説明

通信用アンテナ

【課題】 従来の通信用アンテナにおいては、所望のインピーダンス条件に合わせ込むのが困難になってしまうという問題が起きていた。
【解決手段】 通信用アンテナ1は、周波数帯域f1(第1の周波数帯域)に対応するアンテナエレメント11(第1のアンテナエレメント)と、周波数帯域f2(第2の周波数帯域)に対応し、アンテナエレメント11と給電点を共有するアンテナエレメント12(第2のアンテナエレメント)と、周波数帯域f2が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント11への電力の供給を遮断する第1のスイッチ回路31(第1の遮断手段)と、周波数帯域f1が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント12への電力の供給を遮断する第2のスイッチ回路32(第2の遮断手段)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯無線機加入者数の増加に伴い、2つの周波数帯域で使用できる携帯無線機(デュアルバンド機)が求められている。例えば、800MHz帯とその2倍程度の1.5GHz帯とで使用することが可能な携帯無線機や、800MHz帯と1.9GHz帯とで使用することが可能な携帯無線機である。
【0003】
このような携帯無線機に対応するように、各々の帯域にて特性が取れるアンテナが必要となってくる。そこで考えられるのが、図11に示すように、周波数帯域f1用のアンテナエレメント101と周波数帯域f2用のアンテナエレメント102とを1つのアンテナ内に実装した方式である。同図のアンテナは、アンテナエレメント101,102に加えて、無線回路104、制御回路105、および整合回路108を備えている。
【0004】
両エレメント101,102は、エレメント接続点107において互いに接続されるとともに、整合回路108を介して無線回路104に接続されている。また、無線回路104には、制御信号ライン106によって制御回路105が接続されている。
【0005】
なお、本願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【特許文献1】特開2004−194340号公報
【特許文献2】特許第3333424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図11に示すアンテナにおいては、1つの給電点から2つのエレメントに給電し、各々の帯域でインピーダンス整合がとれるようにしなければならない。しかしながら、両方のエレメントに給電しているため、一方のエレメントがもう一方のエレメントに影響を与えてしまい、インピーダンス整合をとることが困難となることが考えられる。
【0007】
すなわち、アンテナエレメント101は、周波数帯域f1にて共振するような長さに調整されているが、周波数帯域f2では容量性に見えてしまう。また、アンテナエレメント102は、周波数帯域f2にて共振するような長さに調整されているが、周波数帯域f1では容量性に見えてしまう。
【0008】
したがって、図11に示すアンテナの等価回路は、周波数帯域f1およびf2でそれぞれ図12および図13に示すようになると考えられる。その結果、それぞれのエレメント101,102が互いに影響を与えてしまう、すなわち並列にコンデンサが追加されたインピーダンスになってしまう。それゆえ、所望のインピーダンス条件に合わせ込むのが困難になってしまうという問題が起きていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による通信用アンテナは、第1の周波数帯域に対応する第1のアンテナエレメントと、第2の周波数帯域に対応し、上記第1のアンテナエレメントと給電点を共有する第2のアンテナエレメントと、上記第2の周波数帯域が使用されるとき、上記給電点から上記第1のアンテナエレメントへの電力の供給を遮断する第1の遮断手段と、上記第1の周波数帯域が使用されるとき、上記給電点から上記第2のアンテナエレメントへの電力の供給を遮断する第2の遮断手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この通信用アンテナにおいては、第1および第2の遮断手段が設けられている。これにより、第1および第2の周波数帯域が使用されるとき、それぞれ第2および第1のアンテナエレメントへの電力の供給が遮断される。したがって、第1の周波数帯域が使用されるときは、第2のアンテナエレメントが第1のアンテナエレメントに与える影響を抑制し、第2の周波数帯域が使用されるときは、第1のアンテナエレメントが第2のアンテナエレメントに与える影響を抑制することができる。このため、所望のインピーダンス条件に容易に合わせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インピーダンス調整が容易な通信用アンテナが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明による通信用アンテナの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0013】
