通信システム、移動局装置、基地局装置、通信方法および集積回路
【課題】移動局装置が後方互換性のないキャリアを集約して基地局装置と通信を行う場合において、無線リソース管理を効率的に行なう通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法および集積回路を提供する。
【解決手段】移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムであって、基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理する。
【解決手段】移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムであって、基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線リソース管理を効率的に行なう通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法および集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式やリソースブロックと呼ばれる所定の周波数・時間単位の柔軟なスケジューリングの採用によって、高速な通信を実現させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以降EUTRAと称する)の標準化が行なわれた。
【0003】
また、3GPPでは、より高速なデータ伝送を実現し、EUTRAの上位互換性を持つAdvanced EUTRAの議論を行っている。Advanced EUTRAにおける技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が提案されている。キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数(キャリア)の周波数帯域(コンポーネントキャリア(Component Carrier)とも称する)を集約して使用することによって伝送レートを向上させる技術である。また、キャリア・アグリゲーションを用いる場合の一例として、後方互換性のないキャリア(キャリアセグメント(carrier segment)、またはエクステンションキャリア(extension carrier))を集約する方法についても議論がなされた。(非特許文献1、非特許文献2)
【0004】
キャリアセグメントとは、使用中の帯域幅を拡張するために用いる追加のキャリア(帯域)である。キャリアセグメントを用いることで、移動局装置が使用している周波数帯域の中心周波数を変更せずに、帯域幅だけを拡張させることが可能となる。例えば、10MHzの周波数帯域幅を使用している移動局装置に対し、5MHzのキャリアセグメントを両周波数端に追加することで、移動局装置は20MHz(5MHz+10MHz+5MHz)の周波数帯域幅で通信を行うことが可能となる。キャリアセグメントは、セグメントキャリア、セグメントセル、セルセグメント、部分周波数とも称される。
【0005】
エクステンションキャリアとは、使用中の帯域幅とは別の追加のキャリア(帯域)である。エクステンションキャリアを用いることで、移動局装置が使用している周波数帯域に影響を与えずに帯域幅を拡張させることが可能となる。例えば、10MHzの周波数帯域幅を使用している移動局装置に対し、5MHzのエクステンションキャリアを追加することで、移動局装置は15MHz(10MHz+5MHz)の周波数帯域幅で通信を行うことが可能となる。エクステンションキャリアは、拡張セルとも称される。
【0006】
キャリアセグメントやエクステンションキャリアといった後方互換性(下位互換性)のないキャリア(Non-backward compatible carrier、以降、非互換キャリアと称する)と、通常のキャリア(コンポーネントキャリア)との大きな違いは、非互換キャリアでは、基地局装置が同期シグナルおよび物理報知情報チャネルが送信しないように構成できることである。同様に、非互換キャリアでは、基地局装置は物理下りリンク制御チャネルや下りリンクリファレンスシグナルを送信しないように構成できる(物理チャネルの詳細については後述する)。さらに、非互換キャリアでは、基地局装置はページングメッセージを送信しないように構成できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R1−100813、Alcatel−Lucent、3GPP TSG−RAN WG1#59bis、18−22 January 2010、Valencia、Spain
【非特許文献2】R1−100809、Huawei、3GPP TSG−RAN WG1#59bis、18−22 January 2010、Valencia、Spain
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2で示される非互換キャリアをEUTRAにおいて使用する場合、移動局装置に対して非互換キャリアの設定を適切に行うかについて、その方法について何ら示されていない。
【0009】
特に、非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順について不明であるため、移動局装置は、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを正しく実施することができない。
【0010】
上記の課題を鑑みて、本発明の目的は、移動局装置が後方互換性のないキャリアを集約して基地局装置と通信を行う場合において、無線リソース管理を効率的に行なう通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法および集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は以下のような手段を講じた。すなわち本願の通信システムは、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムであって、前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする。
【0012】
(2)また、本願の通信システムにおいて、前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする。
【0013】
(3)また、本願の通信システムにおいて、前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする。
【0014】
(4)また、本願の基地局装置は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける基地局装置であって、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、前記移動局装置に対して、前記拡張周波数帯域に対する指示と、前記第1の識別子または前記第2の識別子とを用いることによって、前記拡張周波数帯域または前記セルおよび前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする。
【0015】
(5)また、本願の基地局装置は、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第1の識別子を用いて前記移動局装置に指示し、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第2の識別子を用いて前記移動局装置に指示することを特徴とする。
【0016】
(6)また、本願の基地局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルで送信することを特徴とする。
【0017】
(7)また、本願の移動局装置は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置であって、前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする。
【0018】
(8)また、本願の移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする。
【0019】
(9)また、本願の移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする。
【0020】
(10)また、本願の通信方法は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信方法であって、前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定するステップと、前記リンク情報を前記移動局装置に送信するステップとを備え、前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクするステップと、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理するステップを備えることを特徴とする。
【0021】
(11)また、本願の通信方法は、前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする。
【0022】
(12)また、本願の通信方法は、前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする。
【0023】
(13)また、本願の移動局装置の集積回路は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置の集積回路であって、前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理する機能を備えたことを特徴とする。
【0024】
本明細書では、移動局装置と基地局装置が複数の周波数を用いて接続される場合における通信システム、基地局装置、移動局装置および無線リソースの管理方法の改良という点において本発明を開示するが、本発明が適用可能な通信方式は、EUTRAまたはAdvanced EUTRAのようにEUTRAと上位互換性のある通信方式に限定されるものではない。例えば、本発明はUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)にも適用することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、移動局装置が後方互換性のないキャリアを集約して基地局装置と通信を行う場合において、無線リソース管理を効率的に行なう通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法および集積回路を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における移動局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態における非互換キャリアの追加手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図4】第1の実施形態における非互換キャリアの活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図5】第1の実施形態における非互換キャリアの非活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図6】第1の実施形態における非互換キャリアの削除手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図7】第1の実施形態におけるキャリアセグメントの設定パラメータと在圏セルとの関係について説明するための図である。
【図8】第1の実施形態におけるエクステンションキャリアの設定パラメータと在圏セルとの関係について説明するための図である。
【図9】第2の実施形態における非互換キャリアの追加手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図10】第2の実施形態における非互換キャリアの活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図11】第2の実施形態におけるセカンダリセルと非互換キャリアの非活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図12】第2の実施形態におけるセカンダリセルと非互換キャリアの削除手順について説明するための別のシーケンスチャート図である。
【図13】本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示した図である。
【図14】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するコンポーネントキャリアの設定の一例を示した図である。
【図15】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するキャリアセグメントの設定の一例を示した図である。
【図16】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するエクステンションキャリアの設定の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関わるキャリア・アグリゲーション、物理チャネル、通信ネットワーク構成などについて簡単に説明する。
【0028】
[キャリア・アグリゲーション]
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数(コンポーネントキャリア、または周波数帯域)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数(周波数帯域)のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置はこれらを一つの100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数であってもよい。例えば、使用可能な周波数が800MHz帯、2.4GHz帯、3.4GHz帯である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯で送信されていてもよい。
【0029】
また、同一周波数帯、例えば2.4GHz帯内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々周波数帯域幅が異なっていても良い。基地局装置は、滞留しているデータバッファ量や移動局装置の受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。なお、基地局装置が割り当てる上りリンクコンポーネントキャリアの数は、下りリンクコンポーネントキャリアの数と同じか少ないことが望ましい。
【0030】
また、基地局装置は、1つの下りリンクのコンポーネントキャリアと1つの上りリンクのコンポーネントキャリアを組み合わせて1つのセルを構成する。なお、基地局装置は、1つの下りリンクコンポーネントキャリアのみを用いて(すなわち、上りリンクコンポーネントキャリアの割り当てがない)1つのセルを構成することもできる。
【0031】
また、移動局装置は、キャリア・アグリゲーションによって、キャリアセグメントまたはエクステンションキャリアといった非互換キャリアを一つのコンポーネントキャリアに対して集約して使用することができる。非互換キャリアとコンポーネントキャリアとは、連続した周波数である必要はなく、コンポーネントキャリアと異なる周波数の非互換キャリアとを集約することも可能である。非互換キャリアの周波数帯域幅は、コンポーネントキャリアに設定可能な周波数帯域幅と同じであることが好適であるが、任意の周波数帯域であっても構わない。
【0032】
[物理チャネル]
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される主な物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。チャネルとは信号の送信に用いられる媒体を意味し、物理チャネルとは信号の送信に用いられる物理的な媒体を意味する。物理チャネルは、EUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
【0033】
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID:Physical Cell Identity; PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
【0034】
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、物理下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、物理下りリンク共用チャネルによってレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)で送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)、ランダムアクセス制御情報などが通知される。
【0035】
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0036】
上りリンクリファレンスシグナル(上りリンク参照信号:Uplink Reference Signal、上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)は、基地局装置が、物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび/または物理上りリンク共用チャネルPUSCHを復調するために使用する復調参照信号(DRS:Demodulation Reference Signal)と、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)が含まれる。
【0037】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割り当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の物理下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の物理下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクアサインメント(または、上りリンクグラント)、受信時には下りリンクアサインメント(または、下りリンクグラント)と呼ばれる無線リソース割り当て情報を物理下りリンク制御チャネルから取得する必要がある。
【0038】
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH; Physical Uplink Control Channel)は、物理下りリンク共用チャネルで送信されたデータの受信確認応答(ACK/NACK:Acknowledgement/Negative Acknowledgement)や下りリンクの伝搬路情報(CQI:Channel Quality Indicator)、上りリンクの無線リソース要求であるスケジューリングリクエスト(SR:Scheduling Request)を行なうために使用される。
【0039】
物理下りリンク共用チャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。物理下りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報(下りリンクアサインメント)は、物理下りリンク制御チャネルで事前に示される。
【0040】
物理上りリンク共用チャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に物理上りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報(上りリンクアサインメント)は、物理下りリンク制御チャネルで事前に示される。
【0041】
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。プリアンブル系列は、64種類のシーケンスを用意して6ビットの情報を表現するように構成されている。物理ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、物理上りリンク制御チャネル未設定時の無線リソース要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス(TA:Timing Advance)とも呼ばれる)を基地局装置に要求するために物理ランダムアクセスチャネルを用いる。
【0042】
具体的には、移動局装置は、基地局装置より設定された物理ランダムアクセスチャネル用の無線リソースを用いてプリアンブル系列を送信する。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を計時する送信タイミングタイマー(TA timer)を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態として状態を管理する。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
【0043】
[本発明の通信ネットワーク構成の例]
図13は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数(コンポーネントキャリアまたは非互換キャリア、Band1~Band3)を同時に用いて基地局装置2と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置2が複数の周波数毎に送信装置11〜13(および図示しない受信装置21〜23)を備えており、各周波数の制御を一つの基地局装置2で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。基地局装置2の構成は図13に限定されない。ただし、複数の周波数が連続する周波数であるなどの理由で、基地局装置2が一つの送信装置で複数の周波数の送信を行なう構成であっても構わない。さらには、周波数毎に送受信のタイミングが異なるような構成であっても良い。送信装置と受信装置の数や送受信可能な周波数が異なっていてもよい。基地局装置2の送信装置によって制御される各周波数の通信可能範囲はセルとしてみなされる。このとき、各周波数がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。
【0044】
ただし、後述する記載において、基地局装置2が構成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明するが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。また、従来のセルとは異なる拡張セルとして定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。
