説明

通信システム

【課題】指向性の狭い赤外線通信時に、赤外線通信部の位置だけでなく、赤外線通信部の向きを容易に合わせることが可能な通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】携帯端末201は、通信装置101の発生する磁気の強度を検出する磁気検出部203−1、203−2と、携帯端末201の姿勢を検出する姿勢検出部204を備えている。磁気検出部203−1、203−2は磁気の強度を検出して、通信装置101との距離が赤外線通信可能状態になるよう、ユーザに通知する。さらに、姿勢検出部204が検出した端末の姿勢情報から、携帯端末201と通信装置101の赤外線通信部の光軸の向きがあうように、通知部206に携帯端末201をどちらに向ければいいかをユーザに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線通信機能を備えた通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ほぼ全ての携帯電話に赤外線通信機能が実装されており、赤外線通信を用いたデータのやり取りが一般的になっている。赤外線には指向性があるため、自端末の赤外線通信部と、通信相手の赤外線通信部の位置、および向きを合わせる必要がある。
【0003】
一方、2009年4月に1.28Gbpsの赤外線通信規格(Giga-IR)が標準化された。図11は、現在の携帯電話に実装されている赤外線通信の規格(FIR/MIR/SIR)とGiga-IR規格の通信可能角度と距離を示したものである。図11に示すように、Giga-IR規格の通信可能角度は±5度であり、現在の携帯電話に実装されているFIR/MIR/SIR規格の±15度に比べて通信可能角度が狭いことがわかる。そのため、Giga-IR規格を用いた赤外線通信においては、現在のFIR/MIR/SIR規格を用いた赤外線通信ではさほど課題にならなかった、赤外線通信部間の位置あわせが重要となる。また、位置だけでなく、双方の赤外線通信部の光軸の向きが通信可能角度である±5度以内に収まるよう、向きを合わせることも重要となる。
【0004】
従来、この種の位置あわせ技術として、例えば、特許文献1に記載されているようなものがあった。図12は前記特許文献に記載された従来の位置あわせ技術を示している。特許文献1では、非接触充電装置と充電する電子機器との位置あわせ技術である。一次側装置12には、送電用コイル4を設け、二次側装置13には、充電に用いる受電用コイル5の他に、位置あわせ用の誘導用コイル11を設けている。一次側装置12の送電用コイル4と、二次側装置13の受電用コイル5の位置を合わせるため、二次側装置13において、それぞれのコイルで測定した電磁界強度が同じになる点を求める。その点を送電用コイル4と受電用コイル5の位置があっている状態と判定し、その位置に二次側装置13を自走制御することで、非接触充電時の位置あわせを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001―155944号公報(第9頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、磁界の強度のみを検出して位置あわせを行っている。そのため、Giga-IR規格のような狭指向性の赤外線通信に対して、従来の位置あわせ技術を適用して、赤外線の強度を用いて位置あわせを行おうとしても、通信可能角度の範囲外では赤外線の強度が非常に小さくなるため、位置あわせを行うことは困難である。
【0007】
また、従来の構成では2次元での位置あわせしか行うことができず、3次元での位置あわせが考慮されていないため、双方の赤外線通信部の向きが通信可能角度以内に収まるように位置あわせを行うことができず、狭指向性の赤外線通信の位置あわせに用いることはできない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、通信装置の赤外線通信部の光軸方向に磁気を発生する磁気発生部を設け、携帯端末の磁気検出部で通信装置の磁気発生部が発する磁界の強度を検出することで2次元の位置あわせを可能にする。さらに携帯端末の姿勢検出部を用いて端末の姿勢を検出し、磁界の強度と端末の姿勢から、通信装置の発する磁界の方向、すなわち通信装置の赤外線通信部の光軸方向を検出して、携帯端末と通信装置のそれぞれの赤外線通信部が通信可能な位置、向きにあるかを判定する。このような構成にすることにより、Giga-IR規格のような狭指向性の赤外線通信時に、双方の赤外線通信部の位置だけでなく、赤外線通信部の向きを容易に合わせることが可能な携帯端末を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するため、本発明の通信システムでは、通信装置の赤外線通信部の光軸方向に磁気を発生する磁気発生部を設け、携帯端末の磁気検出部で通信装置の磁気発生部が発する磁界の強度を検出する。さらに、携帯端末に備えられた姿勢検出部を用いて端末の姿勢を検出し、磁界の強度と端末の姿勢から、通信装置の発する磁界の方向、すなわち通信装置の赤外線通信部の光軸方向を検出して、携帯端末と通信装置のそれぞれの赤外線通信部が通信可能な位置、向きにあるかを判定する構成とする。
