説明

透析装置およびその洗浄方法

【課題】透析原液容器から洗浄ポート部への原液通路の繋ぎ替えミスによる洗浄不良を防止し、またこのような接続不良を迅速に発見することの可能な透析装置およびその洗浄方法を提供する。
【解決手段】透析装置1の液回路2は、計量チャンバ11に浄水を供給する給水通路12と、該浄水通路に合流するとともに透析原液容器20A,20Bに接続された原液通路13A,13Bと、浄水通路から分岐した分岐通路14と、該分岐通路に洗浄液を流通させる洗浄液通路15とから構成され、また液回路には透析液検出器としての導電度測定器29と気体検出器としての脱気槽34とが設けられている。透析装置の洗浄時には、前洗浄工程により液回路を浄水に置換し、その際制御装置4の判定手段4aは、導電度測定器により液回路を流通する液体が透析液ではないことを認識したら、洗浄液を用いた本洗浄工程へと移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透析装置およびその洗浄方法に関し、詳しくは透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を備えて、液回路中で透析液を作成する透析装置およびその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透析装置内で透析液を作成する個人用透析装置では、透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を設け、液回路の給水口から浄水を供給するとともに原液通路から透析原液を供給して、液回路中で透析液を作成して透析器に供給するようにしている。
このような透析装置では、透析治療が終了するたびに液回路の洗浄を行う必要があり、原液通路に洗浄液を供給する洗浄ポート部(洗浄液供給部)を設けて、透析終了後の洗浄時には原液通路を透析原液容器から洗浄ポート部へと繋ぎ替えて、原液通路を介して液回路に洗浄液を供給させることで、原液通路にも洗浄液が流通されるようにしている。(特許文献1)
【特許文献1】特開2001―9029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、透析原液容器から洗浄ポート部への原液通路の繋ぎ替えは人手によって行うため、繋ぎ替え忘れて原液通路を透析原液容器に繋いだままであったり、繋ぎ替えたものの接続が不完全な状態で洗浄工程に移行した場合には、原液通路に洗浄液が供給されることなく洗浄動作を終えてしまう危険性があった。
このような問題に鑑み、本発明は透析原液容器から洗浄ポート部への原液通路の繋ぎ替えミスによる洗浄不良を防止し、またこのような接続不良を迅速に発見することの可能な透析装置およびその洗浄方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、請求項1に記載の透析装置は、透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を設け、液回路の給水口から浄水を供給するとともに原液通路から透析原液を供給して、液回路中で透析液を作成して透析器に供給する透析装置であって、
上記原液通路を接続させて、原液通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設け、
透析時には、原液通路と透析原液容器とを接続して原液通路から液回路に透析原液を供給し、
透析終了後の液回路の洗浄時には、原液通路を透析原液容器から洗浄液供給部へと繋ぎ替えて、原液通路に洗浄液を供給するようにした透析装置において、
上記液回路における原液通路との合流位置よりも下流側で透析液の流通を検出する透析液検出器と、該透析液検出器の検出信号を入力する判定手段とを設け、
判定手段は、洗浄時に透析液検出器によって透析液の流通が検出されたら、原液通路が透析原液容器に接続されているものと判定することを特徴としている。
【0005】
また請求項2に記載の透析装置は、透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を設け、液回路の給水口から浄水を供給するとともに原液通路から透析原液を供給して、液回路中で透析液を作成して透析器に供給する透析装置であって、
上記原液通路を接続させて、原液通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設け、
