説明

通信制御装置及び通信制御方法

【課題】使用する無線アクセス技術が異なる複数の無線通信システムの同一周波数帯セルが重複して設置される場合において、所望の無線通信システムを介した通信を移動機に実行させる通信制御装置及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】RNC200は、第1セル及び第2セルのセル情報を取得するセル情報取得部201と、取得したセル情報に基づいて、移動機が第1セルに代えて第2セルを再選択し、第2セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値を決定する閾値決定部203と、決定されたセル再選択閾値と、またはセル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を移動機に送信する待ち受けセル指示部205とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用する無線アクセス技術が異なる複数の無線通信システムが形成するセルとの無線通信が実行可能な移動機を制御する通信制御装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3G(Wideband-CDMA)システム(以下、3G)、及びLong Term Evolutionシステム(以下、LTE)など、用いられる無線アクセス技術(RAT)が異なる複数の無線通信システムに接続可能な移動機に関して、当該複数の無線通信システム間の遷移手順としてハンドオーバ(Inter-RAT Handover)などの方法が種々規定されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS 25.331, Technical Specification Group Radio Access Network; Radio Resource Control (RRC);Protocol specification Section 8.3.6 Inter-RAT handover to UTRAN
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3GとLTEを同一エリア内の周波数帯(例えば、2GHz)に併設する場合、都市部などの高トラヒックエリアでは、必要な通信容量を確保するため、複数の周波数に渡って多数の3Gセルが既に重複して設置されていることが多いことから、3Gに使用している何れかの周波数をLTEに置き換える必要が生じる。このため、LTEエリアを展開する過程でLTEセルと3Gセルが同一周波数で隣接する事象が発生し得る。
【0005】
このようにLTEセルと3Gセルを同一周波数で隣接して設置すると、3GセルとLTEセルとが互いに干渉し、例えば、LTEセルでは、移動機が当該LTEセルで通信可能セル品質を満たすにも関わらず、待ち受けをするか否かを判断する「待ち受けセル品質」を満たさないLTEセル内のエリアができてしまう場合がある。つまり、当該干渉により、待ち受けセル品質を満たすエリアが通信可能セル品質を満たすエリアよりも縮退する現像が生じる。
【0006】
一方、移動機は、当該エリア内では当該LTEセルと通信を実行することが可能か否かを判断する「通信可能セル品質」を満たせば、LTEセルと通信を実行することができる。
【0007】
このような場合、通信速度が高速なLTEによる通信を移動機に実行させることが好ましいが、移動機は、当該LTEセルで待ち受けすることができないため、LTEによる通信を開始することができない問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、使用する無線アクセス技術が異なる複数の無線通信システムの同一周波数帯セルが重複して設置される場合において、所望の無線通信システムを介した通信を移動機に実行させる通信制御装置及び通信制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、第1無線アクセス技術(LTE)が用いられる第1セル(セルC1)、及び第2無線アクセス技術(3G)が用いられる第2セル(セルC2)と無線通信が実行可能な移動機(例えば、移動機300A)を制御する通信制御装置(RNC200)であって、前記第1セル及び前記第2セルが使用する周波数帯、及び前記第1セルと前記第2セルとが重複して設置されているか否かを含むセル情報を取得するセル情報取得部(セル情報取得部201)と、前記セル情報取得部が取得した前記セル情報に基づいて、前記移動機が前記第1セルに代えて前記第2セルを再選択し、前記第2セルで待ち受ける(CELL RESELECTIONを実行する)ようにするセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)を決定する閾値決定部(閾値決定部203)と、前記によって決定された前記セル再選択閾値、または前記セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を前記移動機に送信する待ち受けセル指示部(待ち受けセル指示部205)とを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第1の特徴において、前記待ち受けセル指示部は、前記第1セル及び前記第2セルが使用する周波数帯と異なる周波数帯を使用する第3セル(セルC3)で前記移動機が待ち受けている場合、前記移動機が前記第1セルを再選択し、前記第1セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値、または前記セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を前記移動機に送信してもよい。
