説明

通信制御装置、通信制御方法、通信システム、及び通信方法

【課題】確立通信を迅速に行うことで、短時間でP2P通信を開始させることが可能な通信制御装置、通信制御方法、通信制御装置及び通信端末を備えた通信システム、及び、該通信システムの通信方法を提供する。
【解決手段】通信制御装置2は、認証通信(S21)を行うことによって通信端末31〜33を登録する。通信制御装置2は、要求パケット(INVITE)の送信元の通信端末と、宛先の通信端末との組み合わせを、通信時間に基づいて特定する。要求パケット(INVITE)の送信を指示する指示パケット(REFER)が、通信制御装置2から通信端末31〜33に対して送信される(S22)。通信端末31は、通信端末32,33に対して要求パケット(INVITE)を送信し(S23)、通信経路38,39は確立する。通信端末31〜32、通信端末31〜33間で、P2P通信が実行される(S29、S30)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信制御方法、通信システム、及び通信方法に関する。より詳細には、通信端末間の通信経路を確立させる確立通信の制御を行う通信制御装置及び通信制御方法、及び、該方法によってP2P通信が確立される通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
P2P(Peer to Peer)通信が複数の通信端末間で実行される場合、通常、通信端末間の通信経路を確立するための確立通信は、通信経路毎に個別に実行される(例えば特許文献1参照)。通信端末は、確立通信を行うことで、相手方の通信端末と直接通信を行うために必要なアドレス情報等を取得できる。これによって通信端末は、通信経路毎に通信を確立させることができ、相手方の通信端末とP2P通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−341582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信端末同士がメッシュ状に接続した状態でP2P通信が行われる場合、通信端末の数が増加すると、通信端末間の通信経路は急激に増加する。ここで上述の方法では、確立通信は通信経路毎に実行されるので、通信端末の数が増加すると、確立通信の頻度は急激に増加する。このため、通信経路を確立させてP2P通信を開始させるまでに時間を要してしまうという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、確立通信を迅速に行うことで、短時間でP2P通信を開始させることが可能な通信制御装置、通信制御方法、該通信制御装置及び該通信端末を備えた通信システム、及び、該通信システムの通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る通信制御装置は、複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させる確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御装置であって、前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定手段と、前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定手段によって決定された前記組み合わせに基づいて作成する作成手段と、前記作成手段によって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する送信手段とを備えている。
【0007】
本発明の第一態様によれば、通信端末は、指示パケットに格納された情報に基づいて第二端末を特定し、特定された第二端末に対して要求パケットを送信できる。通信制御装置は、通信端末による要求パケットの送信制御を行い、通信経路毎に重複なく効率的に確立通信を実行させることができる。このため通信制御装置は、複数の通信端末全体でP2P通信が確立するまでに要する時間を短縮させることができる。
【0008】
また、第一態様において、前記決定手段は、前記通信経路毎に前記要求パケットを配分し、配分した前記要求パケットを送信する前記第一端末と、前記要求パケットを受信する前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定してもよい。これによって、通信制御装置は、必要最低限の要求パケットによって通信経路を確立させることができるので、より効率的に確立通信を実行させることができる。
【0009】
また、第一態様において、前記決定手段は、其々の前記第一端末において送信される前記要求パケットの数の差異が小さくなるように、前記第一端末と前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定してもよい。これによって、通信端末において指示パケットが受信されてから、要求パケットの通信が完了するまでに要する時間のばらつきを、通信端末間で小さくできる。従って通信制御装置は、通信端末間でP2P通信が開始されるまでに要する時間をより短縮できる。
【0010】
また、第一態様において、前記通信制御装置と前記通信端末との間の通信に要する通信時間を、其々の前記通信端末毎に取得する第一取得手段を備え、前記決定手段は、前記第一取得手段によって取得された前記通信時間に基づいて、前記第一端末と前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定してもよい。これによって通信制御装置は、通信端末において確立通信時に必要な通信時間を短縮できる。従って、通信端末間でP2P通信が開始されるまでに要する時間をさらに短縮できる。
【0011】
また、第一態様において、前記通信端末の処理速度を、其々の前記通信端末毎に取得する第二取得手段を備え、前記決定手段は、前記第二取得手段によって取得された前記処理速度に基づいて、前記第一端末と前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定してもよい。これによって通信制御装置は、通信端末における通信確立時の処理時間を短縮できる。従って、通信端末間でP2P通信が開始されるまでに要する時間をさらに短縮できる。
【0012】
また、第一態様において、前記要求パケットは、前記第一端末から前記通信制御装置を介して前記第二端末に対して送信され、前記第一端末から送信された前記要求パケットを受信する第一受信手段と、前記第一受信手段において受信された前記要求パケットに、P2P通信の確立を許可する前記通信端末を識別する識別情報が格納されている場合に、前記要求パケットを前記第二端末に転送する転送手段とを備えていてもよい。これによって通信制御装置は、要求パケットに格納された識別情報に基づいて、要求パケットを送信した通信端末のP2P通信を確立させるか否かを判断できる。通信制御装置は、不正な通信端末がP2P通信に加わってしまうことを防止できる。
【0013】
また、第一態様において、前記送信手段は、前記識別情報を前記指示パケットに格納して送信してもよい。通信制御装置は、指示パケットに識別情報を格納して通信端末に通知できるので、P2P通信の確立を許可する通信端末を容易に管理し、特定できる。
【0014】
また、第一態様において、登録を要求する登録パケットを、前記通信端末から受信する第二受信手段を備え、前記決定手段は、前記第二受信手段によって受信された前記登録パケットの送信元の前記通信端末間の前記通信経路毎に、前記組み合わせを決定してもよい。これによって通信制御装置は、登録を許可する通信端末を容易に把握できる。通信端末は、登録が許可された通信端末同士でP2P通信を行うことが可能となる。
【0015】
本発明の第二態様に係る通信制御方法は、複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させる確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御方法であって、前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定ステップと、前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定ステップによって決定された前記組み合わせに基づいて作成する作成ステップと、前記作成ステップによって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する送信ステップとを備えている。
【0016】
