説明

通信システムおよび通信方法

【課題】複数の通信端末間でデータ通信を行う通信システムにおいて、前記通信端末を使用するユーザに対しては、所定の店舗利用の動機付けを行い、前記店舗においては集客力を向上することのできる通信システムおよび通信方法を提供する。
【解決手段】近距離通信により相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成され、複数の通信端末のうち、1つまたは複数の第一の通信端末2は、それぞれ、第一の通信手段と、前記第一の通信手段を介して他の通信端末1の通信領域内に侵入することで取得したデータを記憶する手段と、端末内制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された1つまたは複数のデータが所定の条件を満たしているかを判断し、満たしている場合には、その旨の情報を前記第一の通信手段により前記サービスセンタに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成される通信システム及び、その通信システムにおける通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術を用いて人と車両と道路とを結び、安全性の向上、サービスの向上、輸送効率の向上等を目的とする高度道路交通システム(ITS)の研究開発並びに配備が促進されている。ITSに関しては、渋滞情報等をカーナビゲーションシステムに提供するVICSや、自動料金収受システム(ETC)がいち早く実用化されている。
【0003】
前記ITSは、車社会全体のインテリジェント化を目指したシステムを指すが、近年では、その一環となるサービス、または、独立したサービスとして、テレマティクスと呼ばれるサービスが普及しつつある。
このテレマティクスは、自動車などの移動体に通信システムを組み合わせて、リアルタイムに情報サービスを提供するサービスである。
尚、このテレマティクスのサービスによれば、車に搭載した情報通信端末にネットを介して様々な情報を配信するだけでなく、運転中にトラブルが起きたときに双方向通信によって助けを求めることもできる。
【0004】
ところで、前記テレマティクスのシステムを利用することにより、例えば、走行中の自動車の運転手(以下、ユーザとも呼ぶ)は、周辺の様々な店舗情報をリアルタイムに得ることができる。一方、店舗側にとっては、情報を提供することにより、集客効果を得ることができる。
【0005】
尚、前記テレマティクスは、一般に、情報を管理、提供するセンタ(施設)と、車両との間でインターネット等を介した通信システムが代表されるが、広義には、近距離無線通信を利用した路車間通信(道路側に設置された通信装置と車両との通信)、及び車車間通信(車両同士の通信)も含まれる。
【0006】
即ち、路車間通信では、店舗と車両とが直接的に通信し情報交換を行う等の利用が考えられる。また、車車間通信では、車両と車両とが直接的に通信し、通信データを相互の接触防止に用いる等の利用が考えられる。
尚、車両と店舗との通信を利用し、車両からオーダをとる方法については、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特表2002−536724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、テレマティクスは、ユーザと、店舗の双方にとってのメリットが期待できる。しかしながら、ユーザにとって、日常的に通過する道路周辺に関しては、その店舗情報は既知である場合が多く、単に店舗の基本情報が提供されるだけではテレマティクス利用のメリットが少ない。
よって、予期せぬトラブル等の非常時以外ではユーザがテレマティクスを利用するメリットが低下し、店舗側にとっても、集客力向上に繋がらないおそれがあった。即ち、ユーザと店舗の双方が、よりメリットを得るために、車両側に対し、何らかの付加価値を設けた情報を提供する必要があった。
【0008】
