説明

通信装置、その制御方法、及び制御プログラム

【課題】複数の送信方法の使用可否の設定に応じて送信履歴情報を参照することができるようにする。
【解決手段】画像形成装置200は複数の送信方法のいずれかを用いて他の機器にデータを送信する送信機能を有する。CPU201は画像形成装置で実行された送信ジョブの履歴について、少なくとも送信宛先を含む送信履歴情報としてRAM203又はHD210に記録する。更に、CPU201は、送信履歴情報の参照が指示された場合に、複数の送信方法の使用可否の設定と送信宛先とに応じて送信履歴情報の参照を許可するか否かを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実行された送信ジョブの履歴を参照することができる通信装置、その制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、通信装置には、通信装置自体又はその機能を使用するために認証が必要となるものがある。一方、プリンタ等の画像形成装置において、送信機能を備えて、外部の他の機器とデータの送受信を行うものがあり、例えば、外部の他の機器から印刷ジョブを受けると、当該印刷ジョブを情報処理した後、画像形成を行うようにしたものがある。つまり、画像形成装置は通信装置の一つに含めることができる。
【0003】
画像形成装置(以下、デバイスと呼ぶこともある)においても、画像形成装置自体又はその機能を使用するために認証が必要となる画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、認証されたユーザのみに対してデバイスの使用が許可されることになる。そして、このような認証を提供するアプリケーションソフトウェアが知られている。以下、上記の認証をデバイス認証と呼ぶことにする。
【0004】
さらに、データの送信又はプリント等の特定の機能を、認証されたユーザにのみ使用させる画像形成装置があり、このような認証を提供するアプリケーションソフトウェアも知られている。以下、このような認証を機能認証と呼ぶことにする。
【0005】
従来、デバイス認証を有する画像形成装置においては、画像形成装置による設定でデバイス認証を行うか否かについて設定することができる。デバイス認証を行う設定が行われると、ログイン際にユーザ認証が行われて、ユーザ認証にパスしたユーザのみが画像形成装置を使用することができる。
【0006】
このような画像形成装置において、ユーザ認証にパスすると、画像形成装置に蓄積された送信履歴(画像形成装置に送信された送信ジョブ等の履歴)を参照して、新たな送信ジョブを入力することができるようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、デバイス認証を有する画像形成装置において、認証中に実行されたジョブ(例えば、印刷ジョブ)に係る送信履歴情報を、ログアウトの際に削除する機能を備えるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006‐41598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、画像形成装置においてはデバイス認証がパスすると、画像形成装置に蓄積された送信ジョブに関する送信履歴情報を参照することができる。一方、このような画像形成装置において、認証済みユーザが実行した送信ジョブに関する履歴情報が他のユーザから見えてしまい、セキュリティー上の問題が発生する場合ある。例えば、電子メールを用いた送信ジョブの履歴情報が、電子メールを用いたデータ送信機能の使用を許可されていないユーザによって参照された場合、当該ユーザによって電子メールを用いたデータ送信が行われてしまうことがある。或いは、電子メールを用いたデータ送信自体が行われなくとも、送信履歴情報を参照した設定が完了した後、送信の実行を指示したときにエラーが発生してしまい、使い勝手が悪いという問題もある。
【0010】
さらに、認証中に実行された送信ジョブの送信履歴情報をログアウト際に削除する場合には、再度ログインして過去に実行した送信履歴情報に基づいて送信ジョブを再送信しようとしても、再送信を行うことができないという問題点がある。
【0011】
