説明

通信端末

【課題】発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を着信端末毎に予め設定することで、発信動作毎に着信端末機能制限情報の設定が不要とし、着信制御を簡易に行う。
【解決手段】発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を着信端末毎に予め設定する設定手段により、着信端末に付与された識別番号毎に着信端末制限情報リスト202を設定する。これにより、着信端末に付与された電話番号等の識別番号を利用して着信端末毎に着信端末機能制限情報の設定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末の着信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信端末では、いたずら電話や迷惑電話を防止したり、着信への応答ができない状況に対応したりするための各種提案がなされている。例えば、発信側端末から通知される発信者電話番号が電話帳メモリに登録されていない場合や発信者電話番号が通知されない場合に、着信を拒否することが可能な携帯電話端末(例えば、特許文献1参照)や、受け付けることが出来ない着信があった場合に、予め録音した着信拒否理由を伝える音声メッセージを発信側端末へ送信する無線通信端末(例えば、特許文献2参照)などがある。
【0003】
上記の携帯電話端末では、発信者が特定できない着信を拒否する場合、着信ランプのみを駆動させて着信拒否動作中であることを報知させる、発信者電話番号の通知を促す旨の応答メッセージを発信側端末へ送信する、接続を瞬時に切断する、などの中から所望の動作を着信拒否動作として予め選択、設定しておくことにより、複数の着信拒否動作を実行することができた。また、上記の無線通信端末では、着信拒否理由を伝える複数のメッセージの中から所望のメッセージを予め選択、設定しておくことにより、状況にふさわしい着信拒否メッセージを発信者へ伝えることができた。
【特許文献1】特開2003−第125066号公報(第6−8頁、第2図)
【特許文献2】特開平10−第164657号公報(第2−3頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信端末の高機能化に伴い、例えば、通話中の会話を着信側端末で録音することの許可/禁止が発信側端末で制御可能となるなど、高度な着信端末制御が行なえるようになると、例えば、たとえ発信者電話番号を通知していても、通話中の会話の録音(音声録音)を禁止に設定している着信は拒否して、通話中の音声録音を許可している着信だけを受け付けたいというような状況も発生し得る。
【0005】
しかしながら、上記従来の通信端末では、着信拒否を行うか否かを、発信側端末が行う着信端末制御の設定に応じて柔軟に変更できないという問題があった。つまり、従来の通信端末では、電話番号を指定して着信を拒否したり、非通知など相手を特定できない着信を拒否したりすることは可能であったが、一旦設定すると、同じ発信相手からの着信はすべて拒否されていた。
【0006】
また、上記従来の通信端末では、着信端末制御の各種設定も柔軟に行えないという問題があった。例えば、発信者電話番号の通知/非通知などは、本来発信側端末の使用者が、電話をかける相手によって個別に設定できることが好ましいが、従来は、発信者電話番号の通知/非通知の設定や、通話中の音声録音の許可/禁止の設定などは、一旦選択すると固定され、どの電話番号へ発信しても同じ制御動作が行われていた。そのため、電話をかける相手によって通知/非通知、または許可/禁止を変更しようとする場合は、発信動作ごとに都度、設定しなおす必要があり、使用者にとって煩雑であった。
【0007】
更に、例えば、発信者電話番号が非通知になっているなどの理由で着信側端末が着信を拒否すると、双方の接続が一旦切断されてしまうため、発信側端末の使用者が通話を行いたい場合、発信者電話番号を通知するように設定してから、再度発信操作を行う必要があり、電話のかけ直し作業が煩雑であった。また、何の通知もなく着信側端末から一方的に接続を切断されることは、発信者に不快な印象を与え、コミュニケーション上好ましくないという問題や、例えば、着信拒否理由が複数存在するような場合、単一の音声メッセージだけでは着信拒否理由を正確に把握できず、着信端末制御のどの設定を変更すればよいかが把握しにくいという問題などがあった。
【0008】
本発明は、着信制御を簡易に行い得る通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の通信端末は、発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を着信端末に対して送信可能な通信端末であって、前記着信端末機能制限情報を着信端末毎に予め設定する設定手段を備える。この構成によれば、発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を着信端末毎に予め設定することで、発信動作毎に着信端末機能制限情報の設定が不要となるため簡易に着信制御を行うことができる。