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、複数の通信端末間でデータ通信を行う通信システムにおいて、前記通信端末を使用するユーザに対しては、所定の店舗利用の動機付けを行い、前記店舗においては集客力を向上することのできる通信システムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる通信システムは、近距離通信により相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成される通信システムであって、前記複数の通信端末は、それぞれ、通信データの送受信機能を有する第一の通信手段と、前記第一の通信手段を介して他の通信端末の通信領域内に侵入することで取得したデータを記憶する記憶手段と、端末内制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された1つまたは複数のデータが所定の条件を満たしているかを判断し、満たしている場合には、その旨の情報を前記第一の通信手段により前記サービスセンタに送信することに特徴を有する。
【0010】
このようなシステムによれば、例えばユーザが乗る車両同士が道路上ですれ違ったとき等に、通信端末同士でデータの送受信が行われる。そして、取得したデータが所定の条件を満たした場合に、その通信端末のユーザにサービスセンタから特典サービスを与えるようにすれば、ユーザに対し本システムを利用する動機付けを行うことができる。
したがって、ユーザはデータを取得するために車両を運転する機会が増え、また、特典サービスを本システムに登録された店舗からユーザに提供するようにすれば、店舗にとってはより集客力を向上することができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明にかかる通信システムは、近距離通信により相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成される通信システムであって、前記複数の通信端末は、第一の通信端末又は第二の通信端末に区分けされ、前記第一の通信端末は、通信データの送受信機能を有する第一の通信手段と、前記第一の通信手段を介して前記第二の通信端末から取得したデータを記憶する記憶手段と、端末内制御を行う制御手段とを備え、前記第二の通信端末は、通信データの送受信機能を有する第二の通信手段と、自身の通信端末を特定するID情報を管理する管理手段とを備え、前記第一の通信端末が第二の通信端末の通信領域に侵入した場合に、前記ID情報を、前記第二の通信手段により、前記第一の通信端末に対して送信し、前記第一の通信端末は、取得した前記ID情報を前記記憶手段に記憶すると共に、1つまたは複数のデータが所定の条件を満たしているかを判断し、満たしている場合には、その旨の情報を前記第一の通信手段により前記サービスセンタに送信することに特徴を有する。
【0012】
このようなシステムによれば、例えばユーザが乗る車両が店舗に近づいたときに、店舗等に設置された第二の通信端末から第一の通信端末にID情報が送信される。そして、取得したID情報が条件を満たした場合に、その第一の通信端末のユーザにサービスセンタから特典サービスを与えるようにすれば、通信端末のユーザに対し本システムを利用する動機付けを行うことができる。
したがって、ユーザはID情報を取得する目的で、店舗周辺にまで車両を運転するようになり、また、特典サービスを本システムに登録された店舗からユーザに提供するようにすれば、店舗にとってはより集客力を向上することができる。
【0013】
また、前記第一の通信端末は、通知手段をさらに備え、前記通知手段は、取得したデータに係る情報を該第一の通信端末のユーザに通知することが望ましい。
このようにすれば、ユーザに、現時点での取得したデータの状況等を知らせることができる。
【0014】
また、前記第一の通信端末が、他の通信端末の通信領域に侵入した場合に、それぞれの通信端末を特定するID情報を、それぞれの通信手段により相互に交換することが望ましい。
このような構成によれば、例えば、前記第一の通信端末を車両に搭載した場合、その車両同士が近距離無線通信によりデータ交換を行うことにより、ゲーム性が向上し、ユーザの興味を引くことができる。また、ユーザは、店舗周辺まで行かなくてもデータを取得することができる。
【0015】
また、前記所定の条件は、同一のID情報を取得した回数(例えば、ある1つの店舗に足を運んだ回数)であってもよいし、異なる所定のID情報の取得数(例えば、足を運んだ複数の店舗数)であってもよい。または、前記所定の条件は、一領域内で取得した、異なるID情報の数(例えば、一店舗で購入した商品数)であってもよい。
【0016】
または、前記ID情報には重み付け係数(例えば、店舗Aは1ポイント、店舗Bは2ポイント等)が設定され、前記所定の条件は、取得した1つまたは複数のID情報にそれぞれ設定された重み付け係数の総和(例えば、100ポイントで所定の条件を満たす等)であってもよい。