透析時には、原液通路と透析原液容器とを接続して原液通路から液回路に透析原液を供給し、
透析終了後の液回路の洗浄時には、原液通路を透析原液容器から洗浄液供給部へと繋ぎ替えて、原液通路に洗浄液を供給するようにした透析装置において、
上記液回路における原液通路との合流位置よりも下流側で液回路中の気体を検出する気体検出器と、該気体検出器の検出信号を入力する判定手段とを設け、
判定手段は、洗浄時に気体検出器が液回路中に所定量の気体を検出したら、原液通路と洗浄液供給部の接続が不完全であると判定することを特徴としている。
【0006】
さらに請求項4に記載の透析装置の洗浄方法は、透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を設け、液回路の給水口から浄水を供給するとともに原液通路から透析原液を供給して、液回路中で透析液を作成して透析器に供給する透析装置であって、
原液通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設け、
透析時には、原液通路と透析原液容器とを接続して原液通路から液回路に透析原液を供給し、
透析終了後の洗浄時には、原液通路を透析原液容器から洗浄液供給部へと繋ぎ替えて、原液通路から液回路に洗浄液を供給させるようにした透析装置の洗浄方法において、
液回路に洗浄液を供給する本洗浄工程の前に、
液回路に浄水を流通させて液回路中の透析液を浄水に置換する前洗浄工程を備え、該前洗浄工程中に原液通路と洗浄液供給部との接続状態を確認することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1の発明によれば、洗浄時に上記透析液検出器により液回路内に透析液が流通していることを検出することで、上記原液通路が洗浄液供給部に接続されず透析原液容器に接続されていることを発見することができ、繋ぎ替えミスによる洗浄不良を防止することができる。
【0008】
また上記請求項2の発明によれば、洗浄時に上記気体検出器により液回路中に所定量の気体を検出することで、上記原液通路と洗浄液供給部との接続が不完全であることを発見することができ、繋ぎ替えミスによる洗浄不良を防止することができる。
【0009】
さらに上記請求項4の発明によれば、液回路に洗浄液を供給する前の前洗浄工程中に、原液通路と洗浄液供給部との接続状態を確認するので、繋ぎ替えミスを迅速に発見することができ、発見された場合には確実に接続しなおすことで、即座に洗浄を再開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図示実施例について説明すると、図1、図2は本実施例に係る透析装置1を示し、図1は本体内部に設けられた液回路2を示すとともに、図2は透析装置1の外観を示している。
上記液回路2は透析器3が接続されて、透析器3に透析液を供給および排出させるためのものであり、管状のチューブからなる液通路より構成されている。該液通路中には様々な電磁弁やポンプが設けられており、これらは透析装置1が備える制御装置4によって制御されるようになっている。
上記透析器3は透析装置1の外部で血液回路5の回路中に設けられており、該透析器3の内部には多数の中空糸が束ねられて設けられ、この中空糸の内側を血液が図示右方に向けて流れ、外側を透析液が血液の流れとは逆方向となる図示左方に向けて流れるようになっている。
なお、図1は液回路2の洗浄時における状態を示しており、液回路2から上記透析器3を取り外し、給液側の末端と排液側の先端とを連結した状態を示している。また図2(a)は透析装置1の透析時における状態を示しており(透析器3および血液回路5は図示せず)、図2(b)は液回路2の洗浄時における状態を示している。
【0011】
上記液回路2は、透析液を作成するとともに透析器3に新鮮透析液を供給する給液側回路2Aと、該給液側回路2Aよりも下流側に位置し、透析器3から処理済透析液を排出させる排液側回路2Bと、内部がベロフラムにより給液室と排液室とに分割されて、透析器3に対する新鮮透析液および処理済透析液の給排量を計量する2つの計量チャンバ11とを備えている。
上記給液側回路2Aは、各計量チャンバ11の給液室に浄水を供給する給水通路12と、該給水通路12に合流して透析原液を供給する原液通路13A,13Bと、原液通路13A,13Bの合流位置よりも上流側で給水通路12から分岐して浄水を流通させる分岐通路14と、該分岐通路14に合流して洗浄液を供給する洗浄液通路15と、上記計量チャンバ11で混合された透析液を透析器3に供給するための給液通路16とを備えている。