【0010】
また、通信装置の赤外線通信部の光軸方向を示す情報を保存する光軸情報保存部を携帯端末に備え、任意の位置に備えられた赤外線通信部を有する通信装置の光軸方向にあわせた位置あわせを行うことを可能とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の携帯端末によれば、Giga-IR規格のように狭指向性の赤外線通信に対して、赤外線通信部の位置だけではなく、向きまで含めた3次元での位置あわせが可能となり、ユーザが容易、かつ確実に赤外線通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における通信システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態1における通信システムを用いた通信を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における携帯端末の通知部への通知例を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における姿勢検出部204での座標系を示す図
【図5】本発明の実施の形態2における通信システムの構成図
【図6】本発明の実施の形態2における通信装置の外観図
【図7】本発明の実施の形態2における通信装置301に備えられた赤外線通信部102の配置と光軸方向の関係例を示す図
【図8】本発明の実施の形態3における通信システムの構成図
【図9】本発明の実施の形態3における携帯端末の通知部への通知例
【図10】本発明の実施の形態4における通信システムの処理フローを示す図
【図11】赤外線通信のそれぞれの規格における通信範囲と距離を示した図
【図12】従来の通信システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における通信システムの構成を示している。図1に示すように、本実施の形態の通信システムでは、携帯端末201と、通信装置101から構成される。
【0014】
携帯端末201は、赤外線通信を行う赤外線通信部202、磁気の強度を検出する磁気検出部203−1、203−2、携帯端末201の姿勢を検出する姿勢検出部204、磁気検出部203−1、203−2が検出した磁気の強度、及び姿勢検出部204が検出した携帯端末201の姿勢により、通信装置101の赤外線通信部102と携帯端末201の赤外線通信部202とが通信可能な位置及び姿勢状態にあるかを判定する制御部205、制御部205が判定した結果から携帯端末201の適切な位置及び姿勢をユーザに通知するための通知部206、携帯端末201の操作を行うための操作部207、データを保存するデータ保存部208を備えている。
【0015】
通信装置101は、赤外線通信を行う赤外線通信部102、赤外線通信部の光軸方向に磁気を発生する磁気発生部103−1、103−2、赤外線通信における通信制御などを行う制御部104、データを保存するデータ保存部105、通信装置101の操作を行うための操作部106、通信装置101の状態を通知する通知部107を備えている。
次に、図1、図2、図3、図4を用いて、以上のように構成される通信システムの動作を説明する。図2は、ユーザが本通信システムにおける携帯端末201と通信装置101との間で赤外線通信を行う様子を示している。本実施の形態では、通信装置101の光軸方向は地面に対して垂直上向きであるとして以降説明するが、事前に携帯端末201が通信装置101の赤外線通信部102の光軸方向を知っていれば、通信装置101の光軸方向は任意でよい。図3は、本実施の形態における通知部206を用いたユーザへの通知例を示している。図4は、携帯端末201の姿勢検出部203における座標系を示している。図4において、x-y-z平面は、姿勢検出部204における3次元座標系を示している。図4(a)は、地面に対して水平においた場合の、姿勢検出部204の3次元座標系であり、図4(b)は、地面に対して、y-z平面においてθ度傾けた場合の、姿勢検出部204の3次元座標系である。図4(a)において、姿勢検出部204の検出する姿勢情報は、(x,y,z)=(0,0,1)と表され、図4(b)において、姿勢検出部の検出した姿勢情報は、(x,y,z)=(0,cos(90-θ)°,sin(90-θ)°)と表される。