【0045】
なお、非互換キャリアではコンポーネントキャリアで送信される一部の信号またはチャネルが存在しないため、非互換キャリアだけではセルを構成できず、通信に使用できない。また、キャリア・アグリゲーションは、複数のコンポーネントキャリアを用いた複数のセルによる通信であり、セルアグリゲーションとも称される。なお、移動局装置1は、周波数毎にリレー局装置(またはリピーター)を介して基地局装置2と無線接続されても良い。すなわち、本発明の基地局装置2は、リレー局装置に置き換えることが出来る。
【0046】
3GPPが規定する第3世代の基地局装置2はノードB(NodeB)と称され、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。なお、3GPPが規定する第3世代の移動局装置1はユーイー(UE:User Equipment)と称される。基地局装置2は移動局装置1が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置1と通信可能なエリアの大きさに応じてマクロセルやフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。また、移動局装置1がある基地局装置2と通信可能であるとき、その基地局装置2のセルのうち、移動局装置1との通信に使用しているセルは在圏セル(Serving cell)であり、その他のセルは周辺セル(Neighboring cell)と称される。つまり、キャリア・アグリゲーションを用いて移動局装置1と基地局装置2が複数のセルを用いて通信している場合、在圏セルは複数存在することになる。
【0047】
[コンポーネントキャリアの構成の設定例]
図14は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定(configure)する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図14では、2個の下りリンクコンポーネントキャリア(下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2)と2個の上りリンクコンポーネントキャリア(上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2)の対応関係について示すが、本発明が2個のコンポーネントキャリアの場合に限定されるということではない。図14中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、および下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2がセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。
【0048】
セル固有接続とは、例えば、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置2にアクセス可能な上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係(連携関係)であり、典型的には報知情報の一部(SIB2:System Information Block Type2)でその対応関係が示される。セル固有接続は、SIB2 linkageとも称される。セルにおける上りリンクと下りリンクの周波数の対応関係は、報知情報に周波数情報として明示的に指示されるか、または明示的に指示されない場合に運用周波数毎に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の周波数差の情報を用いるなどして暗黙的に指示される。これらの方法に限らず、セル毎に上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係を示すことが可能であれば、これ以外の方法を用いて指示されても良い。
【0049】
これに対し、基地局装置2は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置1毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。このとき、個別接続の設定はRRCメッセージで示される。基地局装置2は、物理ランダムアクセスチャネルの送信に必要な設定(コンフィギュレーション)を上りリンクコンポーネントキャリア毎、または上りリンク周波数毎に複数割り当てることも可能である。
【0050】
[非互換キャリアの構成の設定例(1)]
図15は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリアセグメントを用いたキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定するコンポーネントキャリアと、キャリアセグメントとの対応関係の一例を示した図である。なお、キャリアセグメントを用いた、とは、当該キャリアセグメントによって使用可能となる追加の無線リソース(拡張周波数帯域)を用いた通信のことを意味する。図15では、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnと上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnとで構成されるコンポーネントキャリア(セル)に対して、下りリンクキャリアセグメントおよび上りリンクキャリアセグメントが設定された例を示している。
【0051】
図中の下りリンクキャリアセグメントとして示される部分は、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnに対して拡張されるキャリアセグメントである。また、図中の上りリンクキャリアセグメントとして示される部分は、上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnに対して拡張されるキャリアセグメントである。図15の移動局装置1および基地局装置2は、キャリア・アグリゲーションを用いていない場合は、DL_CCnとUL_CCnの周波数帯域(通常帯域幅)の範囲で通信を行い、キャリア・アグリゲーションとしてキャリアセグメントを集約して用いる場合は、キャリアセグメントを追加した周波数帯域(拡張周波数帯域幅)の範囲で通信を行う。
【0052】
なお、基地局装置2は、移動局装置1に対して下りリンクキャリアセグメントまたは上りリンクキャリアセグメントのどちらか一方のみを設定(追加)することも可能である。また、キャリアセグメントを設定する上りリンクと下りリンクの通常帯域幅はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、下りリンクの通常帯域幅が10MHzと上りリンクの通常帯域幅が5MHzのセルに対してキャリアセグメントが設定されてもよい。また、キャリアセグメントを設定した後の上りリンクと下りリンクの拡張周波数帯域の周波数帯域幅(拡張周波数帯域幅)はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、拡張後の下りリンクの帯域幅が20MHz、拡張後の上りリンクの帯域幅が15MHzであってもよい。ただし、拡張後の周波数帯域幅の上限は、移動局装置1の無線構成を簡略化するために20MHzを超えないように制限されることが望ましい。
【0053】
設定されるキャリアセグメントは、追加する周波数帯域の両端で同じ帯域幅である必要はなく、非対称であっても構わない。すなわち、DL_CCnまたはUL_CCnに設定されるキャリアセグメントのうち、低周波数側が5MHzであって、高周波数側が10MHzのキャリアセグメントを設定することも可能である。
【0054】
[非互換キャリアの構成の設定例(2)]
図16は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がエクステンションキャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定するコンポーネントキャリアと、エクステンションキャリアとの対応関係の一例を示した図である。なお、エクステンションキャリアを用いた、とは、当該エクステンションキャリアによって使用可能となる追加の無線リソース(拡張周波数帯域幅)を用いた通信のことを意味する。図16では、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnと上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnとで構成されるコンポーネントキャリア(セル)に対して、下りリンクエクステンションキャリアDL_ECおよび上りリンクエクステンションキャリアUL_ECが設定された例を示している。
【0055】
図中の下りリンクエクステンションキャリアDL_ECとして示される部分は、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnに対して拡張されるキャリアセグメントである。また、図中の上りリンクエクステンションキャリアUL_ECとして示される部分は、上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnに対して拡張されるエクステンションキャリアである。図16の移動局装置1および基地局装置2は、キャリア・アグリゲーションを用いていない場合は、DL_CCnとUL_CCnの周波数帯域幅(通常帯域幅)の範囲で通信を行い、キャリア・アグリゲーションとしてエクステンションキャリアを集約して用いる場合は、エクステンションキャリアを追加した周波数帯域(拡張周波数帯域幅)の範囲で通信を行う。
【0056】
なお、基地局装置2は、移動局装置1に対して下りリンクエクステンションキャリアまたは上りリンクエクステンションキャリアのどちらか一方のみを設定(追加)することも可能である。また、エクステンションキャリアを設定する上りリンクと下りリンクの通常帯域幅はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、下りリンクの通常帯域幅が10MHzと上りリンクの通常帯域幅が5MHzのセルに対してエクステンションキャリアが設定されてもよい。また、エクステンションキャリアを設定した後の上りリンクと下りリンクの拡張周波数帯域幅はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、拡張後の下りリンクの帯域幅が20MHz、拡張後の上りリンクの帯域幅が15MHzであってもよい。ただし、エクステンションキャリアの周波数帯域幅の上限は、移動局装置1の無線構成を簡略化するために20MHzを超えないように制限されることが望ましい。
【0057】
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0058】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、移動局装置1のプライマリセルに対する非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションの設定方法と、当該非互換キャリアの受信方法に関して示す。
【0059】
図1は、本発明の第1の実施形態による移動局装置1の一例を示すブロック図である。本移動局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104、制御部105、ランダムアクセス制御部106、符号部107、変調部108、送信部109、タイミング管理部110、上位レイヤ111から構成される。上位レイヤ111は、無線リソース制御を執り行うRRC(Radio Resource Control)を含む。また、ランダムアクセス制御部106は、データリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として機能する。
【0060】
受信に先立ち、上位レイヤ111より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、受信に関する制御情報が受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に入力される。移動局装置制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される移動局装置1の無線通信制御に必要な情報であり、基地局装置2やシステムパラメータにより設定され、上位レイヤ111が必要に応じて制御部105へ入力する。受信制御情報は、受信周波数帯域の情報の他に、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0061】
受信信号は、受信部101において受信される。受信部101は、受信制御情報で指定された周波数帯域で信号を受信する。受信された信号は、復調部102へと入力される。復調部102は、受信信号の復調を行い、復号部103へと信号を入力して下りリンクデータと下りリンク制御データとを正しく復号し、復号された各データを上位レイヤへと入力する。測定処理部104は、セル(コンポーネントキャリア)毎の下りリンクリファレンスシグナルの受信品質(SIR、SINR、RSRP、RSRQ、RSSI、パスロスなど)の測定や、物理下りリンク制御チャネルまたは物理下りリンク共用チャネルの受信誤り率の測定結果に基づいて下りリンク測定情報を生成し、下りリンク測定情報を上位レイヤ111へと出力する。下りリンク測定情報は、上位レイヤ111において、無線リンク再確立を伴う無線リンク障害(Radio link failure)の検出、および上りリンク送信の停止を伴う無線リンク監視(Radio link monitoring)の実施、セルごとの測定イベントの評価のために用いられる。
【0062】
また、送信に先立ち、上位レイヤ111より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、送信に関する制御情報が送信制御情報として、ランダムアクセス制御部106、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に入力される。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。ランダムアクセス制御情報は上位レイヤ111からランダムアクセス制御部106に入力される。ランダムアクセス制御情報には、プリアンブル情報や物理ランダムアクセスチャネル送信用の無線リソース情報などが含まれる。上位レイヤ111は、必要に応じてタイミング管理部110へ上りリンク送信タイミングの調整に用いる送信タイミング調整情報と送信タイミングタイマーを設定する。タイミング管理部110は、設定された情報に基づき上りリンク送信タイミングの状態(送信タイミング調整状態または送信タイミング非調整状態)を管理する。
【0063】
符号部107には、上位レイヤ111より上りリンクデータと上りリンク制御データが入力されるほか、ランダムアクセス制御部106から、物理ランダムアクセスチャネルの送信に関するランダムアクセスデータ情報が入力される。符号部107は、ランダムアクセスデータ情報に基づき物理ランダムアクセスチャネルで送信されるプリアンブル系列を生成する。また、符号部107は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部に出力する。変調部108は、符号部107からの出力を変調する。
【0064】
送信部109は、変調部108の出力を周波数領域にマッピングすると共に、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行う。さらに、タイミング管理部110より入力された送信タイミング調整情報に従って上りリンク送信タイミングを調整して送信する。上りリンク制御データが配置される物理上りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を構成する。図1において、その他の移動局装置1の構成要素は本実施の形態に関係ないため省略してある。
【0065】
図2は、本発明の第1の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置2は、受信部201、復調部202、復号部203、制御部204、符号部205、変調部206、送信部207、上位レイヤ208、ネットワーク信号送受信部209から構成される。
【0066】
上位レイヤ208は、下りリンクデータと下りリンク制御データを符号部へ入力する。符号部205は、入力されたデータを符号化し、変調部206へ入力する。変調部206は、符号化した信号の変調を行なう。また、変調部206から出力される信号は送信部207に入力される。送信部207は、入力された信号を周波数領域にマッピングした後、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行い送信する。下りリンク制御データが配置される物理下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
【0067】
また、受信部201は、移動局装置から受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。デジタル信号は、復調部202へ入力されて復調される。復調部202で復調された信号は続いて符号部203へ入力されて復号され、正しく復号された上りリンク制御データや上りリンクデータを上位レイヤ208へと出力する。これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される基地局装置2の無線通信制御に必要な情報であり、上位のネットワーク装置(MMEやゲートウェイ装置)やシステムパラメータにより設定され、上位レイヤ208が必要に応じて制御部204へ入力する。制御部204は、送信に関連する基地局装置制御情報を、送信制御情報として符号部205、変調部206、送信部207の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報を、受信制御情報として受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に入力する。基地局装置2のRRCは、上位レイヤ208の一部として存在する。
【0068】
一方、ネットワーク信号送受信部209は、基地局装置2間あるいは上位のネットワーク装置と基地局装置2との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。図2において、その他の基地局装置2の構成要素は本実施の形態に関係ないため省略してある。
【0069】
また、本移動局装置1と本基地局装置2が配置される通信システムのネットワーク構成は、図13に示したものと同様のものを適用できる。
【0070】
本発明における、キャリア・アグリゲーション可能な移動局装置1に設定されているセル(コンポーネントキャリア)は、例えば図14に示したような2個のセル、つまり2個の下りリンクコンポーネントキャリア(DL_CC1、DL_CC2)と2個の上りリンクコンポーネントキャリア(UL_CC1、UL_CC2)が移動局装置1に設定されている例を想定する。基地局装置2からこれらのコンポーネントキャリアの活性化(activation、アクティベーション)が明示的または暗黙的に指示されている場合、移動局装置1は下りリンク受信と上りリンク送信のために、活性化しているコンポーネントキャリアを使用することができる。一方、基地局装置2からコンポーネントキャリアの非活性化(deactivation、ディアクティベーション)が明示的または暗黙的に指示されている場合、移動局装置1は下りリンク受信と上りリンク送信のために、非活性化されたコンポーネントキャリアを使用することはできない。非活性化は、下りリンクと上りリンクとをペアとして管理しても良いし、独立して管理しても良い。
【0071】
ここで、コンポーネントキャリアの活性化、または非活性化は、レイヤ2の構成タスクで解釈可能なL2メッセージ(レイヤ2メッセージ)によって制御されるように構成される。すなわち、物理層(レイヤ1)でデコードされた後にレイヤ2で認識される制御コマンド(活性化コマンド、非活性化コマンド)によって活性化または非活性化が制御される。なお、EUTRAならびにAdvanced EUTRAにおけるL2メッセージは、MAC層で解釈される制御コマンド(MAC制御要素:MAC Control Element)によって通知される。
【0072】
スケジューリングリクエストを通知するための物理上りリンク制御チャネルが設定される上りリンクコンポーネントキャリアと、当該上りリンクコンポーネントキャリアとセル固有接続される下りリンクコンポーネントキャリアから構成されるセルは、プライマリセル(Primary cell)と称される。また、プライマリセル以外のコンポーネントキャリアから構成されるセルは、セカンダリセル(Secondary cell)と称される。プライマリセルは活性化/非活性化の制御の対象外であるが(つまり必ず活性化しているとみなされる)、セカンダリセルは活性化/非活性化という状態を持ち、これらの状態の変更は、基地局装置2から明示的に指定されるほか、コンポーネントキャリア毎に移動局装置1に設定されるタイマーに基づいて状態が変更される。
【0073】
また、移動局装置1は、プライマリセルでは、基地局装置2より指定されたパラメータに基づき無線リンク障害の検出を行い、少なくとも活性化されたセカンダリセルでは、同パラメータを用いた無線リンク監視を実施する。
【0074】
移動局装置1は、非活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)のスケジューリングに用いる物理下りリンク制御チャネルのモニタ、または無線リソース割り当て情報のモニタを停止してよい。また、移動局装置1は、非活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の上りリンクに関して、サウンディング参照信号の送信を停止してもよい。また、移動局装置1は、非活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の下りリンクに関して、活性化した状態よりも低いサンプリングレートで測定を実施してもよい。
【0075】
図3は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行うための準備として、プライマリセルに対して非互換キャリアを追加(設定)する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本実施例における非互換キャリアは、キャリアセグメントとエクステンションキャリアのどちらであってもよい。
【0076】
本シーケンスチャートは、移動局装置1と基地局装置2との間で1つのセルを用いた接続が確立している状態(コネクティッド状態)から開始される。なお、移動局装置1に1つ以上のセカンダリセルが設定されていても本実施形態には影響しない。基地局装置2は、移動局装置1に対して周辺セルを測定するための測定設定(measurement configuration)を通知し、移動局装置1は測定設定に従って在圏セル(プライマリセル、またはプライマリセルとセカンダリセル)および周辺セルを測定している。
