説明

通信システムおよび送信器、受信器

【課題】送信器の消費電力を低減し、送信器から周囲へ放射される電磁波を減少させる。
【解決手段】通信媒体3と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランド15と大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る通信媒体3と大地グランド間のインピーダンスを、送信すべき情報に基づいたインピーダンス値にすべく、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンスのリアクタンス値を制御し送信するインピーダンス変調送信手段と、通信媒体3と結合してインピーダンス変調送信手段のリアクタンス値により通信媒体3と大地グランド間のインピーダンスを変化させる送信器電極19と、通信媒体3と大地グランド間のインピーダンスを検知する受信用電極21と、通信媒体3と大地グランド間のインピーダンスから受信すべき情報を復元するインピーダンス検出受信手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
送信機またはトランシーバを人体や大地グランドから浮遊した導電体等の通信媒体に接触させ、通信媒体に接触した受信器またはトランシーバに情報を伝送する通信システムおよび送信器、受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の小型化および高性能化により、人体に装着可能なウェアラブルコンピュータが注目されてきている。従来、このようなウェアラブルコンピュータ間の情報通信として、コンピュータに電界通信トランシーバを接続して装着し、この電界通信トランシーバが誘起する電界を、電界伝達媒体である人体を介して伝達させることによって、情報の送受信を行う方法が提案されている。
【0003】
図33に従来の技術による電界通信システムを示す。携帯側装置310の送信器312では小型コンピュータから出力された送信すべき情報(データ)を所定の周波数fの搬送波で変調し出力する。送信器312は大地グランドから離れており、回路グランドと大地グランド間には浮遊容量Cg 316が生じる。また、人体300と大地グランド間には浮遊容量Cb 315が生じる。従来の技術では、リアクタンス部313を送信回路と送受信用電極の間に挿入し、浮遊容量と共振現象により人体300に印加される電圧信号を大きくして、電界通信を実現していた(例えば、特許文献1、2を参照)。
【特許文献1】特開2004−153708号公報
【特許文献2】United States Patent Application Publication, Pub.No.;US2004/009226A1 Pub.Date:May13,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、媒体である人体に電気信号を誘起し、その電気信号を検出することで通信を行う通信システムでは、電気信号が著しく減衰するため、送信器出力を大きくする必要があり送信器の消費電力が大きかった。
【0005】
また人体等の通信媒体や送信器は電気的に遮蔽されていないため、周囲に電磁波を放射していた。
【0006】
このような課題に鑑み本発明が解決しようとする課題は、送信器の消費電力を低減し、送信器から周囲へ放射される電磁波を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行う通信システムであって、前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを検知するための受信用電極と、前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明は、通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行う通信システムであって、前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを検知するための受信用電極と、受信すべき情報に基づく電界を電気信号に変換して受信する受信手段と、を備えた電界受信トランシーバと、前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、送信すべき情報に基づく電界を通信媒体に誘起するために電気信号を出力する送信手段と、前記インピーダンス検出受信手段と前記送信手段のいずれか一方が動作するように切替えるための送受切替手段と、を備えた電界送信トランシーバと、の組み合わせにより相互に通信を行うことを特徴とする通信システム。
【0009】
また、請求項3に記載の本発明は、通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行う通信システムであって、前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、送信時に前記可変リアクタンス手段の変化を通信媒体に伝達し、受信時に前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを受信手段内に伝達する電極と、前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、前記送信時に前記電極と前記インピーダンス変調送信手段を接続し、前記受信時に前記電極と前記インピーダンス検出手段を接続する送受切替え手段と、を備えたインピーダンス変調・検出トランシーバによって構成されている。
【0010】
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、大地グランドから浮遊している前記インピーダンス変調送信手段の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量と共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値である。
【0011】
また、請求項5に記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスが共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値である。
【0012】
また、請求項6に記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記インピーダンス検出受信手段は、前記接触または近接した通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの検出を行う検出信号を出力するための検出用信号源と、前記検出信号を増幅しフィルタリングを行うための増幅・フィルタ手段と、前記増幅・フィルタ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するための復調手段と、を備える。
【0013】
また、請求項7に記載の本発明は、請求項6において、前記復調手段は、前記検出信号源から出力される基準信号と前記増幅・フィルタ手段の出力信号を乗算するためのミキサ手段と、前記ミキサ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するためのデータ判定手段と、を備える。
【0014】
また、請求項8に記載の本発明は、請求項6または7において、前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、前記復調手段は、前記増幅・フィルタ手段の出力信号をデジタル信号に変換するためのADコンバータと、前記変換されたデジタル信号から周波数成分を抽出して得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、を備える。
【0015】
また、請求項9に記載の本発明は、請求項6〜8のいずれかにおいて、前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、前記復調手段は、前記増幅・フィルタ手段の出力から所定の複数の周波数成分を抽出し出力するための周波数成分抽出手段と、前記周波数成分抽出手段の各周波数成分の信号を入力してデジタル信号に変換するための多チャンネルADコンバータと、前記変換されたデジタル信号から得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、を備える。
【0016】
また、請求項10に記載の本発明は、請求項8または9において、前記復調手段は、前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスから受信すべき情報を復元する際に、共振周波数または共振周波数近傍の周波数のいずれかを検出して受信すべき情報を復元する。
【0017】
また、請求項11に記載の本発明は、請求項8〜10のいずれかにおいて、前記可変リアクタンス手段は、共振周波数の異なる複数の共振手段と、前記共振手段の共振の有無を制御するための共振制御手段と、を備える。
【0018】
また、請求項12に記載の本発明は、請求項1〜11のいずれかにおいて、前記インピーダンス検出受信器または前記インピーダンス検出受信手段は、前記復調手段からの信号を基に前記検出信号の強度と前記増幅・フィルタ手段の利得を調整するための検出信号制御手段を備え、前記検出用信号源または前記検出用広帯域信号源が前記検出信号制御手段からの切替信号によって前記検出信号の強度を切替える可変出力検出用信号源であって、前記増幅・フィルタ手段が前記検出信号制御手段からの切替信号によって利得を切替えるための可変利得増幅・フィルタ手段を構成する。
【0019】
また、請求項13に記載の本発明は、請求項4〜12のいずれかにおいて、前記インピーダンス変調送信手段は、前記可変リアクタンス手段を含み、前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値を共振する値に調整するためのリアクタンス調整手段と、リアクタンス調整時に前記リアクタンス調整手段による調整用の状態にし、送信時に送信用の状態にするための調整・送信切替え手段と、を備える。
