通信装置、復調方法
【課題】通信品質の向上
【解決手段】それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、各信号変化検出回路に対応する復調系回路を備える構成で、復調系回路の出力(パケット)を選択する際に、伝送路符号が検出できたどうかという情報のほかに平均振幅レベルの大きさの情報を用いることにより、選択の正答率を向上させる。例えば伝送路符号が複数の復調系回路で検出された場合、平均振幅レベルが最も大きい復調系回路の出力を選択する。
【解決手段】それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、各信号変化検出回路に対応する復調系回路を備える構成で、復調系回路の出力(パケット)を選択する際に、伝送路符号が検出できたどうかという情報のほかに平均振幅レベルの大きさの情報を用いることにより、選択の正答率を向上させる。例えば伝送路符号が複数の復調系回路で検出された場合、平均振幅レベルが最も大きい復調系回路の出力を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置、復調方法に関し、特に非接触ICカードと非接触通信を行うリーダ/ライタ装置として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−318385号公報
【0003】
非接触ICカードは、その情報の読み取りや書き込みを行う装置(リーダ/ライタ装置)との間で無線通信により簡単に情報のやり取りを行うことが可能であるととともに、磁気カードに比べて記憶容量が大きく、また、格納した情報の不正な読み出しや改竄に対する耐性が高いなど、数々の優れた特徴を有している。そのため、近年では、例えば金融機関のクレジットカードや、電子マネーの格納用カード、交通機関の定期券などの用途で、広く一般に利用されている。
また、非接触ICカードと同等の通信機能を、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)などの機器に内蔵し、これらの機器がICカードと同様に使用できるようにしたものも開発されている。
【0004】
ICカードとリーダ/ライタ装置の概略的な構成例を図17に示す。
図17においてICカードとしては、アンテナ回路と負荷変調回路のみを示し、復調系や制御系は省略している。
ICカードでは、コイルL10、コンデンサC10の並列共振回路によりアンテナ回路が形成されている。また、スイッチ素子Tr1と抵抗R10により負荷変調回路が形成される。
【0005】
リーダ/ライタ装置では、コイルL2、コンデンサC20の並列共振回路と、コンデンサC21によりアンテナ回路91が構成される。
このアンテナ回路91に対して並列に、変調信号発生回路92が接続される。変調信号発生回路92については、信号源として簡略化して示しているが、このリーダ/ライタ装置が、ICカードに対して送信するASK(Amplitude Shift Keying)変調信号を発生させる回路部である。例えば周波数13.56MHzのキャリア信号を、送信するデータによりASK変調する回路である。
またアンテナ回路91に対して、ASK復調回路93が接続される。ASK復調回路93は、ダイオード検波回路94、低域フィルタ95、リミッタアンプ96、同期回路97、判定器98から成る。
【0006】
このようなICカードとリーダ/ライタ装置では、次のように通信が行われる。
リーダ/ライタ装置は、変調信号発生回路92で発生させた例えばキャリア周波数13.56MHzの変調信号を、アンテナ回路91から電波出力する。
ICカード側では、リーダ/ライタ装置から送出された電波をアンテナ回路で受信し、図示しない復調回路でASK変調信号をデジタル信号に復調し、図示しない制御系回路へ供給する。
ICカードから信号をリーダ/ライタ装置に送信する場合は、ICカードの制御系回路が送信信号TxDをスイッチ素子Tr1に与えてスイッチ素子Tr1をオン/オフさせる。スイッチ素子Tr1がオン/オフされることで、負荷抵抗値が変化するが、これが外部のリーダ/ライタ装置側でキャリア信号のASK変調信号、つまりICカード側からの送信情報として検出される。
リーダ/ライタ装置側では、このようなASK変調信号を、ASK復調回路93で復調することになる。
【0007】
ところで、リーダ/ライタ装置でのICカードでの負荷変調による送信信号の復調に関して、次のような問題があった。
負荷変調時に、ICカードとリーダ/ライタ装置の間の距離が特定の距離となっている際に、位相方向の変化量は存在するが振幅方向の変化量がなくなる状態、いわゆるNull状態となることがあり、この場合、従来のASK復調回路93では、受信信号を復調できずに通信が不能となる。
【0008】
この問題の対策として、上記特許文献1では、従来のASK復調回路のような振幅変化検出回路だけでなく、位相変化検出回路も用いて、その2つの回路の出力系列の一方を選択する方法を提案している。即ち図18(a)に示すように、振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102を備えるようにする。振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102にはアンテナ回路で得られた受信信号が供給され、振幅変化検出回路101は振幅変化を検出し、位相変化検出回路102は位相変化を検出する。
選択復調回路100は、振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102のうちの一方の系列を選択し、受信情報RxDを出力する。
【0009】
そして選択復調回路100の構成例として、図19(a)(b)(c)が提示されている。
図19(a)の構成の場合、振幅変化検出回路101の出力をA/D変換器111aでデジタル化し、伝送路符号検出部112aで伝送路符号の検出を行う。