本発明の第二態様によれば、通信制御装置は、通信端末による要求パケットの送信制御を行い、通信経路毎に重複なく効率的に確立通信を実行させることができる。このため通信制御装置は、複数の通信端末全体でP2P通信が確立するまでに要する時間を短縮させることができる。
【0017】
本発明の第三態様に係る通信システムは、複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させる確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御装置と、前記通信端末とを備えた通信システムであって、前記通信制御装置は、前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定手段と、前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定手段によって決定された前記組み合わせに基づいて作成する作成手段と、前記作成手段によって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する第一送信手段とを備え、前記通信端末は、前記指示パケットを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記指示パケットに基づいて、前記要求パケットの宛先の前記通信端末を特定し、特定された前記通信端末に対して前記要求パケットを送信する第二送信手段と、前記第二送信手段によって前記要求パケットが送信された後、前記要求パケットの宛先の前記通信端末とP2P通信を行う通信手段とを備えている。
【0018】
本発明の第三態様によれば、通信端末は、指示パケットに格納された情報に基づいて第二端末を特定し、特定された第二端末に対して要求パケットを送信することで、P2P通信を開始させることができる。通信制御装置は、通信端末による要求パケットの送信制御を行い、通信経路毎に重複なく効率的に確立通信を実行させることができる。このため通信制御装置は、複数の通信端末全体でP2P通信が確立するまでに要する時間を短縮させることができる。
【0019】
本発明の第四態様に係る通信方法は、複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させるための確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御装置と、前記通信端末とによって実行される通信方法であって、前記通信制御装置において、前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定ステップと、前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定ステップによって決定された前記組み合わせに基づいて前記通信制御装置が作成する作成ステップと、前記通信制御装置において、前記作成ステップによって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する第一送信ステップと、前記通信端末において、前記通信制御装置から送信された前記指示パケットを受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信された前記指示パケットに基づいて、前記通信端末が前記要求パケットの宛先の前記通信端末を特定し、特定された前記通信端末に対して前記要求パケットを送信する第二送信ステップと、前記第二送信ステップによって前記要求パケットが送信された後、前記要求パケットを送信した前記通信端末が、前記要求パケットの宛先の前記通信端末とP2P通信を行う通信ステップとを備えている。
【0020】
本発明の第四態様によれば、通信端末は、指示パケットに格納された情報に基づいて第二端末を特定し、特定された第二端末に対して要求パケットを送信することで、P2P通信を開始させることができる。通信制御装置は、通信端末による要求パケットの送信制御を行い、通信経路毎に重複なく効率的に確立通信を実行させることができる。このため通信制御装置は、複数の通信端末全体でP2P通信が確立するまでに要する時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】通信制御装置2及び通信端末3の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】認証通信及び確立通信のシーケンス図である。
【図3】認証通信及び確立通信のシーケンス図である。
【図4】通信端末31〜35間の通信経路を示す図である。
【図5】組み合わせテーブル131を示す模式図である。
【図6】通信端末31〜35間で実行される確立通信を説明するための図である。
【図7】通信端末31〜36間で実行される確立通信を説明するための図である。
【図8】第一メイン処理を示すフローチャートである。
【図9】決定処理を示すフローチャートである。
【図10】確立通信処理を示すフローチャートである。
【図11】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【図12】変形例における通信のシーケンス図である。
【図13】変形例における確立通信を説明するための図である。
【図14】追加処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0023】
図1を参照し、通信システム1の概要について説明する。通信システム1は、通信制御装置2及び通信端末3(通信端末31〜35)を備えている。通信制御装置2及び通信端末3は、ネットワーク4に接続している。通信制御装置2及び通信端末3は、ネットワーク4を介して相互に通信を行うことができる。通信制御装置2は、通信端末31〜35間でP2P(Peer to Peer)通信が開始される場合に行われる通信であって、通信端末間の通信経路を確立させるための通信(以下「確立通信」という。)を制御できる。確立通信として、例えば、H.323及びSIP等の通信プロトコルにおける呼制御通信、NAT越えのために一般的に行われる周知の通信等が挙げられる。また通信制御装置2は、通信端末3の登録管理やユーザ認証を行うことができる。通信制御装置2として、例えばSIP(Session Initiation Protocol)サーバやゲートキーパーが使用できる。通信端末3は、通信機能を備えた情報端末である。通信端末3は、他の通信端末3との間でP2P通信を開始するために、通信制御装置2を介して確立通信を行う。通信端末3として、例えばPCが使用できる。通信端末3間でのP2P通信によって、例えばテレビ会議が実行される。
【0024】
通信制御装置2の電気的構成について説明する。通信制御装置2は、通信制御装置2の制御を司るCPU11を備えている。CPU11は、ROM12、RAM13、ハードディスクドライブ(HDD)14、入力部15、表示部16、ドライブ装置17、及び通信部18と電気的に接続している。ROM12には、ブートプログラムやBIOSが記憶される。RAM13には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD14には、制御プログラムや、通信端末3の登録情報が記憶される。入力部15は、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウスである。表示部16は、所望の画像を表示させるディスプレイである。ドライブ装置17は、記憶媒体171に記憶された情報を読みだすことができる。例えば、通信制御装置2のセットアップ時、記憶媒体171に記憶された制御プログラムはドライブ装置17によって読み出され、HDD14に記憶される。通信部18は、ネットワーク4を介して通信端末3と通信を行う場合のタイミング制御を行う。
【0025】
通信端末3の電気的構成について説明する。通信端末3は、通信端末3の制御を司るCPU21を備えている。CPU21は、ROM22、RAM23、HDD24、入力部25、表示部26、ドライブ装置27、及び通信部28と電気的に接続している。ROM22には、ブートプログラムやBIOSが記憶される。RAM23には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD24には、制御プログラムが記憶される。入力部25は、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウスである。表示部26は、所望の画像を表示させるディスプレイである。ドライブ装置27は、記憶媒体271に記憶された情報を読みだすことができる。例えば、通信端末3のセットアップ時、記憶媒体271に記憶された制御プログラムはドライブ装置27によって読み出され、HDD24に記憶される。通信部28は、ネットワーク4を介して通信制御装置2や他の通信端末3と通信を行う場合のタイミング制御を行う。
