透明感測定装置および透明感測定方法
【課題】肌の表面反射光あるいは外乱光などの影響を受けることなく肌の透明感を小型化された装置構成により測定すること。
【解決手段】皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置において、所定の波長の光を照射するLED20を有し、LED20からの光を皮膚表面に投光する投光部2と、光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像部3とを有し、投光部2は、皮膚表面に接触する開口部24を有し、開口部24が皮膚表面に接触することで、LED20からの直接光が遮光されるようにする。
【解決手段】皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置において、所定の波長の光を照射するLED20を有し、LED20からの光を皮膚表面に投光する投光部2と、光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像部3とを有し、投光部2は、皮膚表面に接触する開口部24を有し、開口部24が皮膚表面に接触することで、LED20からの直接光が遮光されるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明感測定装置および透明感測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚の状態を表す1つの要素として「透明感」がある。「透明感」の定義は確立されたものはないが本明細書では、「肌が光を内部に取り込んで明るく見せる程度」という概念で説明を行うものとする。
【0003】
このような透明感を測定する方法が特許文献1〜4などに開示されている。たとえば特許文献1では、肌からの反射光のうち測定波長を2種類使用し、その比率を評価数字として用いる方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、皮膚表面にP偏光(水平偏光)を入射させてS偏光(垂直偏光)成分の反射光を受光するとともに、S偏光を入射させてP偏光成分の反射光を受光し、この2つの反射光の反射率の合計値を評価数字として用いる方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、光源部とレンズ部に偏光フィルタを装着し、フィルタの角度を平行させて撮像した画像と、直交させて撮像した画像とを画像演算処理し、皮膚画像の拡散反射光の輝度値を透明感の指標とする方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4では、皮膚内部で拡散した光を受光し、直接光および皮膚表面における反射光を実質的に受光しない内部拡散光受光手段を備える方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−294423号公報
【特許文献2】特許第4105554号
【特許文献3】特開2008−212189号公報
【特許文献4】特開平8−182654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1〜4に開示されている方法は、以下に示す課題がある。
【0009】
たとえば特許文献1に開示されている方法では、肌の表面反射光または投光側の光を遮断する方法の開示がない。これによれば、純粋に肌の内部の散乱光を捉えることは困難である。
【0010】
特許文献2に開示されている方法では、「発明の実施の形態」において光源が白色光に限定されている。このため、装置を小型化するために光源をLED(Light Emitting Diode)化して特許文献2に開示されている方法を実施する際に、白色LEDしか使用できない。周知のとおり、白色LEDは、赤、緑、青の3色のLEDを組み合わせるなど、構成が複雑であるため必然的に高価になると共に、消費電力も他の色のLEDと比較して大きくなる傾向がある。また、特許文献2に開示されている方法では、外乱光による影響を除去する点については開示されていない。
【0011】
特許文献3に開示されている方法では、ストロボとカメラレンズとの間にフィルタを挿入しているが、一般のデジタルカメラの接写である。このため、被験者の顔の固定およびカメラの固定その他の装置構成が大がかりになってしまい、小型化に対応できない。
【0012】
特許文献4に開示されている方法では、光源にハロゲンランプ、キセノンランプなどを挙げているが波長依存性についての開示はない。また、光源にハロゲンランプ、キセノンランプなどを使用するのであれば装置が大がかりになり、小型化に対応できない。
【0013】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、肌の表面反射光あるいは外乱光などの影響を受けることなく肌の透明感を小型化された装置構成により測定することができる透明感測定装置および透明感測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの観点は、透明感測定装置としての観点である。すなわち、本発明の透明感測定装置は、皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置において、所定の波長の光を照射する光源を有し、光源からの光を皮膚表面に投光する投光手段と、光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像手段とを有し、投光手段は、皮膚表面に接触する投光側開口部を有し、投光側開口部が皮膚表面に接触することで、光源からの直接光が遮光されるものである。
【0015】
たとえば、撮像手段は、皮膚表面からの光が入射する投光側開口部とは異なる撮像側開口部を有し、投光側開口部と撮像側開口部は、透明感測定装置の筐体を構成する平面部に並んで設けられている。
【0016】
たとえば、光源は、発光波長が610nm〜630nmである。
【0017】
さらに、投光手段には、光源からの光を透過する第1の偏光板が設けられ、撮像手段には、撮像側開口部から入射される光が透過する第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板が設けられているようにすることができる。
【0018】
さらに、撮像手段による撮像の結果得られた画像を表示する表示部を有することができる。
【0019】
本発明の他の観点は、透明感測定方法としての観点である。すなわち、本発明の透明感測定方法は、皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置が行う透明感測定方法において、透明感測定装置の投光手段が光源から所定の波長の光を照射し、光源からの光を皮膚表面に投光する投光ステップを実行し、透明感測定装置の撮像手段が投光手段からの光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像ステップを実行し、投光ステップの実行に際しては、投光手段の皮膚表面に接触する投光側開口部が皮膚表面に接触することで、光源からの直接光が遮光されるものである。
【0020】
さらに、投光ステップの処理は、光源からの光を第1の偏光板を透過させるステップを有し、撮像ステップの処理は、皮膚表面を撮像する際に撮像手段に入射される光を第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板に透過させるステップを有することができる。
【0021】
さらに、透明感測定装置の表示部が撮像ステップの処理による撮像の結果得られた画像を表示する表示ステップを実行することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、肌の表面反射光あるいは外乱光などの影響を受けることなく肌の透明感を小型化された装置構成により測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る透明感測定装置の概念図である。
【図2】図1の投光部および遮光板の実態的な構成を示す斜視図である。
【図3】図1の撮像部の実態的な構成を示す斜視図である。
【図4】図1の投光部および撮像部を配設する透明感測定モジュールの構成を示す斜視図である。
【図5】図1の透明感測定装置の実態的な構成例(その1)を示す図である。
【図6】図1の透明感測定装置の実態的な構成例(その2)を示す斜視図である。
【図7】図1の透明感測定装置の実態的な構成例(その3)を示す斜視図である。
【図8】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、散乱光の観測構成を上面から見た図である。
【図9】図8の散乱光の観測構成を側面から見た図である。