図1は、本発明による通信用アンテナの第1実施形態を示す構成図である。通信用アンテナ1は、周波数帯域f1(第1の周波数帯域)に対応するアンテナエレメント11(第1のアンテナエレメント)と、周波数帯域f2(第2の周波数帯域)に対応し、アンテナエレメント11と給電点を共有するアンテナエレメント12(第2のアンテナエレメント)と、周波数帯域f2が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント11への電力の供給を遮断する第1のスイッチ回路31(第1の遮断手段)と、周波数帯域f1が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント12への電力の供給を遮断する第2のスイッチ回路32(第2の遮断手段)と、を備えている。通信用アンテナ1は、例えば携帯無線機用アンテナである。
【0014】
さらに、通信用アンテナ1は、無線回路40、制御回路50および整合回路80を備えている。周波数帯域f1用のアンテナエレメント11と周波数帯域f2用のアンテナエレメント12とは、エレメント接続点70において互いに接続されており、整合回路80を介して無線回路40に接続されている。アンテナエレメント11は、エレメント接続点70の近傍に設けられたスイッチ回路31を有している。スイッチ回路31は、制御信号ライン61によって制御回路50に接続されている。アンテナエレメント12も、アンテナエレメント11と同様に、エレメント接続点70の近傍に設けられたスイッチ回路32を有している。スイッチ回路32は、制御信号ライン62によって制御回路50に接続されている。また、無線回路40と制御回路50とは、制御信号ライン63によって互いに接続されている。
【0015】
なお、上述の説明から明らかなように、これらのアンテナエレメント11とアンテナエレメント12とは、1つのアンテナすなわち通信用アンテナ1内に設けられている。また、周波数帯域f1は、例えば800MHz帯である。周波数帯域f2は、例えば1.5GHz帯または1.9GHz帯である。
【0016】
周波数帯域f1が使用されるとき、制御回路50は、スイッチ回路31,32がそれぞれオンおよびオフとなるように制御する。一方、周波数帯域f2が使用されるとき、制御回路50は、スイッチ回路31,32がそれぞれオフおよびオンとなるように制御する。
【0017】
エレメント接続点70から測定したアンテナエレメント11のみ(アンテナエレメント12を切り離した状態)の入力インピーダンスは、スイッチ回路31がオフのときに周波数帯域f2でオープンとなり、スイッチ回路31がオンのときに周波数帯域f1で共振するようになっている。また、エレメント接続点70から測定したアンテナエレメント12のみ(アンテナエレメント11を切り離した状態)の入力インピーダンスは、スイッチ回路32がオフの時に周波数帯域f1でオープンとなり、スイッチ回路32がオンのときに周波数帯域f2で共振するようになっている。
【0018】
かかる構成の通信用アンテナ1において、通信用アンテナ1の通信相手から周波数帯域f1を使用する旨の指示信号を、無線回路40で受信した場合、その信号は制御信号ライン63を通して制御回路50に送られる。制御回路50は、この指示に従って、スイッチ回路31をオンに、スイッチ32をオフに切り替える。これにより、アンテナエレメント11のみが励振され、アンテナとして動作する。
【0019】
そのときの入力インピーダンスを図2に示す。また、アンテナエレメント11単体(アンテナエレメント12がないとき)の入力インピーダンスを図3に示す。図2と図3とを比較すると、周波数帯域f1でのインピーダンス値はほぼ同じ結果となっていることがわかる。
【0020】
また、通信用アンテナ1の通信相手から周波数帯域f2を使用する旨の指示信号を、無線回路40で受信した場合、その信号は制御信号ライン63を通して制御回路50に送られる。制御回路50は、この指示に従って、スイッチ回路31をオフに、スイッチ32をオンに切り替える。これにより、アンテナエレメント12のみが励振され、アンテナとして動作する。
【0021】