従って、本発明の目的は、複数の送信方法の使用可否の設定に応じて送信履歴情報を参照することのできる通信装置、その制御方法、及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明による通信装置は、複数の送信方法のいずれかを用いて他の機器にデータを送信する送信機能を有する通信装置であって、前記通信装置で実行された送信ジョブの履歴について、少なくとも送信宛先を含む送信履歴情報として記録する記録手段と、前記複数の送信方法に含まれる各送信方法の使用可否を設定する設定手段と、前記送信履歴情報の参照が指示された場合に、前記設定手段により設定された前記複数の送信方法の使用可否と前記送信履歴情報に含まれる送信宛先とに応じて前記送信履歴情報の参照を許可するか否かを決定する決定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の送信方法の使用可否の設定に応じて送信履歴情報を参照することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態による通信装置の一つである画像形成装置の一例についてその利用環境を概略的に示す図である。
【図2】図1に示すMFPのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すMFPにおいて送信指示の際に表示される宛先指定画面表示の一例を示す図である。
【図4】図2に示すMFPにおいて送信履歴データをRAMに保持する際の宛先データのデータ構造を示す図である。
【図5】図2に示すMFPにおいて、RAMに設定された送信制限パラメータの一例を示す図である。
【図6】図2に示すMFPにおいて、送信履歴参照が行われた際の送信履歴情報の作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図2に示すMFPにおいて、送信履歴参照が行われた際の画面表示の一例示す図であり、(A)は送信履歴情報の全てが表示可能と判断された際の画面表示を示す図、(B)は送信履歴情報の一つについて表示許可されなかった場合の画面表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態による通信装置の一例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、通信装置の一つである画像形成装置を例に挙げて説明するが、画像形成装置以外の機器においても、同様にして本発明を適用することができる。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態による通信装置の一つである画像形成装置の一例についてその利用環境を概略的に示す図である。
【0017】
図1を参照すると、図示の画像形成装置は、例えば、マルチファンクション・プリンタ(MFP)200であり、MFP200はローカルエリアネットワーク(LAN)100を介してLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバ300に接続されている。MFP200は、予め規定されたプロトコルによってLDAPサーバ300(他の機器)と通信し、後述する送信時におけるユーザ認証を行う。つまり、MFP200はデータの送受信を行う送受信機能を有している。ここでは、MFP200は少なくともデータ送信機能及びファイル送信機能を備えている。なお、当該プロトコルは周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0018】
図2は、図1に示すMFP200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0019】
図2を参照して、MFP200は、CPU201、ROM202、RAM203、ネットワークインタフェースカード(NIC)204、外部入力コントローラ(PANELC)205、及び各種ボタン又はタッチパネル(以下、単にパネルと呼ぶ)206を備えている。さらに、MFP200は、ディスプレイコントローラ(DISPC)207、ディスプレイ208、及びディスクコントローラ(DKC)209、ハードディスク(HD)210を備えている。また、図示の例では、MFP200は、プリンタ部211及びスキャナ部212を備えている。
【0020】
CPU201は、システムバス213に接続される各デバイスを総括的に制御するとともに、ROM202又は大規模記憶装置であるHD210に記憶されたファームウェアモジュールを実行する。なお、ファームウェアモジュールは、少なくとも2つ以上のモジュールから構成され、ファームウェアモジュールの更新は、それぞれのモジュールごとに行うことが可能である。
【0021】
