説明

通信システム

【課題】施設内での撮影や録音によるデータを施設の利用客等に提供可能としながらも、当該データを用意するための負担の削減や、当該データの多様性の向上が容易となる通信システムを提供する。
【解決手段】遊園地などの施設内における撮影または録音により得られたデータ(施設内データ)を記憶するサーバと、施設内に設置されているとともに、サーバにネットワークを介して接続されており、さらに、電子機器に無線接続されることによって、該電子機器とサーバとの通信を可能とするアクセスポイントと、を有し、サーバは、前記通信によって、電子機器に施設内データを送信するデータ送信処理と、前記通信によって、電子機器からデータを受信し、該受信されたデータを施設内データとして記憶するデータ記憶処理と、を行う通信システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像データを送信するサーバ、およびアクセスポイントを有する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラやボイスレコーダのように、外に持ち出して撮影や録音を手軽に行うことができる電子機器が広く普及している。これにより、遊園地などの集客施設を訪れた利用客は、施設内の風景の画像データなどを入手することが可能である。
【0003】
しかしながら、例えばその利用客がデジタルカメラを持っていたとしても、機器の取扱いに不慣れであったり、昼間に訪れたので夜景を撮ることができなかったりすることがある。このような場合、この利用客は、必ずしも所望の画像データを入手できるとは限らない。
【0004】
ここで特許文献1によれば、撮影場所に設置されたデータサーバから、撮影場所の画像データを受取ることが可能なデジタルカメラが開示されている。かかるデジタルカメラによれば、利用客自身の撮影によって所望の画像データを得ることができなかった場合であっても、データサーバに所望の画像データが登録されていれば、これを入手することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−221753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように特許文献1に係る技術によれば、集客施設の利用者にとっては、所望の画像データを入手できる可能性が高まるため、便利であるといえる。また、利用客にとっての集客施設の魅力が向上し、集客力が向上することも期待できる。ただし、このような画像データの入手を可能としておくためには、予めデータサーバに、撮影場所の画像データ等を種々登録させておく必要がある。
【0006】
しかし、例えば集客施設の管理者自身が、様々な種類の画像データを用意してデータサーバに登録させておくことは、当該管理者にとって負担の大きい作業となる。またこのようにすると、各画像は管理者の趣味に偏ったものとなりがちであり、多様性に富んだ様々な画像データを用意することは、難しいと考えられる。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑み、施設内での撮影や録音によるデータを施設の利用客等に提供可能としながらも、当該データを用意するための負担の削減や、当該データの多様性の向上が容易となる通信システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信システムは、遊園地などの施設内における撮影または録音により得られたデータ(「施設内データ」とする)を記憶するサーバと、前記施設内に設置されているとともに、前記サーバにネットワークを介して接続されており、さらに、電子機器に無線接続されることによって、該電子機器と前記サーバとの通信を可能とするアクセスポイントと、を有する通信システムであって、前記サーバは、前記通信によって、前記電子機器に施設内データを送信するデータ送信処理と、前記通信によって、前記電子機器からデータを受信し、該受信されたデータを施設内データとして記憶するデータ記憶処理と、を行う構成とする。
【0009】
本構成によれば、当該電子機器を所持した施設の利用客等に、施設内データを提供することが可能である。また当該電子機器を所持した利用客等は、自らが施設内での撮影や録音によって得たデータを、施設内データとしてサーバにアップロードすることが可能である。
【0010】
そのため例えば、施設の利用客同士で、サーバを介して施設内データを交換し合うことが可能となる。その結果、各利用客は、他の利用客によってアップロードされた施設内データを入手することが可能となり、多様な施設内データを入手することが容易となる。また、施設の管理者等にとっては、施設内データを用意するための負担を軽減させることが容易となる。なおここでの「施設」は、その種類が限定されるものではなく、例えば、イベント会場や観光地などであってもよい。