ICカードとリーダ/ライタ装置の間の通信は、例えば図18(b)のようにプリアンブル、シンクコード、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)情報を含むパケット構造を用いて行われるが、伝送路符号検出部112aでは伝送路符号として例えばシンクコードの検出を確認する。
また、位相変化検出回路102の出力については、A/D変換器111bでデジタル化し、伝送路符号検出部112bで伝送路符号の検出を行う。
そして、選択器113は、伝送路符号検出部112a、112bの検出結果を確認し、伝送路符号検出部112a、112bの出力のうちで伝送路符号が正しく検出できた方を選択して同期検出部114に供給する。同期検出部では同期検出及びデータ再生が行われ、さらに誤り検出部115でCRC情報を用いた誤り検出が行われ、誤りが無ければ、正しく復調された受信情報RxDとして出力される。
【0010】
図19(b)の構成の場合は、振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102のそれぞれの出力がA/D変換器111a、111bでデジタル化され、この各デジタル信号に対して、それぞれ同期検出部114a,114bで同期検出・データ再生が行われる。そして選択器113は、同期検出部114a、114bからの同期検出処理結果を確認し、同期検出部114a、114bの出力のうちで正しく同期検出及びデータ再生できた方を選択して誤り検出部115に供給する。
【0011】
図19(c)の構成の場合は、振幅変化検出回路101の出力がA/D変換器111aでデジタル化され、同期検出部114a、誤り検出部115aで処理される。また位相変化検出回路102の出力がA/D変換器111bでデジタル化され、同期検出部114b、誤り検出部115bで処理される。
そして選択器113は、誤り検出部115a、115bのCRC結果を確認し、エラーのない方を選択して受信情報RxDとして出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、これらの方式では、遅延をもたらしてアプリケーションの仕様を満足しなかったり、選択を間違えて特性劣化をもたらすという問題が残された。
【0013】
例えば、図19(a)(b)の場合、振幅変化検出回路101の出力に対応する処理系(伝送路符号検出部112a又は同期検出部114a)と、位相変化検出回路102の出力に対応する処理系(伝送路符号検出部112b又は同期検出部114b)のうちで、一方だけパケットデータを正しく検出処理できた場合は良いが、各処理系で伝送路符号や同期を検出できた場合、どちらがベストなものかを選択することができない。
通常、伝送路符号や同期を検出するのに必要な通信品質はそれほど高くない。このため例えば伝送路符号が検出できたとしても、そのパケットが必ずしも有効なものとは限らない。
特許文献1では、複数の処理系で伝送路符号が検出された場合、予め設定した優先度に従って選択する方法が提案されているが、有効パケットデータが振幅変化から得られるか位相変化から得られるかは、アンテナの共振周波数やアンテナ間の距離などさまざまな要因に依存するために、一意にどちらかの処理系の優先度を上げることは有効な手段ではなく、むしろ、特性を著しく劣化させてしまうこともある。
【0014】
また、図19(c)のような方式は、誤りのないパケットを選択できるが、パケットの誤りを検出するためには、パケットを最後まで一度溜取り込んで、パケットの最後のCRCで検出する。このため、誤り検出情報を検出するのに多くの時間を有するために、受信情報RxDとして得られる復調データは大きく遅延する。多くのアプリケーションは、通常、このような遅延を許容しない。
【0015】
そこで本発明では、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路を備え、復調時に複数の処理系の1つを選択するようにする場合に、大きな遅延無く、より正確に選択を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の通信装置は、それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、複数の上記信号変化検出回路にそれぞれ対応して設けられ、それぞれが対応する信号変化検出回路からの信号に基づいてデータ復調のための処理を行うとともに、対応する信号変化検出回路からの信号についての伝送路符号の検出と平均振幅レベルの検出を行う、複数の復調系回路と、複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して、受信情報として出力する選択回路と、複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号及び平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する選択制御回路とを備える。
【0017】
また上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路の一つで、上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させるとともに、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する。
【0018】
また複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号について上記平均振幅レベルの検出を行う。
特に、複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のピーク値を求め、該ピーク値を加算することで上記平均振幅レベルを検出する。