【0020】
また、請求項14に記載の本発明は、請求項13において、前記インピーダンス変調送信手段にトランスを備えて前記リアクタンスの前記調整時に該トランスを通して調整用信号を印加する。
【0021】
また、請求項15に記載の本発明は、請求項13または14において、前記リアクタンス調整手段は、前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値調整時において前記可変リアクタンスへ所定の周波数の調整用信号を入力するための調整用励振信号源と、前記送信器電極に印加される信号をモニタするためのモニタ手段と、前記モニタ手段の出力から前記可変リアクタンスのリアクタンス値を調整して共振状態にするための調整制御手段と、を備える。
【0022】
また、請求項16に記載の本発明は、請求項1〜15のいずれかにおいて、前記受信すべき情報は、該情報と共に異なる周波数の信号を含み、この信号を整流して得た電力でもって動作する。
【0023】
また、請求項17に記載の本発明は、通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行うための送信器であって、前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、を備える。
【0024】
また、請求項18に記載の本発明は、請求項17において、前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、大地グランドから浮遊している前記インピーダンス変調送信手段の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量と共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値である。
【0025】
また、請求項19に記載の本発明は、請求項17において、前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスが共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値である。
【0026】
また、請求項20に記載の本発明は、請求項17〜19のいずれかにおいて、前記可変リアクタンス手段は、共振周波数の異なる複数の共振手段と、前記共振手段の共振の有無を制御するための共振制御手段と、を備える。
【0027】
また、請求項21に記載の本発明は、請求項17〜19のいずれかにおいて、前記インピーダンス変調送信手段は、前記可変リアクタンス手段を含み、前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値を共振する値に調整するためのリアクタンス調整手段と、リアクタンス調整時に前記リアクタンス調整手段による調整用の状態にし、送信時に送信用の状態にするための調整・送信切替え手段と、を備える。
【0028】
また、請求項22に記載の本発明は、請求項21において、前記インピーダンス変調送信手段にトランスを備えて前記リアクタンスの前記調整時に該トランスを通して調整用信号を印加する。
【0029】
また、請求項23に記載の本発明は、請求項21または22において、前記リアクタンス調整手段は、前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値調整時において前記可変リアクタンスへ所定の周波数の調整用信号を入力するための調整用励振信号源と、前記送信器電極に印加される信号をモニタするためのモニタ手段と、前記モニタ手段の出力から前記可変リアクタンスのリアクタンス値を調整して共振状態にするための調整制御手段と、を備える。
【0030】
また、請求項24に記載の本発明は、通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行うための受信器であって、前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを検知するための受信用電極と、前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、を備える。
【0031】
また、請求項25に記載の本発明は、請求項24において、前記インピーダンス検出受信手段は、前記接触または近接した通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの検出を行う検出信号を出力するための検出用信号源と、前記検出信号を増幅しフィルタリングを行うための増幅・フィルタ手段と、前記増幅・フィルタ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するための復調手段と、を備える。
【0032】
また、請求項26に記載の本発明は、請求項25において、前記復調手段は、前記検出信号源から出力される基準信号と前記増幅・フィルタ手段の出力信号を乗算するためのミキサ手段と、前記ミキサ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するためのデータ判定手段と、を備える。
【0033】
また、請求項27に記載の本発明は、請求項25または26において、前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、前記復調手段は、前記増幅・フィルタ手段の出力信号をデジタル信号に変換するためのADコンバータと、前記変換されたデジタル信号から周波数成分を抽出して得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、を備える。
【0034】
また、請求項28に記載の本発明は、請求項25〜27のいずれかにおいて、前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、前記復調手段は、前記増幅・フィルタ手段の出力から所定の複数の周波数成分を抽出し出力するための周波数成分抽出手段と、前記周波数成分抽出手段の各周波数成分の信号を入力してデジタル信号に変換するための多チャンネルADコンバータと、前記変換されたデジタル信号から得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、を備える。
【0035】
また、請求項29に記載の本発明は、請求項27または28において、前記復調手段は、前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスから受信すべき情報を復元する際に、共振周波数または共振周波数近傍の周波数のいずれかを検出して受信すべき情報を復元する。
【0036】
また、請求項30に記載の本発明は、請求項24〜28のいずれかにおいて、前記インピーダンス検出受信器または前記インピーダンス検出受信手段は、前記復調手段からの信号を基に前記検出信号の強度と前記増幅・フィルタ手段の利得を調整するための検出信号制御手段を備え、前記検出用信号源または前記検出用広帯域信号源が前記検出信号制御手段からの切替信号によって前記検出信号の強度を切替える可変出力検出用信号源であって、前記増幅・フィルタ手段が前記検出信号制御手段からの切替信号によって利得を切替えるための可変利得増幅・フィルタ手段を構成する。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、送信器の消費電力を低減し、送信器から周囲へ放射される電磁波を減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
<第1の実施の形態>
図1に、第1の実施の形態の通信システムのブロック図を示す。
【0039】
本通信システムは、送信器と受信器に接触または近接した通信媒体3と大地グランド間や回路グランド15と大地グランド間の浮遊容量C16や送信機の出力インピーダンス、受信器の入力インピーダンスから成る通信媒体3と大地グランドのインピーダンスC17を変調してデータを送信するインピーダンス変調送信器(送信器)2と、インピーダンスを検出してデータを受信するインピーダンス検出受信器(受信器)1、および人体等の通信媒体3から構成される。
【0040】
インピーダンス変調送信器2では携帯端末4から出力されたデータをデータ・変調信号変換部14で変調信号に変換し、可変リアクタンス部13に出力する。可変リアクタンス部13は送信器電極19と回路グランド15間に接続され、可変リアクタンス部13のリアクタンス値をコントロールする端子に変調信号を入力する。
【0041】
インピーダンス検出受信器1では、検出用信号源7から出力インピーダンスを介して受信用電極21とグランド間に接続された入力リアクタンス部6に所定の周波数の検出用信号を入力する。受信用電極21に上記送信器を携帯した通信媒体3が接触または近接しておりインピーダンス変調送信器2内の可変リアクタンス部13のリアクタンス値が変調されている場合には、入力リアクタンス部6に印加された検出用信号の振幅および位相はリアクタンス値の変調に伴い変化する。
【0042】
そして、入力リアクタンス部6に印加された信号を増幅・フィルタ部9で増幅しフィルタリングして、外部から受信用電極21に印加された雑音を除去する。復調部10ではミキサ12で増幅・フィルタ部9の出力信号と検波用信号源の基準信号をミキシングして入力リアクタンス部6に印加された信号を抽出する。
【0043】
この時、検出用信号と同相の信号を基準信号とすれば、ミキサ12で受信用電極・大地グランド間のインピーダンスの抵抗成分が抽出され、90°位相をずらした信号を基準信号とすれば、リアクタンス成分が抽出される。ミキサ出力の高調波成分をフィルタで除去した後波形整形を行いデータとして出力する。
【0044】
図2の等価回路を用いてより詳細に動作を説明する。図中のXv は可変リアクタンス部のリアクタンス値であり、Rrct は寄生的な抵抗を表す。また、Cb 17は通信媒体3と大地グランド間の浮遊容量、Cg 16は回路グランド15と大地グランド間の浮遊容量を表す。Brcv は入力リアクタンス部6のサセプタンスである。受信用電極21と大地グランド間のアドミタンスY1 は以下の式で表される。
【数1】