そのときの入力インピーダンスを図4に示す。また、アンテナエレメント12(アンテナエレメント11がないとき)の入力インピーダンスを図5に示す。図4と図5とを比較すると、周波数帯域f2でのインピーダンス値はほぼ同じ結果となっていることがわかる。
【0022】
次に、通信用アンテナ1の効果を説明する。通信用アンテナ1においては、アンテナエレメント11およびアンテナエレメント12それぞれに遮断手段としてスイッチ回路31およびスイッチ回路32が設けられている。これにより、周波数帯域f1が使用されるとき、アンテナエレメント12への電力の供給が遮断され、周波数帯域f2が使用されるとき、アンテナエレメント11への電力の供給が遮断される。したがって、周波数帯域f1が使用されるときは、アンテナエレメント12がアンテナエレメント11に与える影響を抑制し、周波数帯域f2が使用されるときは、アンテナエレメント11がアンテナエレメント12に与える影響を抑制することができる。このように、各アンテナエレメント11,12が互いに独立しているため、所望のインピーダンス条件に容易に合わせることができる。
【0023】
よって、それぞれのアンテナエレメント11,12を独立して調整することにより、容易にインピーダンス調整をすることが可能である。これにより、各々の周波数帯域f1,f2において良好な特性を得ることが可能なデュアルバンド対応の通信用アンテナ1が実現されている。
【0024】
さらに、遮断手段としてスイッチ回路31,32が用いられているため、簡略な構成で遮断手段が実現されている。
【0025】
また、アンテナエレメント11,12は、1つのアンテナ内に設けられている。したがって、アンテナエレメント11,12が給電点を共有する構成となっており、複数のアンテナエレメント相互間の影響が抑制された本発明による通信用アンテナが特に有用となる。
(第2実施形態)
【0026】
図6は、本発明による通信用アンテナの第2実施形態を示す構成図である。通信用アンテナ2は、周波数帯域f1に対応するアンテナエレメント11と、周波数帯域f2に対応し、アンテナエレメント11と給電点を共有するアンテナエレメント12と、周波数帯域f2が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント11への電力の供給を遮断する第1の共振回路91(第1の遮断手段)と、周波数帯域f1が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント12への電力の供給を遮断する第2の共振回路92(第2の遮断手段)と、を備えている。
【0027】
さらに、通信用アンテナ2は、無線回路40、制御回路50および整合回路80を備えている。アンテナエレメント11とアンテナエレメント12とは、エレメント接続点70において互いに接続されており、整合回路80を介して無線回路40に接続されている。アンテナエレメント11は、エレメント接続点70の近傍に設けられた共振回路91を有している。共振回路91は、並列共振回路であり、図7に示すように、周波数帯域f1で誘導性になっており、周波数帯域f2でオープンになるように調整されている。アンテナエレメント12も、アンテナエレメント11と同様に、エレメント接続点70の近傍に設けられた共振回路92を有している。共振回路92は、並列共振回路であり、図8に示すように、周波数帯域f2で容量性になっており、周波数帯域f1でオープンになるように調整されている。
【0028】
次に、通信用アンテナ2の効果を説明する。通信用アンテナ2においては、アンテナエレメント11およびアンテナエレメント12それぞれに遮断手段として共振回路91および共振回路92が設けられている。これにより、周波数帯域f1が使用されるとき、アンテナエレメント12への電力の供給が遮断され、周波数帯域f2が使用されるとき、アンテナエレメント11への電力の供給が遮断される。したがって、周波数帯域f1が使用されるときは、アンテナエレメント12がアンテナエレメント11に与える影響を抑制し、周波数帯域f2が使用されるときは、アンテナエレメント11がアンテナエレメント12に与える影響を抑制することができる。このように、各アンテナエレメント11,12が互いに独立しているため、所望のインピーダンス条件に容易に合わせることができる。
【0029】
さらに、遮断手段として共振回路91,92が用いられている。このため、上述のようにそれぞれ周波数帯域f2および周波数帯域f1でオープンとなるように共振回路91および共振回路92を予め調整しておくことにより、動作時の制御が不要な遮断手段が実現されている。
(第3実施形態)
【0030】
