説明

通信機器のプリント回路基板の接地構造

【課題】電磁波を遮蔽して通信機器中に配置されたプリント回路基板が電磁波による悪影響を受けない通信機器のプリント回路基板の接地構造を提供する。
【解決手段】プリント回路基板の接地構造2は、プリント回路基板4に応用し、接地されたケーシング6に接触し、電磁波を遮蔽する接地回路を形成する。プリント回路基板4の周縁部に設けられた銅導電層8と、銅導電層8上にそれぞれ設けられ、ケーシング6と電気的に接触された複数の半田接点10とを備える。半田接点10は、銅導電層8上に千鳥状に配置される。半田接点10の形状は半球体である。半田接点10を露出させるように銅導電層8上に塗布されたOSP層をさらに備える。半田接点、OSP層、ケーシングの間に設けられ、半田接点、銅導電層及びケーシングとそれぞれ電気的に接続された軟質導電層をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信機器のプリント回路基板の接地構造に関し、特に、電磁波を遮蔽して通信機器中に配置されたプリント回路基板が電磁波による悪影響を受けないようにする通信機器のプリント回路基板の接地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のプリント回路基板上の回路は、回路レイアウト(circuit layout)方式によりレイアウトされる。高速通信技術の発展に伴い、データが高速で送受信される際に電磁波が発生し、プリント回路基板上の電子部品間に電磁干渉を発生させることがある。上述の電磁干渉を防ぐために、回路レイアウトを特別に設計して電磁波の影響を減らすことにより、プリント回路基板上の電子部品間に電磁干渉が発生することを防ぐ。ここで、電磁干渉とは、プリント回路基板の内部に発生する電磁干渉のことである。しかし、従来技術は、内部の電磁干渉を防ぐことができても、データを高速で送受信する際、プリント回路基板上の電子部品に電磁波が依然として発生するため、電磁波は、プリント回路基板内部の電子部品に影響を与えない場合でも、印刷回路基板の外部に放射され、他の通信機器が電磁干渉の影響により正常に動作しなくなる虞がある。
【0003】
上述の従来技術の問題点を解決するために、プリント回路基板上に電磁波を主に発生させる電子部品の周囲に電磁波遮蔽壁(electromagnetic wave shielding wall)を設置し、電子部品から発生する電磁波を遮蔽し、外部の通信機器に与える電磁干渉を減らす技術が開示されている。例えば、特許文献1では、回路基板上に金属遮蔽装置を設置することにより、電磁波を遮蔽する技術が開示されている。
【0004】
しかし、上述の従来技術では、電磁波遮蔽壁として用いる金属遮蔽装置を追加する必要があるため、通信機器全体のコストが増える上、金属遮蔽装置内にある電子部品を点検する際、金属製の遮蔽装置を先に取り外さなければ点検を容易に行うことができず、多大な労力を必要とする。
【0005】
そのため、従来技術の問題点を有さない通信機器のプリント回路基板の接地構造が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許出願公開第200841812号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電磁波を遮蔽して通信機器中に配置されたプリント回路基板が電磁波による悪影響を受けない通信機器のプリント回路基板の接地構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、プリント回路基板に応用し、接地されたケーシングに接触し、電磁波を遮蔽する接地回路を形成するプリント回路基板の接地構造であって、前記プリント回路基板の周縁部に設けられた銅導電層と、前記銅導電層上にそれぞれ設けられ、前記ケーシングと電気的に接触された複数の半田接点と、を備えることを特徴とするプリント回路基板の接地構造が提供される。
【0009】
また、前記半田接点は、前記銅導電層上に千鳥状に配置されることが好ましい。
【0010】
また、前記半田接点の形状は半球体であることが好ましい。
【0011】
また、前記半田接点を露出させるように前記銅導電層上に塗布されたOSP層をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、前記半田接点、前記OSP層、前記ケーシングの間に設けられ、前記半田接点、前記銅導電層及び前記ケーシングとそれぞれ電気的に接続された軟質導電層をさらに備えることが好ましい。
【0013】
また、前記半田接点、前記銅導電層、前記ケーシングの間に設けられ、前記半田接点、前記銅導電層及び前記ケーシングとそれぞれ電気的に接続された軟質導電層をさらに備えることが好ましい。
【0014】
