説明

透明導電性シート

【課題】調光フィルムに用いた場合にも、色調およびコントラストの変化が抑制された透明導電性シートの提供を可能とする。
【解決手段】透明基材と、透明導電膜と、高分子バリア層とを含み、前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有し、前記高分子バリア層が、前記透明基材と前記透明導電膜との間、及び、前記透明基材に対し前記透明導電膜と反対側の、いずれか一方に設けられている透明導電性シート。また、透明基材と、透明導電膜と、無機バリア層と、粘着剤層とを含み、前記透明導電膜、前記透明基材、前記粘着剤層および前記無機バリア層の順に配置され、前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有している透明導電性シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明導電性シートは、基材上にスズ含有酸化インジウムなどの透明導電性薄膜をスパッタリング、蒸着などのいわゆるドライプロセスで作製し、製造されている。このようなドライプロセスは、真空条件で行われるため、製造装置が高価となり、また生産効率が低い。そのため、このようなドライプロセスに代わる方法として透明導電性粒子を含む分散組成物を塗布して透明導電膜を形成するウェットプロセスの検討が進められている。
【0003】
ウェットプロセスでは、ドライプロセスで使用されてきたスズ含有酸化インジウムの他、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ、酸化亜鉛、ガドリウム含有酸化スズ、フッ素含有酸化スズなどを粒子化して用い、このような透明導電性粒子の分散組成物を基板上に塗布したものが実用化されている。
【0004】
透明導電性粒子のうち、酸化インジウムにスズを含有させたスズ含有酸化インジウム(ITO)粒子は、可視光に対する高い透光性と、高い導電性から、静電防止や電磁波遮蔽が要求されるCRT画面、LCD画面などに好適な材料として用いられてきた。
【0005】
このようなウエットプロセスで形成した透明導電性シートは、タッチパネルあるいはパネル型地デジアンテナ、液晶表示素子、調光フィルムなどへの利用が検討されている。特に、液晶表示素子、調光フィルムなどの電極に利用した場合、透明導電塗膜はスパッタ膜に比較して耐屈曲性に優れるため、湾曲部への適用が可能となり、製品展開が広がるものと期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、このようなウェットプロセスで製造した透明導電膜を有する透明導電性シートを用いた調光フィルムは、ドライプロセスで作成した透明導電性シートを用いた場合と比較して、その色調およびコントラストが変化しやすいことがわかってきた。
【0007】
そこで、本発明は、調光フィルムに用いた場合にも、色調およびコントラストの変化が抑制された透明導電性シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、透明基材と、透明導電膜と、高分子バリア層とを含み、
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有し、
前記高分子バリア層が、前記透明基材と前記透明導電膜との間、及び、前記透明基材に対し前記透明導電膜と反対側の、いずれか一方に設けられている透明導電性シートである。
【0009】
また、本発明は、透明基材と、透明導電膜と、無機バリア層と、粘着剤層とを含み、
前記透明導電膜、前記透明基材、前記粘着剤層および前記無機バリア層の順に配置され、
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有している透明導電性シートである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の透明導電性シートは、調光フィルムに用いた場合にも、色調およびコントラストの変化が抑制されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の透明導電性シートの別の一例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の透明導電性シートの別の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、色調およびコントラストの変化について検討を重ねた結果、ウェットプロセスで作成した透明導電膜を用いた場合、調光材料の特性に変化が認められ、このような特性変化が色調およびコントラストに影響を与えていることを見出した。このような調光材料の特性変化は、調光材料が酸化されることが原因の一つであることを見出した。これは、ウェットプロセスにより製造した透明導電膜の酸素透過率が、ドライプロセスにより製造した透明導電膜の場合より大きいことが原因と考えられる。
【0013】
このような調光材料の特性変化に対処するため、酸素バリア性能を有する層を、透明導電性シートに含ませることを検討した。その結果、前記酸素バリア性能を有する層として、無機バリア層あるいは高分子バリア層を用いた場合、透明導電性シートの酸素透過率を抑制することができ、調光材料の酸化が抑制されて色調およびコントラストの変化が抑制されることを見出した。