あるいは、前記第一の通信端末は、複数の所定のID情報をマトリクス状に配列したテーブルデータを有し、前記制御手段は、前記テーブルデータにおいて、取得したID情報と同一のID情報が配された位置にフラグを立て、立てられたフラグの位置により前記所定の条件が満たされたと判断するようにしてもよい。
このように、具体的に前記所定の条件を設定し、ユーザがそれを意識することにより、よりユーザの興味を引き、本システムを積極的に利用させることができる。
【0017】
また、前記テーブルデータは、前記サービスセンタから定期的に前記第一の通信端末に配信されることが望ましい。
このように、定期的に新たなテーブルデータをユーザに提供することにより、ユーザの興味を維持させることができる。
尚、前記テーブルデータは、前記第一の通信端末のユーザに購入されることにより前記サービスセンタから前記第一の通信端末に配信されてもよい。
【0018】
また、前記ID情報は、自動車の種類及び/または色を特定する情報であることが望ましい。
例えば、車両同士が通信し、データ交換を行う場合には、このようなID情報と前記テーブルデータとを組み合わせることにより、各ユーザはビンゴゲームを行うことができる。即ち、前記所定の条件をビンゴゲームにおけるビンゴが揃う条件とすることにより、ゲーム性が向上し、ユーザの興味を引きつけることができる。
【0019】
また、前記ID情報は、店舗の位置を特定する情報であることが望ましい。
例えば、車両と店舗とが通信し、車両がデータ受信する場合には、このようなID情報と前記テーブルデータとを組み合わせることにより、各ユーザはビンゴゲームを行うことができる。即ち、前記所定の条件をビンゴゲームにおけるビンゴが揃う条件とすることにより、ゲーム性が向上し、ユーザの興味を引きつけることができる。
【0020】
また、前記通信データは、ユーザ設定情報を含み、通信相手と交換するデータに含まれる相互のユーザ設定情報の対応結果により、前記ID情報を取得するか否かが決定されることが好ましい。
例えば車両同士が通信する場合において、双方のユーザがそれぞれ前記ユーザ設定情報でじゃんけんの出し方(グー、チョキ、パーのいずれか)を設定しておき、通信でユーザ設定情報を交換し、そのじゃんけんに勝った方が相手のID情報を取得するというようにすることができる。
このような利用法により、よりゲーム性を向上し、ユーザの興味を引くことができる。
【0021】
また、前記通知手段は、音声通知及び/または表示により通知することが望ましい。
このようにすれば、ユーザは視覚または聴覚により、現時点での取得したデータの状況を知ることができる。
尚、前記通信手段は、無線または有線によりデータの送受信を行うことが望ましい。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明にかかる通信方法は、近距離通信により相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成される通信システムにおける通信方法であって、前記複数の通信端末のうち、1つまたは複数の第一の通信端末において、それぞれ、他の通信端末から通信データを受信するステップと、前記受信したデータを記憶するステップと、前記記憶した1つまたは複数のデータが所定の条件を満たしているかを判断するステップと、前記所定の条件を満たしている場合には、その旨の情報を前記サービスセンタに送信するステップと、取得したデータに係る情報を該第一の通信端末のユーザに通知するステップと、が実行されることに特徴を有する。
【0023】
このような方法によれば、例えば、取得したデータが所定の条件を満たした旨の通知がなされた場合に、その第一の通信端末のユーザに特典サービスを与えるようにすれば、通信端末のユーザに対しては、本システムを利用する動機付けを行うことができる。
また、その特典サービスを本システムに登録された店舗からユーザに提供するようにすれば、店舗にとっては集客力を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数の通信端末間でデータ通信を行う通信システムにおいて、前記通信端末を使用するユーザに対しては、所定の店舗利用の動機付けを行い、前記店舗においては集客力を向上することのできる通信システムおよび通信方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明に係る実施の形態について、図に基づいて説明する。先ず、本発明に係る通信システムの第一の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る通信システムの全体構成図である。図2は、図1に示す一店舗としての自動車ディーラと、一車両との通信イメージを示す図、図3は、図2中に示す通信端末内の構成図である。
