説明

通信システム

【課題】 通信装置間の通信の信頼性を向上することができる通信システムを提供する。
【解決手段】 本発明の通信システム100は、伝送路82を介して第2の通信装置80へ送信するデータに、データを識別するための識別情報を付加する識別情報付加手段32と、識別情報付加手段32により識別情報が付加されたデータを第2の通信装置80へ送信する送信手段Tx1、Tx2及びTx3と、を有する第1の通信装置30と、識別情報が付加されたデータを、伝送路82を介して、第1の通信装置30から受信する受信手段Rx1、Rx2及びRx3と、識別情報に応じて、受信手段Rx1、Rx2及びRx3が受信したデータを、識別情報に対応して予め定められた処理を行う処理手段1、2及び3に振分ける振分け手段70と、を有する第2の通信装置80と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信装置間で例えば高画質の画像データ等の大容量のデータを伝送路を介して通信するため、伝送路の伝送帯域が増大している。その際、例えば、複数のケーブルを有する伝送路を用いて通信を行うことにより、伝送帯域を確保する場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、情報データを送信する送信機器と、該情報データを受信する受信機器との間の論理的な接続を示すコネクションIDを用いて通信を行うデータ通信システムであって、共通の前記コネクションIDを複数の機器間の通信に用いることを特徴とするデータ通信システムが開示されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、通信手段を備えたモデム、携帯電話、自動車電話、第2世代コードレス電話、CDMA電話等の通信装置と、通信装置からのデータを処理する手段を備えた情報端末との接続に供する信号自動切替装置において、入出力方式や信号電圧等が異なるインタフェースを持つ複数種類の通信装置を、情報端末の同一インタフェース上で実現するために、特定の通知用端子をインタフェースに備えることにより、接続される通信装置に応じて、情報端末のインタフェース部の入出力方式や信号電位等を自動的に切替えることを特徴とした信号自動切替装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−252138号公報
【特許文献2】特開平11−289394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、通信装置間の通信の信頼性を向上することができる通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、通信システムは、伝送路を介して第2の通信装置へ送信するデータに、前記データを識別するための識別情報を付加する識別情報付加手段と、前記識別情報付加手段により前記識別情報が付加された前記データを前記第2の通信装置へ送信する送信手段と、を有する第1の通信装置と、前記識別情報が付加された前記データを、前記伝送路を介して、前記第1の通信装置から受信する受信手段と、前記識別情報に応じて、前記受信手段が受信した前記データを、前記識別情報に対応して予め定められた処理を行う処理手段に振分ける振分け手段と、を有する前記第2の通信装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、通信システムは、上記構成において、前記送信手段は、複数の送信手段を有し、前記識別情報は、前記データが前記複数の送信手段のいずれから送信されるかを識別するための情報を含むことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、通信システムは、上記構成において、前記伝送路は、複数のケーブルであって、前記第1の通信装置は、前記複数のケーブルのいずれかの一端と接続され、形状が互いに統一された複数の第1のコネクタを有し、前記第2の通信装置は、前記複数のケーブルのいずれかの他端と接続され、形状が互いに統一された複数の第2のコネクタを有することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、通信システムは、上記構成において、前記複数のケーブルの被覆の色が互いに統一されていることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、通信システムは、上記構成において、前記第2の通信装置は、前記識別情報に基づいて、前記複数のケーブルと前記複数の第2のコネクタとの接続の状態を判断する接続状態判定手段と、前記接続状態判定手段が判断した前記接続の状態を出力する接続状態出力手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、データの識別情報によってデータを振分けない場合と比較して、通信装置間の通信の信頼性が向上する。