【0014】
さらに、検討を進めたところ、ヒートサイクル試験において、酸素バリア性能を有する層として無機バリア層を用いた場合、色調およびコントラストにムラを生じる現象が生じ、かつ、抵抗値が不安定になっていることが確認された。この導電性シートの抵抗値が不安定になる原因は、透明導電膜に微小なクラックが入っているためであり、かつ、このクラックは透明導電膜が設けられた透明基材と無機バリア膜との熱膨張率の差により、前記透明導電膜に微小な歪や応力がかかるため発生したことを、本発明者らは突き止めた。なお、ヒートサイクル試験において、酸素バリア性能を有する層として高分子バリア層を用いた場合、色調およびコントラストにムラは認められなかった。
【0015】
すなわち、酸素バリア性能を有する層として、高分子バリア層を用いれば、調光フィルムに用いられた場合、耐候性評価、およびヒートサイクル試験において、色調およびコントラストの変化を抑制できることを、本発明者らは見出した。
【0016】
酸素バリア性能を有する層として無機バリア層を用いた場合、透明導電膜と無機バリア層との間に粘着剤層を設けると、色調およびコントラストの変化を抑制でき、かつ、抵抗値が安定することを本発明者らは見出した。これは、透明導電膜と透明基材の熱膨張率の差による微小な歪、応力が緩和されたためと考えている。すなわち、酸素バリア性能を有する層として無機バリア層を用いた場合、透明導電膜と無機バリア層との間に粘着剤層を設けると、耐候性評価、およびヒートサイクル試験においても、コントラストの変化を抑制できることを本発明者らは見出した。
【0017】
これらの知見に基づき、本発明に至った。
【0018】
本発明は、前記のように、透明基材と、透明導電膜と、高分子バリア層とを含み、
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有し、
前記高分子バリア層が、前記透明基材と前記透明導電膜との間、及び、前記透明基材に対し前記透明導電膜と反対側の、いずれか一方に設けられている透明導電性シートである。このような透明導電性シートを以下、便宜的に「第1の透明導電性シート」と呼ぶ。
【0019】
また、本発明は、前記のように、透明基材と、透明導電膜と、無機バリア層と、粘着剤層とを含み、
前記透明導電膜、前記透明基材、前記粘着剤層および前記無機バリア層の順に配置され、
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有している透明導電性シートである。このような透明導電性シートを以下、便宜的に「第2の透明導電性シート」と呼ぶ。以下、特に断りが無い場合、「透明導電性シート」は、「第1の透明導電性シート」と「第2の透明導電性シート」の両方を意味する。
【0020】
本発明の透明導電性シートは、前記のような構成を有することにより、酸素透過度を抑え、かつ、耐候性およびヒートサイクル試験に優れる。このような透明導電性シートであれば、調光フィルムに用いた場合にも、色調およびコントラストの変化が抑制される。
【0021】
図面に基づき、以下に本発明の透明導電性シートを説明する。
[第1の透明導電性シート]
図1は、本発明の透明導電性シートの一例を示す概略断面図である。図1において、本発明の透明導電性シート10は、透明基材11と、高分子バリア層12と、透明導電膜13を備えている。
【0022】
図2は、本発明の透明導電性シートの別の一例を示す概略断面図である。図2において、本発明の透明導電性シート20は、透明基材11と、高分子バリア層12と、透明導電膜13を備えている。
【0023】
(透明導電膜)
透明導電膜13は、透明導電性粒子と、樹脂とを含む。
【0024】
<透明導電性粒子>
前記透明導電性粒子としては、透明性と導電性を兼ね備えた粒子であればよく、特に限定されず、例えば、導電性金属酸化物粒子、導電性窒化物粒子などを用いることができる。前記導電性金属酸化物粒子としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウムなどの金属酸化物粒子が挙げられる。また、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛及び酸化カドミウムからなる群から選ばれる1種類以上の金属酸化物を主成分として、さらにスズ、アンチモン、アルミニウム、ガリウムがドープされた導電性金属酸化物粒子、例えば、アンチモン含有酸化スズ(ATO)粒子、スズ含有酸化インジウム(ITO)粒子、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)粒子、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)粒子、ITOをアルミニウム置換した導電性金属酸化物粒子などが挙げられる。中でも、透明性、導電性及び化学特性に優れている点から、ITO粒子が特に好ましい。また、導電性の観点から、前記ITO粒子において、ITO全体に対してスズの添加量は酸化スズ換算で1〜20重量%が好ましい。ITOへのスズの添加により導電性が改善されるが、スズの添加量が1重量%より少ない場合は導電性の改善が乏しい傾向があり、20重量%を超えても導電性向上の効果は少ない傾向がある。