また、前記プリント回路基板は、前記ケーシング中に配置され、前記半田接点は、前記ケーシングの内面と電気的に接触されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の通信機器のプリント回路基板の接地構造は、電磁波を遮蔽して通信機器中に配置されたプリント回路基板が電磁波による悪影響を受けないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】本発明の第1実施形態による通信機器のプリント回路基板の接地構造を示す斜視図である。
【図1b】図1aの線A−A’に沿った断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態による通信機器のプリント回路基板の接地構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態によるプリント回路基板の接地構造を通信機器に応用したときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(第1実施形態)
図1aを参照する。図1aに示すように、本発明の第1実施形態によるプリント回路基板の接地構造2は、プリント回路基板4に応用し、接地されたケーシング6に接触し、電磁波を遮蔽する接地回路が形成されている。このプリント回路基板の接地構造2は、銅導電層8及び複数の半田接点10を含む。この銅導電層8は、プリント回路基板4の周縁部に設けられている。プリント回路基板4の周縁部の隣接した箇所には、ケーシング6上にプリント回路基板4を螺設させることができるように、開口部42が設けられている。この開口部42は、銅導電層8と同様にプリント回路基板4の周縁部に設けられている。周設された銅導電層8は、プリント回路基板4の周縁部に発生した低抵抗の磁束経路(low−reductance magnetic flux path)により、プリント回路基板4の周縁部に発生する電磁波に分流経路が形成され、電磁波又は静電気を銅導電層8上に導くことができる。
【0019】
複数の半田接点10は、銅導電層8上にそれぞれ配置されて導電性を有するため、銅導電層8に半田付けされると、銅導電層8と電気的に接続された状態となる。また、これらの半田接点10は、銅導電層8上に千鳥状に配置されてもよい。また、これらの半田接点10は、様々な形状(例えば、半球体の形状)で銅導電層8上に突設させてもよい。また、当業者なら分かるように、第1実施形態では、銅導電層8上に密に分布された半田接点10により、銅導電層8上に半田接触層(solder contact layer)が形成される。ここで、半田接点10は、銅導電層8と比べ、酸化作用による導電性の低下が少ないという特性を有する。言い換えると、銅導電層8が酸化により導電特性を失った場合でも、銅導電層8と電気的に接続されている半田接点10は導電性を維持することができる。
【0020】
また、ケーシング6と半田接点10とを結合させることにより、銅導電層8は、これらの半田接点10がケーシング6に接触されて接地するため、電磁波を遮蔽する接地回路を形成することができる。
【0021】
また、プリント回路基板の接地構造2は、ケーシング6、銅導電層8、複数の半田接点10の間に形成された軟質導電層12をさらに含む。軟質導電層12は、半田接点10及び銅導電層8をケーシング6に密着させることができる。言い換えると、複数の半田接点10及び銅導電層8は、軟質導電層12により電気的に接触される面積が増大されるため、導電性を高めることができる。図1bを参照する。図1bは、ケーシング6、銅導電層8、複数の半田接点10、軟質導電層12のそれぞれの結合関係を表す。
【0022】
他の実施形態では、導電特性を有する締結ユニット(例えば、ネジ)により、開口部42を介してケーシング6上にプリント回路基板4を螺合させると、接地されたケーシング6に、開口部42に隣接した銅導電層8が接触され、プリント回路基板4をケーシング6に固定させることができる他、銅導電層8により、締結部材を介してケーシング6と電気的に接触させることができる。
【0023】
(第2実施形態)
図2を参照する。図2に示すように、本発明の第2実施形態によるプリント回路基板の接地構造2’は、第1実施形態と同様にプリント回路基板4を用いる。本発明の第2実施形態は、プリント回路基板4を、接地されたケーシング6に接触させて電磁波を遮蔽する接地回路を形成し、銅導電層8及び複数の半田接点10を有する点が第1実施形態と同じであるが、プリント回路基板の接地構造2’がOSP層(Organic Solderability Preservative Layer)14を含む点が第1実施形態と異なる。このOSP層14は、銅導電層8上の複数の半田接点10が設けられていない箇所に塗布され、複数の半田接点10が銅導電層8から露出されている。
【0024】
また、プリント回路基板の接地構造2’は、複数の半田接点10とOSP層14との間に設けられた軟質導電層12をさらに含む。この軟質導電層12は、複数の半田接点10及びOSP層14をケーシング6に密着させることにより、電気的に接触される面積を増大させてその導電性を高めることができる。
【0025】
(第3実施形態)