【0013】
請求項2の発明によれば、複数の送信手段からのデータであってもデータの識別情報によってデータを振分けない場合と比較して、通信装置間の通信の信頼性が向上する。
【0014】
請求項3の発明によれば、データの識別情報によってデータを振分けない場合と比較して、ケーブルとコネクタとの誤接続による通信の信頼性の低下が抑制される。
【0015】
請求項4の発明によれば、接続状態を判定する手段を有さない場合と比較して、ケーブルとコネクタとの誤接続による通信の信頼性の低下が抑制される。
【0016】
請求項5の発明によれば、接続状態を判定する手段を有さない場合と比較して、ケーブルとコネクタとの誤接続による通信の信頼性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1に係る画像形成装置及びその周辺の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】実施例1に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施例1に係る通信システムの構成の他の例を示すブロック図である。
【図4】実施例1に係るパケットのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】実施例1に係る通信装置におけるデータの送信処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】実施例1に係る通信装置におけるデータの受信処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】実施例1に係る送信元IDと受信先IDとを対応付けたテーブルの一例を示す図である。
【図8】実施例2に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図9】実施例2に係る複数のケーブルと複数のコネクタとの接続の状態を出力する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、実施例1に係る画像形成装置300及びその周辺の構成の一例を示すブロック図であり、通信装置及び通信システムの一例である。図1のように、画像形成装置300は、給紙部10、印刷部14及び後処理部22を備える。給紙部10は、状態検出手段12を有する。印刷部14は、スキャン手段16、画像制御手段18及び画処理手段20を有する。後処理部22は、製本手段24を有する。画像形成装置300の内部にある状態検出手段12、スキャン手段16、画像制御手段18、画処理手段20及び製本手段24は、矢印で示す伝送路を介してそれぞれ通信を行う。画像形成装置300の外部にある画像編集/生成装置400は、矢印で示す伝送路を介して画像形成装置300と通信を行う。通信される内容は、例えば画像データや処理を指示するためのコマンド等である。
【0020】
給紙部10は、印刷する用紙の給紙を行う。状態検出手段12は、例えば印刷する用紙の色やサイズ等を検出して、検出した用紙の色やサイズ等に関するデータを画像制御手段18に送信する。印刷部14は、用紙に画像データ等を印刷する。スキャン手段16は、例えば印刷するために入力された画像データを取り込んで、画像データを画像制御手段18に送信する。画像制御手段18は、例えば画像データを画処理手段20や外部のコンピュータ等の画像編集/生成装置400に送信する。画処理手段20は、例えば画像制御手段18から画像データを受信して、画像データの拡大・縮小や色補正等の処理を行う。後処理部22は、例えば印刷した用紙の分配、折り、断裁、製本等の後処理を行う。製本手段24は、例えば画像制御手段18から印刷した用紙を綴じる位置や用紙の向きの情報を受信して、製本を行う。画像編集/生成装置400は、例えば画像制御手段18から受信した画像データの編集や画像データの生成を行い、画像データを画像制御手段18へ送信する。このように、画像形成装置300及び画像編集/生成装置400は、それぞれ通信装置に対応して、通信システムを構成する。また、画像形成装置300の内部の各手段がそれぞれ通信装置に対応して、通信システムを構成する。例えば、状態検出手段12と画像制御手段18とが、それぞれ通信装置に対応して、通信システムを構成する。図1の構成は、通信装置及び通信システムの構成の一例であり、他の構成でもよい。
