説明

通信システムにおける信号の送受信方法及び装置

【課題】適応変調方式と送信機の多重アンテナダイバーシティとを組合わせ、データを効率的に伝送する。
【解決手段】異なる指向性を有する多数のミリ波アンテナを含む送信機が、少なくとも一つのミリ波アンテナを備えた受信機と信号を送受信する方法であって、多数のミリ波アンテナのうち選択可能なアンテナの数と送信アンテナの切り替えの可否を決定するための基準値を多重送信アンテナモード情報で前記受信機に送信する段階と、前記多重送信アンテナモード情報に含まれた基準値より受信信号の測定SNRが小さい場合に前記受信機から提供されるアンテナスイッチング指示子により既存と異なる指向性のミリ波アンテナを選択する段階と、前記受信機が既設定された複数の領域のうち受信信号の測定SNRが属する領域の値をインデックスとして生成及び伝送する変調モードインデックスを受信し、現在チャネル状態による変調モードで信号を伝送する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムにおける信号の送受信方法及び装置に関する。特に、送信機の送信アンテナが多数である通信システムにおいて送信アンテナの経路を選択し、これにより適応変調方式を適用して信号を送受信する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代移動通信システムは、移動端末に、大容量のデータを高速に送受信することができるサービスを提供するための移動通信システムの形態に発展していきつつある。ところが、移動通信システムの無線チャネル環境は、有線チャネル環境とは異なり、多重経路干渉(multipath interference)、シャドーイング(shadowing)、電波減衰、時変雑音、干渉、フェーディング(fading)等のような多様な要因により不可避なエラーが発生して、情報の損失が発生する。また、無線チャネルの可用周波数の帯域は非常に制限的である。
【0003】
したがって、次世代移動通信システムは、無線環境が変動されるチャネルにおいて、高い伝送率で信頼性を保障する伝送のために、制限された帯域幅及びパワーリソースを活用しなければならない。適応変調及びアンテナダイバーシティは、次世代通信システムにおいてこのような技術を可能にする最も重要な要素である。適応変調(Adaptive Modulation)方式は、無線チャネル環境において周波数の効用性を高めることができる。適応変調は、瞬時的なエラーレートを目標値の以下に維持しながら、変化するチャネルを克服するために、星状図の大きさ及びコーディングレート(Coding Rate)のような変調パラメータを調節して、変調方式を適応的に適用する方式である。主に、変調モードは、いくつかの既に定められた基準値と、受信された信号の強度との比較結果に基づいて選択される。即ち、送信機は、送受信チャネルの状態に対して受信機からフィードバックを受けて、チャネルの状態が良い場合には、高い伝送率を有する変調方式を適用して信号を送信し、チャネルの状態がよくない場合には、低い伝送率を有する変調方式を適用して、エラーレートを減少させることができる。
【0004】
一方、フェーディング現状から通信の不安定性を除去するために、ダイバーシティ方式が使用されており、ダイバーシティ方式の一つとして、送受信機が多数のアンテナを備え、良いチャネルを有するアンテナを利用して送受信するか、多重経路を通じて送受信するアンテナダイバーシティ方法がある。受信アンテナが多数である場合、アンテナダイバーシティ技法における最適のアンテナ合成方法は、よく知られている最大比率合成(Maximum Ratio Combining:MRC)である。
【0005】
一般的に、受信機は、使用者の端末であって、受信機に多重のアンテナを備えることは容易ではない。また、従来には、このようなダイバーシティの組合技術は、適応変調技術とは独立的に研究されてきただけで、共に考慮されたことはなかった。したがって、無線チャネルの限定された資源を効率的に活用しながら、信頼性を向上させるための方案として、送信端に多重のアンテナを備えるダイバーシティ技術と、適応変調方式とを組み合わせる必要性が大きくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような問題点を解決するための本発明の目的は、適応変調方式と送信機の多重アンテナダイバーシティ技術とを組み合せることにより、信頼性を保障しながら、データを効率的に伝送することができる通信システムにおける信号の送受信方法及び装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、多数のアンテナを含む送信機から信号を伝送することにおいて、受信機における信号が基準信号より小さい場合、フィードバックを通してアンテナを切り替えて信号を伝送することができる通信システムにおける信号の送受信方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明の一つの側面によれば、多数の送信アンテナを含む送信機における信号の送受信方法であって、上記多数の送信アンテナのうちのいずれか一つのアンテナを通じて受信機に信号を送信する段階と、上記受信機から上記送信アンテナの切り替えを指示するアンテナスイッチング指示子を受信する段階と、上記アンテナスイッチング指示子により上記送信アンテナを切り替えた後、切り替えられたアンテナを通じて信号を上記受信機に伝送する段階とを含む信号の送受信方法を提供することができる。