この場合、上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御する。
又は、複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のゼロ点タイミングでの値を求め、該ゼロ点タイミングでの値から上記平均振幅レベルを検出する。
この場合、上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が小さい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御する。
また、複数の上記復調系回路では、それぞれ上記デジタル信号についてのディーティ検出を行い、検出されたディーティ情報を上記平均振幅レベルの検出の際の補正情報として用いる。
【0019】
また、複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号について上記平均振幅レベルの検出を行う。
例えば複数の上記復調系回路では、それぞれ上記対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を積分することで、上記平均振幅レベルの検出を行う。
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御する。
或いは、上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出され、かつ、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のそれぞれで所定値以上の上記平均振幅レベルが検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、予め優先設定した復調系回路の出力を上記選択回路において選択させるように制御する。
【0020】
また複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する振幅変化を検出する。
また複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する位相変化を検出する。
【0021】
本発明の復調方法は、複数の信号変化検出回路と、複数の復調系回路と、複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して受信情報として出力する選択回路を備えた通信装置の復調方法として、複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号の検出結果を確認する伝送路符号検出確認ステップと、複数の上記復調系回路の1つで上記伝送路符号が検出された場合には、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させる第1の選択制御ステップと、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する第2の選択制御ステップとを備える。
【0022】
このような本発明では、復調系回路の出力(パケット)を選択する際に、伝送路符号が検出できたどうかという情報のほかに平均振幅レベルの大きさの情報を用いることにより、正答率を向上させる。
具体的には、伝送路符号が複数の復調系回路で検出された場合、平均振幅レベルが最も大きいもしくは小さい復調系回路の出力を選択する。
または、平均振幅レベルに閾値を設けて、その閾値以上の平均振幅レベルが検出された復調系回路の中から出力を選択する。
また平均振幅レベルを検出する際には、受信波形のデューティも考慮する。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、複数の復調系回路の出力の選択に、伝送路符号の検出有無と、平均振幅レベルの情報を用いることで、安定して正しい選択を行うことができ、これによって通信品質を向上させることができる。
また誤り訂正結果を用いて選択を行うものではないため、受信情報の取込に大きな遅延を発生させることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、非接触ICカードと通信を行うリーダ/ライタ装置を例に挙げて、本発明の実施の形態を説明する。説明は次の順序で行う。
[1.基本構成]
[2.構成例A:アナログ系振幅レベル算出例]
[3.構成例B:アナログ系振幅レベル算出例]
[4.構成例C:デジタル系振幅レベル算出例]
[5.構成例D:デジタル系振幅レベル算出例]
[6.構成例E:デジタル系振幅レベル算出例]
[7.構成例F:デジタル系振幅レベル算出例]
【0025】
[1.基本構成]
図1,図2で、実施の形態のリーダ/ライタ装置1の基本構成を説明する。なお、図1は平均振幅レベルの算出回路をアナログドメインに実装する場合、図2は平均振幅レベルの算出回路をデジタルドメインに実装する場合の例である。
【0026】
まず図1によりリーダ/ライタ装置1の構成を説明する。
リーダ/ライタ装置1では、コイルL1、コンデンサC1の並列共振回路と、コンデンサC2によりアンテナ回路2が構成される。
このアンテナ回路2に対して並列に、変調信号発生回路3が接続される。変調信号発生回路3については信号源として簡略化して示しているが、このリーダ/ライタ装置が、外部のICカードに対して送信するASK変調信号を発生させる回路部である。例えば周波数13.56MHzのキャリア信号を、送信するデータによりASK変調する回路である。
【0027】
外部のICカードからの信号の受信復調処理を行う回路系として、まずアンテナ回路2に対して、信号変化検出回路10,20が接続される。信号変化検出回路10,20は、それぞれ受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する回路とされる。