【0021】
図2は、実施例1に係る通信システム100の構成の一例を示すブロック図であり、通信システム100は、通信装置30と、通信装置80とを備える。図1の例では、例えば、通信装置30は画像形成装置300であり、通信装置80は画像編集/生成装置400である。あるいは、通信装置30はスキャン手段16であり、通信装置80は画像制御手段18である。通信装置30と通信装置80とは、複数のケーブル1、2及び3を有する伝送路82を介してデータを送受信する。ケーブル1、2及び3は、例えば光ファイバや同軸ケーブルである。ケーブル1、2及び3は、通信装置30から通信装置80へのデータの伝送に用いられる。ケーブル1、2及び3は、データをシリアル形式で伝送する。ケーブル1、2及び3は、被覆の色が互いに統一されている。なお、図2に示すケーブルの数は一例であり、ケーブルの数を変更してもよい。
【0022】
通信装置30は、識別情報(Identifier、以下IDと略記する)付加手段32、送信手段(Transmitter、以下Txと略記する)1、2及び3、並びに、コネクタ1、2及び3を有する。ID付加手段32は、伝送路82を介して通信装置80へ送信するデータに、データを識別するためのIDを付加する。IDは、データがTx1、2及び3のいずれから送信されるかを識別するための情報(以下、送信元IDと記す)を含む。例えば、Tx1から送信されるデータには、「1」という送信元IDを付加し、Tx2から送信されるデータには、「2」という送信元IDを付加する。また、IDは、データが後述する処理手段1、2及び3のいずれで処理されるかを識別するための情報(以下、受信先IDと記す)を含む。例えば、処理手段1で処理されるデータには、「1」という受信先IDを付加し、処理手段2で処理されるデータには、「2」という受信先IDを付加する。Tx1、2及び3は、ID付加手段32によりIDが付加されたデータを通信装置80へ送信する。Tx1、2及び3は、それぞれパケット生成手段34、36及び38、データ変換手段40、42及び44、並びに、パラレル/シリアル(Parallel/Serial、以下P/Sと略記する)変換手段46、48及び50を有する。パケット生成手段34、36及び38は、データをパケット化する。パケットのデータ構造については後述する。データ変換手段40、42及び44は、データをシリアルで伝送するために最適な形式に変換する。データ変換手段40、42及び44は、例えば8b/10b方式により、8ビットのデータを10ビットのデータに変換して、0又は1の期間が予め定められた期間以下になるようにする。P/S変換手段46、48及び50は、データをパラレル形式からシリアル形式に変換する。コネクタ1、2及び3は、ケーブル1、2及び3のいずれかの一端と接続され、形状が互いに統一されている。図2では、コネクタ1、2及び3は、それぞれケーブル1、2及び3の一端と接続された例を示している。
【0023】
通信装置80は、コネクタ4、5及び6、受信手段(Receiver、以下Rxと略記する)1、2及び3、振分け手段70、並びに、処理手段1、2及び3を有する。コネクタ4、5及び6は、ケーブル1、2及び3のいずれかの他端と接続され、形状が互いに統一されている。図2では、コネクタ4、5及び6は、それぞれケーブル1、2及び3の他端と接続された例を示している。Rx1、2及び3は、IDが付加されたデータを、伝送路82を介して、通信装置30から受信する。Rx1、2及び3は、それぞれシリアル/パラレル(Serial/Parallel、以下S/Pと略記する)変換手段52、54及び56、データ変換手段58、60及び62、並びに、パケット解除手段64、66及び68を有する。S/P変換手段52、54及び56は、データをシリアル形式からパラレル形式に変換する。データ変換手段58、60及び62は、データ変換手段40、42及び44の行う変換処理と逆の変換処理を行う。例えば、データ変換手段40、42及び44が8b/10b方式により、データを8ビットの形式から10ビットの形式に変換する場合、データ変換手段58、60及び62はデータを10ビットの形式から8ビットの形式に逆変換する。パケット解除手段64、66及び68は、パケット化されたデータからデータを取り出す。振分け手段70は、IDに応じて、Rx1、2及び3が受信したデータを、処理手段1、2及び3に振分ける。処理手段1、2及び3は、受信先IDに対応して予め定められた処理を行う。例えば、処理手段1は「1」という受信先IDが付加されたデータに対して処理を行い、処理手段2は「2」という受信先IDが付加されたデータに対して処理を行う。
【0024】
