説明

通信端末および通信方法

【課題】手書入力情報を送受信において3人以上で通信を行う場合に、発信者の識別が困難である。
【解決手段】手書き入力情報の送受信の際に、送信者の入力した座標ベクトル情報に加えて、送信者の端末の端末識別情報を併せて送信し、受信側の端末において端末識別情報と予め紐付けられた表示色で当該端末から送信された手書き入力情報を表示することにより、表示画面に表示される色を確認することにより、当該情報の送信者を容易に識別可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、複数のユーザが手書き入力装置によって通信を行うための通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの発達により携帯電話等の移動端末においても非常に簡単に電子メール等で文字情報の交換が可能になっている。最近ではテキストデータだけでなく手書きの文字や記号を送信する技術も知られており、さらに、端末同士の通信について、タッチパネル等にユーザが手書きで入力した文字や図形等について、タッチペンや指などの入力装置(以下「タッチペン」とする)の座標情報を逐次連続して送信することにより、入力内容についてリアルタイムで他の端末と共有する技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)また、近年では液晶技術などの進化により、携帯電話や携帯ゲーム機のディスプレイやデジタルカメラ等の操作パネルといった小型画面もカラー表示化が進んでいる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−111708
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は送信者1名と受信者1名による1対1の通信を前提としており、自分が入力する情報以外は全て通信相手が入力する情報となるため、インターネットのチャットのようにいちいち発言者の名前を記載しなくても、どの入力内容がどのユーザから発せられたものかを特定することが可能であった。
【0005】
これに対し、近年では近距離無線通信の発達により、複数のユーザが一度に通信を行うことが容易に行えるようになってきているため、このような手書き入力によるリアルタイム通信も、複数のユーザ間で行えるようにすることが望ましい。ところが、特許文献1の手法では3名以上のユーザによる通信の場合、どの入力内容がどのユーザから発せられたものかを特定することができないという問題があった。

【0006】

そこで本発明は、3名以上のユーザ間において手書き入力内容のリアルタイム通信を行う場合であっても、それぞれの入力内容がどのユーザによって入力されたものであるかを容易に把握することが可能となる通信端末および通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の通信端末は複数の端末と通信可能な通信端末であって、ユーザが情報の入力を行う入力手段と、他の一つもしくは複数の端末との通信を制御する通信制御手段と、通信中の各端末について、それぞれの端末IDごとに当該端末から送信された情報を表示部に表示する際の表示色を規定する表示色規定手段と、前記通信制御手段は、前記入力手段によってユーザが入力した情報に当該端末の端末IDを付加して他の端末に送信するとともに、他の端末から受信した情報から送信元の端末IDを検出し、前記表示色規定手段によって規定された端末IDごとの表示色をもとに、送信元の端末IDに対応する表示色を決定する表示色決定手段と、決定された表示色を用いて、受信した情報を表示画面上に表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成とすることによって、ユーザが通信端末に入力した情報について、当該ユーザに割り当てられた色で、通信中の各端末の表示画面上に表示することができるようになるため、表示された情報の色から当該情報がどのユーザによって入力された情報であるかを認識することができるようになるとともに、画面上にどの表示内容がどのプレイヤの入力によるものであるかを示すための情報を表示する必要がなくなるため、ユーザの利便性が向上するとともに表示スペースを極力広く保つことが可能となる。
【0009】
前記通信端末の入力手段は表示画面と一体に構成されており、ユーザは表示画面上にタッチペンもしくは指によって手書き情報を入力することが可能であるとし、前記手書き情報の入力の際は、前記タッチペンもしくは指と表示画面の接触座標を定期的に検出することにより、前記手書き情報を前記接触座標の軌跡情報として生成する軌跡情報生成手段をさらに設け、前記表示手段は、当該端末のユーザが入力した手書き情報に基づいて前記軌跡情報生成手段が生成した軌跡情報について、既に表示されている手書き情報と重ね合わせて表示することにより逐次表示内容を更新するとともに、前記通信制御手段が通信中の全ての端末と、各々の端末に新たに入力された前記軌跡情報を送受信し合うことにより、前記表示手段は、通信中の全ての他の端末から受信した前記軌跡情報について、リアルタイムで端末の前記表示画面上に表示することを可能とする構成としてもよい。
【0010】
このような構成とすることによって、一般に広く浸透しているテンキー入力によるチャットとは異なり、文字や記号だけでなく自由に絵柄や曲線を入力することが可能となり、より幅広い内容について情報の送受信が可能となる。
【0011】
また、前記表示手段は表示内容を、前記手書き情報を表示する第一のレイヤーと、その他の情報を表示するための第二のレイヤーに分けて管理することにより、任意の背景画面に重ねて手書き情報を表示可能とする構成としてもよい。
【0012】