例えば信号変化検出回路10は、アナログASK検波回路とされ、アンテナ回路2で得られた受信信号についての振幅変化を検出する。
また例えば信号変化検出回路20は、例えばアナログ位相検波回路とされ、アンテナ回路2で得られた受信信号についての位相変化を検出する。
【0028】
この信号変化検出回路10,20の出力は、選択復調回路4に供給される。
選択復調回路4においては、信号変化検出回路10に対応する復調系回路として、A/D変換器31A、同期回路32A、伝送路符号検出回路33A、平均振幅レベル算出回路34Aが設けられる。なお、これらを説明上「第1の復調系回路」と呼ぶこととする。
また、信号変化検出回路20に対応する復調系回路として、A/D変換器31B、同期回路32B、伝送路符号検出回路33B、平均振幅レベル算出回路34Bが設けられる。これらを説明上「第2の復調系回路」と呼ぶ。
また選択復調回路4においては、選択回路36、誤り検出部37,制御回路35が設けられる。
【0029】
この選択復調回路4において、第1の復調系回路において、A/D変換器31Aは、信号変化検出回路10の出力をデジタルデータ化する。
A/D変換器31Aからのデジタルデータは同期回路32Aに供給され、同期回路32Aにおいて同期検出・データ再生処理が行われる。この同期回路32Aの処理で復調された信号SA(受信情報としてのパケットデータ)は選択回路36に供給される。
また伝送路符号検出回路33Aでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
平均振幅レベル算出回路34Aは、信号変化検出回路10の出力信号について振幅レベルを算出し、振幅レベルの情報を制御回路35に供給する。
【0030】
また、第2の復調系回路として、A/D変換器31Bは、信号変化検出回路20の出力をデジタルデータ化する。
A/D変換器31Bからのデジタルデータは同期回路32Bに供給され、同期回路32Bにおいて同期検出・データ再生処理が行われる。この同期回路32Bの処理で復調された信号SB(受信情報としてのパケットデータ)は選択回路36に供給される。
また伝送路符号検出回路33Bでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
平均振幅レベル算出回路34Bは、信号変化検出回路20の出力信号について振幅レベルを算出し、振幅レベルの情報を制御回路35に供給する。
【0031】
選択回路36は、第1の復調系回路から出力された信号SAと、第2の復調系回路から出力された信号SBのうちの一方を選択して、後段の誤り検出部37に出力する。
制御回路35では、第1,第2の復調系回路における伝送路符号検出回路33A、33Bからのそれぞれの伝送路符号検出結果の情報と、平均振幅レベル算出回路34A、34Bからのそれぞれの平均振幅レベルの情報とを用いて、選択回路36の選択状態を制御する。
例えば第1,第2の復調系回路の一方で伝送路符号が検出された場合、伝送路符号が検出された方の復調系回路の出力(信号SA,SBの一方)が選択回路36で選択されるように制御する。
また第1,第2の復調系回路の両方で伝送路符号が検出された場合、平均振幅レベルが大きい方の復調系回路の出力(信号SA,SBの一方)が選択回路36で選択されるように制御する。
或いは平均振幅レベルに閾値を設けて、その閾値以上の平均振幅レベルが検出された復調系回路の中から1つの復調系回路を選択して、その出力が選択回路36で選択されるようにしてもよい。
【0032】
選択回路36で選択された信号は、誤り検出部37に供給され、CRC情報を用いた誤り検出処理が行われる。この処理でエラーが無ければ、その信号は、適正な受信情報RxDとしてのパケットデータとされて、図示しない後段の制御回路系に出力される。
【0033】
図2の構成の場合は、平均振幅レベル算出回路34A、34Bが、それぞれA/D変換器31A、31Bから出力されるデジタルデータについて、平均振幅レベルの算出を行う点が、図1の構成と異なる。
この場合も、制御回路35は、第1,第2の復調系回路における伝送路符号検出回路33A、33Bからのそれぞれの伝送路符号検出結果の情報と、平均振幅レベル算出回路34A、34Bからのそれぞれの平均振幅レベルの情報とを用いて、選択回路36の選択状態を制御する。
【0034】
デジタルドメインで実装される場合、平均振幅レベルAaveは、例えば次の(数1)(数2)のいずれかの演算により導出することができる。
【0035】
【数1】
【数2】
但し、Sは信号、Tsはサンプリング間隔、mは伝送路符号が検出されたサンプル数、aは任意の遅延サンプル数、iは平均値を求める際のインデックスである。
【0036】
上記の平均振幅レベルAaveは、必ずしも、伝送路符号が検出されたタイミングから直近のNサンプルである必要でない。また、上記の値に比例する量であれば、利用することができる。
【0037】
なお、図1,図2の各構成の場合において、制御回路35は、伝送路符号検出回路33A、33Bからの検出出力について、次のようにして誤判定を避けることが好ましい。
信号変化検出回路10、20からの2つのパスは、異なるアナログ回路の出力系列であるため、データの遅延量も当然異なる。
このため、一方の復調系回路で伝送路符号が検出されたタイミングで、他方の復調系回路の検出状況を誤判定する可能性がある。
例えば図3の第1パス、第2パスは、それぞれ信号変化検出回路10、20に対する第1,第2の復調系回路における伝送路符号検出情報を示している。即ち第1パスの信号は、伝送路符号検出回路33Aの検出結果出力であり、第2パスの信号は伝送路符号検出回路33Bの検出結果出力である。
ここで、制御回路35は、或る時点t0で、伝送路符号検出回路33Aの検出出力により、第1の復調系回路において伝送路符号が検出されたことを認識したとする。
ところがこの時点t0では、まだ伝送路符号検出回路33Bの検出出力によっては、アナログ系の信号遅延の影響などで、伝送路符号が検出されたという結果が得られていなかったとする。
