通信システム
【課題】位置ずれおよび、回転ずれ許容度が大きな電子情報記録媒体を使用する通信システムを提供する。
【解決手段】電磁誘導方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続された一対の導電性薄板とを有する容量結合型電子情報記録媒体と、ループアンテナを有し前記電子情報記録媒体と通信を行う読取書込装置とを、一対の導電性薄板とループアンテナとを有する中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムであって、前記電子情報記録媒体と前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は、一方の導電性薄板の外側にもう一方の導電性薄板が内側の導電性薄板を囲むように溝を介して形成され、前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板はループアンテナの始端と終端に接続され、中継媒体と電子情報記録媒体のそれぞれの対をなす導電性薄板が対向するように配置され、中継媒体と読取書込装置のループアンテナが対向するように配置されて通信される。
【解決手段】電磁誘導方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続された一対の導電性薄板とを有する容量結合型電子情報記録媒体と、ループアンテナを有し前記電子情報記録媒体と通信を行う読取書込装置とを、一対の導電性薄板とループアンテナとを有する中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムであって、前記電子情報記録媒体と前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は、一方の導電性薄板の外側にもう一方の導電性薄板が内側の導電性薄板を囲むように溝を介して形成され、前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板はループアンテナの始端と終端に接続され、中継媒体と電子情報記録媒体のそれぞれの対をなす導電性薄板が対向するように配置され、中継媒体と読取書込装置のループアンテナが対向するように配置されて通信される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローコストな電子情報記録媒体が利用可能で電磁誘導方式で通信可能な通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、読取装置と非接触で情報通信を行う電子情報記録媒体、とりわけ、非接触ICカードが交通システム、電子マネー、入出退システム、物流管理等、各種システムに利用されている。
非接触情報記録媒体を用いた通信方式には、通信周波数帯域に応じて、電磁結合方式、静電結合方式、電磁誘導方式、電波方式がある。非接触ICカードを利用した通信システムでは、電磁誘導方式が主流で使用されている。
電磁結合方式、静電結合方式を用いた非接触ICカードでは、ISO/IEC10536で規格化されており、非接触ICカード内には2つのループ状のアンテナもしくはコンデンサプレートが設けられ、4.9MHzの信号周波数帯域で使用される。
電磁誘導方式を用いた非接触ICカードでは、ISO/IEC14443,15693,18092で規格化されており、非接触ICカード内にはループ状のアンテナが設けられ、13.56MHzの信号周波数帯域で使用される。
電波方式を用いた非接触ICカードでは、ISO/IEC18000で規格化されており、非接触ICカード内にはプレート状のダイポールアンテナが内蔵され、2.45MHzの信号周波数帯域で使用される。
【0003】
通常非接触ICカードはアンテナをカードに搭載し、ICチップとアンテナとを接続することによって外部端末と通信するが、良好な通信性能を得るために、アンテナを通信周波数やICチップに適合した形状とすることが必要である。
そのために、アンテナは複雑な形状となってしまい、導電性の材料のエッチングによるパターン化、導電性のインキによる印刷、被覆されたワイヤの埋め込み等の方法によってアンテナの品質を確保している。これらの方法では、通信特性を向上させるために抵抗値が低い金属を選定し、前述の形状にしてカードに実装する必要があった。そのためにカードコストが低減できなかった。
一方、安価で且つ簡易に構成され、低速のデータから高速のデータにわたる連続した広い許容範囲において静電結合方式の非接触通信を行うシステムが提供されている。このシステムは、密着型の非接触情報記録媒体を使用し、送信側と受信側にそれぞれ配置した平板電極を対向させて形成される静電容量をカップラとして用い、送信側は直接ベースハンド信号を送信側の電極に加え、一方の受信側では受信側の電極に伝達された送信波形を、ヒステリシス特性を有するコンパレータで2値化復調するようにする通信システムである(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触情報記録媒体を使用する通信システムでは電磁誘導方式が主流で、引用文献1に記載されている静電結合方式でシステムを構築するためには静電結合方式に対応したICチップを使用し、システムを構築しなければならない。
そこで本発明は、電磁誘導方式による通信方式が利用可能で、ローコストで且つ回転ずれ許容度が大きな電子情報記録媒体を使用する通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の目的を達成するために本発明の通信システムの第一の態様は、電磁誘導方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続された一対の導電性薄板とを有する容量結合型電子情報記録媒体と、ループアンテナを有し前記電子情報記録媒体と通信を行う読取書込装置とを、一対の導電性薄板とループアンテナとを有する中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムであって、前記電子情報記録媒体と前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は、一方の導電性薄板の外側にもう一方の導電性薄板が内側の導電性薄板を囲むように溝を介して形成され、前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は一方がループアンテナの始端と、他の一方はループアンテナの終端に接続され、中継媒体の一対の導電性薄板が前記電子情報記録媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置され、中継媒体のループアンテナが前記読取書込装置のループアンテナに対向するように配置されて通信されることを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の態様は、第一の態様において、電子情報記録媒体と中継媒体の両方または何れかに形成された一対の導電性薄板は、一方が円形で、他方が前記円形の中心点を共有し前記円形の薄板の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板で形成されたことを特徴とするものである。
【0008】
また、第三の態様は、第一又は第二の態様において、電子情報記録媒体の一対の導電性薄板が中継媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置されたときに、電子情報記録媒体の溝の内側に形成された導電性薄板は、中継媒体の溝の内側に形成された導電性薄板よりも大きく中継媒体の外側に形成された導電性薄板よりも小さくなるように形成されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、第四の態様は、第一から第三何れかの態様において、電子情報記録媒体と中継媒体の両方又は何れかに形成された一対の導電性薄板の、溝の外側に形成された導電性薄板には径方向に所定の幅の溝が形成されたことを特徴とするものである。