【0009】
好ましい実施例において、上記多数のアンテナは、互いに異なる指向性を有することを特徴とする。また、上記受信機は、受信された信号のSNRを測定した後、上記SNRが基準値より小さい場合、上記アンテナスイッチング指示子を上記送信機にフィードバックすることを特徴とする。
【0010】
また、上記方法は、上記受信機から変調モードインデックスを受信する段階を更に含み、上記送信機は、上記変調モードインデックスに相応する変調モードで信号を送信することを特徴とする。また、上記受信機により受信された信号のSNRが、変調モードの決定のための境界値、γTn(ここで、n=N、N−1、…、2)と比較して、上記SNRがγTn+1より小さく、γTnより大きい場合、上記変調モードインデックスは、nに決定されることを特徴とする。
【0011】
また、上記方法は、多重送信アンテナを通じて信号を送信することを示す多重送信アンテナモード情報を、上記受信機に伝送する段階を更に含む。また、上記多重送信アンテナモード情報は、上記多数のアンテナの数の情報及び上記基準値のうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。また、上記受信機が、上記送信機のアンテナの数ほど、アンテナスイッチング指示子を連続に上記送信機にフィードバックする場合、上記受信機は、上記送信機の多数のアンテナのうち、SNRが最も高いアンテナの情報を、上記送信機にフィードバックし、上記送信機は、SNRが最も高いアンテナを通じて信号を伝送することを特徴とする。
【0012】
本発明の他の側面によれば、無線チャネルを通じて、多数のアンテナを含む送信機と結合する受信機における信号の送受信方法であって、上記送信機から、上記多数のアンテナのうちのいずれか一つを通じて信号を受信する段階と、上記受信信号のSNRを測定する段階と、上記測定されたSNRと基準値とを比較する段階と、上記比較の結果、上記測定されたSNRが上記基準値より小さい場合、送信アンテナを切り替えることを示すアンテナスイッチング指示子を上記送信機に伝送する段階とを含む信号の送受信方法を提供することができる。
【0013】
好ましい実施例において、上記方法は、上記測定されたSNRに相応して、変調モードを決定する段階と、上記決定された変調モードに応じた変調モードインデックスを上記送信機に伝送する段階とを更に含み、上記測定されたSNRが、変調モードの決定のための境界値、γTn(ここで、n=N、N−1、…、2)と比較して、上記SNRがγTn+1より小さく、γTnより大きい場合、変調モードは、nに決定されることを特徴とする。
【0014】
また、上記方法は、多重送信アンテナを通じて信号を送信することを示す多重送信アンテナモード情報を上記送信機から受信する段階を更に含むことを特徴とする。また、上記多重送信アンテナモード情報は、上記多数の送信アンテナの数の情報及び上記基準値のうちの少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。また、上記受信機が、上記多数のアンテナの数ほど、アンテナスイッチング指示子を連続に上記送信機に伝送し、上記送信機のすべてのアンテナに対するSNRが上記基準値より小さい場合、上記受信機は、上記送信機のアンテナのうち、SNRが最も高いアンテナの情報を、上記送信機にフィードバックすることを特徴とする。
【0015】
また、上記多数のアンテナの数ほど、アンテナスイッチング指示子を連続に上記送信機に伝送し、上記多数の送信アンテナに対する全てのSNRが境界値γT2より小さい場合、上記受信機は、QPSKの変調方式で信号を送信することを、送信機に要請することを特徴とする。また、上記多数のアンテナの数ほど、アンテナスイッチング指示子を連続に上記送信機に伝送し、上記多数の送信アンテナに対する全てのSNRが、境界値γT2より小さい場合、上記受信機は、次のガード区間(guard period)の間、データをバッファーに格納し、待機要請を送信機に伝送することを特徴とする。
【0016】