上記のような構成とすることにより、第二のレイヤーに表示される内容に重ねて情報を入力又は表示することが可能となることから、例えばゲームの画面を第二のレイヤーに表示させ、第一のレイヤーを利用して、「どの道を通って進むか」のルート情報や、「ここにアイテムがある」といった情報を、より的確に通信相手に伝えることが可能になる他、第二のレイヤーに教科書の画像やプレゼンテーションの画像を表示させ、第一のレイヤーにアンダーラインや強調記号を施すことにより効果的に説明を行うことが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の通信方法は、複数の端末と通信可能な通信端末を用いて通信を行う方法であって、ユーザが情報の入力を行う入力ステップと、他の一つもしくは複数の端末との通信を制御する通信制御ステップと、他の端末との通信接続が開始される際に、各端末について、それぞれの端末IDごとに当該端末から送信された情報を表示部に表示する際の表示色を規定する表示色規定ステップと、他の端末から受信した情報から送信元の端末IDを検出し、表示色規定ステップにおいて規定された端末IDごとの表示色をもとに、送信元の端末IDに対応する表示色を決定する表示色決定ステップと、決定された表示色を用いて、受信した情報を表示画面上に表示する表示ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記の構成としたことで、3名以上のユーザによる手書き入力情報のリアルタイム通信の際に、どの入力内容がどのユーザの入力によるものかを容易に把握することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態を通信端末100の概観を示すものである。図1に示すように、通信端末100は入力内容の表示および情報の入力のためのタッチパネル101および、情報を入力する際に使用するタッチペン102、無線通信を行うための通信モジュール103からなる。なお、タッチペン102を使用せずに指などを使って入力することも可能である。また、通信モジュール103は端末に完全に内蔵され外部から確認できないような構成となっていてもよい。この時、タッチパネル101はカラー表示が可能であることを必須の条件とする。
【0017】
次に、図2は、本発明の一実施の形態を示す通信端末100の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、通信端末100はタッチペン102等による情報の入力を受け付ける入力部201と、入力部201に入力された情報を処理する入力処理部202と、端末100の所有者であるユーザから入力された手書き入力情報および、他のユーザから受信した手書き入力情報について処理を行う手書きデータ処理部203と、手書き入力処理部203によって処理された情報に基づいて表示内容を制御する表示制御部204と、表示制御部によって制御された情報を表示する表示部205を備える。
【0018】
さらに通信端末100は他の端末と通信を行うための通信処理部206および、情報の送受信を行う無線モジュール207を備える。
【0019】
次に図3を用いて、本発明で使用される通信端末の表示画面例について説明する。図3の301はメッセージ入力および表示を行うメッセージ領域である。ユーザはタッチペン102等を使用して直接この領域にタッチ入力の要領で手書きメッセージを入力する。また、このメッセージ領域301は他の端末ユーザから受信した手書き入力情報をリアルタイムで表示する。
【0020】
ユーザ色規定領域302は、どのユーザの入力内容がどの色で表示されるかを示す領域である。本例では、ユーザはユーザ11、ユーザ12、ユーザ13、ユーザ14の四名が通信を行う場合を想定している。ユーザは詳細を後述する通信処理においてそれぞれ1Pから4Pまでのユーザ番号が与えられる。例えば1Pが赤、2Pが青、3Pが黄、4Pが緑とする場合、302aには赤色、302bには青色、302cには黄色、302dには緑色がそれぞれ表示される。この時、上述のように各ユーザを1P、2Pと定めるのではなく、各ユーザのユーザネームやユーザの使用するプレイヤキャラクタの画像等を表示させて文字色との対応関係を表示させるようにしてもよい。
【0021】
ペン入力領域303および消しゴム入力領域304は、それぞれメッセージ領域301に手書きによる入力を行う際、および一旦入力した情報を消去する際に使用される。通信開始時にはデフォルトでペン入力領域303がONの状態となっており、ユーザは通信開始時には特にこの領域に対して操作を行わなくても手書き入力が可能となっている。一方、入力した情報を消去する際には、消しゴム入力領域302をタッチペン102等で選択することにより、ペン入力領域303をOFF状態とするとともに、消しゴム入力領域を304ONとする。尚、ペン入力領域303がONとなっている状態を「ペン入力モード」、消しゴム入力領域304がONとなっている状態を「消しゴム入力モード」とし、これら二つのモードは一方がONになっている間は必ず他方がOFFとなることとする。従っていずれのモードもONもしくはいずれのモードもOFFという状態にはならない。すなわち、一方のモードから他方のモードに切り替えを行う際には、切り替え先のモードを表す領域を選択した時点で、他方は一方的にOFFとなるような制御が入力処理部202にて行われる。尚、現在「ペン入力モード」に設定されているのか「消しゴム入力モード」に設定されているのかについては、ONとなっているモードの領域がカーソルで囲まれたり、着色されたりする等、ユーザに容易に確認できる状態とすることが好ましい。
【0022】
文字幅選択領域305は、ユーザが手書き入力する際の線幅を太くしたり細くしたりする際に使用するものであり、図3に示す通り「細い」と「太い」の2種類から選択するようにしてもよいし、複数の選択肢の中から選択できるようにしてもよい。また、図の左側の「細い」に複数回タッチすることによって、タッチを検出する度に一段階ずつ線幅を細くしていくようにしてもよい。この時、最も細い線幅が設定された際には、それ以上タッチをしても無効となることがユーザに分かるように、この領域の表示をグレーアウトする等の工夫を行うことが望ましい。尚、線幅を太くしたい場合は、同様に「太い」の領域に対して同様の操作を行うこととする。
【0023】
