説明

通信制御装置

【課題】ハンドオーバの特性に応じて、ハンドオーバの実行を抑制することで、不要なハンドオーバ処理に伴う無線基地局や他のネットワーク装置の負荷を低減する。
【解決手段】狭域無線基地局21〜24と、広域のカバーエリアを提供する広域無線基地局11とを含み、端末31〜33は、無線基地局11,21〜24との通信中に受信電力が低下した場合、現在の受信電力よりも高い受信電力を提供している他の無線基地局へ接続先を切り替えるハンドオーバを実行するものであって、制御装置1は、無線基地局11,21〜24から収集したハンドオーバ履歴情報に基づいて、ハンドオーバの特性を分析し、ハンドオーバの実行を抑制するためのハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成して、前記特性に応じた制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は通信制御装置に関し、特に、無線基地局の運用パラメータを生成するための通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムは、その高度化に伴い、従来よりも高いマイクロ波帯の周波数を用い、且つ、1Gbpsまでの高速大容量通信を実現するために、無線基地局の狭カバーエリア化と基地局数の増大化とが必要となる。高いマイクロ波帯の周波数では屋内浸透が課題となり、屋内カバレッジを増大するために、屋内で小セルを構成するフェムト基地局の利用が促進される。
【0003】
このような環境では、従来のマクロ基地局に加え、フェムト基地局を含めたカバーエリアの設計運用が必要となり、膨大な基地局に対して、自律的、且つ、効率的に基地局の設計運用パラメータを決定することが重要となる。
【0004】
移動体通信システムにおいては、携帯電話機等の移動体無線端末(以下、単に端末と呼ぶ。)が無線基地局と通信することにより、無線基地局を介した端末間での通話またはメール送受信などが行なわれる。各端末は、自身の移動などにより、通信中に通話の品質が保持できない程度まで受信電力が低下した場合には、現在の受信電力よりも高い受信電力を提供している他の無線基地局に接続先を切り替えるハンドオーバを実施する。このハンドオーバは、通信の品質を確保するための高い受信電力を常に保持するためには有効であるが、ハンドオーバの頻度が高くなると、ハンドオーバ処理に伴う無線基地局や他のネットワーク装置への負荷が増大する。
【0005】
セルラ無線通信網において、不必要なハンドオーバの発生を抑制する方式として、例えば、特許文献1がある。特許文献1は、無線パラメータ制御装置が、ハンドオーバの頻度およびハンドオーバ失敗数を無線基地局ごとに一定期間単位に集計し、当該失敗数が所定の閾値未満の場合に無線基地局の送信電力を減少させる、または、閾値以上の場合に無線基地局の送信電力を増加させる指示を行う。これにより、対象のカバーエリアをカバーしつつ、不必要なハンドオーバの発生を抑制するように、無線基地局の送信電力を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−219970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
移動体通信システムにおいて、カバーエリアの大きな無線基地局(例えば、マクロ基地局)とカバーエリアの小さな無線基地局(例えば、フェムト基地局)が混在する環境下を、いずれかの無線基地局と通信中の端末が通過すると、1つのカバーエリア内の滞在時間が極端に短い端末が出現したり、ハンドオーバ失敗数が増加するといった問題点があった。
【0008】
上述の特許文献1では、無線パラメータ制御装置が、各無線基地局の送信電力を変更する制御を実施しているが、この制御はハンドオーバが失敗しやすい端末のカバレッジを大きくして、端末の滞在時間を長くすることで、ハンドオーバ失敗数を削減することを目的としており、ハンドオーバ回数そのものは抑制できていないという問題点があった。
【0009】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、ハンドオーバの実行を抑制することで、ハンドオーバ処理に伴う無線基地局や他のネットワーク装置の負荷を低減することが可能な通信制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、無線基地局を運用するための運用パラメータを生成する通信制御装置であって、前記無線基地局は、1以上の狭域無線基地局と、前記1以上の狭域無線基地局が提供する各カバーエリアを自身のカバーエリア内に含む広域のカバーエリアを提供する広域無線基地局とを含み、前記無線基地局は、移動無線端末と通信を行うもので、前記移動無線端末は、前記無線基地局との通信中に受信電力が低下した場合、現在の受信電力よりも高い受信電力を提供している他の無線基地局へ接続先を切り替えるハンドオーバを実行するものであって、前記通信制御装置は、前記無線基地局から収集したハンドオーバ履歴情報に基づいて、ハンドオーバの特性を分析し、ハンドオーバの実行を抑制するためのハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成して、前記特性に応じた制御を行うことを特徴とする通信制御装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、無線基地局を運用するための運用パラメータを生成する通信制御装置であって、前記無線基地局は、1以上の狭域無線基地局と、前記1以上の狭域無線基地局が提供する各カバーエリアを自身のカバーエリア内に含む広域のカバーエリアを提供する広域無線基地局