本発明のまた他の側面によれば、多数の送信アンテナを含み、受信機からフィードバックを受けた変調モードに応じて信号を変調して伝送し、上記受信機から受信されたアンテナスイッチング指示子に応じて送信アンテナを切り替える送信機と、上記送信機から伝送される信号のSNRが既に定められた基準値より小さい場合、上記送信機に上記アンテナスイッチング指示子をフィードバックする受信機とを備える信号の送受信装置を提供することができる。
【0017】
好ましい実施例において、上記受信機は、上記送信機から伝送される信号のSNRに対応する変調モードを決定し、上記送信機にフィードバックすることを特徴とする。また、上記送信機は、上記受信機からフィードバックを受けた変調モードに応じて、送信信号を変調する変調部と、上記受信機からフィードバックを受けたアンテナスイッチング指示子に応じて、送信アンテナの切り替えを制御するスイッチング制御部とを備えることを特徴とする。また、上記受信機は、上記受信信号に対して、上記アンテナ毎のSNRを測定するSNR測定部と、上記測定されたSNRを上記基準値と比較して、送信機の送信アンテナを切り替えることを決定するスイッチング決定部と、上記測定されたSNRを利用して、上記変調モードを決定する変調モード決定部とを備えることを特徴とする。また、上記受信機が、上記送信機のアンテナの数ほど、アンテナスイッチング指示子をフィードバックし、上記送信機のすべてのアンテナに対するSNRが上記基準値より小さい場合、上記送信機のアンテナのうち、SNRが最も高いアンテナの情報を、上記送信機にフィードバックすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、適応変調方式と多重送信アンテナダイバーシティ技術とを組み合せることにより、信頼性を保障しながら、データを効率的に伝送することができる通信システムにおける信号の送受信方法及び装置を提供することができる。
【0019】
本発明によれば、送信端における多重のアンテナのそれぞれが、互いに異なる方向性を指向するアンテナであり、多数の方向性アンテナを合わせれば、まるで全方位(omni directional)アンテナのように見られるが、実際に使用されるアンテナは、使用者と最適の指向性を有する方向性アンテナに切り替えられて使われることにより、最適のアンテナ利得を取ることができる。本発明は、これからのMM(millimeter)‐waveに基づくWPAN(Wireless Personal Area Network)システムに最適に用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の好ましい一つの実施例に係る信号送受信装置を概略的に示す図面である。
【図2】本発明の好ましい一つの実施例に係る送信機の構成を概略的に示す図面である。
【図3】本発明の好ましい一つの実施例に係る受信機の構成を概略的に示す図面である。
【図4】本発明の好ましい一つの実施例に係る送信機と受信機との間で行われる信号の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の一つの実施例に係る送信機における信号の送受信の手続きを示す順序図である。
【図6】本発明の一つの実施例に係る受信機における信号の送受信の手続きを示す順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。
【0022】
図1は、本発明の好ましい一つの実施例に係る信号送受信装置を概略的に示す図面であり、図2及び図3は、それぞれ本発明の好ましい一つの実施例に係る送信機及び受信機の概略的な構造を示している。
【0023】
図1乃至図3を参照すれば、本発明に係る信号送受信装置は、多数のアンテナ103−1、103−2、…、及び103−Lを含む送信機101、並びに少なくとも一つのアンテナ107及び比較部106を含む受信機105を備える。
【0024】
図2に示されたように、送信機101は、変調部201、スイッチング制御部203、及び送受信部205を備える。また、受信機105は、図3に示されたように、送受信部301、SNR測定部303、スイッチング決定部305、及び変調モード決定部307を備える。上記SNR測定部303及びスイッチング決定部305は、図1の比較部106に対応することができる。
【0025】
送信機101から受信機105に送信される信号は、変調部201を通じて変調されて、多数のアンテナ103−1、103−2、…、及び103−Lのうちのいずれか一つを通じて送信され、無線チャネルを通過した送信信号は、受信アンテナ107を通じて、受信機105に入力される。ここで、上記送信機101の多数のアンテナ103−1、103−2、…、及び103−Lは、指向性を有することが好ましい。送信機101のアンテナ103がL個存在する場合、各アンテナは、2π/Lの指向性を有する。上記送信アンテナ103−1、103−2、…、及び103−Lが特定の指向性を有する場合、全方位の指向性アンテナ(omni−directional antenna)に比べて、指向性の程度ほどの電力利得を取ることができる。即ち、上記送信機101の電力利得は、Lほど大きくなることができる。