【図10】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、緑のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図11】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、黄のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図12】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、橙のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図13】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、赤のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図14】図10〜図13の色の異なるLEDにおける散乱光の観測結果をまとめて示す図である。
【図15】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、散乱光の観測構成を上面から見た図である。
【図16】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、散乱光の観測構成を側面から見た図である。
【図17】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、18.0mAの駆動電流値の場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図18】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、16.6mAの駆動電流値の場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図19】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、15.1mAの駆動電流値の場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図20】図17〜図19の駆動電流値の異なるLEDにおける散乱光の観測結果をまとめて示す図である。
【図21】図1の透明感測定装置において女性♯1の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図22】図1の透明感測定装置において女性♯2の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図23】図1の透明感測定装置において女性♯3の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図24】図1の透明感測定装置において男性♯1の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図25】図21〜図24の皮膚の透明感の測定結果をまとめて示す図である。
【図26】肌面画像とLED照射画像とを組み合わせた透明感確認画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(本発明の実施の形態に係る透明感測定装置1の構成について)
本発明の実施の形態に係る透明感測定装置1の構成について図1を参照して説明する。図1は、透明感測定装置1の概念図である。
【0025】
透明感測定装置1は、主に、投光部2、撮像部3、遮光板4および表示部5から構成される。透明感測定装置1は、たとえば被験者としての顧客やカウンセラーとしての店員が片手で把持し易い形状を有している。たとえばユーザが透明感測定装置1を持って、透明感測定装置1を被験者である顧客の顔の透明感を測定したい部位に当て、所定の操作を行うことにより、被験者の皮膚の透明感を測定することができる。
【0026】
投光部2は、LED20(請求項でいう光源)、電池21、発光強度調整部22および水平偏光板23(請求項でいう第1の偏光板)から構成される。また、撮像部3は、撮像素子30、レンズ31、および垂直偏光板32(請求項でいう第2の偏光板)から構成される。
【0027】
投光部2のLED20は、橙または赤(波長610nm〜630nm程度)のLEDである。なお、LED20を橙または赤とした理由については後述する。また、LED20の駆動電流値は、たとえば約16.0mAである。なお、LED20の駆動電流値を約16.0mAとした理由についても後述する。
【0028】
電池21は、LED20の電源である。LED20の駆動電圧値は、約2.2Vであるため電池21もこれに適合する規格のものとする。
【0029】
発光強度調整部22は、LED20の発光強度を調整するために、LED20を流れる電流値を可変するための可変抵抗器である。なお、LED20の駆動電流が約16.0mAであり駆動電圧が約2.2Vであればそのときの発光強度調整部22の抵抗値は約137.5Ωとなる。また、LED20の経年劣化に伴ってLED20の駆動電流値を増大する可能性がある。したがって、発光強度調整部22は、抵抗値が約137.5Ωを最大値として約137.5Ω以下の抵抗値に可変できるものとする。
【0030】
水平偏光板23は、LED20から照射される光に対して偏光を与えるものである。
【0031】
撮像素子30は、たとえばC−MOS(Complementary Metal Oxide)画像センサである。
【0032】
レンズ31は、撮像素子30の撮像面上に被写体の画像を結像させるための光学部品である。図1の例では、2枚構成のレンズ群を図示してあるが、レンズ31は、1枚のレンズまたは2枚以上のレンズ群など、どのような構成であってもよい。
【0033】
垂直偏光板32は、被写体からの撮像画像光に対して偏光を与えるものである。このときに、投光部2から出射される光と撮像部3に入射される光の位相は、互いに直交するようになっている。
【0034】
遮光板4は、投光部2からの光が撮像部3の内部およびその撮像領域に入らないように遮断するものである。
【0035】
表示部5は、撮像素子30の撮像結果を表示するためのディスプレイ装置である。表示部5の方式は、LCD(Liquid Crystal Display)、OEL(Organic Electro Luminescence)あるいは、その他のいかなる方式のものでもよい。
【0036】
(透明感測定装置1の透明感の測定動作について)
次に、図1を参照して透明感測定装置1の肌面の透明感の測定動作について説明する。
【0037】
ステップ1:ユーザは、遮光板4が肌面50に対して密着するように、透明感測定装置1を押し当てる。そしてユーザは、透明感測定装置1の図示せぬ操作部を操作して、透明感の測定の開始を指示する。
【0038】
ステップ2:透明感の測定が指示されると、投光部2のLED20は所定の発光強度(約16.0mA)および波長(610nm(橙)〜630nm(赤)程度の中の所定の波長)の光を出射する。具体的には、LED20の照射光は、水平偏光板23によって偏光を与えられた後に、肌面50に照射される。水平偏光板23を透過し、肌面50に照射された光は、一部が肌面50表面で反射され、一部が肌面50に透過する。肌面50に透過した光は、内部で散乱し、内部散乱光として、光が照射された位置から広がりをもって伝搬する。なお、皮膚は、表面から角質、表皮、真皮に分かれており、内部散乱光は、表皮または真皮を通って伝搬する。
【0039】
ステップ3:撮像部3は、内部散乱光が伝搬した肌面50を撮像する。具体的には、垂直偏光板32は、肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光に偏光を与える。レンズ31は、垂直偏光板32を透過した肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光の画像を撮像素子30の撮像面上に結像させる。そして撮像素子30の撮像面上に結像された画像が、表示部5に表示される。
【0040】
ステップ4:ユーザは、表示部5に表示された画像を目視し、肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光の輝度および同一輝度を有する肌面50の領域の面積などを確認する。これにより、ユーザは、被験者の肌面50の透明感の度合を測定する。
【0041】
(投光部2および遮光板4の具体的な構成について)
次に、投光部2および遮光板4の具体的な構成例について図2から図4を参照して説明する。図2は、投光部2および遮光板4の具体的な構成例を示す図である。
【0042】
この例の場合、図2に示すように、投光部2は、円筒状の筐体60を有する。この筐体60の内部に、水平偏光板23が配設され、底部にはLED20が配設される。LED20が出射する光のための開口部(請求項でいう投光側開口部)24が設けられている。また、この例の場合、筐体60の外壁が、遮光板4となる。なお、この例では、LED20の波長は固定されているものとし、電池21および発光強度調整部22は、図外に設けられているものとする。なお、電池21および発光強度調整部22の配設位置は、後述する筐体71,80,80A,80Bの内部のいかなる位置でもよい。したがって、以下の説明では、電池21および発光強度調整部22の図示は省略する。