【0011】
本発明の第1の特徴において、前記待ち受けセル指示部は、前記移動機が通信を終了する際に、前記第2セルで使用される周波数帯または所定の周波数を示す待ち受け指示を設定した報知情報を前記移動機に送信してもよい。
【0012】
本発明の第1の特徴において、前記待ち受けセル指示部は、前記移動機の所定の能力または周波数毎の待ち受け優先度と、所定の判定条件とに基づいて、前記待ち受け指示を送信してもよい。
【0013】
本発明の第1の特徴において、前記閾値決定部は、前記移動機が前記第1セルで待ち受けするために必要な待ち受けセル品質は満たさないが、前記移動機が前記第1セルと通信を実行する上で必要な通信可能セル品質を満たすエリアが存在することが前記セル情報取得部によって検知された場合、前記移動機に、前記エリアにおいて前記第2セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値、または前記待ち受け周波数を設定した報知情報が送信された前記第1セルから遷移できるように構成された前記第2セルを設定する、または前記第2セルで待ち受けるようにする待ち受け指示を前記移動機に送信してもよい。
【0014】
本発明の第1の特徴において、前記待ち受けセル指示部によって、前記第2セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値、または前記待ち受け周波数を設定した報知情報が送信された場合において、前記移動機を前記第2セルから前記第1セルへ遷移させ、前記移動機と前記第1セルとの通信を開始させる遷移指示を前記移動機に送信する遷移指示部を備えてもよい。
【0015】
本発明の第2の特徴は、第1無線アクセス技術が用いられる第1セル、及び第2無線アクセス技術が用いられる第2セルと無線通信が実行可能な移動機を制御する通信制御方法であって、
前記第1セル及び前記第2セルが使用する周波数、及び前記第1セルと前記第2セルとが重複して設置されているか否かを含むセル情報を取得するステップと、
取得した前記セル情報に基づいて、前記移動機が前記第1セルに代えて前記第2セルを再選択し、前記第2セルで待ち受けるようにする再選択閾値を決定するステップと、決定された前記セル再選択閾値、或いは待ち受け周波数により、前記移動機が前記第2セルを再選択し、または前記セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を前記移動機に送信するステップと、前記移動機が、受信した前記報知情報に基づいて、前記第1セルから前記第2セルに待ち受けするセルを切り替えるステップとを備えることを要旨とする。
【0016】
本発明の第2の特徴において、前記移動機を前記第2セルから前記第1セルへ遷移させ、前記移動機と前記第1セルとの通信を開始させる遷移指示を前記移動機に送信するステップと、前記移動機が、受信した前記遷移指示に基づいて、前記第2セルから前記第1セルに遷移するステップとをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の特徴によれば、使用する無線アクセス技術が異なる複数の無線通信システムの同一周波数帯セルが重複して設置される場合において、所望の無線通信システムを介した通信を移動機に実行させる通信制御装置及び通信制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るRNC200の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動機300Aの機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動機300Aが待ち受けセルを切り替えてLTEでの無線通信を実行する通信シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0020】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システムは、LTE(Long Term Evolution)に従った無線通信システムと、3G(Wideband-CDMA)に従った無線通信システムとを含み、両無線通信システムのセルが同一エリアに重複して設置されている。
【0022】
LTEに従った無線通信システムは、MME100及びeNodeB110によって構成される。eNodeB110は、LTE(第1無線アクセス技術)方式が用いられるセルC1(第1セル)を形成する。MME100は、eNodeB110及びセルC1に在圏する移動機300A, 300Bを制御する。
【0023】
3Gに従った無線通信システムは、NodeB210、NodeB220及びRNC200によって構成される。NodeB210は、3G(第2無線アクセス技術)方式が用いられるセルC2(第2セル)を形成する。同様に、NodeB220は、セルC3(第3セル)を形成する。RNC200(Radio Network Controller)は、セルC2〜C5に在圏する移動機300A, 300Bを制御する。