さらに、CPU201は、制御プログラムであるファームウェアモジュールに基づいて、後述する処理を実行する。なお、HD210は、画像データの一時記憶領域として用いられることがある。RAM203は、CPU201に係る主メモリ及びワークエリアとして用いられる。
【0022】
PANELC205は、パネル206から入力される指示を受け付け制御する。DISPC207は、ディスプレイ208を制御して、ディスプレイ208上に描画を表示する。
【0023】
NIC204は、LAN100を介して他のMFP及びファイルサーバ(ともに図示せず:他の機器)、又はLDAPサーバ300(図1)と双方向にデータの送受信を行う。プリンタ部211は、例えば、電子写真プロセスに応じて記録紙に画像形成を行う。スキャナ部212は、記録紙に印刷されている画像の読み取りを行う。
【0024】
なお、スキャナ部212には、オプションとしてオートドキュメントフィーダ(図示せず)が装着されており、これによって、スキャナ部212は複数枚の原稿を自動的に読み取ることができる。
【0025】
図示のMFP200は、機能認証として、例えば、送信認証が必要であり、送信認証を行う際には、MFP200はLAN100を介してLDAPサーバ300と通信を行って、ユーザ認証を行うものとする。そして、前述したように、送信認証によって認証されたユーザがMFP200の送信機能を使用することができるようになる。
【0026】
図3は、図2に示すMFP200において送信指示の際に表示される宛先指定画面表示の一例を示す図である。ここで、ディスプレイ208はタッチパネルを有しており、ディスプレイ208に画面表示されたボタン等を押下すると、当該画面から新規画面に遷移するか又はポップアップメニューがディスプレイ208上に表示される。
【0027】
図3を参照して、ここでは、ユーザはログイン認証によってMFP200の使用が許可される。ユーザがログイン認証された後、当該ユーザが送信指示を入力すると、MFP200(つまり、CPU201)は、MFP200の通信機能を動作させる。そして、DISPC207はCPU201の制御下でディスプレイ208に宛先指定画面を表示する。この宛先指定画面には新規宛先ボタン301が表示される。なお、MFP200は、少なくとも電子メールを用いたデータ送信機能とファイル送信機能とを有している。
【0028】
新規宛先ボタン301は、新規宛先を入力するためのボタンである。つまり、送信の際に、ユーザが新規宛先ボタン301を押下げると、DISPC207はCPU201の制御下でFAX番号又は電子メール(E−mail)アドレス、ファイル送信のためのアドレス、ユーザ名、及びパスワード等を入力するためのメニューを表示する。
【0029】
さらに、宛先指定画面には、ワンタッチボタン302、定型業務ボタン303、宛先検索ボタン304、宛先表305、コールボタン306、システム状況/中止ボタン307、及び各設定ボタン310が表示されるとともに、宛先表示部308が表示される。
【0030】
ワンタッチボタン302は、ワンタッチボタンとして登録されている宛先ボタンを表示するためのボタンである。定型業務ボタン303は、送信宛先又は読取設定等の設定を一括で呼び出す定型業務ボタンのリストを表示するためのボタンである。宛先検索ボタンは、LDAPサーバ300(図1)から宛先を検索し、当該検索において一致した宛先を送信宛先に設定するためのボタンである。
【0031】
宛先表305は、登録されている宛先表を表示するためのボタンである。コールボタン306は、過去に送信宛先として指定した宛先を表示するためのボタンである。コールボタン306の操作によって、後述するように、1つ前のボタン、2つ前のボタン、及び3つ前のボタンが表示され、各ボタンを押下することによって過去に送信した宛先及び送信設定が呼び出されて表示される。つまり、1つ前のボタンを押下げると、CPU201は直前に送信した宛先及び送信設定を呼び出して、DISPC207を介してディスプレイ208に表示する。同様に、2つ前及び3つ前のボタンを押下げると、CPU201はそれぞれ2回前及び3回前に送信した宛先及び送信設定を呼び出して、DISPC207を介してディスプレイ208に表示する。
【0032】
システム状況/中止ボタン307は、MFC200(図1)において処理中のジョブを表示するためのメニューボタンである。システム状況/中止ボタン307が押下げ操作されると、CPU201はDISPC207を介してコピー、送受信、ファクス、プリント、及びデバイスの状態をディスプレイ208に表示する。そして、各ジョブの状況とその履歴及び装置ステータスとがディスプレイに表示される。後述するように、このシステム/中止ボタン307を用いて転送時に送信エラーした転送エラージョブを再送信することができる。