【0010】
また、第五の態様は、第一から第四何れかの態様において、中継媒体は読取書込装置に組み込まれたことを特徴とするものである。
【0011】
また、第六の態様は、第一から第五何れかの態様において、読取書込装置と中継媒体は電磁誘導によって交信され、中継媒体と電子情報記録媒体は静電結合によって交信されることを特徴とするものである。
【0012】
また、第七の態様は、第一から第六何れかの態様において、読取書込装置と電子情報記録媒体の間で交信される際に、電子情報記録媒体と中継媒体の溝の内側の導電性薄板同士と溝の外側の導電性薄板同士が対向する状態で交信されることを特徴とするものである。
【0013】
また、第八の態様は、第一から第七何れかの態様において、中継媒体に形成された導電性薄板対と電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対とは異なる材質で構成されたことを特徴とするものである。
【0014】
また、第九の態様は、第一から第八何れかの態様において、電子情報記録媒体はICカードであることを特徴とするものである。
【0015】
また、第十の態様は、第一から第八何れかの態様において、電子情報記録媒体はICラベルであることを特徴とするものである。
【0016】
また、第十一の態様は、第一から第八何れかの態様において、電子情報記録媒体はコイン形状の電子情報記録媒体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の通信システムにより、
1)電子情報記録媒体には、いわゆるアンテナは搭載されておらず、2つの導電性薄板が搭載されているだけなので、従来の複雑なアンテナ形成工程が不要となり、電子情報記録媒体をローコストで製造することが可能となる。
2)市場で多く流通している電磁誘導方式の電磁誘導通信装置を流用してシステムを構築できるため、低コストで導入できる。すなわち、情報記憶媒体のICチップとして、市場に多く流通している(既存の電磁誘導方式の非接触ICカードに用いられる)ICチップを流用でき且つ電磁誘導通信装置として、既存の非接触ICカード用のリーダライタを流用して装置を構成できる。
3)電子情報記録媒体および中継媒体に搭載される導電性薄板が何れも一方が円形の導電性薄板で他方が円形と中心点を共有し前記円の外側に形成された円環形の導電性薄板で構成されたことによって、中継媒体上で電子情報記録媒体が回転しても電子情報記録媒体に搭載される導電性薄板と中継媒体に搭載される導電性薄板との重なり合う面積は変わらないため、中継媒体に対する電子情報記録媒体の重ね方向に左右されず、安定した通信が構築できる。
4)電子情報記録媒体に形成された溝の内側の導電性薄板が中継媒体に形成された溝の内側の導電性薄板よりも大きく、電子情報記録媒体に形成された溝の外側の導電性薄板の外形が中継媒体に形成された溝の外側の導電性薄板の外形よりも小さく形成することにより、電子情報記録媒体と中継媒体の中心の位置が多少ずれた場合でも、電子情報記録媒体に形成されている一方の導電性薄板が中継媒体に形成されている導電性薄板対を跨いで向かい合うことがないために、安定した通信が構築できる。特に、コイン形状(円形)の電子情報記録媒体を用いた通信システムの場合、電子情報記録媒体が読取り装置内で回転するため、本方式の回転ずれ、位置ずれの影響を受けないシステムによって安定した通信システムが構築可能となる。
5)以上のように、本発明の通信システムを使用することにより、回転ずれや位置ずれの影響が受け難い電磁誘導方式による通信システムが安定した状態で運用できる。
さらに、現在運用されている非接触型ICカードに使用されているICチップ、リーダライタが流用可能で、従来の非接触型ICカードよりも構造がシンプルでかつ小型化された電子情報記録媒体が使用可能となる。また、システム構築のための費用や、電子情報記録媒体の製造コストを低く抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の通信システムについて説明するための回路図の一例である。
【図2】本実施形態の通信システムに使用される読取書込装置の一例について説明するための図である。
【図3】本実施形態の通信システムに使用される読取書込装置の他の一例について説明するための図である。
【図4】本実施形態の読取書込装置の送受信部とアンテナの一例について説明するための図である。
【図5】本実施形態の中継媒体の一例について説明するための図である。
【図6】本実施形態の電子情報記録媒体の一例について説明するための図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本実施形態の通信システムについて説明する。
図1は、電子情報記録媒体と読取書込装置とを中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムの概念を示した図である。
本実施形態の通信システムは、電磁誘導方式で通信可能なICチップ31と、ICチップ31に接続された一対の導電性薄板33とを有する容量結合型電子情報記録媒体3と、ループアンテナ15を有し電子情報記録媒体3と通信を行う読取書込装置1とを、一対の導電性薄板23とループアンテナ25を有する中継媒体2を介在させて非接触で通信する通信システムである。
【0020】
前述の電子情報記録媒体3と中継媒体2に形成された一対の導電性薄板(以下、導電性薄板対ともいう)33、23は、何れも外側の導電性薄板が内側の導電性薄板を、溝を介して囲む状態で形成されている。図示していないが、例えば、一方の内側の導電性薄板が円形の導電性薄板で、もう一方の外側の導電性薄板が円形の導電性薄板と中心点を共有し円の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板で構成されている。
【0021】
一方、中継媒体2の導電性薄板対23は、一方がループアンテナ25の始端と、他の一方がループアンテナ25の終端に接続され、中継媒体2の導電性薄板対23が前述の電子情報記録媒体3の導電性薄板対33に対向するように配置されている。
また、中継媒体2のループアンテナ25は、読取書込装置1のループアンテナ15に対向するように配置されており、読取書込装置1のループアンテナ15は、読取書込装置1の送受信部11に接続されている。
【0022】
図2は、中継媒体2が読取書込装置1に外付けされ、その上面に電子情報記録媒体3が載置されて読み取られる状態を示している。
図2に示す例は、中継媒体2の基板の同一面に導電性薄板対とループアンテナが形成された例で、中継媒体2の左側平面には導電性薄板対が、右側平面にはループアンテナが形成されている。電子情報記録媒体3に搭載された導電性薄板対に中継媒体2の導電性薄板対が対向するように、さらに、図1に示した読取書込装置1のループアンテナ15に中継媒体2のループアンテナ25が対向するようになっている。
中継媒体2は読取書込装置1に接着剤などで固定されてもよいし、紐などで固定されてもよい。
【0023】
また、図3に示すように、中継媒体2が読取書込装置1の筐体の中に組み込まれてもよい。
図3に示す例では、後述、図5に示す中継媒体2の長辺の中央部の点線位置で中継媒体基体22が電子情報記録媒体3とほぼ同一サイズに折り畳まれて読取書込装置1の筐体の中に組み込まれている。
その結果、電子情報記録媒体3に搭載された導電性薄板対33に中継媒体2の導電性薄板対23が対向するように、また、読取書込装置1のループアンテナ15に中継媒体2のループアンテナ25が対向するようになっている。
【0024】
図3に示す読取書込装置1の場合は、電子情報記録媒体3は読取書込装置1の所定の位置に載置されて記録情報が読み取られるが、図3の中継媒体2の上部を読取書込装置1と一体化したポケット構造とし、ポケットの入り口から電子情報記録媒体3が自重で落下してポケットの底で一時停止し、情報の読み取り/書き込みを行なうこともできる。