画面クリア領域306は、前述の消しゴム入力モードで入力内容を部分的に消去するのとは異なり、メッセージ領域301に表示されている入力内容を一度に全て消去する際に用いられる。この時、情報を入力中のユーザが存在する場合、他のユーザによって入力途中の情報が消去されてしまうと不都合が生じるため、このような事態を回避するために、現在入力中の情報だけを選別してそれ以外の全ての入力情報を消去したり、一人のユーザが画面クリアの処理操作を行うことにより、通信中の他のユーザ全てに「画面を消去して宜しいですか」というような質問メッセージ画面を表示させ、一人でも「NO」を選択したユーザが存在する場合は画面クリア処理を中止するようにしたりするように手書きデータ処理部203に処理させることとする。
【0024】
スタンプ表示領域307は、予め作成された図形や文字などをスタンプのようにメッセージ領域301の任意の箇所に表示させる際に使用する領域である。図3に示すように複数の画像の中から任意のものをタッチペンで選択した後、メッセージ領域301の任意の箇所をタッチペンで選択することにより、当該箇所に選択した画像を貼りつけることが可能となる。スタンプ表示領域307は図3に示す通り、領域の両端に「▽」型のマークを表示させることで、当該マークにタッチしてスタンプ表示領域307に表示される画像を切替えることを可能としてもよい。このようにすることで、限られたスタンプ表示領域307を効率的に利用することで、よりたくさんの種類のスタンプ画像を選択可能となる。もちろん、このスタンプ機能を用いる場合に画面に表示されるスタンプ画像の線色も勿論当該ユーザと対応づけられて表示される。
【0025】
最後に通信環境確認領域308は、通信中の電波状況を表示する領域である。電波状況が非常に悪い場合は点滅させたり、色を変えたりすることで、ユーザに注意を喚起させやすいようにしてもよい。
【0026】
次に図4を用いて通信端末(以下、端末という)同士が通信の接続を開始する処理フローについて説明する。尚、ここでは端末同士が近距離無線通信を行う場合について説明する。本発明で使用される端末において、ユーザが「通信モード」をONに設定していると、当該端末は接続相手が上限数に達していない限り常時他の端末に対して接続リクエストを送信し続けるとともに、他の端末からの接続リクエストについて受信可能な状態を保つこととする。そして、端末が他の端末からの接続リクエストを受信すると(S401)、受信した接続リクエストの内容を確認し、接続リクエストの送信元の端末IDおよびユーザ名を取得する(S402)。尚、接続可能な端末に上限を設ける場合は上述のステップS401の処理の後に現在接続中の端末が上限数に達しているか否かを判断するステップを更に設け、既に上限数に達していると判断した場合はその段階で接続開始処理を中止するようにしてもよい。
【0027】
接続リクエストの送信元の端末IDを元に、通信制御部206は図5に示す接続中端末管理テーブルを参照して、今回受信した接続リクエストが既に接続中の端末から送信されたものであるか否かについて確認し(S403)、既に接続中であると判断した場合には直ちに接続開始指示を中止する(S403のY)。なお、この接続中端末管理テーブルには少なくとも接続中の端末の端末ID、ユーザ名、当該ユーザが入力した手書き情報を表示する際の色情報が記憶されていることとし、この他にも例えば当該端末の接続開始時間等が記憶されるようにしてもよい。
【0028】
一方、ステップS403にて接続リクエストの送信元の端末は既に接続中の端末には含まれないと判断した場合には(S403のN)、当該端末の端末IDが接続NG端末リストに登録されていないか確認する(S404)。ここで、接続NG端末リストとは、ユーザが通信を望まない接続相手の端末IDが記憶されるものであり、詳細については後述する。
【0029】
上記ステップS404にて、接続リクエストの送信元の端末IDが接続NG端末リストに記憶されているものと一致した場合は(S404のY)、直ちに接続開始処理を中止する。一方、接続NG端末リストに記憶されていないと判断された場合は(S404のN)、接続中端末管理テーブルに記憶されている、現在接続中の全てのユーザ端末に対して受信した接続リクエストを転送する(S405)。尚、接続リクエストを受信した端末がどの端末とも通信を行っていない状態であった時はこの処理は省略されるが、本例では、以降は当該端末が既に複数の端末と通信中であった場合を想定し、既に通信接続中のユーザ11〜13がそれぞれ1P〜3Pに割り当てられている時に、新たにユーザ14が接続リクエストを行う際の処理について説明することとする。尚、ユーザ11〜14はそれぞれ端末100a〜100dを使用していることとし、ユーザ14が使用する端末100dからの接続リクエストをユーザ11が使用する端末100aが受信した場合について説明する。
【0030】
端末100aの通信制御部において、接続リクエストの送信元の端末100dの端末IDが、接続中端末管理テーブルにも接続NG端末リストにも登録されていないと判断され、接続リクエストを受信した端末100aから現在通信接続中の、他の全ての端末100b、100cに当該接続リクエストが転送されると、最初に接続リクエストを受信した端末100aを含む全ての端末において、表示部205に接続リクエスト受信メッセージが表示される(S406)。接続リクエスト受信メッセージには、接続リクエスト送信者のユーザ名が参照され、「○○さんから接続リクエストが届いています。接続を許可しますか?」といった形で反映されることにより、接続リクエスト受信者が接続許可を判断する際の判断材料とすることができる。
【0031】
ここで、接続リクエストを受け取ったユーザが「YES」もしくは「NO」の判断結果を各端末から入力することにより、入力結果は最初に接続リクエストを受け取ったユーザ端末100aに送信され、端末100aに全ての端末からの回答が集まった時点で、既に接続中の全てのユーザ11〜13が当該通信リクエストに対して接続を許可したか否かが端末100aにおいて集計され、接続可否が判断される。(S407)この時、ユーザ11〜13のうち、一人でも接続可否について「NO」で返答した端末があれば(S407のN)、接続リクエストの送信元の端末の端末IDが接続NG端末リストに加えられ(S408)、接続開始処理は中止される。一方、全ての端末が「YES」で回答した場合(S407のY)は、接続中端末管理テーブルに記憶されている全ての端末および接続リクエストの送信元の端末に対して接続開始のメッセージが表示されるとともに、各端末の通信処理部206によって接続処理が開始される(S409)。