【0033】
宛先表示部308は、送信指示された情報を表示する表示領域であり、図中、左側の領域には、送信ステータス、宛先数、そして3件分の宛先が表示される。一方、図示の例では、図中右側の領域には上から順に現在時刻及び読取パラメータ(白黒/カラー:白黒2値、解像度200x100dpi、読取濃度:自動)が表示されている。
【0034】
図示の例においては、各設定ボタン310によって、読み込み設定、ファイル形式、及び送信設定が設定される。読み込み設定においては、解像度、カラー/白黒、読取サイズ、及び濃度等が設定される。ファイル形式では、TIFF、JPEG、PDF、及びPDF+OCR等が設定される。送信設定においては、タイマー送信、済スタンプ、送信文書名、件名、本文、返信先、及び発信人名称等が設定される。
【0035】
図4は、図2に示すMFP200において送信履歴データ(送信履歴情報)をRAM203に保持する際の宛先データのデータ構造を示す図である。
【0036】
図4を参照して、RAM203(図2)には、複数の送信履歴レコード400が記録される。そして、送信履歴コード400の各々には送信ジョブ情報が保持されている。送信履歴コード400の各々は、送信ジョブ情報として送信宛先ポインタ401、ファイル形式402、解像度403、及び濃度404を表す情報を有している。
【0037】
送信宛先ポインタ401は送信宛先情報に対する接続を表し、ファイル形式402は送信ジョブで用いたファイル形式を示す情報を表す。解像度403は画像を蓄積する際に用いた解像度を示す情報を表す。濃度404は画像を蓄積する際に用いた画像濃度を表す。
【0038】
図示の例では、宛先ポインタ401は、送信宛先の情報を示す宛先情報レコード410を指している。宛先情報レコード410は、名称411、アドレス412、プロトコル413、及び次ポインタ414から構成されている。名称411は宛先の名称を表す。アドレス412は、例えば、FAX送信であると電話番号、E−mail送信の場合にはE−mailアドレスを表す。そして、ファイル送信の場合には、アドレス412は送信先のフォルダ名を指示する。
【0039】
プロトコル413は、FAX送信、E−mail送信、及びファイル送信等の送信に用いるプロトコルを表す。次ポインタ414は宛先が複数ある場合に次の宛先情報レコードを表す。2つ目の宛先がある場合には、次ポインタ414に次の宛先情報レコード420のアドレスが入っている。そして、次宛先情報レコード420は前述の宛先情報レコード410と同様の情報要素から構成されている。
【0040】
なお、次宛先情報レコード420では、名称、アドレス、プロトコル、及び次ポインタにそれぞれ符号421、422、423、及び424が付されている。
【0041】
図5は、図2に示すMFP200において、RAM203に設定された送信制限パラメータの一例を示す図である。
【0042】
図5において、送信制限パラメータは、例えば、E−mail送信設定(電子メール送信設定)、Fax送信設定、ファイル送信設定、及びメモリメディアの送信を有している。図示の例では、E−mail送信設定501については、MFP200がE−mail送信を許可する宛先に関する設定値を保有している。
【0043】
E−mail送信設定501において、「許可しない」が選択された場合には、MFP200(つまり、CPU201)は、E−mail送信を全ての宛先に対して許可しない動作になる。一方、E−mail送信設定501において、「全ての宛先を許可する」が選択された場合には、MFP200は、E−mail送信を全ての宛先に対して許可する。また、E−mail送信設定501において、「本人宛先のみ許可する」が選択された場合には、MFP200は、ログインした本人(ユーザ)を送信宛先としたE−mail送信のみを許可する。なお、ログインした本人のE−mailアドレスは、ログイン認証の際にLDAPサーバ300からMFP200に通知され、MFP200(例えば、RAM203)に保存される。
【0044】
上記のE−mail送信設定501は、ディスプレイ208、つまり、タッチパネルを介してユーザによって設定可能である。また、LAN100を介してリモートUIアクセスによってもユーザはE−mail送信設定501を行うことができる。
【0045】
ファイル送信設定502については、MFP200がファイル送信許可する宛先に関する設定値を保有している。ファイル送信設定502において、「許可しない」が選択された場合には、MFP200(つまり、CPU201)はファイル送信を一切許可しない動作となる。
【0046】