【0025】
前記透明導電性粒子は、平均一次粒子径が10nm〜200nmの範囲にあることが好ましい。10nmより大きい場合、分散処理が容易になり粒子同士の凝集を抑制でき、曇りを抑制でき、光学特性が向上する傾向がある。また、200nm以下の場合、粒子による可視光線の散乱が抑制され、曇りが小さくなる傾向がある。ここで、平均一次粒子径は、例えば、作製した塗膜の表面又は断面において、個々の粒子の粒子径を電子顕微鏡を用いて観察・測定した後、少なくとも100個の粒子の粒子径を平均した平均粒子径をいう。
【0026】
前記透明導電膜は、このような透明導電性粒子を樹脂(バインダ)および溶剤と共に分散処理して分散組成物とし、その分散組成物を透明基材上に塗布して導電性塗膜を作成することができる。前記透明導電膜は、透明導電性粒子および樹脂を含む組成物を前記透明基材の上に塗布して塗膜を形成して製造された透明導電膜であるのが好ましい。
【0027】
<樹脂>
前記樹脂としては、バインダとして従来公知のアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の少なくとも一種を含めることが好ましい。また、バインダにはアニオン系官能基を含む樹脂を含めることが好ましい。このようなアニオン系官能基を含む樹脂を添加すると、いわゆる分散性が向上するためか、光学特性が向上する。添加する樹脂としては、たとえば、カルボン酸含有アクリル系樹脂、酸含有ポリエステル系樹脂、酸および塩基含有ポリエステル系樹脂が好ましい。前記アクリル系樹脂としては、例えば、三菱レイヨン社製ダイヤナールMR−2539、MB−2389、MB−2660、MB−3015、BR−60、BR−64、BR−77、BR−84、BR−83、BR−106、BR−113など、アビシア社製ソルスパーズ3000、21000、26000、32000、36000、41000、43000、44000、45000、56000などが挙げられる。このような樹脂は、単独で用いても、また複数組み合わせて用いてもよい。アニオン系官能基を含む樹脂を添加する場合、その添加量は導電性粒子に対し0.1wt%以上が好ましい。前記添加量が0.1wt%以上であれば、分散効果が得られやすいからである。また、導電膜の抵抗の低減と同時に光学特性を向上するため、導電性粒子を含む塗膜をカレンダ処理により、緻密化してもよい。
【0028】
(透明基材)
透明基材11としては、透光性を有する材料で形成されていればよく、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン類、セルローストリアセテートなどのセルロース系樹脂、ナイロン、アラミドなどのアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホンエーテルなどのポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などの材料からなる、フィルム又はシートを用いることができる。また、ガラス、セラミックスなどを用いてもよい。透明基材11の厚さは、通常3〜300μmが好ましく、25〜200μmがより好ましい。
【0029】
なお、透明基材11には、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤などの添加剤が添加されてもよい。さらに、その上に設けられる膜との密着性を向上させるために、基材表面に易接着剤層(例えば、プライマー層)を設けたり、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。
【0030】
(高分子バリア層)
高分子バリア層12としては、ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体など)、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニリデンおよびポリアクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類から形成されているのが好ましい。前記高分子バリア層の厚みは、例えば1μm〜100μm、好ましくは5μm〜50μmである。前記厚みが1μm以上であれば、バリア特性が十分に発現できるからである。また、前記厚みが100μm以下であれば、透明導電性シートに曇りが生じるのを抑制することができるからである。この高分子バリア層の酸素透過度は、10ml/m2・24時間・MPa以下が好ましい。この酸素透過度は、例えばJIS K 7126−2法に準じて測定することができる。
【0031】
[第2の透明導電性シート]
図3は、本発明の透明導電性シートの別の一例を示す概略断面図である。図3において、本発明の透明導電性シート30は、無機バリア層14と、粘着剤層15と、透明基材11と、透明導電膜13を備えている。
【0032】
(無機バリア層)