【0077】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して必要であると判断した場合、プライマリセルに対して非互換キャリアの追加を指示する非互換キャリア追加メッセージを送信する(ステップS101)。非互換キャリア追加メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0078】
非互換キャリア追加メッセージを受信し、非互換キャリアを追加した移動局装置1は、非互換キャリア追加メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア追加完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS102)。非互換キャリア追加完了メッセージは、対応する非互換キャリア追加メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0079】
ここで、ステップS101において、基地局装置2は、非互換キャリア追加メッセージに追加する非互換キャリアに関する設定パラメータ(情報要素)を含めて移動局装置1に送信する。設定パラメータは、(1)リンク先セル情報、(2)非互換キャリアインデックス情報、(3)拡張周波数帯域幅情報、が少なくとも含まれる。
【0080】
リンク先セル情報とは、具体的には、非互換キャリアを活性化したときに当該非互換キャリアと共に集約して通信を行う対象となるセル(コンポーネントキャリア)を示す識別子であり、例えば、セルIDやセルインデックスを使用して当該対象セルが示される。集約されるセルと非互換キャリアとをリンク先セル情報を用いて対応づけることを、セルと非互換キャリアをリンク情報に基づきリンクするとも称する。セルインデックスは、キャリア・アグリゲーションされる在圏セルに対して基地局装置2から移動局装置1に対して指定されるインデックス番号(例えば#0〜#7)である。セルIDを用いる場合、プライマリセルに対して非互換キャリアが設定される場合は、プライマリセルのセルID(および必要であれば周波数ID)がリンク先セル情報として設定される。また、セルインデックスを用いる場合、プライマリセルに対して非互換キャリアが設定される場合は、プライマリセルのセルインデックス番号(例えば#0)がリンク先セル情報として設定される。基地局装置2は、リンク先セル情報として互換性のあるセル(在圏セル)のみが指定可能であり、非互換キャリアを指定することはできない。
【0081】
また、リンク先セル情報は、当該非互換キャリアに対する無線リソース割り当て情報(上りリンクアサインメント、下りリンクアサインメント)が送信されるセルを示す情報であると換言することができる。また、リンク先セル情報は、当該非互換キャリアに対するスケジューリングを行うための物理下りリンク制御チャネルPDCCHが送信されるセルを示す情報であると換言することができる。移動局装置1は、リンク先セル情報で示されたセル(セル#1とする)が他のセル(セル#2とする)からスケジューリングされるセルであった場合(すなわち、基地局装置2が、セル#2で送信される無線リソース割り当て情報によってセル#1をスケジューリングする場合)、セル#1を集約対象とする非互換キャリアに対する無線リソース割り当て情報が送信されるセルはセル#2であると判断し、セル#2で無線リソース割り当て情報の受信を試みる。
【0082】
非互換キャリアインデックス情報とは、移動局装置1に対して設定された非互換キャリアを示す識別子となるインデックス番号(例えば#0〜#7)であり、基地局装置2は、本インデックス番号を非互換キャリアごとに割り振ることによって、追加、削除、変更、活性化および非活性化の対象となる一つまたは複数の非互換キャリアを移動局装置1に対して指定することが可能となる。例えば、キャリアセグメントであればセグメントインデックスが、エクステンションキャリアであればエクステンションインデックスが設定される。非互換キャリアインデックス情報として設定されるインデックス番号は、基地局装置2から移動局装置1に対して非互換キャリアを設定するときに同時に指定され、移動局装置1内部に情報として格納される。
【0083】
拡張周波数帯域幅情報とは、非互換キャリアをセルに対して追加することによって集約される周波数帯域幅を示す情報である。例えば、非互換キャリア自体の周波数帯域幅を示す情報である。または、非互換キャリアを追加した後の集約された周波数帯域幅(拡張周波数帯域幅)を示す情報である。
【0084】
移動局装置1は、追加が完了された時点では、当該非互換キャリアを用いた送受信を開始せず、設定のみがされた非活性(ディアクティベーション)の状態としておく。非互換キャリアに対して非活性の状態を用いることによって、基地局装置2は、移動局装置1のトラフィックの状態に応じた自由度の高いスケジュールを行うことが可能となる。
【0085】
図4は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアを活性化(アクティベーション)することによって、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図3で示したように、プライマリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0086】
ステップS201において、移動局装置1に対して追加した非互換キャリアに対する非互換キャリア活性化コマンド(非互換キャリア活性化)が基地局装置2より通知される。非互換キャリア活性化コマンドは、MAC制御要素で通知されても良いし、RRCメッセージや物理下りリンク制御チャネルで通知されても良い。非互換キャリア活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(プライマリセル)とを集約する。
【0087】
非互換キャリア活性化コマンドを受信し、非互換キャリアを活性化した移動局装置1は、非互換キャリア活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア活性化完了コマンド(非互換キャリア活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS202)。
【0088】
ここで、ステップS201において、基地局装置2は、非互換キャリア活性化コマンドに少なくとも活性化する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先情報に基づいて集約の対象となるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアに設定された拡張周波数帯域幅情報に基づいて、活性化された非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、活性化した非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0089】
図5は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアを非活性化(ディアクティベーション)することによって、非互換キャリアを用いずにコンポーネントキャリアのみで通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図4で示したように、プライマリセルを対象とした非互換キャリアを追加し、さらに当該非互換キャリアが活性化された後に開始される必要がある。
【0090】
ステップS301において、移動局装置1に対して活性化した非互換キャリアに対する非互換キャリア非活性化コマンド(非互換キャリア非活性化)が基地局装置2より通知される。非互換キャリア非活性化コマンドは、MAC制御要素で通知されても良いし、RRCメッセージや物理下りリンク制御チャネルで通知されても良い。非互換キャリア非活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(プライマリセル)との集約を解除し、非互換キャリアを用いた送受信を停止する。なお、移動局装置1は、コンポーネントキャリア(プライマリセル)を用いた送受信を停止する必要はない。
【0091】
非互換キャリア非活性化コマンドを受信し、非互換キャリアを非活性化した移動局装置1は、非互換キャリア非活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア非活性化完了コマンド(非互換キャリア非活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS302)。
【0092】
ここで、ステップS301において、基地局装置2は、非互換キャリア非活性化コマンドに少なくとも非活性化する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて集約が解除されるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアが非活性化されたコンポーネントキャリアの周波数帯域幅(通常帯域幅)に基づいて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、非活性化した非互換キャリアの集約対象であったコンポーネントキャリアを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0093】
図6は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアの設定を削除することによって、非互換キャリアを用いずにコンポーネントキャリアのみで通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図3で示したように、プライマリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0094】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して不要であると判断した場合、プライマリセルに対して非互換キャリアの削除を指示する非互換キャリア削除メッセージを送信する(ステップS401)。非互換キャリア削除メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0095】
非互換キャリア削除メッセージを受信し、追加されていた非互換キャリアを削除した移動局装置1は、非互換キャリア削除メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア削除完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS402)。非互換キャリア削除完了メッセージは、対応する非互換キャリア削除メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0096】
ここで、ステップ401において、基地局装置2は、非互換キャリア削除メッセージに少なくとも削除する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて集約が解除されるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアが削除されたコンポーネントキャリアの周波数帯域幅(通常帯域幅)に基づいて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、削除した非互換キャリアの集約対象であったコンポーネントキャリアを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0097】
また、基地局装置2が、非互換キャリアが追加(設定)されたプライマリセルをハンドオーバーなどによって別のセルへと変更した場合、移動局装置1は、変更前のプライマリセルに設定されていた非互換キャリアを自動的に削除する。
【0098】
図7を用いて、上述した非互換キャリア、特にキャリアセグメントを追加するための設定パラメータと、既存のコンポーネントキャリア(セル)との対応関係について説明する。
【0099】
図7の上段は移動局装置1に設定されている在圏セル(在圏セル1)であり、その周波数帯域幅はEUTRAにおける周波数帯域幅(通常帯域幅(例えば5MHz))を持つ。また、明示的または暗黙的に設定されるセルインデックスの番号は0番(セルインデックス#0)であるとする。中段はキャリアセグメント1を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてセグメントインデックス#0、拡張周波数帯域幅情報としてxMHzが設定されている。また、下段はキャリアセグメント2を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてセグメントインデックス#1、拡張周波数帯域幅情報としてyMHzが設定されている。
【0100】
在圏セルとキャリアセグメント1が配置される周波数帯、および在圏セルとキャリアセグメント2が配置される周波数帯は、互いに干渉しない連続した周波数帯であれば(同じ周波数帯を使用しなければ)どの周波数帯に配置されていてもよい。ただし、互いに干渉するキャリアセグメントが設定される場合、活性化されるキャリアセグメントはどちらか一方であることに注意する。
【0101】
なお、図7では拡張周波数帯域幅情報をキャリア・アグリゲーションによって集約した後の周波数帯域幅を示す場合を例示しているが、上述したように、キャリアセグメント自体の周波数帯域幅を示すように構成されていてもよい。
【0102】
このとき、基地局装置2は、移動局装置1に対してキャリアセグメント1とキャリアセグメント2とを設定する。移動局装置1は、キャリアセグメント1とキャリアセグメント2のリンク先セル情報に基づいてキャリアセグメントが追加されるセルを確認する。図7の例では、キャリアセグメント1とキャリアセグメント2のリンク先セルは在圏セル1である。基地局装置2は、キャリアセグメントを活性化させる場合に、活性化コマンドにセグメントインデックス番号を指定して移動局装置1へ通知する。例えば、キャリアセグメント1を活性化させる場合、基地局装置2は、セグメントインデックス#0を移動局装置1に通知する。同様に、キャリアセグメント2を活性化させる場合、基地局装置2は、セグメントインデックス#1を移動局装置1に通知する。
【0103】
キャリアセグメントの活性化が指示された場合、移動局装置1は、セグメントインデックスで指定されたキャリアセグメントの拡張周波数帯域幅情報に基づいて周波数帯域幅を拡張し、通信を行う。図7の例では、キャリアセグメント1が活性化された場合、在圏セル1とキャリアセグメント1とを集約した拡張周波数帯域幅1(xMHz)で通信を開始する。同様に、キャリアセグメント2が活性化された場合、在圏セル1とキャリアセグメント2とを集約した拡張周波数帯域幅2(yMHz)で通信を開始する。このように、基地局装置2から移動局装置1へ通知する情報量は、最初の設定パラメータを通知する以外はセグメントインデックスを用いることによって最小限にすることができる。なお、セグメントインデックスは、キャリアセグメントの活性化以外に、キャリアセグメントの非活性化、キャリアセグメントの削除と変更にも用いられる。
【0104】
ここで、図7に示すように、一つの在圏セルに対して複数のキャリアセグメントを設定することも可能である。ただし、一つの在圏セルに対して同時に有効となる(活性化される)キャリアセグメントは一つに制限されることが望ましい。すでに活性化されたキャリアセグメントの集約対象である在圏セルの、別のキャリアセグメントを活性化したい場合、例えば、図7においてキャリアセグメント1が活性されているときにキャリアセグメント2を活性化したい場合、基地局装置2は、以下のいずれか方法を用いる必要がある。(1)キャリアセグメント1の非活性化とキャリアセグメント2の活性化を同時に通知する、(2)キャリアセグメント2の活性化を通知することによって移動局装置1に対してキャリアセグメント1に変えてキャリアセグメント2の活性化を暗黙的に指示する、などである。(2)の場合、移動局装置1は、現在使用しているキャリアセグメント1の設定をキャリアセグメント2の設定に変更する必要がある。なお、基地局装置2は、キャリアセグメント1を削除した後にキャリアセグメント2を活性化しても良い。
【0105】
図8を用いて、上述した非互換キャリア、特にエクステンションキャリアを追加するための設定パラメータと、既存のコンポーネントキャリア(セル)との対応関係について説明する。
【0106】
図8の上段は移動局装置1に設定されている在圏セル(在圏セル1)であり、その周波数帯域幅はEUTRAにおける周波数帯域幅(通常帯域幅(例えば5MHz))を持つ。また、明示的または暗黙的に設定されるセルインデックスの番号は0番(セルインデックス#0)である。中段はエクステンションキャリア1を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてエクステンションインデックス#0、拡張周波数帯域幅情報としてmMHzが設定されている。また、下段はエクステンションキャリア2を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてエクステンションインデックス#1、拡張周波数帯域幅情報としてnMHzが設定されている。在圏セルとエクステンションキャリア1が配置される周波数帯、および在圏セルとエクステンションキャリア2が配置される周波数帯は、互いに干渉しなければ(同じ周波数帯を使用しなければ)どの周波数帯に配置されていてもよい。ただし、互いに干渉するエクステンションキャリアが設定される場合、活性化されるキャリアセグメントはどちらか一方であることに注意する。
【0107】
このとき、基地局装置2は、移動局装置1に対してエクステンションキャリア1とエクステンションキャリア2とを設定する。移動局装置1は、エクステンションキャリア1とエクステンションキャリア2のリンク先セル情報に基づいてエクステンションキャリアが追加されるセルを確認する。図8の例では、エクステンションキャリア1とエクステンションキャリア2のリンク先セルは在圏セル1である。基地局装置2は、エクステンションキャリアを活性化させる場合に、活性化コマンドにエクステンションインデックス番号を指定して移動局装置1へ通知する。例えば、エクステンションキャリア1を活性化させる場合、基地局装置2は、エクステンションインデックス#0を移動局装置1に通知する。同様に、エクステンションキャリア2を活性化させる場合、基地局装置2は、エクステンションインデックス#1を移動局装置1に通知する。
【0108】
エクステンションキャリアの活性化が指示された場合、移動局装置1は、エクステンションインデックスで指定されたエクステンションキャリアの拡張周波数帯域幅情報に基づいて周波数帯域幅を拡張し、通信を行う。図8の例では、エクステンションキャリア1が活性化された場合、在圏セル1とエクステンションキャリア1とを集約した周波数帯域幅(すなわち、通常帯域幅に拡張周波数帯域幅1(mMHz)を加えた合計)で通信を開始する。同様に、エクステンションキャリア2が活性化された場合、在圏セル1とエクステンションキャリア2とを集約した周波数帯域幅(すなわち、通常帯域幅に拡張周波数帯域幅2(nMHz)を加えた合計)で通信を開始する。このように、基地局装置2から移動局装置1へ通知する情報量は、最初の設定パラメータを通知する以外はエクステンションインデックスを用いることによって最小限にすることができる。なお、エクステンションインデックスは、エクステンションキャリアの活性化以外に、エクステンションキャリアの非活性化、エクステンションキャリアの削除と変更にも用いられる。
【0109】
ここで、図8に示すように、一つの在圏セルに対して複数のエクステンションキャリアを設定することも可能である。ただし、一つの在圏セルに対して同時に有効となる(活性化される)エクステンションキャリアは一つに制限されることが望ましい。すでに活性化されたエクステンションキャリアの集約対象である在圏セルの、別のエクステンションキャリアを活性化したい場合、例えば、図7においてエクステンションキャリア1が活性されているときにエクステンションキャリア2を活性化したい場合、基地局装置2は、以下のいずれか方法を用いる必要がある。
【0110】
例えば、(1)エクステンションキャリア1の非活性化とエクステンションキャリア2の活性化を同時に通知する、(2)エクステンションキャリア2の活性化を通知することによって移動局装置1に対してエクステンションキャリア1に変えてエクステンションキャリア2の活性化を暗黙的に指示する、などである。(2)の場合、移動局装置1は、現在使用しているエクステンションキャリア1の設定をエクステンションキャリア2の設定に変更する必要がある。なお、基地局装置2は、エクステンションキャリア1を削除した後にエクステンションキャリア2を活性化しても良い。
【0111】
上述した非互換キャリア追加メッセージと非互換キャリア追加完了メッセージ、および非互換キャリア削除メッセージと非互換キャリア削除完了メッセージは、それぞれ必要なパラメータを追加することによって、新規のメッセージを用意せずに既存のRRCメッセージを再利用することが可能である。例えば、非互換キャリア追加メッセージと非互換キャリア削除メッセージは、RRC Connection Reconfigurationメッセージ、非互換キャリア追加完了メッセージと非互換キャリア削除完了メッセージはRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージをそれぞれ再利用することができる。
【0112】
このように、第1の実施形態によれば、基地局装置2は、移動局装置1に非互換キャリアであるキャリアセグメントとエクステンションキャリアをプライマリセルに対して設定する場合において、非互換キャリアを使用するために必要となる設定パラメータとして、リンク先セル情報、非互換キャリアインデックス情報および拡張周波数帯域幅情報を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用させる場合に非互換キャリアの活性化を移動局装置1に通知する。
【0113】
また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用しない場合に非互換キャリアの非活性化を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアが不要なときに非互換キャリアの削除を移動局装置1に通知する。また、移動局装置1は、非互換キャリアの追加・削除・変更、または非互換キャリアの活性化・非活性化の対象となる非互換キャリアと、当該非互換キャリアと集約されるコンポーネントキャリアとを、リンク先セル情報と非互換キャリアインデックス情報に基づいて判断する。
【0114】