【0012】
上記給水通路12の給水口12aは図示しない浄水供給手段に接続されており、給水口12aの下流側には給水電磁弁12bが設けられ、この給水電磁弁12bを開放することで給水通路12に浄水が供給され、給水通路12に供給された浄水は、さらに下流側に設けた給液ポンプ17によって下流へ送液される。
また給水通路12は途中で分岐させて上記各計量チャンバ11に接続されており、分岐させた部分には各計量チャンバ11毎にそれぞれ第1、第2電磁弁18、19が設けられ、これらを交互に開閉させることで各計量チャンバ11に浄水が供給されるようになっている。
【0013】
上記原液通路13A,13Bは、上記給水通路12に合流する通路であり、それらの一端は、上記給水通路12が各計量チャンバ11に対して分岐する位置よりも上流側に接続され、他端側は、図2に示すように、透析装置1の本体外部に取り出されて、原液通路13Aは透析原液としてのA原液を収容した透析原液容器20Aに、原液通路13BはB原液を収容する透析原液容器20Bにそれぞれ接続できるようになっている。
また各原液通路13A,13Bには、それぞれ給水通路12との合流位置の手前に透析原液を送液するための原液ポンプ21A,21Bが設けられている。
さらに、原液通路13A,13Bの本体外部に取り出された先端には接続手段としてコネクタ22A,22Bが設けられ、後述する分岐通路14に設けられたカプラ23A,23Bと接続できるようになっている。
透析装置1の透析動作時には、図1において破線で示すように、原液通路13A,13Bと透析原液容器20A,20Bとをそれぞれ接続させ、原液ポンプ21A,21Bを作動させることで、上記給水通路12にA原液とB原液とを各々定量ずつ供給するようになっている。
【0014】
上記分岐通路14は上記給水通路12における上記給液ポンプ17よりも上流側から分岐させた通路であり、この分岐通路14には第3電磁弁24が設けられるとともに、先端側を二又に分岐させて、その端部にはカプラ23A,23Bが設けられている。
該カプラ23A,23Bは、図2に示すように透析装置1の内部より本体表面に突出させて取り付けられ、洗浄液供給部として洗浄ポート部Pを構成しており、透析装置1の本体外部において、原液通路13A,13Bのコネクタ22A,22Bと接続できるようになっている。
また上記分岐通路14には、洗浄液通路15を介して洗浄液の貯溜された洗浄液容器25が接続されており、洗浄液通路15には液回路2の洗浄時に開放される第4電磁弁26が設けられている。
そして透析装置1の洗浄動作時には、図1または図2(b)で示すように各原液通路13A,13Bのコネクタ22A,22Bを、それぞれ分岐通路14のカプラ23A,23Bに接続して、原液通路13A,13Bを分岐通路14と連通させ、各原液通路13A,13Bに分岐通路14を介して浄水を供給し、または上記第4電磁弁26を開放して洗浄液容器25の洗浄液を供給できるようになっている。
【0015】
上記給液通路16は、各計量チャンバ11の給液室に接続されるとともに、1本に合流されて上記透析器3と接続されるようになっており、各計量チャンバ11毎にそれぞれ第5、第6電磁弁27、28が設けられ、これらを交互に開閉させることで、透析器3に透析液が供給されるようになっている。
この給液通路16は液回路2における各原液通路13A、13Bとの合流位置よりも下流側に位置し、該給液通路16に透析液の流通を検出する透析液検出器としての導電度測定器29が設けられている。
該導電度測定器29は給液通路16を流通する液体の導電度を検出して検出信号を制御装置4に出力し、制御装置4では該信号に基づいて液体の導電度を測定し、求められた値が透析液の導電度に該当するか否かにより、透析液の流通を検出するようになっている。
【0016】
上記排液側回路2Bは、透析器3から排出される処理済透析液を各計量チャンバ11の排液室に回収する回収通路31と、各計量チャンバ11の排液室の処理済透析液を透析装置1の外部へと排出するための排出通路32と、上記回収通路31と排出通路32とを連通させる除水通路33とを備え、該除水通路33には除水ポンプ33Aが設けられ、透析時に該除水ポンプ33Aを作動させて、除水を行うようになっている。