電子情報記録媒体3が非接触ICカードである場合は、図3に示すような中継媒体2を組み込んだ読取書込装置1に対して、カード搬送機構を設けてカードを所定の位置まで移動させ、情報の読み取り/書き込みを行なうこともできる。
【0025】
接触型ICカード(端子付きICカードともいう)や接触、非接触両用型ICカード等の通信範囲が狭い小型のループアンテナ搭載の非接触ICカードを用いた非接触通信システムでは、読取書込装置1側には高精度な位置決め手段が必要となるが、本実施形態のような電子情報記録媒体3を使用することによって、導電性薄板対33が、多少、回転や位置ずれを生じても情報の読み取り/書き込みを行なうことが可能となる。その結果、読取書込装置を安価に製造、提供することが可能となる。
【0026】
図4に示す読取書込装置1は、ループアンテナ15と送受信部11が離れて配置された例であるが、中継媒体2に設けられた導電性薄板対23と電子情報記録媒体3に設けられた導電性薄板対33とは必ずしも完全に重なった状態で読み取られる必要はない。
中継媒体2に設けられた導電性薄板対23と電子情報記録媒体3に設けられた導電性薄板対33が所定の面積で重なっている部分があれば、中継媒体2と電子情報記録媒33との間で通信することが可能である。
【0027】
前述の中継媒体に形成された導電性薄板対と電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対とは同一の材質、例えば、アルミニウム、銅、真鍮、錫、亜鉛、銀、金など同一金属で電気の良導体であるほうが好ましいが、異なる材質で構成されてもかまわない。
特に電子情報記録媒体においては、導電性薄板対の材質としてアルミニウムを使用することが好ましい。アルミニウムは他の金属と比較して安価であるため、よりローコストな電子情報記録媒体3として提供することが可能となるからである。
【0028】
図5を参照して、本実施形態の中継媒体の一例について説明する。
中継媒体2は、絶縁性材料による支持フィルム22上に導電性薄板対23とループアンテナ25が形成されている。支持フィルム22の一方の面にはループアンテナ25が形成されている。また、ループアンテナを跨いでコンデンサ26が形成される場合もある。
支持フィルム22のもう一方の面には導電性薄板対23が形成されており、導電性薄板対23は、一方が円形の導電性薄板23aで、他方が前記円形の導電性薄板と中心を共有し、前記円形の導電性薄板の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板23bになっている。
導電性薄板対23a、23bは、一方がループアンテナの始端と、他の一方はループアンテナの終端に接続され、前述の支持フィルム22上に接着剤などで固定されている。
尚、外側の導電性薄板23bは、円環形でも、図5に示すような中心から外側に向かうスリットが入った円環形でもよいが、スリットが入った円環形の場合はスリットにループアンテナとの接続配線を通すことができ、導電性薄板およびループアンテナを片面配線基板で形成することが可能となり、より安価なシステムを構築することができる。
【0029】
図6、図7を参照して、電子情報記録媒体3について説明する。
図6のa図は、本実施形態の電子情報記録媒体3に実装されているICモジュール30を平面から視た状態の一例である。
絶縁材料によるICモジュール30の基板32上に導電性薄板対33が形成され、ICチップ31が搭載されている。
導電性薄板対33の外側に形成された導電性薄板33bは、内側に形成された導電性薄板33aを、溝を挟んで内側に形成された導電性薄板33aを囲むように形成されている。
また、それぞれの導電性薄板は中心を共有している。
ICチップ31は、ベアチップ状態でも、ベアチップに補強板が貼り付けられた状態でも、封止樹脂34で保護された状態のいずれであってもよい。
前記導電性薄板は、シンプルな形状になっているため、酸またはアルカリ液によるエッチング加工や切削刃による切削加工、金型によるハーフカット加工などの汎用的な加工技術によって形成することができる。
【0030】
図6のb図は、本実施形態の通信システムに使用される電子情報記録媒体3の一例である。
電子情報記録媒体3は、プラスチックのカード基体(図示せず)内に前述のICモジュール30を内蔵したICカードのほかに、コイン形状の電子情報記録媒体の場合や、粘着フィルムの片側に前述のICモジュール30が搭載されたICラベルなどの場合がある。
電子情報記録媒体3がICカードなどの場合は、図示しないが、電子情報記録媒体3の表面に磁気記録のための磁気ストライプが形成されている場合もある。
また、多くの場合、電子情報記録媒体3の表裏には美麗な印刷が施されている。
【0031】
中継媒体2及び電子情報記録媒体3の導電性薄板対の一方の円形の導電性薄板23aと33aは真円である必要はなく、楕円であってもよい。
また、中継媒体2と電子情報記録媒体3に形成された導電性薄板対の円環形の導電性薄板には、径方向に1mm程度の所定の幅で溝を形成してもよい。
【0032】
本実施形態において、読取書込装置、中継媒体、電子情報記録媒体間で好適に通信を行わせるため、電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対と中継媒体に形成された導電性薄板対とを対向させたときに、電子情報記録媒体および中継媒体に搭載された導電性薄板対は静電結合によって交信される。
静電結合度が高くなるほど、電子情報記録媒体に加わる信号レベルは高くなり、より安定した通信を行うことができる。静電結合度は、電子情報記録媒体および中継媒体の鉛直方向から見た際に重なり合う導電性薄板の面積が大きくなるほど高くなり、電子情報記録媒体に形成される導電性薄板と中継媒体に形成される導電性薄板との鉛直方向の距離が短いほど高くなるため、それぞれの導電性薄板の面積は100mm2以上とすることが望ましい。
【0033】
また、図5に示すように、中継媒体2に搭載されるループアンテナ25にコンデンサ素子26を直列もしくは並列接続し、直列共振回路もしくは並列共振回路を形成することにより、読取書込装置からの送信信号を効率的に受信することが可能となる。
さらに好適には、前記中継媒体の直列共振回路もしくは並列共振回路の共振周波数は、読取書込装置から送信される交流信号と同程度の周波数(読取書込装置から送信される信号の搬送波が13.56MHzの場合、中継媒体の共振周波数は、12〜20MHz)であることが望ましい。
【0034】
(実施例)
図7を参照して電子情報記録媒体について説明する。
まず、ICモジュール30を作製するために、モジュール基板32として絶縁材料であるポリエステルフィルムを使用し、導電性薄板33a、33bとして、厚さ25μmのアルミ箔を貼り合わせた。
形状による通信特性の差異を検証するべく、下記3種の形状の導電性薄板を作製した。
(1)形状1(四角形)
導電性薄板33a:縦10mm、横10mm
導電性薄板33b:縦10mm、横10mm
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(2)形状2(円環形)
導電性薄板33a:8mm(半径4mm)Φの円形
導電性薄板33b:外径12mmΦ、内径Φ9mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(3)形状3(円環形)
導電性薄板33a:12mm(半径6mm)Φの円形
導電性薄板33b:外径18mmΦ、内径13mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
【0035】
導電性薄板対の一方の円形の導電性薄板33aと他方の円環形の導電性薄板33bを跨ぐように、ISO/IEC14443TypeA方式準拠のICチップ31回路面におけるアンテナ接続用端子部に金めっき等で高さ20μmの突起部を設け、前記ICチップ回路面および突起部を導電性薄板側に向け接続した。
ICモジュール30をPET、PVC、PET−G等の絶縁性基材で挟み、熱溶融等で一体化することにより、厚さ0.4mmの電子情報記録媒体3を形成した。