以上のように、本実施形態に開示の方法を用いることによって、非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順について不明であるため、キャリア・アグリゲーションを正しく実施できないという問題を解決することができる。すなわち、基地局装置2と移動局装置1は、リンク先セル情報を用いることによって、非互換キャリアと当該非互換キャリアの集約対象となる在圏セルを特定することができる。また、基地局装置2と移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報を用いることで、非互換キャリアの追加、削除、変更、活性化および非活性化のために必要な情報量を削減できる。また、基地局装置2と移動局装置1は、拡張周波数帯域幅情報を用いることで、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーション時における周波数帯域幅を設定することができる。
【0115】
以上の説明に基づいて非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順を構成することによって、移動局装置1と基地局装置2の無線品質やトラフィックの状態に応じ、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを正しく実施することができるため、無線リソース管理を効率的に行なうことができる。
【0116】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態は、プライマリセルに対して非互換キャリアが追加される場合について説明したが、本実施形態ではセカンダリセルに対して非互換キャリアが追加される場合について説明する。
【0117】
本実施形態に用いる移動局装置1と基地局装置2の構成は、それぞれ図1と図2と同じ構成で良いため説明を省略する。
【0118】
セカンダリセルは、プライマリセルと違って活性化と非活性化が行われる在圏セルであるため、非互換キャリアとセカンダリセルとを集約したキャリア・アグリゲーションを行う場合、プライマリセルよりも複雑な制御が必要となる。しかしながら、追加した非互換キャリアのみを非活性化する場合、または追加した非互換キャリアのみを削除する場合は、プライマリセルを対象とした手順と変わりはなく、それぞれ第1の実施形態における図5および図6の手順をセカンダリセルに適用すればよいだけであり、その詳細な説明を省略する。以下では、セカンダリセルに対して非互換キャリアを設定する場合に、第1の実施形態とは異なる制御が必要な点について図面を用いて説明する。
【0119】
図9は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行うための準備として、セカンダリセルに対して、当該セカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアを追加(設定)する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【0120】
本シーケンスチャートは、移動局装置1と基地局装置2との間でプライマリセルおよび少なくとも1つのセカンダリセルを用いた接続が確立している状態(コネクティッド状態)から開始される。なお、移動局装置1に1つ以上のセカンダリセルが設定されていても本実施形態には影響しない。基地局装置2は、移動局装置1に対して周辺セルを測定するための測定設定(measurement configuration)を通知し、移動局装置1は測定設定に従って在圏セル(プライマリセル、またはプライマリセルとセカンダリセル)および周辺セルを測定している。
【0121】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して必要であると判断した場合、すでに追加しているセカンダリセルに対して非互換キャリアの追加を指示する非互換キャリア追加メッセージを送信する(ステップS501)。非互換キャリア追加メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0122】
非互換キャリア追加メッセージを受信し、非互換キャリアを追加した移動局装置1は、非互換キャリア追加メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア追加完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS502)。非互換キャリア追加完了メッセージは、対応する非互換キャリア追加メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0123】
ここで、ステップS501において、基地局装置2は、非互換キャリア追加メッセージに追加する非互換キャリアに関する設定パラメータ(情報要素)を含めて移動局装置1に送信する。設定パラメータは、(1)リンク先セル情報、(2)非互換キャリアインデックス情報、(3)拡張周波数帯域幅情報、が少なくとも含まれる。これらの情報についての詳細は、第1の実施形態と同じであるため、その詳細を略す。
【0124】
ただし、リンク先セル情報として、セルIDまたはセルインデックスで集約対象のセカンダリセルが示される点が第1の実施形態と異なることに注意する。また、基地局装置2は、非互換キャリアの追加と同時にセカンダリセルの追加を移動局装置1に対して指示してもよい。このとき、セカンダリセルの追加に関する設定パラメータは従来のEUTRAで使用されるものと同じでよい。
【0125】
移動局装置1は、追加が完了された時点では、当該非互換キャリアを用いた送受信を開始せず、設定のみがされた非活性(ディアクティベーション)の状態としておく。非互換キャリアに対して非活性の状態を用いることによって、基地局装置2は、移動局装置1のトラフィックの状態に応じた自由度の高いスケジュールを行うことが可能となる。
【0126】
図10は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアを活性化(アクティベーション)することによって、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図9で示したように、セカンダリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0127】
ステップS601において、移動局装置1に対して追加した非互換キャリアに対する非互換キャリア活性化コマンド(非互換キャリア活性化)が基地局装置2より通知される。非互換キャリア活性化コマンドは、MAC制御要素で通知されても良いし、RRCメッセージや物理下りリンク制御チャネルで通知されても良い。非互換キャリア活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(セカンダリセル)とを集約する。
【0128】
非互換キャリア活性化コマンドを受信し、非互換キャリアを活性化した移動局装置1は、非互換キャリア活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア活性化完了コマンド(非互換キャリア活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS602)。
【0129】
ここで、ステップS601において、基地局装置2は、非互換キャリア活性化コマンドに少なくとも活性化する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて集約の対象となるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアに設定された拡張周波数帯域幅情報に基づいて、活性化された非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、活性化した非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0130】
また、ステップS601において、活性化が要求された非互換キャリアのリンク先セルであるセカンダリセルが非活性の状態である場合、移動局装置1は当該セカンダリセルの活性化を行うように構成されていてもよい。または、移動局装置1は当該非互換キャリア活性化コマンドをネットワークエラーとみなすように構成されていてもよい。この場合、移動局装置1はネットワークエラーであることを基地局装置2に通知してもよいし、単に非互換キャリア活性化コマンドを無視してもよい。
【0131】
図11は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアの集約対象であるセカンダリセルを非活性化(ディアクティベーション)することによって、キャリア・アグリゲーションによって通信に用いている非互換キャリアを非活性化すると同時に、非互換キャリアとセカンダリセルとを同時に非活性化する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図10で示したように、セカンダリセルを対象とした非互換キャリアを追加し、さらに当該非互換キャリアが活性化された後に開始される必要がある。
【0132】
ステップS701において、移動局装置1に対して、活性化されているセカンダリセルに対するセカンダリセル非活性化コマンド(セカンダリセル非活性化)が基地局装置2より通知される。セカンダリセル非活性化コマンドは、EUTRAと同様の通知方法で良く、例えばMAC情報要素を用いて通知される。セカンダリセル非活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(セカンダリセル)とを同時に非活性化し、当該非互換キャリアおよび当該セカンダリセルを用いた送受信を停止する。
【0133】
セカンダリセル非活性化コマンドを受信し、非互換キャリアおよびセカンダリセルを非活性化した移動局装置1は、セカンダリセル非活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、セカンダリセル非活性化完了コマンド(セカンダリセル非活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS702)。
【0134】
ここで、ステップS701において、基地局装置2は、セカンダリセル非活性化コマンドに少なくとも非活性化するセカンダリセルを指定する情報(セルインデックス、またはセルIDと周波数ID)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、指定されたセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアを、非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて判断する。そして、移動局装置1は、非活性化されるセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアが存在する場合で、当該非互換キャリアが活性化されている場合、指定されたセカンダリセルの非活性化と同時に対応する非互換キャリアを非活性化する。また、基地局装置2は、非活性化したセカンダリセルと、当該セカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアとを用いたスケジューリングを停止し、他のコンポーネントキャリア(セル)を用いて移動局装置1との通信を行う。
【0135】
図12は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアの集約対象であるセカンダリセルの設定を削除すると同時に、キャリア・アグリゲーションによって通信に用いている非互換キャリアの設定を削除する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図10で示したように、セカンダリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0136】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して不要であると判断した場合、セカンダリセルに対して非互換キャリアの削除を指示するセカンダリセル削除メッセージを送信する(ステップS801)。セカンダリセル削除メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0137】
セカンダリセル削除メッセージを受信し、追加されていた非互換キャリアを削除した移動局装置1は、セカンダリセル削除メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、セカンダリセル削除完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS802)。セカンダリセル削除完了メッセージは、対応するセカンダリセル削除メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0138】
ここで、ステップ801において、基地局装置2は、セカンダリセル削除メッセージに少なくとも削除する非互換キャリアを指定する情報(セルインデックス、またはセルIDと周波数ID))を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、指定されたセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアを、非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて判断する。そして、移動局装置1は、削除されるセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアが存在する場合、指定されたセカンダリセルの設定を削除すると同時に対応する非互換キャリアの設定を削除する。また、基地局装置2は、削除したセカンダリセルと、当該セカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアとを用いたスケジューリングを停止し、他のコンポーネントキャリア(セル)を用いて移動局装置1との通信を行う。
【0139】
また、基地局装置2が、非互換キャリアが追加(設定)されたセカンダリセルをハンドオーバーなどによって別のセルへと変更した場合、移動局装置1は、変更前のセカンダリセルに設定されていた非互換キャリアを自動的に削除する。
【0140】
なお、上述した非互換キャリア追加メッセージと非互換キャリア追加完了メッセージ、および非互換キャリア削除メッセージと非互換キャリア削除完了メッセージは、既存のRRCメッセージを再利用することが可能な点は第1の実施形態と同じである。
【0141】
このように、第2の実施形態によれば、基地局装置2は、移動局装置1に非互換キャリアであるキャリアセグメントとエクステンションキャリアをセカンダリセルに対して設定する場合において、非互換キャリアを使用するために必要となる設定パラメータとして、リンク先セル情報、非互換キャリアインデックス情報および拡張周波数帯域幅情報を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用させる場合に非互換キャリアの活性化を移動局装置1に通知する。
【0142】
また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用しない場合に非互換キャリアの非活性化を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアが不要なときに非互換キャリアの削除を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアと対応するセカンダリセルとを共に使用しない場合にセカンダリセルの非活性化を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアと対応するセカンダリセルとが共に不要なときにセカンダリセルの削除を移動局装置1に通知する。
【0143】
また、移動局装置1は、非互換キャリアの追加・削除・変更、または非互換キャリアの活性化・非活性化の対象となる非互換キャリアと、当該非互換キャリアと集約されるコンポーネントキャリアとを、リンク先セル情報と非互換キャリアインデックス情報に基づいて判断する。
【0144】
以上のように、本実施形態に開示の方法を用いることによって、非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順について不明であるため、キャリア・アグリゲーションを正しく実施できないという問題を解決することができる。すなわち、基地局装置2と移動局装置1は、第1の実施形態に加え、非互換キャリアに対応するセカンダリセルの非活性化または削除が指定された場合、当該非互換キャリアと対応するセカンダリセルとを同時に非活性化または削除することができるため、制御に必要となる情報量を削減することができる。
【0145】
以上の説明に基づいて非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順を構成することによって、移動局装置1と基地局装置2の無線品質やトラフィックの状態に応じ、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを正しく実施することができるため、無線リソース管理を効率的に行なうことができる。
【0146】
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。例えば、本上りリンク送信方式は、FDD(周波数分割復信)方式とTDD(時分割復信)方式のどちらの通信システムに対しても適用可能である。また、キャリアセグメントとエクステンションキャリアの両方を同時に設定するように構成できることは、本実施形態の説明に基づけば自明である。
【0147】
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置1および基地局装置2を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置1および基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置1や基地局装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0148】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0149】
また、上記各実施形態に用いた移動局装置1および基地局装置2の各機能ブロック、または諸特徴は、典型的にはIC(集積回路)であるLSIを含む回路内で構成されてもよい。その場合、LSIの集積密度はどのような密度で実現されていても良い。各機能ブロックおよび諸特徴は個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0150】
以上、この発明の実施形態について特定の具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これら特定の具体例に限定されないことは明らかである。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明に対して何ら制限を加えるものではない。
【符号の説明】
【0151】
1…移動局装置
2…基地局装置
11〜13…送信装置
101、201…受信部
102、202…復調部
103、203…復号部
104…測定処理部
105、204…制御部
106…ランダムアクセス制御部
107、205…符号部
108、206…変調部
109、207…送信部
110…タイミング管理部
111、208…上位レイヤ
209…ネットワーク信号送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線リソース管理を効率的に行なう通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法および集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式やリソースブロックと呼ばれる所定の周波数・時間単位の柔軟なスケジューリングの採用によって、高速な通信を実現させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以降EUTRAと称する)の標準化が行なわれた。
【0003】
また、3GPPでは、より高速なデータ伝送を実現し、EUTRAの上位互換性を持つAdvanced EUTRAの議論を行っている。Advanced EUTRAにおける技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が提案されている。キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数(キャリア)の周波数帯域(コンポーネントキャリア(Component Carrier)とも称する)を集約して使用することによって伝送レートを向上させる技術である。また、キャリア・アグリゲーションを用いる場合の一例として、後方互換性のないキャリア(キャリアセグメント(carrier segment)、またはエクステンションキャリア(extension carrier))を集約する方法についても議論がなされた。(非特許文献1、非特許文献2)
【0004】
キャリアセグメントとは、使用中の帯域幅を拡張するために用いる追加のキャリア(帯域)である。キャリアセグメントを用いることで、移動局装置が使用している周波数帯域の中心周波数を変更せずに、帯域幅だけを拡張させることが可能となる。例えば、10MHzの周波数帯域幅を使用している移動局装置に対し、5MHzのキャリアセグメントを両周波数端に追加することで、移動局装置は20MHz(5MHz+10MHz+5MHz)の周波数帯域幅で通信を行うことが可能となる。キャリアセグメントは、セグメントキャリア、セグメントセル、セルセグメント、部分周波数とも称される。
【0005】
エクステンションキャリアとは、使用中の帯域幅とは別の追加のキャリア(帯域)である。エクステンションキャリアを用いることで、移動局装置が使用している周波数帯域に影響を与えずに帯域幅を拡張させることが可能となる。例えば、10MHzの周波数帯域幅を使用している移動局装置に対し、5MHzのエクステンションキャリアを追加することで、移動局装置は15MHz(10MHz+5MHz)の周波数帯域幅で通信を行うことが可能となる。エクステンションキャリアは、拡張セルとも称される。
【0006】
キャリアセグメントやエクステンションキャリアといった後方互換性(下位互換性)のないキャリア(Non-backward compatible carrier、以降、非互換キャリアと称する)と、通常のキャリア(コンポーネントキャリア)との大きな違いは、非互換キャリアでは、基地局装置が同期シグナルおよび物理報知情報チャネルが送信しないように構成できることである。同様に、非互換キャリアでは、基地局装置は物理下りリンク制御チャネルや下りリンクリファレンスシグナルを送信しないように構成できる(物理チャネルの詳細については後述する)。さらに、非互換キャリアでは、基地局装置はページングメッセージを送信しないように構成できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R1−100813、Alcatel−Lucent、3GPP TSG−RAN WG1#59bis、18−22 January 2010、Valencia、Spain
