説明

通信システム

【課題】複数のシンク機器が混在するHDMI経路を、無線などで中継した場合にも、正しく物理アドレスの変換を行うこと。
【解決手段】シンク装置を基準にして中継装置に割り当てられる第1物理アドレスを取得する処理と、他の中継装置の下流に接続される他のシンク装置を基準にして中継装置に割り当てられる第2物理アドレスを取得する処理と、コマンドを他の中継装置に転送する必要があるか否かを判別する第1判別処理と、コマンドを他の中継装置に転送する必要があると判断した場合に、パラメータに含まれる物理アドレスの変換を他の中継装置で行うか否かを判別する第2判別処理と、物理アドレスの変換を他の中継装置で行わないと判断した場合に、第1物理アドレスおよび第2物理アドレスを用いて、パラメータに含まれる物理アドレスを他のシンク装置を基準にした物理アドレスに変換する変換処理とを実行するアドレス管理部338を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像ストリームの伝送を中継する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビと録画装置との間の映像信号および音声信号の伝達にHDMI(High-Definition Multimedia Interface)規格が用いられつつある。
【0003】
特許文献1には、表示装置で、HDMIネットワーク上の機器へ物理アドレスを要求し、表示装置と外部機器の接続状態を取得し管理する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、表示システムで、HDMI入力が一つしかない表示装置に接続されたリピータ機器であるAVアンプが2つの入力端子を設けて中継装置の役割を果たすことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−35190号公報
【特許文献2】特開2008−34976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、伝送路B上の機器間のみの伝送(Native)、もしくは伝送路Bを経由し伝送路Aを1対1接続した伝送(Pass Through)にしか対応できず、複数のシンク(Sink)機器(TVなど)が存在する場合に、物理アドレス変換をうまく行うことができず、経路制御および映像ストリーム伝送を行うことができなかった。
【0007】
本発明の目的は、それぞれシンク機器およびソース装置を有する複数のシステム間において、正しく物理アドレス変換を行うことが可能な通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一例に係わる、入力された映像を表示する第1のシンク装置を含む通信システムは、第2のシンク装置を含む他の通信システムと通信する通信手段と、前記第1のシンク装置を基準としたアドレスが割り当てられたソース装置から送信された、パラメータに第1物理アドレスを含む第1コマンドを受信する受信手段と、前記コマンドを前記他の通信システムに転送する場合に、前記パラメータの中の前記第1物理アドレスを、前記第2のシンク装置を基準にした第2物理アドレスに変換する変換手段とを備え、前記通信手段は、前記第2物理アドレスを含む第2コマンドを前記他の通信システムに送信する。
【0009】
本発明の別の一例に係わる、入力された映像を表示する第1のシンク装置を含む通信システムは、第2のシンク装置を含む他の通信システムと通信する通信手段と、前記第1のシンク装置を基準としたアドレスが割り当てられたソース装置から送信された、前記第1のシンク装置を基準にした第1物理アドレスをパラメータに含むコマンドを受信する受信手段と、を備え、前記通信手段は、前記コマンドを前記他の通信システムに転送する場合、前記第1物理アドレスを前記第2のシンク装置を基準にした物理アドレスへ変換する要求に関する情報と前記コマンドとを前記他の通信システムに送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、それぞれシンク機器およびソース装置を有する複数のシステム間において、正しく物理アドレス変換を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係わるリビングにおよび書斎のそれぞれに設置されたHDMIシステムを示す概略図。
【図2】本発明の一実施形態に係わるHDMIシステム構成の一例を示すブロック図。
【図3】HDMI中継装置の上流および下流の概念について説明するための図。
【図4】中継区間を経由してストリームを受信する場合におけるHDMI中継装置の上流および下流の概念について説明する図。
【図5】中継区間を経由してストリームを送信する場合におけるHDMI中継装置の上流および下流の概念について説明する図。