【0026】
第一の実施形態において、図1に示す通信システム100は、本システムに登録され、それぞれ通信端末を有する複数の自動車ディーラD(D1〜Dn:nは正の整数)と、同様に本システムに登録され、それぞれ通信端末を有する移動体である複数の自動車車両X(X1〜Xn:nは正の整数)と、本システムを管理するサービスセンタ10とで構成される。
【0027】
複数の店舗である自動車ディーラ(以下、ディーラと呼ぶ)Dと、複数の車両Xとはそれぞれが有する通信端末により、近距離無線通信でのデータ通信が可能になされている。例えば、車両X1がディーラDのいずれかの周辺を通過することで、それぞれが通信可能となり、相互のデータ通信がなされる。
また、サービスセンタ10は、複数のディーラDと車両Xに対し、それぞれ近距離無線通信またはインターネット等の通信網を介してデータを提供または取得可能になされている。
【0028】
例えば、図2に示すディーラD1は通信端末1(第二の通信端末)を備え、例えば周辺を通過する車両X1に搭載された通信端末2(第一の通信端末)と、近距離無線通信によりデータ通信可能になされている。
ディーラD1の通信端末1は、ディーラ施設内に固定設置され、図3に示すように通信手段としての通信装置3(第二の通信手段)と、自身の通信端末を特定するID情報の管理を行う管理手段としての管理装置4とを備える。
【0029】
また、移動体である車両X1の通信端末2は、図3に示すように通信手段としての通信装置5(第一の通信手段)と、取得し収集したデータの管理を行う収集条件メモリ装置6とを備える。尚、この収集条件メモリ装置6は、取得したデータを記憶する記憶手段、及び端末内制御を行う制御手段として機能する。
さらに、車両X1の通信端末2は、ユーザである車両の運転手や乗員に通知する通知手段としての表示装置7を備える。
【0030】
続いて、このようなシステム構成における通信端末2の動作について、図4、図5に基づいて説明する。図4は、サービスセンタから車両に送信されるテーブルデータ(ビンゴカードデータ)の一例、図5は、端末動作を示すフロー図である。
【0031】
サービスセンタ10から、例えば車両X1の通信端末2に対しては、ビンゴカードとして電子的に表示装置7に表示されるビンゴカードデータが、定期的に、または車両X1の所有者(ユーザ)が購入することにより予め送信される。このビンゴカードデータは、予め複数の所定の情報(ID情報)をマトリクス状に配列したテーブルデータである。
例えば図4(a)に示すビンゴカードデータ8は、ID情報として、複数のディーラDの所在地が、ランダムに、または所定のルールに沿って配列されている。このビンゴカードデータ8は、通信端末2の通信装置5により受信された後、収集条件メモリ装置6に格納される(図5のステップS1)。
【0032】
前記ビンゴカードデータ8を通信端末2内に保有する車両X1が、ディーラD1周辺を通過し、その通信領域内に侵入すると、ディーラD1の通信端末1から車両X1の通信端末2へ、そのディーラ固有の情報であるID情報が送信される。即ち、管理装置4に管理されているID情報が通信装置3により送信される。このID情報は、前記ビンゴカードデータ8に配列された1ディーラ所在地情報に対応する情報であって、ディーラD1の住所を示す情報である(図5のステップS2)。
【0033】
前記収集条件メモリ装置6においては、ディーラD1から受信したID情報をビンゴカードデータ8に配列されたID情報と比較し、一致するID情報の座標にチェックを入れる(図5のステップS3)。この処理は、例えばビンゴカードデータ8において、各座標にチェック用に確保された1ビットにフラグを立てることにより行なってもよい。
概念的なイメージは、通知手段である表示装置7に表示され、取得したID情報がABC市AAA店であった場合、図4(b)に示すように、例えば座標(A,1)、(E,2)、(D,3)、(B,5)にチェックが入れられる(図ではハッチングで示す)。
【0034】
また、車両X1の通信端末2は、本システムに登録された他のディーラDからも、その周辺を通過する際に、そのディーラ固有のID情報を受け取ることができる。したがって、その際、前記手順のようにビンゴカードデータ8と比較参照し、一致するID情報の座標にさらにチェックが入れられる。
【0035】