【0045】
上式でωは検出用信号の角周波数を表す。式(1)よりXv を変調することにより、Y1 も変調されることがわかる。検出用信号源に電圧源を用いた場合では、Y1 -1に印加される信号電圧Vdctは出力インピーダンスZOUTを用いて以下の式で表される。
【数2】

【0046】
また、電流源を用いた場合では以下のようになる。
【数3】

【0047】
式(2)および(3)より、いずれの場合もY1 が変化するとVdct も変化する。したがって、インピーダンス変調送信器2のXv の変調によるVdct の変化をインピーダンス検出受信器1側で検出することにより、インピーダンス変調送信器2からインピーダンス検出受信器1への通信が可能となる。
【0048】
次に、データ変調と復調の単純な構成例を図3に示す。
【0049】
この図3の構成においては、データの変調を変調スイッチ30で行う。変調スイッチ30が開いているときは送信器電極19と回路グランドの容量がリアクタンスになり、閉じているときは短絡になる。
【0050】
インピーダンス検出受信器1では直流の電気信号を受信用電極21に与え、受信用電極21の電気信号を測定する。この場合Y1 は容量のみの構成となり、変調スイッチ30の開閉は容量値の変化として見える。容量値が変化すると過渡的に受信用電極21の電気信号が変化(パルス波形)するため、それを増幅・フィルタ部9を通してデータ判定部11で復元する。
【0051】
次により一般的にデータによりXv をXv.c とXv.c +ΔXの2値に変調した場合を考察する。データによりXv が変調されるとY1 は以下の式で表されるYT,c 、YT,Δになる。
【数4】

【0052】
1 が変調されるとVdct の振幅および位相が変化するため、Y1 (Xv )の変化に伴い検出部のミキサ12の出力も変化する。ミキサ12後段のデータ判定回部11を電圧比較器としきい値電圧を与える固定電圧源で構成することにより、データを復元できる。
【0053】
式(1)においてXv とCg が共振する
v =1/ωCg (6)
が成立する時、Y1 は最大となる。
【0054】
1 =jBrcv +jωCb +1/Rrct (7)
この場合、共振が生じたときに検出用信号の振幅は最小となる。データを2値として一方を共振が生じるXv =1/ωCg とし他方をそれ以外の値にしておけば、検出信号の振幅を検波するだけででたが復元できる。振幅を検波する場合では基準信号を使用しないで検波することができ、増幅・フィルタ部9で信号の遅延を考慮する必要がなく回路構成が簡単になる。
【0055】
また、以下の式が成立する場合では、Y1 -1の抵抗成分は最大となる。
【0056】
v =1/ωCg +1/(Brcv +ωCb ) (8)
これを利用する場合では、2値のデータの一方を式(8)の値とし他方を別の値にして復調部で抵抗成分のみを検出してデータを復元する。
【0057】
従来では送信器から大きな電気信号を出力して出力バッファ回路(インバータないしはパワーアンプ等)の消費電力が大きく周囲に不要な電磁波を放射していた。本実施の形態のインピーダンス変調送信器2では電気信号を出力しないため、出力バッファ回路が不要で消費電力は小さく、電磁波の放射も小さい。
【0058】
また、電界通信のように通信媒体3である人体等が送信器を携帯した状態で通信が可能である。磁気を結合させて通信を行う非接触ICカードでは、カードをリーダー(受信器)が放射する十分な大きさの磁気の領域に近づける必要がある。
【0059】
これに対し本実施の形態では通信媒体3と大地グランド間のインピーダンスを変調するため、検出信号は増幅・フィルタ部の入力雑音よりも十分大きければ通信は可能である。周囲に検出信号と同じ周波数成分の雑音がある場合にはその雑音よりも大きければよい。
【0060】
次に、図4(a)、(b)、(c)に可変リアクタンス部の構成例をそれぞれ示す。
【0061】
図4(a)では端子Aを送信器電極19に接続し、端子Bを回路グランド15に接続する。インダクタ35と容量(1)36でリアクタンスXv,c を構成し容量(2)38でΔXを構成する。変調信号入力端子から変調信号を入力してスイッチ40を開閉しリアクタンス値を変調する。
【0062】
本構成例では容量のみでΔXを構成したがインダクタ35を含めて構成してもよい。また、データが2値である場合にはデータ・変調信号変換部14を使用しなくてもよい。データが多値である場合には、並列にスイッチ40とリアクタンスを構成する素子を接続する。
【0063】
図4(b)ではリアクタンスXv.c を構成するインダクタ35と容量(1)36と直列にリアクタンス変調用のスイッチ40を接続している。この場合ΔX=−Xv,c となる。スイッチ40と並列に容量やインダクタを挿入してもよい。
【0064】
図4(c)ではインダクタ35と可変容量ダイオード41でリアクタンスを構成し、可変容量ダイオード41のバイアス電圧を変えてリアクタンス値を変調する。固定電圧源42は可変容量ダイオード41のアノード側の電位を固定するためのものである。
【0065】
バイアス電圧がインダクタ35で短絡させないために容量(3)37、容量(4)39を使用し、変調信号入力端子側に接続されるデータ・変調信号変換部14や固定電圧源42をアイソレーションするために抵抗(1)43、抵抗(2)44を使用している。この場合、データ・変調信号変換部14ではデータの値をバイアス電圧に変換する。同図ではカソード側に変調信号入力端子をとりアノード側に固定電圧源42を接続したが逆でもよい。
【0066】
本実施の形態ではインピーダンス変調送信器2から電気信号を出力して通信していないが、人体等に携帯されたインピーダンス変調送信器2をインピーダンス検出受信器1に近づけると通信が行われる場合がある。本方式ではできるだけ本来の通信形態におけるY1 の変化と、意図しない通信形態でのアドミタンスの変化の比を大きくする必要がある。以下で設計指針を説明する。
【0067】
はじめにY1 の変調度ΔY1 を求める。データが2値でXv がXv.c とXv.c +ΔXになる場合、ΔY1 は式(5)と(6)から以下の式で表される。
【数5】