【図6】図2に示す本実施形態のシステム構成において、それぞれのTVを基準にした物理アドレスの違いを説明する図。
【図7】本発明の一実施形態に係わるHDMI中継装置の概略を示すブロック図。
【図8】本発明の一実施形態に係わるHDMI中継機器の物理アドレス通知方法を示すフローチャート。
【図9】本発明の一実施形態に係わる、物理アドレス変換に用いるHDMI中継装置のアドレス管理部のアドレス情報の伝達方法を示す図。
【図10】コマンドの送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部における物理アドレス変換処理方法を示すフローチャート。
【図11】本発明の一実施形態に係わる、コマンド転送可否判断の一例を示す図。
【図12】本発明の一実施形態におけるアドレス変換方法を示すフローチャート。
【図13】本発明の一実施形態におけるアドレス変換方法の説明に用いる図。
【図14】本発明の一実施形態に係わるアドレス変換処理の第一の例を示す図。
【図15】アドレス変換方法の具体例の説明に用いる図。
【図16】本発明の一実施形態に係わるアドレス変換処理の第2の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係わる、リビングにおよび書斎のそれぞれに設置されたHDMI(High-Definition Multimedia Interface)システムを示す概略図である。
【0014】
先ず、リビングに設置されたHDMIシステム100について説明する。HDMIシステム100は、アンテナから地上デジタル放送波を受信し復調して表示、または外部入力から映像信号を受信して表示する電子機器であるテレビ1と、中継装置と、DVD等のメディアを再生するDVDプレーヤ111と、放送および外部入力からの映像信号を記録し、記録したコンテンツを外部に出力可能なHDD(Hard Disk Drive)レコーダ122とを有する。
【0015】
テレビと中継装置とがHDMIケーブルによって接続されている。中継装置とDVDプレーヤとがHDMIケーブルによって接続されている。中継装置とHDDレコーダとがHDMIケーブルによって接続されている。HDMIケーブルは、HDMI規格に基づいて映像信号および音声信号の伝送に用いられる。また、HDMIケーブル内には、CEC規格に準拠した信号を伝送するためのCECラインが設けられている。CEC規格は、HDMI端子にある1本の端子(CEC端子)を介して、HDMI接続機器の制御を相互に行うことができるシリアル通信プロトコルである。
【0016】
テレビ101は、HDMIケーブル121で接続された各電子機器との接続を、テレビ101の電源投入時に確認するほか、通常動作中に定期的に確認する。接続確認の情報の送受信はHDMIケーブル内のコマンド線を用いて行う。
【0017】
次に、居間に設置されたHDMIシステム200について説明する。HDMIシステム200は、アンテナから地上デジタル放送波を受信し復調して表示、または外部入力から映像信号を受信して表示する電子機器であるテレビ1と、中継装置と、DVD等のメディアを再生が再生可能、且つ放送および外部入力からの映像信号を記録し、記録したコンテンツを外部に出力可能なパーソナルコンピュータ211とを有する。それぞれを図示するようにHDMIケーブル221で接続することで構成される。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態に係わるHDMIシステム構成の一例を示すブロック図である。
本システム構成では、リビングと書斎にそれぞれテレビが一台づつありHDMI中継装置を経由してDVDプレーヤ111,DVDレコーダ112,ノートブック型パーソナルコンピュータ211などのHDMI機器と接続されている。リビングと書斎のそれぞれのHDMI経路はHDMI中継装置を介して、無線接続などで相互に接続されている。なお本実施形態ではHDMI中継装置間は無線で接続されているが、有線の接続を用いてもよい。
【0019】
図3は、HDMI中継装置の上流および下流の概念について説明する図である。
【0020】
HDMIは映像ストリームの伝送に方向性があり、DVDプレーヤなどのソース機器のHDMI出力から、TV(シンク機器)のHDMI入力まで映像ストリームが流れる。このとき映像ストリームの流れを、川の流れにたとえて、HDMI中継装置からみて、映像ストリームが流れ込む側を下流、映像ストリームが流れ出す側を上流と呼ぶ。
【0021】
図4は、中継区間を経由してストリームを受信する場合におけるHDMI中継装置の上流および下流の概念について説明する図である。中継経路は双方伝送が可能であり、図4の例ではNote PCからリビングTVまで映像ストリームが流れている。この場合、映像ストリームが流れ込む中継経路側を上流、TVへ流れ出すHDMI経路側を下流と呼ぶ。
【0022】