【0032】
尚、本例では既に通信接続中の端末のユーザ全員が接続リクエストに対して「YES」で返答しない限り接続開始を許可しないようにしているが、多数決もしくは、一人でも「YES」で返答する場合は許可する等としてもよい。また、接続NG端末リストに加えるか否かの判断についても、「接続リクエストに対して接続中の端末のユーザ全てが『NO』で返答した場合にのみ接続NG端末リストに加える」等としたり、一旦接続NGリストに登録された端末であっても、数時間ごとに接続NG端末リストをクリアするように設定したりすることによって、一度接続リクエストを断られた端末であっても、もう一度接続リクエストを行うことが可能となるように工夫をしておいてもよい。
【0033】
接続処理が開始されるとともに、端末100a〜100cの通信制御部206に記憶されている接続中端末管理テーブルの4Pの欄に新たに端末100dの端末情報が追加されて上書き保存され(S410)るとともに、端末100a〜100cの表示部205には「○○さん(ユーザ14のユーザ名)が接続メンバーに加わりました」という趣旨の通知メッセージが表示される(S411)。
【0034】
本例では図3のユーザ色規定領域302に示す通り、各ユーザと入力内容の表示色は1Pから4Pまでのユーザ番号とそれぞれのユーザに対応する色の表示によって行われているが、「1P」等のユーザ番号の代わりにユーザ名を表示させる場合は、接続中端末管理テーブルを参照して当該ユーザ名を表示させる。従ってこのような場合、新たに4Pとしてユーザ14が接続メンバーに加わった際には、ユーザ色規定領域302dの左側にユーザ14のユーザ名が新たに表示されることになる。同様に、ユーザ名ではなく当該ユーザが操作するプレイヤキャラクタの画像を表示させたい場合は、接続中端末管理テーブルに表示したいプレイヤキャラクタの画像データを併せて記録するようにしておき、当該画像データを参照することによってユーザ色規定領域302に反映させるようにすればよい。
【0035】
尚、本例では最初に接続リクエストを受け付けた端末が、その後の処理において、他の接続中の端末との連携の要となるような構成としたが、この形式はあくまでも一つの具体例にすぎない。例えば、互いに接続中の複数の端末について、任意の一台の端末を「親機」として設定し、新たな端末からの接続リクエストの受信や、他の通信中の端末への連絡の取りまとめ、当該端末の接続を許可するか否かの決定等はこの親機が実施するようにすればよい。また、何らかの理由によりこの親機が接続中の端末グループから通信を切断する場合は、別の端末が親機になるようにしておけばよい。
【0036】
さらに、本例では端末同士が近距離無線通信を行う場合を想定して説明を行ったが、通信方法はこれに限られない。例えばインターネットを利用した、無線もしくは有線による通信を行う場合は、通信端末以外にインターネット等の通信網と、通信を管理するためのサーバが通信網上に備えられていることが好ましく、上述した接続中端末管理テーブルおよび接続NG端末リスト等はサーバ上に記憶され、接続の開始および終了等の処理についてはサーバが処理するようにすればよい。以降に説明する各フローについても同様に考えることとする。
【0037】
次に図6を用いてユーザが手書き入力した内容当該ユーザが操作する端末の表示部205に表示するとともに、入力内容を他の端末に送信する手書情報入力フローについて説明する。この時、便宜上接続中の端末は合計4台であり、ユーザ11、12、13および14がそれぞれ端末100a、100b、100cおよび100dを操作しているものとする。まずユーザ11が端末100aを操作してその他のユーザ12〜14に対して手書き入力情報を送信する場合、ユーザ11はタッチペン102を用いて端末100aのタッチパネル101上に表示される画面のメッセージ領域301に手書きで任意の情報を入力する(S501)。
【0038】
すると、端末100aの入力処理部202はタッチペン102がメッセージ領域301のどの位置に接触しており、どちらの方向にどのくらいのスピードで移動しようとしているかを表す座標ベクトル情報を取得する(S502)。なお、座標ベクトル情報を取得する処理は、通信接続中は1秒間に数十回程度の非常に細かい間隔で繰り返されることとする。
【0039】
上記ステップS502によって取得された座標ベクトル情報は、その後端末100aの手書きデータ処理部203において当該入力時にユーザが選択していた線幅データと組み合わされることによって、タッチペン102がメッセージ領域301上のどの位置からどの位置まで、どの方角に向かって、どのような形で、どのくらいのスピードで、どの線幅で移動したかを表す軌跡情報として形成され(S504)、さらに当該入力内容を何色で表示するかについては、接続中端末管理テーブルに記憶されている1Pに割り当てられた色データが選択される(S504)。この時の色はユーザ色規定領域302に表示される当該ユーザに対応する文字色と等しくなる。なお本例では1Pが赤、2Pが青、3Pが黄、4Pが緑と設定されていることとする。従って、ユーザP1が入力した情報から形成される軌跡情報は赤色に着色されて端末100aの表示部205上のメッセージ領域301に表示される(S505)。
【0040】
本例では、接続完了が早いユーザから順に1P、2Pとユーザ番号を割り当て、「1Pは赤」というようにユーザ番号と文字色は予め紐付けられるように規定しているが、どのユーザにどの色を割り当てるかについてはその他の方法をとってもよい。例えば新たに通信接続メンバーに加えられる際に、任意の色を選択するようにしてもよい。この時、既に接続メンバーとなっているユーザが選択している色と同じ色が選択されてしまうと本発明は意味を為さなくなってしまうため、既に別のユーザに選択されている色については選択不可能な状態にしておく必要がある。更に、同一ではなくても、「緑」と「黄緑」のように既に別のユーザが選択している色と非常に近い色を選択した場合も不都合が生じることが予想されるため、互いに見分けがつけ安いような色を接続上限数と同数用意しておき、早く接続完了したユーザから早い者勝ちで好きな色を選択させ、他のユーザが使用している色は選択不可能としておくことで、ユーザは極力自分の好みに近い色を選択可能になるし、どの色が選択されてもある程度見分の付けやすさも確保することが可能となる。