図3を参照する。図3に示すように、本発明の第3実施形態による通信機器のプリント回路基板の接地構造2,2’を有するプリント回路基板4は、接地された通信機器のケーシング6’に接触される。この通信機器のケーシング6’には、他のユニット(例えば、電源供給ユニット16、光送受信ユニット18など)が設置されてもよい。ここで、通信機器のケーシング6’の内面上には、複数のリブ20が設けられている。これらリブ20上には、軟質導電層12が貼設され、銅導電層8、複数の半田接点10及び/又はOSP層14が設けられたプリント回路基板4に対し、複数のリブ20の内面が対向するように設けられている。これにより、銅導電層8、半田接点10及び/又はOSP層14が軟質導電層12に接触し、銅導電層8が複数の半田接点10及び軟質導電層12を介し、通信機器のケーシング6’と電気的に接続され、電磁波を遮蔽する接地回路が形成されるため、プリント回路基板4の内部又は外部で発生する電磁干渉を遮蔽することができる。言い換えると、プリント回路基板4は、通信機器のケーシング6’中に設置され、複数の半田接点が通信機器のケーシング6’の内面と電気的に接続されているため、電磁波を遮蔽することができる。
【0026】
上述したことから分かるように、本発明の通信機器のプリント回路基板の接地構造は、接地されたケーシング(例えば、通信機器のケーシング)に接触し、プリント回路基板上に銅導電層を周設し、銅導電層上に複数の半田接点を設けることにより、半田接点と、半田接点が接触したケーシングとにより形成された接地回路により銅導電層が電磁波を遮蔽し、プリント回路基板が電磁波により悪影響を受けることを防ぐことができる。言い換えると、本発明の接地構造は、プリント回路基板内に発生した電磁干渉を防ぐことができる以外に、プリント回路基板から放射された電磁波が他の通信機器に悪影響を与えることを防ぐこともできる。また、本発明は、従来技術の欠点を解決することができる以外に、銅導電層が酸化作用により電磁波の遮蔽機能が低下することを防ぐこともできる。
【0027】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0028】
2 プリント回路基板の接地構造
2’ プリント回路基板の接地構造
4 プリント回路基板
6 ケーシング
6’ 通信機器のケーシング
8 銅導電層
10 半田接点
12 軟質導電層
14 OSP層
16 電源供給ユニット
18 光送受信ユニット
20 リブ
42 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板に応用し、接地されたケーシングに接触し、電磁波を遮蔽する接地回路を形成するプリント回路基板の接地構造であって、
前記プリント回路基板の周縁部に設けられた銅導電層と、
前記銅導電層上にそれぞれ設けられ、前記ケーシングと電気的に接触された複数の半田接点と、を備えることを特徴とするプリント回路基板の接地構造。
【請求項2】
前記半田接点は、前記銅導電層上に千鳥状に配置されることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の接地構造。
【請求項3】
前記半田接点の形状は半球体であることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の接地構造。
【請求項4】
前記半田接点を露出させるように前記銅導電層上に塗布されたOSP層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の接地構造。
【請求項5】
前記半田接点、前記OSP層、前記ケーシングの間に設けられ、前記半田接点、前記銅導電層及び前記ケーシングとそれぞれ電気的に接続された軟質導電層をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のプリント回路基板の接地構造。
【請求項6】
前記半田接点、前記銅導電層、前記ケーシングの間に設けられ、前記半田接点、前記銅導電層及び前記ケーシングとそれぞれ電気的に接続された軟質導電層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の接地構造。
【請求項7】
前記プリント回路基板は、前記ケーシング中に配置され、
前記半田接点は、前記ケーシングの内面と電気的に接触されることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の接地構造。



【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−129495(P2012−129495A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175950(P2011−175950)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(507028952)亞旭電腦股▲ふん▼有限公司 (44)
【Fターム(参考)】