図5は、中継区間を経由してストリームを送信する場合におけるHDMI中継装置の上流および下流の概念について説明する図である。中継経路は双方伝送が可能であり、図5の例ではDVD Playerから書斎TVまで映像ストリームが流れている。この場合、映像ストリームが流れ込むHDMI経路側を上流、映像ストリームが流れ出すHDMI経路側を下流と呼ぶ。
【0023】
図6は、図2に示す本実施形態のシステム構成において、それぞれのTVを基準にした物理アドレスの違いを説明する図である。
【0024】
物理アドレスは、0.0.0.0の物理アドレスをもつTVを起点として、TVからの接続の段数(物理アドレスの桁数)と各接続の端子番号により表される。例えば図2のリビングTVを基準にした場合、リビングTVのHDMI入力1に接続されたHDMI中継装置の物理アドレスは、1桁目を1にして1.0.0.0、同様にHDMI中継装置のHDMI入力2に接続されたDVD Recorderの物理アドレスは、HDMI中継装置のアドレスからさらに2桁目を2にして1.2.0.0のように表す。このように物理アドレスはTVのアドレス0.0.0.0を起点として設定されるため、図2のように複数のTVがHDMI中継装置を経由して接続されている場合、リビングTVを起点に設定したDVD Recorderの物理アドレス(1.2.0.0)と書斎TVを基点に設定したDVD Recorderの物理アドレス(1.2.2.0)は異なる値を示すこととなり、リビングTVもしくは書斎TVから物理アドレスを用いて正しく映像ストリームの伝送制御(経路制御)を行うためには、HDMI中継装置間で正しくアドレス変換を行う必要がある。
【0025】
図7は、本発明の一実施形態に係わるHDMI中継装置の概略を示すブロック図である。
HDMI中継装置110,210は、HDMI入力1、HDMI入力2、HDMI入力3を有する。HDMI入力1は、アドレス線301、およびコマンド線311等を有する。HDMI入力2は、アドレス線302、およびコマンド線312等を有する。HDMI入力3は、アドレス線303、およびコマンド線313等を有する。
【0026】
なお、図7ではHDMI入力端子が3端子の例を示していあるが、この端子数は3以外の数でも構わない。
【0027】
また、HDMI中継装置110,210は、EDID(Extended Display Identification Data)321、EDID322、EDID323等を有する。EDID321には、HDMI入力1のアドレス線301が接続されている。EDID322には、HDMI入力2のアドレス線302が接続されている。EDID323には、HDMI入力3のアドレス線303が接続されている。各EDID321〜323には、HDMI入力に接続されたソース機器が使うべき物理アドレスが記述されている。
【0028】
また、HDMI中継装置110,210は、HDMIスイッチ部330、HDMI受信部331、HDMI送信部332、スイッチ制御部334、CECコマンド制御部335、コマンド処理部336、AVCコマンド制御部337、アドレス管理部338、映像転送部339、無線MAC(Media Access Control)部340、無線PHY(PHYsical)部341等を有する。
【0029】
HDMIスイッチ部330は、各HDMI入力端子1〜3から入力される映像ストリームの一本を選択して、HDMI受信部331に伝送する。HDMI受信部331では、伝送された映像ストリームに対して受信のための処理を実行し、処理後の信号を映像伝送部339に送る。HDMI受信部331で行われる処理の例としては、暗号化された映像ストリームの復号処理や映像ストリーム中のメタデータ取得処理などがある。
【0030】
映像伝送部339は、受信した信号を無線MAC部340、或いはHDMI送信部332に送信する。無線MAC部340は、無線PHY部341から送信されるパケットの送出時点及び送出順序を決定する。無線PHY部341は、無線PHY部341で送出時点および送出順序に従って、接続先のHDMI中継装置に送信する。一方、接続先のHDMI中継装置より伝送された映像ストリームは、無線PHY部341および無線MAC部340により受信され、映像伝送部を経由してHDMI送信部332に転送される。
【0031】
HDMI出力のアドレス線を経由して下流の機器より取得した物理アドレス情報は、HDMI送信部332を経由してアドレス管理部338で受け取るとともに、アドレス処理を施されたあとEDID1〜3にそれぞれ設定される。アドレス管理部338では、HDMI中継装置間の接続の端子番号をHDMI入力端子数+1とする。アドレス処理の具体例はHDMI Specification 1.3a(「High-Definition Multimedia Interface Specification Version 1.3a」 Hitachi, Ltd./Matsushita Electric Industrial Co. , Ltd. / Philips Consumer Electronics, International B.V./Silicon Image, Inc. / Sony Corporation /Thomson Inc. /Toshiba Corporation November 10,2006)に詳しい記載がある。