ファイル送信設定502において、「全ての送信先を許可する」が選択された場合には、MFP200はファイル送信を制限なく全ての送信先に対して許可する。ファイル送信設定502において、「送信先が本人もしくは指定されたフォルダのみに許可する」が選択された場合には、MFP200は、送信先がログイン本人が保持するフォルダである場合又は予めLDAPサーバ300によって指定されたフォルダである場合に送信可能とする。
【0047】
E−mail送信設定501及びファイル送信設定502における設定は、本来は送信するか否かを制限する設定値である。しかしながら、図示の例では、E−mail送信設定501及びファイル送信設定502における設定値を、送信履歴参照(コールボタン306の操作)と関連づけて用いることにする。そして、この詳細な説明は、後述の図6に示すフローチャートを用いて説明する。なお、FAX送信設定及びメモリメディア送信設定については、それぞれ「Fax送信を許可する」及び「メモリメディアへの送信を許可する」か否かの設定が行われる。
【0048】
図6は、図2に示すMFP200において送信履歴参照が行われた際の送信履歴情報の作成処理を説明するためのフローチャートである。
【0049】
図2及び図4〜図6を参照して、いま、ユーザはMFP200のログイン認証を受けたものとする。そして、ユーザが送信指示を入力すると、CPU201は、送信機能(通信機能ともいう)を動作させ、DISPC207がCPU201の制御下でディスプレイ208に宛先指定画面を表示する。
【0050】
宛先指定画面において、コールボタン306が押下げられると、CPU201は、RAM203に格納された送信履歴情報(送信履歴データ)中の送信履歴レコードにおける先頭アドレスを取得して、内部的なポインタにセットする(ステップS601)。
【0051】
なお、送信履歴レコードは図4で説明したデータ形式を有している。続いて、CPU201は、内部的なポインタにセットした送信履歴レコードを調べて、送信履歴レコードが存在するか確認する(ステップS602)。
【0052】
送信履歴レコードが存在しないと(ステップS602において、NO)、CPU201は送信履歴情報作成処理を終了する。一方、送信履歴レコードが存在すると(ステップS602において、YES)、CPU201はレコード情報(図4に示す送信履歴レコード400)を取得する(ステップS603)。
【0053】
続いて、CPU201は送信宛先ポインタ401に基づいて宛先情報レコード410を取得する(ステップS604)。そして、CPU201は、宛先情報レコード410のアドレス412及び送信プロトコル413基づいて、送信先がE−Mailの宛先であるか否かについて調べる(ステップS605)。
【0054】
送信先がE−Mail宛先であると(ステップS605において、YES)、CPU201は、E−mail送信設定501が「全ての宛先を許可する」に設定されているか否かについて調べる。(ステップS606)。
【0055】
E−mail送信設定501が「全ての宛先を許可する」に設定されていると(ステップS606において、YES)、宛先情報レコード410のアドレス412は送信してよい宛先であるので、CPU201は送信履歴参照を行ってもよいと判断する。そして、CPU201はステップS613に進んで、他の送信宛先(他のアドレス)があるか否かについて調べる。
【0056】
E−mail送信設定501が「全ての宛先を許可する」に設定されていないと(ステップS606において、NO)、CPU201は、E−mail送信設定501が「本人宛先のみ許可する」(SelfOnly)に設定されているか否かについて調べる(ステップS607)。
【0057】
E−mail送信設定501が「本人宛先のみ許可する」に設定されていないと(ステップS607において、NO)、E−mail送信は「許可しない(不許可)」ことになるので、CPU201は当該宛先履歴レコード410を送信履歴情報へ付加しない。そして、CPU201は、ステップS615へ進んで、次の送信履歴レコードに関して判定を行う。
【0058】
E−mail送信設定501が「本人宛先のみ許可する」に設定されていると(ステップS607において、YES)、CPU201は、宛先情報レコード410のアドレス412を示す情報がログインユーザのメールアドレスとしてLDAPサーバ300(図1)から通知されたアドレス(通知アドレス)と一致する否かについて調べる(ステップS608)。
【0059】