なお、上記説明では電子情報記録媒体をカードの例で説明したが、上記の形態に拘るものではない。例えば、ICカードの代わりにICモジュールを搭載したICラベル、コイン、キーホルダなどの電子情報記録媒体としてもよい。
【0036】
中継媒体は、厚さ180μmのガラスエポキシ、ポリイミド、ポリエステル等の絶縁材料に、厚さ30μm銅箔を全面に貼り付け、エッチングにより導電性薄板対とループアンテナを作製した。
ループアンテナは3ターン(サイズ:40mm×40mm)とし、アンテナの両端に下記4種の形状の導電性薄板を接続し、導電性薄板の形状による通信特性の差異を検証した。
(1)形状A(四角形)
導電性薄板23a:縦20mm、横15mm
導電性薄板23b:縦20mm、横15mm
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(2)形状B(円環形)
導電性薄板23a:8mm(半径4mm)Φの円形
導電性薄板23b:外径12mmΦ、内径Φ9mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(3)形状C(円環形)
導電性薄板23a:12mm(半径6mm)Φの円形
導電性薄板23b:外径18mmΦ、内径13mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(4)形状D(円環形)
導電性薄板23a:10mm(半径5mm)Φの円形
導電性薄板23b:外径20mmΦ、内径15mmΦの円環形
導電性薄板間:2.5mmのスリット
【0037】
ループアンテナの両端には、コンデンサを並列に接続し、共振周波数が14MHzになるようにコンデンサ容量調整を行った。
ループアンテナと導電性薄板対とは、10mmの間隔で隣接させ、ループアンテナの始端、終端をそれぞれ導電性薄板23a、23bに接続した。
【0038】
次に、ISO/IEC14443TypeA方式準拠のアンテナを有する従来の非接触ICカードとの通信処理を行うことが可能な読取書込装置に搭載されたループアンテナと中継媒体のループアンテナとの間が対面距離で5mmになるように読取書込装置に中継媒体を固定した。さらに、中継媒体の導電性薄板対の表面には1mm厚の保護カバーを設け、電子情報記録媒体を前記保護カバー上に重ね合わせ可能な構造とした。
【0039】
上記により作製した中継媒体と読取書込装置を電磁誘導によって交信させ、中継媒体に形成された導電性薄板対上に電子情報記録媒体を載置し、導電性薄板対同士を向かい合わせ静電結合によって交信させ、電子情報記録媒体に搭載されたICチップ内のデータの読み取り/書き込み処理を行った。
また、電子情報記録媒体の3種類の形状1〜3、および、中継媒体に形成された4種類の導電性薄板の形状1〜4の組み合わせにより、電子情報記録媒体と中継媒体との中心位置を合わせた状態での電子情報記録媒体の回転ずれ許容、電子情報記録媒体と中継媒体との中心位置のずれ許容の評価を行った。評価結果は表1に示すとおりである。
【0040】
【表1】
【0041】
評価の結果、電子情報記録媒体と中継媒体の導電性薄板の形状が、何れも一方の導電性薄板がもう一方の導電性薄板を溝を介して囲む形状(電子情報記録媒体の形状2と形状3、および、中継媒体の形状B、形状C、形状D)の場合、各々の中心位置を合わせた際の回転許容度は10°から360°と大幅に増大し、回転しても通信が不安定となる領域は生じなくなることが確認された。
また、電子情報記録媒体、中継媒体の各導電性薄板のサイズを100mm2以上とすることにより、位置ずれ許容度が±1mmから±2〜3mmと増大することが確認された。
さらに、電子情報記録媒体の形状3と中継媒体の形状Dとの組み合わせ(電子情報記録媒体の一対の導電性薄板が中継媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置されたときに、電子情報記録媒体の溝の内側に形成された導電性薄板は、中継媒体の溝の内側に形成された導電性薄板よりも大きく、中継媒体の外側に形成された導電性薄板よりも小さくなるように形成する)とすることにより、さらに位置ずれに対する許容度が増大することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、電磁誘導方式による非接触型電子情報記録媒体を使用し、回転ずれや位置ずれの影響を受け難い通信システムとして利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 読取書込装置
2 中継媒体
3 電子情報記録媒体
11 送受信部
15、25 ループアンテナ
20 中継媒体基材
22 支持フィルム
23、33 導電性薄板対
23a、33a 円形の導電性薄板
23b、33b 円環形の導電性薄板
26 コンデンサ
30 ICモジュール
31 ICチップ
32 モジュール基板
34 封止樹脂
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローコストな電子情報記録媒体が利用可能で電磁誘導方式で通信可能な通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、読取装置と非接触で情報通信を行う電子情報記録媒体、とりわけ、非接触ICカードが交通システム、電子マネー、入出退システム、物流管理等、各種システムに利用されている。
非接触情報記録媒体を用いた通信方式には、通信周波数帯域に応じて、電磁結合方式、静電結合方式、電磁誘導方式、電波方式がある。非接触ICカードを利用した通信システムでは、電磁誘導方式が主流で使用されている。
電磁結合方式、静電結合方式を用いた非接触ICカードでは、ISO/IEC10536で規格化されており、非接触ICカード内には2つのループ状のアンテナもしくはコンデンサプレートが設けられ、4.9MHzの信号周波数帯域で使用される。
電磁誘導方式を用いた非接触ICカードでは、ISO/IEC14443,15693,18092で規格化されており、非接触ICカード内にはループ状のアンテナが設けられ、13.56MHzの信号周波数帯域で使用される。
電波方式を用いた非接触ICカードでは、ISO/IEC18000で規格化されており、非接触ICカード内にはプレート状のダイポールアンテナが内蔵され、2.45MHzの信号周波数帯域で使用される。
【0003】
通常非接触ICカードはアンテナをカードに搭載し、ICチップとアンテナとを接続することによって外部端末と通信するが、良好な通信性能を得るために、アンテナを通信周波数やICチップに適合した形状とすることが必要である。
そのために、アンテナは複雑な形状となってしまい、導電性の材料のエッチングによるパターン化、導電性のインキによる印刷、被覆されたワイヤの埋め込み等の方法によってアンテナの品質を確保している。これらの方法では、通信特性を向上させるために抵抗値が低い金属を選定し、前述の形状にしてカードに実装する必要があった。そのためにカードコストが低減できなかった。
一方、安価で且つ簡易に構成され、低速のデータから高速のデータにわたる連続した広い許容範囲において静電結合方式の非接触通信を行うシステムが提供されている。このシステムは、密着型の非接触情報記録媒体を使用し、送信側と受信側にそれぞれ配置した平板電極を対向させて形成される静電容量をカップラとして用い、送信側は直接ベースハンド信号を送信側の電極に加え、一方の受信側では受信側の電極に伝達された送信波形を、ヒステリシス特性を有するコンパレータで2値化復調するようにする通信システムである(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非接触情報記録媒体を使用する通信システムでは電磁誘導方式が主流で、引用文献1に記載されている静電結合方式でシステムを構築するためには静電結合方式に対応したICチップを使用し、システムを構築しなければならない。