【0011】
また上記構成としてより具体的には、前記電子機器としての撮影装置をも有し、前記施設内データは、該撮影装置による撮影によって得られた画像データであり、該撮影装置は、前記データ送信処理によって送信されてきた画像データを記憶する構成としてもよい。なおここでの「画像データの記憶」は、当該撮影装置と一体化されているメモリを用いた記憶だけでなく、当該撮影装置に接続されている記憶媒体(SDメモリーカード等)や記憶装置を用いた記憶等も含まれる。
【0012】
また上記構成において、前記撮影装置は、ユーザによる、該撮影装置に記憶されている画像データの指定、ならびに、該画像データについての撮影条件の指定、を受付ける第1処理、第1処理にて指定された画像データおよび指定された撮影条件の情報を、前記サーバに送信する第2処理、ユーザの指示に応じて、前記サーバに、該サーバに記憶されている各画像データについてのサムネイルの送信要求を行う第3処理、前記サーバから受信した該サムネイルを表示させ、ユーザによる、該サムネイルに係る画像データの指定を受付ける第4処理、および、前記サーバに、第4処理にて指定された画像データの送信を要求する第5処理、の各処理を実行し、前記サーバは、前記撮影装置から受信した画像データを、前記撮影条件ごとに分類して記憶する第6処理、前記撮影装置からのサムネイルの送信要求に応じて、前記サムネイルを該撮影装置に送信する第7処理、および、前記撮影装置からの画像データの送信要求に応じて、前記指定された画像データを該撮影装置に送信する第8処理、の各処理を実行する構成としてもよい。
【0013】
本構成によれば、撮影装置による撮影によって得られた画像データを、サーバに、撮影条件(例えば、撮影時の季節、時間帯、天気、またはこれらの組み合わせなど)ごとに分類して記憶させることが可能となる。そのため、ユーザに指定された撮影条件の画像データだけを、サーバからダウンロードするといったことが容易となり、通信システムの利便性を向上させることが可能となる。
【0014】
また更に、画像データのダウンロードの際には、サーバから撮影装置にサムネイルが送信されるともに当該サムネイルが表示され、ユーザがこのサムネイルに係る画像データの中から、ダウンロードすべき画像データを指定することができる。そのため、通信負担を極力抑えつつ、ユーザにとっての利便性を向上させることが可能となる。
【0015】
また上記構成において、前記撮影装置は、文字などの表示データの入力を受付ける入力部と、該入力された表示データと;該撮影装置が記憶している画像データと;が合成された合成データを生成する合成部と、該合成データの表示または印刷を実行する合成データ出力部と、を備える構成としてもよい。
【0016】
本構成によれば、合成データの表示または印刷が実行されるため、ユーザにとっての、画像データの活用の幅を広げること可能となる。
【0017】
また上記構成において、前記ネットワークは、イントラネットとして構成されており、インターネットからは遮断されている構成としてもよい。
【0018】
本構成によれば、インターネットを介して、サーバに記憶されている施設内データが外部に流出することを、未然に防ぐことが可能となる。そのため、施設内データの入手場所を、アクセスポイントが設置された施設内に限ることが可能となり、当該施設の集客力を維持させることが容易となる。
【0019】
また上記構成において、前記ネットワークは、イントラネットとして構成されており、ゲートウェイを介して、インターネットに接続されている構成としてもよい。
【0020】
本構成によれば、アクセスポイントに接続可能な電子機器によって、施設内データのダウンロードやアップロードが可能であるとともに、当該電子機器を用いて、施設内でのブラウジング等を行うことも可能となる。
【発明の効果】
【0021】
上述した通り、本発明に係る通信システムによれば、当該電子機器を所持した施設の利用客等に、施設内データを提供することが可能である。また当該電子機器を所持した利用客等は、自らが施設内での撮影や録音によって得たデータを、施設内データとしてサーバにアップロードすることが可能である。
【0022】
そのため例えば、施設の利用客同士で、サーバを介して施設内データを交換し合うことが可能となる。その結果、各利用客は、他の利用客の各々によってアップロードされた施設内データを入手することが可能となり、多様な施設内データを入手することが容易となる。また、施設の管理者等にとっては、施設内データを用意するための負担を軽減させることが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図1に示す構成の通信システムを例に挙げて、以下に説明する。図1に示すように、当該通信システム1は、サーバ11、イントラネット12、アクセスポイント13、およびデジタルカメラ14(撮影装置の一種)などを有している。