【非特許文献2】R1−100809、Huawei、3GPP TSG−RAN WG1#59bis、18−22 January 2010、Valencia、Spain
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2で示される非互換キャリアをEUTRAにおいて使用する場合、移動局装置に対して非互換キャリアの設定を適切に行うかについて、その方法について何ら示されていない。
【0009】
特に、非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順について不明であるため、移動局装置は、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを正しく実施することができない。
【0010】
上記の課題を鑑みて、本発明の目的は、移動局装置が後方互換性のないキャリアを集約して基地局装置と通信を行う場合において、無線リソース管理を効率的に行なう通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法および集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は以下のような手段を講じた。すなわち本願の通信システムは、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムであって、前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする。
【0012】
(2)また、本願の通信システムにおいて、前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする。
【0013】
(3)また、本願の通信システムにおいて、前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする。
【0014】
(4)また、本願の基地局装置は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける基地局装置であって、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、前記移動局装置に対して、前記拡張周波数帯域に対する指示と、前記第1の識別子または前記第2の識別子とを用いることによって、前記拡張周波数帯域または前記セルおよび前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする。
【0015】
(5)また、本願の基地局装置は、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第1の識別子を用いて前記移動局装置に指示し、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第2の識別子を用いて前記移動局装置に指示することを特徴とする。
【0016】
(6)また、本願の基地局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルで送信することを特徴とする。
【0017】
(7)また、本願の移動局装置は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置であって、前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする。
【0018】
(8)また、本願の移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする。
【0019】
(9)また、本願の移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする。
【0020】
(10)また、本願の通信方法は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信方法であって、前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定するステップと、前記リンク情報を前記移動局装置に送信するステップとを備え、前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクするステップと、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理するステップを備えることを特徴とする。
【0021】
(11)また、本願の通信方法は、前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする。
【0022】
(12)また、本願の通信方法は、前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする。
【0023】
(13)また、本願の移動局装置の集積回路は、移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置の集積回路であって、前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理する機能を備えたことを特徴とする。
【0024】
本明細書では、移動局装置と基地局装置が複数の周波数を用いて接続される場合における通信システム、基地局装置、移動局装置および無線リソースの管理方法の改良という点において本発明を開示するが、本発明が適用可能な通信方式は、EUTRAまたはAdvanced EUTRAのようにEUTRAと上位互換性のある通信方式に限定されるものではない。例えば、本発明はUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)にも適用することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、移動局装置が後方互換性のないキャリアを集約して基地局装置と通信を行う場合において、無線リソース管理を効率的に行なう通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法および集積回路を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明における移動局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明における基地局装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態における非互換キャリアの追加手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図4】第1の実施形態における非互換キャリアの活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図5】第1の実施形態における非互換キャリアの非活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図6】第1の実施形態における非互換キャリアの削除手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図7】第1の実施形態におけるキャリアセグメントの設定パラメータと在圏セルとの関係について説明するための図である。
【図8】第1の実施形態におけるエクステンションキャリアの設定パラメータと在圏セルとの関係について説明するための図である。
【図9】第2の実施形態における非互換キャリアの追加手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図10】第2の実施形態における非互換キャリアの活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図11】第2の実施形態におけるセカンダリセルと非互換キャリアの非活性化手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【図12】第2の実施形態におけるセカンダリセルと非互換キャリアの削除手順について説明するための別のシーケンスチャート図である。
【図13】本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示した図である。
【図14】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するコンポーネントキャリアの設定の一例を示した図である。
【図15】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するキャリアセグメントの設定の一例を示した図である。
【図16】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するエクステンションキャリアの設定の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関わるキャリア・アグリゲーション、物理チャネル、通信ネットワーク構成などについて簡単に説明する。
【0028】
[キャリア・アグリゲーション]
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数(コンポーネントキャリア、または周波数帯域)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数(周波数帯域)のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置はこれらを一つの100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数であってもよい。例えば、使用可能な周波数が800MHz帯、2.4GHz帯、3.4GHz帯である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯で送信されていてもよい。
【0029】
また、同一周波数帯、例えば2.4GHz帯内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々周波数帯域幅が異なっていても良い。基地局装置は、滞留しているデータバッファ量や移動局装置の受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。なお、基地局装置が割り当てる上りリンクコンポーネントキャリアの数は、下りリンクコンポーネントキャリアの数と同じか少ないことが望ましい。
【0030】
また、基地局装置は、1つの下りリンクのコンポーネントキャリアと1つの上りリンクのコンポーネントキャリアを組み合わせて1つのセルを構成する。なお、基地局装置は、1つの下りリンクコンポーネントキャリアのみを用いて(すなわち、上りリンクコンポーネントキャリアの割り当てがない)1つのセルを構成することもできる。
【0031】
また、移動局装置は、キャリア・アグリゲーションによって、キャリアセグメントまたはエクステンションキャリアといった非互換キャリアを一つのコンポーネントキャリアに対して集約して使用することができる。非互換キャリアとコンポーネントキャリアとは、連続した周波数である必要はなく、コンポーネントキャリアと異なる周波数の非互換キャリアとを集約することも可能である。非互換キャリアの周波数帯域幅は、コンポーネントキャリアに設定可能な周波数帯域幅と同じであることが好適であるが、任意の周波数帯域であっても構わない。
【0032】
[物理チャネル]
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される主な物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。チャネルとは信号の送信に用いられる媒体を意味し、物理チャネルとは信号の送信に用いられる物理的な媒体を意味する。物理チャネルは、EUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
【0033】
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID:Physical Cell Identity; PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
【0034】
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、物理下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、物理下りリンク共用チャネルによってレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)で送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)、ランダムアクセス制御情報などが通知される。
【0035】
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0036】
上りリンクリファレンスシグナル(上りリンク参照信号:Uplink Reference Signal、上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)は、基地局装置が、物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび/または物理上りリンク共用チャネルPUSCHを復調するために使用する復調参照信号(DRS:Demodulation Reference Signal)と、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)が含まれる。
【0037】
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割り当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の物理下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の物理下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクアサインメント(または、上りリンクグラント)、受信時には下りリンクアサインメント(または、下りリンクグラント)と呼ばれる無線リソース割り当て情報を物理下りリンク制御チャネルから取得する必要がある。
【0038】
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH; Physical Uplink Control Channel)は、物理下りリンク共用チャネルで送信されたデータの受信確認応答(ACK/NACK:Acknowledgement/Negative Acknowledgement)や下りリンクの伝搬路情報(CQI:Channel Quality Indicator)、上りリンクの無線リソース要求であるスケジューリングリクエスト(SR:Scheduling Request)を行なうために使用される。
【0039】
物理下りリンク共用チャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。物理下りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報(下りリンクアサインメント)は、物理下りリンク制御チャネルで事前に示される。
【0040】
物理上りリンク共用チャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に物理上りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報(上りリンクアサインメント)は、物理下りリンク制御チャネルで事前に示される。
【0041】
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。プリアンブル系列は、64種類のシーケンスを用意して6ビットの情報を表現するように構成されている。物理ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、物理上りリンク制御チャネル未設定時の無線リソース要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス(TA:Timing Advance)とも呼ばれる)を基地局装置に要求するために物理ランダムアクセスチャネルを用いる。
【0042】
具体的には、移動局装置は、基地局装置より設定された物理ランダムアクセスチャネル用の無線リソースを用いてプリアンブル系列を送信する。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を計時する送信タイミングタイマー(TA timer)を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態として状態を管理する。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
【0043】
[本発明の通信ネットワーク構成の例]
図13は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数(コンポーネントキャリアまたは非互換キャリア、Band1~Band3)を同時に用いて基地局装置2と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置2が複数の周波数毎に送信装置11〜13(および図示しない受信装置21〜23)を備えており、各周波数の制御を一つの基地局装置2で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。基地局装置2の構成は図13に限定されない。ただし、複数の周波数が連続する周波数であるなどの理由で、基地局装置2が一つの送信装置で複数の周波数の送信を行なう構成であっても構わない。さらには、周波数毎に送受信のタイミングが異なるような構成であっても良い。送信装置と受信装置の数や送受信可能な周波数が異なっていてもよい。基地局装置2の送信装置によって制御される各周波数の通信可能範囲はセルとしてみなされる。このとき、各周波数がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。
【0044】
ただし、後述する記載において、基地局装置2が構成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明するが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。また、従来のセルとは異なる拡張セルとして定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。
【0045】
なお、非互換キャリアではコンポーネントキャリアで送信される一部の信号またはチャネルが存在しないため、非互換キャリアだけではセルを構成できず、通信に使用できない。また、キャリア・アグリゲーションは、複数のコンポーネントキャリアを用いた複数のセルによる通信であり、セルアグリゲーションとも称される。なお、移動局装置1は、周波数毎にリレー局装置(またはリピーター)を介して基地局装置2と無線接続されても良い。すなわち、本発明の基地局装置2は、リレー局装置に置き換えることが出来る。
【0046】
3GPPが規定する第3世代の基地局装置2はノードB(NodeB)と称され、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。なお、3GPPが規定する第3世代の移動局装置1はユーイー(UE:User Equipment)と称される。基地局装置2は移動局装置1が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置1と通信可能なエリアの大きさに応じてマクロセルやフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。また、移動局装置1がある基地局装置2と通信可能であるとき、その基地局装置2のセルのうち、移動局装置1との通信に使用しているセルは在圏セル(Serving cell)であり、その他のセルは周辺セル(Neighboring cell)と称される。つまり、キャリア・アグリゲーションを用いて移動局装置1と基地局装置2が複数のセルを用いて通信している場合、在圏セルは複数存在することになる。
【0047】
[コンポーネントキャリアの構成の設定例]
図14は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定(configure)する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図14では、2個の下りリンクコンポーネントキャリア(下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2)と2個の上りリンクコンポーネントキャリア(上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2)の対応関係について示すが、本発明が2個のコンポーネントキャリアの場合に限定されるということではない。図14中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、および下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2がセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。
【0048】
セル固有接続とは、例えば、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置2にアクセス可能な上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係(連携関係)であり、典型的には報知情報の一部(SIB2:System Information Block Type2)でその対応関係が示される。セル固有接続は、SIB2 linkageとも称される。セルにおける上りリンクと下りリンクの周波数の対応関係は、報知情報に周波数情報として明示的に指示されるか、または明示的に指示されない場合に運用周波数毎に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の周波数差の情報を用いるなどして暗黙的に指示される。これらの方法に限らず、セル毎に上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係を示すことが可能であれば、これ以外の方法を用いて指示されても良い。
【0049】
これに対し、基地局装置2は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置1毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。このとき、個別接続の設定はRRCメッセージで示される。基地局装置2は、物理ランダムアクセスチャネルの送信に必要な設定(コンフィギュレーション)を上りリンクコンポーネントキャリア毎、または上りリンク周波数毎に複数割り当てることも可能である。