無機バリア層14は、シリカ、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素およびアルミナからなる群から選択される少なくとも一種類から形成されているのが好ましい。無機バリア層の厚みは10〜1000nmが好ましい。この厚みが10nmより薄い場合、バリア特性が十分に発現しないことがある。この厚みが1000nmを超えると、無機バリア層の耐屈曲性が劣ることがある。この無機バリア層の酸素透過度は、10ml/m2・24時間・MPa以下が好ましい。なお、無機バリア層は、フィルム上に設けられていてもよい。このような無機バリア膜を設けたフィルムは、透明導電フィルムの透明導電膜と反対面に粘着剤を介して貼付することが好ましい。無機バリア層が設けられるフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、プロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン等から形成されるフィルムを用いることができる。また、無機バリア膜が設けられるフィルムの厚みは例えば3μm〜100μmであり、10μm〜100μmが好ましい。
【0033】
(粘着剤層)
粘着剤層15は、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤およびアクリル系粘着剤からなる群から選択される少なくとも一種類から形成されているのが好ましい。このような粘着剤は、そのガラス転移温度が0℃以下の重合体から形成されているのがより好ましい。前記重合体がアクリル系モノマーの重合体の場合、ポリアクリル酸エチル(Tg=−24℃)、ポリアクリル酸n−ブチル(Tg=−54℃)、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル(Tg=−50℃)、ポリアクリル酸n−オクチル(Tg=−65℃)、ポリアクリル酸イソノニル(Tg=−58℃)等が挙げられる。また、前記重合体として、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソノニル等のアクリル系モノマーを組み合わせた、共重合体を用いてもよい。粘着剤層の厚みは例えば、1μm〜100μm、好ましくは5〜35μmである。前記厚みが1μm以上である場合、無機バリア層と透明導電膜との間の熱膨張の差を十分に緩和することができるからである。また、前記厚みが100μm以下である場合、透明で導電性シート全体の厚みが抑制できるからである。なお、ガラス転移温度は、例えばDSC法により測定することができる。
【0034】
第2の透明導電性シートにおける、透明基材11および透明導電膜13については、第1の透明導電性シートにおける透明基材11および透明導電膜13と同様である。
【0035】
次に、本発明の透明導電性シートの製造方法を説明する。
【0036】
[第1の透明導電性シートの製造方法]
本発明の第1の透明導電性シートの製造方法は、透明基材11の片面上に、透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程と、前記透明基材11の別の片面上に、高分子バリア層の材料溶液を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて高分子バリア層12を形成する工程を含む。このような方法により、高分子バリア層12と、透明基材11と、透明導電膜13をこの順序に備えている本発明の透明導電性シート20を製造することができる。
【0037】
(透明基材11の片面上に、透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程)
<透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物>
前記分散組成物において溶剤を除く成分中の透明導電性粒子の体積含有率は、好ましくは30〜95%、より好ましくは45〜90%である。前記体積含有率が30%以上の場合、塗布乾燥後にカレンダ処理を行うと、塗膜の電気特性が顕著に改善されるからである。これは、カレンダ処理前の塗膜中に空隙が形成されるため、カレンダ処理による透明導電性粒子の接近、接触が阻害されないためであると考えられる。一方、前記体積含有率が90%以下の場合、塗膜強度が優れる。これは、透明導電膜中の樹脂の含有量が一定以上、確保されるためであると考えられる。本発明では、前記のように体積含有率は、溶剤を除く分散組成物成分全体に対する透明導電性粒子の体積の比率を意味する。ところで、前記溶剤を除く分散組成物成分、例えば透明導電性粒子、樹脂成分などの体積は、それぞれの重量含有率及び比重から求めてもよい。また、比重、即ち真密度はピクノメータを用いて測定するなど従来公知の方法で測定すればよい。
【0038】
前記分散組成物を作成するには、従来公知の分散方法を用いてもよい。たとえば、サンドグラインドミルなどのビーズミル、超音波分散機、3本ロールミルなどが挙げられるが、生産性の観点からビーズミルが好適である。分散処理を行うにあたって、分散組成物の溶剤には従来公知のものを用いることができ、ヘキサンなど炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエステルなどのグリコールエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどを単独で、また複数混合して用いてもよい。分散組成物には、他の成分を含んでもよい。