【0068】
次に意図しない通信形態でのアドミタンスの変化を求める。この場合の模式図を図5に示す。図中のCr 50はインピーダンス変調送信器2の回路グランド15とインピーダンス検出受信器1の電極間の浮遊容量を表す。インピーダンス変調送信器2とインピーダンス検出受信器1が近づくとCr 50が大きくなってインピーダンス検出受信器1の電極とインピーダンス変調送信器2の可変リアクタンス部13の結合が強くなり、Xv の変調が検出されるようになる。
【0069】
次に、図6に等価回路を示す。この場合のアドミタンスとその変調度をそれぞれY2 、ΔY2 とする。ΔY2 は以下の式で表される。
【数6】

【0070】
式(9)と(10)から本来の通信形態における変調度と、意図しない通信形態での変調度の比ΔY1 /ΔY2 は以下の式で表される。
【数7】

【0071】
式(6)が成立する場合(Xv がCg と共振する場合)にΔY1 /ΔY2 が大きくなるため、データと対応したリアクタンス値に共振が生じる値を選んだほうがよい。また、式(8)が成立する場合でもBrcv +ωCb が大きければ同様にΔY1 /ΔY2 が大きくなるため、入力リアクタンス部のサセプタンスは大きいほうがよい。また、共振状態でΔY1 /ΔY2 を大きくするためにはRrct を小さくする必要がある。
【0072】
以上の構成にすることで、送信時のインピーダンス変調送信器2の消費電力や周囲に放射される電磁波を低減し、インピーダンス検出受信器1に接触していないときの通信を遮断できる通信システムを提供できる。
【0073】
また、図1のブロック図では説明でBrcv を定義するために入力リアクタンス部を用いたが、使用しなくても通信は可能である。また、出力インピーダンスZOUT を定義するために検出信号源出力インピーダンスを記載しているが、検出信号源に備えられている出力インピーダンスでよい場合には省いてもよい。
【0074】
次の図7に、第1の実施の形態の変形例を示す。増幅・フィルタ部9等の遅延が無視できない場合やBrcv +ωCb の変化による位相変化が無視できない場合には、ミキサ12から同相と直交成分が混合された信号、すなわちデータに基づく信号にオフセットが加わった信号が受信器制御・データ判定部51に入力されてデータの判定に誤りが生じる。
【0075】
特に式(8)が成立する共振データのひとつに用いる場合では抵抗成分のみを検出する必要があるため、この問題は大きく影響する。この問題を解決するために基準信号の位相または増幅・フィルタ部9からミキサ12に入力される信号の位相や、ミキサ12のオフセット電圧または受信器制御・データ判定部51で用いる比較信号を調整する必要がある。
【0076】
位相の調整は基準信号または増幅・フィルタ部9からミキサ12に入力される信号のいずれでもよい。また、ミキサ12のオフセット電圧または受信器制御・データ判定部51で用いる比較信号のいずれかを調整すればよい。図7のインピーダンス検出受信器1では、受信器制御・データ判定部51によりデータ判定部に入力される信号のオフセット電圧をみて、ミキサ12や検出用信号源7に位相やオフセット電圧を調整するパラメータ調整信号を出力し、受信器制御・データ判定部51で用いる比較信号を調整する。
【0077】
<第2の実施の形態>
図8に第2の実施の形態の構成を示す。
【0078】
外部の電子機器等から放射される検出信号と同じ周波数の電磁波が受信用電極21に暴露されると、増幅・フィルタ部を通して復調部に入力されデータを読み誤る可能性がある。これを防ぐために暴露された電磁波よりも大きな信号を受信用電極21に与え、これに合わせて増幅・フィルタ部9の利得を減少させる必要がある。
【0079】
第2の実施の形態では検出信号制御部52を付加して信号強度および利得を切替える。復調部10のデータ出力信号からデータを受信していないことを確認した後、検出用信号の出力を止めミキサ12の出力の中間信号をモニタする。電磁波が暴露されているときには中間信号が基準値からずれる。これを検出して検出信号の強度と増幅・フィルタ部9の利得を切替え、再び検出信号を出力して受信状態に戻る。
【0080】
<第3の実施の形態>
図9に第3の実施の形態を示す(受信器は図示せず)。
【0081】
浮遊容量との共振をデータの値に対応させて通信する場合、環境やインピーダンス変調送信器2の持ち方・携帯のしかたで浮遊容量が変動しデータの値との対応がずれる。図8ではリアクタンス調整部53を用いて可変リアクタンス部13のリアクタンス値を浮遊容量との共振に調整する。
【0082】
調整時の動作を説明する。SW(1)54のa(1)とc(1)を接続し調整用励振信号源57から所定の周波数の信号を出力し、可変リアクタンス部13や浮遊容量に電圧を印加する。回路グランド15と送信器電極19間の電圧Vtcg をモニタ部55でモニタし、調整制御部56でVtcg が共振時の電圧振幅になるように可変リアクタンス部13のリアクタンス値を制御する。
【0083】
また、調整制御部56は端末からの調整開始信号を受けて調整用振信信号源57に信号出力の開始・停止とSW(1)54に接続の切替えをする信号を出力する。
【0084】
図10の等価回路を用いてより詳しく説明する。モニタ部55でモニタするVtcg は以下の式で表される。
【数8】

【0085】
上式でRr,s は可変リアクタンス部の寄生的な抵抗と調整用信号源の出力抵抗を合成した抵抗であり、V8 は調整用信号源の出力電圧である。文献2に記載されている方法でリアクタンスを調整すればXv とCg 16が共振する条件である式(6)を満たすことができる。
【0086】
もしくは、調整用振信信号の周波数f1=ω1/2πを受信器の検出用信号の周波数f2=ω2/2πと異なる信号にして以下の式を満たすように設定し、
【数9】