とを含み、前記無線基地局は、移動無線端末と通信を行うもので、前記移動無線端末は、前記無線基地局との通信中に受信電力が低下した場合、現在の受信電力よりも高い受信電力を提供している他の無線基地局へ接続先を切り替えるハンドオーバを実行するものであって、前記通信制御装置は、前記無線基地局から収集したハンドオーバ履歴情報に基づいて、ハンドオーバの特性を分析し、ハンドオーバの実行を抑制するためのハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成して、前記特性に応じた制御を行うことを特徴とする通信制御装置であるので、ハンドオーバの特性に応じて、ハンドオーバの実行を抑制することで、不要なハンドオーバ処理に伴う無線基地局や他のネットワーク装置の負荷を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の移動体通信システムの全体構成を示した構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る移動体通信システムの制御装置の構成を示したブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る移動体通信システムの無線基地局の構成を示したブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る移動体通信システムにおける、端末位置に応じた受信電力の変化をグラフで示した図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る移動体通信システムの無線基地局の端末滞在の時間分布をグラフで示した図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る移動体通信システムの無線基地局の間欠送信時の送信電力をグラフで示した図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る移動体通信システムの通過端末が多い場合の間欠送信タイミングをグラフで示した図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る移動体通信システムの通過端末が少ない場合の間欠送信タイミングをグラフで示した図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る移動体通信システムのハンドオーバ判定条件と品質低下検出期間との関係をグラフで示した図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る移動体通信システムの時間帯による制御方式の切り替えをグラフで示した図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る移動体通信システムの同時間帯内の区別による制御方式の切り替えをグラフで示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1に、本発明における移動体通信システム全体の構成図を示す。図1に示すように、移動体通信システムは、通信制御装置1(以下、単に、制御装置1と呼ぶ)と、無線基地局11,21〜24と、端末31,32,33とから構成される。図1において、無線基地局11は、大きなカバーエリアを提供する無線基地局(広域無線基地局)である。一方、無線基地局21〜24は、そのカバーエリアが無線基地局11のカバーエリア内に含まれる、小さなカバーエリアを提供する無線基地局(狭域無線基地局)である。図中における点線の円は、無線基地局11,21〜24のそれぞれのカバーエリアを示すものである。なお、図1に示すように、無線基地局21〜24の各カバーエリアは、互いに一部分が重なっていてもよいし、あるいは、各カバーエリアが離散していて、互いに重なる部分が全くない状態でもよい。無線基地局11,21〜24の各カバーエリアは、各無線基地局11,21〜24に固有のものであり、無線基地局の設計時に予め設定される。
【0014】
図1において、端末31,32,33は、無線基地局11,21〜24のうちのいずれかの無線基地局と通信しながら、カバーエリア内を移動する、例えば携帯電話機等の移動体通信機器から構成された端末(移動無線端末)である。図1において、制御装置1は、各無線基地局11,21〜24との接続インタフェースを持ち、それらの無線基地局との間で情報収集を行うとともに、それらの無線基地局の運用パラメータの生成および更新を行うものである。なお、当然のことながら、移動体通信システムを構成する制御装置、無線基地局、端末の数は、図1の構成に限定するものではなく、任意の個数で構わない。
【0015】
図2に、制御装置1の構成を示す。制御装置1は、無線基地局11,21〜24との通信を行うための送受信部1aと、それらの無線基地局11,21〜24から各端末のハンドオーバ履歴情報や当該無線基地局のカバーエリア内の当該端末の滞在時間などの統計情報を収集する統計情報収集部1bと、収集した統計情報を基に、ハンドオーバの特性を分析し、当該特性に応じた、無線基地局11,21〜24の運用パラメータを生成する運用パラメータ生成部1cと、生成した運用パラメータを各無線基地局に配信する運用パラメータ配信部1dと、生成した運用パラメータを保持する運用パラメータ情報記憶部1eと、各無線基地局から取得した統計情報を保持する統計情報記憶部1fとから構成されている。制御装置1は、このように構成され、収集した統計情報に基づいて、無線基地局11,21〜24を運用するための運用パラメータを生成する。