このように、ビンゴカードデータ8に複数のチェックが入れられ、収集条件が合致、即ちビンゴが揃うと(図5のステップS4)、収集条件メモリ装置6は通信装置5を介してサービスセンタ10にチェックデータを送信する。このチェックデータは、ビンゴカードデータ8がビンゴカードとしてビンゴが揃ったことを示すデータ(所定の条件を満たした旨を示す情報)であり、例えばチェック結果としてフラグが立てられたビンゴカードデータ8そのものを送信するようにしてもよい(図4のステップS5)。
【0036】
そして、サービスセンタ10では、そのビンゴが揃った結果に対してのサービスを、ディーラDを介し車両X1(の所有者、ユーザ)に提供する。
尚、このサービスがディーラDを介して提供されることで、ディーラDは集客効果を得ることができる。また、このサービスはディーラDのいずれにより提供されてもよい。
また、前記サービスの内容は、取得したID情報の数、ビンゴの揃い方により変えるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、本発明に係る第一の実施の形態によれば、本通信システムにより、車両Xが複数のディーラDから、近距離無線通信でのデータ通信を介してID情報を取得し、取得したID情報によりビンゴゲームを行い、ビンゴが揃えば、それに応じた特典が車両X(の所有者、ユーザ)に与えられる仕組みが提供される。
したがって、ビンゴゲームのゲーム性から、車両Xに対し、複数のディーラDの周辺を通行させるようにすることができる。このため、ディーラDにとっては、集客力を向上することができる。
【0038】
尚、前記第一の実施の形態において、ID情報を提供する通信端末1はディーラDに設置された固定体であるが、通信端末1を固定体に限定せず、移動体としてもよい。例えば、そのディーラの商用車に通信端末1を搭載し、複数の車両XにID情報を配信するようにしてもよい。
また、サービスセンタ10は、ディーラDとは別体として説明したが、1つのディーラDにサービスセンタ10を付加した構成としてもよい。
【0039】
続いて、本発明に係る通信システムの第二の実施形態について説明する。
図6は、第二の実施形態における通信システムの全体構成図である。図7は、図6に示す一車両と、他の一車両との通信イメージを示す図、図8は、図7中に示す通信端末内の構成図である。
尚、前記第一の実施形態で説明したものと同一の構成要件、動作態様については、同一の図面、符号を用いて説明する。
【0040】
第二の実施形態において、図6に示す通信システム100は、第一の実施の形態と同様に、本システムに登録され、それぞれ通信端末を有する複数のディーラD(D1〜Dn:nは正の整数)と、それぞれ通信端末を有する複数の自動車車両X(X1〜Xn:nは正の整数)と、本システムを管理するサービスセンタ10とで構成される。
複数の車両X同士は、それぞれ近距離無線通信により車両間でデータ通信が可能になされている。すなわち、例えば車両X1と車両X2とが所定の距離範囲内で接近することにより、それぞれが通信可能となり、相互のデータ通信がなされる。
【0041】
例えば、図7に示す車両X1と車両X2とは、共に第一の通信端末としての通信端末2を備え、前記したように、近距離無線通信によりデータ通信可能になされている。
前記通信端末2の構成は、図3で説明した構成と同様であり、通信装置5(第一の通信手段)と、収集条件メモリ装置6(記憶手段、制御手段)と、表示装置7(通知手段)とを備える。
【0042】
続いて、このようなシステム構成における車両X1の通信端末2の動作について、図9、図5に基づいて説明する。図9は、サービスセンタから車両に送信されるテーブルデータの一例、図5は、端末動作を示すフロー図である。
【0043】
サービスセンタ10から車両X1の通信端末2に対しては、ビンゴカードとして電子的に表示装置7に表示されるビンゴカードデータが、定期的に、または車両X1の所有者が購入することにより予め送信される。このビンゴカードデータは、予め複数の所定の情報(ID情報)をマトリクス状に配列したテーブルデータである。
例えば図9(a)に示すビンゴカードデータ9は、ID情報として、複数の車種名称が、ランダムに、または所定のルールに沿って配列されている。このビンゴカードデータ9は、通信端末2の通信装置5により受信された後、収集条件メモリ装置6に格納される(図5のステップS1)。
【0044】
前記ビンゴカードデータ9を通信端末2内に保有する車両X1が、車両X2と接近し、その通信領域内に侵入すると、車両X2の通信端末2から車両X1の通信端末2へ、車両X2の車種(及び色)を特定する情報であるID情報が送信される。また、このとき、車両X1の通信端末2から車両X2の通信端末2へは、車両X1の車種を特定する情報であるID情報が送信される。