【0050】
[非互換キャリアの構成の設定例(1)]
図15は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリアセグメントを用いたキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定するコンポーネントキャリアと、キャリアセグメントとの対応関係の一例を示した図である。なお、キャリアセグメントを用いた、とは、当該キャリアセグメントによって使用可能となる追加の無線リソース(拡張周波数帯域)を用いた通信のことを意味する。図15では、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnと上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnとで構成されるコンポーネントキャリア(セル)に対して、下りリンクキャリアセグメントおよび上りリンクキャリアセグメントが設定された例を示している。
【0051】
図中の下りリンクキャリアセグメントとして示される部分は、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnに対して拡張されるキャリアセグメントである。また、図中の上りリンクキャリアセグメントとして示される部分は、上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnに対して拡張されるキャリアセグメントである。図15の移動局装置1および基地局装置2は、キャリア・アグリゲーションを用いていない場合は、DL_CCnとUL_CCnの周波数帯域(通常帯域幅)の範囲で通信を行い、キャリア・アグリゲーションとしてキャリアセグメントを集約して用いる場合は、キャリアセグメントを追加した周波数帯域(拡張周波数帯域幅)の範囲で通信を行う。
【0052】
なお、基地局装置2は、移動局装置1に対して下りリンクキャリアセグメントまたは上りリンクキャリアセグメントのどちらか一方のみを設定(追加)することも可能である。また、キャリアセグメントを設定する上りリンクと下りリンクの通常帯域幅はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、下りリンクの通常帯域幅が10MHzと上りリンクの通常帯域幅が5MHzのセルに対してキャリアセグメントが設定されてもよい。また、キャリアセグメントを設定した後の上りリンクと下りリンクの拡張周波数帯域の周波数帯域幅(拡張周波数帯域幅)はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、拡張後の下りリンクの帯域幅が20MHz、拡張後の上りリンクの帯域幅が15MHzであってもよい。ただし、拡張後の周波数帯域幅の上限は、移動局装置1の無線構成を簡略化するために20MHzを超えないように制限されることが望ましい。
【0053】
設定されるキャリアセグメントは、追加する周波数帯域の両端で同じ帯域幅である必要はなく、非対称であっても構わない。すなわち、DL_CCnまたはUL_CCnに設定されるキャリアセグメントのうち、低周波数側が5MHzであって、高周波数側が10MHzのキャリアセグメントを設定することも可能である。
【0054】
[非互換キャリアの構成の設定例(2)]
図16は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がエクステンションキャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定するコンポーネントキャリアと、エクステンションキャリアとの対応関係の一例を示した図である。なお、エクステンションキャリアを用いた、とは、当該エクステンションキャリアによって使用可能となる追加の無線リソース(拡張周波数帯域幅)を用いた通信のことを意味する。図16では、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnと上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnとで構成されるコンポーネントキャリア(セル)に対して、下りリンクエクステンションキャリアDL_ECおよび上りリンクエクステンションキャリアUL_ECが設定された例を示している。
【0055】
図中の下りリンクエクステンションキャリアDL_ECとして示される部分は、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CCnに対して拡張されるキャリアセグメントである。また、図中の上りリンクエクステンションキャリアUL_ECとして示される部分は、上りリンクコンポーネントキャリアUL_CCnに対して拡張されるエクステンションキャリアである。図16の移動局装置1および基地局装置2は、キャリア・アグリゲーションを用いていない場合は、DL_CCnとUL_CCnの周波数帯域幅(通常帯域幅)の範囲で通信を行い、キャリア・アグリゲーションとしてエクステンションキャリアを集約して用いる場合は、エクステンションキャリアを追加した周波数帯域(拡張周波数帯域幅)の範囲で通信を行う。
【0056】
なお、基地局装置2は、移動局装置1に対して下りリンクエクステンションキャリアまたは上りリンクエクステンションキャリアのどちらか一方のみを設定(追加)することも可能である。また、エクステンションキャリアを設定する上りリンクと下りリンクの通常帯域幅はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、下りリンクの通常帯域幅が10MHzと上りリンクの通常帯域幅が5MHzのセルに対してエクステンションキャリアが設定されてもよい。また、エクステンションキャリアを設定した後の上りリンクと下りリンクの拡張周波数帯域幅はそれぞれ異なっていてもよい。例えば、拡張後の下りリンクの帯域幅が20MHz、拡張後の上りリンクの帯域幅が15MHzであってもよい。ただし、エクステンションキャリアの周波数帯域幅の上限は、移動局装置1の無線構成を簡略化するために20MHzを超えないように制限されることが望ましい。
【0057】
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0058】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、移動局装置1のプライマリセルに対する非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションの設定方法と、当該非互換キャリアの受信方法に関して示す。
【0059】
図1は、本発明の第1の実施形態による移動局装置1の一例を示すブロック図である。本移動局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104、制御部105、ランダムアクセス制御部106、符号部107、変調部108、送信部109、タイミング管理部110、上位レイヤ111から構成される。上位レイヤ111は、無線リソース制御を執り行うRRC(Radio Resource Control)を含む。また、ランダムアクセス制御部106は、データリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として機能する。
【0060】
受信に先立ち、上位レイヤ111より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、受信に関する制御情報が受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に入力される。移動局装置制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される移動局装置1の無線通信制御に必要な情報であり、基地局装置2やシステムパラメータにより設定され、上位レイヤ111が必要に応じて制御部105へ入力する。受信制御情報は、受信周波数帯域の情報の他に、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0061】
受信信号は、受信部101において受信される。受信部101は、受信制御情報で指定された周波数帯域で信号を受信する。受信された信号は、復調部102へと入力される。復調部102は、受信信号の復調を行い、復号部103へと信号を入力して下りリンクデータと下りリンク制御データとを正しく復号し、復号された各データを上位レイヤへと入力する。測定処理部104は、セル(コンポーネントキャリア)毎の下りリンクリファレンスシグナルの受信品質(SIR、SINR、RSRP、RSRQ、RSSI、パスロスなど)の測定や、物理下りリンク制御チャネルまたは物理下りリンク共用チャネルの受信誤り率の測定結果に基づいて下りリンク測定情報を生成し、下りリンク測定情報を上位レイヤ111へと出力する。下りリンク測定情報は、上位レイヤ111において、無線リンク再確立を伴う無線リンク障害(Radio link failure)の検出、および上りリンク送信の停止を伴う無線リンク監視(Radio link monitoring)の実施、セルごとの測定イベントの評価のために用いられる。
【0062】
また、送信に先立ち、上位レイヤ111より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、送信に関する制御情報が送信制御情報として、ランダムアクセス制御部106、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に入力される。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。ランダムアクセス制御情報は上位レイヤ111からランダムアクセス制御部106に入力される。ランダムアクセス制御情報には、プリアンブル情報や物理ランダムアクセスチャネル送信用の無線リソース情報などが含まれる。上位レイヤ111は、必要に応じてタイミング管理部110へ上りリンク送信タイミングの調整に用いる送信タイミング調整情報と送信タイミングタイマーを設定する。タイミング管理部110は、設定された情報に基づき上りリンク送信タイミングの状態(送信タイミング調整状態または送信タイミング非調整状態)を管理する。
【0063】
符号部107には、上位レイヤ111より上りリンクデータと上りリンク制御データが入力されるほか、ランダムアクセス制御部106から、物理ランダムアクセスチャネルの送信に関するランダムアクセスデータ情報が入力される。符号部107は、ランダムアクセスデータ情報に基づき物理ランダムアクセスチャネルで送信されるプリアンブル系列を生成する。また、符号部107は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部に出力する。変調部108は、符号部107からの出力を変調する。
【0064】
送信部109は、変調部108の出力を周波数領域にマッピングすると共に、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行う。さらに、タイミング管理部110より入力された送信タイミング調整情報に従って上りリンク送信タイミングを調整して送信する。上りリンク制御データが配置される物理上りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を構成する。図1において、その他の移動局装置1の構成要素は本実施の形態に関係ないため省略してある。
【0065】
図2は、本発明の第1の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置2は、受信部201、復調部202、復号部203、制御部204、符号部205、変調部206、送信部207、上位レイヤ208、ネットワーク信号送受信部209から構成される。
【0066】
上位レイヤ208は、下りリンクデータと下りリンク制御データを符号部へ入力する。符号部205は、入力されたデータを符号化し、変調部206へ入力する。変調部206は、符号化した信号の変調を行なう。また、変調部206から出力される信号は送信部207に入力される。送信部207は、入力された信号を周波数領域にマッピングした後、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行い送信する。下りリンク制御データが配置される物理下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
【0067】
また、受信部201は、移動局装置から受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。デジタル信号は、復調部202へ入力されて復調される。復調部202で復調された信号は続いて符号部203へ入力されて復号され、正しく復号された上りリンク制御データや上りリンクデータを上位レイヤ208へと出力する。これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報は、受信制御情報と送信制御情報によって構成される基地局装置2の無線通信制御に必要な情報であり、上位のネットワーク装置(MMEやゲートウェイ装置)やシステムパラメータにより設定され、上位レイヤ208が必要に応じて制御部204へ入力する。制御部204は、送信に関連する基地局装置制御情報を、送信制御情報として符号部205、変調部206、送信部207の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報を、受信制御情報として受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に入力する。基地局装置2のRRCは、上位レイヤ208の一部として存在する。
【0068】
一方、ネットワーク信号送受信部209は、基地局装置2間あるいは上位のネットワーク装置と基地局装置2との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。図2において、その他の基地局装置2の構成要素は本実施の形態に関係ないため省略してある。
【0069】
また、本移動局装置1と本基地局装置2が配置される通信システムのネットワーク構成は、図13に示したものと同様のものを適用できる。
【0070】
本発明における、キャリア・アグリゲーション可能な移動局装置1に設定されているセル(コンポーネントキャリア)は、例えば図14に示したような2個のセル、つまり2個の下りリンクコンポーネントキャリア(DL_CC1、DL_CC2)と2個の上りリンクコンポーネントキャリア(UL_CC1、UL_CC2)が移動局装置1に設定されている例を想定する。基地局装置2からこれらのコンポーネントキャリアの活性化(activation、アクティベーション)が明示的または暗黙的に指示されている場合、移動局装置1は下りリンク受信と上りリンク送信のために、活性化しているコンポーネントキャリアを使用することができる。一方、基地局装置2からコンポーネントキャリアの非活性化(deactivation、ディアクティベーション)が明示的または暗黙的に指示されている場合、移動局装置1は下りリンク受信と上りリンク送信のために、非活性化されたコンポーネントキャリアを使用することはできない。非活性化は、下りリンクと上りリンクとをペアとして管理しても良いし、独立して管理しても良い。
【0071】
ここで、コンポーネントキャリアの活性化、または非活性化は、レイヤ2の構成タスクで解釈可能なL2メッセージ(レイヤ2メッセージ)によって制御されるように構成される。すなわち、物理層(レイヤ1)でデコードされた後にレイヤ2で認識される制御コマンド(活性化コマンド、非活性化コマンド)によって活性化または非活性化が制御される。なお、EUTRAならびにAdvanced EUTRAにおけるL2メッセージは、MAC層で解釈される制御コマンド(MAC制御要素:MAC Control Element)によって通知される。
【0072】
スケジューリングリクエストを通知するための物理上りリンク制御チャネルが設定される上りリンクコンポーネントキャリアと、当該上りリンクコンポーネントキャリアとセル固有接続される下りリンクコンポーネントキャリアから構成されるセルは、プライマリセル(Primary cell)と称される。また、プライマリセル以外のコンポーネントキャリアから構成されるセルは、セカンダリセル(Secondary cell)と称される。プライマリセルは活性化/非活性化の制御の対象外であるが(つまり必ず活性化しているとみなされる)、セカンダリセルは活性化/非活性化という状態を持ち、これらの状態の変更は、基地局装置2から明示的に指定されるほか、コンポーネントキャリア毎に移動局装置1に設定されるタイマーに基づいて状態が変更される。
【0073】
また、移動局装置1は、プライマリセルでは、基地局装置2より指定されたパラメータに基づき無線リンク障害の検出を行い、少なくとも活性化されたセカンダリセルでは、同パラメータを用いた無線リンク監視を実施する。
【0074】
移動局装置1は、非活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)のスケジューリングに用いる物理下りリンク制御チャネルのモニタ、または無線リソース割り当て情報のモニタを停止してよい。また、移動局装置1は、非活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の上りリンクに関して、サウンディング参照信号の送信を停止してもよい。また、移動局装置1は、非活性化されたコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の下りリンクに関して、活性化した状態よりも低いサンプリングレートで測定を実施してもよい。
【0075】
図3は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行うための準備として、プライマリセルに対して非互換キャリアを追加(設定)する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本実施例における非互換キャリアは、キャリアセグメントとエクステンションキャリアのどちらであってもよい。
【0076】
本シーケンスチャートは、移動局装置1と基地局装置2との間で1つのセルを用いた接続が確立している状態(コネクティッド状態)から開始される。なお、移動局装置1に1つ以上のセカンダリセルが設定されていても本実施形態には影響しない。基地局装置2は、移動局装置1に対して周辺セルを測定するための測定設定(measurement configuration)を通知し、移動局装置1は測定設定に従って在圏セル(プライマリセル、またはプライマリセルとセカンダリセル)および周辺セルを測定している。
【0077】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して必要であると判断した場合、プライマリセルに対して非互換キャリアの追加を指示する非互換キャリア追加メッセージを送信する(ステップS101)。非互換キャリア追加メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0078】
非互換キャリア追加メッセージを受信し、非互換キャリアを追加した移動局装置1は、非互換キャリア追加メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア追加完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS102)。非互換キャリア追加完了メッセージは、対応する非互換キャリア追加メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0079】
ここで、ステップS101において、基地局装置2は、非互換キャリア追加メッセージに追加する非互換キャリアに関する設定パラメータ(情報要素)を含めて移動局装置1に送信する。設定パラメータは、(1)リンク先セル情報、(2)非互換キャリアインデックス情報、(3)拡張周波数帯域幅情報、が少なくとも含まれる。
【0080】
リンク先セル情報とは、具体的には、非互換キャリアを活性化したときに当該非互換キャリアと共に集約して通信を行う対象となるセル(コンポーネントキャリア)を示す識別子であり、例えば、セルIDやセルインデックスを使用して当該対象セルが示される。集約されるセルと非互換キャリアとをリンク先セル情報を用いて対応づけることを、セルと非互換キャリアをリンク情報に基づきリンクするとも称する。セルインデックスは、キャリア・アグリゲーションされる在圏セルに対して基地局装置2から移動局装置1に対して指定されるインデックス番号(例えば#0〜#7)である。セルIDを用いる場合、プライマリセルに対して非互換キャリアが設定される場合は、プライマリセルのセルID(および必要であれば周波数ID)がリンク先セル情報として設定される。また、セルインデックスを用いる場合、プライマリセルに対して非互換キャリアが設定される場合は、プライマリセルのセルインデックス番号(例えば#0)がリンク先セル情報として設定される。基地局装置2は、リンク先セル情報として互換性のあるセル(在圏セル)のみが指定可能であり、非互換キャリアを指定することはできない。
【0081】
また、リンク先セル情報は、当該非互換キャリアに対する無線リソース割り当て情報(上りリンクアサインメント、下りリンクアサインメント)が送信されるセルを示す情報であると換言することができる。また、リンク先セル情報は、当該非互換キャリアに対するスケジューリングを行うための物理下りリンク制御チャネルPDCCHが送信されるセルを示す情報であると換言することができる。移動局装置1は、リンク先セル情報で示されたセル(セル#1とする)が他のセル(セル#2とする)からスケジューリングされるセルであった場合(すなわち、基地局装置2が、セル#2で送信される無線リソース割り当て情報によってセル#1をスケジューリングする場合)、セル#1を集約対象とする非互換キャリアに対する無線リソース割り当て情報が送信されるセルはセル#2であると判断し、セル#2で無線リソース割り当て情報の受信を試みる。
【0082】
非互換キャリアインデックス情報とは、移動局装置1に対して設定された非互換キャリアを示す識別子となるインデックス番号(例えば#0〜#7)であり、基地局装置2は、本インデックス番号を非互換キャリアごとに割り振ることによって、追加、削除、変更、活性化および非活性化の対象となる一つまたは複数の非互換キャリアを移動局装置1に対して指定することが可能となる。例えば、キャリアセグメントであればセグメントインデックスが、エクステンションキャリアであればエクステンションインデックスが設定される。非互換キャリアインデックス情報として設定されるインデックス番号は、基地局装置2から移動局装置1に対して非互換キャリアを設定するときに同時に指定され、移動局装置1内部に情報として格納される。
【0083】
拡張周波数帯域幅情報とは、非互換キャリアをセルに対して追加することによって集約される周波数帯域幅を示す情報である。例えば、非互換キャリア自体の周波数帯域幅を示す情報である。または、非互換キャリアを追加した後の集約された周波数帯域幅(拡張周波数帯域幅)を示す情報である。