特に、制御装置1は、無線基地局11,21〜24から収集したハンドオーバ履歴情報を基に、ハンドオーバ特性を分析し、不要なハンドオーバの実行を抑制することにより、ハンドオーバの回数を低減させるためのハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成し、当該ハンドオーバ特性に応じた制御を行う。本実施の形態においては、無線基地局11,21〜24が提供する各カバーエリア内の滞在時間が所定の閾値未満となる端末の分布を確認して、そのような端末の個数が低減するように、当該分布の集中度合に基づいて、当該端末が集中している時間帯及び/または無線基地局については、ハンドオーバの実行を抑制するためのハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成して適用する。このように、本発明においては、各無線基地局から収集した統計情報に基づいて、無線基地局11,21〜24へのハンドオーバの特性を分析し、当該特性に応じて、不要なハンドオーバを低減させるために、ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを適用する。これにより、カバーエリア内の滞在時間が、予め設定された所定の閾値未満となってしまう端末の個数を、低減させることができる。運用パラメータの詳細については後述する。
【0016】
図3に、無線基地局の構成を示す。図3に示すように、無線基地局11は、制御装置1および他の無線基地局21〜24と有線接続するとともに、端末31,32,33と無線接続するための送受信部11aと、制御装置1から運用パラメータを取得し、それに基づいて、自装置(無線基地局11の装置)の運用を管理する運用管理部11bと、制御装置1から受信した運用パラメータを基に、現在格納されている運用パラメータを更新するパラメータ判断部11cと、端末31,32,33に対して通信サービスを提供する呼制御部11dと、呼制御部11dにおいて測定した自装置(無線基地局11の装置)の運用履歴(自身のカバーエリア内に滞在した端末数と、各端末が滞在して通信した時間(セル滞在時間)のデータなど)を統計情報として収集する統計情報収集部11eと、統計情報収集部11eで収集した統計情報を保持する統計情報記憶部11fと、制御装置1から取得した運用パラメータを保持する運用パラメータ情報記憶部11gとから構成される。
【0017】
なお、上記の図3においては、無線基地局11を例に挙げて説明しているが、無線基地局21〜24も同様の構成を有している。従って、無線基地局21〜24については、説明及び図示を省略するが、以下の説明においては、無線基地局21〜24において、無線基地局11の各構成11a〜11gに対応する同一の構成については、それぞれ、符号21a〜21g,22a〜22g,23a〜23g,24a〜24gと記載することとする。
【0018】
次に、図4〜図6を用いて、本実施の形態に係る移動体通信システムの動作について説明する。複数の無線基地局11,21〜24が同周波数で運用されていた場合、端末31,32,33から見ると、自身に接続中以外の無線基地局からの送信波は干渉波となり、品質低下の原因となる。端末31,32,33は、通信中に、自身の移動などにより、受信電力が十分な品質を確保できない程度に低下した場合、現在の受信電力よりも高い受信電力の無線基地局へその接続先を自動的に切り替えるハンドオーバを実施する。
【0019】
ハンドオーバについて図4を用いて説明する。なお、図4においては、複数の端末31,32,33のうち、端末31を例に挙げて説明するが、いずれの端末においても同様であるため、他の端末については説明を省略する。図4において、端末31が位置aにあるときには、無線基地局11からの受信電力が無線基地局21からの受信電力より高いので、無線基地局11と接続して、無線基地局11と通信を行う。次に、端末31が、位置bへ移動したとすると、位置bでは無線基地局21からの受信電力が無線基地局11からの受信電力より高くなることから、端末31は、無線基地局11から無線基地局21へハンドオーバを実行する。次に、端末31が位置cへ移動したとすると、無線基地局21からの受信電力が低くなり、再び、無線基地局11からの受信電力が高くなるため、端末31は、無線基地局21から無線基地局11へ再度ハンドオーバを実行する。このとき、端末31の移動速度が大きい、あるいは、端末31の動線が無線基地局21のカバーエリアの端に近い場合は、端末31の無線基地局21のカバーエリア内の滞在時間が短くなる。なお、カバーエリア内の端末の滞在時間が所定の閾値未満となるのは、カバーエリアの小さい無線基地局21〜24の可能性が高いため、ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを適用して有効なのは、主に無線基地局21〜24へのハンドオーバの抑制である。
【0020】
次に、無線基地局と制御装置1との動作について説明する。ここでは、無線基地局として無線基地局21を例に挙げて説明するが、他の無線基地局11,22〜24においても同様の動作であるため、それらについては説明を簡略化する。
【0021】
無線基地局21は、呼制御部21dで検出した各端末のハンドオーバの履歴を基に、無線基地局21のカバーエリア内に滞在した端末数と、それらの各端末が当該カバーエリア内に滞在して通信したのべ時間(セル滞在時間)を統計情報収集部21eで統計情報として集計する。こうして集計した統計情報は、統計情報記憶部21fに格納されるとともに、予め指定された一定時間が経過する毎に(すなわち、一定時間の周期で)、運用管理部21bにより、当該一定時間分のデータが制御装置1にまとめて送信される。他の無線基地局11,22〜24も、無線基地局21と同様に、集計した統計情報を一定時間経過毎に、制御装置11へ送信する。