【0026】
上記送信機101は、一つのRFチェーンを有するので、送信信号を上記受信機105に伝送する場合、多数のアンテナ103−1、103−2、…、及び103−Lのうちのいずれか一つを利用する。上記送信機101から上記受信機105に最初に信号を送信する場合、上記送信機101は、上記多数のアンテナ103−1、103−2、…、及び103−Lのうちから任意のアンテナを選択し、選択されたアンテナを通じて信号を受信機105に送信することができる。上記送信機101は、上記受信機105からアンテナの切り替えを示すアンテナスイッチング指示子を受信すれば、現在の送信アンテナを他のアンテナに切り替える。
【0027】
上記変調部201で行われる変調方式は、上記無線チャネル環境に応じて、適応変調(Adaptive Modulation)方式が適用される。この時、変調方式は、上記無線チャネル環境に応じて、M−ary quadrature amplitude modulation(M−QAM)が適用される。本発明における適応変調方式は、受信機105の変調モード決定部307で決定された変調モードに対してフィードバックを受け、それにより適応変調を行うことができる。
【0028】
受信機105のSNR測定部303は、上記受信アンテナ107を通じて受信した信号の信号対雑音の比(Signal to Noise Ratio、以下、SNRという)を測定する。以後、スイッチング決定部305は、上記測定されたSNRを特定の基準値と比較し、SNRが上記基準値より小さい場合、送信機101の送信アンテナ103を切り替えることを決定する。送信機101の送信アンテナ103を切り替えることに決定された場合、受信機105は、アンテナスイッチング指示子を上記送信機101にフィードバックし、送信機101は、スイッチング制御部203を通じて現在の送信アンテナ103を切り替える。
【0029】
この時、上記アンテナスイッチング指示子は、上記スイッチング決定部305において送信アンテナを切り替えることに決定された場合にのみフィードバックされることができ、また、送信アンテナを切り替えないことに決定された場合にも、スイッチング指示子の値を別にして、上記送信機101にフィードバックされることができる。上記アンテナスイッチング指示子は、1ビットで表現することができ、例えば、「1」は、切り替えのあることを指示し、「0」は、切り替えのないことを指示する。一方、上記スイッチング指示子は、後述する変調モードインデックスと共に、又は別に、上記受信機105から上記送信機101にフィードバックされることができる。
【0030】
上記受信機105の変調モード決定部307は、上記測定されたSNRを利用して変調モードを決定する。特に、SNRがN個の領域に区分される場合、上記SNR測定部303で測定されたSNRは、上記N個の領域のうちのいずれか一つに属する。即ち、上記測定されたSNRが上記N個の領域のうちのn番目の領域(γTn,γTn+1)に属する場合、上記受信機105は、nという変調モードインデックス(index)を上記送信機101にフィードバックし、上記送信機101は、2n−QAMで変調を行う。即ち、上記SNRがγTn+1より小さく、γTnより大きい場合、上記受信機は、変調モード方式を2n‐QAMに決定する。ここで、nは、2からNまでの値を有し、2n=Mを星状図(constellation)の大きさという。
【0031】
上記N個の領域の各境界点γTnは、ターゲットBER(Bit Error Rate)により変わる。ターゲットBERが1%、0.1%、0.01%である場合、各変調の水準を区分するSNRの境界値は、下記の表1と同じである。
【0032】
【表1】

【0033】
上記受信機105は、上記決定された変調モードを示すインデックスを、上記送信機101にフィードバックする。この時、上記受信機105で受信された信号に対してSNRを測定し、切り替えの可否及び変調モードの決定時間を考慮して、上記信号には、短いガード領域(Short Guard Period)が周期的に挿入されることが好ましい。
【0034】
一方、上記特定の基準値は、要求される最小の伝送速度を満足し、アンテナの切り替えの回数を最小に制限するために、最小の変調サイズに決定されることができ、また、周波数の効率性を最大にするために、最大の変調サイズに決定されることができる。上記基準値の大きさは、上記送信機101で決定されて、上記受信機105に伝送されることができ、または上記受信機105で決定されることができる。
【0035】
図4は、本発明の好ましい一つの実施例に係る送信機と受信機との間で行われる信号の流れを示すフローチャートである。