図2を参照して、通信システム100におけるデータの送受信処理の一例を説明する。以下、コネクタ1とコネクタ4とを接続するケーブル1を介して行われるデータAの送受信処理を説明する。まず、データAが通信装置30に入力される。ID付加手段32は、データAに送信元IDと受信先IDとを付加する。データAはTx1から送信されるため、ID付加手段32はデータAに「1」という送信元IDを付加する。データAは処理手段1により予め定められた処理が行われるため、ID付加手段32はデータAに「1」という受信先IDを付加する。パケット生成手段34は、データAをパケット化する。データ変換手段40は、データAを8ビットの形式から10ビットの形式に変換する。P/S変換手段46は、データAをパラレル形式からシリアル形式に変換する。データAは、一端がコネクタ1、他端がコネクタ4と接続されたケーブル1を介して、Tx1からRx1へ送信される。Rx1は、データAを受信する。S/P変換手段52は、データAをシリアル形式からパラレル形式に変換する。データ変換手段58は、データAを10ビットの形式から8ビットの形式に逆変換する。パケット解除手段64は、パケット化されたデータAからデータAを取り出す。振分け手段70は、データAに付加された送信元IDが「1」であることを確認して、データAがTx1から送信されたことを認識する。振分け手段70は、データAに付加された受信先IDが「1」であることを確認して、データAを処理手段1に振分ける。処理手段1は、データAに対して受信先ID「1」に対応して予め定められた処理を行う。以上で、処理が終了する。
【0025】
図3は、実施例1に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図3は、図2と比較して、ケーブル1の一端がコネクタ1、他端がコネクタ5と接続され、ケーブル2の一端がコネクタ2、他端がコネクタ4と接続されている点が異なる。図3において、図2と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。以下、コネクタ1とコネクタ5とを接続するケーブル1を介して行われるデータAの送受信処理を説明する。データAが、通信装置30に入力されてから、P/S変換手段46によりシリアル形式に変換されるまでの処理は、先に図2を参照して説明した処理と同様のため、説明を省略する。データAは、一端がコネクタ1、他端がコネクタ5と接続されたケーブル1を介して、Tx1からRx2へ送信される。Rx2は、データAを受信する。S/P変換手段54は、データAをシリアル形式からパラレル形式に変換する。データ変換手段60は、データAを10ビットの形式から8ビットの形式に逆変換する。パケット解除手段66は、パケット化されたデータAからデータAを取り出す。振分け手段70は、データAに付加された送信元IDが「1」であることを確認して、データAがTx1から送信されたことを認識する。振分け手段70は、データAに付加された受信先IDが「1」であることを確認して、データAを処理手段1に振分ける。処理手段1は、データAに対して受信先ID「1」に対応して予め定められた処理を行う。以上で、処理が終了する。このように、ケーブル1の他端が、コネクタ4ではなくコネクタ5に接続された場合であっても、コネクタ4と接続された場合と同様に、データAの送受信が確実に実行される。
【0026】
図4は、実施例1に係るパケットのデータ構造の一例を示す図である。図4のように、パケット90は複数のフィールドから構成され、各フィールドにそれぞれ値が格納される。各フィールドの名称は、先頭から「ヘッダ91」、「識別子92」、「データ93」、「誤り検出符号94」、「フッタ95」、「送信元ID96」及び「受信先ID97」である。以下の説明において、フィールド名の前後に「」記号を付し、各フィールドに格納される値の前後に””記号を付すこととする。
【0027】
図4のように、「ヘッダ91」及び「フッタ95」には、それぞれパケット90の先頭及び終端を示す情報が格納される。なお、「ヘッダ91」及び「フッタ95」には、「データ93」に格納されるデータの種別を示す情報が格納されてもよく、例えば「データ93」に格納されるデータが画像データであることを示す情報や制御コマンドであることを示す情報が格納されてもよい。「識別子92」には、「データ93」に格納されるデータを識別するための識別情報が格納される。なお、「識別子92」には、例えば通信装置80がデータを記憶するメモリ等の記憶部のアドレスが格納されてもよい。「データ93」には、伝送路82を介して通信装置80へ送信するデータが格納される。