【0032】
HDMI入力1〜3もしくはHDMI出力より受信したCECコマンドは、コマンド線311〜314を経由して、CECコマンド制御部335に渡される。CECコマンドの内容はコマンド処理部336に渡り、適切な処理が行われる。
【0033】
一方無線PHY部341および無線MAC部340経由で受信したコマンドは、AVCコマンド制御部337を経由して同様にコマンド処理部336に渡される。コマンド処理部336はCECコマンド制御部335やAVCコマンド制御部337経由で受信したコマンドの内容に応じて適切な処理を行い、アドレス管理部338やHDMIスイッチ部330に指示を出したり、CECコマンド制御部335やAVCコマンド制御部337を経由して、コマンド送信などの処理を行う。
【0034】
なお本ブロックでは、無線MAC部340および無線PHY部341を搭載しているが、この部分を有線伝送部で置き換えるなど別の接続部を設けてもよい。
【0035】
図8は、本発明の一実施形態に係わるHDMI中継機器の物理アドレス通知方法を示すフローチャートである。なお、リビングのHDMIシステム100が稼働している状態で、書斎のHDMIシステムが稼働させた場合について説明する。
【0036】
先ず、HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、HDMIケーブル経由で下流の機器であるテレビ201のEDIDから、自己の物理アドレスを取得する(ステップS11)。本実施形態の場合、HDMI中継装置210のアドレス管理部338は自己の物理アドレスとして(1.0.0.0)を取得する。
【0037】
HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、取得した物理アドレスの有効範囲の次の桁に、中継経路の端子番号を割り当てて、接続先のHDMI中継装置110の物理アドレスを生成する(ステップS12)。本実施形態の場合、有効範囲が上位1桁目であるので、2桁目に中継経路の端子番号を割り当て、接続先のHDMI中継装置110の物理アドレスとして(1.2.0.0)を生成する。
【0038】
HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、生成した物理アドレス(1.2.0.0)をHDMI中継装置110に通知する(ステップS13)。
【0039】
同様に、HDMI中継装置110のアドレス管理部338は、既に割り当てられている物理アドレス(1.0.0.0)からHDMI中継装置210の物理アドレス(1.3.0.0)を生成し、HDMI中継装置210に通知する。
【0040】
図9は、本発明の一実施形態に係わる、物理アドレス変換に用いるHDMI中継装置のアドレス管理部のアドレス情報の伝達方法を示す図である。
【0041】
HDMI中継装置110のアドレス管理部338は、テレビ101を基準にしたHDMI中継装置210の物理アドレスをHDMI中継装置210に通知する。HDMI中継装置110のアドレス管理部338は、物理アドレスの設定ルールに従いHDMI中継装置110の物理アドレス(1.0.0.0)の2桁目を3で置き換えたアドレス(1.3.0.0)を、HDMI中継装置210のテレビ101を基準にした物理アドレスとしてHDMI中継装置210に通知する。
【0042】
同様に、HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、テレビ201を基準にしたHDMI中継装置110の物理アドレスをHDMI中継装置110に通知する。HDMI中継装置210からHDMI中継装置110を見た場合、HDMI中継装置間の接続の端子番号は設定ルールにより2と求まるので、HDMI中継装置210の物理アドレス(1.0.0.0)の2桁目を2に置き換えた物理アドレス(1.2.0.0)を、HDMI中継装置210を基準にしたHDMI中継装置110の物理アドレスとしてHDMI中継装置110に通知する。
【0043】
次に、図10および図11を参照して、コマンドの送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部における物理アドレス変換処理方法を説明する。