【0016】
以降の説明では、通信装置101は音楽などのコンテンツの購入が可能な通信装置と仮定して説明する。
【0017】
ユーザは、通信装置101の通知部107に示されたメニュー画面から、購入したいコンテンツを操作部106によって選択する。通信装置101の赤外線通信部102は赤外線通信可能な状態となる。通信装置101の磁気発生部103−1、103−2は、赤外線通信部102の光軸情報と同じ向きに常に磁気を発生している。ユーザは、携帯端末201の操作部207を操作し、携帯端末201を赤外線通信可能な状態にし、携帯端末201の赤外線通信部202を通信装置101の赤外線通信部102に近づける。携帯端末201の磁気検出部203−1、203−2は、通信装置101の磁気発生部103−1、103−2から出力される磁気を検出し、磁気の検出強度を制御部205に通知する。一方、携帯端末201の姿勢検出部204は、携帯端末201の姿勢(x,y,z)を検出し、制御部205に通知する。制御部205では、磁気検出部203−1、203−2から通知される磁気の強度から、携帯端末201の赤外線通信部202と、通信装置101の赤外線通信部102が通信可能な範囲であるかを通知部206に通知する。
【0018】
通知例を図3(a)に示す。図3(a)に示した磁界強度の閾値は、赤外線通信に用いるそれぞれの通信規格(FIR、Giga-IRなど)の最大通信距離にあわせている。具体的には、通信装置101の磁気発生部103−1、103−2の発する磁気の量を規定しておき、携帯端末201はその規定された磁気の強さを既知であるとする。携帯端末201のサポートしている通信規格がGiga-IRであれば、携帯端末201の赤外線通信部202と通信装置101の赤外線通信部102が5cmの距離にある時に、携帯端末201の磁気検出部203−1、203−2で検出した磁界強度が、ちょうど磁界強度の閾値になるように、携帯端末201では閾値を設定しておけばよい。
【0019】
また、携帯端末201は、姿勢検出部204から通知される携帯端末201の姿勢情報(x,y,z)から、携帯端末201が地面に対して水平になっているか、すなわち
(x,y,z)=(0,0.1)
であるかを判定する。これは、通信装置101の赤外線通信部102の光軸方向と携帯端末201の赤外線通信部202の光軸方向が正しく向き合っているかを判定することを意味する。判定した結果、ずれがある場合は、制御部205は通知部206に対して、携帯端末201をどのような姿勢にすれば、双方の赤外線通信部の光軸方向があうかをユーザに通知する。通知例を図3(a)に示す。
【0020】
ユーザは携帯端末201の通知部206に表示された磁界強度、およびメッセージに従って、携帯端末201の位置、および姿勢を調整する。携帯端末201と通信装置101が赤外線通信可能な状態になると、携帯端末201の通知部206には図3(b)に示すように“赤外線通信中”のメッセージが表示される。通信装置101の制御部104は、データ保存部105から送信するデータを読み出し、赤外線通信部102を用いて、携帯端末201に送信する。携帯端末201の制御部205は、赤外線通信部202を用いて受信したデータをデータ保存部208に保存する。
【0021】
赤外線通信が完了すると、図3(c)に示すように携帯端末201の通知部206に“赤外線通信完了”のメッセージが表示される。
【0022】
本実施の形態の説明では、通知部として液晶などの表示装置を想定して説明したが、音声やLEDなどを用いてユーザに通知してもよい。
【0023】
また、通信装置101の磁気発生部103−1、103−2は、常に磁気を発生している構成としたが、赤外線通信可能な状態の時だけ磁気を発生する構成としてもよい。つまり、ユーザが通信装置101の操作部106において、購入したいコンテンツを選択すると、磁気を発生し始めるようにし、赤外線通信が完了すると磁気を停止するようにしてもよい。
【0024】
また、本実施の形態では、携帯端末201の赤外線通信部202は下筐体の背面に配置しているが、任意の位置でよい。
【0025】
また、本実施の形態では、携帯端末201の磁気検出部203−1、203−2、通信装置101の赤外線通信部102−1、102−2はそれぞれ2つずつの構成としたが、ひとつ以上の任意の個数を備えた構成でよい。
【0026】