【0024】
セルC1, C2, C4, C5では、2GHz帯の周波数帯域が用いられる。一方、セルC3では、800MHz帯の周波数帯域が用いられる。本実施形態では、セルC1〜C3は、地理的に重複して形成される。具体的には、セルC1とセルC2とは概ね同一のサイズであり、同一エリアに重複して形成される。移動機300A, 300Bの待ち受けセル品質を満たすエリアA1, A2も同一エリアに重複して形成される。さらに、セルC3において待ち受けセル品質を満たすエリアA3は、セルC1とセルC2とは概ね同一のサイズであり、同一エリアに重複して形成される。
【0025】
また、セルC1と重複する3GのセルであるセルC4が形成されるとともに、セルC2と重複する3GのセルであるセルC5が形成される。
【0026】
移動機300A及び移動機300Bは、セルC1〜C5と無線通信が実行可能な端末である。本実施形態では、移動機300Aは、セルC1とセルC4とが重複するエリアに位置している。また、移動機300Bは、セルC1のうち、待ち受けセル品質を満たすエリアA1に位置している。
【0027】
(2)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、本実施形態に係る無線通信システムの機能ブロック構成について説明する。具体的には、RNC200及び移動機300Aの機能ブロック構成について説明する。
【0028】
(2.1)RNC200
図2は、RNC200の機能ブロック構成図である。図2に示すように、RNC200は、セル情報取得部201、閾値決定部203、待ち受けセル指示部205及び遷移指示部207を備える。
【0029】
セル情報取得部201は、NodeB210, 220が形成するセルC2, C3及びセルC4, C5の情報を取得する。また、セル情報取得部201は、当該セルの近隣セルであり、LTE方式が用いられるセルC1の情報を取得する。
【0030】
具体的には、セル情報取得部201は、セルC1〜C5が使用する周波数(800MHz帯、2GHz帯)、及びセルC1〜C5が重複して設置されているか否かを含むセル情報を取得する。当該セル情報は、SYSTEM INFORMATION BLOCK TYPE 19(TS 25.331)に従って報知されている報知情報に含まれる。また、当該報知情報には、移動機300AがセルC1において待ち受けするために必要な待ち受けセル品質(Qqualmin)を満たす閾値(ThreshXHigh)が含まれる。
【0031】
セル情報取得部201は、移動機300AのセルC1での受信品質(例えば、受信電力レベル)に基づいて、移動機300AがセルC1で待ち受けするために必要な待ち受けセル品質(Qqualmin)は満たさないが、移動機300AがセルC1と通信を実行する上で必要な通信可能セル品質(Qqual)を満たすエリアがセルC1内に存在することを検知する。
【0032】
なお、セル情報取得部201は、このような検知を実行するため、移動機300A, 300Bからの受信品質の測定結果、及び移動機300A, 300Bの位置情報(或いは無線信号の伝搬遅延による擬似的な位置情報)を取得している場合、所定の判定論理(例えば、周波数毎の待ち受け優先度)に従って、セルC1に待ち受けセル品質を満たさないが通信可能セル品質を満たすエリアが存在することを記憶することができる。
【0033】
閾値決定部203は、セル情報取得部201が取得したセル情報に基づいて、移動機300A(300B)が待ち受けしている現在のセルに代えて、他の隣接するセルを再選択し、前記第2セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値を決定する。例えば、閾値決定部203は、移動機300AがセルC1に代えてセルC2を再選択するセル再選択閾値を決定する。
【0034】
具体的には、閾値決定部203は、通信可能セル品質(Qqual)をセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)として決定する。これにより、閾値決定部203は、移動機300A(300B)が、待ち受けセル品質(Qqualmin)は満たさないが通信可能セル品質(Qqual)を満たすエリアに位置する場合において、移動機300AにセルC2を再選択するCELL RESELECTIONを実行させることができる。
【0035】
待ち受けセル指示部205は、閾値決定部203によって決定されたセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)を設定した報知情報を移動機300Aに送信する。或いは、待ち受けセル指示部205は、当該セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を移動機300Aに送信する。例えば、待ち受けセル指示部205は、セル再選択閾値に基づいて、移動機300AにセルC2を再選択させると判定した場合、セルC2の待ち受け周波数、及びセル再選択閾値を設定した報知情報を移動機300Aに送信する。
【0036】
具体的には、待ち受けセル指示部205は、移動機300AをセルC2で待ち受けるようにさせるため、移動機300AにセルC2を再選択させるセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)を設定したSYSTEM INFORMATION BLOCK TYPE 19(TS 25.331)を移動機300Aに送信する。或いは、待ち受けセル指示部205は、待ち受け周波数を設定したSYSTEM INFORMATIONを移動機300Aに送信する。