【0024】
サーバ11は、例えば有線LANの機能を備えた汎用のパーソナルコンピュータによって構成されており、図2に示すように、ROM21、RAM22、CPU23、HDD24、キーボード25、マウス26、モニタ27、および通信部28などを有している。
【0025】
ROM21は、例えば不揮発性メモリであるフラッシュメモリにより構成され、電源起動時に最初に実行されるBIOSを格納する。BIOSは、HDD24やキーボード25などの周辺機器を制御するプログラム群であり、OSやアプリケーションを起動する前に実行される。
【0026】
RAM22は、ROM21などと比較して高速アクセスが可能なDDR等により構成された読書き可能なメモリであり、ROM21やHDD24に格納されたプログラムがコピーされる。
【0027】
CPU[Central Processing Unit]23は、RAM22などのメモリに格納されたプログラムを読込み、実行することによって、様々な数値計算、情報処理、および機器制御などを行う。なお、サーバ11が実行する主な処理の内容については、改めて説明する。
【0028】
HDD24は、OS、通信ICを制御するドライバソフトウェア、およびデジタルカメラ14に提供するサービス等に関するデータ(プロトコルスタックや画像データ)などを格納する。
【0029】
なおHDD24は、図3に示すように、画像データを記憶する記憶領域として、季節(春・夏・秋・冬)、時間帯(朝・昼・夜)、および天気(晴れ・曇り・雨)の組み合わせによる区分(以下、「カテゴリ」と称する)ごとに、別個の記憶領域を有している。このカテゴリは、画像データに係る撮影時の状況、換言すれば、画像データについての撮影条件を表している。
【0030】
例えばある画像データが、春の日の夜であって、かつ晴れている時の撮影によるものであれば、この画像データは、「春・夜・晴れ」という撮影条件に対応したカテゴリに属していることになる。またこの画像データがHDD24に記録される場合には、図3に示す「記憶領域131」に記録されることが想定される。
【0031】
このようにサーバ11は、撮影条件ごとに、画像データを分類して記憶することが可能となっている。なお季節については、例えば3〜5月を「春」、6〜8月を「夏」、9〜11月を「秋」、12〜2月を「冬」とし、時間帯については、例えば6〜12時を「朝」、12時〜18時を「昼」、18時〜6時を「夜」とする。また天気については、空における雲が占める割合や、降水量などに基づいて分類される。
【0032】
キーボード25およびマウス26は、ヒューマンインターフェースを司る入力装置である。またモニタ27は、例えばCRT(ブラウン管)や液晶ディスプレイが用いられた画像表示装置である。
【0033】
通信部28は、イントラネット12に有線接続されており、アクセスポイント13に接続されているデジタルカメラ14との通信を行う。また通信部28は、デジタルカメラ14との間で互いにデータ転送を行うための通信規約として、例えばFTP[File Transfer Protocol]を用いる。なおFTPの内容(通信方式や機器同士の接続手順など)については周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0034】
一方、イントラネット12は、サーバ11と各アクセスポイント13を互いに接続し、通信可能とするように設けられた限定的なネットワークであり、インターネットからは遮断されている。なおイントラネット12は、例えば有線LAN等であっても構わない。
【0035】
アクセスポイント13は、Wi−Fi基地局(ホットスポット)として構成されており、CPU、ROM、RAM、HDD、有線LANを用いた通信機能、および無線LANを用いた通信機能などを有している。これにより、アクセスポイント13は、Wi−Fi対応のデジタルカメラ14との無線接続が可能となっている。
【0036】
そのためデジタルカメラ14は、アクセスポイント13との無線接続時に、イントラネット12を介したサーバ11との通信が可能となる。またアクセスポイント13は、所定の集客施設(例えば遊園地のように一定の敷地を有する施設であり、以下、単に「集客施設」とする)内に、複数が設置されている。なおWi−Fiについては公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0037】
またデジタルカメラ14は、図4に示す通り、制御部31、撮像素子32、画像処理部33、メモリ34、通信部35、操作キー36、モニタ37、および印刷部38などを備えている。
【0038】
制御部31は、各部の制御を通じて、デジタルカメラ14において実行される各種処理を実行する。なおデジタルカメラ14において実行される主な処理の内容については、改めて説明する。
【0039】