【0010】
本発明において、前記設定手段は、着信端末に付与された識別番号毎に前記着信端末機能制限情報を設定する。この構成によれば、着信端末に付与された電話番号等の識別番号を利用して着信端末毎に着信端末機能制限情報の設定が可能となる。
【0011】
また、本発明の通信端末は、発信端末が設定した着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を受信する受信手段と、着信動作を制限する着信制御情報を設定する設定手段と、前記着信端末機能制限情報および前記着信制御情報に基づいて着信拒否の判定を行う判定手段とを備える。この構成によれば、自端末においても着信制限情報の設定により着信動作を制御できるため、着信端末機能制限情報とともに簡易かつきめ細かい着信動作の制御が可能となる。
【0012】
本発明において、前記着信拒否の理由となる着信端末機能制限情報を発信端末に送信する送信手段を備える。この構成によれば、着信拒否の原因となった着信端末機能制限情報を発信端末で確認できるため、着信拒否の理由が発信者にあることを知ることができる。
【0013】
本発明の通信制御方法は、発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を本発明英の通信端末(発信端末が設定した着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を受信する受信手段と、着信動作を制限する着信制御情報を設定する設定手段と、前記着信端末機能制限情報および前記着信制御情報に基づいて着信拒否の判定を行う判定手段と、前記着信拒否の理由となる着信端末機能制限情報を発信端末に送信する送信手段とを備える)に対して送信し、前記通信端末から送信された着信端末機能制限情報を表示し、表示した着信端末機能制限情報が設定する着信端末の機能制限を解除する。この構成によれば、着信拒否の原因となった着信端末機能制限情報を発信端末で確認できるため、着信拒否の理由が発信者にあることを知ることができる。また、着信拒否の原因となった着信端末機能制限情報の表示により複数の着信拒否理由の把握が容易にできる。さらに、表示された着信端末機能制限情報が設定する着信端末の機能制限の解除により、発信者が再度の発信を行うことなく通信が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を着信端末毎に予め設定することで、発信動作毎に着信端末機能制限情報の設定が不要となるため簡易に着信制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の形態における通信端末で構成される通信システムの概要を示す図である。通信端末101から104は、電話通信網105を介して各通信端末と接続し、通話することが可能である。本発明の実施の形態における通信端末は、通信端末101や102のような携帯型電話端末でもよいし、通信端末103や104のような固定型電話端末でもよい。また、携帯型電話端末と固定型電話端末のいずれが発信側または着信側となってもかまわない。
【0016】
次に、上記通信システムを構成する通信端末について説明する。図2は、本発明の実施の形態における通信端末の内部構成を示す図である。本発明の通信端末は、主に、メモリ領域201、着信端末機能制限情報設定リスト202、着信制御情報設定リスト203、設定リスト入力手段204、表示手段205、着信処理部206、発信処理部207、着信拒否信号処理部208、着信端末機能制限解除信号処理部209、切断処理部210、送信処理部211、受信処理部212、などで構成される。
【0017】
メモリ領域201は、RAM(Random Access Memory)領域であり、着信端末機能制限情報設定リスト202や着信制御情報設定リスト203を格納する。着信端末機能制限情報設定リスト202は、発信側端末が発信時に、着信側端末の特定の機能を制限するための着信端末機能制限情報を設定するリストであり、メモリ領域201に格納される。また、着信制御情報設定リスト203は、着信側端末が、発信信号に対して着信拒否を行うか否かの判定条件となる着信制御情報を設定するリストであり、同じくメモリ領域201に格納される。着信端末機能制限情報及び着信制御情報の詳細については後述する。
【0018】
設定リスト入力手段204は、通信端末に配置された各種キーやボタンで構成され、着信端末機能制限情報設定リスト202や着信制御情報設定リスト203の設定値入力など、通信端末の使用者が各種入力を行う。また、表示手段205は、LCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescent)ディスプレイなどで構成され、着信端末機能制限情報設定リスト202や着信制御情報設定リスト203の設定を行うためのメニュー画面や設定状況、相手側端末に着信拒否された際の着信拒否理由、などの各種表示を行う。
【0019】