尚、車両X1(X2)が受信したID情報は、前記ビンゴカードデータ9に配列された1車種情報に対応する情報である(図5のステップS2)。
【0045】
前記収集条件メモリ装置6においては、車両X2から受信したID情報をビンゴカードデータ9に配列されたID情報と比較し、一致するID情報の座標にチェックを入れる(図5のステップS3)。この処理は、例えばビンゴカードデータ9において、各座標にチェック用に確保された1ビットにフラグを立てることにより行なってもよい。
概念的なイメージは、表示装置7に表示され、取得したID情報がレッド(色)のDEF(車種)であった場合、図9(b)に示すように、例えば座標(A,2)、(C,3)、(D,1)にチェックが入れられる(図ではハッチングで示す)。
【0046】
また、車両X1の通信端末2は、本システムに登録された他の車両からも、その周辺を通過する際に、その車両固有のID情報を受け取ることができる。したがって、その際、前記手順のようにビンゴカードデータ9と比較参照し、さらに一致するID情報の座標にチェックが入れられる。
【0047】
このように、ビンゴカードデータ9に複数のチェックが入れられ、収集条件が合致、即ちビンゴが揃うと(図5のステップS4)、収集条件メモリ装置6は通信装置5を介してサービスセンタ10にチェックデータを送信する。このチェックデータは、ビンゴカードデータ9がビンゴカードとしてビンゴが揃ったことを示すデータ(所定の条件を満たした旨を示す情報)であり、例えばチェック結果としてフラグが立てられたビンゴカードデータ9そのものを送信するようにしてもよい(図5のステップS5)。
【0048】
そして、サービスセンタ10では、そのビンゴが揃った結果に対してのサービスを、ディーラDを介し車両X1(の所有者、ユーザ)に提供する。
尚、このサービスがディーラDを介して提供されることで、ディーラDは集客効果を得ることができる。
また、前記サービスの内容は、取得したID情報の数、ビンゴの揃い方により変えるようにしてもよい。
【0049】
以上のように、本発明に係る第二の実施の形態によれば、本通信システムにより、車両が他の車両からデータ通信を介してID情報を取得し、取得したID情報によりビンゴゲームを行い、ビンゴが揃えば、それに応じた特典がその車両(の所有者、ユーザ)に与えられる仕組みが提供される。
したがって、車両X(ユーザ)に対し、ビンゴゲームのゲーム性から、本システムを利用する動機付けを行うことができる。また、所定の条件が揃った場合(ビンゴが揃った場合)には、特典サービスの受け取りに、ディーラDに足を運ばせることができる。このため、ディーラDにとっては、集客力を向上することができる。
【0050】
また、車両の運転手(ユーザ)にとっては、第一の実施形態のように、ディーラ周辺に行かなくても、他の車両からビンゴゲームに係るID情報を得ることができる。また、車両Xは、移動体であるため、ゲーム性が向上し、ユーザの興味をより引くことができる。
【0051】
尚、前記第一及び第二の実施の形態においては、ビンゴゲームのビンゴが揃うことにより、特典サービスを受けることのできる所定の条件を設定したが、ビンゴゲームに限定しなくてもよい。
例えば、同一のID情報を取得した回数(例えば、ある1つの店舗に足を運んだ回数)、異なる所定のID情報の取得数(例えば、足を運んだ複数の店舗数)により、前記所定の条件を満たすようになされてもよい。
または、一領域内で取得した、異なるID情報の数(例えば、一店舗で購入した商品数)により、所定の条件を満たすようにしてもよい。
または、前記ID情報に重み付け係数(例えば、店舗Aは1ポイント、店舗Bは2ポイント等)を設定し、取得した1つまたは複数のID情報にそれぞれ設定された重み付け係数の総和(例えば、100ポイントで所定の条件を満たす等)により、所定の条件を満たすようにしてもよい。
尚、それらの場合には、収集条件メモリ装置6内にカウンタ手段を設け、取得したID情報や、その重み付け係数をカウントするよう構成すればよい。
【0052】
また、車両同士で交換する通信データに、ユーザ設定情報を含ませてもよい。その場合、例えば、双方の運転手(ユーザ)がそれぞれ前記ユーザ設定情報でじゃんけんの出し方(グー、チョキ、パーのいずれか)を設定しておき、通信でユーザ設定情報を交換し、そのじゃんけんに勝った方が相手のID情報を取得するというようにすることができる。