送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338が、HDMI経由で送信機器の物理アドレスを含むCECコマンドを受信する(ステップS21)。送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、ステップS21で受信したコマンドに含まれる送信機器の物理アドレスに該当する機器は自機器の上流の機器であるか否かを判別する(ステップS22)。
【0044】
例えば、図11に示すように、書斎のテレビ201に物理アドレス(2.0.0.0)を有するカムコーダ220が接続され、カムコーダ220が自己の物理アドレスをシンク装置に報告するための<Report Physical Address>コマンドを送信した場合を考える。HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、<Report Physical Address>コマンドを受信した場合、HDMI中継装置110に転送するべきかを判断するために、<Report Physical Address>コマンドに含まれる物理アドレス(2.0.0.0)を有する機器(カムコーダ220)が自機器の上流の機器であるか否かを判別する。
【0045】
例えば、図11に示すカムコーダ220のように、HDMI経由で受信したCECコマンドに含まれる物理アドレス(2.0.0.0)が、HDMI中継装置110からみて、HDMI側の上流でも、中継経路側の上流のいずれでもない場合、受信したCECコマンドの転送は不要と判断し、アドレス変換処理およびコマンド転送処理を行わないようにする。
【0046】
自機器の上流ではないと判断した場合(ステップS22のNO)、送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、コマンドを転送する必要がないので、処理を終了する。自機器の上流であると判断した場合(ステップS22のYES)、送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、ステップS21で受信した送信元の物理アドレスに該当する機器は同一HDMI経路上の機器であるか否かを判別する(ステップS23)。なお、同一HDMI経路上の機器とは、自己に割り当てられている物理アドレスの基準となったシンク装置を基準にした物理アドレスが割り当てられている機器のことである。
【0047】
同一HDMI経路上の機器であると判断した場合(ステップS23のYES)、送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、同一HDMI経路上のシンク装置を基準にして自己に割り当てられている物理アドレスを変換元物理アドレスとして設定する(ステップS24)。
【0048】
そして、送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、コマンドを転送するHDMI中継装置と同一HDMI経路上のシンク装置を帰順した物理アドレスを変換先物理アドレスとして設定する(ステップS25)。送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、アドレス変換処理ルーチンを呼び出し、アドレス変換処理を実行する(ステップS26)。
【0049】
また、ステップS23において、同一HDMI経路上の機器ではないと判断した場合(ステップS23のNO)、送信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、HDMI中継装置210に転送するコマンドにアドレス変換を要求する情報を付加する(ステップS29)。本実施形態の場合、コマンドを送るヘッダにアドレス変換要求フラグを設け、アドレス変換要求フラグをイネーブルにする。
【0050】
ステップS26またはステップS29の処理後、変換後の物理アドレスがF.F.F.Fであるか否かを判別する(ステップS27)。F.F.F.Fは無効なアドレスを表している。物理アドレスがF.F.F.Fではないと判断した場合(ステップS27のYES)、CECコマンドを接続先のHDMI中継装置に転送する(ステップS28)。物理アドレスがF.F.F.Fであると判断した場合(ステップS27のNO)、処理を終了する。
【0051】
次に、ステップS26のアドレス変換処理について、図13および図14を参照して説明する。図12は、本発明の一実施形態におけるアドレス変換方法を示すフローチャートである。図13は、本発明の一実施形態におけるアドレス変換方法の説明に用いる図である。
【0052】
先ず、変換対象の物理アドレスから、変換元物理アドレスの有効範囲と共通部分を削除する(ステップS31)。削除後の物理アドレスを、変換先物理アドレスの有効範囲に接続する(ステップS32)。接続後の物理アドレスは5桁以上であるか否かを判別する(ステップS33)。
【0053】