【0087】
Vtcgの振幅が最大になるリアクタンス値である
【数10】

【0088】
に調整しても式(6)を満たすことができる。
【0089】
調整後はSW(1)54のa(1)とb(1)を接続してデータを送信する。この時調整用信号を停止すれば受信側に雑音となる信号の混入を防ぐことができる。また、調整時での調整用信号の振幅はモニタ部55で検出可能な程度に小さくてよく、小さいほうが外部に放射する不要な電磁波を低減できる。
【0090】
図9の送信器とは異なる構成のリアクタンス調整部による可変リアクタンスの調整機能を持つインピーダンス変調送信器2のブロック図を図11に示す。本送信器でのトランス付可変リアクタンス部60では調整用信号によりリアクタンス値を調整し変調信号によりリアクタンス値を変調する可変リアクタンス部62とリアクタンス調整時にのみ使用するトランスとで構成される。なお、トランスはL63とL64の巻線を有している。調整時にSW(2)61はa(2)とc(2)が接続されその等価回路(図12)から回路方程式は以下のようになる。
【数11】

【0091】
式(12)でVL1はモニタする電圧、Rg は調整用励振信号源57の出力抵抗を表す。式(12)を解くと以下のようになる。
【数12】

【0092】
式(15)において式(6)の条件が成立するとVL1は以下の式で表される。
【数13】

【0093】
さらに、1<<ωL2(Brcv +ωCb )が成立する場合では、
【数14】

【0094】
となり浮遊容量に依存しない値になる。
【0095】
したがって、L2 64を大きくしてVL1が式(17)を満足するようにリアクタンス値を調整すれば式(6)を満たすことができる。調整後はSW(2)60のa(2)とb(2)を接続してデータを送信する。
【0096】
このとき調整用信号を停止すれば受信側に雑音となる信号の混入を防ぐことができる。また、調整時での調整用信号の振幅はモニタ部55で検出可能な程度に小さくてよく、小さいほうが外部に放射する不要な電磁波を低減できる。この構成によりΔY1 /ΔY2 を大きくしてインピーダンス検出受信器1に接触していないときの通信を遮断できる通信システムを提供できる。
【0097】
次に、式(8)が成立するXv とCg 、Brcv を共振させる場合の調整について説明する。この場合には図7のインピーダンス変調送信器2においてVtcg が最大となるように可変リアクタンス部62のリアクタンス値を調整する。式(6)と式(8)の比較から(Brcv +ωCb )を大きくすればリアクタンス値はほとんど変わらないないため、Vtcg が最大となるようにリアクタンス値を調整してもΔY1 /ΔY2 を大きくしてインピーダンス検出受信器1に接触していないときの通信を遮断できる通信システムを提供できる。
【0098】
図13(a)、(b)にこの場合に用いる可変リアクタンス部の構成例を示す。図13(a)では可変容量ダイオード66のバイアス電圧を調整して共振するリアクタンス値として変調信号をスイッチ67に入力してリアクタンスを変調する。容量(2)70はインダクタでもよい。図13(b)ではスイッチ67を直列に接続しており、リアクタンスの変調を大きくできる。
【0099】
<第4の実施の形態>
図14に第4の実施の形態の構成図を示す(送信器は図示せず)。
【0100】
本実施の形態ではインピーダンス検出受信器1の検出用信号源に広帯域な信号を使用してY1 の周波数特性を見てデータを復元する。検出用広帯域信号源81から広帯域信号を検出信号源出力インピーダンス8を介して受信用電極21に印加する。広帯域信号はパルス幅の短いパルス信号や擬似ランダム信号または複数の正弦波信号を重ね合わせた信号を使用する。
【0101】
増幅・フィルタ部9で受信用電極21に印加されている信号を増幅して不要な雑音を除去しADコンバータ83に入力する。ADコンバータ83でデジタル信号に変換した後、離散フーリエ変換等で周波数成分を抽出する。
【0102】
広帯域信号の出力周期と周波数成分への変換の周期はタイミング信号でコントロールされる。周波数成分にすると共振で大きさが極大または極小となる周波数(共振周波数)があり、インピーダンス変調送信器2でリアクタンスが変調されると共振周波数が変化する。この共振周波数の変化をモニタしてデータを復元する。以上の処理および制御を行うため処理プログラムおよびデータの記憶や信号処理、タイミング制御を行う制御・処理・記憶・判定部82を用いる。
【0103】
次に、図15のインピーダンス変調送信器2可変リアクタンス部のタイミングチャートと、図16の周波数特性を用いて詳しく説明する。インピーダンス変調送信器2で送信開始時に可変リアクタンス部のリアクタンス値を共振する値にした後、繰り返し変調を行う。リアクタンスが変調されると図16のように共振周波数が変化する。
【0104】
インピーダンス検出受信器1側では極大値または極小値となる共振周波数をモニタし、共振周波数が一定であった後に繰り返し変化があると送信開始動作が行われたと認識してデータ取得の準備を行う。この後、インピーダンス変調送信器2で送られたデータを取得する。簡単に説明するために上記では可変リアクタンス部のリアクタンス値を共振する値に取ったが、インピーダンス検出受信器1側で広い範囲の周波数をモニタしているため、可変リアクタンス部のリアクタンス値が所定の周波数で共振する値になっていなくても、インピーダンス検出受信器1側で共振周波数を見つけることができる。したがって、浮遊容量の変化で共振周波数が変化してもデータを復元することができる。