着信処理部206は、相手側端末からの発信信号を受信し、着信処理を行う。また、発信処理部207は、相手側端末へ発信信号を送信して発信処理を行う。着信拒否信号処理部208は、着信側端末が発信信号に対して着信拒否したことを発信側端末へ通知するために送信する着信拒否信号の送受信を行う。着信端末機能制限解除信号処理部209は、着信拒否信号を受信した発信側端末の使用者が、着信端末機能制限情報を解除した際に着信側端末へ送信する着信端末機能制限解除信号の送受信を行う。切断処理部210は、切断処理時に切断信号を送受信する。
【0020】
送信処理部211は、相手側端末に対して各種信号を送信する。また、受信処理部212は、相手側端末からの各種信号を受信する。尚、送信処理部211及び受信処理部212と電話通信網105の間の接続は、固定型電話端末の場合は有線にて、携帯型電話端末の場合は無線にて行われるが、この接続は公知のインターフェース手段を用いてよいため、詳細な説明は省略する。
【0021】
図3は、メモリ領域201に格納される着信端末機能制限情報設定リスト202を概念的に示す図である。着信端末機能制限情報設定リスト202は、管理番号301、相手電話番号302、着信端末機能制限情報設定値303、の各要素で構成される。
【0022】
管理番号301は、相手電話番号302、着信端末機能制限情報設定値303を管理するための番号であり、図3では例として、0〜20までの21個の管理番号を設け、21件の相手電話番号に対して着信端末機能制限情報設定値の設定を可能としている。相手電話番号302及び着信端末機能制限情報設定値303の値は、通信端末の使用者が、設定リスト入力手段204を介して入力する。相手電話番号302には、着信端末機能制限情報設定値303の適用対象となる着信側端末の電話番号が設定される。
【0023】
また、着信端末機能制限情報設定値303には、同一の管理番号に設定されている相手電話番号への発信時において、着信側端末の機能に制限をかけたい項目が設定される。本実施例では、その項目として、発信者番号通知、音声録音、TV電話録音、TV電話録画、通信暗号化、について設定を行う。例えば、着信側端末に対して、電話番号を通知して発信を行う場合は「0:許可」、非通知で発信を行う場合は「1:禁止」と設定する。同様に、着信側端末に対して、通話中の会話の録音(音声録音)を認める場合には「0:許可」、音声録音を認めない場合には「1:禁止」と設定する。
【0024】
本実施の形態では、管理番号0に、特定の電話番号を設定せず、管理番号1〜20以外の全ての相手電話番号への発信を対象とした設定が行えるようにしている。これにより、すべての発信に対して着信側端末への機能制限の設定を網羅することができる。尚、この設定は必ずしも管理番号0である必要はなく、他の番号に設定してもよい。
【0025】
図4は、メモリ領域201に格納される着信制御情報設定リスト203を概念的に示す図である。着信制御情報設定リスト203は、管理番号401、相手電話番号402、着信制御情報設定値403、の各要素で構成される。
【0026】
管理番号401は、相手電話番号402、着信制御情報設定値403を管理するための番号であり、図4では例として、0〜21までの22個の管理番号401を設け、22件の相手電話番号に対して着信制御情報設定値の設定を可能としている。相手電話番号402及び着信制御情報設定値403の値は、通信端末の使用者が、設定リスト入力手段204を介して入力する。相手電話番号402には、着信制御情報設定値403の適用対象となる発信側端末の電話番号が設定される。
【0027】
また、着信制御情報設定値403には、同一の管理番号に設定されている相手電話番号からの着信時において、当該着信の可否が、前述の着信端末機能制限情報設定値ごとに設定される。ここで着信端末機能制限情報設定値とは、発信者番号通知、音声録音、TV電話録音、TV電話録画、通信暗号化、の各項目について発信側端末が設定した値である。例えば、通話中の会話の録音(音声録音)に関する着信端末機能制限情報設定値が「1:禁止」である電話端末からの発信に対して、着信を拒否する場合は「1:制限あり」と設定する。一方、設定値の「1:禁止」または「0:許可」に係わりなく着信を認める場合は「1:制限なし」と設定する。
【0028】
本実施の形態では、管理番号0に、特定の電話番号を設定せず、全ての相手電話番号からの着信を対象とした設定が行えるようにしている。ここでは、発信者番号通知に関する設定のみが可能で、「1:制限あり」に設定された場合、電話番号を非通知としている着信は一切拒否される。従って、管理番号1以降では、発信者番号通知が「0:許可」に設定された発信のみについて、発信者電話番号ごとに、音声録音、TV電話録音、TV電話録画、通信暗号化、に関する設定が行われる。なぜなら、発信者番号通知が「1:禁止」に設定されている発信は、相手電話番号が特定できないからである。一方、管理番号0の発信者番号通知が「0:制限なし」に設定された場合は、電話番号の通知、非通知に関わりなく、すべての着信が認められることになる。
【0029】