【0026】
通信制御装置2及び通信端末3間の通信シーケンスの一例について、図2及び図3を参照して説明する。図2を参照し、通信端末31と通信端末32とがP2P通信を開始する場合の通信シーケンスの一例について説明する。
【0027】
はじめに、通信制御装置2が通信端末31,32を認証して登録する認証通信が実行される(S1〜S8)。通信端末31は、自身の登録を通信制御装置2に対して要求する登録パケット(REGIST)を、通信制御装置2に対して送信する。通信制御装置2は、登録パケット(REGIST)を受信する(S1)。通信制御装置2は、登録パケット(REGIST)に識別情報(後述)が格納されていない場合、登録パケット(REGIST)を送信した通信端末31の登録は行わない。識別情報とは、通信制御装置2への登録を許可する通信端末を識別するために、通信制御装置2が割り当てる情報である。
【0028】
通信制御装置2は、通信端末31の登録が許可されている場合、識別情報「xxx」をエラー通知パケット(ERROR)に格納し、エラー通知パケット(ERROR)を通信端末31に対して送信する。なお、通信端末3の登録を許可するか否かは、予め通信制御装置2の管理者により、通信制御装置2の入力部15を介して入力されているものとする。通信端末31は、識別情報「xxx」が格納されたエラー通知パケット(ERROR)を受信する(S2)。
【0029】
通信端末31は、受信したエラー通知パケット(ERROR)に格納されている識別情報「xxx」を抽出する。通信端末31は、抽出した識別情報「xxx」を登録パケット(RESIST)に格納し、登録パケット(REGIST)を通信制御装置2に対して再度送信する。通信制御装置2は、登録パケット(REGIST)を受信する(S3)。登録パケット(REGIST)には識別情報「xxx」が格納されているので、通信制御装置2は、登録を許可する通信端末として通信端末31を認証する。通信制御装置2は、通信端末31のID情報やアドレス情報等をHDD14に記憶することで、通信端末31を登録する。通信制御装置2は、応答パケット(200 OK)を通信端末31に対して送信する。通信端末31は、応答パケット(200 OK)を受信する(S4)。以上の処理を経て、通信端末31は、通信制御装置2に登録された他の通信端末3と確立通信を行うことが可能な状態となる。このように認証通信を行うことで、通信制御装置2は、登録を許可する通信端末を容易に把握し管理できる。
【0030】
なお上述では、端末装置31は、エラー通知パケット(ERROR)から抽出した識別情報「xxx」をそのまま登録パケット(REGIST)に格納し、通信制御装置2に対して送信していたが、本発明はこれに限定されない。端末装置31は、通信制御装置2との間で予め定められた鍵情報と、抽出した識別情報「xxx」とに基づいて、所定の演算を行ってもよい。端末装置31は、演算による算出結果(認証情報)を登録パケット(REGIST)に格納し、通信制御装置2に対して送信してもよい。通信制御装置2は、受信した登録パケット(REGIST)に格納されている認証情報と鍵情報とを用いることで、所定の演算を行ってもよい。通信制御装置2は、演算結果から識別情報「xxx」が導き出せる場合に、登録を許可する通信端末として通信端末31を認証してもよい。
【0031】
通信端末32についても、上述と同様の手順で通信制御装置2と認証通信を行う(S5〜S8)。通信制御装置2は、登録を許可する通信端末として通信端末32を認証し、通信端末32を登録する。通信端末32は、通信制御装置2に登録された他の通信端末(通信端末31)と確立通信を行うことが可能な状態となる。
【0032】
続いて、通信端末31と通信端末32との間の通信経路37を確立する確立通信が実行される(S11〜S15)。通信制御装置2は、要求パケット(INVITE)(後述)の送信を指示する指示パケット(REFER)を、通信端末31に対して送信する。要求パケット(INVITE)とは、通信経路の確立を相手方の通信端末に対して要求するために、通信端末から送信されるパケットである。指示パケット(REFER)には、要求パケット(INVITE)を送信する相手方の通信端末を特定する情報が格納される。図2の場合、要求パケット(INVITE)は通信端末31に対して送信されているので、相手方の通信端末として通信端末32を特定する情報が格納される。また指示パケット(REFER)には、識別情報「zzz」が格納される。指示パケット(REFER)に格納される識別情報は、P2P通信を許可する通信端末を識別するための情報であるので、認証通信時に登録パケット(REGIST)に格納された識別情報「xxx」とは異なっている。しかしながら本発明は、双方の識別情報が同一であっても良い。通信端末31は、指示パケット(REFER)を受信する(S11)。
【0033】
通信端末31は、受信した指示パケット(REFER)に応じ、通信端末32宛の要求パケット(INVITE)を通信制御装置2に対して送信する。要求パケット(INVITE)には、通信制御装置2から受信した指示パケット(REFER)に格納されていた識別情報「zzz」がそのまま格納される。なお、通信端末31は、登録パケット(REGIST)の通信時と同様、識別情報「zzz」を用いて演算を行い、算出結果を要求パケット(INVITE)に格納してもよい。通信制御装置2は、要求パケット(INVITE)を受信する(S12)。通信制御装置2は、受信した要求パケット(INVITE)に識別情報「zzz」が格納されている場合、受信した要求パケット(INVITE)を通信端末32に対して転送する。通信端末32は、要求パケット(INVITE)を受信する(S13)。
【0034】
通信端末32では、通信端末31との間の通信経路37を確立してP2P通信を開始させるかが判断される。この判断は、通信端末32のユーザによって行われてもよいし、予め通信端末32に設定された可否情報に基づいて行われてもよい。通信経路37を確立してP2P通信を開始すると判断された場合、通信端末32は、通信端末31宛の応答パケット(200 OK)を、通信制御装置2に対して送信する。通信制御装置2は、応答パケット(200 OK)を受信し(S14)、受信した応答パケット(200 OK)を通信端末31に対して転送する。通信端末31は、応答パケット(200 OK)を受信する(S15)。
【0035】
以上の手順を経て、通信端末31と通信端末32との間の通信経路37は確立し、P2P通信が実行可能な状態となる。通信端末31と通信端末32とは、通信制御装置2を介することなく直接相互にP2P通信を行う(S16)。
【0036】
図3を参照し、三台以上の通信端末3(通信端末31,32,33・・・)がP2P通信を開始する場合の通信シーケンスの一例について説明する。其々の通信端末3と通信制御装置2との間で、図2で説明した認証通信が行われる(S21)。通信制御装置2は、其々の通信端末3を認証し、其々の通信端末3を登録する。これによって、通信端末3間で確立通信を行うことが可能な状態となる。
【0037】
通信制御装置2は、通信経路38,39・・・毎に、要求パケット(INVETE)の送信側の通信端末3(以下「第一端末」ともいう。)、及び、要求パケット(INVITE)の受信側の通信端末3(以下「第二端末」ともいう。)の組み合わせを決定する。組み合わせの決定方法の詳細は後述する。次に、決定した組み合わせに基づき、第二端末を特定する情報が格納された指示パケット(REFER)が、第一端末に対して送信される。通信経路が複数存在するので、対応する複数の第一端末のすべてに対し、指示パケット(REFER)が同タイミングで送信される。それぞれの指示パケット(REFER)には、P2P通信を許可する通信端末を識別する識別情報「zzz」が格納される。其々の第一端末は、指示パケット(REFER)を受信する(S22)。なお図3では、通信経路38,39を確立するための要求パケット(INVITE)を通信端末31から送信させるために、通信端末31に対して指示パケット(INVITE)が送信されたものとする。指示パケット(INVITE)には、通信端末32及び通信端末33を特定するための情報が、第二端末の情報として格納される。
【0038】
指示パケット(REFER)を受信した第一端末は、其々、第二端末宛の要求パケット(INVITE)を通信制御装置2に対して送信する。一例として、通信端末31が、二つの要求パケット(INVITE)(通信端末32宛の要求パケット(INVITE)、及び、通信端末33宛の要求パケット(INVITE))を通信制御装置2に対して送信する場合をについて説明する。通信端末31から送信される要求パケット(INVITE)には、指示パケット(REFER)に格納されていた識別情報「zzz」がそのまま格納される。通信制御装置2は、其々の要求パケット(INVITE)を受信する(S23)。通信制御装置2は、通信端末32,33に対して、受信した其々の要求パケット(INVITE)を転送する。通信端末32,33は、要求パケット(INVITE)を受信する(S24)。