アドレス412が通知アドレスと一致していると(ステップS608において、YES)、宛先情報レコード410のアドレス412は送信してよい宛先であるので、CPU201は送信履歴参照を行ってもよいと判断する。そして、CPU201はS613へ進んで、他の送信宛先があるか否かについて調べる。
【0060】
一方、アドレス412が通知アドレスと一致していないと(ステップS608において、NO)、CPU201は宛先情報レコードの410アドレス412は送信してはいけない宛先であるとして、当該宛先履歴レコード410を送信履歴情報へ付加しない。そして、CPU201はステップS615に進んで、次の送信履歴レコードに関する判定を行う。
【0061】
このようにして、CPU201は、送信宛先とE−mail(電子メール)送信設定とを比較し、その比較結果に応じて送信履歴情報の参照(つまり、表示)を許可するか否かを決定することになる。
【0062】
ステップS605において、送信先がE−Mailの宛先でないと(ステップS605において、NO)、CPU201は、宛先情報レコード401のアドレス412及び送信プロトコル413に基づいて、送信先がファイル送信宛先であるか否かについて調べる(ステップS609)。そして、送信先がファイル送信宛先であると(ステップS609において、YES)、CPU201は、ファイル送信設定502が「全ての送信先を許可する」に設定されていか否かについて調べる(ステップS610)。
【0063】
ファイル送信設定502が「全ての送信先を許可する」に設定されている(ステップS610において、YES)、CPU201は宛先情報レコード410のアドレス412は送信してよい宛先であるとし、送信履歴参照を行ってもよいと判断する。そして、CPU201は、ステップS613へ進んで、他の送信宛先があるか否かについて調べる。
【0064】
ファイル送信設定502が「全ての送信先を許可する」に設定されていないと(ステップS610において、NO)、CPU201は、ファイル送信設定502が「送信先が本人(SelfOnly)又は指定されたフォルダのみに許可する」に設定されているか否かについて調べる(ステップS611)。ここで、指定されたフォルダとは予め登録された登録フォルダである。例えば、HD210には登録フォルダの名称が登録フォルダ名として記憶されている。
【0065】
ファイル送信設定502が「送信先が本人又は指定されたフォルダのみに許可する」に設定されていないと(ステップS611において、NO)、CPU201は、ファイル送信を「許可しない(不許可)」設定であるとして、宛先履歴レコード410を送信履歴情報へ付加しない。そして、CPU201はステップS615へ進んで、次の送信履歴情報に対する処理を行うため、送信履歴レコードのポインタを一つ進める。
【0066】
ファイル送信設定502が「送信先が本人又は指定されたフォルダのみに許可する」に設定されていると(ステップS611において、YES)、CPU201は、宛先情報レコード410のアドレス412がログインユーザの送信先フォルダとしてLDAPサーバから通知されたフォルダ(通知フォルダ)又は送信先フォルダとして登録されているフォルダ(登録フォルダ)と一致しているか否かについて調べる(ステップS612)。
【0067】
宛先情報レコード410のアドレス412が通知フォルダ又は登録フォルダと一致していると(ステップS612において、YES)、CPU201は、宛先情報レコード410のアドレス412を送信してよい宛先として、送信履歴参照を行ってもよいと判断する。そして、CPU201はステップS613に進んで、他の送信宛先があるか否かに調べる。
【0068】
一方、宛先情報レコード410のアドレス412が通知フォルダ又は登録フォルダと一致していないと(ステップS612において、NO)、CPU201は宛先情報レコード410のアドレス412を送信してはいけない宛先として、当該宛先情報レコードを送信履歴情報へ付加しない。そして、CPU201はステップS615に進んで、次の送信履歴情報に対する処理を行うため、送信履歴レコードのポインタを一つ進める。
【0069】
このようにして、CPU201は、送信宛先とファイル送信設定とを比較し、その比較結果に応じて送信履歴情報の参照(つまり、表示)を許可するか否かを決定することになる。
【0070】
ステップS609において、送信先がファイル送信宛先でないと(ステップS609において、NO)、CPU201は、送信宛先ポインタ401が示す宛先情報レコード410の次ポインタ414が存在するかを調べる(ステップS613)。そして、次ポインタ414が存在すると(ステップS613において、YES)、CPU201はステップS604に戻って、次の宛先情報レコード420からアドレス422を取得する。