【0037】
また、待ち受けセル指示部205は、セルC1及びセルC2が使用する周波数帯(2GHz帯)と異なる周波数帯(800MHz帯)を使用するセルC3(第3セル)で移動機300A(300B)が待ち受けている場合、移動機300AがセルC1を再選択し、セルC1で待ち受けるようにするセル再選択閾値を設定した報知情報(SYSTEM INFORMATION)を移動機300Aに送信することができる。或いは、待ち受けセル指示部205は、当該セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を移動機300Aに送信する。このような報知情報を受信した移動機300Aは、セル再選択閾値(或いは待ち受け周波数)に基づいてセルC1を再選択することで、その後のセル再選択によりセルC2を再選択することができる。
【0038】
なお、移動機300Aが待ち受けセル品質(Qqualmin)を満たさないが通信可能セル品質(Qqual)を満たすエリアに位置する場合、待ち受けセル指示部205は、移動機300Aが通信を終了する際に、セルC2で使用される周波数帯または所定の周波数(Redirection info)を示す待ち受け指示(RRC CONNECTION RELEASE)を移動機300Aに送信することもできる。具体的には、Redirection infoは、RRC CONNECTION RELEASEの情報要素(IE)として表現される。
【0039】
待ち受けセル指示部205は、移動機300A(300B)のセルC1での所定の能力またはセルC1における周波数毎の待ち受け優先度と、所定の判定条件とに基づいて、上述のような待ち受け指示を移動機300Aに送信し、移動機300AにRedirection infoを設定することもできる。例えば、3GからLTE方向へのハンドオーバ(PS Handover)能力の無い移動機(すなわち、3Gでの通信中にLTEへの遷移契機がない移動機)や、LTEの周波数に優先的に待ち受けると管理された移動機に対応する場合、当該待ち受け指示を送信することが考えられる。なお、3Gの周波数に優先的に待ち受けると管理された移動機は、そもそもセルC2に待ち受けるため、上述したようなセルの再選択は不要である。
【0040】
また、待ち受けセル指示部205は、移動機300Aが待ち受けセル品質(Qqualmin)は満たさないが、通信可能セル品質(Qqual)を満たすエリアが存在することがセル情報取得部201によって検知された場合、移動機300Aに、当該エリアにおいてセルC2を設定する、またはセルC2で待ち受けるようにする待ち受け指示(RRC CONNECTION RELEASE)を移動機300Aに送信することもできる。すなわち、セルC2とは、移動機300AがセルC1からの報知情報に設定されたセル再選択閾値に基づいて、CELL RESELECTIONによりセルC2に遷移できる、または当該待ち受け指示に基づいてセルC2で待ち受けることができるように構成されたセルである。
【0041】
さらに、待ち受けセル指示部205は、待ち受けセル品質を満たすエリアの場合、他のセル或いは当該他のセルでの設定周波数へのCELL RESELECTIONを起動しないことを指示する報知情報を移動機300A(300B)に送信してもよい。具体的には、待ち受けセル指示部205は、図1に示す移動機300Bのように、待ち受けセル品質を満たすエリアに位置する移動機に対してCELL RESELECTIONを起動しないようなセル再選択閾値を設定した報知情報を送信する。
【0042】
遷移指示部207は、待ち受けセル指示部205によって、例えばセルC2で待ち受けるようにするセル再選択閾値、または当該セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報が移動機300A(300B)に送信された後において、移動機300AをセルC2からセルC1へ遷移させ、移動機300AとセルC1との通信を開始させる遷移指示を移動機300Aに送信する。
【0043】
具体的には、遷移指示部207は、Redirection infoに従った遷移指示を移動機300Aに送信する。なお、遷移指示部207は、3GPP TS25.331おいて規定されるRedirection infoとして、RRC CONNECTION REJECTまたはRRC CONNECTION RELEASEにセルC1の周波数を設定したRedirection infoによる手順を用いることができる。或いは、遷移指示部207は、PS-Handoverによる手順を用いることもできる。
【0044】
(2.2)移動機300A
図3は、移動機300Aの機能ブロック構成図である。なお、移動機300Bも同様の構成を有する。図2に示すように、移動機300Aは、無線通信部301、指示取得部303、待ち受けセル切替部305及び遷移制御部307を備える。
【0045】
無線通信部301は、eNodeB110及びNodeB210, 220と、3G方式またはLTE方式に従った無線通信を実行する。
【0046】