【0039】
通信端末32は、通信端末31との通信経路38を確立させると判断された場合、通信端末31宛の応答パケット(200 OK)を、通信制御装置2に対して送信する(S25)。通信制御装置2は、受信した応答パケット(200 OK)を通信端末31に対して転送する。通信端末31は、応答パケット(200 OK)を受信する(S26)。以上の確立通信によって、通信経路38は確立する。通信端末31と通信端末32との間でP2P通信が行われる(S29)。同様に通信端末33は、通信端末31との通信経路39を確立させると判断された場合、通信端末31宛の応答パケット(200 OK)を、通信制御装置2に対して送信する(S27)。通信制御装置2は、受信した応答パケット(200 OK)を通信端末31に対して転送する。通信端末31は、応答パケット(200 OK)を受信する(S28)。以上の確立通信によって、通信経路39は確立する。通信端末31と通信端末33との間でP2P通信が行われる(S30)。
【0040】
なお図3には記載されていないが、S22において送信された指示パケット(REFER)を受信した全ての第一端末は、指示パケット(REFER)に格納された第二端末宛の要求パケット(INVITE)を送信する。要求パケット(INVITE)を受信した第二端末は、通信経路を確立させると判断された場合、第一端末に対して応答パケット(200 OK)を送信する。これによって、通信制御装置2に登録された全ての通信端末3間でP2P通信が実行可能となる。
【0041】
指示パケット(REFER)は、複数の第一端末に対して同タイミングで送信されている(S22参照)ので、これらを受信した第一端末から送信される要求パケット(INVITE)の送信タイミングもほぼ同タイミングとなる。このように、其々の第一端末から送信される要求パケット(INVITE)の送信タイミングがより早くなるので、確立通信は短時間で完了し、P2P通信が実行可能となる。
【0042】
なお上述では、指示パケット(REFER)は複数の第一端末に対して同タイミングで送信されていたが、本発明はこれに限定されない。指示パケット(REFER)は第一端末毎に異なるタイミングで送信されてもよい。
【0043】
確立通信時において、指示パケット(REFER)に格納された識別情報とは異なる識別情報が、要求パケット(INVITE)に格納されていた場合を想定する。例えば図3において、通信制御装置2は、通信端末40から送信された要求パケット(INVITE)を受信している(S31)。受信された要求パケット(INVITE)には、S22において送信された指示パケット(REFER)に格納された識別情報「zzz」とは異なる識別情報「yyy」が格納されている。この場合、通信制御装置2は、受信した要求パケット(INVITE)を転送しない。通信制御装置2は、通信経路の確立を禁止する禁止パケット(486 BUSY)を、通信端末40に対して送信する(S32)。このように通信制御装置2は、指示パケット(REFER)に識別情報を格納して第一端末に通知することで、P2P通信の確立を許可する通信端末を容易に管理し、特定できる。又、通信制御装置2は、不正な通信端末がP2P通信に加わってしまうことを防止できる。
【0044】
第一端末及び第二端末の組み合わせの決定方法について、図4〜図6を参照して説明する。通信制御装置2では、以下の方針に基づいて、第一端末及び第二端末の組み合わせが通信経路毎に決定される。
・其々の通信経路に対して、要求パケットが一つずつ配分される。
・其々の第一端末から送信される要求パケットの数の差異が、第一端末間でより小さくなるように、第一端末及び第二端末が割り当てられ、第一端末及び第二端末の組み合わせが決定される。
・通信経路毎で確立通信時に要する時間の最大値がより小さくなるように、第一端末及び第二端末が割り当てられ、第一端末及び第二端末の組み合わせが決定される。
以下、具体的な方法について詳説する。
【0045】
例えば、合計5台の通信端末3(通信端末31〜35)において確立通信が行われる場合を想定する。はじめに、通信端末31〜35の其々が通信制御装置2と通信を行う場合に要する時間(以下「通信時間」という。)が、通信端末毎に特定される。通信時間は、例えば認証通信時に特定される。認証通信時(図2参照)において、通信端末3に対してエラー通知パケット(ERROR)が送信されてから(S2、S6、図2参照)、通信端末3から登録パケット(REGIST)が受信される(S3、S7、図2参照)までの時間が、通信制御装置2において計測される。計測された時間は、通信制御装置2と通信端末3との間で往復通信が行われた場合の通信時間に相当する。なお、上述した通信時間の特定方法は一例であり、他の方法で通信時間が特定されてもよい。
【0046】
続いて通信制御装置2は、特定された通信時間を基準として、通信端末31〜35を再配置する。図4に示すように、通信端末31〜35は環状に再配置される。例えば通信時間が、通信端末31,32,33,34,35の順で大きくなっていた場合、通信端末31〜35は、通信端末31,32,33,34,35の順で反時計回りに配置される。通信端末31〜35間でP2P通信を実行するためには、通信経路51〜60を確立させる必要がある。以下、環状配置の反時計回りの方向を「周回方向」という。
【0047】
続いて通信制御装置2は、第一端末と、この第一端末が要求パケット(INVITE)を送信する場合の宛先の第二端末との組み合わせを、通信経路毎に特定する。組み合わせは、確立通信が行われる通信端末3の数「n」が奇数である場合と偶数である場合とで異なる方法が用いられ、特定される。
【0048】
確立通信が行われる通信端末3の数「n」が奇数である場合について説明する。はじめに、其々の第一端末が送信する要求パケット(INVITE)の数「m」が、以下の式(1)に基づいて算出される。
m = /n ・・・(1)
【0049】
続いて、変数「Ak」(k = 1,2,3,・・・,m)が、以下の式(2)、(3)に基づいて算出される。
Ak = 1 {k=1} ・・・(2)
Ak = 2(m−1) {2≦k≦m} ・・・(3)
算出された変数「Ak」に基づいて、第一端末と、この第一端末が送信する要求パケット(INVITE)の宛先となる第二端末との組み合わせが特定される。
【0050】
図4及び図5を参照して具体的に説明する。合計5台の通信端末3(通信端末31〜35)において確立通信が行われるので、通信端末3の数「n」は「5」となる。其々の第一端末が送信する要求パケット(INVITE)の数「m」は、式(1)に基づき「2」となる。従って、とりうる「k」の値は「1」「2」となる。また、変数「Ak」の値は「A1=1」(k=1の場合)「A2=2」(k=2の場合)となる。
【0051】
通信端末31が第一端末として設定される。変数「A1」は「1」であるので、再配置された通信端末31〜35のうち、通信端末31に対して周回方向に配置する通信端末であって「1」番目に隣接する通信端末32が、通信端末31に対応する第二端末として特定される。また変数「A2」は「2」であるので、再配置された通信端末31〜35のうち、通信端末31に対して周回方向に配置する通信端末であって「2」番目に隣接する通信端末33が、通信端末31に対応する第二端末として特定される。これによって、第一端末(通信端末31)と、第二端末(通信端末32,33)との組み合わせが特定される。なお、通信端末31と通信端末32との組み合わせは、通信経路51に対応する。通信端末31と通信端末33との組み合わせは、通信経路56に対応する。以後、通信端末32〜35の其々が第一端末として順に設定され、対応する第二端末が特定される。これによって、通信経路51〜60の其々に対応する第一端末及び第二端末の組み合わせが特定される。
【0052】
図5を参照し、上述のようにして特定された第一端末と第二端末との組み合わせを示す組み合わせテーブル131について説明する。組み合わせテーブル131では、第一端末(通信端末31〜35)と、其々の第一端末に対応する第二端末とが格納されている。其々の組み合わせは、通信端末31〜35間の通信経路51〜60に其々対応している。従って、組み合わせテーブル131に基づいて要求パケットが送信されることで、通信経路51〜60を確立させることができる。
【0053】
第一端末及び第二端末の組み合わせが全て決定した後、通信制御装置2は指示パケット(REFER)を送信する(S22(図3参照))。決定された組み合わせに基づいて、第二端末を特定する情報が其々の指示パケット(REFER)に格納されている。その後、指示パケット(REFER)を受信した其々の通信端末(通信端末31〜35)は、第二端末に対して要求パケット(INVITE)を送信する(S23(図3参照))。