そこで本発明は、電磁誘導方式による通信方式が利用可能で、ローコストで且つ回転ずれ許容度が大きな電子情報記録媒体を使用する通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の目的を達成するために本発明の通信システムの第一の態様は、電磁誘導方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続された一対の導電性薄板とを有する容量結合型電子情報記録媒体と、ループアンテナを有し前記電子情報記録媒体と通信を行う読取書込装置とを、一対の導電性薄板とループアンテナとを有する中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムであって、前記電子情報記録媒体と前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は、一方の導電性薄板の外側にもう一方の導電性薄板が内側の導電性薄板を囲むように溝を介して形成され、前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は一方がループアンテナの始端と、他の一方はループアンテナの終端に接続され、中継媒体の一対の導電性薄板が前記電子情報記録媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置され、中継媒体のループアンテナが前記読取書込装置のループアンテナに対向するように配置されて通信されることを特徴とするものである。
【0007】
また、第二の態様は、第一の態様において、電子情報記録媒体と中継媒体の両方または何れかに形成された一対の導電性薄板は、一方が円形で、他方が前記円形の中心点を共有し前記円形の薄板の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板で形成されたことを特徴とするものである。
【0008】
また、第三の態様は、第一又は第二の態様において、電子情報記録媒体の一対の導電性薄板が中継媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置されたときに、電子情報記録媒体の溝の内側に形成された導電性薄板は、中継媒体の溝の内側に形成された導電性薄板よりも大きく中継媒体の外側に形成された導電性薄板よりも小さくなるように形成されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、第四の態様は、第一から第三何れかの態様において、電子情報記録媒体と中継媒体の両方又は何れかに形成された一対の導電性薄板の、溝の外側に形成された導電性薄板には径方向に所定の幅の溝が形成されたことを特徴とするものである。
【0010】
また、第五の態様は、第一から第四何れかの態様において、中継媒体は読取書込装置に組み込まれたことを特徴とするものである。
【0011】
また、第六の態様は、第一から第五何れかの態様において、読取書込装置と中継媒体は電磁誘導によって交信され、中継媒体と電子情報記録媒体は静電結合によって交信されることを特徴とするものである。
【0012】
また、第七の態様は、第一から第六何れかの態様において、読取書込装置と電子情報記録媒体の間で交信される際に、電子情報記録媒体と中継媒体の溝の内側の導電性薄板同士と溝の外側の導電性薄板同士が対向する状態で交信されることを特徴とするものである。
【0013】
また、第八の態様は、第一から第七何れかの態様において、中継媒体に形成された導電性薄板対と電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対とは異なる材質で構成されたことを特徴とするものである。
【0014】
また、第九の態様は、第一から第八何れかの態様において、電子情報記録媒体はICカードであることを特徴とするものである。
【0015】
また、第十の態様は、第一から第八何れかの態様において、電子情報記録媒体はICラベルであることを特徴とするものである。
【0016】
また、第十一の態様は、第一から第八何れかの態様において、電子情報記録媒体はコイン形状の電子情報記録媒体であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の通信システムにより、
1)電子情報記録媒体には、いわゆるアンテナは搭載されておらず、2つの導電性薄板が搭載されているだけなので、従来の複雑なアンテナ形成工程が不要となり、電子情報記録媒体をローコストで製造することが可能となる。
2)市場で多く流通している電磁誘導方式の電磁誘導通信装置を流用してシステムを構築できるため、低コストで導入できる。すなわち、情報記憶媒体のICチップとして、市場に多く流通している(既存の電磁誘導方式の非接触ICカードに用いられる)ICチップを流用でき且つ電磁誘導通信装置として、既存の非接触ICカード用のリーダライタを流用して装置を構成できる。
3)電子情報記録媒体および中継媒体に搭載される導電性薄板が何れも一方が円形の導電性薄板で他方が円形と中心点を共有し前記円の外側に形成された円環形の導電性薄板で構成されたことによって、中継媒体上で電子情報記録媒体が回転しても電子情報記録媒体に搭載される導電性薄板と中継媒体に搭載される導電性薄板との重なり合う面積は変わらないため、中継媒体に対する電子情報記録媒体の重ね方向に左右されず、安定した通信が構築できる。
4)電子情報記録媒体に形成された溝の内側の導電性薄板が中継媒体に形成された溝の内側の導電性薄板よりも大きく、電子情報記録媒体に形成された溝の外側の導電性薄板の外形が中継媒体に形成された溝の外側の導電性薄板の外形よりも小さく形成することにより、電子情報記録媒体と中継媒体の中心の位置が多少ずれた場合でも、電子情報記録媒体に形成されている一方の導電性薄板が中継媒体に形成されている導電性薄板対を跨いで向かい合うことがないために、安定した通信が構築できる。特に、コイン形状(円形)の電子情報記録媒体を用いた通信システムの場合、電子情報記録媒体が読取り装置内で回転するため、本方式の回転ずれ、位置ずれの影響を受けないシステムによって安定した通信システムが構築可能となる。
5)以上のように、本発明の通信システムを使用することにより、回転ずれや位置ずれの影響が受け難い電磁誘導方式による通信システムが安定した状態で運用できる。
さらに、現在運用されている非接触型ICカードに使用されているICチップ、リーダライタが流用可能で、従来の非接触型ICカードよりも構造がシンプルでかつ小型化された電子情報記録媒体が使用可能となる。また、システム構築のための費用や、電子情報記録媒体の製造コストを低く抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の通信システムについて説明するための回路図の一例である。
【図2】本実施形態の通信システムに使用される読取書込装置の一例について説明するための図である。
【図3】本実施形態の通信システムに使用される読取書込装置の他の一例について説明するための図である。
【図4】本実施形態の読取書込装置の送受信部とアンテナの一例について説明するための図である。
【図5】本実施形態の中継媒体の一例について説明するための図である。
【図6】本実施形態の電子情報記録媒体の一例について説明するための図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本実施形態の通信システムについて説明する。
図1は、電子情報記録媒体と読取書込装置とを中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムの概念を示した図である。
本実施形態の通信システムは、電磁誘導方式で通信可能なICチップ31と、ICチップ31に接続された一対の導電性薄板33とを有する容量結合型電子情報記録媒体3と、ループアンテナ15を有し電子情報記録媒体3と通信を行う読取書込装置1とを、一対の導電性薄板23とループアンテナ25を有する中継媒体2を介在させて非接触で通信する通信システムである。
【0020】