このように、本実施の形態によれば、狭指向性の赤外線通信において、赤外線通信部の位置だけではなく、向きまで含めた3次元での位置あわせが可能となり、ユーザが容易、かつ確実に赤外線通信を行うことができる。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2の通信システムの構成を示している。図5において、図1と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。図5に示すように、本実施の形態の通信システムの携帯端末401では、通信装置301の赤外線通信部102の光軸方向の情報を保存する光軸情報保存部402、磁気通信を行う磁気通信部403を備えている。
【0027】
図5に示すように、本実施の形態の通信システムの通信装置301では、磁気通信を行う磁気通信部302、赤外線通信部102の光軸方向の情報を保存する光軸情報保存部303を備えている。
【0028】
図5、図6、図7を用いて、本発明の実施の形態2の動作を説明する。
【0029】
図6は、本実施の形態における通信装置の外観図を示している。
【0030】
図7は通信装置301における赤外線通信部102の配置と光軸方向の関係例を示している。本実施の形態においては、通信装置301における赤外線通信部102の設けられた面は、地面に対して垂直方向とは限らない。また、通信装置301における赤外線通信部102の設けられた面と、赤外線通信部102の光軸方向が垂直であるとは限らない。
【0031】
以下、本発明の実施の形態2の動作について説明する。ユーザは、通信装置301の通知部107に示されたメニュー画面から、購入したいコンテンツを操作部106によって選択する。通信装置301の赤外線通信部102は赤外線通信可能な状態となる。通信装置301の磁気発生部103−1、103−2は、赤外線通信部102の光軸方向と同じ向きに常に磁気を発生している。ユーザは、携帯端末401の操作部207を操作し、携帯端末401を赤外線通信可能な状態にし、携帯端末401の赤外線通信部202を通信装置301の赤外線通信部102に近づける。それに伴い、携帯端末401の磁気通信部403と通信装置301の磁気通信部302が接近し、磁気通信可能状態となる。通信装置301の制御部104は光軸情報保存部303から光軸情報を読み出し、磁気通信部302を用いて、光軸情報を送信する。携帯端末401の磁気通信部403は、受信した通信装置301の光軸情報を制御部205に出力し、制御部205は光軸情報保存部402に通信装置301の光軸情報を保存する。光軸情報とは、地面に対する赤外線通信部102の光軸の方向を指し示す情報であり、姿勢検出部204の3次元座標系における(x’,y’,z’)の形式で表現される。
【0032】
携帯端末401の制御部205は、光軸情報保存部402に保存した通信装置301の光軸情報(x’,y’,z’)と、姿勢検出部204から出力される姿勢情報(x,y,z)を制御部205において比較し、実施の形態1と同様に、通知部206へ携帯端末301をどのような姿勢にすればよいかを通知する。
【0033】
磁気強度の検出、ユーザへの通知の仕方については、実施の形態1と同様のため、省略する。
【0034】
このように、本実施の形態によれば、狭指向性の赤外線通信において、任意の光軸方向の赤外線通信部を備えた通信装置との3次元での位置あわせが可能となり、ユーザが容易、かつ確実に赤外線通信を行うことができる。
【0035】
また、通信装置301の任意の面に備えられ、任意の光軸方向を持った赤外線通信部102との位置あわせも用意に行うことができる。
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3の通信システムの構成を示している。図8において、図5と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0036】
本発明の実施の形態3では、図7(b)に示すような、通信装置における赤外線通信部の備えられた平面と、光軸方向が垂直の関係にあることが前提となる。
【0037】
図8、図9を用いて、本発明の実施の形態3の動作を説明する。図9は本実施の形態における通知部206への通知例を示している
ユーザは、通信装置501の通知部に示されたメニュー画面から、購入したいコンテンツを操作部106によって選択する。通信装置501の赤外線通信部102は赤外線通信可能な状態となる。通信装置501の磁気発生部103−1、103−2は、赤外線通信部の光軸情報と同じ向きに常に磁気を発生している。ユーザは、携帯端末601の操作部207を操作し、携帯端末601を赤外線通信可能な状態にする。それに伴い、携帯端末601の通知部206には、図9に示すようなメッセージが表示される。ユーザは、表示されたメッセージに従い、通信装置501の赤外線通信部102が備えられた面に、携帯端末601の赤外線通信部202が備えられた面を接触させる。ユーザが、その状態で携帯端末601の操作部207に設けられた決定キーを押下すると、携帯端末601の制御部205は、姿勢検出部204から入力された姿勢情報(x,y,z)を光軸情報保存部402に保存する。光軸情報保存部402に保存された情報は、通信装置501の赤外線通信部102の光軸方向を指し示す情報である。