【0054】
図6に示すように、例えば通信端末31は、通信端末32を宛先として要求パケット(INVITE)61を送信する。これによって、通信経路51は確立する。また通信端末31は、通信端末33を宛先として要求パケット(INVITE)66を送信する。これによって、通信経路56は確立する。以上のようにして要求パケット(INVITE)61〜70が通信端末31〜35から送信される。通信制御装置2において特定された全ての組み合わせで確立通信が実行され、通信経路51〜60は確立する。確立通信後、通信端末31〜35は相互にP2P通信を行うことが可能となる。
【0055】
決定された組み合わせは、其々の通信経路毎に配分された要求パケットを送信する第一端末と、この要求パケットを受信する第二端末とで構成されている。即ち、通信経路毎に一つずつ配分された要求パケットに対して、送信元の第一端末と、宛先の第二装置とが割り当てられることで、組み合わせが決定される。従って、通信制御装置2は、重複なく効率的に確立通信を行い、必要な通信経路を確立させることができる。また、其々の第一端末から送信される要求パケット(INVITE)の数が同一となるように組み合わせが決定されることで、指示パケット(REFER)が送信されてから確立通信が終了するまでの時間はより小さくなる。
【0056】
また、決定された組み合わせに基づいて確立通信が実行された場合、確立通信に要する時間の最大値は、通信端末3全体でより小さくなる。これによって、通信端末3全体で確立通信が完了してP2P通信が可能となるまでの時間はさらに短くなる。理由を以下に説明する。確立通信は、以下の通信によって行われる。
(a)指示パケット(REFER) (通信制御装置 → 第一端末)(S22、図3参照)
(b)要求パケット(INVITE) (第一端末 → 通信制御装置)(S23、図3参照)
(c)要求パケット(INVITE) (通信制御装置 → 第二端末)(S24、図3参照)
(d)応答パケット(200 OK) (第二端末 → 通信制御装置)(S25、図3参照)
(e)応答パケット(200 OK) (通信制御装置 → 第一端末)(S26、図3参照)
上述のようにして決定された組み合わせでは、特定の通信端末から送信される要求パケット(INVITE)の数が大きくならないように調整されつつ、通信経路の両側にある通信端末のうち、通信時間がより短い方の通信端末が優先的に第一端末として選択される。このため、(a)の通信に要する通信時間はより短くなる。なお、(b)〜(e)の通信に要する通信時間は、通信経路の両側にある通信端末のどちらが第一端末として選択されても変化しない。従って、(1)の通信に要する通信時間を短縮できる分、確立通信全体に要する時間を小さくできるのである。
【0057】
次に、確立通信が行われる通信端末3の数「n」が偶数である場合について説明する。はじめに、其々の第一端末が送信する要求パケット(INVITE)の数「m」が、以下の式(4)、(5)に基づいて特定される。通信時間を基準に再配置された状態の通信端末3のうち、最も通信時間の短い通信端末から順に「n/2」個目までの通信端末3に対し、式(4)が適用される。残りの通信端末3に対し、式(5)が適用される。ただし、式(4)、(5)における算出結果の整数部分を有効とする。
m = (/n)+1 ・・・(4)
m = /n ・・・(5)
算出された「m」に基づいて、第一端末と、この第一端末が送信する要求パケット(INVITE)の宛先となる第二端末との組み合わせが特定される。
【0058】
図7を参照して具体的に説明する。合計6台の通信端末3(通信端末31〜36)において確立通信が行われる。通信端末31〜36は、通信時間の順に再配置されている。従って図7では、通信端末31,32,33,34,35,36の順で通信時間が大きくなっている。最も通信時間の短い通信端末31から順に3個目までの通信端末(通信端末31〜33)に対して、式(4)が適用される。「m」は「3」となる。残りの通信端末3(通信端末34〜36)に対して、式(5)が適用される。「m」は「2」となる。
【0059】
通信端末31が第一端末として設定される。「m」は「3」であるので、再配置された通信端末31〜36のうち、通信端末31に対して周回方向に配置する通信端末であって「1」番目、「2」番目、及び「3」番目に隣接する通信端末(通信端末32,33,34)が、通信端末31に対応する第二端末として特定される。これによって、第一端末(通信端末31)と、第二端末(通信端末32,33,34)との組み合わせが特定される。以上の処理が、通信端末32,33を第一端末とした場合についても同様に実行される。
【0060】
通信端末34が第一端末として設定される。「m」は「2」であるので、再配置された通信端末31〜36のうち、通信端末34に対して周回方向に配置する通信端末であって「1」番目、及び「2」番目に隣接する通信端末(通信端末35,36)が、通信端末34に対応する第二端末として設定される。これによって、第一端末(通信端末34)と、第二端末(通信端末35,36)との組み合わせが特定される。以上の処理が、通信端末35,36を第一端末とした場合についても同様に実行される。
【0061】
第一端末と第二端末との組み合わせが全て決定した後、通信制御装置2は指示パケット(REFER)を送信する(S22(図3参照))。指示パケット(REFER)を受信した其々の通信端末(通信端末31〜36)は、第二端末に対して要求パケット(INVITE)を送信する(S23(図3参照))。図7に示すように、例えば通信端末31は、通信端末32を宛先として要求パケット(INVITE)91を送信し、通信端末33を宛先として要求パケット(INVITE)97を送信し、通信端末34を宛先として要求パケット(INVITE)103を送信する。これらによって、通信端末31と、通信端末32,33,34との間の通信経路は確立する。以上のようにして要求パケット(INVITE)91〜105が通信端末31〜36から送信される。通信制御装置2において特定された全ての組み合わせで確立通信が実行され、通信経路は確立する。確立通信後、通信端末31〜36は相互にP2P通信を行うことが可能となる。
【0062】
通信制御装置2に登録されている通信端末の数が偶数である場合、全ての第一端末から送信される要求パケット(INVITE)の数を同一にすることはできない。そこで上述では、通信端末を二つのグループに分け、其々のグループに属する通信端末間で要求パケット(INVITE)の送信数が同一となるように設定している。又上述した奇数の場合と同様、確立通信に要する時間が小さくなるように組み合わせが決定されるので、通信制御装置2は、短時間で確立通信を終了させてP2P通信を開始させることができる。さらに上述の方法によって、各通信経路を確立するために必要な要求パケットは、通信経路毎に一つずつ配分され、配分された要求パケットの送信元の第一端末と、宛先の第二装置とが割り当てられることで、組み合わせが決定される。決定された組み合わせは、其々の通信経路に対応しているので、通信制御装置2は、重複なく効率的に確立通信を行い、必要な通信経路を確立させることができる。
【0063】
図8から図10を参照し、通信制御装置2のCPU11において実行される第一メイン処理の詳細について説明する。第一メイン処理は、CPU11に電源が投入された場合に、CPU11において起動され実行される。
【0064】
図8に示すように、通信端末3から送信される登録要求(REGIST)の受信が監視される(S51)。登録要求(REGIST)が受信されていない場合(S51:NO)、処理はS51に戻る。登録要求(REGIST)が受信された場合(S51:YES)、S1〜S8(図2参照)において説明した認証通信が実行される(S53)。認証通信時、エラー通知パケット(ERROR)を送信してから(S2、S6、図2参照)、登録要求パケット(REGIST)を受信する(S3、S7、図2参照)までの時間が計測される。これによって、登録パケット(REGIST)を送信した通信端末3の通信時間が取得される(S55)。取得された通信時間は、登録パケット(REGIST)を送信した通信端末3の通信時間として、RAM13に記憶される。認証通信が正常に終了した場合、登録要求(REGIST)を送信した通信端末3は登録される。処理はS57に進む。
【0065】
S57では、通信制御装置2を操作するユーザによって、登録されている通信端末のうち所定の通信端末間で確立通信を開始させる指示が入力されたかが判断される(S57)。確立通信を開始させる指示が入力されていない場合(S57:NO)、処理はS51に戻る。確立通信を開始させる指示が、通信制御装置2のユーザによって入力された場合(S57:YES)、第一端末と第二端末との組み合わせを決定する処理(決定処理、図9参照)が実行される(S59)。