撮像素子32は、例えばCCDやCMOSによって構成されており、被写体の光学像に応じた情報(つまり、被写体の画像データの元となる情報)を取得する。また画像処理部33は、撮像素子32から伝送された情報に基づいて、被写体の画像データを生成し、メモリ34に伝送する。なお画像データの内容は、静止画であるか動画であるかを問わない。
【0040】
メモリ34は、例えば書換え可能な不揮発性メモリによって構成されており、画像処理部33もしくは通信部35から伝送されてきた画像データ等を記憶する。なお、デジタルカメラ14にSDドライブ等の記憶媒体接続装置が設けられていれば、メモリ34は、SDメモリカード等の記憶媒体であっても構わない。
【0041】
通信部35は、制御部31の指示に応じて、先述したアクセスポイント13に無線接続し、サーバ11との通信を実行する。当該通信を通じて、デジタルカメラ14は、サーバ11への画像データのアップロードや、サーバ11からの画像データのダウンロードなどを実行することが可能である。
【0042】
操作キー36は、例えばユーザによって操作される押しボタンスイッチ等を有しており、操作内容を制御部31に伝える。これにより、デジタルカメラ14は、ユーザの意図を反映させた各処理を行うことが可能となっている。
【0043】
モニタ37は、ディスプレイを有しており、制御部31の指示に応じて、画像データに基づいた画像などを表示する。また印刷部38は、制御部31の指示に応じて、適宜補給された印刷用紙などに、画像データに基づいた画像などを印刷する。
【0044】
なお、サーバ11、イントラネット12、およびアクセスポイント13は、集客施設の管理者などによって管理される。また先述した通り、アクセスポイント13は集客施設内に設置されるが、サーバ11の設置場所については、集客施設の内外を問わない。またデジタルカメラ14は、例えば、集客施設の利用客の各々が個人的に持参したものであってもよく、集客施設の管理者から利用客の各々に貸与されたものであってもよい。
【0045】
上述した構成の通信システム1によれば、サーバ11は、デジタルカメラ14に集客施設内の画像データ(集客施設内において、撮影によって得られた画像データ)を送信する処理、および、デジタルカメラ14から画像データを受信して記憶する処理を行うことが可能となっている。ここで、これらに関する処理の流れについて、図5および図6に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0046】
まず初めに、デジタルカメラ14が行う処理について説明する。
【0047】
デジタルカメラ14は、通常時、何れかのアクセスポイント13を介して、サーバ11に接続されたか否かを継続的に監視する(ステップS1)。なおデジタルカメラ14は、次の手順を経て、サーバ11に接続される。
【0048】
ユーザによるサーバ11への接続指示がなされると、デジタルカメラ14は先ず、無線接続可能なアクセスポイント13を探索し、発見したアクセスポイント13の識別子であるSSIDを取得して、当該アクセスポイント13に接続する。その後、デジタルカメラ14は、ユーザによるサーバアドレスの入力を受け付ける。
【0049】
なお当該サーバアドレスは、集客施設の入場券やパンフレット等に記載されており、ユーザは、予めこれらを入手していれば、サーバアドレスを知ることができる。そしてユーザがサーバアドレスを入力することにより、デジタルカメラ14はサーバ11に接続されることとなる。
【0050】
またデジタルカメラ14は、サーバ11に接続された状態においては、ユーザにより画像データのダウンロードの指示が有ったか(ステップS2)、ユーザにより画像データのアップロードの指示が有ったか(ステップS3)、およびサーバ11との接続が切断されたかどうか(ステップS4)を、継続的に監視する。
【0051】
そしてダウンロードの指示が有った場合には(ステップS2のY)、デジタルカメラ14はサーバ11に対して、カテゴリの一覧を表す情報(以下、「カテゴリ一覧情報」とする)の送信を要求する(ステップS5)。これによりサーバ11は、当該要求に応じて、カテゴリ一覧情報をデジタルカメラ14に送信することとなり(後述するステップS22およびS26の処理を参照)、デジタルカメラ14はカテゴリ一覧情報を取得する。
【0052】
その後デジタルカメラ14は、カテゴリ一覧情報の内容(カテゴリ一覧)をモニタ37に表示させるとともに、ユーザによるカテゴリの指定を受付ける(ステップS6)。そしてカテゴリが指定されたら(ステップS6のY)、デジタルカメラ14はサーバ11に対して、サーバ11が記憶している各画像データのうち、指定されたカテゴリに属するものについてのサムネイルの送信を要求する(ステップS7)。
【0053】