5桁以上であると判断した場合(ステップS33のYES)、5桁以降の物理アドレスが全て0であるか否かを判別する(ステップS34)。全て0であると判断した場合(ステップS34のYES)、5桁以降の0を削除する(ステップS35)。また、全て0ではないと判断した場合(ステップS34のNO)、4桁を全て16進数の“F”(10進数で15に相当に設定する。
【0054】
ステップS33において、5桁以上ではないと判断した場合(ステップS33のNO)、接続語の物理アドレスが3桁以下であるか否かを判別する(ステップS37)。3桁であると判断した場合、4桁まで0を追加する(ステップS38)。3桁以下ではないと判断した場合、処理を終了する。
【0055】
次に、図13のフローチャートを参照して転送コマンド受信側のHDMI中継装置のアドレス管理部における物理アドレス変換処理について説明する。図13は、本実施形態における転送コマンド受信側のHDMI中継装置のアドレス管理部における物理アドレス変換処理方法を示すフローチャートである。
【0056】
受信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、送信側のHDMI中継装置との間の中継経路経由(本実施形態の場合は無線通信)でCECコマンドを受信する(ステップS41)。受信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、CECコマンドのヘッダに含まれるアドレス変換要求フラグがイネーブルであるか否かを判別する(ステップS42)。イネーブルであると判断した場合(ステップS42のYES)、受信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、送信側のHDMI中継装置の物理アドレスの基準となるシンク装置を基準にした自己の物理アドレスを変換元物理アドレスとして設定する(ステップS43)。また、受信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、同一HDMI経路上のシンク装置を基準にした物理アドレスを変換先物理アドレスとして設定する(ステップS44)。受信側のHDMI中継装置のアドレス管理部338は、ステップS26と同様に、アドレス変換処理ルーチンを呼び出し、アドレス変換処理を実行する(ステップS45)。ステップS42においてイネーブルではないと判断した場合(ステップS42のNO)、或いはステップS45のアドレス変換処理後、変換後の物理アドレスがF.F.F.Fであるか否かを判別する(ステップS46)。F.F.F.Fではないと判断した場合(ステップS46のYES)、CECコマンドを接続先のHDMI経路に転送する(ステップS47)。F.F.F.Fであると判断した場合(ステップS46のNO)、処理を終了する。
【0057】
次に、図14を参照して本発明の一実施形態に係わるアドレス変換処理の第1の例について説明する。図14は、本発明の一実施形態に係わるアドレス変換処理の第一の例を示す図である。
【0058】
この例では、1.2.0.0の物理アドレスを持つDVDレコーダ112から<Report Physical Address>コマンドというCECコマンドを送信した例について示している。<Report Physical Address>コマンドは、パラメータとして、送信元の機器の物理アドレス情報を含む。<Report Physical Address>コマンドを受信したHDMI中継装置110のアドレス管理部338は、物理アドレスに該当する機器がHDMI中継装置のHDMI入力端子の上流に存在するか判定する(ステップS22)。本実施形態では、送信元であるDVD RecorderはHDMI中継装置110とHDMI接続され上流に位置するので、HDMI中継装置110でアドレス変換が必要と判定する(ステップS22のYES)。HDMI中継装置110のアドレス管理部338は、自身の物理アドレス1.0.0.0とHDMI中継装置210から取得した物理アドレス1.2.0.0を用いて、<Report Physical Address>コマンドのパラメータに含まれる物理アドレス(1.2.0.0)をテレビ201を基準にした物理アドレス(1.2.2.0)に変換する(ステップS24〜26)。HDMI中継装置110のアドレス管理部338は、変換した物理アドレスを含む<Report Physical Address>コマンドを、HDMI中継装置110からHDMI中継装置210に転送する。
【0059】
次に、図15を参照して、アドレス変換方法の具体例を説明する。以下では、図14を参照して説明した、DVDレコーダ112が送信した<Report Physical Address>コマンドに含まれる物理アドレスをHDMI中継装置110が変換する例について説明する。
【0060】
まずHDMI中継装置110自身の物理アドレス情報が少なくとも2つ必要となる。1つは下流のHDMI機器(テレビ101)のHDMI入力端子から取得した物理アドレス(1.0.0.0)、もう一方は中継経路の先にあるHDMI中継装置210から取得した物理アドレス(1.2.0.0)である。
