の押出機111を備え、また、押出機111の先端にはシート成形用のTダイ112を備えて構成されている。これらにより、溶融混練されたシート状樹脂組成物20aであるポリプロピレン樹脂(a)70〜99.8質量%と、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)30〜0.02質量%と、からなる樹脂組成物が、Tダイ112より押し出されてシート状に溶融押出しがなされることになる。
【0046】
なお、溶融押出されるシート状樹脂組成物20aとされる原料の形態は、ペレット状、粉末状、顆粒状など任意であり、前記比率となるように混合されている。
また、上記の樹脂組成物には、10質量%以下のエチレン、炭素数が4以上のα−オレフィン含有ランダムポリプロピレンなど公知のシート成形用の他のオレフィン含有共重合体を配合してもよく、公知のシート成形用の添加剤である帯電防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等を添加してもよい。
【0047】
第1の冷却手段12は、大型水槽120と、大型水槽120内で対向配置されて溶融押出されたシート状樹脂組成物20aを挟み込む第1のロール121および第2のロール122と、これらのロール121、122よりも大型水槽120の底面寄りに設置された第3のロール123と、予熱手段13側の大型水槽120周縁近傍に設けられた第4のロール124と、大型水槽120の上側に配置された小型水槽125とにより構成されている。
【0048】
また、小型水槽125の底面の略中央部分には、図2に示すように、Tダイ112の開口に対応した位置および大きさにスリット126が形成されている。
なお、図2では、このスリット126は、小型水槽125の底面に対して垂直に形成されている態様を示している。
【0049】
スリット126の間隔は、スリット126の入口側で、1〜20mm、好ましくは、3〜10mmである。一方、スリット126の出口側では、少なくともシート状樹脂組成物20よりも厚く、かつ、0.5mm以上、好ましくは、1.0mm以上である。なお、スリット126は、通常、厚みが1〜10mm、長さが30〜70mm程度の壁状のものである。さらに、スリット126とTダイ112との距離は、通常30〜250mm程度である。
なお、図示はしていないが、小型水槽125内には、その外部から、溶融押出されたシート状樹脂組成物20aを冷却するための冷却水等がポンプ等により水位を保つように連続的に供給できるようになっている。
【0050】
このような構成より、押出手段11で押し出されたシート状樹脂組成物20aは、小型水槽125に絶えず供給されている冷却水とともに、スリット126を通って流下して、その後、ロール121、122、123の回転に伴って大型水槽120内に導入され、冷却固化されてシート20とされる。
【0051】
なお、スリット126は、前記した図2では、小型水槽125の底面に対して垂直に形成されている態様を示しているが、これには限定されず、図3に示すように、スリット126の下側126a(出口)にいくに従って狭くなるような形状であってもよい。スリット126の形状をこのようにすれば、スリット126の内部に空気が混入しにくくなるため、結晶性の樹脂材料を原料として速度を高速としてシート21を成形した場合であっても、ヘイズ縞が発生せず、均質で、かつ未配向となり、透明性、表面光沢性に優れたシート21を製造することができる。また、得られるシート21は、厚みのムラや皺などがなく、均一性にも優れている。
【0052】
しかも、図3のような構成としたスリット126を用いてシートを製造した場合にあっては、冷却に際して冷却用流体の使用量を増大することができるので、溶融押し出されたシート状樹脂組成物20aの冷却効果が良好となり、そのため、高速でシート21を成形することが可能となる。
ここで、図3のスリット126にあっては、各スリット壁126bとシート状樹脂組成物20aとの傾斜角αは、0°を超えて30°程度の範囲内としておけばよい。
【0053】
また、予熱手段13は、略同じ高さに平行に設けられた第1と第3の予熱ロール131、133と、予熱ロール131、133の間に挟まれる位置にやや下方にずらして設置された第2の予熱ロール132と、第3の予熱ロール133に周面が圧接転動されてシート20を上下から挟み込む圧接補助ロール134とにより構成されている。
なお、予熱ロール131、132、133は、電熱ヒータ等が内蔵され、それぞれ周面が所望の温度となるように加熱されている。
また、第1の予熱ロール131と第4のロール124との間には、必要に応じて水切り設備を設置してもよい。
これらにより、冷却固化されたシート20は、予熱ロール131、132、133の周面に密着され、予熱されるようになっている。
【0054】