【0039】
<透明基材11の片面上に、透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成する工程>
分散組成物を透明基材上に塗布して導電性塗膜を作成するには、従来公知の方法に従って行ってもよい。従来公知の塗布方法としては、グラビアロール法、マイクログラビアロール法、マイクログラビアコータ法、スリットダイコート法、スプレイ法、スピン法、ナイフ法、キス法、スクイズ法、リバースロール法、ディップ法、バーコート法などが挙げられる。塗布後、分散組成物中に溶剤を含む場合は塗膜を乾燥させることが好ましい。
【0040】
さらに、必要に応じて塗膜にカレンダ処理を行ってもよい。この場合、塗膜中の残存溶剤は塗膜を柔軟にさせる作用がある一方、カレンダロール汚れの原因になることがある。このため、塗膜中の残存溶剤は低減させることが好ましく、塗膜からの残存溶剤など揮発成分をガスクロマトグラフなどを用いて評価した場合、塗膜厚み1μmあたり10mg/m2以下、かつ0.1mg/m2以上の残存溶剤が含まれることが好ましい。塗膜の厚みは、0.1〜10μmが好ましい。この厚みが0.1μm以上の場合、カレンダ処理の効果を得ることが容易であり、厚みが10μm以下の場合、透光性が優れる傾向にあるからである。
【0041】
カレンダ処理を効率よく行うには、樹脂フィルムを基材に用い、カレンダロールを用いて加工することが好ましい。カレンダロールには、少なくとも金属ロールを少なくとも1本含めた構成で行うことが好ましい。金属ロールとは、ロール表面にクロムメッキなど金属メッキを施したロールをいう。また、ロール表面を研磨などし、ロール表面の粗度(Ry)が1.0μm以下のものを用いることが好ましい。
【0042】
カレンダ処理を行う場合、金属ロールに導電塗膜が接触するように原反をセットすることが好ましい。カレンダロール温度は基材の変形などを考慮して決めることが必要であり、50〜200℃の範囲が好ましい。50℃より低い場合、電気特性改善効果が乏しい。200℃を超える場合、基材が変形することがある。また、処理時の線圧は1000N/cm以上が好ましい。1000N/cmより低い場合、電気特性改善の効果が乏しい。分散組成物に放射線硬化性樹脂や紫外線重合開始剤を含む場合、放射線で硬化処理後、カレンダ処理を行うことが好ましい。
【0043】
バインダに放射線硬化性樹脂を用いた場合、硬化処理には、紫外線、電子線、β線などを用いてもよい。簡便に利用されるものとして、紫外線があげられる。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDランプなどを使用してもよい。紫外線を用いる場合、紫外線重合開始剤を添加してもよい。紫外線重合開始剤には、たとえば、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4−ジエチルチオキサントン、o−ヘンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェン、ベンジル、2−クロロチオキサントン、ジイソプロピルチオザンソン、9,10−アントラキノン、ベンソイン、ベンソインメチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトンなどがあげられる。このような、紫外線重合開始剤は、放射線硬化性樹脂に対し、1〜20wt%の範囲で添加することが好ましい。この添加量が1wt%以上の場合、樹脂の硬化性が優れるためか、塗膜強度が優れるからである。また、この添加量が20wt%以下の場合、架橋が十分に発達できるためか、塗膜強度が向上する傾向にあるからである。紫外線の照射エネルギー量は、150〜2,000mJ/cm2が好ましく、250〜1,000mJ/cm2がより好ましい。
【0044】
また、バインダ樹脂として熱硬化性樹脂を用いてもよく、たとえばエポキシ樹脂を用いる場合は、硬化温度を基材のガラス転移温度以下に設定することが必要である。基材にポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムなどのポリエステル系樹脂フィルムを用いる場合、前記硬化温度を80℃以下に設定することが好ましい。ガラス転移温度を超えると、基材が変形することがある。
【0045】
<塗膜を乾燥させて透明導電膜13を形成する工程>
このようにして得られた塗膜は、室温等で乾燥させて、透明導電膜13を得ることができる。
【0046】
(前記透明基材11の別の片面上に、高分子バリア層の材料溶液を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて高分子バリア層12を形成する工程)
<高分子バリア層の材料溶液>
前記材料溶液において溶剤を除く成分中の高分子バリア層の材料の体積含有率は、好ましくは40〜100%である。前記材料溶液を作成するには、たとえば、適切な溶剤に溶解させることにより、行うことができる。前記溶剤には従来公知のものを用いることができ、水;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等があげられる。これらの溶媒は、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0047】