【0066】
なお上述では、ユーザによって確立通信を開始させる指示が入力された場合に、決定処理が開始されていた。本発明はこれに限定されない。例えば、確立通信の開始時刻が予め設定されており、その設定時刻となった場合に、決定処理が実行されてもよい。また、登録されている通信端末3のいずれかから、確立通信の依頼パケットが送信されてもよい。通信制御装置2は、通信端末3から依頼パケットを受信した場合に、決定処理を開始しても良い。
【0067】
図9を参照し、決定処理について説明する。決定処理では、RAM13に記憶された通信時間が、登録されている通信端末3毎に取得される(S61)。通信時間の小さい順に、通信端末は再配置される(S63)。再配置は、例えば図4及び図6で説明した方法で実行される。確立通信が行われる通信端末の総数が奇数であるかが判断される(S65)。確立通信が行われる通信端末の数「n」が奇数である場合(S65:YES)、式(1)に基づいて、其々の第一端末が送信する要求パケット(INVITE)の数「m」が算出される。式(2)、(3)に基づいて、変数「Ak」が算出される(S67)。算出された変数「Ak」に基づき、図4を参照して説明した方法で、第一端末と第二端末とが割り当てられ、組み合わせが決定される(S69)。決定された組み合わせの結果は、図5に示した組み合わせテーブル131に格納され、RAM13に記憶される。決定処理は終了し、処理は第一メイン処理(図8参照)に戻る。
【0068】
一方、確立通信が行われる通信端末の数「n」が偶数である場合(S65:NO)、式(4)、(5)に基づいて、其々の第一端末が送信する要求パケット(INVITE)の数「m」が算出される(S71)。算出された「m」に基づき、図6を参照して説明した方法で、第一端末と第二端末とが割り当てられ、組み合わせが決定される(S73)。決定された組み合わせの結果は、組み合わせテーブル131に格納され、RAM13に記憶される。決定処理は終了し、処理は第一メイン処理(図8参照)に戻る。
【0069】
図8に示すように、決定処理(S59)の終了後、通信端末3に確立通信を実行させる処理(確立通信処理、図10参照)が実行される(S60)。図10を参照し、確立通信処理について説明する。RAM13に記憶された組み合わせテーブル131が参照される。第二端末として記憶されている通信端末を特定する情報が、指示パケット(REFER)に格納され、指示パケット(REFER)が作成される(S80)。所定の識別情報が、指示パケット(REFER)に格納され、第一端末として記憶されている全ての通信端末3に対して、作成された指示パケット(REFER)が送信される(S81)。
【0070】
送信した指示パケット(REFER)に応じ、第一端末から第二端末宛に送信される要求パケット(INVITE)が受信される(S83)。受信された要求パケット(INVITE)に格納された識別情報が取得される。取得された識別情報が、S81で送信した指示パケット(REFER)に格納した識別情報と異なる場合や、要求パケット(INVITE)に識別情報が格納されていない場合(S85:NO)、要求パケット(INVITE)を送信した通信端末3に対して禁止パケット(486 BUSY)が送信される(S89)。要求パケット(INVITE)を送信した通信端末3の確立通信は禁止される。処理はS85に戻る。
【0071】
要求パケット(INVITE)から取得した識別情報が、S81で送信した指示パケット(REFER)に格納した識別情報と一致した場合(S85:YES)、要求パケット(INVITE)は第二端末に対して転送される(S87)。要求パケット(INVITE)を受信した第二端末から送信される応答パケット(200 OK)が受信される(S91)。受信した応答パケット(200 OK)は、第一端末に対して転送される(S93)。これによって、第一端末と第二端末との間の通信経路は確立する。
【0072】
登録されている通信端末3間の通信経路の全てが確立したかが判断される(S95)。確立していない通信経路が残存する場合(S95:NO)、処理はS83に戻る。全ての通信経路が確立した場合(S95:YES)、通信確立処理は終了し、第一メイン処理(図8参照)に戻る。第一メイン処理では、確立通信処理(S60)が終了した後、処理はS51に戻る。
【0073】
確立通信処理(S60)が終了し、全ての通信経路が確立した状態で、P2P通信は開始される。P2P通信は、例えば以下のようにして開始されてもよい。はじめに、通信相手方と直接通信を行うために必要な情報(通信相手方の通信端末3のIDなど)が、通信端末3間で相互に交換される。なおこれらの情報は、通信制御装置2から通信端末3に対して直接通知されてもよい。また必要に応じて、通信端末3間の通信時に実際に使用される通信経路が、P2P通信が行われる全ての通信経路に対して特定される。なお通信経路は、通信経路の通信環境(信頼性など)に基づいて特定されてもよい。以上の手順を経た後、通信端末3間でP2P通信が実行されてもよい。
【0074】
図11を参照し、通信端末3のCPU21において実行される第二メイン処理について説明する。第二メイン処理は、CPU21に電源が投入された場合に、CPU21において起動され実行される。
【0075】
図11に示すように、通信端末3を通信制御装置2に登録させる指示が、通信端末3のユーザによって入力されたかが判断される(S101)。登録させる指示が入力されている場合(S101:YES)、S1〜S8(図2参照)において説明した認証通信が実行される(S103)。認証通信が正常に終了した後、処理はS105に進む。一方、通信端末3を通信制御装置2に登録させる指示が入力されていない場合(S101:NO)、そのまま処理はS105に進む。
【0076】
S105では、通信制御装置2から送信される指示パケット(REFER)を受信したかが判断される(S105)。指示パケット(REFER)を受信した場合(S105:YES)、指示パケット(REFER)に格納されている第二端末宛の要求パケット(INVITE)が、通信制御装置2に対して送信される(S107)。処理はS105に戻る。
【0077】
通信制御装置2から指示パケット(REFER)を受信していない場合(S105:NO)、他の通信端末3から通信制御装置2を介して要求パケット(INVITE)を受信したかが判断される(S109)。要求パケット(INVITE)を受信した場合(S109:YES)、要求パケット(INVITE)を送信した第一端末との間の通信経路の確立が許可されているかが判断される。通信経路の確立が許可されている場合、要求パケット(INVITE)を送信した第一端末宛の応答パケット(200 OK)が、通信制御装置2に対して送信される(S111)。第一端末とのP2P通信が可能な状態となっているので、P2P通信が実行される(S117)。第二メイン処理は終了する。
【0078】
要求パケット(INVITE)の送信(S107)後、第二端末から送信される応答パケット(200 OK)の受信が監視される(S109:NO、S113)。応答パケット(200 OK)を受信した場合(S113:YES)、第二端末との間の通信経路は確立したことになる。S107で複数の第二端末に対して要求パケット(INVITE)を送信している場合、全ての第二端末から応答パケット(200 OK)を受信したかが判断される(S115)。また受信していない応答パケット(200 OK)が残存する場合(S115:NO)、処理はS105に戻る。全ての第二端末から応答パケット(200 OK)を受信した場合(S115:YES)、第二端末との間でP2P通信が可能な状態となり、P2P通信が実行される(S117)。第二メイン処理は終了する。上述以外のパケットが受信されたか、何らパケットが受信されていない場合(S113:NO)、処理はS105に戻る。
【0079】
以上説明したように、通信制御装置2は、通信端末3による要求パケット(INVITE)の送信制御を行うことで、通信経路毎に重複なく効率的に確立通信を実行させることができる。このため通信制御装置2は、通信端末3全体でP2P通信が可能な状態になるまでの時間を短縮できる。
【0080】
通信制御装置2は、通信端末3から送信される要求パケット(INVITE)の数のばらつきを小さくできる。また通信制御装置2は、確立通信に要する時間を小さくできる。これらによって通信制御装置2は、通信端末3全体で確立通信が終了し、P2P通信が可能な状態になるまでの時間を更に短縮できる。
【0081】