前述の電子情報記録媒体3と中継媒体2に形成された一対の導電性薄板(以下、導電性薄板対ともいう)33、23は、何れも外側の導電性薄板が内側の導電性薄板を、溝を介して囲む状態で形成されている。図示していないが、例えば、一方の内側の導電性薄板が円形の導電性薄板で、もう一方の外側の導電性薄板が円形の導電性薄板と中心点を共有し円の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板で構成されている。
【0021】
一方、中継媒体2の導電性薄板対23は、一方がループアンテナ25の始端と、他の一方がループアンテナ25の終端に接続され、中継媒体2の導電性薄板対23が前述の電子情報記録媒体3の導電性薄板対33に対向するように配置されている。
また、中継媒体2のループアンテナ25は、読取書込装置1のループアンテナ15に対向するように配置されており、読取書込装置1のループアンテナ15は、読取書込装置1の送受信部11に接続されている。
【0022】
図2は、中継媒体2が読取書込装置1に外付けされ、その上面に電子情報記録媒体3が載置されて読み取られる状態を示している。
図2に示す例は、中継媒体2の基板の同一面に導電性薄板対とループアンテナが形成された例で、中継媒体2の左側平面には導電性薄板対が、右側平面にはループアンテナが形成されている。電子情報記録媒体3に搭載された導電性薄板対に中継媒体2の導電性薄板対が対向するように、さらに、図1に示した読取書込装置1のループアンテナ15に中継媒体2のループアンテナ25が対向するようになっている。
中継媒体2は読取書込装置1に接着剤などで固定されてもよいし、紐などで固定されてもよい。
【0023】
また、図3に示すように、中継媒体2が読取書込装置1の筐体の中に組み込まれてもよい。
図3に示す例では、後述、図5に示す中継媒体2の長辺の中央部の点線位置で中継媒体基体22が電子情報記録媒体3とほぼ同一サイズに折り畳まれて読取書込装置1の筐体の中に組み込まれている。
その結果、電子情報記録媒体3に搭載された導電性薄板対33に中継媒体2の導電性薄板対23が対向するように、また、読取書込装置1のループアンテナ15に中継媒体2のループアンテナ25が対向するようになっている。
【0024】
図3に示す読取書込装置1の場合は、電子情報記録媒体3は読取書込装置1の所定の位置に載置されて記録情報が読み取られるが、図3の中継媒体2の上部を読取書込装置1と一体化したポケット構造とし、ポケットの入り口から電子情報記録媒体3が自重で落下してポケットの底で一時停止し、情報の読み取り/書き込みを行なうこともできる。
電子情報記録媒体3が非接触ICカードである場合は、図3に示すような中継媒体2を組み込んだ読取書込装置1に対して、カード搬送機構を設けてカードを所定の位置まで移動させ、情報の読み取り/書き込みを行なうこともできる。
【0025】
接触型ICカード(端子付きICカードともいう)や接触、非接触両用型ICカード等の通信範囲が狭い小型のループアンテナ搭載の非接触ICカードを用いた非接触通信システムでは、読取書込装置1側には高精度な位置決め手段が必要となるが、本実施形態のような電子情報記録媒体3を使用することによって、導電性薄板対33が、多少、回転や位置ずれを生じても情報の読み取り/書き込みを行なうことが可能となる。その結果、読取書込装置を安価に製造、提供することが可能となる。
【0026】
図4に示す読取書込装置1は、ループアンテナ15と送受信部11が離れて配置された例であるが、中継媒体2に設けられた導電性薄板対23と電子情報記録媒体3に設けられた導電性薄板対33とは必ずしも完全に重なった状態で読み取られる必要はない。
中継媒体2に設けられた導電性薄板対23と電子情報記録媒体3に設けられた導電性薄板対33が所定の面積で重なっている部分があれば、中継媒体2と電子情報記録媒33との間で通信することが可能である。
【0027】
前述の中継媒体に形成された導電性薄板対と電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対とは同一の材質、例えば、アルミニウム、銅、真鍮、錫、亜鉛、銀、金など同一金属で電気の良導体であるほうが好ましいが、異なる材質で構成されてもかまわない。
特に電子情報記録媒体においては、導電性薄板対の材質としてアルミニウムを使用することが好ましい。アルミニウムは他の金属と比較して安価であるため、よりローコストな電子情報記録媒体3として提供することが可能となるからである。
【0028】
図5を参照して、本実施形態の中継媒体の一例について説明する。
中継媒体2は、絶縁性材料による支持フィルム22上に導電性薄板対23とループアンテナ25が形成されている。支持フィルム22の一方の面にはループアンテナ25が形成されている。また、ループアンテナを跨いでコンデンサ26が形成される場合もある。
支持フィルム22のもう一方の面には導電性薄板対23が形成されており、導電性薄板対23は、一方が円形の導電性薄板23aで、他方が前記円形の導電性薄板と中心を共有し、前記円形の導電性薄板の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板23bになっている。
導電性薄板対23a、23bは、一方がループアンテナの始端と、他の一方はループアンテナの終端に接続され、前述の支持フィルム22上に接着剤などで固定されている。
尚、外側の導電性薄板23bは、円環形でも、図5に示すような中心から外側に向かうスリットが入った円環形でもよいが、スリットが入った円環形の場合はスリットにループアンテナとの接続配線を通すことができ、導電性薄板およびループアンテナを片面配線基板で形成することが可能となり、より安価なシステムを構築することができる。
【0029】
図6、図7を参照して、電子情報記録媒体3について説明する。
図6のa図は、本実施形態の電子情報記録媒体3に実装されているICモジュール30を平面から視た状態の一例である。
絶縁材料によるICモジュール30の基板32上に導電性薄板対33が形成され、ICチップ31が搭載されている。
導電性薄板対33の外側に形成された導電性薄板33bは、内側に形成された導電性薄板33aを、溝を挟んで内側に形成された導電性薄板33aを囲むように形成されている。
また、それぞれの導電性薄板は中心を共有している。
ICチップ31は、ベアチップ状態でも、ベアチップに補強板が貼り付けられた状態でも、封止樹脂34で保護された状態のいずれであってもよい。
前記導電性薄板は、シンプルな形状になっているため、酸またはアルカリ液によるエッチング加工や切削刃による切削加工、金型によるハーフカット加工などの汎用的な加工技術によって形成することができる。
【0030】
図6のb図は、本実施形態の通信システムに使用される電子情報記録媒体3の一例である。
電子情報記録媒体3は、プラスチックのカード基体(図示せず)内に前述のICモジュール30を内蔵したICカードのほかに、コイン形状の電子情報記録媒体の場合や、粘着フィルムの片側に前述のICモジュール30が搭載されたICラベルなどの場合がある。
電子情報記録媒体3がICカードなどの場合は、図示しないが、電子情報記録媒体3の表面に磁気記録のための磁気ストライプが形成されている場合もある。
また、多くの場合、電子情報記録媒体3の表裏には美麗な印刷が施されている。
【0031】
中継媒体2及び電子情報記録媒体3の導電性薄板対の一方の円形の導電性薄板23aと33aは真円である必要はなく、楕円であってもよい。
また、中継媒体2と電子情報記録媒体3に形成された導電性薄板対の円環形の導電性薄板には、径方向に1mm程度の所定の幅で溝を形成してもよい。
【0032】
本実施形態において、読取書込装置、中継媒体、電子情報記録媒体間で好適に通信を行わせるため、電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対と中継媒体に形成された導電性薄板対とを対向させたときに、電子情報記録媒体および中継媒体に搭載された導電性薄板対は静電結合によって交信される。
静電結合度が高くなるほど、電子情報記録媒体に加わる信号レベルは高くなり、より安定した通信を行うことができる。静電結合度は、電子情報記録媒体および中継媒体の鉛直方向から見た際に重なり合う導電性薄板の面積が大きくなるほど高くなり、電子情報記録媒体に形成される導電性薄板と中継媒体に形成される導電性薄板との鉛直方向の距離が短いほど高くなるため、それぞれの導電性薄板の面積は100mm2以上とすることが望ましい。