熱処理手段14は、第1、第2、第3の加熱ロール141、142、143と、冷却ロール144と、エンドレスベルト145と、圧接補助ロール146と、引き剥がしロール147とで構成されている。
【0055】
第1、第2の加熱ロール141,142および冷却ロール144は、略同じ高さに平行に設けられており、第3の加熱ロール143は、加熱ロール142の直下に平行に設けられている。
【0056】
これら第1〜第3の加熱ロール141,142,143の周面は、電熱ヒータ等が内蔵されることにより、ポリプロピレン樹脂(a)の融点以下(例えば、約100〜160℃)に設定され、加熱できるようになっている。一方、冷却ロール144は、冷却水等が循環するような構造になっており、所望の温度に冷却されている。
【0057】
エンドレスベルト145は、第1および第3の加熱ロール141,143と、冷却ロール144が内側に配置されるようにしてこれらの周囲に巻装されている。これにより、エンドレスベルト145は、第2の加熱ロール142により外側から内側へ押し込まれた状態に張られている。
【0058】
なお、エンドレスベルト145は、外側表面が鏡面仕上げされたものであり、厚さは0.1〜3.0mmの範囲内であればよく、好ましくは0.4〜1.5mmである。
また、エンドレスベルト145の材質は、SUS301、SUS404、SUS316、もしくは相当の材質であることが好ましく、炭素銅やチタン材などの金属も利用することができる。
【0059】
圧接補助ロール146は、前記した第1の加熱ロール141の上方から周面に圧接転動されている。
また、引き剥がしロール147は、エンドレスベルト145からシート20を引き剥がすものであり、冷却ロール144近傍に所定間隔をあけて設けられている。
これらにより、予熱されたシート20は、加熱ロール141、142、143および冷却ロール144の回転によりエンドレスベルト145に圧接状態とされ、所望の温度に加熱されるとともに表面に鏡面が転写されるようになっている。
【0060】
第2の冷却手段15は、略同じ高さに平行に設けられてそれぞれに冷却された第1、第2、第3の冷却ロール151、152、153と、第3の冷却ロール153に圧接転動されてシート20を挟み込む圧接補助ロール154とで構成されている。
但し、冷却ロール151、152、153の周面温度は冷却ロール144よりも低温であることが好ましい。
このような構成により、熱処理されたシート20は、冷却ロール151、152、153の周面に当接され、移動しながら冷却されるようになっている。
【0061】
このように構成された本実施形態において、透明ポリプロピレン系シート21を製造するが、まず、押出手段11により、Tダイ112から、原料の樹脂組成物をシート状に溶融押し出ししてシート状樹脂組成物20aとする(溶融押出工程)。
【0062】
次に、この溶融押出されたシート状樹脂組成物20aは、第1の冷却手段12へ導入され、冷却固化される。
すなわち、溶融押出されたシート状樹脂組成物20aは、小型水槽125に絶えず供給されている冷却水とともに、図2等に示すスリット126を通って流下し、その後、大型水槽120内へ導かれ、第1のロール121と第2のロール122の間に挟み込まれて第3のロール123へ送られ、第4のロール124により大型水槽120外へ導かれる。
溶融押出されたシート状樹脂組成物20aは、この大型水槽120内を移動する間に冷却固化されて、シート状物(シート20)となる(第1冷却工程)。
【0063】
次に、冷却固化されたシート20は予熱手段13へ導入され、所定温度に予熱される。 すなわち、シート20は、第4のロール124から第1の予熱ロール131の上方の周面に導かれ、第2の予熱ロール132の下方の周面を介して第3の予熱ロール133の上方の周面に送られ、圧接補助ロール134により挟まれて送り出される。
シート20は、このように上下に蛇行されることで充分に予熱ロール131、132、133の周面に圧接されることにより、効率よく所定温度まで一様に予熱される(予熱工程)。
【0064】
次に、予熱されたシート20は熱処理手段14へ導入され、熱処理されると共に、表面が平滑になる。
すなわち、シート20は、予熱ロール133から第1の加熱ロール141の上方の周面に導かれ、圧接補助ロール146により、エンドレスベルト145とともに挟まれて圧接され、エンドレスベルト145に密着される。
シート20は、エンドレスベルト145とともに第2の加熱ロール142の下方の周面に導かれ、第2の加熱ロール142により、再びエンドレスベルト145に圧接される。
【0065】
引き続き、シート20は、エンドレスベルト145とともに冷却ロール144の上方に送られ、冷却ロール144により冷却され、引き剥がしロール147に導かれてエンドレスベルト145から剥離される。
これらの手段により、シート20は、ポリプロピレン樹脂(a)の融点以下に加熱された状態で鏡面加工されたエンドレスベルト145及びロール142に充分に圧接され、圧接された面が鏡面転写され平滑化されたシート21が得られる(熱処理工程)。