【0041】
また、上記ステップS503と同時に、P1の入力に対応する軌跡情報が手書きデータ処理部203から通信制御部206に送られ、ここで接続中端末管理テーブルを参照することにより現在接続中の全ての端末100b〜100dに送信するよう制御される(S506)。本例では他の端末との処理の時間差を極力短くするために、ステップS502において座標ベクトル情報が取得された時点で、直ちに通信接続中の他の端末に軌跡情報を送信するようにしているが、以下に説明する、軌跡情報を受信した後に受信側の各端末内で実施される処理を軽減するために、上記ステップS503において当該軌跡情報を表示する際の文字色が決定された後に、軌跡情報と併せて文字色情報を送信することによって、受信側の端末内で実施される処理負荷を軽減させるようにしてもよい。
【0042】
尚、タッチペンによる手書き入力ではなく、スタンプ入力が行われる際は、図6のフロー図には表記を省略したが、上記とは若干異なる処理がなされる。スタンプ入力時の処理について以下に説明する。
【0043】
タッチペン102がスタンプ表示領域307に接触したことを入力処理部202が感知すると、スタンプ入力モードとなる。スタンプ入力モード時に、任意のスタンプ画像がタッチペン102によって選択されると、当該スタンプ画像をメッセージ表示領域301に表示するために、当該スタンプ画像データの読み出しが行われる。次にユーザがタッチペン102によってメッセージ表示領域301の任意の点に接触すると、接触した点の座標が画像の中心点となるように当該スタンプ画像が表示される。その際、当該スタンプ画像の色は手書き情報を入力する際と同様の処理を行うことによって決定されるため、当該ユーザが入力したスタンプ画像は、当該ユーザが手書き入力を行う際の表示色と同一色に統一される。尚、スタンプモード中にメッセージ表示領域301上の任意の点にタッチペン102で触れることにより(すなわちメッセージ表示領域301上に1つスタンプ画像を表示させるごとに)、スタンプモードからペン入力モードに復帰するようにしてもよいし、ペン入力領域303を選択するまではそのままスタンプモードを継続させるようにしてもよい。
【0044】
次に、消しゴム入力モードが実行されている際の処理について説明する。タッチペン102が消しゴム入力領域303に接触することにより、消しゴム入力モードがONの状態になる。この状態でメッセージ表示領域301にタッチペン102が接触すると、タッチペン102が接触した箇所の手書き入力情報を消去することが可能となる。この時、消しゴムモードで消去することが可能な手書き入力情報の対象について制限を設けるようにしてもよい。すなわち、例えば、他のユーザが入力した手書き情報については消しゴムモードによる消去入力を行っても消去できないようにすることが挙げられる。このように規定することによって、ユーザは自分の入力した手書き情報について勝手に他のユーザによって消去されることを防ぐことが可能になる。
【0045】
とはいうものの、他のユーザが入力した手書き入力情報がどうしても邪魔な場合であっても消去ができないとなると、不都合が生じることがある。そこで、ここでは自分の入力した手書き入力情報を消しゴムモードで消去した場合は、通信接続中の全てのユーザに消去情報が送信されるが、消去対象が他のユーザの入力した手書き入力情報であった場合、消去操作を行った当該ユーザ端末の表示においてのみ消去情報を反映させ、他のユーザに対しては消去情報を送信しないようにする方法を採用することとする。
【0046】
ここではユーザ11〜14が通信接続中の場合に、ユーザ11が消しゴム入力モードを使用して手書き入力情報の消去の操作を行う際の処理について具体的に説明する。ユーザ11がタッチペン102を用いて消しゴム入力領域304に接触し、消しゴム入力モードがONになっている状態で、タッチペン102でメッセージ領域301の任意の点に接触した場合、接触した箇所に何らかの手書き入力情報が既に記憶されている場合は、すなわち当該箇所の座標にユーザ11〜14のいずれかのユーザに対応する表示色の色彩データが記憶されていることになる。ユーザ11の使用する端末100aの入力処理部202は、当該座標上に記憶されていた色データがユーザ11の入力内容を表示するために割り当てられた色データと一致するか否かを判断し、一致する場合は当該座標上の色データを消去するとともに、当該消去データを通信接続中の他の全てのユーザ12〜14に送信し、当該消去データを受信した各ユーザ12〜14の使用する端末100b〜100dの手書きデータ処理部203は当該消去データを反映する指示を表示制御部204に伝達し、ここで処理された情報が表示部205上に表示される。
【0047】
一方、消去対象となる座標上に記憶されている色データが、ユーザ11の入力内容の表示に割り当てられた色データと異なる場合は、消去データはユーザ12〜14には伝達されず、ユーザ11の端末内でのみ当該座標上の色データが消去され、その処理結果が表示部205上に表示される。
【0048】
次に図7を用いて、他の端末から手書き入力情報を受信する際の軌跡情報受信フローについて説明する。通信モードがONになっており、他の端末と通信接続中の端末は常時他の端末からの軌跡情報を受信可能な状態となっている。図5のステップS505により端末100aから送信されたP1の入力内容に関する軌跡情報についてユーザ12の操作する端末100bが受信する場合を例にとって説明する。端末100bの無線モジュール207を経由して受信された端末100aの手書き入力情報は、通信制御部206に送信される。ここで当該受信内容から送信元の端末IDを識別し、接続中端末管理テーブルを参照することにより当該端末IDが接続中端末管理テーブルに記載されている端末IDのいずれかと一致するかを判定する(S601)。本例の場合、受信した情報の送信元端末IDが100a、および100c、100dのいずれの端末IDとも異なる場合は情報の受信処理を直ちに中止する(S601のN)。
【0049】