【0105】
図14のインピーダンス検出受信器1では増幅・フィルタ部の出力信号を直接ADコンバータ83に入力しているが、低消費電力化のためにある周波数近傍のみに着目しサンプリングレートの低いADコンバータ83を使用する場合には、ダウンコンバートした後にADコンバータ83に入力する。
【0106】
図17と図18に第4の実施の形態を変形したインピーダンス検出受信器1の構成を示す。
【0107】
本構成では複数の所定の周波数成分に着目し、その周波数の同相および直交成分の振幅を抽出した後データ復元の処理を行う。増幅・フィルタ部9の出力信号を周波数成分抽出部84に入力し、複数の所定の周波数の同相および直交成分の振幅を抽出する。
【0108】
抽出した各成分を多チャンネルADコンバータ85の各チャンネルに入力してデジタル信号に変換した後、各成分の増減から制御・処理・判定部86でデータを復元する。
【0109】
また、図18の構成では、制御・処理・判定部86から周波数成分抽出部84に出力される周波数成分切替信号により多チャンネルADコンバータ85に出力する周波数成分を順次切替てデジタル信号に変換する。この後、各成分の増減から制御・処理・判定部86でデータを復元する。
【0110】
図17と図18の構成では図14のインピーダンス検出受信器1ほど共振周波数を正確に求められないが周波数特性の変化を検知でき、可変リアクタンス部のリアクタンス値が所定の周波数で共振する値になっていなくてもデータを復元できる。さらに、制御・処理・判定部86に入力する前にリアルタイムにフーリエ級数展開しているため、データのボーレートを高速にできる。
【0111】
また、周波数成分抽出部84において複数の所定の周波数成分を同相・直交成分に分けずに抽出して、サンプリング間隔Tgam の多チャンネルADコンバータ85に一定時間Tprd 入力した後フーリエ変換すれば、各周波数近傍±1/2Tgam までの周波数成分を1/Tprd 間隔で得ることができる。この方法を用いれば比較的詳しく周波数特性を得られるため、所定の周波数の間隔が広い場合や基準信号の周波数の精度が粗悪な場合でもデータの復元が可能である。
【0112】
図14と図17、図18の通信システムでは送信器側でリアクタンスの調整に関する記載はないが、送信器側でリアクタンス調整を行えば浮遊容量の変化の影響を受けにくい通信システムになる。
【0113】
上記の通信システムの説明では共振周波数を1個にしているが、送信器で図19に示す可変リアクタンスを用いれば複数の共振周波数をもつ特性(図20参照)が得られ、多値変調を実現することができる。図20は受信器側から見たインピーダンスの周波数特性を表す。
【0114】
図19の可変リアクタンスでは共振周波数の異なる並列共振回路を直列に接続し、各共振回路の共振の制御をスイッチ(1)〜(4)(スイッチ94〜97)で行っている。各共振回路のスイッチ94〜97を1ビットのデータ(変調信号)で制御することにより、受信側で検出するインピーダンスの共振(ピーク)の有無が変化する。
【0115】
したがって、これを図14または図17、図18の受信器を用いて検出すれば複数ビットの情報を一度に伝送することができる。図19では容量と直列にスイッチを接続したが、インダクタと容量とスイッチを並列に接続してもよい。
【0116】
また、共振回路数を増やしてさらに多くのビットを伝送することも可能である。本構成では並列共振回路を直列に接続したが、図21に示すように直列共振回路を並列に接続した可変リアクタンスでも複数の共振周波数を持つインピーダンスを作り出すことができる。
【0117】
図17、図18ではADコンバータによりデジタル信号に変換しているが、電圧比較器で2値のデジタル信号に変換してもよい。図22と図23に第4の実施の形態の変形例を示す。
【0118】
図22の構成では、周波数成分抽出部の出力信号を多チャンネル電圧比較部110でデジタル信号に変換して制御・処理・記憶・判定部86に入力する。また、図23の構成では制御・処理・記憶・判定部86から周波数成分抽出部84に出力される周波数成分切替信号により電圧比較部111に出力する周波数成分を順次切替えてデジタル信号に変換する。
【0119】
増幅・フィルタ部9等の遅延が無視できない場合やBrcv +ωCb の変化による位相変化が無視できない場合に、基準信号の位相または増幅・フィルタ部9から周波数成分抽出部84に入力される信号の位相や、周波数成分抽出部84のオフセット電圧または多チャンネル電圧比較器110で用いる比較信号の調整が必要になる。
【0120】
このために、制御・処理・記憶・判定部86から周波数成分抽出部84や検出用広帯域信号源81に位相やオフセット電圧、および電圧比較部111で用いる比較信号を調整するパラメータ調整信号を出力する。この構成では制御・処理・記憶・判定部86で行うデータ判定処理が軽減されるため、制御・処理・記憶・判定部86に使用するプロセッサの処理速度が比較的遅くてもよい。この構成と多値変調を用いれば低スペックなプロセッサで高速なデータ変換が可能となる。
【0121】
以上の実施の形態ではインピーダンス変調送信器2を携帯しインピーダンス検出受信器1を大地グランドに接地したが、インピーダンス変調送信器2を大地グランドに接地しインピーダンス検出受信器1を携帯してもよい。この場合の模式図と等価回路を図24、図25に示す。インピーダンス変調送信器2とインピーダンス検出受信器1は前記の実施の形態のいずれの構成でもよい。等価回路よりこの場合のY1 は以下のようになる。
【数15】