【0043】
図3は、撮像部3の具体的な構成例を示す図である。この例の場合、撮像部3は、図3に示すように、筐体61を有し、筐体61の内部に撮像素子30、レンズ31および垂直偏光板32が配設される。図3の例では、筐体61は立方体である。これは、表示部5に表示される画像が四辺形であるため、撮像部3の撮像範囲も四辺形でよい。このため、筐体61の形状も四辺形の開口部(請求項でいう撮像側開口部)33を有する立方体とする。しかしながら、筐体61の形状については円筒形状など、他の形状であってもよい。
【0044】
図4は、図2の投光部2と図3の撮像部3を組み込んだ透明感測定モジュール70の構成例を示す図である。透明感測定モジュール70は、筐体71内に、図2の投光部2と図3の撮像部3が配設されている。このとき、筐体71を構成する立方体の1つの面上に、それぞれ筐体60および筐体61の開口部24および開口部33が並んで配列される。
【0045】
ここで、投光部2と撮像部3の開口部24と33の配設位置関係について説明する。投光部2の開口部24から、投光部2のLED20から照射された光が出射される。開口部24が肌面60に押し付けられているとき、筐体60の開口部から肌面50に照射された光の一部が肌面50の内部で散乱し、さらに、その散乱光の一部が筐体60の開口部24の周囲に伝搬する。一方、撮像部3の開口部33は、撮像部3の撮像範囲に相当する。したがって、投光部2の開口部24の周囲に伝搬した散乱光が撮像部3の開口部33に達するように、撮像部3の開口部33は配設されることが必要である。すなわち、投光部2の開口部24と撮像部3の開口部33とは所定の距離より近い間隔に配設されている。
【0046】
(透明感測定装置1の具体的な構成例について)
図5は、透明感測定装置1の構成例を示す図である。この透明感測定装置1は、筐体80を有し、この筐体80内に、透明感測定モジュール70の筐体71および表示部5が配設される。また、筐体80は、透明感測定モジュール70および表示部5が配設されるプローブ部80−1と筐体80をユーザが手で持つための把持部80−2とを有する。
【0047】
図6は、透明感測定装置1の他の構成例を示す図である。この透明感測定装置1Aは、筐体80Aを有し、この筐体80A内に、透明感測定モジュール70および表示部5(筐体80Aの裏面にある)が配設される。また、筐体80Aのプローブ部80A−1には、透明感測定モジュール70の他にも、肌面50の水分センサ90、肌面50の表面弾力および内部硬さを測定するためのセンサ91、皮膚温度センサ92、皮脂センサ93および発汗センサ94などの各種センサが配設される。
【0048】
図7は、透明感測定装置1の他の構成例を示す図である。この透明感測定装置1Bは、筐体80Bを有し、この筐体80B内に、透明感測定モジュール70が配設される。なお、透明感測定装置1Bでは、表示部5は別置き型とする。
【0049】
(透明感測定装置1のLED20の色の選択について)
次に、出願人がLED20の色を橙または赤(波長610nm〜630nm程度)とした理由を図8から図14を参照して説明する。出願人は、図8、図9に示すように、図2に示した投光部2の開口部24を被験者の肌面50に押し当て、緑(波長560nm程度)、黄(波長590nm程度)、橙(波長610nm程度)、赤(波長630nm程度)の4色のLED20を800Lx(ルクス)の発光強度(照度)により点灯させて、その散乱光を、図8、図9に示すような位置に設置した図3の撮像部3を用いて観測した。撮像部3の撮像領域は、図8に示すように肌面50の上面から見て長方形である。また、撮像領域に含まれる筐体60の外壁の中心位置をA点とし、そこから撮像領域の長方形の対辺に下ろした垂線と対辺との交点をB点とした。
【0050】
図10は、緑のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。図11は、黄のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。図12は、橙のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。図13は、赤のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。
【0051】
図10の緑のLED20の場合は、遮光板4として作用する投光部2の開口部24の外縁(すなわち筐体60の外壁)から僅かに離れた領域まで皮膚の内部での散乱光が観測できる。図11の黄のLED20の場合は、開口部24の外縁から図10の緑よりもさらに広い領域で皮膚の内部での散乱光が観測できる。図12の橙のLED20の場合は、開口部24の外縁から図11の黄よりもさらに広い領域で皮膚の内部での散乱光が観測できる。図13の赤のLED20の場合は、開口部24の外縁から図12の橙よりもさらに広い領域で皮膚の内部での散乱光が観測できる。
【0052】
図10から図13で観測した結果について、開口部24の外縁からの距離(A−B間)における輝度と相対輝度レベルとの関係を図14に示す。図14は、横軸にA−B間の輝度をとり縦軸に相対輝度レベル(%)をとる。図14によれば、緑のLED20の場合と他の色(赤、橙、黄)のLED20との場合とでは相対輝度レベルに大きな差があることがわかる。すなわち、緑のLED20の場合、A−B間において相対輝度レベルの変化が他と比べて小さい。これは緑の波長領域(560nm付近)付近に血液中のヘモグロビンによる吸収があることに起因する。よって、今回試用したLED20の中で緑のLED20は、投光部2の光源として適さないことがわかる。また、図14によれば、赤、橙、黄のLED20の中で赤のLED20が最も相対輝度レベルが高く、投光部2の光源として最も適していることがわかる。また、図14によれば、橙のLED20についても赤のLED20の次に投光部2の光源として適していることがわかる。
【0053】
(透明感測定装置1のLED20の発光強度について)
次に、出願人がLED20の発光強度を決定した理由を図15から図20を参照して説明する。図15、図16に示すように、図4に示す透明感測定モジュール70を被験者の肌面50に押し当て、投光部2の赤(波長630nm程度)のLED20を3段階の発光強度で点灯させてみた。このときのLED20の駆動電流値は、“強”が18.0mA、“中”が16.6mA、“弱”が15.1mAとした。そして、撮像部3により遮光板4として作用する開口部24の外縁(すなわち筐体60の外壁)の外側で散乱光を観測した。撮像領域の開口部33(すなわち筐体61の外壁)側の中心位置をC点とし、そこから撮像領域の対辺に下ろした垂線と対辺との交点をD点とした。
【0054】
図17から図19は、発光強度の異なる赤のLED20による図4に示す透明感測定モジュール70を用いて実際に被験者の皮膚の透明感を測定した際の皮膚の内部での散乱光の観測結果を示す図である。
【0055】
図17は、LED20に対して18.0mAの駆動電流を流している。図18は、LED20に対して16.6mAの駆動電流を流している。図19は、LED20に対して15.1mAの駆動電流を流している。なお、図17〜図19における半円状の破線は、皮膚の内部での散乱光が観測できる領域を示している。
【0056】
図17〜図19の観測結果をまとめたものを図20に示す。図20は、横軸に図17〜図19のC−D間の輝度をとり、縦軸に相対輝度レベル(%)をとる。出願人は、過去に行った検証テストの結果より、男性肌で、C点で相対輝度レベルが50%程度となるようなLED20の電流値を用いて女性肌を撮像すれば、C点で相対輝度レベルが50%〜80%になることがわかっている。
【0057】
一方、LED20の発光強度が強ければ色飛び状態(飽和した状態)となり、ユーザが表示部5に表示された画像を基に透明感の説明を被験者にすることが難しい。また、反対に、発光強度が弱ければ、画像は暗くなり、ユーザが表示部5に表示された画像を基に透明感の説明を被験者にすることが難しい。そこで、妥当な画像が得られるように、発光強度調整部22の可変抵抗器の抵抗値を変化させ男性の肌画像を撮像した。
【0058】
その結果、図18に示すように、LED20に16.6mAの駆動電流を流すことで、C点で相対輝度レベルが50%程度になることがわかった。これにより、LED20に流す駆動電流値をLED20が新品であるときに16.0mAとし、経年劣化による発光強度の低下時に調整(レベルアップ)できるようにすることにした。
【0059】
(透明感測定の検証)
次に、出願人は、図4に示す透明感測定モジュール70を用いて透明感測定の検証を行った。このときの透明感測定モジュール70の肌面50に対する位置関係は、図15、図16に示すものと同じである。この検証結果を図21から図25を参照して説明する。図21は、女性♯1の検証結果を示す図である。図22は、女性♯2の検証結果を示す図である。図23は、女性♯3の検証結果を示す図である。図24は、男性♯1の検証結果を示す図である。なお、図21〜図24において半円状の破線は、皮膚の内部での散乱光が撮像された領域を示している。