例えば、伝送路82を介して通信装置80へデータAを送信する場合、パケット生成手段34、36及び38は「データ93」に“データA”を格納する。パケット解除手段64、66及び68は、「データ93」から“データA”を取り出す。「誤り検出符号94」には、データ93のエラーを検出するためのデータが格納される。例えば、「誤り検出符号94」には巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check;CRC)等のデータが格納される。「誤り検出符号94」に格納されたデータを用いることにより、パケット単位でエラーの有無が検出される。なお、「誤り検出符号94」を「誤り訂正符号94」として、例えばハミング符号等の誤り訂正符号のデータを格納してもよい。「送信元ID96」及び「受信先ID97」には、それぞれ先に説明した送信元ID及び受信先IDが格納される。
【0028】
図5は、実施例1に係る通信装置30におけるデータの送信処理の一例を示すフローチャートである。図5のように、ID付加手段32は、通信装置30に入力されたデータに送信元IDと受信先IDとを付加する(ステップS10)。パケット生成手段34、36及び38は、データをパケット化する(ステップS12)。データ変換手段40、42及び44は、データを8ビットの形式から10ビットの形式に変換する(ステップS14)。P/S変換手段46、48及び50は、データをパラレル形式からシリアル形式に変換する(ステップS16)。Tx1、2及び3は、一端がコネクタ1、2及び3のいずれか、他端がコネクタ4、5及び6のいずれかと接続されたケーブル1、2及び3を介して、データを通信装置80へ送信する(ステップS18)。
【0029】
図6は、実施例1に係る通信装置80におけるデータの送信処理の一例を示すフローチャートである。図6のように、Rx1、Rx2及びRx3は、データを受信する(ステップS20)。S/P変換手段52、54及び56は、データをシリアル形式からパラレル形式に変換する(ステップS22)。データ変換手段58、60及び62は、データを10ビットの形式から8ビットの形式に逆変換する(ステップS24)。パケット解除手段64、66及び68は、パケットの「データ93」に格納されたデータを取り出す。振分け手段70は、データに付加された送信元ID及び受信先IDに応じて、データを処理手段1、2及び3のいずれかに振分ける(ステップS28)。処理手段1、2及び3は、振分けられたデータに対して予め定められた処理を行う(ステップS30)。
【0030】
以上説明したように、実施例1によれば、図5のステップS10のように、ID付加手段32が伝送路82を介して第2の通信装置である通信装置80へ送信するデータに、データを識別するための識別情報を付加する。図6のステップ28のように、振分け手段70が、IDに応じて、Rx1、Rx2及びRx3が受信したデータを、IDに対応して予め定められた処理を行う処理手段1、2及び3のいずれかに振分ける。これにより、ケーブル1、2及び3の一端をコネクタ1、2及び3のいずれと接続して、他端をコネクタ4、5及び6のいずれと接続しても、通信装置30から通信装置80へのデータの通信が確実に実行され、データに対する処理が確実に実行される。よって、通信装置間の通信の信頼性が向上する。複数のケーブルを介して通信する通信装置では、各ケーブル間における伝送品質の差が生じないように、各ケーブルや各ケーブルを接続するコネクタを統一する場合がある。そのような場合、ユーザは、各ケーブルや各コネクタの見分けがつかず、ケーブルとコネクタとの接続を間違いやすい。ケーブルとコネクタとが正しく接続されない場合、通信装置間のデータの通信に失敗してしまうため、通信の信頼性が低下するおそれがある。そのようなケーブルとコネクタとの誤接続があった場合でも、実施例1のような構成を適用することにより、通信装置間のデータの通信が確実に実行される。
【0031】
実施例1において、ID付加手段32がデータに付加するIDの一例として、データがTx1、2及び3のいずれから送信されるかを識別するための情報である送信元IDや、データが処理手段1、2及び3のいずれで処理されるかを識別するための情報である受信先IDについて説明した。ID付加手段32は、送信元ID及び受信先IDの両方をデータに付加してもよいし、送信元ID及び受信先IDのいずれか一方を付加してもよい。ID付加手段32が送信元ID及び受信先IDのいずれか一方を付加する場合、振分け手段70は予め図7に示すような送信元IDと受信先IDとを対応付けたテーブル(IDテーブル)をメモリ等の記憶部に記憶しておく。図7は、実施例1に係る送信元IDと受信先IDとを対応付けたテーブルの一例を示す図である。振分け手段70は、例えばデータに送信元IDが付加されていることを確認した場合、IDテーブルを参照して送信元IDに対応する受信先IDを確認して、確認した受信先IDに対応する処理手段にデータを振分けるようにしてもよい。これより、各パケットのサイズが小さくなるため、伝送効率が向上する。送信元IDや受信先IDは、例えば、Tx1、2及び3並びにRx1、2及び3の製造時のシリアル番号等の固有の番号でもよいし、動的に更新される番号でもよい。