【0033】
また、図5に示すように、中継媒体2に搭載されるループアンテナ25にコンデンサ素子26を直列もしくは並列接続し、直列共振回路もしくは並列共振回路を形成することにより、読取書込装置からの送信信号を効率的に受信することが可能となる。
さらに好適には、前記中継媒体の直列共振回路もしくは並列共振回路の共振周波数は、読取書込装置から送信される交流信号と同程度の周波数(読取書込装置から送信される信号の搬送波が13.56MHzの場合、中継媒体の共振周波数は、12〜20MHz)であることが望ましい。
【0034】
(実施例)
図7を参照して電子情報記録媒体について説明する。
まず、ICモジュール30を作製するために、モジュール基板32として絶縁材料であるポリエステルフィルムを使用し、導電性薄板33a、33bとして、厚さ25μmのアルミ箔を貼り合わせた。
形状による通信特性の差異を検証するべく、下記3種の形状の導電性薄板を作製した。
(1)形状1(四角形)
導電性薄板33a:縦10mm、横10mm
導電性薄板33b:縦10mm、横10mm
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(2)形状2(円環形)
導電性薄板33a:8mm(半径4mm)Φの円形
導電性薄板33b:外径12mmΦ、内径Φ9mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(3)形状3(円環形)
導電性薄板33a:12mm(半径6mm)Φの円形
導電性薄板33b:外径18mmΦ、内径13mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
【0035】
導電性薄板対の一方の円形の導電性薄板33aと他方の円環形の導電性薄板33bを跨ぐように、ISO/IEC14443TypeA方式準拠のICチップ31回路面におけるアンテナ接続用端子部に金めっき等で高さ20μmの突起部を設け、前記ICチップ回路面および突起部を導電性薄板側に向け接続した。
ICモジュール30をPET、PVC、PET−G等の絶縁性基材で挟み、熱溶融等で一体化することにより、厚さ0.4mmの電子情報記録媒体3を形成した。
なお、上記説明では電子情報記録媒体をカードの例で説明したが、上記の形態に拘るものではない。例えば、ICカードの代わりにICモジュールを搭載したICラベル、コイン、キーホルダなどの電子情報記録媒体としてもよい。
【0036】
中継媒体は、厚さ180μmのガラスエポキシ、ポリイミド、ポリエステル等の絶縁材料に、厚さ30μm銅箔を全面に貼り付け、エッチングにより導電性薄板対とループアンテナを作製した。
ループアンテナは3ターン(サイズ:40mm×40mm)とし、アンテナの両端に下記4種の形状の導電性薄板を接続し、導電性薄板の形状による通信特性の差異を検証した。
(1)形状A(四角形)
導電性薄板23a:縦20mm、横15mm
導電性薄板23b:縦20mm、横15mm
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(2)形状B(円環形)
導電性薄板23a:8mm(半径4mm)Φの円形
導電性薄板23b:外径12mmΦ、内径Φ9mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(3)形状C(円環形)
導電性薄板23a:12mm(半径6mm)Φの円形
導電性薄板23b:外径18mmΦ、内径13mmΦの円環形
導電性薄板間:0.5mmのスリット
(4)形状D(円環形)
導電性薄板23a:10mm(半径5mm)Φの円形
導電性薄板23b:外径20mmΦ、内径15mmΦの円環形
導電性薄板間:2.5mmのスリット
【0037】
ループアンテナの両端には、コンデンサを並列に接続し、共振周波数が14MHzになるようにコンデンサ容量調整を行った。
ループアンテナと導電性薄板対とは、10mmの間隔で隣接させ、ループアンテナの始端、終端をそれぞれ導電性薄板23a、23bに接続した。
【0038】
次に、ISO/IEC14443TypeA方式準拠のアンテナを有する従来の非接触ICカードとの通信処理を行うことが可能な読取書込装置に搭載されたループアンテナと中継媒体のループアンテナとの間が対面距離で5mmになるように読取書込装置に中継媒体を固定した。さらに、中継媒体の導電性薄板対の表面には1mm厚の保護カバーを設け、電子情報記録媒体を前記保護カバー上に重ね合わせ可能な構造とした。
【0039】
上記により作製した中継媒体と読取書込装置を電磁誘導によって交信させ、中継媒体に形成された導電性薄板対上に電子情報記録媒体を載置し、導電性薄板対同士を向かい合わせ静電結合によって交信させ、電子情報記録媒体に搭載されたICチップ内のデータの読み取り/書き込み処理を行った。
また、電子情報記録媒体の3種類の形状1〜3、および、中継媒体に形成された4種類の導電性薄板の形状1〜4の組み合わせにより、電子情報記録媒体と中継媒体との中心位置を合わせた状態での電子情報記録媒体の回転ずれ許容、電子情報記録媒体と中継媒体との中心位置のずれ許容の評価を行った。評価結果は表1に示すとおりである。
【0040】
【表1】
【0041】
評価の結果、電子情報記録媒体と中継媒体の導電性薄板の形状が、何れも一方の導電性薄板がもう一方の導電性薄板を溝を介して囲む形状(電子情報記録媒体の形状2と形状3、および、中継媒体の形状B、形状C、形状D)の場合、各々の中心位置を合わせた際の回転許容度は10°から360°と大幅に増大し、回転しても通信が不安定となる領域は生じなくなることが確認された。
また、電子情報記録媒体、中継媒体の各導電性薄板のサイズを100mm2以上とすることにより、位置ずれ許容度が±1mmから±2〜3mmと増大することが確認された。
さらに、電子情報記録媒体の形状3と中継媒体の形状Dとの組み合わせ(電子情報記録媒体の一対の導電性薄板が中継媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置されたときに、電子情報記録媒体の溝の内側に形成された導電性薄板は、中継媒体の溝の内側に形成された導電性薄板よりも大きく、中継媒体の外側に形成された導電性薄板よりも小さくなるように形成する)とすることにより、さらに位置ずれに対する許容度が増大することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、電磁誘導方式による非接触型電子情報記録媒体を使用し、回転ずれや位置ずれの影響を受け難い通信システムとして利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 読取書込装置
2 中継媒体
3 電子情報記録媒体
11 送受信部
15、25 ループアンテナ
20 中継媒体基材
22 支持フィルム
23、33 導電性薄板対
23a、33a 円形の導電性薄板
23b、33b 円環形の導電性薄板
26 コンデンサ
30 ICモジュール
31 ICチップ
32 モジュール基板