前記材料溶液における高分子バリア層の材料濃度は、特に制限されないが、例えば、塗布が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、前記材料が、例えば0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部である。溶媒100重量部に対して前記材料が0.5重量部以上であると、塗布に適した粘度が得られるので好ましい。また、50重量部以下であると、滑らかな塗布面を形成できる粘度が得られるので好ましい。
【0048】
前記透明基材11の別の片面上に、高分子バリア層の材料溶液を塗布して塗膜を形成する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、ダイコート法、ブレードコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、押出法等が挙げられる。
【0049】
<塗膜を乾燥させて高分子バリア層12を形成する工程>
このようにして得られた塗膜は、室温等で乾燥させて、高分子バリア層12を得ることができる。このようにして、図2に示す本発明の透明導電性シートの一例を製造することができる。
【0050】
図1に示す本発明の透明導電性シートの一例は、前記方法の工程を入れ替えて、製造することができる。具体的には、透明基材11の片面上に、高分子バリア層の材料溶液を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて高分子バリア層12を形成する工程と、前記高分子バリア層12の面上に透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程とを含む。このような方法により、透明基材11と、高分子バリア層12と、透明導電膜13をこの順序に備えている本発明の透明導電性シート10を製造することができる。このようにして、図1に示す本発明の透明導電性シートの一例を製造することができる。
【0051】
[第1の透明導電性シートの別の製造方法]
本発明の第1の透明導電性シートの別の製造方法は、透明基材11の片面上に、透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程と、前記透明基材11の別の片面上に、粘着剤層を介して、高分子バリア層(フィルム)を貼り付ける工程を含む。透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程については、前記と同様である。高分子バリア層(フィルム)は、高分子バリア層の材料としてナイロン樹脂のみ、またはナイロン樹脂とポリエチレン−ビニルアルコール樹脂との混合物を、共押し出し、共延伸等して、製造することができる。また、前記粘着剤は、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤、アクリル系粘着剤等を用いることができる。このような方法により、高分子バリア層12と、粘着剤層と、透明基材11と、透明導電膜13をこの順序に備えている本発明の別の透明導電性シートを製造することができる。
【0052】
また、透明基材11の別の片面上に、粘着剤層を介して、高分子バリア層(フィルム)12を貼り付ける工程と、前記高分子バリア層12の面上に透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程とを含む前記第1の透明導電性シートのさらに別の製造方法により、透明基材11と、粘着剤層と、高分子バリア層12と、透明導電膜13とをこの順序に備えている本発明のさらに別の透明導電性シートを製造することができる。
【0053】
[第2の透明導電性シートの製造方法]
本発明の第2の透明導電性シートの製造方法は、透明基材11の片面上に、透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程と、前記透明基材11の別の片面上に、粘着剤層15を形成する工程と、無機バリア層14を、無機バリア層と前記粘着剤層15とが向かいあうように配置する工程とを含む。このような方法により、無機バリア層14と、粘着剤層15と、透明基材11と、透明導電膜13とをこの順序に備えている本発明の透明導電性シート30を製造することができる。
【0054】
(透明基材11の片面上に、透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程)
この工程は、第1の透明導電性シートの製造方法における、「透明基材11の片面上に、透明導電性粒子と樹脂とを含む分散組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させて透明導電膜13を形成する工程」と同様である。
【0055】
(前記透明基材11の別の片面上に、粘着剤層15を形成する工程)