【0036】
図4を参照すれば、まず、送信機は、伝送する信号を変調した後、変調された信号を受信機に伝送する(段階401)。この時、上記送信機は、多数のアンテナのうちのいずれか一つを通じて上記信号を伝送する。上記送信機と上記受信機とが最初の通信を行う場合、上記送信機は、多重のアンテナを利用して信号を送信するという情報、即ち、多重送信アンテナモードを指示する情報を、上記受信機に伝送することができる。この時、上記多重送信アンテナモード指示情報は、受信機において送信アンテナを切り替えるかを決定するための基準値の情報及び送信アンテナの数の情報を含むことができる。
【0037】
以後、上記受信機は、受信された信号のSNRを測定し、上記SNRと上記基準値とを比較することにより、送信アンテナを切り替えるかを決定する(段階403)。即ち、上記受信機は、測定されたSNRが上記基準値より大きいかまたは等しい場合、送信アンテナを切り替えないことに決定し、測定されたSNRが上記基準値より小さい場合、送信アンテナを切り替えることに決定する。上記基準値は、前述したように、上記送信機で決定されて、上記受信機に伝送されることができ、または上記受信機で予め決定された値であるか、適応的に変動されることができる。
【0038】
上記受信機は、段階403において決定されたアンテナの切り替えの可否に応じて、アンテナスイッチング指示子を上記送信機に伝送する(段階405)。上記アンテナスイッチング指示子は、送信アンテナが切り替えられるように決定された場合にのみ伝送されることができる。アンテナスイッチング指示子を受信した送信機は、上記アンテナスイッチング指示子が送信アンテナを切り替えることを示す場合、現在の送信アンテナを他のアンテナに切り替える(段階407)。以後、上記送信機は、切り替えられた送信アンテナを通じて、信号を上記受信機に伝送する(段階409)。
【0039】
一方、上記受信機は、段階403において測定したSNRに対応する変調モードインデックスを上記送信機に伝送することができる。この時、上記受信機は、上記変調モードインデックスを、上記スイッチング指示子と同一のチャネルを利用して伝送するか、他のチャネルを利用して伝送する。以後、段階409において、上記送信機は、上記変調モードインデックスに係る変調方式に応じて、信号を受信機に伝送する。
【0040】
上記受信機が、送信アンテナの数ほど、連続に切り替えることに決定し、上記送信アンテナのすべての経路のSNRがγT2より低い場合、受信機は、変調モードインデックスを伝送する過程において、次の2種類のオプション(option)で動作することができる。受信機は、ターゲットBERを満足しなくても、最も低い変調モード、即ち、QPSKの変調方式で信号を送信することを送信機に要請することができる(オプション1)。又は、受信機は、より良いチャネル環境のために、次のガード区間(guard period)まで、データをバッファーに格納し、待機要請を送信機にすることができる(オプション2)。
【0041】
上記基準値をいかなる値に運用するかに伴い、ミニマム・エスティメイショ・ンスキーム(Minimum Estimation Schemes)と、バンドウィドゥス・エフィシェント・スキーム(Bandwidth Efficient Schemes)とに運用されることができる。
【0042】
まず、ミニマム・エスティメイショ・ンスキームについて説明すれば、次の通りである。
【0043】
ミニマム・エスティメイショ・ンスキームの目的は、送信機におけるアンテナの切り替えの回数を最小化することである。この時、受信機は、アンテナの切り替えのための基準値を、最も低い基準値、即ち、γT2に設定する。受信機は、現在の送信アンテナにおけるSNRが上記基準値γT2より大きければ、現在のアンテナの経路のSNR値を、変調モードの決定のための臨界値(γT3,γT4,…,γTn)と比較する。上記SNRがγTn+1より小さく、γTnより大きい場合、上記受信機は、変調モードをnに決定する。この時、変調方式は、2n‐QAMとなる。上記受信機は、決定された変調モードを送信機にフィードバックし、上記送信機は、続くデータバーストに対して、上記フィードバックを受けた変調方式で変調を行う。
【0044】
一方、現在のアンテナのSNRがγT2より小さく、アンテナの切り替えを上記送信機に指示し、すべての送信アンテナに対してアンテナの切り替えを指示する場合、即ち、すべての送信アンテナに対してSNRが上記γT2より小さければ、受信機は、次の2種類のオプション(option)で動作することができる。受信機は、ターゲットBERを満足しなくても、最も低い変調モード、即ち、QPSKの変調方式で信号を送信することを送信機に要請することができる(オプション1)。又は、受信機は、より良いチャネル環境のために、次のガード区間(guard period)まで、データをバッファーに格納し、待機要請を送信機にすることができる(オプション2)。オプション1において、受信機は、一番最近のアンテナの経路を利用して信号を受信するか、又は最も良いアンテナの経路を上記送信機にフィードバックすることにより、最も良い送信アンテナを通じて信号を受信することができる。