指示取得部303は、RNC200から送信されたセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)を設定した報知情報であるSYSTEM INFORMATION BLOCK TYPE 19(TS 25.331)を取得する。具体的には、指示取得部303は、無線通信部301が受信したSYSTEM INFORMATIONに含まれるセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)を取得する。
【0047】
また、指示取得部303は、RNC200から送信された遷移指示(Redirection info)を取得する。具体的には、指示取得部303は、無線通信部301が受信したRRC CONNECTION REJECTまたはRRC CONNECTION RELEASE内のフィールドRedirection infoを取得する。
【0048】
待ち受けセル切替部305は、指示取得部303から通知されたセル再選択閾値に基づいて、待ち受けをするセルを切り替える。例えば、待ち受けセル切替部305は、移動機300AがセルC1の所定エリア(セルC1とセルC4とが重複するエリア)に位置していた場合、当該セル再選択閾値に基づいて、セルC1からセルC2に待ち受けをするセルを切り替えるCELL RESELECTIONを起動する。
【0049】
遷移制御部307は、指示取得部303から通知されたRedirection infoに含まれる遷移先のセル及び当該セルの周波数に基づいて、通信を実行するセルを切り換える。例えば、遷移制御部307は、移動機300AがセルC1の所定エリア(セルC1とセルC4とが重複するエリア)に位置し、セルC2において待ち受けている場合、セルC2からセルC1への遷移(リダイレクション)を実行する。
【0050】
なお、遷移制御部307は、上述したように、Fast RedirectionまたはRelease with Redirectionによる手順を用いることができ、PS-Handoverによる手順を用いることもできる。
【0051】
(3)無線通信システムの動作
次に、上述した無線通信システムの動作について説明する。具体的には、移動機300Aが待ち受けセルを切り替えてLTEでの無線通信を実行する動作について説明する。
【0052】
図4は、移動機300Aが待ち受けセルを切り替えてLTEでの無線通信を実行する通信シーケンスを示す。
【0053】
図4に示すように、RNC200は、セルC1〜C5の情報を取得する。特に、本実施形態では、RNC200は、セルC1〜C3の情報を取得する(S10)。具体的には、RNC200は、SYSTEM INFORMATION BLOCK TYPE19に含まれる当該セルの情報(使用周波数など)を取得する。また、図1に示すように、移動機300A, 300B(UE)は、セルC3で待ち受けしている(S20)。
【0054】
移動機300Aは、セルC1などの待ち受けセル品質(Qqualmin)を満たさないが通信可能セル品質(Qqual)を満たすエリアに位置している。当該エリアは、セルC1〜C5が重複して形成されており、セル間の干渉が発生し易い。一方、移動機300Bは、セルC1などの待ち受けセル品質を満たすエリアに位置しているため、セルC1〜C3に待ち受けし、当該セルと無線通信が可能である。
【0055】
また、SYSTEM INFORMATION BLOCK TYPE19では、3Gセル(セルC2〜C5)に待ち受けをした移動機300AがLTEセル(セルC1)に待ち受けるように、移動機300A, 300Bが当該LTEのセルでの設定周波数へのCELL RESELECTIONを優先的に実行するように構成されている。
【0056】
RNC200は、取得したセル情報に基づいて、移動機300Aが待ち受けしているセルC3に代えて、他の隣接するセルを再選択するセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)を決定する(S30)。
【0057】
RNC200は、決定したセル再選択閾値を設定した報知情報(SYSTEM INFORMATION BLOCK TYPE 19)を移動機300Aに送信する(S40)。なお、RNC200は、セル再選択閾値に代えて、当該セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を移動機300Aに送信してもよい。
【0058】
移動機300Aは、受信したSYSTEM INFORMATIONに基づいて、セルC3からセルC1に待ち受けセルを切り替えるCELL RESELECTIONを起動する(S50)。この結果、移動機300Aは、セルC1で待ち受けるようになる(S55)。
【0059】
RNC200は、ステップS30と同様に、取得したセル情報に基づいて、移動機300Aが待ち受けしているセルC1に代えて、他の隣接するセルを再選択するセル再選択閾値(Sintersearch, Threshserving, Threshlow)を決定する(S60)。
【0060】
RNC200は、決定したセル再選択閾値を設定した報知情報(SYSTEM INFORMATION BLOCK TYPE 19)を移動機300Aに送信する(S70)。なお、RNC200は、セル再選択閾値に代えて、当該セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を移動機300Aに送信してもよい。
【0061】