【0060】
図21〜図24の観測結果についてC−D間の輝度とその相対輝度レベルとの関係を図25に示す。図25は、横軸にC−D間の輝度をとり、縦軸に相対輝度レベル(%)をとる。図25からわかるように、相対輝度レベルとその広がり具合(減衰量/傾き)によって肌の透明感の相違を観察できることがわかる。前述したように、男性肌で、C点で相対輝度レベルが45%程度の場合、女性肌で、C点で相対輝度レベルが50%〜60%になっている。これにより、過去の検証データに照らして正しい透明感の測定が行われていることがわかる。
【0061】
(本発明の実施の形態に係る効果について)
以上説明したように、透明感測定装置1は、人の皮膚に対して所定の波長の光を照射し、皮膚内部に照射され、皮膚内部で散乱した光を撮像し、撮像した皮膚内部で散乱した光を表示することにより、被験者が視覚的に確認できる形で被験者の皮膚の透明感を測定することができる。
【0062】
これによれば、透明感測定装置1は、たとえば化粧品売り場などにおいてデモンストレーションに用いる際に、被験者である顧客に対し、顧客自身の目で撮像結果を見ながら顧客の肌の透明感について測定する上できわめて有用である。
【0063】
また、図4に示すように、投光部2と撮像部3とを一体化した透明感測定モジュール70を構成することにより、透明感測定装置1をきわめて小型軽量化することができる。これによっても透明感測定装置1は、たとえば化粧品売り場などにおいてデモンストレーションに用いるのに適する。
【0064】
また、LED20を橙または赤とすることにより、白色LEDを用いる場合と比較して光源を安価かつ低消費電力とすることができる。
【0065】
また、透明感測定装置1によれば、ユーザが直接的に表示部5に表示されている画像を目視確認することによって、被験者の肌面50の透明感の度合を測定できる。このことは、たとえば化粧品売り場などにおけるデモンストリーションにおいて透明感測定装置1を利用する際に、被験者である顧客が自身の肌面50の透明感の度合を直接目視確認できるため、きわめて有用である。
【0066】
また、図1の破線矢印で示すように、投光部2から撮像部3に対して遮光板4から「漏れた表面反射光」が存在する場合を想定する。このような場合でも「漏れた表面反射光」は、垂直偏光板32の偏光方向と比べると90度位相の異なる偏光を有する水平偏光板23により偏光を与えられている。このため、「漏れた表面反射光」は垂直偏光板32を透過できない。よって、撮像素子30の撮像面上には「漏れた表面反射光」は撮像されない。これにより、撮像部3は、肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射される光のみを撮像することができる。したがって、表示部5の画面上には、肌面50の透明感の測定に用いる肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光の画像のみが表示される。これによりユーザは、被験者の肌面50の透明感の測定に不必要な表面反射光の影響を受けることなく、正確な透明感の測定を行うことができる。
【0067】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、図26に示すように、被験者(ここでは女性♯1)の肌面画像を予め撮像しておき、その後、被験者の肌面50に投光部2のLED20からの光を照射した画像を撮像し、この2つの画像を組み合わせることによって、被験者の肌面画像にLED照射画像が合成された画像によって被験者の透明感を確認してもよい。これによれば、被験者は、単にLED照射画像を見ながら透明感を確認するよりも自身の肌面画像を併せて見ることにより、肉眼で見た感じに近い形で透明感の確認を行うことができる。
【0068】
上述の実施の形態では、撮像部3を投光部2に近接させて配設したが、投光部2の後方から遮光板4として作用する筐体60の外壁の周囲を撮像するような構成としてもよい。あるいは、投光部2を覆うように撮像部3を配設し、遮光板4として作用する筐体60の外壁の周囲を撮像するような構成としてもよい。
【0069】
LED20の波長を橙または赤(波長610nm〜630nm程度)としたが、さらに長い波長としてもよい。なお、波長領域が可視光の範囲を越えて赤外線領域となるような場合であっても撮像結果が表示部5によって可視化できればよい。
【0070】
また、上述の実施の形態では、表示部5に表示された画像を見ながら被験者である顧客に対し、ユーザであるカウンセラーなどがカウンセリングしながら被験者の皮膚の透明感を測定することを想定した。これに対し、撮像素子30が撮像した画像を画像解析装置によって自動的に解析し、被験者の皮膚の透明感を数値表示したり、テキスト情報または音声情報によって「透明感大」、「透明感中」、「透明感少」などと表示するようにしてもよい。
【0071】
また、撮像素子30は、C−MOS画像センサであるとして説明したが、これに代えてCCD(Charge Coupled Device)その他の画像センサであってもよい。
【0072】
また、上述の実施の形態では、水平偏光板23を投光部2に備え、垂直偏光板32を撮像部3に備える例を説明したが、水平偏光板23を撮像部3に備え、垂直偏光板32を投光部2に備えてもよい。いずれの場合でも投光部2に備える偏光板の偏光方向と撮像部3に備える偏光板の偏光方向とが90度ずれていればよい。さらには、投光部2に備える偏光板の偏光方向と撮像部3に備える偏光板の偏光方向とが厳密に90度ずれていなくてもよい。すなわち、投光部2から肌面50に照射された光の肌面50での表面反射光が撮像部3に入射することを防ぐことができるならば投光部2に備える偏光板の偏光方向と撮像部3に備える偏光板の偏光方向の差分は、どのような角度であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…透明感測定装置、2…投光部、3…撮像部、4…遮光板、20…LED(光源)、23…水平偏光板(第1の偏光板)、24…開口部(投光側開口部)、32…垂直偏光板(第2の偏光板)、33…開口部(撮像側開口部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明感測定装置および透明感測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚の状態を表す1つの要素として「透明感」がある。「透明感」の定義は確立されたものはないが本明細書では、「肌が光を内部に取り込んで明るく見せる程度」という概念で説明を行うものとする。
【0003】
このような透明感を測定する方法が特許文献1〜4などに開示されている。たとえば特許文献1では、肌からの反射光のうち測定波長を2種類使用し、その比率を評価数字として用いる方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、皮膚表面にP偏光(水平偏光)を入射させてS偏光(垂直偏光)成分の反射光を受光するとともに、S偏光を入射させてP偏光成分の反射光を受光し、この2つの反射光の反射率の合計値を評価数字として用いる方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、光源部とレンズ部に偏光フィルタを装着し、フィルタの角度を平行させて撮像した画像と、直交させて撮像した画像とを画像演算処理し、皮膚画像の拡散反射光の輝度値を透明感の指標とする方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4では、皮膚内部で拡散した光を受光し、直接光および皮膚表面における反射光を実質的に受光しない内部拡散光受光手段を備える方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−294423号公報
【特許文献2】特許第4105554号
【特許文献3】特開2008−212189号公報
【特許文献4】特開平8−182654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1〜4に開示されている方法は、以下に示す課題がある。
【0009】
たとえば特許文献1に開示されている方法では、肌の表面反射光または投光側の光を遮断する方法の開示がない。これによれば、純粋に肌の内部の散乱光を捉えることは困難である。
【0010】
特許文献2に開示されている方法では、「発明の実施の形態」において光源が白色光に限定されている。このため、装置を小型化するために光源をLED(Light Emitting Diode)化して特許文献2に開示されている方法を実施する際に、白色LEDしか使用できない。周知のとおり、白色LEDは、赤、緑、青の3色のLEDを組み合わせるなど、構成が複雑であるため必然的に高価になると共に、消費電力も他の色のLEDと比較して大きくなる傾向がある。また、特許文献2に開示されている方法では、外乱光による影響を除去する点については開示されていない。