ステップS601で送信元の端末IDは通信中の端末の端末IDであると判断されると(S601のY)、送信された情報の内容が軌跡情報であるか否かが判断され(S602)、軌跡情報であると判断された場合(S602のY)は手書きデータ処理部203において、当該手書き入力情報がどの端末から送信されたものであるかを手書き入力情報とともに受信した送信元端末の端末IDから判断し、接続中端末管理テーブルにおいて当該端末IDに対応する色データを決定する(S603)。決定された色データは当該軌跡情報とともに表示制御部204に送られて処理された後、表示部205に表示される(S604)。一方、ステップS602において受信した情報が手書き入力情報ではないと判断された場合(S602のN)は、受信した情報が通信の切断連絡情報であるか否かを判断する(S605)。この時、受信した情報が切断連絡情報であった場合(S605のY)は以下に詳細を説明する通信切断処理が行われる。一方、受信した情報が手書き情報でも切断連絡情報でもないと判断された場合(S605のN)は当該情報の内容に従った処理を行うか、当該情報の内容が把握できない場合はエラーメッセージを表示する処理を行う(S606)。
【0050】
本例では、図5に示す接続中管理テーブルの例を使って説明すると、ユーザ11は1Pとして端末IDが0001となっている端末100aを用いて手書き入力情報を端末100aの入力部201に入力する。この時、ユーザ11の操作するタッチペンが接触する座標ベクトルから軌跡情報が生成され、この軌跡情報は端末100aの通信制御部206を経由して端末100aの端末ID(すなわち0001)とともに端末100b〜100dに送信される。この情報を受信した端末100bの通信制御部は接続中端末管理テーブルを参照することにより、端末IDが0001の端末(つまり100a)は接続中の端末であり、かつ、この端末から送信される情報は「赤色」で表示することを認識し、受信した軌跡情報に色データを併せて表示制御部204に伝達する。結果、端末100bは端末100aから軌跡情報と端末IDを受信するだけで、当該軌跡情報を何色で表示すべきかを判断することが可能となる。
【0051】
最後に図8を用いて通信接続を切断し、通信中の端末グループから離脱する通信切断処理フローについて説明する。ここでは便宜上、端末100aが通信の切断処理を行う場合を想定する。
【0052】
ユーザP1が端末100aの入力部201に対して任意の通信切断指示を入力すると(S701)、入力された情報は入力処理部202を経由して通信制御部206に伝えられる。ここで通信制御部206は受け取った指示の内容が接続切断指示であると認識すると、接続中端末管理テーブルに記録されている、通信中の全ての端末(ここでは端末100bから端末100d)に対して端末100aが接続切断をする旨を伝える切断連絡情報を送信する(S702)。さらに通信制御部206は端末100aの通信接続を切断し(S703)、接続中端末管理テーブルに記憶されている情報をクリアするとともに(S704)、接続NG端末リストに記憶されている情報をクリアし(S705)、接続切断処理を終了する。
【0053】
図9は他の端末からの切断連絡情報を受信した端末の切断連絡情報受信処理を示すフローチャートである。ここでは端末100aからの切断連絡情報を端末100bが受け取った場合を想定して説明を行う。
【0054】
切断連絡受信情報を受信した場合、端末100bの通信制御部206は図6に示すステップS601からS604と同一の処理過程を経た後、ステップS604において受信した情報が他の端末からの切断連絡情報であると認識する(S604のY)。すると、表示制御部204により端末100aの使用者であるユーザP1が接続を中止する旨のメッセージ画面を作成し表示部205に表示する(S801)。
【0055】
次に端末100bの通信制御部206は、接続中端末管理テーブルを参照して端末100a以外に現在端末100bが通信接続中の端末が存在するかどうかを確認し(S802)、通信接続中の端末が存在する場合には接続中端末管理テーブルから端末100aの情報を削除して接続中管理テーブルの内容を上書きし(S803)、切断連絡情報受信処理を終了する。
【0056】
一方、ステップS802において端末100bが接続中の端末は端末100a以外に存在しないと判断された場合(S802のN)は通信接続を切断し(S804)、接続中端末管理テーブルに記憶されている情報をクリアするとともに(S805)接続NG端末リストに記憶されている情報をクリアして(S806)切断連絡情報受信処理を終了する。
【0057】
なお、ここではユーザP1が意図的に通信を切断する操作を行うことによって通信が切断される場合について説明したが、P1の意思に反して電波状態の悪化や端末100aの電源が落ちるといった要因により、やむなく通信が切断される場合も想定される。例えば
端末100aの電源が落ちることにより接続が切断される場合、端末100aの通信制御部206は電源を落とす操作が入力されるとともに切断連絡情報を作成して、電源が完全にOFFになるまでの間に通信中の全ての端末に送信するようにしてもよい。一方、端末のバッテリー切れや電波状態の悪化によって通信が中断される場合は、切断連絡情報を他の端末に送信することすら不可能である。
【0058】
例えば端末100a〜100dの四台の端末が通信中である場合において、端末100aがバッテリー切れでいきなり通信不能になった場合、端末100b〜端末100dのいずれかが通信中の他の端末に対して手書き入力情報や切断連絡情報を送信する際に、端末100aについては通信不能であった旨の情報が当該端末の通信制御部206に返される。すると当該端末の通信制御部206は、通信中の全ての他の端末に対して端末100aが通信不能である旨を連絡する情報を送信し、端末100b〜100d全てにおいて接続中端末管理テーブルから端末100aの情報が削除されることとする。ただし、一時的に電波状況が悪化することにより通信が不能となった端末について、その度に接続が完全に切断されてしまうと不都合が生じる場合もあるので、当該端末を接続中端末管理テーブルから消去するか否かについてはある程度時間的に余裕を持たせておき、「5分以上継続して通信不能であると判断された場合は消去」というような設定にしてもよい。
【0059】