ここで、セルC1(LTEセル・2GHz帯)の報知情報では、移動機300AがセルC1の圏外判定閾値(Qrxlevimn/Qqualmin)によりセルC1の圏外と判定する可能性のあるエリア(セルC1内のエリアA1以外のエリア)においては、セルC2へのCELL RESELECTIONを起動するような閾値(Thresh serving Low)が設定されている。このため、移動機300Aは、通信可能セル品質を満たすエリア内であっても移動機300Aは、セルC1で待ち受けることができないと判定する。
【0062】
移動機300Aは、受信したSYSTEM INFORMATIONに基づいて、セルC1からセルC2に待ち受けセルを切り替えるCELL RESELECTIONを起動する(S80)。この結果、移動機300Aは、セルC2で待ち受けるようになる(S90)。
【0063】
RNC200は、セルC2で待ち受けるようにする待ち受け指示が移動機300Aに送信された後において、移動機300AをセルC2からセルC1へ遷移させ、移動機300AとセルC1との通信を開始させる遷移指示(Redirection info)を移動機300Aに送信する(S100)。
【0064】
移動機300Aは、受信した遷移指示に基づいて、セルC2からセルC1への遷移(リダイレクション)を実行、つまり、測定などをすることなくセルC1に待ち受けし、セルC1と無線通信を実行する(S110〜S120)。
【0065】
なお、移動機300AがセルC1で待ち受けようとしている場合、上述したステップS20〜S50の処理は不要である。
【0066】
(4)作用・効果
本実施形態に係るRNC200及び移動機300Aによれば、例えば、セルC1に代えてセルC2を再選択し、セルC2で待ち受けるようにするセル再選択閾値が決定される。また、決定されたセル再選択閾値、または前記セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報(SYSTEM INFORMATION)が移動機300Aに送信される。これにより、移動機300Aは、セルC2で待ち受ける。さらに、当該待ち受け指示が移動機300Aに送信された後において、移動機300AをセルC2からセルC1へ遷移させ、移動機300AとセルC1との通信を開始させる遷移指示(Redirection info)が移動機300Aに送信される。
【0067】
このため、移動機300Aが待ち受けセル品質を満たさずセルC1で待ち受けることができないが、セルC1と通信を実行することが可能な通信可能セル品質を満たす場合には、移動機300Aは、セルC1、つまり、高速なLTE方式従った無線通信を実行することができる。特に、LTEのセルが優先的に選択されるLTE優先エリアであっても、移動機300Aを3Gのセルに待ち受けさせ、3Gのセルからのリダイレクションにより、LTEのセルとの無線通信を即座に開始させることができる。
【0068】
本実施形態では、セルC1及びセルC2が使用する周波数帯(2GHz帯)と異なる周波数帯(800MHz帯)を使用するセルC3で移動機300Aが待ち受けている場合、移動機300AがセルC1で待ち受けるようにする報知情報(SYSTEM INFORMATION)を移動機300Aに送信することができる。このため、移動機300Aは、リダイレクションを実行する前に必ず同一周波数帯のセルで待ち受けるため、何ら測定をすることなくセルを遷移するリダイレクションを実行することによる遷移先セルとの接続の失敗を未然に防止し得る。
【0069】
本実施形態では、移動機300Aが通信を終了する際に、セルC2で使用される周波数帯または所定の周波数を示す待ち受け指示(RRC CONNECTION RELEASE)を移動機300Aに送信することができる。このため、移動機300Aが当該位置で通信を再開した場合、LTE優先エリアであっても、改めてCELL RESELECTIONを実行する必要がない。また、本実施形態では、移動機300Aの所定の能力またはセルC1における周波数毎の待ち受け優先度と、所定の判定条件とに基づいて、移動機300AにRedirection infoを設定することができる。このため、移動機300Aの能力や当該セルが形成されるエリアの特性に応じて移動機300Aが待ち受けるべきセルを決定することができる。
【0070】
すなわち、RNC200及び移動機300Aによれば、使用する無線アクセス技術が異なる複数の無線通信システムの同一周波数帯セルが重複して設置される場合において、所望の無線通信システムを介した通信を移動機300Aに実行させることができる。
【0071】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0072】
例えば、上述した本発明の実施形態では、LTEのセルが優先的に選択されるLTE優先エリアでの例について説明したが、3Gのセルが優先的に選択される場合においても、本発明を同様に適用できる。
【0073】
また、上述した実施形態において、移動機300AがLTEのセルとの通信可能セル品質を満たすエリアに位置している場合、移動機300Aの通信終了時の待ち受け周波数指定(RPLMN info/REDIRECTION info)を用いて、LTEのセル或いは3Gのセル(2GHz)を指定するようにしてもよい。
【0074】
上述した実施形態では、RNC200が待ち受け指示及び遷移指示を送信する形態としたが、eNodeB110やMME100が当該指示を送信するようにしてもよい。
【0075】