これによりサーバ11は、当該要求に応じて、サムネイルをデジタルカメラ14に送信することとなり(後述するステップS21およびS25の処理を参照)、デジタルカメラ14は当該サムネイルを取得する。なおサムネイルは、縮小された画像の各々を表すものである。
【0054】
その後デジタルカメラ14は、当該サムネイルをモニタ37に表示させ、ユーザによる、当該サムネイルに係る画像データ(サムネイル中の何れかの画像を表す画像データ)の指定を受け付ける(ステップS8)。そしてユーザによって当該指定がなされたら(ステップS8のY)、デジタルカメラ14はサーバ11に対して、指定された画像データの送信を要求する(ステップS9)。
【0055】
これによりサーバ11は、この要求に応じて、当該画像データをデジタルカメラ14に送信することとなり(後述するステップS23およびS27の処理を参照)、デジタルカメラ14は当該画像データを取得する。なお取得された画像データは、メモリ34に記憶される。なおステップS9の処理がなされた後は、ステップS4の処理に戻る。
【0056】
一方、アップロードの指示が有った場合には(ステップS3のY)、デジタルカメラ14はサーバ11に対して、カテゴリ一覧情報の送信を要求する(ステップS10)。これによりサーバ11は、当該要求に応じて、カテゴリ一覧情報をデジタルカメラ14に送信することとなり(後述するステップS22およびS26の処理を参照)、デジタルカメラ14はカテゴリ一覧情報を取得する。
【0057】
その後デジタルカメラ14は、メモリ34に記憶されている各画像データの画像一覧と、カテゴリ一覧を、モニタ37に表示させる。またデジタルカメラ14は、ユーザによる、メモリ34に記憶されている各画像データのうちの何れかの指定、および、カテゴリの指定を受付ける(ステップS11)。なお当該カテゴリの指定については、指定された画像データの撮影条件に対応するカテゴリが指定されるように、ユーザに促される。これにより、ユーザによって、当該画像データについての撮影条件が指定されることになる。
【0058】
ここで、画像一覧とカテゴリ一覧の表示は、例えば、図7に示す態様でなされる。当該表示では、画像の種類ごと、および撮影条件の要素(季節、時間帯、および天気)ごとにチェック欄37aが設けられており、ユーザが操作キー36を操作して、任意のチェック欄37aにチェックを入れることが可能となっている。これによりユーザは、画像データの指定およびカテゴリの指定を行うことが可能となっている。
【0059】
なお図7に示す状態では、「A02」に係る画像データが指定されていることになる。また図7に示す状態では、「春・夜・晴れ」という撮影条件に対応したカテゴリが指定されており、この指定内容は、図3における記憶領域131に対応している。
【0060】
そして画像データおよびカテゴリ(当該画像データについての撮影条件)の指定がなされたら(ステップS11のY)、デジタルカメラ14は、指定された画像データと、指定されたカテゴリの情報(以下、「指定カテゴリ情報」とする)をサーバ11に送信する。またステップS12の処理がなされた後は、ステップS4の処理に戻る。
【0061】
また、ユーザによってサーバ11との接続を切断する指示がなされた場合や、デジタルカメラ14とアクセスポイント13との距離が離れ過ぎて、無線接続が不可となった場合等においては、デジタルカメラ14とサーバ11との接続は切断されることになる。この場合には(ステップS4のY)、ステップS1の処理に戻る。
【0062】
次に、サーバ11が行う処理について説明する。
【0063】
サーバ11は通常時、デジタルカメラ14から、サムネイルの送信要求が有ったか(ステップS21)、カテゴリ一覧情報の送信要求が有ったか(ステップS22)、画像データの送信要求が有ったか(ステップS23)、および、指定カテゴリ情報と画像データを受信したか(ステップS24)を、継続的に監視する。
【0064】
そして指定されたカテゴリのサムネイルの送信要求(ステップS7の処理を参照)が有った場合(ステップS21のY)、サーバ11は、HDD24に格納されている各画像データのうち、当該指定されたカテゴリに属するものについてのサムネイルを作成し、これをデジタルカメラ14に送信する(ステップS25)。
【0065】
またカテゴリ一覧情報の送信要求(ステップS10の処理を参照)が有った場合(ステップS22のY)、サーバ11は、カテゴリ一覧情報を作成し、これをデジタルカメラ14に送信する(ステップS26)。なお本実施例の場合は、先述した通り、「季節」、「時間帯」、および「天気」を組み合わせた撮影条件に対応してカテゴリが設定されており、このことを示すカテゴリ一覧情報が、デジタルカメラ14に送信されることになる。
【0066】
また指定された画像データの送信要求(ステップS9の処理を参照)が有った場合(ステップS23のY)、サーバ11は、HDD24に格納されている各画像データのうち、当該指定された画像データを選出して、これをデジタルカメラ14に送信する(ステップS27)。