更に、本実施の形態では、管理番号1に、特定の電話番号を設定せず、管理番号2〜20以外の全ての相手電話番号からの着信を対象とした設定が行えるようにしている。これにより、すべての発信に対して着信側端末における着信制限の設定を網羅することができる。尚、以上の設定は必ずしも管理番号0や1である必要はなく、他の番号に設定してもよい。
【0030】
以上のように、着信端末機能制限情報を予め着信端末機能制限情報設定リストに設定しておくことにより、発信動作(即ち、電話をかける相手)ごとに都度、電話番号の通知/非通知などを変更する煩雑な作業が不用となる。また、着信制御情報を予め着信制御情報設定リストに設定しておくことにより、発信側端末やそれが設定した着信端末機能制限情報に応じて柔軟な着信制限を自動的に行うことができる。
【0031】
図5は、本発明の実施の形態における通信端末の、発信側端末と着信側端末との間で行われる処理手順を示すタイミングチャートである。はじめに、発信側端末501の使用者が設定リスト入力手段204を操作して、着信端末機能制限情報設定リストの相手電話番号と着信端末機能制限情報設定値に値を設定し、着信端末機能制限情報の設定を行う(ステップS501)。その後、発信側端末501の使用者が発信操作を行うと、発信側端末の発信処理部が着信側端末502への発信処理を行う(ステップS502)。
【0032】
この時、例えば、発信側端末501の着信制御情報設定リストにおいて、相手電話番号に着信側端末502の電話番号が、音声録音の着信端末機能制限情報設定値に「1:禁止」が設定されており、一方、着信側端末502の着信制御情報設定リストにおいて、相手電話番号に発信側端末501の電話番号が、音声録音の着信制御情報設定値に「1:制限あり」が設定されている場合、発信側端末501の発信処理部は、送信処理部を介して着信端末機能制限情報を含む発信信号を着信側端末502へ送信する(ステップS503)。
【0033】
着信側端末502の着信処理部は、受信処理部から発信信号を受信し、発信信号に含まれる着信端末機能制限情報と、自端末のメモリ領域に格納された着信制御情報設定リストの着信制御情報の設定値を解析する(ステップS504)。この時、発信信号に含まれる着信端末機能制限情報では音声録音が「1:禁止」に、着信側端末502の着信制御情報設定リストでは発信側端末501の電話番号における音声録音の着信制御情報設定値が「1:制限あり」に設定されている。従って、着信側端末502の着信処理部は着信を拒否すると判断して、着信拒否信号処理部に命令を送る。着信拒否信号処理部は着信拒否理由となった着信端末機能制限情報を含む着信拒否信号を、送信処理部を介して発信側端末501へ送信する(ステップS505)。尚、この時、発信側端末501と着信側端末502との接続は切断されない。
【0034】
次に、発信側端末501の着信拒否信号処理部は、着信側端末502から受信処理部を介して受信した着信拒否信号より、着信拒否理由となった着信端末機能制限情報を取得し、表示手段に表示する。発信側端末501の使用者は、着信側端末502と通話を行いたい場合には、設定リスト入力手段を操作して着信拒否理由となった着信端末機能制限情報の解除処理を行う(ステップS506)。具体的には、着信端末機能制限情報設定リストの、着信側端末502の電話番号に対応する着信端末機能制限情報設定値の音声録音を「0:許可」に変更する。発信側端末501の着信拒否信号処理部は、着信端末機能制限解除信号処理部に命令を送出し、着信端末機能制限解除信号処理部に、着信端末機能制限情報設定リストの着信端末機能制限情報設定値が変更されたか否かを監視させる。着信端末機能制限解除信号処理部は、変更を検出すると着信端末機能制限解除信号を、送信処理部を介して着信側端末502へ送信する(ステップS507)。
【0035】
着信側端末502の着信処理部は、受信処理部を介して受信した着信端末機能制限解除信号に含まれる着信端末機能制限解除情報と、自端末のメモリ領域に格納された着信制御情報設定リストの着信制御情報の設定値を解析する(ステップS508)。この時、受信した着信端末機能制限情報では音声録音が「0:許可」に変更され、着信条件を満たしているため、着信側端末502は着信処理を開始する(ステップS509)。着信側端末502の使用者が着信の操作(オフフック)を行うと、着信処理部が、送信処理部を介して発信側端末501へ着信完了信号を送信し(ステップS510)、通話が開始する(ステップS511)。
【0036】
尚、ステップS505で、着信拒否信号が発信側端末501へ送信されると発信側端末501と着信側端末502との接続が自動的に切断されるように設定しておいてもよい。その場合、発信側端末の使用者が、着信拒否理由となった着信端末機能制限情報の解除処理を行った後に再度発信処理を行えば、通話を開始することができる。
【0037】
図6は、発信側端末となる通信端末の処理手順を示すフローチャートである。発信側端末501の使用者は、前述のように予め着信端末機能制限情報設定リストに値を入力し、着信端末機能制限情報を設定しておく(ステップS601)。その後、発信側端末501の使用者の発信操作により、送信処理部が、着信側端末502へ発信信号を送信する(ステップS602)。