【0122】
式(13)よりこの構成でもインピーダンスは変調されることが分かる。
【0123】
さらに、インピーダンス変調送信器2とインピーダンス検出受信器1を携帯してもよい。この場合の通信システムの模式図と等価回路を図26、図27にそれぞれ示す。インピーダンス変調送信器2とインピーダンス検出受信器1は前記の実施の形態のいずれの構成でもよい。等価回路よりZ1 =Y1 -1は以下の式で表され、この構成でも同様にインピーダンスは変調されることが分かる。
【数16】

【0124】
インピーダンス検出受信器1に図14、図17、図22の構成を使用すれば、送信器で受信器を大地グランドから浮遊した状態でもデータの受信が可能になる。
【0125】
上記の通信システムでは片方向の通信を行っているが、トランシーバにして双方向通信を行うことも可能である。図28にこの構成例を示す。
【0126】
図28に示す構成において、第1のトランシーバ2’’にはインピーダンス変調送信器2とデータに基づく電気信号を受信してデータを復元する受信器120を搭載しており、第2のトランシーバ1’’にはインピーダンス検出受信器1とデータに基づく電気信号を送信する送信器121を搭載している。第1のトランシーバ2’’から第2のトランシーバ1’’へのデータ伝送はインピーダンスを変調することにより行い、第2のトランシーバ1’’から第1のトランシーバ2’’へのデータ伝送は電気信号を用いて行う。
【0127】
図29に第1のトランシーバ2’’から第2のトランシーバ1’’へと第2のトランシーバ2’’から第1のトランシーバ1’’への両方インピーダンスを変調して通信を行う場合の構成を示す。
【0128】
この図29の構成において、送受の切換えを行うTRSW122によりトランシーバ内のインピーダンス変調送信器2とインピーダンス検出受信器1が隔離されているため、トランシーバ内の漏話を防ぐことができる。また、送信時にインピーダンス検出受信器1内の検出信号の出力を停止すればより漏話を防ぐことができる。図29では第2のトランシーバ1’’を大地グランドに接地しているが、浮遊させて携帯した状態で通信をすることも可能である。
【0129】
<第5の実施の形態>
図30に第5の実施の形態の構成図を示す。本構成では、大地グランドに接地された第2の通信装置から第1の通信装置へ電力を送電し、インピーダンスの変調による通信を用いて第1の通信装置からデータを第1,第2の通信装置へ向けてデータを伝送する。第2の通信装置の電力送信器からフィルタ部を介して電極に交流信号(周波数f1 )を出力する。フィルタ部では、周波数f1 の信号はfil1 からfil3 端子へ通過しfil2 端子へは遮断される。また、インピーダンス検出受信器1の検出信号の周波数帯ではfil2 端子からfil1 端子への漏れを遮断する。電極に第1の通信装置を携帯した通信媒体3が接触すると第1の通信装置内の電源制御部に周波数f1 の信号が入力される。電源制御部で周波数f1 の信号を整流して直流成分に変化し、直流電圧を生成する。この直流電圧を電源としてインピーダンス変調送信器2と制御・処理・記憶部に配電し動作させる。通信の動作に関しては前記の実施の形態と同じである。
【0130】
図30の通信システムでは第1の通信システムから第2の通信システムへの通信のみであったが、双方向通信にすることも可能である。図31と図32に双方向通信でのブロック図を示す。図31では第2の通信装置から第1の通信装置への通信を電気信号を使用した通信で行うシステムである。この場合では周波数f1 の信号を変調して通信を行う。図32では第2の通信装置から第1の通信装置もインピーダンスを変調して通信を行うシステムである。この場合の第2の通信装置では電力送信器以外にインピーダンス変調送信器2を使用する。送受切替えはTRSWを使用して行う。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】第1の実施の形態のブロック図を示す。
【図2】第1の実施の形態の通信システムの等価回路図を示す。
【図3】第1の実施の形態の通信システムの構成図を示す。
【図4】可変リアクタンス部の構成例(a)、(b)、(c)をそれぞれを示す。
【図5】意図しない通信を説明する模式図を示す。
【図6】意図しない通信の等価回路図を示す。
【図7】第1の実施の形態の変形例のブロック図を示す。
【図8】第2の実施の形態のブロック図を示す。
【図9】第3の実施の形態(受信器は図示せず)のブロック図を示す。
【図10】第3の実施の形態の通信システムの等価回路を示す。
【図11】第3の実施の形態の変形例(受信器は図示せず)のブロック図を示す。
【図12】第3の実施の形態の等価回路図を示す。
【図13】可変リアクタンス部の構成例(a)、(b)をそれぞれ示す。
【図14】第4の実施の形態(送信器は図示せず)のブロック図を示す。
【図15】第4の実施の形態の動作を説明するタイミングチャートを示す。
【図16】第4の実施の形態の動作を説明するインピーダンスの周波数特性を示す。
【図17】第4の実施の形態の変形例のブロック図を示す。
【図18】第4の実施の形態の変形例のブロック図を示す。
【図19】可変リアクタンス部の構成例を示す。
【図20】可変リアクタンス部の受信側から見たインピーダンスの周波数特性を表す図を示す。
【図21】可変リアクタンス部の構成例を示す。
【図22】第4の実施の形態の変形例のブロック図を示す。
【図23】第4の実施の形態の変形例のブロック図を示す。
【図24】送信器を接地し受信器を浮遊させた通信システムのブロック図を示す。
【図25】送信器を接地し受信器を浮遊させた通信システムの等価回路を示す。
【図26】大地グランドから浮遊させた通信システムのブロック図を示す。
【図27】大地グランドから浮遊させた通信システムの等価回路を示す。
【図28】トランシーバを用いた通信システムのブロック図を示す。
【図29】トランシーバを用いた通信システムのブロック図を示す。
【図30】第5の実施の形態を示すブロック図を示す。
【図31】第5の実施の形態の第1の変形例のブロック図を示す。
【図32】第5の実施の形態の第2の変形例のブロック図を示す。
【図33】従来の電界を用いた通信システムのブロック図を示す。
【符号の説明】
【0132】
1…インピーダンス検出受信器
2…インピーダンス変調送信器
3…通信媒体
4…携帯端末
9…増幅・フィルタ部
10…復調部
11…データ判定部
12…ミキサ
13…可変リアクタンス部
15…回路グランド
16…C
17…C
19…送信器電極
21…受信用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行う通信システムであって、
前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、前記可変リアクタンス手段のリアクタンスを含む要素から成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、
前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、
前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを検知するための受信用電極と、
前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行う通信システムであって、
前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、
前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、
前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを検知するための受信用電極と、
受信すべき情報に基づく電界を電気信号に変換して受信する受信手段と、
を備えた電界受信トランシーバと、
前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、
前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、
送信すべき情報に基づく電界を通信媒体に誘起するために電気信号を出力する送信手段と、
前記インピーダンス検出受信手段と前記送信手段のいずれか一方が動作するように切替えるための送受切替手段と、
を備えた電界送信トランシーバと、
の組み合わせにより相互に通信を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行う通信システムであって、
前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、
送信時に前記可変リアクタンス手段の変化を通信媒体に伝達し、受信時に前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを受信手段内に伝達する電極と、
前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、
前記送信時に前記電極と前記インピーダンス変調送信手段を接続し、前記受信時に前記電極と前記インピーダンス検出手段を接続する送受切替え手段と、
を備えたインピーダンス変調・検出トランシーバによって構成されていることを特徴とする通信システム。
【請求項4】
前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、
大地グランドから浮遊している前記インピーダンス変調送信手段の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量と共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、
前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスが共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記インピーダンス検出受信手段は、
前記接触または近接した通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの検出を行う検出信号を出力するための検出用信号源と、
前記検出信号を増幅しフィルタリングを行うための増幅・フィルタ手段と、
前記増幅・フィルタ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するための復調手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記復調手段は、
前記検出信号源から出力される基準信号と前記増幅・フィルタ手段の出力信号を乗算するためのミキサ手段と、
前記ミキサ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するためのデータ判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、
前記復調手段は、
前記増幅・フィルタ手段の出力信号をデジタル信号に変換するためのADコンバータと、