【0022】
制御装置1は、上述のようにして、各無線基地局11,21〜24から送信されてくる上記統計情報を、送受信部1aで受信する。次に、制御装置1は、統計情報収集部1bにより、各無線基地局から収集した当該統計情報を、統計情報記憶部1fに保持するとともに、当該統計情報を時間帯ごと及び/または無線基地局ごとに分析する。具体的には、当該統計情報に基づいて、各無線基地局のうちで、各端末の滞在時間が短かった無線基地局を特定し、また、各無線基地局を総合して、一日のうちで、各端末の滞在時間が短い時間帯を特定し、さらに、各端末のハンドオーバに関連する周辺の無線基地局(ハンドオーバ先/ハンドオーバ元の無線基地局)を特定する。
【0023】
例えば、図5に、無線基地局21から収集した統計情報の一例を示す。なお、ここでは、カバーエリアの小さい無線基地局として、無線基地局21を例にして説明するが、他の無線基地局22〜24においても、同じ動作となることは言うまでもないので、無線基地局22〜24については、説明を省略し、ここでの説明を参照することとする。図5に示す当該統計情報は、無線基地局21のカバーエリア内の端末滞在時間分布を示している。図5に示されるように、無線基地局21のカバーエリアにおいては、午前7時から9時までの間は、滞在時間が短い端末が集中している。制御装置1は、当該分布データを基にこのようなハンドオーバの特性を分析し、各端末の滞在時間が短い時間帯として、午前7時から9時までを特定する。具体的な処理としては、時間帯ごとに当該分布データを分析して、滞在時間が所定の時間(時間の閾値)よりも短い端末の個数を時間帯ごとに確認し、当該端末の個数が所定の個数(個数の閾値)よりも多い時間帯があれば、当該時間帯を検出する。また、制御装置1は、無線基地局21から送信されてきた統計情報のうちのハンドオーバに関連する周辺の無線基地局の情報を基に、これらの滞在時間の短い端末のハンドオーバ元およびハンドオーバ先を確認する。いま、当該端末が、無線基地局11から無線基地局21へのハンドオーバであったとすると、制御装置1は、運用パラメータ生成部1cで、当該情報を基に、同時間帯(午前7時から9時までの時間帯)においては、無線基地局11と通信中である端末が、たとえ無線基地局21のカバーエリア内に移動してきても、無線基地局21へハンドオーバすることを抑制(禁止)する運用パラメータを生成する。具体的な運用パラメータの例としては、同時間帯においては、広域無線基地局である無線基地局11と通信中の端末が、狭域無線基地局である無線基地局21のカバーエリア内にたとえ移動してきても、無線基地局11が当該端末と通信するサブフレーム期間においては、無線基地局21の送信電力を小さくするか又は停止させる運用パラメータを生成して、無線基地局21へのハンドオーバを抑制するように制御する。当該運用パラメータにより、当該端末が、無線基地局21のカバーエリア内を通過する期間は、無線基地局21からの当該端末への干渉を抑えつつ、無線基地局11との通信を継続させることができる。このようにして生成された運用パラメータは、運用パラメータ情報として、運用パラメータ情報記憶部1eに保持されるとともに、運用パラメータ配信部1dにより、制御装置1から無線基地局21へ配信される。無線基地局21の運用管理部21bは、取得した運用パラメータ情報を運用パラメータ情報記憶部21gに保持するとともに、当該運用パラメータに基づいて、自装置の運用を管理する。また、パラメータ判断部21cが、端末31,32,33に通知する運用パラメータを判定して、呼制御部21dにそれを送信する。呼制御部21dは当該運用パラメータを受けて、端末31,32,33へ向けて、送受信部21aを介して、それを無線送信して通知する。なお、運用パラメータを、制御装置1から無線通信装置21にのみ配信する例について説明したが、その場合に限らず、運用パラメータは、他の無線基地局21〜24にも同時に配信するようにしてもよいし、また、無線基地局11にも、当該運用パラメータを無線基地局21〜24に配信した旨を通知するようにしてもよい。
【0024】
次に、具体的な例を挙げて、ハンドオーバ抑制用の上記運用パラメータについて、さらに詳細に説明する。いま、午前7時から9時までの時間帯において、無線基地局11のカバーエリア内に端末31と端末32が在圏し、無線基地局21のカバーエリア内に端末33が在圏しており、端末32が無線基地局11のカバーエリアから無線基地局21のカバーエリア内を通過する移動をするものとする。このとき、端末32が無線基地局21のカバーエリア内を通過する期間のうちの、無線基地局11が端末32と通信するサブフレーム期間においては、上記運用パラメータに基づいて、無線基地局21が、自装置の送信電力を小さくするか又は停止させて、無線基地局21のカバーエリア内に在圏する端末33との通信を停止し、それ以外のサブフレーム期間において、無線基地局21のカバーエリア内に在圏する端末33との通信を実行する(間欠送信)。これにより、端末32は無線基地局21からの干渉を受けることなく、無線基地局11との通信を継続させながら、無線基地局21のカバーエリア内を通過することができる。具体的には、図6に示すように、無線基地局21が端末32と33とに通信機会を割り当てるサブフレーム期間は繰り返し順番にくるので(3以上の端末に対しても同様に繰り返し順にサブフレーム期間がくる)、無線基地局21が端末32に通信機会を割り当てるサブフレーム期間において、無線基地局21が送信電力を小さくするか又は送信を停止し、端末32に対して無線基地局21が存在しないかのように見せる(無線基地局11の送信電力は一定)。一方、端末31は、無線基地局11のカバーエリア内に在圏し、無線基地局21のカバーエリア外であるため、無線基地局21の影響を受けないので、他の端末に割り当てられていないサブフレームを利用して、無線基地局11と通信することができる。同様に、端末33は、無線基地局21のカバーエリア内に在圏するため、無線基地局11の影響を受けないので、(間欠送信における)他の端末に割り当てられていないサブフレームを利用して、無線基地局21と通信することができる。