【0084】
移動局装置1は、追加が完了された時点では、当該非互換キャリアを用いた送受信を開始せず、設定のみがされた非活性(ディアクティベーション)の状態としておく。非互換キャリアに対して非活性の状態を用いることによって、基地局装置2は、移動局装置1のトラフィックの状態に応じた自由度の高いスケジュールを行うことが可能となる。
【0085】
図4は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアを活性化(アクティベーション)することによって、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図3で示したように、プライマリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0086】
ステップS201において、移動局装置1に対して追加した非互換キャリアに対する非互換キャリア活性化コマンド(非互換キャリア活性化)が基地局装置2より通知される。非互換キャリア活性化コマンドは、MAC制御要素で通知されても良いし、RRCメッセージや物理下りリンク制御チャネルで通知されても良い。非互換キャリア活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(プライマリセル)とを集約する。
【0087】
非互換キャリア活性化コマンドを受信し、非互換キャリアを活性化した移動局装置1は、非互換キャリア活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア活性化完了コマンド(非互換キャリア活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS202)。
【0088】
ここで、ステップS201において、基地局装置2は、非互換キャリア活性化コマンドに少なくとも活性化する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先情報に基づいて集約の対象となるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアに設定された拡張周波数帯域幅情報に基づいて、活性化された非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、活性化した非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0089】
図5は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアを非活性化(ディアクティベーション)することによって、非互換キャリアを用いずにコンポーネントキャリアのみで通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図4で示したように、プライマリセルを対象とした非互換キャリアを追加し、さらに当該非互換キャリアが活性化された後に開始される必要がある。
【0090】
ステップS301において、移動局装置1に対して活性化した非互換キャリアに対する非互換キャリア非活性化コマンド(非互換キャリア非活性化)が基地局装置2より通知される。非互換キャリア非活性化コマンドは、MAC制御要素で通知されても良いし、RRCメッセージや物理下りリンク制御チャネルで通知されても良い。非互換キャリア非活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(プライマリセル)との集約を解除し、非互換キャリアを用いた送受信を停止する。なお、移動局装置1は、コンポーネントキャリア(プライマリセル)を用いた送受信を停止する必要はない。
【0091】
非互換キャリア非活性化コマンドを受信し、非互換キャリアを非活性化した移動局装置1は、非互換キャリア非活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア非活性化完了コマンド(非互換キャリア非活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS302)。
【0092】
ここで、ステップS301において、基地局装置2は、非互換キャリア非活性化コマンドに少なくとも非活性化する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて集約が解除されるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアが非活性化されたコンポーネントキャリアの周波数帯域幅(通常帯域幅)に基づいて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、非活性化した非互換キャリアの集約対象であったコンポーネントキャリアを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0093】
図6は、第1の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアの設定を削除することによって、非互換キャリアを用いずにコンポーネントキャリアのみで通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図3で示したように、プライマリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0094】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して不要であると判断した場合、プライマリセルに対して非互換キャリアの削除を指示する非互換キャリア削除メッセージを送信する(ステップS401)。非互換キャリア削除メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0095】
非互換キャリア削除メッセージを受信し、追加されていた非互換キャリアを削除した移動局装置1は、非互換キャリア削除メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア削除完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS402)。非互換キャリア削除完了メッセージは、対応する非互換キャリア削除メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0096】
ここで、ステップ401において、基地局装置2は、非互換キャリア削除メッセージに少なくとも削除する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて集約が解除されるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアが削除されたコンポーネントキャリアの周波数帯域幅(通常帯域幅)に基づいて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、削除した非互換キャリアの集約対象であったコンポーネントキャリアを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0097】
また、基地局装置2が、非互換キャリアが追加(設定)されたプライマリセルをハンドオーバーなどによって別のセルへと変更した場合、移動局装置1は、変更前のプライマリセルに設定されていた非互換キャリアを自動的に削除する。
【0098】
図7を用いて、上述した非互換キャリア、特にキャリアセグメントを追加するための設定パラメータと、既存のコンポーネントキャリア(セル)との対応関係について説明する。
【0099】
図7の上段は移動局装置1に設定されている在圏セル(在圏セル1)であり、その周波数帯域幅はEUTRAにおける周波数帯域幅(通常帯域幅(例えば5MHz))を持つ。また、明示的または暗黙的に設定されるセルインデックスの番号は0番(セルインデックス#0)であるとする。中段はキャリアセグメント1を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてセグメントインデックス#0、拡張周波数帯域幅情報としてxMHzが設定されている。また、下段はキャリアセグメント2を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてセグメントインデックス#1、拡張周波数帯域幅情報としてyMHzが設定されている。
【0100】
在圏セルとキャリアセグメント1が配置される周波数帯、および在圏セルとキャリアセグメント2が配置される周波数帯は、互いに干渉しない連続した周波数帯であれば(同じ周波数帯を使用しなければ)どの周波数帯に配置されていてもよい。ただし、互いに干渉するキャリアセグメントが設定される場合、活性化されるキャリアセグメントはどちらか一方であることに注意する。
【0101】
なお、図7では拡張周波数帯域幅情報をキャリア・アグリゲーションによって集約した後の周波数帯域幅を示す場合を例示しているが、上述したように、キャリアセグメント自体の周波数帯域幅を示すように構成されていてもよい。
【0102】
このとき、基地局装置2は、移動局装置1に対してキャリアセグメント1とキャリアセグメント2とを設定する。移動局装置1は、キャリアセグメント1とキャリアセグメント2のリンク先セル情報に基づいてキャリアセグメントが追加されるセルを確認する。図7の例では、キャリアセグメント1とキャリアセグメント2のリンク先セルは在圏セル1である。基地局装置2は、キャリアセグメントを活性化させる場合に、活性化コマンドにセグメントインデックス番号を指定して移動局装置1へ通知する。例えば、キャリアセグメント1を活性化させる場合、基地局装置2は、セグメントインデックス#0を移動局装置1に通知する。同様に、キャリアセグメント2を活性化させる場合、基地局装置2は、セグメントインデックス#1を移動局装置1に通知する。
【0103】
キャリアセグメントの活性化が指示された場合、移動局装置1は、セグメントインデックスで指定されたキャリアセグメントの拡張周波数帯域幅情報に基づいて周波数帯域幅を拡張し、通信を行う。図7の例では、キャリアセグメント1が活性化された場合、在圏セル1とキャリアセグメント1とを集約した拡張周波数帯域幅1(xMHz)で通信を開始する。同様に、キャリアセグメント2が活性化された場合、在圏セル1とキャリアセグメント2とを集約した拡張周波数帯域幅2(yMHz)で通信を開始する。このように、基地局装置2から移動局装置1へ通知する情報量は、最初の設定パラメータを通知する以外はセグメントインデックスを用いることによって最小限にすることができる。なお、セグメントインデックスは、キャリアセグメントの活性化以外に、キャリアセグメントの非活性化、キャリアセグメントの削除と変更にも用いられる。
【0104】
ここで、図7に示すように、一つの在圏セルに対して複数のキャリアセグメントを設定することも可能である。ただし、一つの在圏セルに対して同時に有効となる(活性化される)キャリアセグメントは一つに制限されることが望ましい。すでに活性化されたキャリアセグメントの集約対象である在圏セルの、別のキャリアセグメントを活性化したい場合、例えば、図7においてキャリアセグメント1が活性されているときにキャリアセグメント2を活性化したい場合、基地局装置2は、以下のいずれか方法を用いる必要がある。(1)キャリアセグメント1の非活性化とキャリアセグメント2の活性化を同時に通知する、(2)キャリアセグメント2の活性化を通知することによって移動局装置1に対してキャリアセグメント1に変えてキャリアセグメント2の活性化を暗黙的に指示する、などである。(2)の場合、移動局装置1は、現在使用しているキャリアセグメント1の設定をキャリアセグメント2の設定に変更する必要がある。なお、基地局装置2は、キャリアセグメント1を削除した後にキャリアセグメント2を活性化しても良い。
【0105】
図8を用いて、上述した非互換キャリア、特にエクステンションキャリアを追加するための設定パラメータと、既存のコンポーネントキャリア(セル)との対応関係について説明する。
【0106】
図8の上段は移動局装置1に設定されている在圏セル(在圏セル1)であり、その周波数帯域幅はEUTRAにおける周波数帯域幅(通常帯域幅(例えば5MHz))を持つ。また、明示的または暗黙的に設定されるセルインデックスの番号は0番(セルインデックス#0)である。中段はエクステンションキャリア1を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてエクステンションインデックス#0、拡張周波数帯域幅情報としてmMHzが設定されている。また、下段はエクステンションキャリア2を示し、その設定パラメータは、リンク先セル情報としてセルインデックス#0、非互換キャリアインデックス情報としてエクステンションインデックス#1、拡張周波数帯域幅情報としてnMHzが設定されている。在圏セルとエクステンションキャリア1が配置される周波数帯、および在圏セルとエクステンションキャリア2が配置される周波数帯は、互いに干渉しなければ(同じ周波数帯を使用しなければ)どの周波数帯に配置されていてもよい。ただし、互いに干渉するエクステンションキャリアが設定される場合、活性化されるキャリアセグメントはどちらか一方であることに注意する。
【0107】
このとき、基地局装置2は、移動局装置1に対してエクステンションキャリア1とエクステンションキャリア2とを設定する。移動局装置1は、エクステンションキャリア1とエクステンションキャリア2のリンク先セル情報に基づいてエクステンションキャリアが追加されるセルを確認する。図8の例では、エクステンションキャリア1とエクステンションキャリア2のリンク先セルは在圏セル1である。基地局装置2は、エクステンションキャリアを活性化させる場合に、活性化コマンドにエクステンションインデックス番号を指定して移動局装置1へ通知する。例えば、エクステンションキャリア1を活性化させる場合、基地局装置2は、エクステンションインデックス#0を移動局装置1に通知する。同様に、エクステンションキャリア2を活性化させる場合、基地局装置2は、エクステンションインデックス#1を移動局装置1に通知する。
【0108】
エクステンションキャリアの活性化が指示された場合、移動局装置1は、エクステンションインデックスで指定されたエクステンションキャリアの拡張周波数帯域幅情報に基づいて周波数帯域幅を拡張し、通信を行う。図8の例では、エクステンションキャリア1が活性化された場合、在圏セル1とエクステンションキャリア1とを集約した周波数帯域幅(すなわち、通常帯域幅に拡張周波数帯域幅1(mMHz)を加えた合計)で通信を開始する。同様に、エクステンションキャリア2が活性化された場合、在圏セル1とエクステンションキャリア2とを集約した周波数帯域幅(すなわち、通常帯域幅に拡張周波数帯域幅2(nMHz)を加えた合計)で通信を開始する。このように、基地局装置2から移動局装置1へ通知する情報量は、最初の設定パラメータを通知する以外はエクステンションインデックスを用いることによって最小限にすることができる。なお、エクステンションインデックスは、エクステンションキャリアの活性化以外に、エクステンションキャリアの非活性化、エクステンションキャリアの削除と変更にも用いられる。
【0109】
ここで、図8に示すように、一つの在圏セルに対して複数のエクステンションキャリアを設定することも可能である。ただし、一つの在圏セルに対して同時に有効となる(活性化される)エクステンションキャリアは一つに制限されることが望ましい。すでに活性化されたエクステンションキャリアの集約対象である在圏セルの、別のエクステンションキャリアを活性化したい場合、例えば、図7においてエクステンションキャリア1が活性されているときにエクステンションキャリア2を活性化したい場合、基地局装置2は、以下のいずれか方法を用いる必要がある。
【0110】
例えば、(1)エクステンションキャリア1の非活性化とエクステンションキャリア2の活性化を同時に通知する、(2)エクステンションキャリア2の活性化を通知することによって移動局装置1に対してエクステンションキャリア1に変えてエクステンションキャリア2の活性化を暗黙的に指示する、などである。(2)の場合、移動局装置1は、現在使用しているエクステンションキャリア1の設定をエクステンションキャリア2の設定に変更する必要がある。なお、基地局装置2は、エクステンションキャリア1を削除した後にエクステンションキャリア2を活性化しても良い。
【0111】
上述した非互換キャリア追加メッセージと非互換キャリア追加完了メッセージ、および非互換キャリア削除メッセージと非互換キャリア削除完了メッセージは、それぞれ必要なパラメータを追加することによって、新規のメッセージを用意せずに既存のRRCメッセージを再利用することが可能である。例えば、非互換キャリア追加メッセージと非互換キャリア削除メッセージは、RRC Connection Reconfigurationメッセージ、非互換キャリア追加完了メッセージと非互換キャリア削除完了メッセージはRRC Connection Reconfiguration Completeメッセージをそれぞれ再利用することができる。
【0112】
このように、第1の実施形態によれば、基地局装置2は、移動局装置1に非互換キャリアであるキャリアセグメントとエクステンションキャリアをプライマリセルに対して設定する場合において、非互換キャリアを使用するために必要となる設定パラメータとして、リンク先セル情報、非互換キャリアインデックス情報および拡張周波数帯域幅情報を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用させる場合に非互換キャリアの活性化を移動局装置1に通知する。
【0113】
また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用しない場合に非互換キャリアの非活性化を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアが不要なときに非互換キャリアの削除を移動局装置1に通知する。また、移動局装置1は、非互換キャリアの追加・削除・変更、または非互換キャリアの活性化・非活性化の対象となる非互換キャリアと、当該非互換キャリアと集約されるコンポーネントキャリアとを、リンク先セル情報と非互換キャリアインデックス情報に基づいて判断する。
【0114】
以上のように、本実施形態に開示の方法を用いることによって、非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順について不明であるため、キャリア・アグリゲーションを正しく実施できないという問題を解決することができる。すなわち、基地局装置2と移動局装置1は、リンク先セル情報を用いることによって、非互換キャリアと当該非互換キャリアの集約対象となる在圏セルを特定することができる。また、基地局装置2と移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報を用いることで、非互換キャリアの追加、削除、変更、活性化および非活性化のために必要な情報量を削減できる。また、基地局装置2と移動局装置1は、拡張周波数帯域幅情報を用いることで、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーション時における周波数帯域幅を設定することができる。
【0115】
以上の説明に基づいて非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順を構成することによって、移動局装置1と基地局装置2の無線品質やトラフィックの状態に応じ、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを正しく実施することができるため、無線リソース管理を効率的に行なうことができる。
【0116】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態は、プライマリセルに対して非互換キャリアが追加される場合について説明したが、本実施形態ではセカンダリセルに対して非互換キャリアが追加される場合について説明する。
【0117】
本実施形態に用いる移動局装置1と基地局装置2の構成は、それぞれ図1と図2と同じ構成で良いため説明を省略する。
【0118】
セカンダリセルは、プライマリセルと違って活性化と非活性化が行われる在圏セルであるため、非互換キャリアとセカンダリセルとを集約したキャリア・アグリゲーションを行う場合、プライマリセルよりも複雑な制御が必要となる。しかしながら、追加した非互換キャリアのみを非活性化する場合、または追加した非互換キャリアのみを削除する場合は、プライマリセルを対象とした手順と変わりはなく、それぞれ第1の実施形態における図5および図6の手順をセカンダリセルに適用すればよいだけであり、その詳細な説明を省略する。以下では、セカンダリセルに対して非互換キャリアを設定する場合に、第1の実施形態とは異なる制御が必要な点について図面を用いて説明する。
【0119】
図9は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行うための準備として、セカンダリセルに対して、当該セカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアを追加(設定)する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。
【0120】
本シーケンスチャートは、移動局装置1と基地局装置2との間でプライマリセルおよび少なくとも1つのセカンダリセルを用いた接続が確立している状態(コネクティッド状態)から開始される。なお、移動局装置1に1つ以上のセカンダリセルが設定されていても本実施形態には影響しない。基地局装置2は、移動局装置1に対して周辺セルを測定するための測定設定(measurement configuration)を通知し、移動局装置1は測定設定に従って在圏セル(プライマリセル、またはプライマリセルとセカンダリセル)および周辺セルを測定している。
【0121】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して必要であると判断した場合、すでに追加しているセカンダリセルに対して非互換キャリアの追加を指示する非互換キャリア追加メッセージを送信する(ステップS501)。非互換キャリア追加メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0122】
非互換キャリア追加メッセージを受信し、非互換キャリアを追加した移動局装置1は、非互換キャリア追加メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア追加完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS502)。非互換キャリア追加完了メッセージは、対応する非互換キャリア追加メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0123】
ここで、ステップS501において、基地局装置2は、非互換キャリア追加メッセージに追加する非互換キャリアに関する設定パラメータ(情報要素)を含めて移動局装置1に送信する。設定パラメータは、(1)リンク先セル情報、(2)非互換キャリアインデックス情報、(3)拡張周波数帯域幅情報、が少なくとも含まれる。これらの情報についての詳細は、第1の実施形態と同じであるため、その詳細を略す。