34 封止樹脂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続された一対の導電性薄板とを有する容量結合型電子情報記録媒体と、ループアンテナを有し前記電子情報記録媒体と通信を行う読取書込装置とを、一対の導電性薄板とループアンテナとを有する中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムであって、前記電子情報記録媒体と前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は、一方の導電性薄板の外側にもう一方の導電性薄板が内側の導電性薄板を囲むように溝を介して形成され、前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は一方がループアンテナの始端と、他の一方はループアンテナの終端に接続され、中継媒体の一対の導電性薄板が前記電子情報記録媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置され、中継媒体のループアンテナが前記読取書込装置のループアンテナに対向するように配置されて通信されることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体と中継媒体の両方または何れかに形成された一対の導電性薄板は、一方が円形で、他方が前記円形の中心点を共有し前記円形の薄板の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板で形成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体の一対の導電性薄板が中継媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置されたときに、電子情報記録媒体の溝の内側に形成された導電性薄板は、中継媒体の溝の内側に形成された導電性薄板よりも大きく中継媒体の外側に形成された導電性薄板よりも小さくなるように形成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1〜3何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体と中継媒体の両方又は何れかに形成された一対の導電性薄板の、溝の外側に形成された導電性薄板には径方向に所定の幅の溝が形成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載の通信システムにおいて、
中継媒体は読取書込装置に組み込まれたことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1〜5何れか1項に記載の通信システムにおいて、
読取書込装置と中継媒体は電磁誘導によって交信され、中継媒体と電子情報記録媒体は静電結合によって交信されることを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1〜6何れか1項に記載の通信システムにおいて、
読取書込装置と電子情報記録媒体の間で交信される際に、電子情報記録媒体と中継媒体の溝の内側の導電性薄板同士と溝の外側の導電性薄板同士が対向する状態で交信されることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項1〜7何れか1項に記載の通信システムにおいて、
中継媒体に形成された導電性薄板対と電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対とは異なる材質で構成されたことを特徴とするものである。
【請求項9】
請求項1〜8何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体はICカードであることを特徴とする通信システム。
【請求項10】
請求項1〜8何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体はICラベルであることを特徴とする通信システム。
【請求項11】
請求項1〜8何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体はコイン形状の電子情報記録媒体であることを特徴とする通信システム。
【請求項1】
電磁誘導方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続された一対の導電性薄板とを有する容量結合型電子情報記録媒体と、ループアンテナを有し前記電子情報記録媒体と通信を行う読取書込装置とを、一対の導電性薄板とループアンテナとを有する中継媒体を介在させて非接触で通信する通信システムであって、前記電子情報記録媒体と前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は、一方の導電性薄板の外側にもう一方の導電性薄板が内側の導電性薄板を囲むように溝を介して形成され、前記中継媒体に形成された一対の導電性薄板は一方がループアンテナの始端と、他の一方はループアンテナの終端に接続され、中継媒体の一対の導電性薄板が前記電子情報記録媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置され、中継媒体のループアンテナが前記読取書込装置のループアンテナに対向するように配置されて通信されることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体と中継媒体の両方または何れかに形成された一対の導電性薄板は、一方が円形で、他方が前記円形の中心点を共有し前記円形の薄板の外側に溝を介して形成された円環形の導電性薄板で形成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体の一対の導電性薄板が中継媒体の一対の導電性薄板に対向するように配置されたときに、電子情報記録媒体の溝の内側に形成された導電性薄板は、中継媒体の溝の内側に形成された導電性薄板よりも大きく中継媒体の外側に形成された導電性薄板よりも小さくなるように形成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1〜3何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体と中継媒体の両方又は何れかに形成された一対の導電性薄板の、溝の外側に形成された導電性薄板には径方向に所定の幅の溝が形成されたことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載の通信システムにおいて、
中継媒体は読取書込装置に組み込まれたことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1〜5何れか1項に記載の通信システムにおいて、
読取書込装置と中継媒体は電磁誘導によって交信され、中継媒体と電子情報記録媒体は静電結合によって交信されることを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1〜6何れか1項に記載の通信システムにおいて、
読取書込装置と電子情報記録媒体の間で交信される際に、電子情報記録媒体と中継媒体の溝の内側の導電性薄板同士と溝の外側の導電性薄板同士が対向する状態で交信されることを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項1〜7何れか1項に記載の通信システムにおいて、
中継媒体に形成された導電性薄板対と電子情報記録媒体に形成された導電性薄板対とは異なる材質で構成されたことを特徴とするものである。
【請求項9】
請求項1〜8何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体はICカードであることを特徴とする通信システム。
【請求項10】
請求項1〜8何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体はICラベルであることを特徴とする通信システム。
【請求項11】
請求項1〜8何れか1項に記載の通信システムにおいて、
電子情報記録媒体はコイン形状の電子情報記録媒体であることを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−175327(P2012−175327A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34421(P2011−34421)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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