【0066】
次に、熱処理を施したシート20は、第2の冷却手段15へ導入され、所定温度まで冷却される。
すなわち、シート20は、引き剥がしロール147から第1の冷却ロール151の上方の周面に導かれ、第2の冷却ロール152の下方の周面を介して、第3の冷却ロール153に送られて圧接補助ロール154により圧接される。
このように、シート20は、充分に各冷却ロール151、152、153に当接されて冷却される(第2冷却工程)。
【0067】
以上の工程により、本発明の透明ポリプロピレン系シート21が得られることとなる。
前述したような製造方法により得られた本発明の透明ポリプロピレン系シート21では次のような効果が得られる。
すなわち、特定のポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)からなる樹脂組成物を構成材料とする透明ポリプロピレン系シートは、透明性に優れ、耐衝撃性(低温時の耐衝撃性含む)、剛性を備え、かつ、二次加工としての折り曲げ加工時の白化のない透明ポリプロピレン系シートとなる。
【0068】
特に、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)(メタロセンLL)を添加することで透明性の改良が図れる。このメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の添加は少量でも効果があり、しかも例えば10%添加でも剛性は殆ど低下しない。従って、特に剛性が必要な場合には添加量を減らしても透明性を向上でき、一方で透明性を優先して添加量を増しても剛性の低下を回避できる。
【0069】
また、このようにして得られた透明ポリプロピレン系シート21は、シート21の押出成形方向(MD方向)の引張弾性率が1500MPa以上であることが好ましい。また、透明ポリプロピレン系シートは、シート厚みがt[mm]である場合における全ヘイズHが下記式(I)により表されることが好ましい。
このような透明ポリプロピレン系シートは、引張特性に優れ、かつ、シートの透明性を示す指標である全ヘイズがかかる範囲であるので、透明性に優れたポリプロピレン系シートとなる。
【0070】
(数3)
H≦70t−30t+6 …… (I)
【0071】
なお、全ヘイズHについては、シート厚みがt[mm]である場合において下記式(II)により表される場合にあっては、透明性により一層優れた透明ポリプロピレン系シートを提供可能となる。
【0072】
(数4)
H≦70t−30t+5.2 …… (II)
【0073】
そして、透明ポリプロピレン系シートは、−5℃における衝撃強度が、2000J/m以上であることが好ましい。これにより、低温時の衝撃強度が優れた透明ポリプロピレン系シートとなるため、包装体としての低温流通、保管など、低温環境に適用される包装材料としても最適となる。
【0074】
また、前記した本実施形態の透明ポリプロピレン系シート21の製造方法によれば、次のような効果がある。
(1)本発明の透明ポリプロピレン系シート21の製造方法は、成形時におけるいわゆるメヤニの発生を防止できるため、シートの連続生産性も良好である。
【0075】
(2)また、冷却されたシート20をポリプロピレン樹脂(a)の融点以下の範囲内の温度で熱処理することにより、剛性を向上し、鏡面処理等を施しシート21の表面状態を良好にすることができる。
【0076】
(3)第1冷却工程においては、溶融押出されたシート状樹脂組成物20aを、冷却水が流れるスリット126に冷却水と一緒に通過させ、冷却水が直接水冷するようにしているので、シート状樹脂組成物20aに歪み等を生じさせずに冷却固化して、シート20を形成することができる。
【0077】
(4)熱処理工程においては、鏡面を有するエンドレスベルト145、ロール142がシート20の表裏面を挟持して加熱しているから、熱伝達が効率よく、また熱処理が十分に行われ、また、シ・BR>[ト20と当接する面が鏡面であるので、透明ポリプロピレン系シート21の表面が良好に鏡面加工される。
【0078】
(5)樹脂組成物を構成するポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が造核剤を含まないので、シート21の良好な成形性を維持することができる。
【0079】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を、図4を用いて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分、部材と同一のものは同一符号を付してその説明を簡略する。
前記した第1実施形態の製造装置1では、溶融押出されたシート状樹脂組成物20aを冷却固化してシート20とする第1の冷却手段12では、大型水槽120及びスリット126を有する小型水槽125を備えていた。