【0025】
以上説明したような、各無線基地局からの統計情報の収集と、各無線基地局への運用パラメータの設定とを、運用中に繰り返し実施することにより、1つのカバーエリア内での滞在時間が短くなる端末においては(すなわち、主に、小さいカバーエリア内を通過する端末においては)、当該カバーエリアを構成する無線基地局へのハンドオーバを抑制しつつ、その無線基地局からの干渉を低減したまま、通信中の無線基地局との通信を継続することができる。
【0026】
本実施の形態においては、通常時においては、通常時用の運用パラメータで各無線基地局11,21〜24が運用されているが、統計情報の分析により、ハンドオーバを抑制したい時間帯が特定できた場合には、当該時間帯においてのみ、上記のハンドオーバ抑制用の運用パラメータ(間欠送信用の運用パラメータ)を用いて、各無線基地局11,21〜24の運用を行う。このように、統計情報の分析に基づいて、運用パラメータを、通常時のものかハンドオーバ抑制用のものかのいずれかに切り替える。
【0027】
なお、以上の例では、各無線基地局からの統計情報に基づいて、ハンドオーバを抑制したい時間帯および無線基地局の両方を指定して、当該時間帯および無線基地局においてのみハンドオーバ抑制用の運用パラメータを適用する例について説明したが、その場合に限らず、時間帯か無線基地局のいずれか一方のみを指定して、ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを適用するようにしてもよい。
【0028】
また、以上の例では、運用パラメータの判断に、端末の滞在時間を使用したが、統計情報としては、それに限定されるものではなく、滞在時間の代わりに、ハンドオーバの手順を開始した端末数に対するハンドオーバが正常に完了しなかった端末数の割合(ハンドオーバ失敗率)の統計情報を利用してもよい。すなわち、制御装置1は、各無線基地局からの統計情報を用いて、ハンドオーバ失敗率が所定の閾値以上の時間帯または無線基地局を指定し、当該時間帯または無線基地局に対して、ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを適用するようにしてもよい。
【0029】
また、以上の例では、無線基地局21のカバーエリア内で通信する端末が1台、無線基地局21のカバーエリア内を通過する端末が1台の例を取り上げたが、それに限定されるものではなく、制御装置1が収集した情報に基づいて、複数の端末がいることが予想される場合は、その比率に応じて、無線基地局21〜24の送信電力を停止する期間を変化させた運用パラメータを制御装置1が生成し、各無線基地局へ設定することもできる。例えば、統計情報に基づいて、無線基地局21のカバーエリアを通過する端末の個数が多いと判断される場合は、図7に示すように、その比率に応じて通信を停止するサブフレーム期間を(図6に示す通常の基準の長さ(基準値)よりも)長くすることもできる。また、同様に、統計情報に基づいて、無線基地局21のカバーエリアを通過する端末の個数が少ないと判断される場合は、図8に示すように、その比率に応じて通信を停止するサブフレームの期間を(図6に示す通常の基準の長さ(基準値)よりも)短くすることもできる。このように、サブフレームの期間長さは、所定の基準値(デフォルト値)を設定しておき、当該所定の基準値を基にして適宜変更可能な可変としてもよい。
【0030】
また、以上の例では、制御装置1が運用パラメータの決定に使用する統計情報は1日のなかの特定時間帯として説明したが、1週間のうちの特定の曜日や特定の時間帯のように取り扱ってもよい。
【0031】
また、以上の例では、運用パラメータを生成する装置を制御装置として記載したが、一つの装置として独立している必要はなく、いずれかの無線基地局11,21〜24が、同様の機能を備えて実現してもよい。
【0032】
以上のように、本発明においては、移動体通信システムが、大きなカバーエリアを提供する無線基地局11と、小さなカバーエリアを提供する無線基地局21〜24と、それら無線基地局11,21〜24の運用パラメータを生成する制御装置1から構成されて、当該制御装置1は、無線基地局11,21〜24から収集した統計情報に基づいて、ハンドオーバの特性分析を行って、当該特性分析結果に従って、無線基地局11,21〜24が構成するカバーエリア内の滞在時間が閾値未満となる端末の個数を低減させるための、ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成するようにした。具体的には、本実施の形態においては、1つのカバーエリア内での滞在時間が短くなる端末の分布を確認して、当該カバーエリアへのハンドオーバを禁止するために、当該カバーエリアを構成している無線基地局の送信電力を、サブフレーム単位で、小さくするか、あるいは、停止させる運用パラメータをハンドオーバ抑制用の運用パラメータとして生成し、無線基地局において、当該運用パラメータに基づいて、サブフレーム単位で送信電力を切り替える間欠送信を行うことにより、それらの無線基地局のカバーエリアを通過する際にも、それらの無線基地局からの干渉を低減したまま、通信中の無線基地局との通信を継続することを可能にした。これにより、不必要なハンドオーバ処理に伴う無線基地局および制御装置への負荷を低減することができる。
【0033】
実施の形態2.