このため、一方の復調系回路で伝送路符号が検出されたタイミングで、他方の復調系回路の検出状況について判定すると、誤判定する可能性がある。そこで、どちらかのパスで伝送路符号が検出されたとき、そのタイミングをトリガーとしてある時間Tdほど時間が経過してから両パスの検出状況を読み取ることにより、誤判定を避ける。
例えば制御回路35は、時点t0より時間Tdだけ待機した時点t1において、伝送路符号検出回路33A、33Bのそれぞれの検出結果出力を読み取ることで、アナログ信号遅延による誤判定を避けることができる。
【0038】
[2.構成例A:アナログ系振幅レベル算出例]
以下、より具体的な構成例を説明していく。なお以降、構成例A〜Fとして各種の構成例を説明するが、各構成例において、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、繰り返しの説明を避ける。
【0039】
図4は、図1のようなアナログ信号について平均振幅レベルの算出を行う場合の、より具体的な構成例である。
この場合、信号変化検出回路10に対応する第1の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Aの具体例として、積分回路41Aを備える。
また、信号変化検出回路20に対応する第2の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Bの具体例として、積分回路41Bを備える。
また、積分回路41A、41Bの出力を比較し、比較結果情報を出力する比較器42を備える。なお、図では比較器42の比較結果情報が制御回路35に供給される構成としているが、この比較器42は、制御回路35の内部構成と考えても良い。
【0040】
この場合、信号変化検出回路10の出力についての平均振幅レベルが、積分回路41Aの出力として得られ、また信号変化検出回路20の出力についての平均振幅レベルが、積分回路41Bの出力として得られ、これらが比較器42で比較される。
比較器42は、例えば「1」「0」の2値の比較結果情報として、どちらの平均振幅レベルが大きいかの情報を制御回路35に供給する。
なお、図1で説明したように、制御回路35には、伝送路符号検出回路33A、33Bによる伝送路符号の検出結果情報も供給されている。
【0041】
制御回路35は、例えば図5の処理により、選択回路36を制御する。
ステップF101として、伝送路符号検出回路33A、33Bのいずれかで伝送路符号が検出されたか否かを確認する。
伝送路符号検出回路33A、33Bの一方で伝送路符号が検出されたことの検出結果情報が得られたら、制御回路35はステップF102に進み、時間Td待機したうえで、再度、伝送路符号検出回路33A、33Bの検出結果情報を確認する。つまり、図3で説明したように誤判定を避けるため、最初に伝送路符号検出が認識されてから時間Tdを経た後、伝送路符号検出回路33A、33Bで、それぞれ伝送路符号が検出できたか否かを確認するものである。
【0042】
ステップF103では制御回路35は、伝送路符号検出回路33A、33Bの両方で伝送路符号が検出できたのか、或いは一方のみ伝送路符号が検出できたかにより、処理を分岐する。
伝送路符号検出回路33A、33Bの一方のみで伝送路符号が検出できた場合は、ステップF104に進み、伝送路符号が検出された方の復調系回路の出力を選択するように選択回路36を制御する。
例えば伝送路符号検出回路33Aのみで伝送路符号が検出できた場合は、選択回路36には第1の復調系回路の出力信号SAを選択させる。また伝送路符号検出回路33Bのみで伝送路符号が検出できた場合は、選択回路36には第2の復調系回路の出力信号SBを選択させる。
【0043】
伝送路符号検出回路33A、33Bの両方で伝送路符号が検出できた場合は、ステップF105に進み、制御回路35は、平均振幅レベルの大きい方の復調系回路の出力を選択するように選択回路36を制御する。
即ち比較器42からの比較結果情報を確認し、第1の復調系回路で得られた平均振幅レベル(積分回路41Aの出力)の方が大きいという結果が得られていれば、選択回路36には第1の復調系回路の出力信号SAを選択させる。また第2の復調系回路で得られた平均振幅レベル(積分回路41Bの出力)の方が大きいという結果が得られていれば、選択回路36には第2の復調系回路の出力信号SBを選択させる。
【0044】
制御回路35がこのような処理により選択回路36を制御することで、第1,第2の復調系回路の出力信号SA,SBの選択として、伝送路符号の検出有無と平均振幅レベルの情報を用いた正しい選択を行うことができ、これによって通信品質を向上させることができる。
選択回路36で選択された信号(SA、SBのいずれか)は、誤り検出部37に供給されて誤り検出処理され、エラーが無ければ、適正な受信情報RxDとしてのパケットデータとして後段の制御系回路に供給される。
この構成の場合、選択回路36の選択動作に、誤り検出結果を用いるものでないため、選択復調回路4の受信情報RxDの出力として大きな遅延を発生させることはない。
【0045】
[3.構成例B:アナログ系振幅レベル算出例]
図6も、図1のようなアナログ信号について平均振幅レベルの算出を行う場合の具体的な構成例である。
この場合も、信号変化検出回路10に対応する第1の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Aの具体例として、積分回路41Aを備え、また、信号変化検出回路20に対応する第2の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Bの具体例として、積分回路41Bを備える。
そして積分回路41Aの出力電圧は比較器43Aに供給され、所定の閾値電圧Vthと比較される。比較器43Aは、積分回路41Aの出力電圧が、閾値電圧Vth以上であるか否かの比較結果情報を制御回路35に供給する。