このような利用法により、よりゲーム性を向上し、ユーザの興味を引くことができる。
【0053】
また、前記第一、第二の実施の形態においては、第一の通信端末としての通信端末2を車両Xに搭載した構成として示したが、これに限定しなくてもよい。例えば、前記通信端末2の機能を携帯電話や持ち出し可能な通信端末に搭載し、ユーザが車両を乗り換えても、そのユーザに対して特典サービスが与えられるように構成してもよい。
また、その場合、車両を用いなくても店舗とのデータの送受信が可能であるため、前記通信端末2の機能を搭載した携帯電話や持ち出し可能な通信端末に対し、ビンゴカードのデータ(テーブルデータ)やID情報を、店頭等において、QRコード(登録商標)、バーコード、赤外線通信、有線による通信等の手段を介して送信するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明にかかる通信システムおよび通信方法は、ITSやテレマティクスサービス等において好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明に係る通信システムの全体構成図である。
【図2】図2は、図1に示す一店舗としての自動車ディーラと、一車両との通信イメージを示す図である。
【図3】図3は、図2中に示す通信端末内の構成図である。
【図4】図4は、サービスセンタから車両に送信されるテーブルデータ(ビンゴカードデータ)の一例である。
【図5】図5は、端末動作を示すフロー図である。
【図6】図6は、第二の実施形態における通信システムの全体構成図である。
【図7】図7は、図6に示す一車両と、他の一車両との通信イメージを示す図である。
【図8】図8は、図7中に示す通信端末内の構成図である。
【図9】図9は、サービスセンタから車両に送信されるテーブルデータの一例である。
【符号の説明】
【0056】
1 通信端末(第二の通信端末)
2 通信端末(第一の通信端末)
3 通信装置(第二の通信手段)
4 管理装置
5 通信装置(第一の通信手段)
6 収集条件メモリ装置(記憶手段、制御手段)
7 表示装置(通知手段)
8 ビンゴカードデータ(テーブルデータ)
9 ビンゴカードデータ(テーブルデータ)
10 サービスセンタ
D 自動車ディーラ
X 車両
100 通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信により相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成される通信システムであって、
前記複数の通信端末は、それぞれ、通信データの送受信機能を有する第一の通信手段と、前記第一の通信手段を介して他の通信端末の通信領域内に侵入することで取得したデータを記憶する記憶手段と、端末内制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された1つまたは複数のデータが所定の条件を満たしているかを判断し、満たしている場合には、その旨の情報を前記第一の通信手段により前記サービスセンタに送信することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
近距離通信により相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成される通信システムであって、
前記複数の通信端末は、第一の通信端末又は第二の通信端末に区分けされ、
前記第一の通信端末は、通信データの送受信機能を有する第一の通信手段と、前記第一の通信手段を介して前記第二の通信端末から取得したデータを記憶する記憶手段と、端末内制御を行う制御手段とを備え、
前記第二の通信端末は、通信データの送受信機能を有する第二の通信手段と、自身の通信端末を特定するID情報を管理する管理手段とを備え、
前記第一の通信端末が第二の通信端末の通信領域に侵入した場合に、前記ID情報を、前記第二の通信手段により、前記第一の通信端末に対して送信し、
前記第一の通信端末は、取得した前記ID情報を前記記憶手段に記憶すると共に、1つまたは複数のデータが所定の条件を満たしているかを判断し、満たしている場合には、その旨の情報を前記第一の通信手段により前記サービスセンタに送信することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
前記第一の通信端末は、通知手段をさらに備え、
前記通知手段は、取得したデータに係る情報を該第一の通信端末のユーザに通知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された通信システム。