図9は、本発明による通信用アンテナの第3実施形態を示す構成図である。通信用アンテナ3は、周波数帯域f1(第1の周波数帯域)に対応するアンテナエレメント11(第1のアンテナエレメント)と、周波数帯域f2(第2の周波数帯域)に対応し、アンテナエレメント11と給電点を共有するアンテナエレメント12(第2のアンテナエレメント)と、周波数帯域f3(第3の周波数帯域)に対応し、アンテナエレメント11,12と給電点を共有するアンテナエレメント13(第3のアンテナエレメント)と、周波数帯域f2またはf3が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント11への電力の供給を遮断する第1のスイッチ回路31(第1の遮断手段)と、周波数帯域f3またはf1が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント12への電力の供給を遮断する第2のスイッチ回路32(第2の遮断手段)と、周波数帯域f1またはf2が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント13への電力の供給を遮断する第3のスイッチ回路33(第3の遮断手段)と、を備えている。
【0031】
さらに、通信用アンテナ3は、無線回路40、制御回路50および整合回路80を備えている。周波数帯域f1用のアンテナエレメント11と周波数帯域f2用のアンテナエレメント12と周波数帯域f3用のアンテナエレメント13とは、エレメント接続点70において互いに接続されており、整合回路80を介して無線回路40に接続されている。
【0032】
アンテナエレメント11は、エレメント接続点70の近傍に設けられたスイッチ回路31を有している。スイッチ回路31は、制御信号ライン61によって制御回路50に接続されている。アンテナエレメント12も、アンテナエレメント11と同様に、エレメント接続点70の近傍に設けられたスイッチ回路32を有している。スイッチ回路32は、制御信号ライン62によって制御回路50に接続されている。さらに、アンテナエレメント13も、アンテナエレメント11およびアンテナエレメント12と同様に、エレメント接続点70の近傍に設けられたスイッチ回路33を有している。スイッチ回路33は、制御信号ライン64によって制御回路50に接続されている。また、無線回路40と制御回路50とは、制御信号ライン63によって互いに接続されている。
【0033】
なお、上述の説明から明らかなように、これらのアンテナエレメント11とアンテナエレメント12とアンテナエレメント13とは、1つのアンテナすなわち通信用アンテナ3内に設けられている。また、周波数帯域f1,f2,f3は、例えば、それぞれ900MHz帯,1800MHz帯,1900MHz帯である。
【0034】
周波数帯域f1が使用されるとき、制御回路50は、スイッチ回路31がオン、スイッチ回路32,33がオフとなるように制御する。周波数帯域f2が使用されるとき、制御回路50は、スイッチ回路32がオン、スイッチ回路33,31がオフとなるように制御する。また、周波数帯域f3が使用されるとき、制御回路50は、スイッチ回路33がオン、スイッチ回路31,32がオフとなるように制御する。
【0035】
エレメント接続点70から測定したアンテナエレメント11のみ(アンテナエレメント12,13を切り離した状態)の入力インピーダンスは、スイッチ回路31がオフのときに周波数帯域f2およびf3でオープンとなり、スイッチ回路31がオンのときに周波数帯域f1で共振するようになっている。エレメント接続点70から測定したアンテナエレメント12のみ(アンテナエレメント13,11を切り離した状態)の入力インピーダンスは、スイッチ回路32がオフの時に周波数帯域f3またはf1でオープンとなり、スイッチ回路32がオンのときに周波数帯域f2で共振するようになっている。また、エレメント接続点70から測定したアンテナエレメント13のみ(アンテナエレメント11,12を切り離した状態)の入力インピーダンスは、スイッチ回路33がオフの時に周波数帯域f1またはf2でオープンとなり、スイッチ回路33がオンのときに周波数帯域f3で共振するようになっている。
【0036】
次に、通信用アンテナ3の効果を説明する。通信用アンテナ3においては、アンテナエレメント11、アンテナエレメント12およびアンテナエレメント13それぞれに遮断手段としてスイッチ回路31、スイッチ回路32およびスイッチ回路33が設けられている。これにより、周波数帯域f1が使用されるとき、アンテナエレメント12,13への電力の供給が遮断され、周波数帯域f2が使用されるとき、アンテナエレメント13,11への電力の供給が遮断され、周波数帯域f3が使用されるとき、アンテナエレメント11,12への電力の供給が遮断される。
【0037】