【0067】
また指定カテゴリ情報と画像データを受信した場合には(ステップS24のY)、サーバ11は、HDD24における指定カテゴリ情報に対応する記憶領域に、受信された画像データを記録する(ステップS28)。これによりサーバ11は、デジタルカメラ14から受信した画像データを、その撮影条件ごとに分類して記録することとなる。なお、ステップS25〜S28の何れかの処理がなされた後は、ステップS21の処理に戻る。
【0068】
以上に説明した一連の処理が実行されることにより、集客施設の利用客(デジタルカメラ14のユーザ)は、集客施設内において、デジタルカメラ14を使った撮影による画像データを、サーバ11にアップロードすることが可能である(特に、ステップS1、S3、S10〜S12、S24、S28を参照)。
【0069】
そのため、多くの利用客がそれぞれ当該アップロードを実行することにより、サーバ11には、集客施設内での撮影による様々な種類の画像データ(集客施設内での位置や撮影方向、撮影時の季節、時間帯、天気などが異なる画像データ)が、次々と蓄積されることが期待される。
【0070】
また各利用客は、集客施設内において、サーバ11に蓄積されている任意の画像データをダウンロードすることが可能である(特に、ステップS1、S2、S5〜S9、S23、S27を参照)。その際、利用客は、他の利用客によってサーバ11にアップロードされている画像データをダウンロードすることが可能である。そのため各利用客は、様々な種類の画像データから、所望のものを選出して入手することが可能となっている。
【0071】
このように通信システム1によれば、サーバ11を介して、利用客同士で画像データを交換し合うことが可能となっている。またこれにより、サーバ11の管理者から見れば、様々な種類の画像データを、予めサーバ11に登録しておく手間を省くことが可能である。
【0072】
またデジタルカメラ14は、メモリ34に格納されている画像データ(つまり、自機の撮影による画像データ、もしくはサーバ11からダウンロードされた画像データ)の画像を、モニタ37を通じて表示したり、印刷部38を通じて印刷したりすることが可能となっている。
【0073】
また更にデジタルカメラ14は、メモリ34に格納されている画像データについての、編集機能を有している。特に、ユーザが操作キー36を通じて、文字や記号といった表示に用いられる情報(表示情報)を入力することが可能となっており、更にこの表示情報の内容と画像データの画像とが合成された(重ね合わされた)合成データを生成することが可能となっている。
【0074】
これにより、ユーザにとっては、画像データの活用の幅を広げることが可能となっている。例えば、集客施設内の風景画像と挨拶文が合成されたものを、モニタ37に表示させることや、郵便葉書等に印刷させて絵葉書を作成すること等も可能となっている。
【0075】
また先述したように、サーバ11とアクセスポイント13を結んでいるイントラネット12は、インターネットからは遮断されている。そのため、何者かがインターネットを介したサーバ11にアクセスすることは、不可能となっている。
【0076】
これにより、インターネットを介して、サーバ11に記憶されている画像データが外部に流出することを、未然に防ぐことが可能となっている。その結果、画像データの入手場所を、各アクセスポイント13が設置された集客施設内に限ること(逆に言えば、集客施設外では画像データの入手を不可とすること)が可能となっており、集客施設の集客力を維持させることが容易となっている。
【0077】
ただし例えば図8に示すように、イントラネット12は、所定のゲートウェイ15を介して、インターネット16に接続された状態としても構わない。このようにすれば、デジタルカメラ14を所持した利用客にとっては、サーバ11からの画像データのダウンロードやアップロードが可能であるとともに、集客施設内でのブラウジング等を行うことも可能となる。なおこの場合、例えばゲートウェイ15におけるセキュリティ対策を十分にしておくことで、インターネット16を介して画像データが不正に引出されることを、極力防止することが可能である。
【0078】
また本実施例では、サーバ11とデジタルカメラ14との間で画像データの送受信を行うものとなっているが、本発明の他の実施形態としては、デジタルカメラの代わりに他の電子機器であっても良く、また、画像データの代わりに他のデータであっても構わない。例えば、アクセスポイント13に接続可能なボイスレコーダが、サーバ11との間で、音声データ(集客施設内での録音により得られたデータ)の送受信を行うものであっても構わない。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明は、その主旨を逸脱しない範囲において、種々の改変を加えて実施されうる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、集客施設の利用客に画像データを提供する、通信システム等の分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るサーバの構成図である。