【0045】
次に、バンドウィドゥス・エフィシェント・スキームについて説明すれば、次の通りである。
【0046】
バンドウィドゥス・エフィシェント・スキームの目的は、周波数の効率性を最大にすることである。この時、周波数の効率を上げるために、最も高い変調モードが必要である。即ち、受信機は、基準値を最も高い値、即ちγTNに設定する。受信機は、現在のアンテナの経路のSNRが上記基準値γTNより大きい場合、アンテナの切り替えを停止し、送信機につながるデータバーストを2N‐QAMに変調して送信することを要請する。万一、現在のアンテナの経路のSNRが上記基準値γTNより小さくなると、SNRが上記基準値γTNより大きいアンテナの経路を探し出して切り替えることを上記送信機にフィードバックする。すべてのアンテナに対するSNRが上記基準値γTNより小さければ、受信機は、最後のアンテナの経路に対するSNRに応じて変調モードを決定して、上記送信機にフィードバックするか、又はすべてのアンテナの経路のSNRを比較して、最も大きい値を有するSNRを決定し、決定されたSNRに対応する送信アンテナ情報及びこれに対する変調モードを決定し、上記送信機にフィードバックすることができる。
【0047】
一方、最悪の場合、すべてのアンテナの経路のSNRがγT2より小さい場合、ミニマム・エスティメイショ・ンスキームと同様に、2種類のオプションにより運用されることができる。受信機は、ターゲットBERを満足しなくても、最も低い変調モード、即ち、QPSKの変調方式で信号を送信することを送信機に要請することができる(オプション1)。又は、受信機は、より良いチャネル環境のために、次のガード区間(guard period)まで、データをバッファーに格納し、待機要請を送信機にすることができる(オプション2)。
【0048】
図5は、本発明の一つの実施例に係る送信機における信号の送受信の手続きを示す順序図である。
【0049】
図5を参照すれば、まず、送信機は、受信機に伝送する信号を変調し、上記受信機に伝送する(段階501)。この時、上記送信機は、多重送信アンテナを使用することを示す多重送信アンテナモード情報を、上記受信機に伝送することができる。この時、上記多重送信アンテナモード情報は、送信アンテナの数、切り替えを決定するための基準値の情報などを含むことができる。以後、送信機は、受信機からアンテナスイッチング指示子及び変調モードインデックスを受信する(段階503)。この時、上記アンテナスイッチング指示子及び変調モードインデックスは、同じチャネル又は他のチャネルを通じて受信されることができる。
【0050】
上記送信機は、上記アンテナスイッチング指示子が送信アンテナの切り替えを指示するかを判断する(段階505)。上記判断の結果、アンテナの切り替えを指示する場合、上記受信機は、段階507に移動して、現在の送信アンテナを他のアンテナに切り替える。上記判断の結果、アンテナの切り替えを指示しない場合、上記送信機は、段階509に進行する。段階509において、上記送信機は、上記受信された変調モードインデックスに対応する変調モードに応じて信号を変調した後、受信機に伝送する。
【0051】
図6は、本発明の一つの実施例に係る受信機における信号の送受信の手続きを示す順序図である。
【0052】
図6を参照すれば、受信機は、送信機から伝送された信号を受信する(段階601)。上記受信機は、上記受信した信号のSNRを測定する(段階603)。
【0053】
以後、上記受信機は、測定されたSNRを特定の基準値と比較する(段階605)。この時、上記基準値は、前述したように、上記送信機を通じて伝送されるか、自体的に決定された値であるか、又は上記送信機との通信の種類に応じて適応的に変更されることができる。
【0054】
段階605における比較の結果、SNRが基準値より大きいか、又は等しい場合、受信機は、段階607を行い、SNRが基準値より小さい場合、段階609を行う。
【0055】
段階607において、上記受信機は、上記SNRを、変調モードの決定のための臨界値(γT3,γT4,・・・,γTn)と比較して、上記SNRがγTn+1より小さく、γTnより大きい場合、上記受信機は、変調モードをnに決定し、これを送信機にフィードバックする。
【0056】
段階609において、上記受信機は、アンテナを切り替えることを指示するアンテナスイッチング指示子及び変調モードインデックスを、上記送信機にフィードバックする。この時、上記変調モードインデックスの決定方法は、段階607と同一である。