前記透明基材11の別の片面上に、粘着剤を塗布したり、粘着剤層から形成されている粘着テープを貼り付けたり等により、前記透明基材11の別の片面上に、粘着剤層15を形成することができる。このようにして、前記粘着剤層15、前記透明基材11および前記透明導電膜13をこの順に含む積層体を得ることができる。
【0056】
(無機バリア層14と支持体との積層体を、無機バリア層14と前記粘着剤層15とが向かいあうように配置する工程)
<無機バリア層14と支持体との積層体>
前記支持体は、ポリエチレンテレフタレート、プロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン等から形成されているのが好ましい。無機バリア層14と支持体との積層体は、前記支持体上に蒸着あるいはスパッタなどの方法で無機バリア層を設けることにより得ることができる。
【0057】
前記無機バリア層14と支持体との積層体と、前記粘着剤層15、前記透明基材11および前記透明導電膜13をこの順に含む積層体とを、前記無機バリア層14と前記粘着剤層15とが向かいあうように配置する。
【0058】
更に、任意に前記支持体を剥離する工程を行うと、図3に示す本発明の透明導電性シートの一例を製造することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例に基いて本発明を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に指摘がない場合、下記において、「部」は「重量部」を意味する
【0060】
(実施例1)
<分散組成物の調製>
まず、以下の組成の混合物を、分散メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、ペイントコンディショナーを用いて分散処理した。
(1)ITO粒子(平均一次粒子径:30nm、酸化スズ含有率:10重量%、比重:7.32) 85部
(2)アニオン性官能基を含む樹脂(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製ダイヤナールBR−113、比重:1.21) 6.0部
(3)アニオン性官能基を含む樹脂(アクリル系樹脂、三菱レイヨン社製ダイヤナールBR−83、比重:1.21) 9.0部
(4)メチルエチルケトン 75部
(5)トルエン 75部
【0061】
次に、分散処理した前記の混合物に、以下の溶剤を添加・混合した。その後、フィルターを通してジルコニアビーズを取り除いて、溶剤を除く成分中の透明導電性粒子の重量含有率が85%、体積含有率51.6%の分散組成物を得た。
(6)シクロヘキサノン 42.5部
(7)トルエン 42.5部
【0062】
<透明導電膜の作製>
前記分散組成物をマイクログラビアコータを用いて透明基材(東レ社製ポリエステルフィルム「ルミラー」、厚み:100μm)に塗膜厚みが1.5μmになるように塗布して塗膜を形成し、乾燥して透明基材と透明導電膜との積層体を得た。
【0063】
<高分子バリア層の材料溶液の調製>
以下の組成の高分子バリア層の材料溶液を調製した。材料溶液における溶剤を除く成分中の高分子バリア層の材料の体積含有率は100%であった。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学社製 ゴーセノールNM−14) 10部
(2)水 90部
【0064】
<透明導電性シートの作製>
前記透明基材と透明導電膜との積層体の、透明基材の面上に、乾燥膜厚み30μmとなるように高分子バリア層の材料溶液をスリットダイコータ法を用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥して、高分子バリア層を作成し、透明導電性シートを得た。
【0065】
(実施例2)
<高分子バリア層の材料溶液の調製>
以下の組成の高分子バリア層の材料溶液を調製した。材料溶液における溶剤を除く成分中の高分子バリア層の材料の体積含有率は100%であった。
(1)ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学社製 Gポリマー) 5部
(2)水 95部
【0066】
<透明導電性シートの作製>
実施例1で得られた前記透明基材と透明導電膜との積層体の、透明基材の面上に、乾燥膜厚み10μmとなるように高分子バリア層の材料溶液をスリットダイコータ法を用いて塗布し、得られた塗膜を乾燥して、高分子バリア層を作成し、透明導電性シートを得た。
【0067】
(実施例3)
<透明導電性シートの作製>
実施例1で得られた前記透明基材と透明導電膜との積層体と、無機バリア層と支持体の積層体(三菱樹脂社製、シリカ系蒸着膜付きフィルムテックバリアHX、支持体:ポリエチレンレフタレートフィルム、フィルム厚み12μm、シリカ系蒸着膜の厚み100nm)とを、前記透明基材と前記無機バリア層とが向かい合うように、間に粘着テープ(巴川製紙所社製。粘着フィルム(基材なしタイプ)、粘着剤:アクリル樹脂系粘着剤(Tg:−40〜−50℃)、粘着剤厚み25μm)を用いて接着させて、透明導電性シートを得た。
【0068】
(比較例1)
<透明導電性シートの作製>
実施例1で得られた前記透明基材と透明導電膜との積層体を、透明導電性シートとした。