【請求項4】
前記第一の通信端末が、他の通信端末の通信領域に侵入した場合に、
それぞれの通信端末を特定するID情報を、それぞれの通信手段により相互に交換することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された通信システム。
【請求項5】
前記所定の条件は、同一のID情報を取得した回数であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された通信システム。
【請求項6】
前記所定の条件は、異なる所定のID情報の取得数であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された通信システム。
【請求項7】
前記所定の条件は、一領域内で取得した、異なるID情報の数であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された通信システム。
【請求項8】
前記ID情報には重み付け係数が設定され、前記所定の条件は、取得した1つまたは複数のID情報にそれぞれ設定された重み付け係数の総和であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された通信システム。
【請求項9】
前記第一の通信端末は、複数の所定のID情報をマトリクス状に配列したテーブルデータを有し、
前記制御手段は、前記テーブルデータにおいて、取得したID情報と同一のID情報が配された位置にフラグを立て、立てられたフラグの位置により前記所定の条件が満たされたと判断することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された通信システム。
【請求項10】
前記テーブルデータは、前記サービスセンタから定期的に前記第一の通信端末に配信されることを特徴とする請求項9に記載された通信システム。
【請求項11】
前記テーブルデータは、前記第一の通信端末のユーザに購入されることにより前記サービスセンタから前記第一の通信端末に配信されることを特徴とする請求項9に記載された通信システム。
【請求項12】
前記ID情報は、自動車の種類及び/または色を特定する情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載された通信システム。
【請求項13】
前記ID情報は、店舗の位置を特定する情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載された通信システム。
【請求項14】
前記通信データは、ユーザ設定情報を含み、
通信相手と交換するデータに含まれる相互のユーザ設定情報の対応結果により、
前記ID情報を取得するか否かが決定されることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載された通信システム。
【請求項15】
前記通知手段は、音声通知及び/または表示により通知することを特徴とする請求項3乃至請求項14のいずれかに記載された通信システム。
【請求項16】
前記通信手段は、無線または有線によりデータの送受信を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載された通信システム。
【請求項17】
近距離通信により相互にデータの送受信を行う複数の通信端末と、前記複数の通信端末によるデータ通信を管理するサービスセンタとで構成される通信システムにおける通信方法であって、
前記複数の通信端末のうち、1つまたは複数の第一の通信端末において、それぞれ、
他の通信端末から通信データを受信するステップと、
前記受信したデータを記憶するステップと、
前記記憶した1つまたは複数のデータが所定の条件を満たしているかを判断するステップと、
前記所定の条件を満たしている場合には、その旨の情報を前記サービスセンタに送信するステップと、
取得したデータに係る情報を該第一の通信端末のユーザに通知するステップと、
が実行されることを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−134028(P2006−134028A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321774(P2004−321774)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】