【0038】
次に、受信処理部が、着信側端末502からの応答信号を受信すると(ステップS603)、着信処理部は、受信した信号種別を判定する(ステップS604)。
【0039】
着信側端末502からの受信信号が着信拒否信号である場合、着信拒否信号処理部は、着信拒否理由となった着信端末機能制限情報を着信拒否信号から取得して、表示手段に表示する(ステップS605)。尚、本実施の形態では、着信拒否された場合でも、着信側端末502との接続を切断しないように設定しているので、端末の使用者が、着信拒否理由に該当する着信端末機能制限情報を解除して(ステップS606)、送信処理部が、着信側端末502へ着信端末機能制限解除信号を送信すれば(ステップS607)、着信側端末502から着信完了信号を受信することにより通話を開始することもできる(ステップS608)。
【0040】
図8は、着信側端末が着信を拒否した場合における発信側端末501の表示手段の画面表示例を示す模式図である。発信側端末501は、着信側端末からの受信信号が着信拒否信号の場合、着信拒否理由となった着信端末機能制限情報を着信拒否信号から取得して、全て表示手段に表示する。尚、表示例のように、着信端末機能制限情報設定リストの設定画面に移行することなく、着信拒否理由となった着信端末機能制限情報が表示されている画面上で、当該着信端末機能制限情報を解除できるようにしてもかまわない。
【0041】
一方、着信側端末502からの受信信号が着信拒否による切断信号である場合(ステップS604)、またはステップS606において、端末の操作者が着信拒否理由の着信端末機能制限情報の解除を行わなかった場合、切断処理部が切断処理を行う(ステップS609)。
【0042】
尚、着信拒否信号が着信側端末から発信側端末へ送信されると双方の接続を自動的に切断するように設定している場合は、ステップS605において双方の接続が切断されるが、ステップS601に戻り、端末の使用者が、着信端末機能制限情報の再設定(即ち、着信拒否理由となった着信端末機能制限情報の解除処理)を行った後で再度発信処理を行えば(ステップS602)、通話を開始することもできる(ステップS608)。
【0043】
以上のように、発信側端末501には、着信側端末が着信を拒否しても、その理由が表示手段に全て表示されるため、受信側端末が一方的に接続を切断したという印象が払拭され、発信者に不快な印象を与える事態を回避することができる。また、着信拒否理由となっている着信端末機能制限情報の解除を実行することにより、接続が切断されることなく通話を開始させることもできる。
【0044】
次に、図7は、着信側端末となる通信端末の処理手順を示すフローチャートである。着信側端末502の使用者は、前述のように予め着信制御情報設定リストに値を入力し、着信制御情報を設定しておく(ステップS701)。その後、発信側端末501からの発信信号を受信する(ステップS702)。
【0045】
着信処理部は、発信信号に含まれる着信端末機能制限情報と、自端末のメモリ領域に格納された着信制御情報設定リストの着信制御情報の同一項目の設定値について、論理積演算(AND演算)を行う(ステップS703)。
【0046】
例えば、発信信号に含まれる着信端末機能制限情報の設定値が「1:禁止」で、且つ着信制御情報設定リストの着信制御情報の設定値が「1:制限あり」である場合、AND演算の結果は「1」となるので、着信処理部は着信拒否と判定し、送信処理部から発信側端末501へ着信拒否信号を送信する(ステップS704)。尚、本実施の形態では、着信拒否を行う場合でも、発信側端末501との接続を切断しないように設定しているので、着信端末機能制限解除信号処理部は、発信側端末501からの着信端末機能制限解除信号受信待ちタイマを設定して(ステップS705)、発信側端末501からの解除信号の受信を監視する(ステップS706)。タイマがタイムアウトする前に、発信側端末501から着信端末機能制限解除信号を受信すると、着信処理部は、再度、着信端末機能制限解除信号に含まれる着信端末機能制限情報の設定値と、自端末のメモリ領域に格納された着信制御情報設定リストの着信制御情報の同一項目の設定値について、論理積演算(AND演算)を行う(ステップS703)。
【0047】
例えば、発信信号に含まれる着信端末機能制限情報の設定値が「0:許可」である場合、または、着信制御情報設定リストの着信制御情報設定値の値が「0:制限なし」である場合、AND演算の結果は「0」となるので、着信処理部は着信を拒否しないと判定し、着信処理を行う(ステップS707)。送信処理部は、発信側端末501へ着信完了通知信号を送信し(ステップS708)、通話が開始される(ステップS709)。
【0048】
ところで、着信端末機能制限解除信号処理部は、設定したタイマのカウントを行うが(ステップS710)、タイムアウトした場合、切断処理部は、発信側端末501へ切断信号を送信し(ステップS711)、接続を切断する(ステップS712)。
【0049】