【0069】
(比較例2)
<透明導電性シートの作製>
実施例1で得られた前記透明基材と透明導電膜との積層体の、前記透明基材の面上に、CVD法によりシリカ系バリア層を形成して、透明導電性シートを得た。
【0070】
[透明導電性シートの物性評価]
得られた実施例及び比較例の透明導電性シートの酸素透過度および耐候性を以下のとおり測定して、その結果を下記表1に示した。
【0071】
(酸素透過度)
JIS K 7126−2法に示された測定方法に準じて酸素透過度を測定した。なお、参考にITOスパッタ膜付きの透明導電性シートの酸素透過率を評価した。
【0072】
(耐候性)
透明導電性シートを幅50mm、長さ200mmの大きさに切り出し、下端に250gの荷重をかけ、以下の温度サイクルを1サイクルとして、400サイクル行って保存した。保存前および保存後の透明導電性シートの表面抵抗を測定した。抵抗測定を10回繰り返し、その偏差を次式で求め、この値で耐候性を評価した。偏差が、保存前と保存後で、差のないほうを耐候性良好と判断した。

偏差=〔Σ(平均値と測定値の差の絶対値)〕/平均値×100

[温度サイクル]
20℃で30分間保持し;20℃から80℃へ45分かけて昇温し;80℃で60分間保持し;80℃から20℃へ45分かけて降温し;20℃で30分間保持し;20℃から−20℃へ45分かけて降温し;−20℃で60分間保持し;−20℃から20℃へ45分かけて昇温。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示すように、実施例1〜3の透明導電性シートは、酸素透過度が低く、耐候性およびヒートサイクル試験に優れる透明導電性シートであることが確認できた。一方、バリア層を有さない比較例1の透明導電性シートは、酸素透過度が高いことが確認できた。また、実施例3の透明導電性シートから粘着剤層を除いた比較例2の透明導電性シートは、耐候性が低いことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の透明導電性シートは、色調およびコントラストの変化が抑制されており、調光フィルムなどへの応用が期待できる。
【符号の説明】
【0076】
10、20、30 透明導電性シート
11 透明基材
12 高分子バリア層
13 透明導電膜
14 無機バリア層
15 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、透明導電膜と、高分子バリア層とを含み、
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有し、
前記高分子バリア層が、前記透明基材と前記透明導電膜との間、及び、前記透明基材に対し前記透明導電膜と反対側の、いずれか一方に設けられている透明導電性シート。
【請求項2】
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含む組成物を前記透明基材の上に塗布して塗膜を形成して製造された透明導電膜である請求項1に記載の透明導電性シート。
【請求項3】
前記高分子バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニリデンおよびポリアクリロニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類から形成されている請求項1または2に記載の透明導電性シート。
【請求項4】
透明基材と、透明導電膜と、無機バリア層と、粘着剤層とを含み、
前記透明導電膜、前記透明基材、前記粘着剤層および前記無機バリア層の順に配置され、
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含有している透明導電性シート。
【請求項5】
前記透明導電膜が、透明導電性粒子および樹脂を含む組成物を前記透明基材の上に塗布して塗膜を形成して製造された透明導電膜である請求項4に記載の透明導電性シート。
【請求項6】
前記無機バリア層が、シリカ、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素およびアルミナからなる群から選択される少なくとも一種類から形成されている請求項4または5に記載の透明導電性シート。
【請求項7】
前記粘着剤層が、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤およびアクリル系粘着剤からなる群から選択される少なくとも一種類から形成されている請求項4〜6のいずれかに記載の透明導電性シート。
【請求項8】
さらにフィルムを含み、前記フィルムと前記無機バリア層とが隣り合わせに配置される請求項4〜7のいずれかに記載の透明導電性シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−153090(P2012−153090A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16284(P2011−16284)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】