上述した実施形態では、eNodeB及びNodeBのみを例として説明したが、本発明は、Femtoセル(Home eNodeB・Home NodeB)が、通常のセルにオーバレイするような構成にも適用することができる。
【0076】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0077】
100…MME
110…eNodeB
200…RNC
201…セル情報取得部
203…閾値決定部
205…待ち受けセル指示部
207…遷移指示部
210, 220…NodeB
300A, 300B…移動機
301…無線通信部
303…指示取得部
305…待ち受けセル切替部
307…遷移制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線アクセス技術が用いられる第1セル、及び第2無線アクセス技術が用いられる第2セルと無線通信が実行可能な移動機を制御する通信制御装置であって、
前記第1セル及び前記第2セルが使用する周波数、及び前記第1セルと前記第2セルとが重複して設置されているか否かを含むセル情報を取得するセル情報取得部と、
前記セル情報取得部が取得した前記セル情報に基づいて、前記移動機が前記第1セルに代えて前記第2セルを再選択し、前記第2セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値を決定する閾値決定部と、
前記閾値決定部によって決定された前記セル再選択閾値、または前記セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を前記移動機に送信する待ち受けセル指示部と
を備える通信制御装置。
【請求項2】
前記待ち受けセル指示部は、前記第1セル及び前記第2セルが使用する周波数と異なる周波数を使用する第3セルで前記移動機が待ち受けている場合、前記移動機が前記第1セルを再選択し、前記第1セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値、または前記セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を前記移動機に送信する請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記待ち受けセル指示部は、前記移動機が通信を終了する際に、前記第2セルで使用される周波数帯または所定の周波数を示す待ち受け指示を前記移動機に送信する請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記待ち受けセル指示部は、前記移動機の所定の能力または周波数毎の待ち受け優先度と、所定の判定条件とに基づいて、前記待ち受け指示を送信する請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記待ち受けセル指示部は、前記移動機が前記第1セルで待ち受けするために必要な待ち受けセル品質は満たさないが、前記移動機が前記第1セルと通信を実行する上で必要な通信可能セル品質を満たすエリアが存在することが前記セル情報取得部によって検知された場合、前記移動機に、前記エリアにおいて前記第2セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値、または前記待ち受け周波数を設定した報知情報が送信された前記第1セルから遷移できるように構成された前記第2セルを設定する、または前記第2セルで待ち受けるようにする待ち受け指示を前記移動機に送信する請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記待ち受けセル指示部によって、前記第2セルで待ち受けるようにするセル再選択閾値、または前記待ち受け周波数を設定した報知情報が送信された場合において、前記移動機を前記第2セルから前記第1セルへ遷移させ、前記移動機と前記第1セルとの通信を開始させる遷移指示を前記移動機に送信する遷移指示部を備える請求項5に記載の通信制御装置。
【請求項7】
第1無線アクセス技術が用いられる第1セル、及び第2無線アクセス技術が用いられる第2セルと無線通信が実行可能な移動機を制御する通信制御方法であって、
前記第1セル及び前記第2セルが使用する周波数、及び前記第1セルと前記第2セルとが重複して設置されているか否かを含むセル情報を取得するステップと、
取得した前記セル情報に基づいて、前記移動機が前記第1セルに代えて前記第2セルを再選択し、前記第2セルで待ち受けるようにする再選択閾値を決定するステップと、
決定された前記セル再選択閾値、或いは待ち受け周波数により、前記移動機が前記第2セルを再選択し、または前記セル再選択閾値に基づいて決定された待ち受け周波数を設定した報知情報を前記移動機に送信するステップと、
前記移動機が、受信した前記報知情報に基づいて、前記第1セルから前記第2セルに待ち受けするセルを切り替えるステップと
を備える通信制御方法。
【請求項8】
前記移動機を前記第2セルから前記第1セルへ遷移させ、前記移動機と前記第1セルとの通信を開始させる遷移指示を前記移動機に送信するステップと、
前記移動機が、受信した前記遷移指示に基づいて、前記第2セルから前記第1セルに遷移するステップと
をさらに備える請求項7に記載の通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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