尚、着信拒否信号が着信側端末から発信側端末へ送信されると双方の接続を自動的に切断するように設定している場合は、ステップS704において双方の接続が切断されるが、発信側端末501の使用者が着信端末機能制限情報の解除処理を行った後に実行した発信処理を再びステップS702で受信すれば、着信処理(ステップS707)、着信完了通知信号の送信(ステップS708)を行って、通話を開始することもできる(ステップS608)。
【0050】
以上のように、着信側端末502は、発信側端末の着信端末機能制限情報の設定に応じた着信の可否を予め個別に設定できるため、柔軟な着信制御を行うことができる。
【0051】
尚、上記の実施の形態では、着信端末機能制限情報設定値の項目として、発信者番号通知、音声録音、TV電話録音、TV電話録画、通信暗号化、を採用したが、これにとらわれるものではなく、着信側端末の機能を制限するその他の項目も任意に設定可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の通信端末は、発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を着信端末毎に予め設定することで、発信動作毎に着信端末機能制限情報の設定が不要となるため簡易に着信制御を行うことができるという効果を有し、通信端末の着信制御技術等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態における通信端末で構成される通信システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における通信端末の内部構成を示す図である。
【図3】メモリ領域に格納される着信端末機能制限情報設定リストを概念的に示す図である。
【図4】メモリ領域に格納される着信制御情報設定リストを概念的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における通信端末の、発信側端末と着信側端末との間で行われる処理手順を示すタイミングチャートである。
【図6】発信側端末となる通信端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】着信側端末となる通信端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】着信側端末が着信を拒否した場合における発信側端末の表示手段の画面表示例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
101、102 通信端末(携帯型)
103、104 通信端末(固定型)
105 電話通信網
201 メモリ領域
202 着信端末機能制限情報設定リスト
203 着信制御情報設定リスト
204 設定リスト入力手段
205 表示手段
206 着信処理部
207 発信処理部
208 着信拒否信号処理部
209 着信端末機能制限解除信号処理部
210 切断処理部
211 送信処理部
212 受信処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を着信端末に対して送信可能な通信端末であって、
前記着信端末機能制限情報を着信端末毎に予め設定する設定手段を備える通信端末。
【請求項2】
前記設定手段は、着信端末に付与された識別番号毎に前記着信端末機能制限情報を設定する請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
発信端末が設定した着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を受信する受信手段と、
着信動作を制限する着信制御情報を設定する設定手段と、
前記着信端末機能制限情報および前記着信制御情報に基づいて着信拒否の判定を行う判定手段と、
を備える通信端末。
【請求項4】
前記着信拒否の理由となる着信端末機能制限情報を発信端末に送信する送信手段を備える請求項3記載の通信端末。
【請求項5】
発信時に着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を請求項4記載の通信端末に対して送信し、
前記通信端末から送信された着信端末機能制限情報を表示し、
表示した着信端末機能制限情報が設定する着信端末の機能制限を解除する通信制御方法。
【請求項6】
発信端末が設定した着信端末の機能を制限する着信端末機能制限情報を受信する手段と、着信動作を制限するための着信制御情報を設定する手段とを備える通信端末の制御プログラムであって、コンピュータを、
前記着信端末機能制限情報および前記着信制御情報に基づいて着信拒否の判定を行う手段として機能させる通信端末の制御プログラム。
【請求項7】
請求項6記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−5870(P2006−5870A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182785(P2004−182785)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】