【0080】
これに対して、図4に示す第2実施形態の透明ポリプロピレン系シートの製造装置2では、第1の冷却手段22は、第1の冷却ロール213と第2の冷却ロール214との間に巻装された金属製のエンドレスベルト215と、溶融押出されたシート状樹脂組成物20aを金属製のエンドレスベルト215を介して第1の冷却ロール213とで接触させる第3の冷却ロール216と、第2の冷却ロール219の近傍に設けられた第4のロール217とを備えて構成されている点が異なる。
【0081】
なお、図4に鎖線で示したように、第1のロール213の前に別の冷却ロール215Aを設け、エンドレスベルト215の内側から接触させることで、エンドレスベルト215を更に冷却するようにしてもよい。
【0082】
図4の製造装置2における第1の冷却ロール213は、その表面にフッ素ゴム等の弾性材218が被覆されている。この弾性材218は、その硬度(JIS K6301A形に準拠)が70度以下、厚さが3mm以上のものである。
また、金属製のエンドレスベルト215は、ステンレス等よりなり、表面粗さが0.5S以下の鏡面を有している。
そして、第1と第2の冷却ロール213、214の少なくとも一方は、その回転軸219が回転駆動手段(図示せず)と連結されている。
【0083】
第3の冷却ロール216も、表面粗さが0.5S以下の鏡面を有している。そして、この冷却ロール216は、シート状樹脂組成物20aと金属製エンドレスベルト215を介して第1の冷却ロール213と接触し、しかもエンドレスベルト215でこの冷却ロール216側に押圧されたシート状樹脂組成物20aを抱き込むようにして設けられている。
すなわち、金属製エンドレスベルト215とこのエンドレスベルト215と接触しているシート状樹脂組成物20aは、第3の冷却ロール216の周面の一部に巻き付くようにして蛇行している。
【0084】
第4のロール217は、シート20がエンドレスベルト215を介して第2の冷却ロール214に圧接されるようにシート20をガイドするものである。
そして、これら各冷却ロール213、214、216には、表面の温度調整を可能とする水冷式等の温度調整手段(図示せず)が設けられている。
【0085】
図4の製造装置2を用いて透明プロピレン系シートを得るには、前記した第1実施形態と同様に、押出手段11を用いて溶融押出工程を行った後、この溶融押出されたシート状樹脂組成物20aは、第1の冷却手段22へ導入され、冷却固化される。
具体的には、先ず、溶融押出されたシート状樹脂組成物20aと直接接触しているエンドレスベルト215及び第3の冷却ロール216の表面温度が50℃以下、露点以上に保たれるように、各冷却ロール213,214,216の温度制御をしておくことが好ましい。
【0086】
そして、押出機のTダイ112より溶融押出されたシート状樹脂組成物20aを、第1の冷却ロール213と接触しているエンドレスベルト215と、第3の冷却ロール216とに略同時に接触するようにして第1と第3の冷却ロール213、216の間に導入し、第1と第3の冷却ロール213、216とで溶融押出されたシート状樹脂組成物20aを圧接して、例えば50℃以下に冷却する。
【0087】
この際、第1と第3の冷却ロール213,216 間の押圧力で弾性材218が圧縮されるようにして弾性変形し、弾性材218が弾性変形している両ロール213、216の中心からの角度θ1部分においてシート状樹脂組成物20aは、両ロール213、216による面状圧接となっている。この際の面圧は、0.1MPa〜20.0MPaである。
【0088】
引き続き、このシート状樹脂組成物20aを前記鏡面のエンドレスベルト215で第3の冷却ロール216に対して圧接して50℃以下に冷却する。エンドレスベルト215でこの冷却ロール216側に押圧されたシート状樹脂組成物20aは、冷却ロール216の中心からの角度θ2で冷却ロール216に抱き込まれ、シート状樹脂組成物20aは、この抱き角度θ2部分においてエンドレスベルト215と第3の冷却ロール216により面状に圧接されている。この際の面圧は、0.01MPa〜0.5MPaである。
【0089】
次に、冷却されたシート20をエンドレスベルト215に重なるように沿わせた状態でエンドレスベルト215の回動と共に第2の冷却ロール214に移動させ、このシート20をエンドレスベルト215を介して第2の冷却ロール214に対して圧接して50℃以下に冷却する。第4のロール217でガイドされてこの冷却ロール214側に押圧されたシート20は、冷却ロール214の中心からの角度θ3部分においてエンドレスベルト215に面状に圧接されている。この際の面圧は、0.01MPa〜0.5MPaである(第1冷却工程)。
【0090】
その後、シート20は、第1実施形態と同様に、予熱手段13による予熱工程、熱処理手段14による熱処理工程、第2の冷却手段15による第2冷却工程を経ることにより、本発明の透明ポリプロピレン系シート21を得ることができる。