なお、上述した実施の形態では、通信端末100がどのような端末であるかについて具体的に言及していないが、携帯電話等の移動通信端末や、ゲーム端末、カーナビゲーション端末等、通信機能を備える様々な端末に応用可能であるとする。
【0060】
上述した実施形態の他に、例えば次のような実施の形態が考えられる。上述の実施形態では、メッセージ領域301の背景画像については特に触れていないが、表示部205について画像を表示する際に階層を設けることで、例えばある画像に重ねるようにしてメッセージ領域301を表示するようにしてもよい。すなわち、あたかも任意の画像に手書きの情報を描き加えるような表示が可能になる。
【0061】
例えば、表示画面の中に第一の表示領域(第一の階層)と第二の表示領域(第二の階層)を設け、第一の階層と第二の階層に、基本となる同じゲーム画面を表示させる。この場合、同じ一つの表示画面中に第一の階層と第二の階層を設けても良く、複数の表示画面を有している端末である場合は、異なる表示画面中に第一の階層と第二の階層を設けても良い。例えば、プレイヤAが、自身の有する端末aの第二の階層にタッチペン又は指による入力を行なうと、入力した手書き情報が第一の階層に表示される。第一の階層では、第二の階層へ入力された手書き情報における接触座標及び軌跡情報に従って表示が行われる。第一の階層と第二の階層は基本となる同じゲーム画面を有しているため、第一の階層のゲーム画面において、第二の階層のゲーム画面で入力のあった箇所に対応する箇所へ、手書き情報が表示されることになる。
【0062】
一方、プレイヤAと通信をしているプレイヤBが有する端末bにおいても、プレイヤAが第二の階層へ入力した手書き情報が受信され、端末bの第一の階層に手書き情報が表示される。端末bの第一の階層では、端末aの第二の階層へ入力された手書き情報における接触座標及び軌跡情報に従って表示が行われる。端末bの第一の階層のゲーム画面において、端末aの第二の階層のゲーム画面で入力のあった箇所に対応する箇所へ、手書き情報が表示されることになる。なお、端末bに表示される表示色は予め規定された表示色が用いられる。たとえば、ゲームの進行に有用なアイテムの入った「宝箱」がフィールドマップ上に存在することを、プレイヤAがプレイヤBに伝えたいような場合に、プレイヤAが端末aの第二の階層に表示されているフィールドマップ中の「宝箱」をタッチペンで塗りつぶすと、端末a及び端末bの第一の階層において表示されている、第二の階層の「宝箱」に対応する箇所が塗りつぶされることになる。このように、入力をするための階層と、入力した情報を表示するための階層を分けて設けることで、通信相手により的確に情報を伝えることが可能となる。また、第二の階層がゲームを進行する上でメインとなる画面である場合、手書き情報を第二の階層ではなく、第一の階層に表示しておけば、手書き情報がゲームの進行の邪魔となることもない。
【0063】
なお、ここで第二の階層は入力を行うための階層であるが、例えば、プレイヤAが第二の階層に入力した手書き情報を、一時的に自身の端末aの(第一の階層だけでなく、)第二の階層にも表示するようにしても良い。第二の階層に表示を行なうことで、プレイヤは入力を行ないながら、入力の内容が正しいか否かを正確に判断することができる。そして、所定時間が経過すると、又はプレイヤが第二の階層に表示された手書き情報を消去するように操作を行うと、第二の階層の手書き情報が消去される。この場合であっても、第一の階層には手書き情報が残っているため、ゲームを円滑に進行することが可能となる。
【0064】
具体的には、例えばビデオゲームを複数名で協力しながら進めるような場合、当該ビデオゲームのフィールドマップ上に手書き情報を描き込むことが可能になれば、各プレイヤが手書きでそれぞれの進行方法などを描き込むことにより効果的に作戦を立てることが可能になったり、アイテムや敵キャラクタの形状や、それらが出現するポイントなど、文章では表現しにくい事項についても明確に伝達することが可能になったりするため、ゲームの趣向性を高めることが可能になる。また、待ち合わせの場所にうまく到達できない場合などに、地図情報を表示させながら手書き情報を描き込むことにより、お互いの現在位置を描き込んだり、駅などの主要なランドマークから当該場所への行き道を描き込んだりすることで有効活用することもできる。
【0065】
他にも、例えばクイズゲーム等において、複数のプレイヤがオンラインで対戦するような場合、プレイヤが手書きで入力したクイズの答えについて、文字認識を行うことにより正解か不正解かを判断するとともに、入力された解答の文字色から当該解答を入力したプレイヤを特定し、当該プレイヤに得点を加算したり、一つの迷路に複数のプレイヤが一度に挑戦し、一番先にゴールに到達したプレイヤを線の表示色から判断して当該プレイヤに得点を加算したり、陣取りゲームのような要領で任意の領域をいかに早く、広く塗りつぶすかによって特典を競うゲームにおいて、当該領域が全て塗りつぶされた際に、当該領域内の色の分布により勝敗を判断したりするなど、各種ゲームに応用が可能である。
【0066】
この他にも、例えば様々な授業やプレゼンテーション等において、受講者および会議の出席者が本発明による通信端末を保持するようにし、黒板やホワイトボードの代わりに大型のタッチパネルを備える表示装置と通信を行うように設定することによって、講師が大型タッチパネルに記入した内容が各受講者の端末に表示されるようになったり、例えば、テキスト等を表示させた場合に講師がアンダーラインを引いた箇所が各端末に表示されたテキストにも同時に表示されるようになったりするため、広い場所で講義を行う場合に後ろの方の席からはホワイトボードの内容が見えないといった問題や、長い文章を引用して説明を行う場合などに説明がしにくくなるといった問題を解決することができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態では手書き入力した内容について、入力した線に色付けを行う場合について説明したが、線自体に着色するのではなく、ディスプレイに表示されるプレイヤキャラクタの近傍に所謂「吹き出し」の形式で手書きによって入力した情報を表示することにより、あたかも当該プレイヤキャラクタが発言を行っているように表示する吹き出し型チャットに本発明内容を応用するようにしてもよい。
【0068】