【0071】
次ポインタ414が存在しないと、つまり、Nullであると(ステップS613において、NO)、宛先としては最終データとなるので、CPU201は送信履歴レコード400を表示データに追加して、ユーザに対する表示を可とする(ステップS614)。
【0072】
続いて、CPU201は、次の送信履歴情報に対する処理を行うため、送信履歴レコードのポインタを一つ進める(ステップS615)。そして、CPU201はステップS602に戻って処理を続行する。
【0073】
このようにして、送信履歴情報に関して、CPU201はユーザに対する通知が可能な宛先であるか否かを判断する処理を行う。そして、送信履歴参照(コールボタン306押下)が行われた際に、CPU201はユーザに対する通知が可能な宛先についてのみディスプレイ208に表示する処理を行う。
【0074】
図7は、図2に示すMFP200において、送信履歴参照が行われた際の画面表示の一例示す図である。そして、図7(A)では、送信履歴情報の全てが表示可能と判断された際の画面表示を示す図であり、図7(B)は、送信履歴情報の一つについて表示許可されなかった場合の画面表示を示す図である。
【0075】
図7(A)においては、送信履歴情報の全てが表示可能と判断されているので、CPU201はDISPC207を制御して1つ前のボタン701、2つ前のボタン702、及び3つ前のボタン703の全てをディスプレイ208に表示する。ここでは、1つ前のボタン701を押下げると、CPU201は直前に送信した宛先及び送信設定を呼び出して、DISPC207を介してディスプレイ208に送信履歴情報として表示する。同様に、2つ前及び3つ前のボタン702及び703を押下げると、CPU201はそれぞれ2回前及び3回前に送信した宛先及び送信設定を呼び出して、DISPC207を介してディスプレイ208に送信履歴情報として表示する。
【0076】
一方、図7(B)に示す例では、1つ前のボタンに該当する宛先の表示が許されていない。このため、CPU201は当該1つ前のボタンのアイコンをディスプレイ208に表示しない。そして、図示の例では、CPU201は、2つ前のボタン702及び3つの前ボタン703に該当する宛先の表示を表示可能と決定したので、CPU201は当該ボタンのアイコンをディスプレイ208に表示する。
【0077】
このようにして、CPU201は、表示可能な送信履歴情報に対応するボタンアイコンをディスプレイ208に表示して、送信履歴情報に参照に関してセキュリティーの確保を図っている。
【0078】
以上のように、本発明の実施の形態によるMFP200では、送信履歴情報の表示に関して、ログイン認証機能によってログイン認証が行われた後機能認証機能が動作した際、送信履歴情報の表示の指示があると、送信設定と送信宛先とに応じて送信履歴情報の参照を許可するか否かを決定するようにしている。よって、送信履歴情報を表示する際、セキュリティーレベルに応じて送信履歴情報を表示することができる。
【0079】
なお、上述の説明から明らかなように、図2に示すCP201が決定手段として機能し、CPU201、RAM203、DKC209、及びHD210が記録手段として機能することになる。そして、CPU201、RAM203、パネル206、及びディスプレイ208等が、複数の送信方法に含まれる各送信方法の使用可否を設定する設定手段として機能する。
【0080】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0081】
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を、画像形成装置等の情報処理装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、この制御プログラムを画像形成装置等の情報処理装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。この際、制御方法及び制御プログラムは、少なくとも記録ステップ及び決定ステップを有することになる。
【0082】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0083】
100 LAN(ローカルエリアネットワーク)
200 MFP(マルチファンクション・プリンタ)
300 LDAPサーバ
201 CPU
206 パネル
208 ディスプレイ
211 プリンタ部