【0124】
ただし、リンク先セル情報として、セルIDまたはセルインデックスで集約対象のセカンダリセルが示される点が第1の実施形態と異なることに注意する。また、基地局装置2は、非互換キャリアの追加と同時にセカンダリセルの追加を移動局装置1に対して指示してもよい。このとき、セカンダリセルの追加に関する設定パラメータは従来のEUTRAで使用されるものと同じでよい。
【0125】
移動局装置1は、追加が完了された時点では、当該非互換キャリアを用いた送受信を開始せず、設定のみがされた非活性(ディアクティベーション)の状態としておく。非互換キャリアに対して非活性の状態を用いることによって、基地局装置2は、移動局装置1のトラフィックの状態に応じた自由度の高いスケジュールを行うことが可能となる。
【0126】
図10は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアを活性化(アクティベーション)することによって、キャリア・アグリゲーションによって非互換キャリアを用いた通信を行う手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図9で示したように、セカンダリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0127】
ステップS601において、移動局装置1に対して追加した非互換キャリアに対する非互換キャリア活性化コマンド(非互換キャリア活性化)が基地局装置2より通知される。非互換キャリア活性化コマンドは、MAC制御要素で通知されても良いし、RRCメッセージや物理下りリンク制御チャネルで通知されても良い。非互換キャリア活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(セカンダリセル)とを集約する。
【0128】
非互換キャリア活性化コマンドを受信し、非互換キャリアを活性化した移動局装置1は、非互換キャリア活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、非互換キャリア活性化完了コマンド(非互換キャリア活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS602)。
【0129】
ここで、ステップS601において、基地局装置2は、非互換キャリア活性化コマンドに少なくとも活性化する非互換キャリアを指定する情報(非互換キャリアインデックス情報)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、非互換キャリアインデックス情報で指定された非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて集約の対象となるコンポーネントキャリア(セル)を判断する。そして、移動局装置1は、当該非互換キャリアに設定された拡張周波数帯域幅情報に基づいて、活性化された非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いて基地局装置2との通信を開始する。また、基地局装置2は、当該周波数において、活性化した非互換キャリアと集約の対象となるコンポーネントキャリアとを用いたスケジューリングを開始し、移動局装置1との通信を行う。
【0130】
また、ステップS601において、活性化が要求された非互換キャリアのリンク先セルであるセカンダリセルが非活性の状態である場合、移動局装置1は当該セカンダリセルの活性化を行うように構成されていてもよい。または、移動局装置1は当該非互換キャリア活性化コマンドをネットワークエラーとみなすように構成されていてもよい。この場合、移動局装置1はネットワークエラーであることを基地局装置2に通知してもよいし、単に非互換キャリア活性化コマンドを無視してもよい。
【0131】
図11は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアの集約対象であるセカンダリセルを非活性化(ディアクティベーション)することによって、キャリア・アグリゲーションによって通信に用いている非互換キャリアを非活性化すると同時に、非互換キャリアとセカンダリセルとを同時に非活性化する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図10で示したように、セカンダリセルを対象とした非互換キャリアを追加し、さらに当該非互換キャリアが活性化された後に開始される必要がある。
【0132】
ステップS701において、移動局装置1に対して、活性化されているセカンダリセルに対するセカンダリセル非活性化コマンド(セカンダリセル非活性化)が基地局装置2より通知される。セカンダリセル非活性化コマンドは、EUTRAと同様の通知方法で良く、例えばMAC情報要素を用いて通知される。セカンダリセル非活性化コマンドを受信した移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって追加されている非互換キャリアと、コンポーネントキャリア(セカンダリセル)とを同時に非活性化し、当該非互換キャリアおよび当該セカンダリセルを用いた送受信を停止する。
【0133】
セカンダリセル非活性化コマンドを受信し、非互換キャリアおよびセカンダリセルを非活性化した移動局装置1は、セカンダリセル非活性化コマンドを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、セカンダリセル非活性化完了コマンド(セカンダリセル非活性化完了)を生成して基地局装置2へ送信する(ステップS702)。
【0134】
ここで、ステップS701において、基地局装置2は、セカンダリセル非活性化コマンドに少なくとも非活性化するセカンダリセルを指定する情報(セルインデックス、またはセルIDと周波数ID)を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、指定されたセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアを、非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて判断する。そして、移動局装置1は、非活性化されるセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアが存在する場合で、当該非互換キャリアが活性化されている場合、指定されたセカンダリセルの非活性化と同時に対応する非互換キャリアを非活性化する。また、基地局装置2は、非活性化したセカンダリセルと、当該セカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアとを用いたスケジューリングを停止し、他のコンポーネントキャリア(セル)を用いて移動局装置1との通信を行う。
【0135】
図12は、第2の実施形態における移動局装置1と基地局装置2とが、追加(設定)された非互換キャリアの集約対象であるセカンダリセルの設定を削除すると同時に、キャリア・アグリゲーションによって通信に用いている非互換キャリアの設定を削除する手順について説明するためのシーケンスチャート図である。本シーケンスチャートは、少なくとも図10で示したように、セカンダリセルを対象とした非互換キャリアを追加した後に開始される必要がある。
【0136】
基地局装置2は、移動局装置1から報告された測定結果やバッファ状況報告(バッファステータスレポート)などに基づいて、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションが移動局装置1に対して不要であると判断した場合、セカンダリセルに対して非互換キャリアの削除を指示するセカンダリセル削除メッセージを送信する(ステップS801)。セカンダリセル削除メッセージは、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0137】
セカンダリセル削除メッセージを受信し、追加されていた非互換キャリアを削除した移動局装置1は、セカンダリセル削除メッセージを正しく受信し、適切に制御を行ったことを基地局装置2に対して通知するため、セカンダリセル削除完了メッセージを生成して基地局装置2へ送信する(ステップS802)。セカンダリセル削除完了メッセージは、対応するセカンダリセル削除メッセージと同じメッセージIDを設定し、レイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)で構成されることが望ましい。
【0138】
ここで、ステップ801において、基地局装置2は、セカンダリセル削除メッセージに少なくとも削除する非互換キャリアを指定する情報(セルインデックス、またはセルIDと周波数ID))を含めて移動局装置1に送信する。移動局装置1は、指定されたセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアを、非互換キャリアのリンク先セル情報に基づいて判断する。そして、移動局装置1は、削除されるセカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアが存在する場合、指定されたセカンダリセルの設定を削除すると同時に対応する非互換キャリアの設定を削除する。また、基地局装置2は、削除したセカンダリセルと、当該セカンダリセルを集約対象とする非互換キャリアとを用いたスケジューリングを停止し、他のコンポーネントキャリア(セル)を用いて移動局装置1との通信を行う。
【0139】
また、基地局装置2が、非互換キャリアが追加(設定)されたセカンダリセルをハンドオーバーなどによって別のセルへと変更した場合、移動局装置1は、変更前のセカンダリセルに設定されていた非互換キャリアを自動的に削除する。
【0140】
なお、上述した非互換キャリア追加メッセージと非互換キャリア追加完了メッセージ、および非互換キャリア削除メッセージと非互換キャリア削除完了メッセージは、既存のRRCメッセージを再利用することが可能な点は第1の実施形態と同じである。
【0141】
このように、第2の実施形態によれば、基地局装置2は、移動局装置1に非互換キャリアであるキャリアセグメントとエクステンションキャリアをセカンダリセルに対して設定する場合において、非互換キャリアを使用するために必要となる設定パラメータとして、リンク先セル情報、非互換キャリアインデックス情報および拡張周波数帯域幅情報を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用させる場合に非互換キャリアの活性化を移動局装置1に通知する。
【0142】
また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアを使用しない場合に非互換キャリアの非活性化を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアが不要なときに非互換キャリアの削除を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアと対応するセカンダリセルとを共に使用しない場合にセカンダリセルの非活性化を移動局装置1に通知する。また、基地局装置2は、追加した非互換キャリアと対応するセカンダリセルとが共に不要なときにセカンダリセルの削除を移動局装置1に通知する。
【0143】
また、移動局装置1は、非互換キャリアの追加・削除・変更、または非互換キャリアの活性化・非活性化の対象となる非互換キャリアと、当該非互換キャリアと集約されるコンポーネントキャリアとを、リンク先セル情報と非互換キャリアインデックス情報に基づいて判断する。
【0144】
以上のように、本実施形態に開示の方法を用いることによって、非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順について不明であるため、キャリア・アグリゲーションを正しく実施できないという問題を解決することができる。すなわち、基地局装置2と移動局装置1は、第1の実施形態に加え、非互換キャリアに対応するセカンダリセルの非活性化または削除が指定された場合、当該非互換キャリアと対応するセカンダリセルとを同時に非活性化または削除することができるため、制御に必要となる情報量を削減することができる。
【0145】
以上の説明に基づいて非互換キャリアを設定する際に必要なパラメータやその設定手順を構成することによって、移動局装置1と基地局装置2の無線品質やトラフィックの状態に応じ、非互換キャリアを用いたキャリア・アグリゲーションを正しく実施することができるため、無線リソース管理を効率的に行なうことができる。
【0146】
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。例えば、本上りリンク送信方式は、FDD(周波数分割復信)方式とTDD(時分割復信)方式のどちらの通信システムに対しても適用可能である。また、キャリアセグメントとエクステンションキャリアの両方を同時に設定するように構成できることは、本実施形態の説明に基づけば自明である。
【0147】
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置1および基地局装置2を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置1および基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置1や基地局装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0148】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0149】
また、上記各実施形態に用いた移動局装置1および基地局装置2の各機能ブロック、または諸特徴は、典型的にはIC(集積回路)であるLSIを含む回路内で構成されてもよい。その場合、LSIの集積密度はどのような密度で実現されていても良い。各機能ブロックおよび諸特徴は個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0150】
以上、この発明の実施形態について特定の具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これら特定の具体例に限定されないことは明らかである。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明に対して何ら制限を加えるものではない。
【符号の説明】
【0151】
1…移動局装置
2…基地局装置
11〜13…送信装置
101、201…受信部
102、202…復調部
103、203…復号部
104…測定処理部
105、204…制御部
106…ランダムアクセス制御部
107、205…符号部
108、206…変調部
109、207…送信部
110…タイミング管理部
111、208…上位レイヤ
209…ネットワーク信号送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムであって、
前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける基地局装置であって、
前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置に対して、前記拡張周波数帯域に対する指示と、前記第1の識別子または前記第2の識別子とを用いることによって、前記拡張周波数帯域または前記セルおよび前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第1の識別子を用いて前記移動局装置に指示し、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第2の識別子を用いて前記移動局装置に指示することを特徴とする請求項4記載の基地局装置。
【請求項6】
前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルで送信することを特徴とする請求項4記載の基地局装置。
【請求項7】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置であって、
前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、
前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする移動局装置。
【請求項8】
非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする請求項7記載の移動局装置。
【請求項9】
前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする請求項7記載の移動局装置。
【請求項10】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信方法であって、
前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定するステップと、前記リンク情報を前記移動局装置に送信するステップとを備え、
前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクするステップと、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理するステップを備えることを特徴とする通信方法。
【請求項11】
前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする請求項10記載の通信方法。
【請求項12】
前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする請求項10記載の通信方法。
【請求項13】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置の集積回路であって、
前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、
前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理する機能を備えたことを特徴とする集積回路。
【請求項1】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムであって、
前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける基地局装置であって、
前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定して前記移動局装置に送信し、
前記移動局装置に対して、前記拡張周波数帯域に対する指示と、前記第1の識別子または前記第2の識別子とを用いることによって、前記拡張周波数帯域または前記セルおよび前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第1の識別子を用いて前記移動局装置に指示し、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除する場合、非活性化または削除を前記第2の識別子を用いて前記移動局装置に指示することを特徴とする請求項4記載の基地局装置。
【請求項6】
前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルで送信することを特徴とする請求項4記載の基地局装置。
【請求項7】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置であって、
前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、
前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理することを特徴とする移動局装置。
【請求項8】
非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする請求項7記載の移動局装置。
【請求項9】
前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする請求項7記載の移動局装置。
【請求項10】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信方法であって、
前記基地局装置は、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを設定するステップと、前記リンク情報を前記移動局装置に送信するステップとを備え、
前記移動局装置は、前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクするステップと、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理するステップを備えることを特徴とする通信方法。
【請求項11】
前記移動局装置は、非活性化または削除が前記第1の識別子を用いて指示された場合、前記第1の識別子で示される前記セルおよび前記第1の識別子にリンクしている前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除し、非活性化または削除が前記第2の識別子を用いて指示された場合、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を非活性化または削除することを特徴とする請求項10記載の通信方法。
【請求項12】
前記移動局装置は、前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域に対する無線リソース割り当て情報を前記第1の識別子で示される前記セルから受信することを特徴とする請求項10記載の通信方法。
【請求項13】
移動局装置と基地局装置が、セルの周波数帯域と、前記セルの周波数帯域を拡張する拡張周波数帯域とを集約して通信を行う通信システムにおける移動局装置の集積回路であって、
前記基地局装置から、前記セルを示す第1の識別子と、前記拡張周波数帯域を示す第2の識別子と、前記第1の識別子と前記第2の識別子との対応関係を示すリンク情報とを受信し、
前記リンク情報に基づいて前記第1の識別子と前記第2の識別子とをリンクし、前記第1の識別子を用いて前記第2の識別子で示される前記拡張周波数帯域を管理する機能を備えたことを特徴とする集積回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図16】
【公開番号】特開2012−209650(P2012−209650A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71992(P2011−71992)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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