すなわち、表示される吹き出しの背景色をプレイヤキャラクタごとに割り当てられた表示色によって表示する。プレイヤが自分の操作する端末に送信したい文字や図柄などを入力し、送信ボタンを押すなどの指示を行うことにより、当該プレイヤの操作するキャラクタの近傍に吹き出しを表示して、あたかも当該プレイヤキャラクタが吹き出しに入力された内容を喋っているようにする際に、上述の実施例と同様に、当該プレイヤ端末の端末ID等検知することにより、当該プレイヤに割り当てられた表示色を使用して吹き出しの色を決定する。
【0069】
このようにすることにより、吹き出しに表示される内容がどのプレイヤから発せられたものかを、より視認しやすくすることができる。ただし、吹き出しはその形状の性質上、特に色分けを行わなくても、どの表示内容がどのプレイヤから発せられたかを認識することが可能である。また、吹き出しを表示することにより、多くのプレイヤが情報を入力すると、表示画面上に複数の吹き出しが表示され、吹き出しの裏側に隠れてしまう表示画面の面積が広くなってしまい画面が見づらくなってしまうという問題や、吹き出し型の表示形式にすることにより、新しい情報を入力・表示させる際に古い情報が消去されてしまうため、古い入力内容を確認できないといった問題が発生するため、吹き出しを用いずに直接情報を書き込む上述の実施形態を用いることが最も望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、3名以上のユーザによってリアルタイムで手書き入力情報の送受信を行う際に、どの入力内容がどのユーザによって入力されたものであるかをユーザごとに色を分けて表示することにより、容易に認識可能とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態における通信端末の概観図である。
【図2】通信端末の構成例を示すブロック図である。
【図3】表示部に表示される画面例を示す説明図である。
【図4】通信接続が開始される処理の例を示すフローチャートである。
【図5】接続中端末管理テーブルを示すテーブル例である。
【図6】手書き入力情報を入力部に入力する処理の例を示すフローチャートである。
【図7】手書き入力情報を受信する処理の例を示すフローチャートである。
【図8】通信切断をする処理の例を示すフローチャートである。
【図9】切断連絡情報を受信する処理の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
100 通信端末
101 タッチパネル
102 タッチペン
103 無線モジュール
201 入力部
202 入力処理部
203 手書きデータ処理部
204 表示制御部
205 表示部
206 通信制御部
207 無線モジュール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末と通信可能な通信端末であって、
ユーザが情報の入力を行う入力手段と、
他の一つもしくは複数の端末との通信を制御する通信制御手段と、
通信中の各端末について、それぞれの端末IDごとに当該端末から送信された情報を表示部に表示する際の表示色を規定する表示色規定手段と、
前記通信制御手段は、前記入力手段によってユーザが入力した情報に当該端末の端末IDを付加して他の端末に送信するとともに、
他の端末から受信した情報から送信元の端末IDを検出し、前記表示色規定手段によって規定された端末IDごとの表示色をもとに、送信元の端末IDに対応する表示色を決定する表示色決定手段と、
決定された表示色を用いて、受信した情報を表示画面上に表示する表示手段
を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記入力手段は表示画面と一体に構成されており、ユーザは表示画面上にタッチペンもしくは指によって手書き情報を入力することが可能であるとし、
前記手書き情報の入力の際は、前記タッチペンもしくは指と表示画面の接触座標を定期的に検出することにより、前記手書き情報を前記接触座標の軌跡情報として生成する軌跡情報生成手段
をさらに設け、
前記表示手段は、当該端末のユーザが入力した手書き情報に基づいて前記軌跡情報生成手段が生成した軌跡情報について、既に表示されている手書き情報と重ね合わせて表示することにより逐次表示内容を更新するとともに、
前記通信制御手段が通信中の全ての端末と、各々の端末に新たに入力された前記軌跡情報を送受信し合うことにより、
前記表示手段は、通信中の全ての他の端末から受信した前記軌跡情報について、リアルタイムで端末の前記表示画面上に表示することを可能とする
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記表示手段は、表示内容を、前記手書き情報を表示する第一のレイヤーと、その他の情報を表示するための第二のレイヤーに分けて管理することにより、任意の背景画面に重ねて手書き情報を表示可能である
ことを特徴とする、請求項2に記載の通信端末。
【請求項4】
複数の端末と通信可能な通信端末に通信を行い、他の端末から入力された情報を表示画面に表示する通信端末に実行させる表示方法であって、
他の端末との通信接続が開始される際に、各端末について、それぞれの端末IDごとに当該端末から送信された情報を表示部に表示する際の表示色を規定する表示色規定ステップと、
他の端末から受信した情報から送信元の端末IDを検出し、表示色規定ステップにおいて規定された端末IDごとの表示色をもとに、送信元の端末IDに対応する表示色を決定する表示色決定ステップと、
決定された表示色を用いて、受信した情報を表示画面上に表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする表示方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−157098(P2010−157098A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335025(P2008−335025)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】