同様に積分回路41Bの出力電圧は比較器43Bに供給され、所定の閾値電圧Vthと比較される。比較器43Bは、積分回路41Bの出力電圧が、閾値電圧Vth以上であるか否かの比較結果情報を制御回路35に供給する。
なお、図では比較器43A、43Bの比較結果情報が制御回路35に供給される構成としているが、この比較器43A、43Bは、制御回路35の内部構成と考えても良い。
【0046】
この場合、信号変化検出回路10、20のそれぞれの出力についての平均振幅レベルが、閾値電圧Vthに相当する所定値以上であるか否かの情報が制御回路35に与えられることになる。
また制御回路35には、図1で説明したように、伝送路符号検出回路33A、33Bによる伝送路符号の検出結果情報も供給されている。
【0047】
制御回路35は、例えば図7の処理により、選択回路36を制御する。
ステップF201として、伝送路符号検出回路33A、33Bのいずれかで伝送路符号が検出されたか否かを確認する。
伝送路符号検出回路33A、33Bの一方で伝送路符号が検出されたことの検出結果情報が得られたら、制御回路35はステップF202に進み、誤判定を避けるため、時間Td待機したうえで、再度、伝送路符号検出回路33A、33Bの検出結果情報を確認する。
【0048】
ステップF203では制御回路35は、伝送路符号が検出された一方又は両方の復調系回路において、平均振幅レベル(積分値)が閾値電圧Vthとしての所定レベル以上であるか否かを確認する。
例えば伝送路符号検出回路33Aのみで伝送路符号が検出できた場合、比較器43Aの比較結果情報を確認して、信号変化検出回路10の出力信号の平均振幅レベル(積分回路41A出力)として閾値Vth以上の積分値が検出されているか否かを確認する。
この場合、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていればステップF204に進み、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていなければステップF201に戻る。
また例えば伝送路符号検出回路33Bのみで伝送路符号が検出できた場合、比較器43Bの比較結果情報を確認して、信号変化検出回路20の出力信号の平均振幅レベル(積分回路41B出力)として閾値Vth以上の積分値が検出されているか否かを確認する。
この場合、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていればステップF204に進み、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていなければステップF201に戻る。
また伝送路符号検出回路33A、33Bの両方で伝送路符号が検出できた場合、比較器43A、43Bの比較結果情報を確認して、それぞれで所定レベル以上の積分値が検出されているか否かを確認する。
この場合、一方でも閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていればステップF204に進み、両方とも閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていなければステップF201に戻る。
【0049】
ステップF201に戻る場合は、第1,第2の復調系回路の一方又は両方で伝送路符号が検出できたが、信号変化検出回路10、20の一方又は両方の出力信号の平均振幅レベルが十分でなく、信頼できない信号状態であったとして、伝送路符号の検出からやり直すことになる。
【0050】
第1,第2の復調系回路の一方又は両方で、平均振幅レベルが閾値Vth以上の状態で伝送路符号が検出できた場合は、ステップF204に進むが、ここで制御回路35は、平均振幅レベルが閾値Vth以上の状態で伝送路符号が検出できた出力が、信号変化検出回路10、20のうちの一方であったか両方であったかにより処理を分岐する。
一方であった場合は、制御回路35はステップF205で、条件を満足した方の復調系回路の出力を選択するように選択回路36を制御する。
例えば信号変化検出回路10の出力信号についての第1の復調系回路のみで平均振幅レベルが閾値Vth以上の状態で伝送路符号が検出できた場合は、選択回路36には、第1の復調系回路からの信号SAを選択させることになる。
【0051】
第1,第2の復調系回路の両方で、条件を満足していた場合、いずれを選択しても問題無いことになる。そこで制御回路35はステップF206に進み、予め決められていた優先度に従って、選択回路36に選択させる。例えば第1の復調系回路を優先させるものとしている場合は、信号SAを選択させることになる。
【0052】
制御回路35がこのような処理により選択回路36を制御することで、上記構成例Aの場合と同様に、第1,第2の復調系回路の出力信号SA,SBの選択として、伝送路符号の検出有無と平均振幅レベルの情報を用いた正しい選択を、大きな遅延無く行うことができる。
【0053】
[4.構成例C:デジタル系振幅レベル算出例]
次に構成例Cとしてデジタルデータ段階で平均振幅レベル検出を行う場合の構成例を図8で説明する。
【0054】
図8の例では、選択復調回路4において信号変化検出回路10に対応する第1の復調系回路としては、1ビットA/D変換器51A、移動平均フィルタ52A、ピーク値検出回路53A、平均振幅レベル算出回路54A、同期回路32A、伝送路符号検出回路33Aを備える。
また 選択復調回路4において信号変化検出回路20に対応する第2の復調系回路としては、1ビットA/D変換器51B、移動平均フィルタ52B、ピーク値検出回路53B、平均振幅レベル算出回路54B、同期回路32B、伝送路符号検出回路33Bを備える。
また選択復調回路4において制御回路35,選択回路36,誤り検出部37を備えることは、上述した各例と同様である。
【0055】