したがって、周波数帯域f1が使用されるときは、アンテナエレメント12,13がアンテナエレメント11に与える影響を抑制し、周波数帯域f2が使用されるときは、アンテナエレメント13,11がアンテナエレメント12に与える影響を抑制し、周波数帯域f3が使用されるときは、アンテナエレメント11,12がアンテナエレメント13に与える影響を抑制することができる。このように、各アンテナエレメント11,12,13が互いに独立しているため、所望のインピーダンス条件に容易に合わせることができる。これにより、各々の周波数帯域f1,f2,f3において良好な特性を得ることが可能なトライバンド対応の通信用アンテナ3が実現されている。
(第4実施形態)
【0038】
図10は、本発明による通信用アンテナの第4実施形態を示す構成図である。通信用アンテナ4は、周波数帯域f1に対応するアンテナエレメント11と、周波数帯域f2に対応し、アンテナエレメント11と給電点を共有するアンテナエレメント12と、周波数帯域f3に対応し、アンテナエレメント11,12と給電点を共有するアンテナエレメント13と、周波数帯域f2またはf3が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント11への電力の供給を遮断する第1の共振回路91(第1の遮断手段)と、周波数帯域f3またはf1が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント12への電力の供給を遮断する第2の共振回路92(第2の遮断手段)と、周波数帯域f1またはf2が使用されるとき、上記給電点からアンテナエレメント13への電力の供給を遮断する第3の共振回路93(第3の遮断手段)と、を備えている。
【0039】
さらに、通信用アンテナ4は、無線回路40、制御回路50および整合回路80を備えている。周波数帯域f1用のアンテナエレメント11と周波数帯域f2用のアンテナエレメント12と周波数帯域f3用のアンテナエレメント13とは、エレメント接続点70において互いに接続されており、整合回路80を介して無線回路40に接続されている。
【0040】
アンテナエレメント11は、エレメント接続点70の近傍に設けられた共振回路91を有している。共振回路91は、並列共振回路であり、周波数帯域f1で誘導性になっており、周波数帯域f2およびf3でオープンになるように調整されている。アンテナエレメント12も、アンテナエレメント11と同様に、エレメント接続点70の近傍に設けられた共振回路92を有している。共振回路92は、並列共振回路であり、周波数帯域f2で容量性になっており、周波数帯域f3およびf1でオープンになるように調整されている。アンテナエレメント13も、アンテナエレメント11およびアンテナエレメント12と同様に、エレメント接続点70の近傍に設けられた共振回路93を有している。共振回路93は、並列共振回路であり、周波数帯域f3で容量性になっており、周波数帯域f1およびf2でオープンになるように調整されている。ただし、周波数帯域f2とf3とが互いに近い場合には、並列回路92および並列回路93は、それぞれ周波数帯域f3およびf2でも容量性になることがある。
【0041】
次に、通信用アンテナ4の効果を説明する。通信用アンテナ4においては、アンテナエレメント11、アンテナエレメント12およびアンテナエレメント13それぞれに遮断手段として共振回路91、共振回路92および共振回路93が設けられている。これにより、周波数帯域f1が使用されるとき、アンテナエレメント12,13への電力の供給が遮断され、周波数帯域f2が使用されるとき、アンテナエレメント13,11への電力の供給が遮断され、周波数帯域f3が使用されるとき、アンテナエレメント11,12への電力の供給が遮断される。
【0042】
したがって、周波数帯域f1が使用されるときは、アンテナエレメント12,13がアンテナエレメント11に与える影響を抑制し、周波数帯域f2が使用されるときは、アンテナエレメント13,11がアンテナエレメント12に与える影響を抑制し、周波数帯域f3が使用されるときは、アンテナエレメント11,12がアンテナエレメント13に与える影響を抑制することができる。このように、各アンテナエレメント11,12,13が互いに独立しているため、所望のインピーダンス条件に容易に合わせることができる。これにより、各々の周波数帯域f1,f2,f3において良好な特性を得ることが可能なトライバンド対応の通信用アンテナ4が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による通信用アンテナの第1実施形態を示す構成図である。
【図2】図1の通信用アンテナにおいて第1のアンテナエレメントが選択されているときの入力インピーダンスを示すスミスチャートである。
【図3】図1の通信用アンテナにおける第1のアンテナエレメント単体の入力インピーダンスを示すスミスチャートである。