回収通路31は、上記透析器3と接続するとともに途中で分岐させて、各計量チャンバ11の排液室と接続させてあり、分岐させた部分にはそれぞれ第7、第8電磁弁37、38が設けられ、これらを交互に開閉させることで、各計量チャンバ11に処理済透析液を回収させるようになっている。
回収通路31には、さらに送液ポンプ36が設けられるとともに、その下流側に脱気槽34が設けられ、該脱気槽34から排出通路32に排気通路35が接続され、該排気通路35には第11電磁弁41が設けられている。
また、送液ポンプ36の上流側と給水通路12の給水電磁弁12bの下流側とを、洗浄連通路42で接続してあり、液回路2の洗浄時に給水電磁弁12bを閉鎖し該洗浄通路42に設けた連通電磁弁42aを開放することで、回収通路31から給水通路12へ洗浄液を送液できるようになっている。
排出通路32は、各計量チャンバ11の排液室に接続されるとともに1本に合流されて、透析装置1の本体外部に開口されており、各計量チャンバ11毎にそれぞれ第9、第10電磁弁39、40が設けられ、これらを交互に開閉させることで、処理済透析液を各計量チャンバ11から排出させるようになっている。
【0017】
上記脱気槽34はその内部にフロート弁34aを備え、脱気槽34内に流入する液から気体が放出されるとフロート弁34aが液面と共に下降し、脱気槽34内と排気通路35が連通するようになっている。
脱気槽34はさらにフロート弁34aが所定量下降したことを検出する下降検出センサ34bを備えており、脱気槽34内に所定量の気体が放出されてフロート弁34aが下降し、これを下降検知センサ34aが検出すると、その検出信号が制御装置4に出力される。
制御装置4は該信号が入力されることで、液回路2中に所定量の気体が混入したことを検出し、警報を発するとともに上記第11電磁弁41を開放して、脱気槽34から気体を排出するようになっている。
該脱器槽34は、液回路2における原液通路13A,13Bの合流位置よりも下流側にあって、液回路2中の気体を検出する気体検出器として構成されている。
【0018】
制御装置4には、透析装置1の洗浄動作時に、各原液通路13A、13Bのコネクタ22A、22Bと洗浄液供給部を構成する洗浄ポート部Pのカプラ23A、23Bとの接続状態を判定する判定手段4aが設けられている。
該判定手段4aは制御装置4が洗浄動作を実行させる洗浄モード時に有効化され、洗浄動作中に導電度測定器29および脱気槽34の下降検出センサ34bから検出信号を入力し、繋ぎ替えられた各原液通路13A、13Bの接続状態の良否を判定し、不良であれば警報信号を出力するようになっている。
【0019】
次に、本実施例に係る透析装置1の洗浄方法を説明する。
透析治療が終了すると、医療従事者は血液回路5を患者から取り外した後、透析器3を液回路2から分離し、給液通路16の末端と回収通路31の先端とをコネクタ5によって連結する。
また、図2(b)に示すように、各原液通路13A,13Bのコネクタ22A,22Bを透析原液容器20A,20Bから取り外して、これらを洗浄ポート部Pとして設けられている分岐通路14のカプラ23A,23Bへと繋ぎ替え、原液通路13A,13Bと分岐通路14とを接続する。
これらの作業を行った後、医療従事者が操作パネル1aを操作して液回路2の洗浄を指示すると、制御装置4は洗浄モードに移行して洗浄動作を開始する。洗浄動作において、制御装置4は最初に液回路2内に残留する透析液を排出して浄水に置換する前洗浄工程を行う。
具体的には、分岐通路14に設けた第3電磁弁24を開放させた状態で、通常の透析動作時と同様に、給水電磁弁12bを開放して給水口12aから浄水を流入させるとともに、給水ポンプ17、送液ポンプ36、除水ポンプ33Aを作動させ、さらに各電磁弁18、19、27、28、37、38、39、40の開閉を操作して、給水通路12、各計量チャンバ11の給液室、給液通路16、回収通路31、各計量チャンバ11の排液室、排液通路32、除水通路33に浄水を送り、液回路2に残留している透析液を排出させて浄水に置換する。
また、各原液通路13A,13Bは、コネクタ22A,22B、カプラ23A,23Bを介して分岐通路14と接続されており、各原液ポンプ21A,21Bが作動することで、開放された第3電磁弁24を介して給水通路12から浄水が分岐通路14に流入し、各原液通路13A,13Bに供給される。
その結果、各原液通路13A,13Bについても、残留する透析原液が排出されて浄水に置換される。
なお、この前洗浄工程においては、上記第4電磁弁26を開放せず、洗浄液の供給は行っていない。