【0032】
実施例1において、各ケーブル間における伝送品質の差が生じないようにするために、コネクタ1、2及び3の形状が互いに統一されている例を説明した。また、同様に、ケーブル1、2及び3の被覆の色が互いに統一されている例を説明した。各コネクタの形状の他に、例えば、各コネクタの極数等を互いに統一するようにしてもよい。各ケーブルの被覆の色の他に、例えば、各ケーブルの長さ等を互いに統一するようにしてもよい。
【実施例2】
【0033】
図8は、実施例2に係る通信システム200の構成の一例を示すブロック図である。図8の通信システム200は、図3に示す通信システム100と比較して、通信装置80が接続状態判定手段72及び接続状態出力手段74を有する点が異なる。図8において、図3と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、通信システム200では、コネクタ1とコネクタ4とが接続され、コネクタ2とコネクタ5とが接続され、コネクタ3とコネクタ6とが接続されることが正常な接続であると予め定められているとする。また、処理手段1、2及び3は、それぞれコネクタ4、5及び6を介して受信されたデータに対して処理を実行することが予め定められているとする。
【0034】
図8のように、接続状態判定手段72は、データに付加されたIDに基づいて、複数のケーブル1、2及び3と複数のコネクタ4、5及び6との接続の状態を判断する。接続状態出力手段74は、接続状態判定手段72が判断した接続の状態を出力する。接続状態出力手段74は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子や液晶パネル等である。なお、接続状態出力手段74を、コネクタ毎に複数設けるようにしてもよい。
【0035】
図8を参照して、複数のケーブル1、2及び3と複数のコネクタ4、5及び6との接続の状態を出力する処理の一例を説明する。まず、複数のケーブル1、2及び3と複数のコネクタ4、5及び6との接続が正常である場合の例を説明する。例えば、振分け手段70が、Rx3が受信したデータに付加された送信元IDが「3」であることを確認したとする。その場合、接続状態判定手段72は、Rx3が受信したデータはTx3から送信されたデータであるため、図8のように、コネクタ6はケーブル3を介してコネクタ3と接続されていると判断する。接続状態判定手段72は、コネクタ6がコネクタ3と接続されていることを接続状態出力手段74に通知する。接続状態出力手段74は、コネクタ6がコネクタ3と接続されていることを出力する。その際、コネクタ6とコネクタ3との接続は正常な接続であるため、接続状態出力手段74は、コネクタ6とコネクタ3との接続は正常であることを併せて出力するようにしてもよい。接続状態出力手段74が例えばLEDの場合、LEDを緑色に光らせる。ユーザは、ケーブルとコネクタとが正常に接続されていることを確認する。
【0036】
次に、複数のケーブル1、2及び3と複数のコネクタ4、5及び6との接続が異常である場合の例を説明する。例えば、振分け手段70が、Rx2が受信したデータに付加された送信元IDが「1」であることを確認したとする。その場合、接続状態判定手段72は、Rx2が受信したデータは、Tx1から送信されたデータであるため、図8のように、コネクタ5はケーブル1を介してコネクタ1と接続されていると判断する。接続状態判定手段72は、コネクタ5がコネクタ1と接続されていることを接続状態出力手段74に通知する。接続状態出力手段74は、コネクタ5がコネクタ1と接続されていることを出力する。その際、コネクタ5とコネクタ1との接続は異常な接続であるため、接続状態出力手段74は、コネクタ5とコネクタ1との接続は異常であることを併せて出力するようにしてもよい。接続状態出力手段74が例えばLEDの場合、LEDを赤色に光らせて、ユーザに対して、ケーブルとコネクタとの接続が異常であることを通知して、正常な接続がなされるように促す。
【0037】