第1の復調系回路として、1ビットA/D変換器51Aは、サンプリング周波数Fs=N×Fbb(Fbbはデータ伝送速度)Hzを用いた1ビット量子化を行うものであり、つまり信号変化検出回路10の出力に対してN倍のオーバーサンプリングとして、例えば図9(a)のように「1」「0」の2値出力を行う。(図9において○はサンプル点)
移動平均フィルタ52Aは、1ビットA/D変換器51Aの出力について所定サンプル数の移動平均値を算出する。移動平均フィルタ52Aの出力は例えば図9(b)のようになる。
ピーク値検出回路53Aは、移動平均フィルタ52Aの出力値から図9(c)のようなピーク値となるサンプルを抽出して平均振幅レベル算出回路34Aに供給する。
平均振幅レベル算出回路34Aは、ピーク値としてのサンプル点の絶対値の加算(もしくは平均値演算)を行い、それを平均振幅レベルの値として制御回路35に供給する。
同期回路32Aは、移動平均フィルタ52Aの出力から、同期検出及び受信情報としてのパケットデータ再生を行い、これを復調した信号SAとして選択回路36に供給する。
伝送路符号検出回路33Aでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0056】
第2の復調系回路でも同様の処理が行われる。即ち1ビットA/D変換器51Bも同様のサンプリング周波数Fsで信号変化検出回路20の出力に対してN倍のオーバーサンプリングを行い、移動平均フィルタ52Bは、1ビットA/D変換器51Bの出力について所定サンプル数の移動平均値を算出する。ピーク値検出回路53Bは、移動平均フィルタ52Bの出力値からピーク値となるサンプルを抽出して平均振幅レベル算出回路34Bに供給する。平均振幅レベル算出回路34Bは、ピーク値としてのサンプル点の絶対値の加算(もしくは平均値演算)を行い、それを平均振幅レベルの値として制御回路35に供給する。
同期回路32Bは、移動平均フィルタ52Bの出力から、同期検出及び受信情報としてのパケットデータ再生を行い、これを復調した信号SBとして選択回路36に供給する。
伝送路符号検出回路33Bでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0057】
この構成において制御回路35は、上述した図5の処理で選択回路36を制御すればよい。即ち一方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、その復調系回路の出力を選択させ、また両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、平均振幅レベルが大きい方の復調系回路の出力を選択させるようにすればよい。
或いは、制御回路35は図7の処理で選択回路36を制御しても良い。即ち、一方又は両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合に、検出された復調系回路における平均振幅レベルが所定の閾値以上となっているか否かを判別する。そして伝送路符号が検出され、かつ平均振幅レベルが閾値以上となっている復調系回路の信号(SA又はSB)を選択させるように選択回路36を制御すればよい。
この構成の場合も、上述した構成例A,Bと同様の効果を得ることができる。
【0058】
[5.構成例D:デジタル系振幅レベル算出例]
次に構成例Dとして図10の構成を説明するが、これも各復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路10,20からのアナログ信号を1ビットA/D変換器51A、51Bでデジタル信号に変換し、移動平均フィルタ52A、52Bで1ビットA/D変換器51A、51Bから出力されるデジタル信号の移動平均値を求める。そして移動平均値のピーク値を求め、ピーク値を加算することで平均振幅レベルを検出するものであるが、特に、同期回路32A、32Bとして、タイミング生成回路61A、61B、ダウンサンプラ62A,62B、判定器63A,63Bで構成される場合の例である。
【0059】
第1の復調系回路においては、タイミング生成回路61Aでは、移動平均フィルタ52Aの出力値からそのピーク値のタイミングを生成する。
図11(a)は1ビットA/D変換器51Aの出力、図11(b)は移動平均フィルタ52Aの出力を示しているが、タイミング生成回路61Aは、図11(c)のように、移動平均値のピークタイミングを示すタイミング信号を生成する。
タイミングの生成は、コスタスループ回路等の手法などにより比較的簡単に導出することができる。
ダウンサンプラ62Aは、このタイミングを用いて、移動平均フィルタ52Aの出力値を2Fbbに間引く。図11(d)にダウンサンプラ62Aの出力を示す。
判定器63Aでは、このダウンサンプラ62Aの出力値を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SAとして選択回路36に供給する。
平均振幅レベル算出回路54Aでは、ダウンサンプラ62Aの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Aでは、信号SAについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0060】
第2の復調系回路も同様に、タイミング生成回路61Bでは、移動平均フィルタ52Bの出力値からそのピーク値のタイミングを生成し、ダウンサンプラ62Bは、このタイミングを用いて、移動平均フィルタ52Bの出力値を2Fbbに間引く。判定器63Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力値を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SBとして選択回路36に供給する。
平均振幅レベル算出回路54Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Bでは、信号SBについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0061】