前記変換されたデジタル信号から周波数成分を抽出して得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項6または7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、
前記復調手段は、
前記増幅・フィルタ手段の出力から所定の複数の周波数成分を抽出し出力するための周波数成分抽出手段と、
前記周波数成分抽出手段の各周波数成分の信号を入力してデジタル信号に変換するための多チャンネルADコンバータと、
前記変換されたデジタル信号から得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の通信システム。
【請求項10】
前記復調手段は、
前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスから受信すべき情報を復元する際に、共振周波数または共振周波数近傍の周波数のいずれかを検出して受信すべき情報を復元することを特徴とする請求項8または9に記載の通信システム。
【請求項11】
前記可変リアクタンス手段は、
共振周波数の異なる複数の共振手段と、
前記共振手段の共振の有無を制御するための共振制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の通信システム。
【請求項12】
前記インピーダンス検出受信器または前記インピーダンス検出受信手段は、前記復調手段からの信号を基に前記検出信号の強度と前記増幅・フィルタ手段の利得を調整するための検出信号制御手段を備え、
前記検出用信号源または前記検出用広帯域信号源が前記検出信号制御手段からの切替信号によって前記検出信号の強度を切替える可変出力検出用信号源であって、
前記増幅・フィルタ手段が前記検出信号制御手段からの切替信号によって利得を切替えるための可変利得増幅・フィルタ手段
を構成することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の通信システム。
【請求項13】
前記インピーダンス変調送信手段は、
前記可変リアクタンス手段を含み、
前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値を共振する値に調整するためのリアクタンス調整手段と、
リアクタンス調整時に前記リアクタンス調整手段による調整用の状態にし、送信時に送信用の状態にするための調整・送信切替え手段と、
を備えることを特徴とする請求項4〜12のいずれかに記載の通信システム。
【請求項14】
前記インピーダンス変調送信手段にトランスを備えて前記リアクタンスの前記調整時に該トランスを通して調整用信号を印加することを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
前記リアクタンス調整手段は、
前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値調整時において前記可変リアクタンスへ所定の周波数の調整用信号を入力するための調整用励振信号源と、
前記送信器電極に印加される信号をモニタするためのモニタ手段と、
前記モニタ手段の出力から前記可変リアクタンスのリアクタンス値を調整して共振状態にするための調整制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項13または14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記受信すべき情報は、
該情報と共に異なる周波数の信号を含み、この信号を整流して得た電力でもって動作することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の通信システム。
【請求項17】
通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行うための送信器であって、
前記通信媒体と大地グランド間および大地グランドから浮遊している通信装置の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量、送信手段の出力端子に接続された可変リアクタンス手段のリアクタンスから成る前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスを、前記可変リアクタンス手段のリアクタンス値を変調し送信すべき情報に基づいたインピーダンスと同値にして送信を行うためのインピーダンス変調送信手段と、
前記通信媒体と結合して前記インピーダンス変調送信手段の前記リアクタンス値により前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを変化させるための送信器電極と、
を備えることを特徴とする送信器。
【請求項18】
前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、
大地グランドから浮遊している前記インピーダンス変調送信手段の回路グランドと大地グランド間の浮遊容量と共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値であることを特徴とする請求項17に記載の送信器。
【請求項19】
前記可変リアクタンス手段の送信すべき情報に基づく前記リアクスタンス値は、
前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスが共振する値であって、それ以外のリアクスタンス値は前記共振が発生しない値であることを特徴とする請求項17に記載の送信器。
【請求項20】
前記可変リアクタンス手段は、
共振周波数の異なる複数の共振手段と、
前記共振手段の共振の有無を制御するための共振制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の送信器。
【請求項21】
前記インピーダンス変調送信手段は、
前記可変リアクタンス手段を含み、
前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値を共振する値に調整するためのリアクタンス調整手段と、
リアクタンス調整時に前記リアクタンス調整手段による調整用の状態にし、送信時に送信用の状態にするための調整・送信切替え手段と、
を備えることを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の送信器。
【請求項22】
前記インピーダンス変調送信手段にトランスを備えて前記リアクタンスの前記調整時に該トランスを通して調整用信号を印加することを特徴とする請求項21に記載の送信器。
【請求項23】
前記リアクタンス調整手段は、
前記可変リアクタンス手段のリアクスタンス値調整時において前記可変リアクタンスへ所定の周波数の調整用信号を入力するための調整用励振信号源と、
前記送信器電極に印加される信号をモニタするためのモニタ手段と、
前記モニタ手段の出力から前記可変リアクタンスのリアクタンス値を調整して共振状態にするための調整制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項21または22に記載の送信器。
【請求項24】
通信媒体に接触または近接した通信装置間で通信を行うための受信器であって、
前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスを検知するための受信用電極と、
前記通信媒体と大地グランド間の前記インピーダンスから受信すべき情報を復元するためのインピーダンス検出受信手段と、
を備えることを特徴とする受信器。
【請求項25】
前記インピーダンス検出受信手段は、
前記接触または近接した通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの検出を行う検出信号を出力するための検出用信号源と、
前記検出信号を増幅しフィルタリングを行うための増幅・フィルタ手段と、
前記増幅・フィルタ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するための復調手段と、
を備えることを特徴とする請求項24に記載の受信器。
【請求項26】
前記復調手段は、
前記検出信号源から出力される基準信号と前記増幅・フィルタ手段の出力信号を乗算するためのミキサ手段と、
前記ミキサ手段の出力信号から受信すべき情報を復元するためのデータ判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項25に記載の受信器。
【請求項27】
前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、
前記復調手段は、
前記増幅・フィルタ手段の出力信号をデジタル信号に変換するためのADコンバータと、
前記変換されたデジタル信号から周波数成分を抽出して得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項25または26に記載の受信器。
【請求項28】
前記検出用信号源は広帯域な信号を出力するための検出用広帯域信号源であって、
前記復調手段は、
前記増幅・フィルタ手段の出力から所定の複数の周波数成分を抽出し出力するための周波数成分抽出手段と、
前記周波数成分抽出手段の各周波数成分の信号を入力してデジタル信号に変換するための多チャンネルADコンバータと、
前記変換されたデジタル信号から得られる前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスの周波数特性から、受信すべき情報を復元するための制御・処理・記憶・判定手段と、
を備えることを特徴とする請求項25〜27のいずれかに記載の受信器。
【請求項29】
前記復調手段は、
前記通信媒体と大地グランド間のインピーダンスから受信すべき情報を復元する際に、共振周波数または共振周波数近傍の周波数のいずれかを検出して受信すべき情報を復元することを特徴とする請求項27または28に記載の受信器。
【請求項30】
前記インピーダンス検出受信器または前記インピーダンス検出受信手段は、前記復調手段からの信号を基に前記検出信号の強度と前記増幅・フィルタ手段の利得を調整するための検出信号制御手段を備え、
前記検出用信号源または前記検出用広帯域信号源が前記検出信号制御手段からの切替信号によって前記検出信号の強度を切替える可変出力検出用信号源であって、
前記増幅・フィルタ手段が前記検出信号制御手段からの切替信号によって利得を切替えるための可変利得増幅・フィルタ手段
を構成することを特徴とする請求項24〜28のいずれかに記載の受信器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2007−295192(P2007−295192A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119578(P2006−119578)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】