【0011】
特許文献3に開示されている方法では、ストロボとカメラレンズとの間にフィルタを挿入しているが、一般のデジタルカメラの接写である。このため、被験者の顔の固定およびカメラの固定その他の装置構成が大がかりになってしまい、小型化に対応できない。
【0012】
特許文献4に開示されている方法では、光源にハロゲンランプ、キセノンランプなどを挙げているが波長依存性についての開示はない。また、光源にハロゲンランプ、キセノンランプなどを使用するのであれば装置が大がかりになり、小型化に対応できない。
【0013】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、肌の表面反射光あるいは外乱光などの影響を受けることなく肌の透明感を小型化された装置構成により測定することができる透明感測定装置および透明感測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの観点は、透明感測定装置としての観点である。すなわち、本発明の透明感測定装置は、皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置において、所定の波長の光を照射する光源を有し、光源からの光を皮膚表面に投光する投光手段と、光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像手段とを有し、投光手段は、皮膚表面に接触する投光側開口部を有し、投光側開口部が皮膚表面に接触することで、光源からの直接光が遮光されるものである。
【0015】
たとえば、撮像手段は、皮膚表面からの光が入射する投光側開口部とは異なる撮像側開口部を有し、投光側開口部と撮像側開口部は、透明感測定装置の筐体を構成する平面部に並んで設けられている。
【0016】
たとえば、光源は、発光波長が610nm〜630nmである。
【0017】
さらに、投光手段には、光源からの光を透過する第1の偏光板が設けられ、撮像手段には、撮像側開口部から入射される光が透過する第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板が設けられているようにすることができる。
【0018】
さらに、撮像手段による撮像の結果得られた画像を表示する表示部を有することができる。
【0019】
本発明の他の観点は、透明感測定方法としての観点である。すなわち、本発明の透明感測定方法は、皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置が行う透明感測定方法において、透明感測定装置の投光手段が光源から所定の波長の光を照射し、光源からの光を皮膚表面に投光する投光ステップを実行し、透明感測定装置の撮像手段が投光手段からの光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像ステップを実行し、投光ステップの実行に際しては、投光手段の皮膚表面に接触する投光側開口部が皮膚表面に接触することで、光源からの直接光が遮光されるものである。
【0020】
さらに、投光ステップの処理は、光源からの光を第1の偏光板を透過させるステップを有し、撮像ステップの処理は、皮膚表面を撮像する際に撮像手段に入射される光を第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板に透過させるステップを有することができる。
【0021】
さらに、透明感測定装置の表示部が撮像ステップの処理による撮像の結果得られた画像を表示する表示ステップを実行することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、肌の表面反射光あるいは外乱光などの影響を受けることなく肌の透明感を小型化された装置構成により測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る透明感測定装置の概念図である。
【図2】図1の投光部および遮光板の実態的な構成を示す斜視図である。
【図3】図1の撮像部の実態的な構成を示す斜視図である。
【図4】図1の投光部および撮像部を配設する透明感測定モジュールの構成を示す斜視図である。
【図5】図1の透明感測定装置の実態的な構成例(その1)を示す図である。
【図6】図1の透明感測定装置の実態的な構成例(その2)を示す斜視図である。
【図7】図1の透明感測定装置の実態的な構成例(その3)を示す斜視図である。
【図8】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、散乱光の観測構成を上面から見た図である。
【図9】図8の散乱光の観測構成を側面から見た図である。
【図10】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、緑のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図11】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、黄のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図12】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、橙のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図13】図1のLEDの色を選択する経緯を説明するための図であり、赤のLEDを試用した場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図14】図10〜図13の色の異なるLEDにおける散乱光の観測結果をまとめて示す図である。
【図15】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、散乱光の観測構成を上面から見た図である。
【図16】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、散乱光の観測構成を側面から見た図である。
【図17】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、18.0mAの駆動電流値の場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図18】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、16.6mAの駆動電流値の場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図19】図1のLEDの駆動電流値を選択する経緯を説明するための図であり、15.1mAの駆動電流値の場合の散乱光の観測結果を説明する図である。
【図20】図17〜図19の駆動電流値の異なるLEDにおける散乱光の観測結果をまとめて示す図である。
【図21】図1の透明感測定装置において女性♯1の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図22】図1の透明感測定装置において女性♯2の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図23】図1の透明感測定装置において女性♯3の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図24】図1の透明感測定装置において男性♯1の皮膚の透明感を測定する例を示す図である。
【図25】図21〜図24の皮膚の透明感の測定結果をまとめて示す図である。
【図26】肌面画像とLED照射画像とを組み合わせた透明感確認画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(本発明の実施の形態に係る透明感測定装置1の構成について)
本発明の実施の形態に係る透明感測定装置1の構成について図1を参照して説明する。図1は、透明感測定装置1の概念図である。
【0025】
透明感測定装置1は、主に、投光部2、撮像部3、遮光板4および表示部5から構成される。透明感測定装置1は、たとえば被験者としての顧客やカウンセラーとしての店員が片手で把持し易い形状を有している。たとえばユーザが透明感測定装置1を持って、透明感測定装置1を被験者である顧客の顔の透明感を測定したい部位に当て、所定の操作を行うことにより、被験者の皮膚の透明感を測定することができる。
【0026】
投光部2は、LED20(請求項でいう光源)、電池21、発光強度調整部22および水平偏光板23(請求項でいう第1の偏光板)から構成される。また、撮像部3は、撮像素子30、レンズ31、および垂直偏光板32(請求項でいう第2の偏光板)から構成される。
【0027】
投光部2のLED20は、橙または赤(波長610nm〜630nm程度)のLEDである。なお、LED20を橙または赤とした理由については後述する。また、LED20の駆動電流値は、たとえば約16.0mAである。なお、LED20の駆動電流値を約16.0mAとした理由についても後述する。