【0020】
このような前洗浄工程において、制御装置4は判定手段4aを有効化しており、導電度測定器29および脱気槽34の下降検知センサ34bからの検出信号を判定手段4aに入力させている。
判定手段4aは前洗浄工程が開始されて給液通路16が浄水に置換されるタイミングで、導電度測定器29からの検出信号に基づいて導電度を測定し、測定結果が透析液を示す所定の導電度に達している場合には、透析液が流通しているものとして検出する。判定手段4aは透析液の流通を検出すると、少なくとも原液通路13Aもしくは原液通路13Bのいずれかが透析原液容器20A,20Bに接続されたままであるものと判断し、警報信号を出力する。
なお、透析原液容器20A,20Bに貯溜されているA原液またはB原液のいずれか一方だけが供給された場合には、液回路2で測定される導電度はA原液、B原液を混合した場合に比べて低くなることから、上記判定手段4aには透析時に設定される透析液の導電度よりも低い値を設定してあり、設定した値以上の導電度が測定されると、透析動作時と同様に、透析液が流通しているものとして検出するようにしている。
【0021】
一方判定手段4aは、前洗浄工程の開始時より下降検知センサ34bからの検出信号を監視しており、検出信号が入力されると液回路2中に所定量の気体が混入されているものと判断する。すなわち、原液通路13A,13Bのいずれか一方でも、そのコネクタ22A,22Bが分岐通路14のカプラ23A,23Bに確実に接続されていない場合には、原液ポンプ21の吸引作用により原液通路13A,13Bには外気が流入して液回路2を流通する浄水に混入される。
そこで、これを検出することで、原液通路13Aまたは原液通路13Bのカプラ23A,23Bが洗浄液供給部を構成する洗浄ポート部Pに完全に接続されていないものと判定し、警報信号を出力するようになっている。
制御装置4は、これらいずれの警報信号が出力された場合にも、接続状態が不良である旨の警報を表示し前洗浄工程を中止させる。医療従事者はこれら警報に従い原液通路13Aもしくは原液通路13Bの接続状態を改善した後、前洗浄工程を再開させる。
【0022】
前洗浄工程中に原液通路13A,13Bと洗浄ポート部Pの接続状態を確認し、接続不良が検出されて医療従事者により改善されて再開した後、または接続不良が検出されずに前洗浄工程が完了すると、制御装置4は速やかに第3電磁弁24を閉鎖して本洗浄工程に移行する。
本洗浄工程では、制御装置4は洗浄液通路15の第4電磁弁26を開放し、原液ポンプ21A,21Bの吸引作用によって、分岐通路14から各原液通路13A,13Bに洗浄液容器25の洗浄液が供給される。供給された洗浄液は給水通路12を流通する浄水に供給されて希釈され、所定量の洗浄液が洗浄液容器25から供給されると、給水電磁弁12bを閉鎖して連通電磁弁42aを開放し、洗浄液を給水通路12の上流側へ循環させ、液回路2に洗浄液を所定時間流通させた後、本洗浄工程を終了させる。
以上のように、本発明の液回路2の洗浄方法では、液回路2に洗浄液を流通させる本洗浄工程の前に、液回路2に浄水を流通させて液回路2中に残留する透析液を排出させて浄水に置換する前洗浄工程を備えており、該前洗浄工程中に原液回路13A、13Bと洗浄液供給部を構成する洗浄ポート部Pのカプラ23A、23Bとの接続状態を確認するようにしている。
このため、洗浄液を供給する本洗浄工程中に接続不良が発見された場合のように、予定された量の洗浄液が供給されずに工程が進行しているため、洗浄が不十分である危険性から工程の最初に戻って本洗浄工程をやり直す必要がなく、接続状態を改善すれば即座に、警報により中断された状態から引き続き前洗浄工程を再開させることができる。その結果、洗浄に要する時間及び洗浄液を無駄にすることがなく、また、確実に接続不良を検出して、繋ぎ替えミスによる洗浄不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例に係る透析装置の液回路図。
【図2】透析装置の斜視図を示し(a)は透析動作時の状態を、(b)は洗浄動作時の状態を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 透析装置 2 液回路
11 計量チャンバ 12 浄水通路
13A,13B 原液通路 14 分岐通路
15 洗浄液通路 20A,20B 透析原液容器
22A,22B コネクタ 23A,23B カプラ