なお、図9のS69、S73の処理を行うCPU11が本発明の「決定手段」に相当する。図10のS80の処理を行うCPU11が本発明の「作成手段」に相当し、S81の処理を行うCPU11が本発明の「送信手段」「第一送信手段」に相当する。図9のS61の処理を行うCPU11が本発明の「第一取得手段」に相当する。図10のS83の処理を行うCPU11が本発明の「第一受信手段」に相当し、S87の処理を行うCPU11が本発明の「転送手段」に相当する。図8のS51の処理を行うCPU11が本発明の「第二受信手段」に相当する。図11のS105の処理を行うCPU21が本発明の「受信手段」に相当し、S107の処理を行うCPU21が本発明の「第二送信手段」に相当し、S117の処理を行うCPU21が本発明の「通信手段」に相当する。図9のS69、S73の処理が本発明の「決定ステップ」に相当する。図10のS80の処理が本発明の「作成ステップ」に相当し、S81の処理が本発明の「第一送信ステップ」に相当する。図11のS105の処理が本発明の「受信ステップ」に相当し、S107の処理が本発明の「第二送信ステップ」に相当し、S117の処理が本発明の「通信ステップ」に相当する。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、確立通信を行う通信端末3を特定するための通知が、通信制御装置2から通信端末3に対して事前に行われてもよい。通知された通信端末3を対象として確立通信が実行されてもよい。図12を参照し、確立通信を行う通信端末に対して通知が行われる場合の通信シーケンスについて説明する。なお図12では、合計三台の通信端末(通信端末41〜43)間で確立通信が行われるものとする。
【0083】
通信制御装置2は、P2P通信を開始する旨を通知する通知パケットを、通信端末41〜43に対して送信する。通信端末41〜43は、通知パケットを受信する(S41)。通知パケットを受信した通信端末のうち、通信端末41、42が、P2P通信の開始を所望したとする。通信端末41,42は、確立通信の依頼パケットを通信制御装置2に対して送信する。通信制御装置2は、依頼パケットを受信する(S42,S43)。通信制御装置2は、依頼パケットの送信元の通信端末41,42を対象として、確立通信を行う(S45)。確立通信の後、通信端末41と通信端末42とはP2P通信が可能となり、P2P通信が開始される(S46)。以上の手順によって、通信制御装置2は、P2P通信の開始を所望する通信端末のみを対象として確立通信を行わせることができる。
【0084】
ここで、通知パケットを受信した通信端末43が、遅れて依頼パケットを通信制御装置2に対して送信したとする。通信制御装置2は、依頼パケットを受信する(S47)。通信制御装置2は、既に通信が確立してP2P通信が開始している通信端末41,42と、新たに依頼のあった通信端末43との間でP2P通信を開始させるために、次の確立通信を実行させる。
【0085】
図13において、通信端末41と通信端末42との間の通信経路71は確立している。新たに通信端末43からP2P通信の依頼があったので、通信端末42と通信端末43との間の通信経路72、及び、通信端末41と通信端末43との通信経路73を確立させる必要がある。通信端末41〜43の通信時間を基準として、通信端末が再配置される。通信端末41,43,42の順で通信時間が大きい場合、図13に示すように、通信端末41,43,42の順で周回方向に配置される。
【0086】
ここで通信制御装置2は、通信端末43よりも通信時間が短い(即ち、通信端末43に対して周回方向と逆方向側に配置する)通信端末41を、第一端末として特定し、通信端末43を第二端末として特定する。通信制御装置2は、通信端末43宛の要求パケット(INVITE)の送信を指示する指示パケット(REFER)を、通信端末41に対して送信する。通信端末41が要求パケット(INVITE)74を通信端末43に対して送信することで、通信経路73は確立する。
【0087】
また通信制御装置2は、通信端末43よりも通信時間が長い(即ち、通信端末43に対して周回方向側に配置する)通信端末42を、第二端末として特定し、通信端末43を第一端末として特定する。通信制御装置2は、通信端末42宛の要求パケット(INVITE)の送信を指示する指示パケット(REFER)を、通信端末43に対して送信する。通信端末43が要求パケット(INVITE)75を通信端末42に対して送信することで、通信経路72は確立する。
【0088】
図12に示すように、通信制御装置2と通信端末41〜43との間で上述した要求パケット(INVITE)の通信が行われることで、確立通信が実行される(S48)。これによって、通信経路72、73は確立するので、通信端末41〜43間でP2P通信が可能な状態となり、P2P通信が開始される(S49)。以上の手順で通信を行うことで、確立通信の頻度を抑えつつ、P2P通信が開始されている複数の通信端末に、新たに通信端末を加えることができる。
【0089】
図14を参照し、通信制御装置2のCPU11において実行される追加処理について説明する。通信端末3間でP2P通信が実行されている状態で、新たに依頼パケットが受信された場合(S47(図12参照)のタイミングに相当)に、CPU11において起動され実行される。
【0090】
追加処理では、受信した依頼パケットの送信元の通信端末の通信時間が取得される(S121)。なお通信時間は、認証通信時に特定され、RAM13に記憶されている。通信時間の小さい順に、通信端末は再配置される(S123)。既にP2P通信が実行されている通信端末のうち一が選択される。選択された通信端末の通信時間と、依頼パケットを送信した通信端末の通信時間とが比較される(S125)。依頼パケットを送信した通信端末の通信時間が、選択された通信端末の通信時間よりも短い場合(S127:YES)、依頼パケットを送信した通信端末が第一端末として特定される。選択された通信端末が第二端末として特定される。第一端末と第二端末との組み合わせが決定される(S129)。決定された組み合わせは、RAM13に記憶される。処理はS133に進む。
【0091】
一方、依頼パケットを送信した通信端末の通信時間が、選択された通信端末の通信時間よりも長い場合(S127:NO)、選択された通信端末が第一端末として特定される。依頼パケットを送信した通信端末が第二端末として特定される。第一端末と第二端末との組み合わせが決定される(S131)。決定された組み合わせは、RAM13に記憶される。処理はS133に進む。
【0092】
S133では、P2P通信が実行されている全ての通信端末を対象として、上述の処理が実行されたかが判断される。未処理の通信端末が残存する場合(S133:NO)、処理はS125に戻る。全ての通信端末に対して上述の処理が実行された場合(S133:YES)、確立通信処理(図10参照)が実行される(S135)。確立通信処理の詳細は省略する。確立通信処理の終了後、追加処理は終了する。以上の処理が行われることで、通信制御装置2は、確立通信の頻度を抑えつつ、P2P通信が開始されている複数の通信端末に、新たに通信端末を加えることができる。
【0093】
本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上述の実施の形態では、通信端末3の通信時間を基準として通信端末3を再配置することで、第一端末と第二端末との組み合わせを決定していた。しかしながら本発明はこれに限定されない。通信制御装置2は、例えば其々の通信端末3の処理速度を基準として通信端末3を再配置することで、第一端末と第二端末との組み合わせを決定してもよい。これによって、確立通信時に要する処理時間を短縮できるので、確立通信が終了するまでに要する時間を短縮できる。これによって、迅速にP2P通信を開始させることができる。この場合、例えば図8の第一メイン処理におけるS55で、通信時間を取得する代わりに、其々の通信端末3から処理時間が取得されてもよい。処理時間は、通信端末3に対して問い合せることで、直接取得されても良いし、認証通信時の遅延時間から通信端末3の処理時間を算出してもよい。そして図9のS61で処理時間がRAM13から取得され、S63で、取得された処理時間に基づいて通信端末3が再配置されてもよい。なお、処理時間に基づいて第一端末と第二端末との組み合わせが決定される場合のS61の処理を行うCPU11が、本発明の「第二取得手段」に相当する。
【0094】
又本発明は、例えば通信端末3の通信時間と処理速度との両方に基づいて、第一端末と第二端末との組み合わせを決定してもよい。「通信時間+処理速度」を算出し、算出された値の順に通信端末3を再配置することで、第一端末と第二端末との組み合わせを決定してもよい。
【0095】
上述では、通信制御装置2が通信端末3間の確立通信を制御していたが、本発明はこれに限定されない。通信端末3のうち一が、確立通信の制御機能を備えていてもよい。他の通信端末3は、制御機能を備えた通信端末3と通信を行うことで確立通信を実行してもよい。
【0096】