【0028】
電池21は、LED20の電源である。LED20の駆動電圧値は、約2.2Vであるため電池21もこれに適合する規格のものとする。
【0029】
発光強度調整部22は、LED20の発光強度を調整するために、LED20を流れる電流値を可変するための可変抵抗器である。なお、LED20の駆動電流が約16.0mAであり駆動電圧が約2.2Vであればそのときの発光強度調整部22の抵抗値は約137.5Ωとなる。また、LED20の経年劣化に伴ってLED20の駆動電流値を増大する可能性がある。したがって、発光強度調整部22は、抵抗値が約137.5Ωを最大値として約137.5Ω以下の抵抗値に可変できるものとする。
【0030】
水平偏光板23は、LED20から照射される光に対して偏光を与えるものである。
【0031】
撮像素子30は、たとえばC−MOS(Complementary Metal Oxide)画像センサである。
【0032】
レンズ31は、撮像素子30の撮像面上に被写体の画像を結像させるための光学部品である。図1の例では、2枚構成のレンズ群を図示してあるが、レンズ31は、1枚のレンズまたは2枚以上のレンズ群など、どのような構成であってもよい。
【0033】
垂直偏光板32は、被写体からの撮像画像光に対して偏光を与えるものである。このときに、投光部2から出射される光と撮像部3に入射される光の位相は、互いに直交するようになっている。
【0034】
遮光板4は、投光部2からの光が撮像部3の内部およびその撮像領域に入らないように遮断するものである。
【0035】
表示部5は、撮像素子30の撮像結果を表示するためのディスプレイ装置である。表示部5の方式は、LCD(Liquid Crystal Display)、OEL(Organic Electro Luminescence)あるいは、その他のいかなる方式のものでもよい。
【0036】
(透明感測定装置1の透明感の測定動作について)
次に、図1を参照して透明感測定装置1の肌面の透明感の測定動作について説明する。
【0037】
ステップ1:ユーザは、遮光板4が肌面50に対して密着するように、透明感測定装置1を押し当てる。そしてユーザは、透明感測定装置1の図示せぬ操作部を操作して、透明感の測定の開始を指示する。
【0038】
ステップ2:透明感の測定が指示されると、投光部2のLED20は所定の発光強度(約16.0mA)および波長(610nm(橙)〜630nm(赤)程度の中の所定の波長)の光を出射する。具体的には、LED20の照射光は、水平偏光板23によって偏光を与えられた後に、肌面50に照射される。水平偏光板23を透過し、肌面50に照射された光は、一部が肌面50表面で反射され、一部が肌面50に透過する。肌面50に透過した光は、内部で散乱し、内部散乱光として、光が照射された位置から広がりをもって伝搬する。なお、皮膚は、表面から角質、表皮、真皮に分かれており、内部散乱光は、表皮または真皮を通って伝搬する。
【0039】
ステップ3:撮像部3は、内部散乱光が伝搬した肌面50を撮像する。具体的には、垂直偏光板32は、肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光に偏光を与える。レンズ31は、垂直偏光板32を透過した肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光の画像を撮像素子30の撮像面上に結像させる。そして撮像素子30の撮像面上に結像された画像が、表示部5に表示される。
【0040】
ステップ4:ユーザは、表示部5に表示された画像を目視し、肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光の輝度および同一輝度を有する肌面50の領域の面積などを確認する。これにより、ユーザは、被験者の肌面50の透明感の度合を測定する。
【0041】
(投光部2および遮光板4の具体的な構成について)
次に、投光部2および遮光板4の具体的な構成例について図2から図4を参照して説明する。図2は、投光部2および遮光板4の具体的な構成例を示す図である。
【0042】
この例の場合、図2に示すように、投光部2は、円筒状の筐体60を有する。この筐体60の内部に、水平偏光板23が配設され、底部にはLED20が配設される。LED20が出射する光のための開口部(請求項でいう投光側開口部)24が設けられている。また、この例の場合、筐体60の外壁が、遮光板4となる。なお、この例では、LED20の波長は固定されているものとし、電池21および発光強度調整部22は、図外に設けられているものとする。なお、電池21および発光強度調整部22の配設位置は、後述する筐体71,80,80A,80Bの内部のいかなる位置でもよい。したがって、以下の説明では、電池21および発光強度調整部22の図示は省略する。
【0043】
図3は、撮像部3の具体的な構成例を示す図である。この例の場合、撮像部3は、図3に示すように、筐体61を有し、筐体61の内部に撮像素子30、レンズ31および垂直偏光板32が配設される。図3の例では、筐体61は立方体である。これは、表示部5に表示される画像が四辺形であるため、撮像部3の撮像範囲も四辺形でよい。このため、筐体61の形状も四辺形の開口部(請求項でいう撮像側開口部)33を有する立方体とする。しかしながら、筐体61の形状については円筒形状など、他の形状であってもよい。
【0044】
図4は、図2の投光部2と図3の撮像部3を組み込んだ透明感測定モジュール70の構成例を示す図である。透明感測定モジュール70は、筐体71内に、図2の投光部2と図3の撮像部3が配設されている。このとき、筐体71を構成する立方体の1つの面上に、それぞれ筐体60および筐体61の開口部24および開口部33が並んで配列される。
【0045】
ここで、投光部2と撮像部3の開口部24と33の配設位置関係について説明する。投光部2の開口部24から、投光部2のLED20から照射された光が出射される。開口部24が肌面60に押し付けられているとき、筐体60の開口部から肌面50に照射された光の一部が肌面50の内部で散乱し、さらに、その散乱光の一部が筐体60の開口部24の周囲に伝搬する。一方、撮像部3の開口部33は、撮像部3の撮像範囲に相当する。したがって、投光部2の開口部24の周囲に伝搬した散乱光が撮像部3の開口部33に達するように、撮像部3の開口部33は配設されることが必要である。すなわち、投光部2の開口部24と撮像部3の開口部33とは所定の距離より近い間隔に配設されている。
【0046】
(透明感測定装置1の具体的な構成例について)
図5は、透明感測定装置1の構成例を示す図である。この透明感測定装置1は、筐体80を有し、この筐体80内に、透明感測定モジュール70の筐体71および表示部5が配設される。また、筐体80は、透明感測定モジュール70および表示部5が配設されるプローブ部80−1と筐体80をユーザが手で持つための把持部80−2とを有する。
【0047】
図6は、透明感測定装置1の他の構成例を示す図である。この透明感測定装置1Aは、筐体80Aを有し、この筐体80A内に、透明感測定モジュール70および表示部5(筐体80Aの裏面にある)が配設される。また、筐体80Aのプローブ部80A−1には、透明感測定モジュール70の他にも、肌面50の水分センサ90、肌面50の表面弾力および内部硬さを測定するためのセンサ91、皮膚温度センサ92、皮脂センサ93および発汗センサ94などの各種センサが配設される。
【0048】
図7は、透明感測定装置1の他の構成例を示す図である。この透明感測定装置1Bは、筐体80Bを有し、この筐体80B内に、透明感測定モジュール70が配設される。なお、透明感測定装置1Bでは、表示部5は別置き型とする。
【0049】
(透明感測定装置1のLED20の色の選択について)
次に、出願人がLED20の色を橙または赤(波長610nm〜630nm程度)とした理由を図8から図14を参照して説明する。出願人は、図8、図9に示すように、図2に示した投光部2の開口部24を被験者の肌面50に押し当て、緑(波長560nm程度)、黄(波長590nm程度)、橙(波長610nm程度)、赤(波長630nm程度)の4色のLED20を800Lx(ルクス)の発光強度(照度)により点灯させて、その散乱光を、図8、図9に示すような位置に設置した図3の撮像部3を用いて観測した。撮像部3の撮像領域は、図8に示すように肌面50の上面から見て長方形である。また、撮像領域に含まれる筐体60の外壁の中心位置をA点とし、そこから撮像領域の長方形の対辺に下ろした垂線と対辺との交点をB点とした。
【0050】
図10は、緑のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。図11は、黄のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。図12は、橙のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。図13は、赤のLED20を試用した場合の肌面50における皮膚の内部での散乱光の様子を示す図である。