29 導電度測定器 34 脱気槽
34b 下降検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を設け、液回路の給水口から浄水を供給するとともに原液通路から透析原液を供給して、液回路中で透析液を作成して透析器に供給する透析装置であって、
上記原液通路を接続させて、原液通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設け、
透析時には、原液通路と透析原液容器とを接続して原液通路から液回路に透析原液を供給し、
透析終了後の液回路の洗浄時には、原液通路を透析原液容器から洗浄液供給部へと繋ぎ替えて、原液通路に洗浄液を供給するようにした透析装置において、
上記液回路における原液通路との合流位置よりも下流側で透析液の流通を検出する透析液検出器と、該透析液検出器の検出信号を入力する判定手段とを設け、
判定手段は、洗浄時に透析液検出器によって透析液の流通が検出されたら、原液通路が透析原液容器に接続されているものと判定することを特徴とする透析装置。
【請求項2】
透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を設け、液回路の給水口から浄水を供給するとともに原液通路から透析原液を供給して、液回路中で透析液を作成して透析器に供給する透析装置であって、
上記原液通路を接続させて、原液通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設け、
透析時には、原液通路と透析原液容器とを接続して原液通路から液回路に透析原液を供給し、
透析終了後の液回路の洗浄時には、原液通路を透析原液容器から洗浄液供給部へと繋ぎ替えて、原液通路に洗浄液を供給するようにした透析装置において、
上記液回路における原液通路との合流位置よりも下流側で液回路中の気体を検出する気体検出器と、該気体検出器の検出信号を入力する判定手段とを設け、
判定手段は、洗浄時に気体検出器が液回路中に所定量の気体を検出したら、原液通路と洗浄液供給部の接続が不完全であると判定することを特徴とする透析装置。
【請求項3】
上記洗浄液供給部には、上記液回路における上記原液通路の合流位置よりも上流側で液回路から分岐する分岐通路と、該分岐通路に合流するとともに洗浄液容器に接続された洗浄液通路とが接続され、
透析終了後の洗浄時には、上記原液通路と分岐通路とを接続させることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の透析装置。
【請求項4】
透析器に接続される液回路の給液側に、該液回路に合流するとともに透析原液容器に接続される原液通路を設け、液回路の給水口から浄水を供給するとともに原液通路から透析原液を供給して、液回路中で透析液を作成して透析器に供給する透析装置であって、
上記原液通路を接続させて、原液通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設け、
透析時には、原液通路と透析原液容器とを接続して原液通路から液回路に透析原液を供給し、
透析終了後の液回路の洗浄時には、原液通路を透析原液容器から洗浄液供給部へと繋ぎ替えて、原液通路に洗浄液を供給するようにした透析装置の洗浄方法において、
液回路に洗浄液を流通させる本洗浄工程の前に、
液回路に浄水を流通させて液回路中の透析液を浄水に置換する前洗浄工程を備え、該前洗浄工程中に原液通路と洗浄液供給部との接続状態を確認することを特徴とする透析装置の洗浄方法。
【請求項5】
前洗浄工程中に、液回路における透析液の流通を検出することにより、上記原液通路と透析原液容器とが接続されていると判定することを特徴とする請求項4に記載の透析装置の洗浄方法。
【請求項6】
前洗浄工程中に、液回路を流通する浄水に所定量の気体を検出することにより、上記原液通路と洗浄液供給部との接続が不完全であると判定することを特徴とする請求項4に記載の透析装置の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−6220(P2008−6220A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182433(P2006−182433)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】