212 スキャナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信方法のいずれかを用いて他の機器にデータを送信する送信機能を有する通信装置であって、
前記通信装置で実行された送信ジョブの履歴について、少なくとも送信宛先を含む送信履歴情報として記録する記録手段と、
前記複数の送信方法に含まれる各送信方法の使用可否を設定する設定手段と、
前記送信履歴情報の参照が指示された場合に、前記設定手段により設定された前記複数の送信方法の使用可否と前記送信履歴情報に含まれる送信宛先とに応じて前記送信履歴情報の参照を許可するか否かを決定する決定手段とを有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記設定手段は、電子メールを用いたデータ送信機能の使用可否を設定可能であって、
前記決定手段は、前記設定手段により電子メールを用いたデータ送信機能の使用が不許可に設定され、且つ、前記送信履歴情報に含まれる送信宛先が電子メールを用いたデータ送信機能に対応するものである場合に、前記送信履歴情報の参照を不許可とすることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
ユーザを認証する認証手段を更に備え、
前記設定手段は、電子メールを用いたデータ送信機能の使用を前記認証手段により認証されたユーザに対応する送信宛先に送信する場合に限り許可することを設定可能であって、
前記決定手段は、前記設定手段により電子メールを用いたデータ送信機能の使用が前記認証手段により認証されたユーザに対応する送信宛先に送信する場合に限り許可することが設定され、且つ、前記送信履歴情報に含まれる送信宛先が電子メールを用いたデータ送信機能に対応するものであって、前記認証手段により認証されたユーザに対応するものである場合に、前記送信履歴情報の参照を許可することを特徴とする請求項1または2記載の通信装置。
【請求項4】
前記設定手段は、ファイル送信機能の使用可否を設定可能であって、
前記決定手段は、前記設定手段によりファイル送信機能の使用が不許可に設定され、且つ、前記送信履歴情報に含まれる送信宛先がファイル送信機能に対応するものである場合に、前記送信履歴情報の参照を不許可とすることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
ユーザを認証する認証手段を更に備え、
前記設定手段は、ファイル送信機能の使用を前記認証手段により認証されたユーザに対応する送信宛先または予め指定された送信宛先に送信する場合に限り許可することを設定可能であって、
前記決定手段は、前記設定手段によりファイル送信機能の使用が前記認証手段により認証されたユーザに対応する送信宛先または予め指定された送信宛先に送信する場合に限り許可することが設定され、且つ、前記送信履歴情報に含まれる送信宛先がファイル送信機能に対応するものであって、前記認証手段により認証されたユーザに対応するまたは予め指定された送信宛先と一致するものである場合に、前記送信履歴情報の参照を許可することを特徴とする請求項1または4記載の通信装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記送信履歴情報の参照が許可されると、当該送信履歴情報を参照するためのアイコンを表示部に表示するようにしたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の通信装置。
【請求項7】
複数の送信方法のいずれかを用いて他の機器にデータを送信する送信機能を有する通信装置を制御するための制御方法であって、
前記通信装置で実行された送信ジョブの履歴について、少なくとも送信宛先を含む送信履歴情報として記録する記録ステップと、
前記複数の送信方法に含まれる各送信方法の使用可否を設定する設定ステップと、
前記送信履歴情報の参照が指示された場合に、前記設定ステップで設定された前記複数の送信方法の使用可否と前記送信履歴情報に含まれる送信宛先とに応じて前記送信履歴情報の参照を許可するか否かを決定する決定ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の通信装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−234170(P2011−234170A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103193(P2010−103193)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】