【0051】
図10の緑のLED20の場合は、遮光板4として作用する投光部2の開口部24の外縁(すなわち筐体60の外壁)から僅かに離れた領域まで皮膚の内部での散乱光が観測できる。図11の黄のLED20の場合は、開口部24の外縁から図10の緑よりもさらに広い領域で皮膚の内部での散乱光が観測できる。図12の橙のLED20の場合は、開口部24の外縁から図11の黄よりもさらに広い領域で皮膚の内部での散乱光が観測できる。図13の赤のLED20の場合は、開口部24の外縁から図12の橙よりもさらに広い領域で皮膚の内部での散乱光が観測できる。
【0052】
図10から図13で観測した結果について、開口部24の外縁からの距離(A−B間)における輝度と相対輝度レベルとの関係を図14に示す。図14は、横軸にA−B間の輝度をとり縦軸に相対輝度レベル(%)をとる。図14によれば、緑のLED20の場合と他の色(赤、橙、黄)のLED20との場合とでは相対輝度レベルに大きな差があることがわかる。すなわち、緑のLED20の場合、A−B間において相対輝度レベルの変化が他と比べて小さい。これは緑の波長領域(560nm付近)付近に血液中のヘモグロビンによる吸収があることに起因する。よって、今回試用したLED20の中で緑のLED20は、投光部2の光源として適さないことがわかる。また、図14によれば、赤、橙、黄のLED20の中で赤のLED20が最も相対輝度レベルが高く、投光部2の光源として最も適していることがわかる。また、図14によれば、橙のLED20についても赤のLED20の次に投光部2の光源として適していることがわかる。
【0053】
(透明感測定装置1のLED20の発光強度について)
次に、出願人がLED20の発光強度を決定した理由を図15から図20を参照して説明する。図15、図16に示すように、図4に示す透明感測定モジュール70を被験者の肌面50に押し当て、投光部2の赤(波長630nm程度)のLED20を3段階の発光強度で点灯させてみた。このときのLED20の駆動電流値は、“強”が18.0mA、“中”が16.6mA、“弱”が15.1mAとした。そして、撮像部3により遮光板4として作用する開口部24の外縁(すなわち筐体60の外壁)の外側で散乱光を観測した。撮像領域の開口部33(すなわち筐体61の外壁)側の中心位置をC点とし、そこから撮像領域の対辺に下ろした垂線と対辺との交点をD点とした。
【0054】
図17から図19は、発光強度の異なる赤のLED20による図4に示す透明感測定モジュール70を用いて実際に被験者の皮膚の透明感を測定した際の皮膚の内部での散乱光の観測結果を示す図である。
【0055】
図17は、LED20に対して18.0mAの駆動電流を流している。図18は、LED20に対して16.6mAの駆動電流を流している。図19は、LED20に対して15.1mAの駆動電流を流している。なお、図17〜図19における半円状の破線は、皮膚の内部での散乱光が観測できる領域を示している。
【0056】
図17〜図19の観測結果をまとめたものを図20に示す。図20は、横軸に図17〜図19のC−D間の輝度をとり、縦軸に相対輝度レベル(%)をとる。出願人は、過去に行った検証テストの結果より、男性肌で、C点で相対輝度レベルが50%程度となるようなLED20の電流値を用いて女性肌を撮像すれば、C点で相対輝度レベルが50%〜80%になることがわかっている。
【0057】
一方、LED20の発光強度が強ければ色飛び状態(飽和した状態)となり、ユーザが表示部5に表示された画像を基に透明感の説明を被験者にすることが難しい。また、反対に、発光強度が弱ければ、画像は暗くなり、ユーザが表示部5に表示された画像を基に透明感の説明を被験者にすることが難しい。そこで、妥当な画像が得られるように、発光強度調整部22の可変抵抗器の抵抗値を変化させ男性の肌画像を撮像した。
【0058】
その結果、図18に示すように、LED20に16.6mAの駆動電流を流すことで、C点で相対輝度レベルが50%程度になることがわかった。これにより、LED20に流す駆動電流値をLED20が新品であるときに16.0mAとし、経年劣化による発光強度の低下時に調整(レベルアップ)できるようにすることにした。
【0059】
(透明感測定の検証)
次に、出願人は、図4に示す透明感測定モジュール70を用いて透明感測定の検証を行った。このときの透明感測定モジュール70の肌面50に対する位置関係は、図15、図16に示すものと同じである。この検証結果を図21から図25を参照して説明する。図21は、女性♯1の検証結果を示す図である。図22は、女性♯2の検証結果を示す図である。図23は、女性♯3の検証結果を示す図である。図24は、男性♯1の検証結果を示す図である。なお、図21〜図24において半円状の破線は、皮膚の内部での散乱光が撮像された領域を示している。
【0060】
図21〜図24の観測結果についてC−D間の輝度とその相対輝度レベルとの関係を図25に示す。図25は、横軸にC−D間の輝度をとり、縦軸に相対輝度レベル(%)をとる。図25からわかるように、相対輝度レベルとその広がり具合(減衰量/傾き)によって肌の透明感の相違を観察できることがわかる。前述したように、男性肌で、C点で相対輝度レベルが45%程度の場合、女性肌で、C点で相対輝度レベルが50%〜60%になっている。これにより、過去の検証データに照らして正しい透明感の測定が行われていることがわかる。
【0061】
(本発明の実施の形態に係る効果について)
以上説明したように、透明感測定装置1は、人の皮膚に対して所定の波長の光を照射し、皮膚内部に照射され、皮膚内部で散乱した光を撮像し、撮像した皮膚内部で散乱した光を表示することにより、被験者が視覚的に確認できる形で被験者の皮膚の透明感を測定することができる。
【0062】
これによれば、透明感測定装置1は、たとえば化粧品売り場などにおいてデモンストレーションに用いる際に、被験者である顧客に対し、顧客自身の目で撮像結果を見ながら顧客の肌の透明感について測定する上できわめて有用である。
【0063】
また、図4に示すように、投光部2と撮像部3とを一体化した透明感測定モジュール70を構成することにより、透明感測定装置1をきわめて小型軽量化することができる。これによっても透明感測定装置1は、たとえば化粧品売り場などにおいてデモンストレーションに用いるのに適する。
【0064】
また、LED20を橙または赤とすることにより、白色LEDを用いる場合と比較して光源を安価かつ低消費電力とすることができる。
【0065】
また、透明感測定装置1によれば、ユーザが直接的に表示部5に表示されている画像を目視確認することによって、被験者の肌面50の透明感の度合を測定できる。このことは、たとえば化粧品売り場などにおけるデモンストリーションにおいて透明感測定装置1を利用する際に、被験者である顧客が自身の肌面50の透明感の度合を直接目視確認できるため、きわめて有用である。
【0066】
また、図1の破線矢印で示すように、投光部2から撮像部3に対して遮光板4から「漏れた表面反射光」が存在する場合を想定する。このような場合でも「漏れた表面反射光」は、垂直偏光板32の偏光方向と比べると90度位相の異なる偏光を有する水平偏光板23により偏光を与えられている。このため、「漏れた表面反射光」は垂直偏光板32を透過できない。よって、撮像素子30の撮像面上には「漏れた表面反射光」は撮像されない。これにより、撮像部3は、肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射される光のみを撮像することができる。したがって、表示部5の画面上には、肌面50の透明感の測定に用いる肌面50の内部を通って肌面50から外部に照射された光の画像のみが表示される。これによりユーザは、被験者の肌面50の透明感の測定に不必要な表面反射光の影響を受けることなく、正確な透明感の測定を行うことができる。
【0067】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、図26に示すように、被験者(ここでは女性♯1)の肌面画像を予め撮像しておき、その後、被験者の肌面50に投光部2のLED20からの光を照射した画像を撮像し、この2つの画像を組み合わせることによって、被験者の肌面画像にLED照射画像が合成された画像によって被験者の透明感を確認してもよい。これによれば、被験者は、単にLED照射画像を見ながら透明感を確認するよりも自身の肌面画像を併せて見ることにより、肉眼で見た感じに近い形で透明感の確認を行うことができる。
【0068】
上述の実施の形態では、撮像部3を投光部2に近接させて配設したが、投光部2の後方から遮光板4として作用する筐体60の外壁の周囲を撮像するような構成としてもよい。あるいは、投光部2を覆うように撮像部3を配設し、遮光板4として作用する筐体60の外壁の周囲を撮像するような構成としてもよい。
【0069】
LED20の波長を橙または赤(波長610nm〜630nm程度)としたが、さらに長い波長としてもよい。なお、波長領域が可視光の範囲を越えて赤外線領域となるような場合であっても撮像結果が表示部5によって可視化できればよい。