【0061】
図15の例において、HDMI中継装置110中継装置が<Report Physical Address>[1.2.0.0]コマンドを受信した際、このコマンドのパラメータに含まれる1.2.0.0が変換対象の物理アドレスとなる。変換対象の物理アドレスが、同一HDMI経路の機器から受信した場合、まずHDMI側に対応するHDMI中継装置110の物理アドレス(1.0.0.0)と変換対象の物理アドレス(1.2.0.0)との比較を行い、HDMI中継装置110の物理アドレスの有効範囲(1桁目の1)と一致する部分を変換対象の物理アドレスから削除する。その結果、変換対象の物理アドレスは2.0.0の部分が残る。次に削除した物理アドレスを、テレビ201を基準にしたHDMI中継装置110の物理アドレス(1.2.0.0)の有効範囲(1.2)と結合する。その結果、変換対象の物理アドレスは1.2.2.0.0となる。最後にアドレスの桁数を確認し4桁以上の場合、4桁目以降の0を削除する。その結果最終的な変換後の物理アドレスは1.2.2.0となる。最後の桁数確認において、桁数調整前の物理アドレスが3桁以下(1.3.0など)の場合、4桁になるまで末尾に0を追加する(1.3.0.0)。桁数調整前にちょうど4桁の場合、調整処理は行わない。なお桁数が5桁以上あり、かつ5桁目以降に0以外の数値が含まれる場合(1.3.2.2.1など)、4桁すべての値が16進数のF(10進数で15)となるよう調整し、F.F.F.Fというアドレスに変換する。F.F.F.Fは無効なアドレスを表し、以後転送などの処理は行わないようにする。図14の例では同一HDMI経路の機器が送信したCECコマンドの変換だったため、テレビ101を基準にしたのHDMI中継装置110の物理アドレス(1.0.0.0)を変換元アドレス、テレビ201を基準にしたHDMI中継装置110自身の物理アドレス(1.2.0.0)を変換先アドレスとした。
【0062】
中継経路経由で受信したコマンドにアドレス変換要求フラグがあり、それに従い物理アドレス変換を行う場合、上述した説明とは逆にお、中継経路側のHDMI中継装置110自身の物理アドレス(1.2.0.0)を変換元アドレス、HDMI側のHDMI中継装置110の物理アドレス(1.0.0.0)を変換先アドレスとして用いる。
【0063】
次に、図16を参照して本発明の一実施形態に係わるアドレス変換処理の第2の例について説明する。図16は、本発明の一実施形態に係わるアドレス変換処理の第2の例を示す図である。
【0064】
この例では、書斎のテレビ201から<Set Stream Path>[1.2.2.0]というCECコマンドが送信された場合を示す。<Set Stream Path>コマンドにはパラメータとして、接続先の機器の物理アドレス情報が含まれている。本CECコマンドを受信したHDMI中継装置210のアドレス管理部338は、パラメータに含まれる物理アドレスに該当する機器(DVDレコーダ112)がHDMI中継装置210の上流に存在するか判定する(ステップS22)。
【0065】
図16に示す例では、パラメータに含まれる物理アドレスに該当する機器(DVDレコーダ112)は、中継経路を介してHDMI中継装置210の上流に存在する。従って、HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、パラメータに含まれる物理アドレスに該当する機器(DVDレコーダ112)は上流の機器であると判断する(ステップS22のYES)。
【0066】
次に、HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、パラメータに含まれる物理アドレスに該当する機器(DVDレコーダ112)は同一HDMI経路上の機器であるか否かを判別する(ステップS23)。図16に示す例では、パラメータに含まれる物理アドレスに該当する機器は、HDMI中継装置210とは同一HDMI経路上にはない。従って、HDMI中継装置210のアドレス管理部338は、パラメータに含まれる物理アドレスに該当する機器は、同一HDMI経路上にはないと判断する(ステップS23のNO)。
【0067】
そこでHDMI中継装置210のアドレス管理部338はアドレス変換は行わず、CECコマンドのヘッダに含まれるアドレス変換要求フラグをイネーブルにして(ステップS29)、<Set Stream Path>コマンドをHDMI中継装置110に転送する(ステップS28)。
【0068】
HDMI中継装置110のアドレス管理部338はアドレス変換要求フラグがイネーブルにセットされていることを確認した後、物理アドレス1.2.2.0を1.2.0.0に変換する。その後HDMI中継装置110は変換後のアドレスをパラメータとして含む<Set Stream Path>コマンドをHDMIのコマンド線経由で送信する。