なお、シート20の剥離は、ベルト215の場合だけでなく、ロール216からであってもよい。
【0091】
前記した第2実施形態によれば、前記した第1実施形態の効果((3)を除く)に加えて次のような効果がある。
(6)弾性材218が弾性変形している第1と第3のロール213、216の角度θ1部分における両ロール213、216による溶融押出されたシート状樹脂組成物20aの面状圧接と冷却、抱き角度θ2部分における金属製エンドレスベルト215と第3の冷却ロール216によるシート状樹脂組成物20の面状圧接と冷却及び角度θ3部分におけるエンドレスベルト215と第2の冷却ロール214によるシート状樹脂組成物20の面状圧接状態と冷却によって、高透明性の透明ポリプロピレン系シート21を高速度で製造することができる。
【0092】
(7)また、冷却に際して水を使用しないで急冷することができるため、製造の低コスト化を図ることができる。
【0093】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、前記した実施形態では、熱処理工程としては、エンドレスベルト145を用いて行うようにしていたが、これには限定されず、金属ロール等で熱処理工程を実施するようにしてもよい。
【0094】
また、本発明の透明ポリプロピレン系シートを得るための手段は、本発明の製造方法に限定されるものではなく、他の製造方法によって製造することもできる。本発明の透明プロピレン系シートは、本発明の効果を妨げない範囲において、他の樹脂、造核剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤等の添加剤を含有することができる。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【実施例】
【0095】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
【0096】
[実施例1〜4、比較例1〜4]
前述した第1実施形態の製造装置1(図1)を用い、透明ポリプロピレン系シート21を製造した。
(原料構成)
材料の具体的条件は表1および以下の記載の通りとした。
【0097】
【表1】

【0098】
表中の樹脂材料は次の通りである。
なお、樹脂材料の密度は、JIS一K7112(23℃)に準拠した方法で、また、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠した方法で、それぞれ測定したものである。
【0099】
ホモポリプロピレン樹脂−1(HPP−1):
グレード: E−304GP(出光興産(株)製)
アイソタクチックペンタッド分率: 0.90
MFR: 3.0g/10分
【0100】
ホモポリプロピレン樹脂−2(HPP−2):
グレード: F−534N(出光興産(株)製)
アイソタクチックペンタッド分率: 0.92
MFR: 2.0g/10分
【0101】
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体−1(メタロセンLL−1):
グレード: カーネルKF370(日本ポリエチレン(株)製)
密度: 905kg/m
MFR: 3.5g/10分
【0102】
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体−2(メタロセンLL−2):
グレード: ユメリット0540F(宇部興産(株)製)
密度: 904kg/m
MFR: 4.0g/10分
【0103】
直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)
グレード: V0398CNV398CN(出光興産(株)製)
密度: 907kg/m
MFR: 3.0g/10分
【0104】
また、前記したアイソタクチックペンタッド分率は、具体的には、次のようにして測定した値である。
すなわち、JNM−FX−200(日本電子(株)製、13C−核共鳴周波数50.1MHz)を用い、測定モード:プロトン完全デカップリング法,パルス幅:6.9μs(45°),パルス繰り返し時間:3s,積算回数:10000回,溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(90/10容量%),試料濃度250mg/2.5ml溶媒,測定温度:130℃の条件にて、13C−NMR測定を行い、メチル基の立体規則性によるケミカルシフトの違い、すなわち、22.5〜19.5ppm領域に現れるmmmm〜mrrmの各ピークの面積強度比から、ペンタッド分率を測定し、アイソタクチックペンタッド分率を求めた。
【0105】
mmmm:21.86ppm
mmmr:21.62ppm
mmrr:21.08ppm