上述では、所定の基準(通信時間、処理時間など)に基づいて通信端末3を再配置し、再配置した状態で、第一端末と第二端末との組み合わせを決定していた。本発明はこれに限定されない。ランダムに通信端末3を配置した状態で、第一端末と第二端末との組み合わせが決定されてもよい。
【0097】
上述では、式(1)〜(5)に基づいて第一端末と第二端末との組み合わせが決定されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、通信制御装置2に登録されている通信端末の台数毎に対応テーブルを予め用意してもよい。通信制御装置2は、予め用意しておいた対応テーブルに、登録されている通信端末3を当てはめることで、第一端末と第二端末との組み合わせを決定してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 通信システム
2 通信制御装置
3 通信端末
11,21 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させる確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御装置であって、
前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定手段と、
前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定手段によって決定された前記組み合わせに基づいて作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
前記通信経路毎に前記要求パケットを配分し、配分した前記要求パケットを送信する前記第一端末と、前記要求パケットを受信する前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定することを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
其々の前記第一端末において送信される前記要求パケットの数の差異が小さくなるように、前記第一端末と前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定することを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記通信制御装置と前記通信端末との間の通信に要する通信時間を、其々の前記通信端末毎に取得する第一取得手段を備え、
前記決定手段は、
前記第一取得手段によって取得された前記通信時間に基づいて、前記第一端末と前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定することを特徴とする請求項2又は3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記通信端末の処理速度を、其々の前記通信端末毎に取得する第二取得手段を備え、
前記決定手段は、
前記第二取得手段によって取得された前記処理速度に基づいて、前記第一端末と前記第二端末とを割り当てることで、前記組み合わせを決定することを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記要求パケットは、前記第一端末から前記通信制御装置を介して前記第二端末に対して送信され、
前記第一端末から送信された前記要求パケットを受信する第一受信手段と、
前記第一受信手段において受信された前記要求パケットに、P2P通信の確立を許可する前記通信端末を識別する識別情報が格納されている場合に、前記要求パケットを前記第二端末に転送する転送手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記送信手段は、
前記識別情報を前記指示パケットに格納して送信することを特徴とする請求項6に記載の通信制御装置。
【請求項8】
登録を要求する登録パケットを、前記通信端末から受信する第二受信手段を備え、
前記決定手段は、
前記第二受信手段によって受信された前記登録パケットの送信元の前記通信端末間の前記通信経路毎に、前記組み合わせを決定することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項9】
複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させる確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御方法であって、
前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定ステップと、
前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定ステップによって決定された前記組み合わせに基づいて作成する作成ステップと、
前記作成ステップによって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する送信ステップと
を備えたことを特徴とする通信制御方法。
【請求項10】
複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させる確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御装置と、前記通信端末とを備えた通信システムであって、
前記通信制御装置は、
前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定手段と、
前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定手段によって決定された前記組み合わせに基づいて作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する第一送信手段と
を備え、
前記通信端末は、
前記指示パケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記指示パケットに基づいて、前記要求パケットの宛先の前記通信端末を特定し、特定された前記通信端末に対して前記要求パケットを送信する第二送信手段と、
前記第二送信手段によって前記要求パケットが送信された後、前記要求パケットの宛先の前記通信端末とP2P通信を行う通信手段と
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項11】
複数の通信端末間の通信経路毎に実行され、前記通信端末間でP2P(Peer to Peer)通信を開始するために前記通信経路を確立させるための確立通信であって、発呼側の通信端末である第一端末が、着呼側の通信端末である第二端末に対して、通信の確立を要求する要求パケットを送信する確立通信を制御する通信制御装置と、前記通信端末とによって実行される通信方法であって、
前記通信制御装置において、前記第一端末と、前記第一端末によって送信される前記要求パケットの宛先の前記第二端末との組み合わせを、前記要求パケットの通信に要する時間に基づいて前記通信経路毎に決定する決定ステップと、
前記第一端末に対して前記要求パケットの送信を指示する指示パケットであって、前記第一端末が前記要求パケットを送信する場合の宛先の前記第二端末を特定する情報が格納された指示パケットを、其々の前記第一端末毎に、前記決定ステップによって決定された前記組み合わせに基づいて前記通信制御装置が作成する作成ステップと、
前記通信制御装置において、前記作成ステップによって作成された前記指示パケットを、其々の前記第一端末に対して送信する第一送信ステップと、
前記通信端末において、前記通信制御装置から送信された前記指示パケットを受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信された前記指示パケットに基づいて、前記通信端末が前記要求パケットの宛先の前記通信端末を特定し、特定された前記通信端末に対して前記要求パケットを送信する第二送信ステップと、
前記第二送信ステップによって前記要求パケットが送信された後、前記要求パケットを送信した前記通信端末が、前記要求パケットの宛先の前記通信端末とP2P通信を行う通信ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−248839(P2011−248839A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124272(P2010−124272)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】