本実施の形態の説明に新たに必要とする図は図9であり、その他の図は、実施の形態1の図に等しいので、それらの図を参照することとする。実施の形態1で取り上げた滞在時間やハンドオーバ失敗率は、端末の移動速度や無線基地局との距離だけでなく、ハンドオーバの運用パラメータの内容にも依存する。
【0034】
本実施の形態においては、各端末は、各無線基地局の呼制御部から、ハンドオーバの運用パラメータとして、通信の品質低下を検出するための受信電力に関する判定条件と、当該判定条件を継続して満たした場合に品質低下と判定するための期間に関する閾値とが、予め通知される。こうして、各端末は、当該判定条件が、当該閾値以上の時間、継続して満たされた場合に、品質低下が発生したとして判定する。なお、当該判定条件の例としては、例えば、図9に示すように、「現在接続中の無線基地局(ハンドオーバ元)の受信電力と他の無線基地局(ハンドオーバ先)の受信電力との差が、予め設定した所定値よりも小さい。」あるいは「現在接続中の無線基地局(ハンドオーバ元)の受信電力が他の無線基地局(ハンドオーバ先)の受信電力よりも低い」などが挙げられる。各端末は、「予め通知される判定条件」が「予め通知される閾値」以上の時間、継続して満たされた場合に、自身と現在接続中の無線基地局に対して、品質低下報告を通知する。品質低下報告を受信した無線基地局は、通信の品質が高い他の無線基地局へのハンドオーバを行うことを決定すると、当該端末に対して、接続先の変更(すなわち、指定する無線基地局へのハンドオーバの実行の許可)を指示する。当該指示を受信した端末は、接続先の無線基地局を現在の無線基地局から指定された無線基地局へ切り替える内部処理を実施し、切り替え処理終了後に、ハンドオーバ終了の旨を、ハンドオーバ先の無線基地局へ通知する。こうして、新しい接続先の無線基地局との通信が開始される。
【0035】
図9の例では、「予め通知される判定条件」が「現在接続中の無線基地局(ハンドオーバ元)の受信電力と他の無線基地局(ハンドオーバ先)の受信電力との差が、予め設定した所定値よりも小さい。」であり、「予め通知される閾値」が「時間t」であったとすると、時刻aで「予め通知される判定条件」がはじめて満たされ、その後、時刻aから時刻bまでの時間tの間、当該判定条件が継続して満たされているので、時間t経過後の時刻bの時点で、ハンドオーバ処理が開始され、時刻dでハンドオーバ処理が終了する。
【0036】
なお、上記の「予め通知される判定条件」や「予め通知される閾値」が適切でなかった場合、ハンドオーバが失敗する。例えば、通信の品質低下が進み、通信中であった無線基地局に品質測定報告が通知できず、ハンドオーバ処理に移行できない、つまり、ハンドオーバ手順の開始が遅すぎるケースや、無線基地局の切り替え指示により接続先を切り替えたものの、切り替えた先で十分な受信電力が得られず、切り替え完了を通知できない、つまり、ハンドオーバ手順の開始が早すぎるケース等が該当する。
【0037】
無線基地局21は、呼制御部21dで検出したハンドオーバの履歴をもとに、無線基地局21のカバーエリア内に滞在した端末数と、各端末が滞在して通信した時間(セル滞在時間)とを、統計情報収集部21eで統計情報として集計する。そうして、予め指定された一定時間が経過する毎に、当該一定時間分の統計情報を、運用管理部21bにより、制御装置1へ送信する。他の無線基地局11,22〜24でも同様である。
【0038】
制御装置1は、統計情報収集部1bで、各無線基地局から収集した情報を統計情報として統計情報記憶部1fに保持するとともに、当該統計情報に基づいて、ハンドオーバの特性を分析して、各端末の滞在時間が短い無線基地局と、各無線基地局における各端末の滞在時間が短い時間帯と、ハンドオーバに関連する周辺の無線基地局とを特定する。具体的な分析処理方法は、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略するが、例えば、図5のように、無線基地局21は、午前7時から9時の間で滞在時間が短い端末が集中しており、これらは無線基地局11からのハンドオーバであったとする。制御装置1は、運用パラメータ生成部1cで、これらの統計情報をもとに、同時間帯においては、無線基地局21のカバーエリア内を通過する期間は、無線基地局11と通信中の端末が無線基地局21へのハンドオーバを行うことを不要と判断して抑制(禁止)し、当該端末が、無線基地局11との通信を継続するための、ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成する。生成した結果は、運用パラメータ情報として、運用パラメータ情報記憶部1e内に保持され、また、運用パラメータ配信部1dで、制御装置1から無線基地局11へ配信される。無線基地局11の運用管理部11bは、取得した運用パラメータ情報を運用パラメータ情報記憶部11g内に保持し、かつ、パラメータ判断部11cが、時間帯(現在の時刻が午前7時から9時の時間帯に該当しているか)や無線基地局の情報等に基づいて、呼制御部11dに対して、端末に通知すべき運用パラメータを判定し、判定された運用パラメータが端末に向けて送信される。なお、制御装置1から無線基地局11へ運用パラメータを配信するとして説明したが、その場合に限らず、制御装置1から無線基地局21へ運用パラメータを配信するようにしてもよく、あるいは、無線基地局11,21の両方へ配信するようにしてもよい。
【0039】
次に、無線基地局11のカバーエリア内に端末31と端末32が在圏し、無線基地局21のカバーエリア内に端末33が在圏しており、端末32が無線基地局11のカバーエリアから無線基地局21のカバーエリア内を通過する移動をするものとする。このとき、無線基地局11が、端末32に対して通知する運用パラメータを変更する。当該運用パラメータには、上述した「予め通信される判定条件」や「予め通知される閾値」が含まれる。なお、変更後の運用パラメータは、無線基地局21のカバーエリア内を通過する端末32に対して無線基地局11から無線基地局21へのハンドオーバを抑制(禁止)するためのものであるため、通常時よりも、品質低下に対する基準が低い内容となっている。具体的には、「予め通知される判定条件」を、受信電力の判定基準(上記の所定値)を通常時よりも低い値にする、もしくは、「予め通知される閾値」を通常時よりも長くする、もしくは、その両方を実施することで、ハンドオーバが実施される頻度が下がるとともに、無線基地局21のカバーエリアの滞在時間が短い場合には、ハンドオーバ手順が開始される前に(すなわち、「予め通知される閾値」経過前に)、無線基地局21のカバーエリアを通過し終えることができる可能性が高くなる。