【図3】サーバにおける画像データの記憶領域に関する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの構成図である。
【図5】本発明の実施形態に係るデジタルカメラが行う処理の流れ図である。
【図6】本発明の実施形態に係るサーバが行う処理の流れ図である。
【図7】ステップS11の処理に関する説明図である。
【図8】本発明の別の実施形態に係る通信システムの構成図である。
【符号の説明】
【0082】
1 通信システム
11 サーバ
12 イントラネット(ネットワーク)
13 アクセスポイント
14 デジタルカメラ(電子機器、撮影装置)
15 ゲートウェイ
16 インターネット
21 ROM
22 RAM
23 CPU
24 HDD
25 キーボード
26 マウス
27 モニタ
28 通信部
31 制御部
32 撮像素子
33 画像処理部
34 メモリ
35 通信部
36 操作キー
37 モニタ
37a チェック欄
38 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地などの施設内における撮影または録音により得られたデータ(「施設内データ」とする)を記憶するサーバと、
前記施設内に設置されているとともに、前記サーバにネットワークを介して接続されており、さらに、電子機器に無線接続されることによって、該電子機器と前記サーバとの通信を可能とするアクセスポイントと、
を有する通信システムであって、
前記サーバは、
前記通信によって、前記電子機器に施設内データを送信するデータ送信処理と、
前記通信によって、前記電子機器からデータを受信し、該受信されたデータを施設内データとして記憶するデータ記憶処理と、
を行うことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記電子機器としての撮影装置をも有する、請求項1に記載の通信システムであって、
前記施設内データは、
該撮影装置による撮影によって得られた画像データであり、
該撮影装置は、
前記データ送信処理によって送信されてきた画像データを記憶することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
前記撮影装置は、
ユーザによる、該撮影装置に記憶されている画像データの指定、ならびに、該画像データについての撮影条件の指定、を受付ける第1処理、
第1処理にて指定された画像データおよび指定された撮影条件の情報を、前記サーバに送信する第2処理、
ユーザの指示に応じて、前記サーバに、該サーバに記憶されている各画像データについてのサムネイルの送信要求を行う第3処理、
前記サーバから受信した該サムネイルを表示させ、ユーザによる、該サムネイルに係る画像データの指定を受付ける第4処理、および、
前記サーバに、第4処理にて指定された画像データの送信を要求する第5処理、
の各処理を実行し、
前記サーバは、
前記撮影装置から受信した画像データを、前記撮影条件ごとに分類して記憶する第6処理、
前記撮影装置からのサムネイルの送信要求に応じて、前記サムネイルを該撮影装置に送信する第7処理、および、
前記撮影装置からの画像データの送信要求に応じて、前記指定された画像データを該撮影装置に送信する第8処理、
の各処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記撮影装置は、
文字などの表示データの入力を受付ける入力部と、
該入力された表示データと;該撮影装置が記憶している画像データと;が合成された合成データを生成する合成部と、
該合成データの表示または印刷を実行する合成データ出力部と、
を備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記ネットワークは、
イントラネットとして構成されており、
インターネットからは遮断されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記ネットワークは、
イントラネットとして構成されており、
ゲートウェイを介して、インターネットに接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−114543(P2010−114543A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283865(P2008−283865)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】