【0038】
携帯端末601の制御部205は、光軸情報保存部402に保存した通信装置501の光軸情報(x’,y’,z’)と、姿勢検出部204から出力される姿勢情報(x,y,z)を制御部205で比較し、実施の形態2と同様に、通知部206に携帯端末601をどのような姿勢にすればよいかを通知する。
【0039】
磁気強度の検出、ユーザへの通知の仕方については、実施の形態1と同様のため、省略する。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、狭指向性の赤外線通信において、赤外線通信部の位置だけではなく、向きまで含めた3次元での位置あわせが可能となり、ユーザが容易、かつ確実に赤外線通信を行うことができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の通信システムの構成は、図8に示した実施の形態3の通信システムの構成と同じであるため、説明を省略する。
【0041】
図10を用いて、本発明の実施の形態の動作を説明する。図10は本発明の実施の形態4の通信システムの処理フローを示している。
【0042】
ユーザは、通信装置501の通知部107に示されたメニュー画面から、購入したいコンテンツを操作部106によって選択する。ユーザは、携帯端末601の操作部207を操作し、携帯端末601を赤外線通信可能な状態にし、携帯端末601の赤外線通信部202を通信装置501の赤外線通信部102に近づける。
【0043】
通信装置501と携帯端末601のそれぞれの赤外線通信部は、SIRモードで起動されており、双方の赤外線通信部がSIRモードで通信可能な距離範囲、および向きまで接近すると、図10に示すように、SIRモードの赤外線通信を用いてネゴシエーション処理を開始する。図11に示したように、SIRモードはGiga-IRモードに比べて通信距離、および通信可能角度が広いため、Giga-IRモードに比べて比較的容易に赤外線通信を確立できる。
【0044】
ネゴシエーション処理では、対応している規格(Giga-IR/FIR/SIR etc.)の情報などをやり取りする。このネゴシエーション処理において、通信装置501の光軸情報(x’,y’,z’)を携帯端末601にSIRモードの赤外線通信を用いて送信する。携帯端末601は、光軸情報を受信すると、光軸情報保存部402に受信した光軸情報(x’,y’,z’)を保存し、通信装置501にACKを返す。
【0045】
通信装置501、および携帯端末601の両方がGiga-IRに対応している場合、ネゴシエーション処理終了後、それぞれGiga-IRモードに移行し、データ送受信処理を行う。
【0046】
ここで、通信装置501と携帯端末601の赤外線通信部がGiga-IRの送受信可能な範囲にある場合、Giga-IRモードでのデータ送受信処理が正常に行われる。
【0047】
仮に、通信装置501と携帯端末601の赤外線通信部が、SIRモードでは通信可能だが、Giga-IRでは通信できない距離、もしくは向きにある場合、通信装置501が携帯端末601に対して、Giga-IRモードでデータを送信しても、携帯端末601ではデータを受信することができないため、ACKが返ってこない。そのため、通信装置601は規定の時間間隔で、規定の回数だけ再送処理を行う。
【0048】
一方、携帯端末601は、規定の時間ウェイトしても、通信装置501からデータが受信できない場合、制御部205は、光軸情報保存部402に保存した通信装置301の光軸情報(x’,y’,z’)と、姿勢検出部204から出力される姿勢情報(x,y,z)を制御部205において比較し、実施の形態2と同様に通知部206に携帯端末601をどのような姿勢にすればよいかを通知する。
【0049】
また、携帯端末601の磁気検出部203−1、203−2は、通信装置501の磁気発生部103−1、103−2から出力される磁気を検出し、磁気の検出強度を制御部205に通知する。ユーザへの通知の仕方については、実施の形態1と同様のため、省略する。
【0050】
ユーザは携帯端末601の通知部206に表示された磁界強度、およびメッセージに従って、携帯端末601の位置、および姿勢を調整する。通信装置501の再送処理中に、双方の赤外線通信部が通信可能な距離、および向きになるとGiga-IRモードでの通信が開始される。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、狭指向性の赤外線通信において、任意の光軸方向の赤外線通信部を備えた通信装置との3次元での位置あわせが可能となり、ユーザが容易、かつ確実に赤外線通信を行うことができる。