【0040】
以上説明したような、各無線基地局からの統計情報の収集と、各無線基地局及び/または各端末への運用パラメータの設定を、運用中に繰り返し実施することにより、端末32が滞在時間の短い無線基地局21へのハンドオーバを抑制しつつ、現在通信中の無線基地局11との通信を継続することができる。
【0041】
本実施の形態においては、運用パラメータが、品質低下を検出するための受信電力に関する「予め通知される判定条件」と、当該「予め通知される判定条件」が継続して満たされた場合に品質低下と判断するための検出期間に関する「予め通知される閾値」とを含み、通常時においては、通常時用の「判定条件」と「閾値」とを含む運用パラメータで各無線基地局11,21〜24を運用するが、統計情報の分析により、ハンドオーバを抑制したい時間帯や無線基地局が特定できた場合等には、当該時間帯や無線基地局においてのみ、上記の品質低下に対する基準が低く設定された「判定条件」と「閾値」とを含む、ハンドオーバ抑制用の運用パラメータ(低水準用の運用パラメータ)を用いて、各無線基地局11,21〜24の運用を行う。
【0042】
以上の例では、運用パラメータの判断にセル滞在時間を使用したが、統計情報としてセル滞在時間の代わりに、ハンドオーバの手順を開始した端末数に対するハンドオーバが正常に完了しなかった端末数の割合(ハンドオーバ失敗率)を利用してもよい。
【0043】
また、以上の例では制御装置が運用パラメータの決定に使用する統計情報は1日のなかの特定時間帯として説明したが、1週間のうちの特定の曜日や特定の時間帯のように取り扱ってもよい。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、運用パラメータとして、品質低下を検出するための受信電力に関する「判定条件」と、当該判定条件を継続して満たした場合に品質低下と判定するための期間に関する「閾値」とを含むものとし、ハンドオーバを抑制したい端末及び/または時間帯及び/または無線基地局に対しては、ハンドオーバを抑制するために、品質低下を検出するための上記判定条件と上記閾値とが低い基準に設定されているハンドオーバ抑制用の運用パラメータに切り替えて、ハンドオーバが頻繁に行われることを抑制できるので、不必要なハンドオーバ処理を低減させ、不要なハンドオーバ処理に伴う無線基地局および制御装置への負荷を低減することができる。
【0045】
実施の形態3.
本実施の形態の説明に新たに必要とする図は図10および図11で、その他の図は、実施の形態1及び/または実施の形態2に等しいので、それらの図を参照することとする。
【0046】
上記の実施の形態2で説明した、低水準用の運用パラメータに変更した場合には、端末が無線基地局21を通過する期間において、ハンドオーバは抑制できるものの、干渉波が存在する状態で通信を継続するようになってしまうことから、十分な通信品質が得られない。つまり、無線基地局21を通過する期間が短い場合はよいが、通過時間が中程度の場合は、実施の形態1に記載した間欠送信用の運用パラメータを利用する方がよい。また、当然だが、通過時間が長い場合は、通常時の運用パラメータを用いて、無線基地局21へハンドオーバした方が十分な通信品質が得られる。このように、どの運用パラメータを用いると最も有効であるかは、ケースバイケースである。従って、本実施の形態においては、運用パラメータとして、少なくとも、通常時の運用パラメータと、実施の形態1で説明した間欠送信用の運用パラメータと、実施の形態2で説明した低水準用の運用パラメータとの、3つを用意しておき、時間帯/端末ごとに、最も有効な運用パラメータを選択して用いる例について説明する。なお、本実施の形態においては、運用パラメータを3つ備える例について説明するが、その場合に限らず、それ以上の運用パラメータを適宜予め用意しておき、時間帯や端末ごと、あるいは、他の要因ごとに、最も適切な運用パラメータに変更して無線基地局の運用を行うようにしてもよいことは言うまでもない。
【0047】
本実施の形態においても、制御装置1は、統計情報収集部1bで、各無線基地局から収集した情報を統計情報として統計情報記憶部1fに保持するとともに、当該統計情報に基づいてハンドオーバの特性を分析し、各端末の滞在時間が短い無線基地局と、各無線基地局における滞在時間が短い時間帯と、ハンドオーバに関連する周辺の無線基地局とを特定する。例えば、図10のように、無線基地局21のハンドオーバの特性は、午前7時から9時の間で滞在時間が短い端末が集中し、午後17時から19時の間で滞在時間が中程度の端末が集中しており、これらは無線基地局11からのハンドオーバであったとする。制御装置1は、運用パラメータ生成部1cで、これらの情報をもとに、午前7時から9時には実施の形態2に記載の運用パラメータの変更を実施し、午後17時から19時には実施の形態1に記載の間欠送信を実施するように、運用パラメータの配信を制御する。
【0048】
あるいは、実施の形態1の制御と実施の形態2の制御は併用することもできる。例えば、図11のように、無線基地局21は、午前7時から9時の間で滞在時間が短い端末が集中し、午後17時から19時の間で滞在時間が中程度の端末が集中しており、これらは無線基地局11からのハンドオーバであったとする。制御装置1は、運用パラメータ生成部1cで、これらの情報をもとに、午前7時から9時のうち滞在時間が短い端末群に対しては実施の形態2に記載の運用パラメータの変更を実施し、午前7時から9時と午後17時から19時の滞在時間が中程度の端末群には、実施の形態1に記載の間欠送信を実施する。
【0049】