mmrm+rrmr:20.89ppm
rrrr:20.36ppm
mrrm:19.97ppm
【0106】
(製造方法)
前記表1に示す処方とした樹脂組成物を、図1に示す製造装置1(T−ダイ押出装置、水冷装置及び熱処理装置)を用いて、樹脂温度を240℃、ダイリップ温度を280℃として押し出してシート状樹脂組成物とし、当該シート状樹脂組成物を冷却水の流下するスリットに導入した後、水槽(水温10℃)にて急冷して、110℃に加熱されたロールで予熱し、145℃に加熱されたロールと加熱された鏡面エンドレスベルトで熱処理を行い、15m/分の速度で透明ポリプロピレン系シートを得た。
【0107】
(試験条件)
前記した実施例及び比較例により得られた透明ポリプロピレン系シート21の諸特性として、(1)引張特性、(2)ヘイズ、(3)光沢度、(4)衝撃強度、(5)折り曲げ白化試験を下記の条件で測定して、比較・評価した。
また、(6)連続生産性として、透明ポリプロピレン系シート成形時におけるメヤニの発生の有無も、下記の条件により判定し、比較・評価した。結果を表2に示す。
【0108】
(1)引張特性:
引張特性として、「引張弾性率」「降伏強度」「破断強度」及び「伸び」を、JIS K7113に準拠して測定して、比較・評価した。
なお、測定は成形の押出方向(MD方向)と、MD方向の垂直方向(TD方向)に対して行った。
【0109】
(2)ヘイズ:
JIS K7105に準拠し、ヘイズ測定機(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。また、ヘイズとしては、全ヘイズのほか、内部ヘイズも測定した。
なお、厚みが0.3mmの場合における(I)式により算出される全ヘイズHは、3.3である。
【0110】
(3)光沢度:
JIS K7105に準拠し、自動式測色色差計(スガ試験機(株)製)を用いて、測定した(表側:ロール側、裏側:ベルト側)。
【0111】
(4)衝撃強度:
フィルムインパクトテスター((株)東洋精機製作所)を用い、試験荷重 30kg、1インチヘッドの条件で、5℃、−5℃で測定した。
【0112】
(5)折り曲げ白化試験:
シートを指で折り曲げて元に戻した後、シートに白い筋ができるがどうかを目視で観察した。
【0113】
(6)連続製造性:
連続生産性として、48時間連続生産した場合におけるダイリップに対するメヤニ(樹脂状付着物)の付着を確認し、下記の判定基準により判定し、比較・評価した。
判 定 内 容
◎ : メヤニは48時間ほとんど発生しなかった。
○ : メヤニは10時間経過後に発生した。
△ : メヤニは3時間経過後に発生した。
(試験結果)
以上の試験の結果を表2に示す。
【0114】
【表2】

【0115】
表2から解るように、特定構成のポリプロピレン樹脂(a)と特定のメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)を使用した実施例1ないし実施例4のポリプロピレン系シートは、引張特性、剛性が良好であるとともに、透明性の大きな改善、光沢度、及び低温域を含む耐衝撃性、及び折り曲げ白化特性に優れるものであった。
また、実施例1ないし実施例4のポリプロピレン系シートの製造にあっては、ダイリップにはメヤニはほとんど生じないものであるため、実施例1ないし実施例4に示す製造方法は連続生産性にも優れるものであることが確認できた。
【0116】
[実施例5〜8、比較例5〜6]
前述した第2実施形態の製造装置2(図4)を用い、透明ポリプロピレン系シート21を製造した。
(原料構成)
材料の具体的条件は表3の通りとした。表中の各材料の詳細は前述した実施例1〜4の説明の通り。
【0117】
【表3】

【0118】
(製造方法)
前記表3に示す処方とした樹脂組成物を、図4に示す製造装置2(T−ダイ押出装置、ベルト/ロール急冷装置)を用いて、樹脂温度を240℃、ダイグリップ温度を280℃として押し出してシート状樹脂組成物とし、当該シート状樹脂組成物をベルト(温度=15℃)で急冷し、4m/分の速度で厚み0.3mmの透明シートを得た。次いで、得られたシートを190℃の恒温槽(オーブン)で20秒間熱処理して透明ポリプロピレン系シートを得た。
【0119】
(試験条件)
前述した実施例1〜4と同様な条件とし、各々の熱処理前および熱処理後の全ヘイズを測定した。
(試験結果)
以上の試験の結果を表4に示す。
【0120】
【表4】

【0121】
表4から解るように、熱処理前はメタセロン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)の添加量が増えると透明性が低下する傾向があるが、熱処理後の最終シートにおいては透明性が同等以上に改善されることが明らかである