【0052】
また、通信装置301の任意の面に備えられ、任意の光軸方向を持った赤外線通信部102との位置あわせも用意に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明にかかる磁気検出部と姿勢検出部を備えた携帯端末は、位置だけではなく向きも含めた3次元での位置あわせが可能となるため、赤外線通信のような指向性の狭い無線通信を行う際の位置あわせ技術として有効である。
【符号の説明】
【0054】
1 商用電源
2 第一の整流器
3 スイッチング回路
4 送電用コイル
5 受電用コイル
6 第二の整流器
7 2次電池
8 電圧監視回路
9 演算装置
10 駆動装置
11 誘電用コイル
12 一次側装置
13 二次側装置
101 通信装置
102 赤外線通信部
103−1 磁気発生部
103−2 磁気発生部
104 制御部
105 データ保存部
106 操作部
107 通知部
201 携帯端末
202 赤外線通信部
203−1 磁気検出部
203−2 磁気検出部
204 姿勢検出部
205 制御部
206 通知部
207 操作部
208 データ保存部
301 通信装置
302 磁気通信部
303 光軸情報保存部
401 携帯端末
402 光軸情報保存部
403 磁気通信部
501 通信装置
601 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線通信機能を備えた携帯端末であって、
赤外線通信機能を備えた通信装置が出力する磁気の強度を検出する1つ以上の磁気検出部と、
前記携帯端末の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記磁気検出部が検出した磁気の強度及び前記姿勢検出部が検出した前記携帯端末の姿勢により、前記通信装置の赤外線通信部と前記携帯端末の赤外線通信部とが通信可能な位置及び姿勢状態にあるかを判定し、前記通信装置と前記携帯端末とが赤外線通信可能状態になる位置及び姿勢を算出する制御部と、
前記携帯端末の適切な位置及び姿勢をユーザに通知するための通知部と、
を備えた携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記通信装置に備えられた赤外線通信部の地面に対する光軸方向の情報を保存する光軸情報保存部をさらに備え、前記磁気検出部が検出した磁気の強度と、前記光軸情報保存部に保存された前記通信装置の光軸情報と前記姿勢検出部で検出した携帯端末の姿勢より、前記通信装置の赤外線通信部と前記携帯端末の赤外線通信部が通信可能な位置、姿勢状態にあるかを前記制御部で判定し、前記通知部に携帯端末の適切な位置、姿勢をユーザに通知することを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末において、前記通信装置の赤外線通信部の光軸情報を磁気通信によって受信することを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項2に記載の携帯端末において、通信装置の赤外線通信部が配置されている面と、携帯端末の赤外線通信部の配置されている面とを接触させ、その際の携帯端末の姿勢情報を前記光軸情報保存部に保存することを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
請求項2に記載の携帯端末において、通信装置の赤外線通信部の光軸情報を、赤外線通信開始時のネゴシエーションにおいて受信することを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
請求項1に記載の携帯端末と赤外線通信可能な通信装置において、
赤外線通信部と、
赤外線通信部の光軸方向に磁気を発生する1つ以上の磁気発生部と、
データを保存するデータ保存部と、
通信制御を行う制御部と、
赤外線通信部の光軸方向の情報を保存する光軸情報保存部と、を備えた通信装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5に記載の携帯端末と、請求項6に記載の通信装置と、からなる通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−256957(P2012−256957A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236389(P2009−236389)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】