【0070】
また、上述の実施の形態では、表示部5に表示された画像を見ながら被験者である顧客に対し、ユーザであるカウンセラーなどがカウンセリングしながら被験者の皮膚の透明感を測定することを想定した。これに対し、撮像素子30が撮像した画像を画像解析装置によって自動的に解析し、被験者の皮膚の透明感を数値表示したり、テキスト情報または音声情報によって「透明感大」、「透明感中」、「透明感少」などと表示するようにしてもよい。
【0071】
また、撮像素子30は、C−MOS画像センサであるとして説明したが、これに代えてCCD(Charge Coupled Device)その他の画像センサであってもよい。
【0072】
また、上述の実施の形態では、水平偏光板23を投光部2に備え、垂直偏光板32を撮像部3に備える例を説明したが、水平偏光板23を撮像部3に備え、垂直偏光板32を投光部2に備えてもよい。いずれの場合でも投光部2に備える偏光板の偏光方向と撮像部3に備える偏光板の偏光方向とが90度ずれていればよい。さらには、投光部2に備える偏光板の偏光方向と撮像部3に備える偏光板の偏光方向とが厳密に90度ずれていなくてもよい。すなわち、投光部2から肌面50に照射された光の肌面50での表面反射光が撮像部3に入射することを防ぐことができるならば投光部2に備える偏光板の偏光方向と撮像部3に備える偏光板の偏光方向の差分は、どのような角度であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…透明感測定装置、2…投光部、3…撮像部、4…遮光板、20…LED(光源)、23…水平偏光板(第1の偏光板)、24…開口部(投光側開口部)、32…垂直偏光板(第2の偏光板)、33…開口部(撮像側開口部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置において、
所定の波長の光を照射する光源を有し、上記光源からの光を皮膚表面に投光する投光手段と、
光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像手段と、
を有し、
上記投光手段は、皮膚表面に接触する投光側開口部を有し、上記投光側開口部が皮膚表面に接触することで、上記光源からの直接光が遮光される、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の透明感測定装置において、
前記撮像手段は、前記皮膚表面からの光が入射する前記投光側開口部とは異なる撮像側開口部を有し、
前記投光側開口部と前記撮像側開口部は、前記透明感測定装置の筐体を構成する平面部に並んで設けられている、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の透明感測定装置であって、
前記光源は、発光波長が610nm〜630nmである、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の透明感測定装置であって、
前記投光手段には、前記光源からの光を透過する第1の偏光板が設けられ、
前記撮像手段には、前記撮像側開口部から入射される光が透過する上記第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板が設けられている、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の透明感測定装置であって、
前記撮像手段による撮像の結果得られた画像を表示する表示部を有する、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項6】
皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置が行う透明感測定方法において、
上記透明感測定装置の投光手段が光源から所定の波長の光を照射し、上記光源からの光を皮膚表面に投光する投光ステップを実行し、
上記透明感測定装置の撮像手段が上記投光手段からの光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像ステップを実行し、
上記投光ステップの実行に際しては、上記投光手段の皮膚表面に接触する投光側開口部が皮膚表面に接触することで、上記光源からの直接光が遮光される、
ことを特徴とする透明感測定方法。
【請求項7】
請求項6記載の透明感測定方法において、
前記投光ステップの処理は、前記光源からの光を第1の偏光板を透過させるステップを有し、
前記撮像ステップの処理は、皮膚表面を撮像する際に前記撮像手段に入射される光を上記第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板に透過させるステップを有する、
ことを特徴とする透明感測定方法。
【請求項8】
請求項6または7記載の透明感測定方法であって、
前記透明感測定装置の表示部が前記撮像ステップの処理による撮像の結果得られた画像を表示する表示ステップを実行する、
ことを特徴とする透明感測定方法。
【請求項1】
皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置において、
所定の波長の光を照射する光源を有し、上記光源からの光を皮膚表面に投光する投光手段と、
光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像手段と、
を有し、
上記投光手段は、皮膚表面に接触する投光側開口部を有し、上記投光側開口部が皮膚表面に接触することで、上記光源からの直接光が遮光される、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の透明感測定装置において、
前記撮像手段は、前記皮膚表面からの光が入射する前記投光側開口部とは異なる撮像側開口部を有し、
前記投光側開口部と前記撮像側開口部は、前記透明感測定装置の筐体を構成する平面部に並んで設けられている、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の透明感測定装置であって、
前記光源は、発光波長が610nm〜630nmである、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の透明感測定装置であって、
前記投光手段には、前記光源からの光を透過する第1の偏光板が設けられ、
前記撮像手段には、前記撮像側開口部から入射される光が透過する上記第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板が設けられている、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の透明感測定装置であって、
前記撮像手段による撮像の結果得られた画像を表示する表示部を有する、
ことを特徴とする透明感測定装置。
【請求項6】
皮膚表面に接触させて用いられる透明感測定装置が行う透明感測定方法において、
上記透明感測定装置の投光手段が光源から所定の波長の光を照射し、上記光源からの光を皮膚表面に投光する投光ステップを実行し、
上記透明感測定装置の撮像手段が上記投光手段からの光が投光された皮膚表面とは異なる場所であって、投光された光が内部で拡散している場所の皮膚表面を撮像する撮像ステップを実行し、
上記投光ステップの実行に際しては、上記投光手段の皮膚表面に接触する投光側開口部が皮膚表面に接触することで、上記光源からの直接光が遮光される、
ことを特徴とする透明感測定方法。
【請求項7】
請求項6記載の透明感測定方法において、
前記投光ステップの処理は、前記光源からの光を第1の偏光板を透過させるステップを有し、
前記撮像ステップの処理は、皮膚表面を撮像する際に前記撮像手段に入射される光を上記第1の偏光板とは偏光方向が異なる第2の偏光板に透過させるステップを有する、
ことを特徴とする透明感測定方法。
【請求項8】
請求項6または7記載の透明感測定方法であって、
前記透明感測定装置の表示部が前記撮像ステップの処理による撮像の結果得られた画像を表示する表示ステップを実行する、
ことを特徴とする透明感測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2011−130806(P2011−130806A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290361(P2009−290361)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000138200)株式会社モリテックス (120)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000138200)株式会社モリテックス (120)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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