このような本発明の効果は、非均一系のチーグラー触媒によるエチレン−α−オレフィン共重合体では得られない。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の透明ポリプロピレン系シートの製造方法及び透明ポリプロピレン系シートは、クリアーケース等の文具材料、低温流通、保管される物品の包装材料、包装ケース(折り畳みケース等)等の各種包装材料及びその製造方法として広く利用できる。
【符号の説明】
【0123】
1、2 製造装置
11 押出手段
12、22 冷却手段
14 熱処理手段
20 シート
20a シート状樹脂組成物
21 シート(透明ポリプロピレン系シート)
111 押出機
112 Tダイ
120 大型水槽
125 小型水槽
126 スリット
141、142、143 加熱ロール
144 冷却ロール
145,215 エンドレスベルト
213、214、215A,216 冷却ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイソタクチックペンタッド分率が0.85〜0.99、メルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10分のポリプロピレン樹脂(a)が70〜99.8質量%と、メタロセン触媒を用いて製造した密度が880〜920kg/m、メルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分のメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が30〜0.02質量%と、からなる樹脂組成物を用い、
前記樹脂組成物をシート状に溶融押出する溶融押出工程と、
溶融押出されたシート状樹脂組成物を急冷してシート状物とする冷却工程と、
冷却されたシート状物を熱処理温度100〜220℃で熱処理する熱処理工程と、
を備えていることを特徴とする透明ポリプロピレン系シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の透明ポリプロピレン系シートの製造方法において、
前記ポリプロピレン樹脂(a)及びメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が造核剤を含有しないことを特徴とする透明ポリプロピレン系シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の透明ポリプロピレン系シートの製造方法において、
前記冷却工程が、下記の工程;
冷却水が流下するスリットに対して溶融押出されたシート状樹脂組成物を通過させて、当該シート状樹脂組成物を急冷する工程か、
溶融押出されたシート状樹脂組成物を、冷却ロールとエンドレスベルトとの間で接触走行させて急冷する工程か、
の少なくとも何れか一方の工程を含むことを特徴とする透明ポリプロピレン系シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の透明ポリプロピレン系シートの製造方法において、
前記熱処理工程が、鏡面を有する金属製エンドレスベルトおよび/または金属ロールにより前記シート状物の表裏面を挟持して加熱することを特徴とする透明ポリプロピレン系シートの製造方法。
【請求項5】
アイソタクチックペンタッド分率が0.85〜0.99、メルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10分のポリプロピレン樹脂(a)が70〜99.8質量%と、メタロセン触媒を用いて製造した密度が880〜920kg/m、メルトフローレート(MFR)が1〜30g/10分のメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体(b)が30〜0.02質量%と、から構成される樹脂組成物からなるシートであって、
押出成形方向(MD方向)の引張弾性率が1500MPa以上であり、
シート厚みがt[mm]である場合の全ヘイズHが下記式(I)により表されることを特徴とする透明ポリプロピレン系シート。
(数1)
H≦70t−30t+6 …… (I)
【請求項6】
請求項5に記載の透明ポリプロピレン系シートにおいて、
−5℃における衝撃強度が2000J/m以上であることを特徴とする透明ポリプロピレン系シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−79329(P2011−79329A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278092(P2010−278092)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【分割の表示】特願2006−511503(P2006−511503)の分割
【原出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】