図9は、実施例2に係る複数のケーブル1、2及び3と複数のコネクタ4、5及び6との接続の状態を出力する処理の一例を示すフローチャートである。図9に示すステップS32、S34、S36及びS38は、それぞれ図6に示すステップS20、S22、S24及びS26と同様の処理のため、説明を省略する。図9のように、振分け手段70が、データに付加された送信元IDを確認して(ステップS40)、接続状態判定手段72に通知する。接続状態判定手段72は、送信元IDに基づいて、複数のケーブル1、2及び3と複数のコネクタ4、5及び6との接続の状態を判断して(ステップS42)、接続の状態を接続状態出力手段74に通知する。接続状態出力手段74は、接続の状態を出力する(ステップS44)。
【0038】
以上説明したように、実施例2によれば、図9のステップS42のように、接続状態判定手段72が、IDに基づいて、複数のケーブルと複数の第2のコネクタであるコネクタ4、5及び6との接続の状態を判断する。図9のステップS44のように、接続状態出力手段74が、接続状態判定手段72が判断した接続の状態を出力する。
【0039】
実施例2において、接続状態判定手段72が、送信元IDに基づいて、複数のケーブルと複数の第2のコネクタとの接続の状態を判断する例を説明した。例えば、通信方向が一定の方向に予め定められ、一端を送信元の通信装置のコネクタに接続し、他端を受信先の通信装置のコネクタに接続することが予め定められたケーブルを用いる場合に、一端を受信先の通信装置のコネクタに接続し、他端を送信元の通信装置のコネクタに接続したとする。その場合、信号が正常に流れないため、受信先の通信装置ではデータが受信されない。接続状態判定手段72は、例えばデータが予め定められた期間に受信されない場合に、ケーブルの接続の状態が異常である、又は、ケーブルに断線等の障害が発生したと判断するようにしてもよい。その判断結果を、接続状態出力手段74が出力するようにしてもよい。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
30、80 通信装置
32 ID付加手段
70 振分け手段
72 接続状態判定手段
74 接続状態出力手段
100、200 通信システム
300 画像形成装置
400 画像編集/生成装置
Rx1、Rx2、Rx3 受信手段
Tx1、Tx2、Tx3 送信手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送路を介して第2の通信装置へ送信するデータに、前記データを識別するための識別情報を付加する識別情報付加手段と、前記識別情報付加手段により前記識別情報が付加された前記データを前記第2の通信装置へ送信する送信手段と、を有する第1の通信装置と、
前記識別情報が付加された前記データを、前記伝送路を介して、前記第1の通信装置から受信する受信手段と、前記識別情報に応じて、前記受信手段が受信した前記データを、前記識別情報に対応して予め定められた処理を行う処理手段に振分ける振分け手段と、を有する前記第2の通信装置と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記送信手段は、複数の送信手段を有し、
前記識別情報は、前記データが前記複数の送信手段のいずれから送信されるかを識別するための情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記伝送路は、複数のケーブルであって、
前記第1の通信装置は、前記複数のケーブルのいずれかの一端と接続され、形状が互いに統一された複数の第1のコネクタを有し、
前記第2の通信装置は、前記複数のケーブルのいずれかの他端と接続され、形状が互いに統一された複数の第2のコネクタを有することを特徴とする請求項1から2のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数のケーブルの被覆の色が互いに統一されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第2の通信装置は、
前記識別情報に基づいて、前記複数のケーブルと前記複数の第2のコネクタとの接続の状態を判断する接続状態判定手段と、
前記接続状態判定手段が判断した前記接続の状態を出力する接続状態出力手段と、
を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の通信システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−70111(P2012−70111A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211546(P2010−211546)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】