【0069】
本実施形態の中継装置によれば、複数のシンク機器(テレビ)が混在するHDMI経路を、無線などで中継した場合にも、正しく物理アドレス変換および経路制御を行い、映像ストリーム伝送を行うことができる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0071】
301〜303…アドレス線,311〜314…コマンド線,321〜323…EDID,330…HDMIスイッチ部,331…HDMI受信部,332…HDMI送信部,334…スイッチ制御部,335…CECコマンド制御部,336…コマンド処理部,337…AVCコマンド制御部,338…アドレス管理部,339…映像伝送部,340…無線MAC部,341…無線PHY部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像を表示する第1のシンク装置を含む通信システムであって、
第2のシンク装置を含む他の通信システムと通信する通信手段と、
前記第1のシンク装置を基準としたアドレスが割り当てられたソース装置から送信された、パラメータに第1物理アドレスを含む第1コマンドを受信する受信手段と、
前記コマンドを前記他の通信システムに転送する場合に、前記パラメータの中の前記第1物理アドレスを、前記第2のシンク装置を基準にした第2物理アドレスに変換する変換手段と
を備え、
前記通信手段は、前記第2物理アドレスを含む第2コマンドを前記他の通信システムに送信する、通信システム。
【請求項2】
前記変換手段は、前記第1物理アドレスが前記通信システムの上流側の機器を示す場合、前記第1物理アドレスを前記第2物理アドレスに変換する、請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記変換手段は、前記第1のシンク装置を基準として割り当てられ、前記通信システムに関する第3物理アドレスに基づいて、前記第1物理アドレスを変換する、請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記他の通信システムから、前記第2のシンク装置を基準にして割り当てられ、前記他の通信システムに関する第4物理アドレスを取得する取得手段を更に具備し、
前記変換手段は、前記第3物理アドレスおよび前記第4物理アドレスに基づいて、前記第1物理アドレスを前記第2物理アドレスに変換する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1物理アドレスの変換を前記他の通信システムで行うか否かを決定する手段を更に備え、
前記変換手段は、前記物理アドレスの変換を前記他の通信システムで行なわない場合に、前記第1物理アドレスを変換する、請求項1記載の通信システム。
【請求項6】
前記変換手段は、前記第1物理アドレスが前記第1のシンク側のネットワークに属する機器を示す場合、前記第1物理アドレスを変換する、請求項1記載の通信システム。
【請求項7】
入力された映像を表示する第1のシンク装置を含む通信システムであって、
第2のシンク装置を含む他の通信システムと通信する通信手段と、
前記第1のシンク装置を基準としたアドレスが割り当てられたソース装置から送信された、前記第1のシンク装置を基準にした第1物理アドレスをパラメータに含むコマンドを受信する受信手段と、
を備え、
前記通信手段は、前記コマンドを前記他の通信システムに転送する場合、前記第1物理アドレスを前記第2のシンク装置を基準にした物理アドレスへ変換する要求に関する情報と前記コマンドとを前記他の通信システムに送信すること
を特徴とする通信システム。
【請求項8】
前記第1物理アドレスの変換を前記他の通信システムで行うか否かを決定する手段を更に備え、
前記通信手段は、前記第1物理アドレスの変換を前記他の通信システムで行う場合に、前記第1物理アドレスの変換を要求する情報と共に前記コマンドを送信する、請求項7記載の通信システム。
【請求項9】
前記通信手段は、前記第1物理アドレスが前記第2のシンク側のネットワークに属する機器を示す場合、前記要求に関する情報と前記コマンドとを送信する、請求項7記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−138933(P2012−138933A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34913(P2012−34913)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【分割の表示】特願2009−224296(P2009−224296)の分割
【原出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】