無線基地局21に接続する端末が多い場合、間欠送信によって送信を停止する期間が増加するほど、無線基地局21に接続する端末に対して通信契機を与える機会が短くなるが、運用パラメータの変更と、間欠送信を併用することで、この影響を抑えることができる。
【0050】
以上により、本実施の形態によれば、上記の実施の形態1および実施の形態2と同様の効果が得られるとともに、さらに、本実施の形態においては、実施の形態1の間欠送信用の運用パラメータと、実施の形態2の低水準用の運用パラメータとを、適宜、組み合わせて用いるようにしたので、時間帯や端末の移動特性に応じて有効な運用パラメータを用いるように制御することができ、ハンドオーバをより適正化することができる。
【0051】
なお、上述した実施の形態1〜3においては、運用パラメータを生成する装置を制御装置として記載したが、制御装置を1つの装置として独立して構成する必要はなく、いずれかの無線基地局11,21〜24が同様の機能を実現してもよい(あるいは、いずれかの無線基地局11,21〜24が、制御装置1を構成(内蔵)していてもよい。)。また、当該制御装置1が故障する場合などに備えて、2以上の無線基地局に、制御装置1もしくは制御装置1と同様の機能を備えるようにして、そのうちの1つを通常時に用いて、故障等の緊急時に、他を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 制御装置、1a 送受信部、1b 統計情報収集部、1c 運用パラメータ生成部、1d 運用パラメータ配信部、1e 運用パラメータ情報記憶部、1f 統計情報記憶部、11,21,22,23,24 無線基地局、11a,21a,22a,23a,24a 送受信部、11b,21b,22b,23b,24b 運用管理部、11c,21c,22c,23c,24c パラメータ判断部、11d,21d,22d,23d,24d 呼制御部、11e,21e,22e,23e,24e 統計情報収集部、11f,21f,22f,23f,24f 統計情報記憶部、11g,21g,22g,23g,24g 運用パラメータ情報記憶部、31,32,33 端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局を運用するための運用パラメータを生成する通信制御装置であって、
前記無線基地局は、1以上の狭域無線基地局と、前記1以上の狭域無線基地局が提供する各カバーエリアを自身のカバーエリア内に含む広域のカバーエリアを提供する広域無線基地局とを含み、
前記無線基地局は、移動無線端末と通信を行うもので、
前記移動無線端末は、前記無線基地局との通信中に受信電力が低下した場合、現在の受信電力よりも高い受信電力を提供している他の無線基地局へ接続先を切り替えるハンドオーバを実行するものであって、
前記通信制御装置は、前記無線基地局から収集したハンドオーバ履歴情報に基づいて、ハンドオーバの特性を分析し、ハンドオーバの実行を抑制するためのハンドオーバ抑制用の運用パラメータを生成して、前記特性に応じた制御を行う
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
前記通信制御装置は、前記ハンドオーバ抑制用の運用パラメータとは別に、通常時用の運用パラメータを予め備えており、
前記通信制御装置は、前記無線基地局から収集したハンドオーバ履歴情報を時間帯ごとに分析し、時間帯ごとの前記ハンドオーバの特性に基づいて、運用パラメータを時間帯ごとに切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記ハンドオーバ履歴情報は、前記無線基地局から収集した各カバーエリア内の前記移動無線端末の滞在時間であり、
前記通信制御装置は、前記ハンドオーバ履歴情報を用いて、前記移動無線端末の1つのカバーエリア内の滞在時間が予め設定した第1の閾値未満となるハンドオーバが集中する時間帯または無線基地局を指定し、当該時間帯または無線基地局に対して前記ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを適用する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記ハンドオーバ履歴情報は、前記無線基地局から収集した前記移動無線端末のハンドオーバ失敗率であり、
前記通信制御装置は、前記ハンドオーバ履歴情報を用いて、ハンドオーバ失敗率が高い時間帯または無線基地局を指定し、当該時間帯または無線基地局に対して前記ハンドオーバ抑制用の運用パラメータを適用する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記運用パラメータは、前記無線基地局の送信電力をサブフレーム単位で切り替えるものである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記運用パラメータは、前記無線基地局を介して前記移動無線端末に通知されるものであって、通信の品質低下を検出するための受信電力に対する判定条件と、当該判定条件が継続して満たされた場合に品質低下と判定するための期間に関する第2の閾値とを含み、前記判定条件が前記第2の閾値以上の期間継続して満たされた場合に、前記ハンドオーバの実行を許可するものである
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記通信制御装置は、前記無線基地局のうちの少なくとも1つに設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の通信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−175646(P2012−175646A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38574(P2011−38574)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、「自律的エリア設計運用技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】