【0057】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の思想内において当分野の通常の知識を有する者により可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0058】
101:送信機
105:受信機
201:変調部
203:スイッチング制御部
301:送受信部
305:スイッチング決定部
307:変調モード決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その結合が既設定された範囲の方位に対するアンテナのように見られるように各々互いに異なる指向性を有する多数のミリ波アンテナを含む送信機が、少なくとも一つのミリ波アンテナを備えた受信機と信号を送受信する方法であって、
前記含まれた多数のミリ波アンテナのうち選択可能なアンテナの数と送信アンテナの切り替えの可否を決定するための基準値を多重送信アンテナモード情報で前記受信機に送信する段階と、
前記多重送信アンテナモード情報に含まれた基準値より受信信号の測定SNRが小さい場合にのみ、前記受信機から提供されるアンテナスイッチング指示子を受信する場合、前記多数のミリ波アンテナのうち既存と異なる指向性のミリ波アンテナを選択する段階と、
前記受信機が既設定された複数の領域のうち受信信号の測定SNRが属する領域の値をインデックスとして生成及び伝送する変調モードインデックスを前記スイッチング指示子と同一であるかまたは異なるチャネルを介して受信し、現在チャネル状態による変調モードで信号を伝送する段階と、を含むことを特徴とする信号送受信方法。
【請求項2】
前記受信機が提供する変調モードインデックスは、前記受信機により受信された信号のSNRが、変調モードの決定のための境界値、γTn(ここで、n=N、N−1、…、2)と比較して、前記SNRがγTn+1より小さく、γTnより大きい場合、nに決定されることを特徴とする、請求項1に記載の信号の送受信方法。
【請求項3】
前記受信機が、前記送信機のアンテナの数ほど、アンテナスイッチング指示子を連続に前記送信機にフィードバックする場合、前記受信機は、前記送信機の多数のアンテナのうち、SNRが最も高いアンテナの情報を、前記送信機にフィードバックし、前記送信機は、SNRが最も高いアンテナを通じて信号を伝送することを特徴とする、請求項1に記載の信号の送受信方法。
【請求項4】
少なくとも一つのミリ波アンテナを備えた受信機が、その結合が既設定された範囲の方位に対するアンテナのように見られるように各々互いに異なる指向性を有する多数のミリ波アンテナを含む送信機と信号を送受信する方法であって、
前記送信機から、前記含まれた多数のミリ波アンテナのうち選択可能なアンテナの数と送信アンテナの切り替えの可否を決定するための基準値を多重送信アンテナモード情報で受信する段階と、
前記受信された多重送信アンテナモード情報の基準値より前記送信機から受信される信号のSNRが小さい場合、他の指向性のアンテナを選択するように指示するアンテナスイッチング指示子を前記送信機に提供する段階と、
前記送信機から受信される信号のSNR測定を通じて既設定された複数の領域のうち前記測定SNRの属する領域の情報をインデックスとする変調モードインデックスを前記スイッチング指示子と同一であるか異なるチャネルを通じて前記送信機に伝送する段階と、を含むことを特徴とする信号送受信方法。
【請求項5】
前記受信機は、前記送信機から受信した信号ののSNRが、変調モードの決定のための境界値、γTn(ここで、n=N、N−1、…、2)と比較して、前記受信信号のSNRがγTn+1より小さく、γTnより大きい場合、前記変調モードインデックスをnに決定されることを特徴とする、請求項4に記載の信号の送受信方法。
【請求項6】
前記受信された多重送信アンテナモード情報上の送信機のアンテナの数ほど、前記スイッチング指示子を連続に送信する場合、測定されたSNRが最も高い送信機アンテナの情報を前記送信機に提供することを特徴とする、請求項4に記載の信号の送受信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−147456(P2012−147456A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−43452(P2012−43452)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【分割の表示】特願2009−547165(P2009−547165)の分割
【原出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(505176556)コリア ユニバーシティ インダストリアル アンド アカデミック コラボレイション ファウンデーション (29)
【Fターム(参考)】