【図4】図1の通信用アンテナにおいて第2のアンテナエレメントが選択されているときの入力インピーダンスを示すスミスチャートである。
【図5】図1の通信用アンテナにおける第2のアンテナエレメント単体の入力インピーダンスを示すスミスチャートである。
【図6】本発明による通信用アンテナの第2実施形態を示す構成図である。
【図7】第1の共振回路のインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図8】第2の共振回路のインピーダンスを示すスミスチャートである。
【図9】本発明による通信用アンテナの第3実施形態を示す構成図である。
【図10】本発明による通信用アンテナの第4実施形態を示す構成図である。
【図11】従来の通信用アンテナを示す構成図である。
【図12】図11の通信用アンテナの等価回路を示す回路図である。
【図13】図11の通信用アンテナの等価回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3,4 通信用アンテナ
2 通信用アンテナ
3 通信用アンテナ
4 通信用アンテナ
11,12,13 アンテナエレメント
31,32,33 スイッチ回路
40 無線回路
50 制御回路
61,62,63,64 制御信号ライン
70 エレメント接続点
80 整合回路
91,92,93 共振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯域に対応する第1のアンテナエレメントと、
第2の周波数帯域に対応し、前記第1のアンテナエレメントと給電点を共有する第2のアンテナエレメントと、
前記第2の周波数帯域が使用されるとき、前記給電点から前記第1のアンテナエレメントへの電力の供給を遮断する第1の遮断手段と、
前記第1の周波数帯域が使用されるとき、前記給電点から前記第2のアンテナエレメントへの電力の供給を遮断する第2の遮断手段と、
を備えることを特徴とする通信用アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の通信用アンテナにおいて、
前記第1の遮断手段は、前記第1のアンテナエレメントと前記第2のアンテナエレメントとの接続点の近傍における前記第1のアンテナエレメント側に設けられた第1のスイッチ回路であり、
前記第2の遮断手段は、前記接続点の近傍における前記第2のアンテナエレメント側に設けられた第2のスイッチ回路であり、
前記第1の周波数帯域が使用されるとき、前記第1および第2のスイッチ回路がそれぞれオンおよびオフとなるように制御し、前記第2の周波数帯域が使用されるとき、前記第1および第2のスイッチ回路がそれぞれオフおよびオンとなるように制御する制御回路を備える、通信用アンテナ。
【請求項3】
請求項1に記載の通信用アンテナにおいて、
前記第1の遮断手段は、前記第1のアンテナエレメントと前記第2のアンテナエレメントとの接続点の近傍における前記第1のアンテナエレメント側に設けられ、前記第1の周波数帯域において誘導性を呈するとともに前記第2の周波数帯域において開放状態となる第1の共振回路であり、
前記第2の遮断手段は、前記接続点の近傍における前記第2のアンテナエレメント側に設けられ、前記第1の周波数帯域において開放状態となるとともに前記第2の周波数帯域において容量性を呈する第2の共振回路である、通信用アンテナ。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の通信用アンテナにおいて、
前記第1および第2のアンテナエレメントは、1つのアンテナ内に設けられている、通信用アンテナ。
【請求項5】
第1の周波数帯域に対応する第1のアンテナエレメントと、
第2の周波数帯域に対応し、前記第1のアンテナエレメントと給電点を共有する第2のアンテナエレメントと、
第3の周波数帯域に対応し、前記第1および第2のアンテナエレメントと給電点を共有する第3のアンテナエレメントと、
前記第2または第3の周波数帯域が使用されるとき、前記給電点から前記第1のアンテナエレメントへの電力の供給を遮断する第1の遮断手段と、
前記第3または第1の周波数帯域が使用されるとき、前記給電点から前記第2のアンテナエレメントへの電力の供給を遮断する第2の遮断手段と、
前記第1または第2の周波数帯域が使用されるとき、前記給電点から前記第3のアンテナエレメントへの電力の供給を遮断する第3の遮断手段と、
を備えることを特徴とする通信用アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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