この構成においても制御回路35は、上述した図5の処理で選択回路36を制御すればよい。即ち一方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、その復調系回路の出力を選択させ、また両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、平均振幅レベルが大きい方の復調系回路の出力を選択させるようにすればよい。
或いは、制御回路35は図7の処理で選択回路36を制御しても良い。即ち、一方又は両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合に、検出された復調系回路における平均振幅レベルが所定の閾値以上となっているか否かを判別する。そして伝送路符号が検出され、かつ平均振幅レベルが閾値以上となっている復調系回路の信号(SA又はSB)を選択させるように選択回路36を制御すればよい。
この構成の場合も、上述した構成例A,Bと同様の効果を得ることができる。
【0062】
[6.構成例E:デジタル系振幅レベル算出例]
図12で構成例Eを説明する。これは各復調系回路において、1ビットA/D変換器51A、51Bから出力されるデジタル信号について、移動平均フィルタ52A、52Bで移動平均値を求め、同期回路32A、32Bで移動平均値のゼロ点タイミングでの値を求め、ゼロ点タイミングでの値から平均振幅レベルを検出する例である。
同期回路32A、32Bは、タイミング生成回路61A、61B、ダウンサンプラ62A,62B、判定器63A,63Bで構成される。
【0063】
第1の復調系回路においては、タイミング生成回路61Aでは、移動平均フィルタ52Aの出力値からそのピーク値のタイミングとゼロ点のタイミングを生成する。
図13(a)は1ビットA/D変換器51Aの出力、図13(b)は移動平均フィルタ52Aの出力を示しているが、タイミング生成回路61Aは、図13(c)のタイミングTM1として移動平均値のピークタイミングを示すタイミング信号を生成し、また図13(e)のタイミングTM2としてゼロ点を示すタイミング信号を生成する。ゼロ点のタイミングTM2は、ピーク値間のタイミングの中心であるため、ピーク値のタイミングTM1から簡単に算出することができる。
ダウンサンプラ62Aは、タイミングTM1を用いて、移動平均フィルタ52Aの出力値を2Fbbに間引き、図13(d)に示す出力OTM1を判定器63Aに供給する。判定器63Aでは、このダウンサンプラ62Aの出力OTM1を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SAとして選択回路36に供給する。
またダウンサンプラ62Aは、タイミングTM2を用いて、移動平均フィルタ52Aの出力値を間引き、ゼロ点のタイミングの値として、図13(f)に示す出力OTM2を平均振幅レベル算出回路54Aに供給する。
平均振幅レベル算出回路54Aでは、ダウンサンプラ62Aの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Aでは、信号SAについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0064】
第2の復調系回路についても同様に、タイミング生成回路61Bでは、移動平均フィルタ52Bの出力値からそのピーク値のタイミングとゼロ点のタイミングTM1,TM2を生成し、ダウンサンプラ62Bは、タイミングTM1での出力OTM1を判定器63Bに供給するとともに、タイミングTM2での出力OTM2を平均振幅レベル算出回路34Bに供給する。
判定器63Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力OTM1を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SBとして選択回路36に供給する。
平均振幅レベル算出回路54Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Bでは、信号SBについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0065】
ICカードとリーダ/ライタ装置の非接触無線通信に用いられるFelica(登録商標)方式では、プリアンブルに”0”のデータをマンチェスター符号化されたものが付加されている。
このために、移動平均フィルタの出力は規則的にゼロクロスする点が現われることになるので、本例では、このゼロ点を利用するものである。つまり規則的にゼロ点が表れることで、適切な信号状態と考えることができる。
平均振幅レベル算出回路54A,54Bではゼロ点のタイミングTM2でのダウンサンプリング出力を加算するが、この場合は、加算値としての平均振幅レベルが小さいほど適切な信号となる。
【0066】
そこで制御回路35は、上述した図5のステップF105を変形した処理で選択回路36を制御する。
即ち一方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、その復調系回路の出力を選択させる。また両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、ステップF105に進むが、この場合、平均振幅レベルが小さい方の復調系回路の出力を選択させるようにすればよい。
或いは、制御回路35は図7のステップF203を変形した処理で選択回路36を制御しても良い。即ち、一方又は両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合に、ステップF203では、検出された復調系回路における平均振幅レベルが所定の閾値以下となっているか否かを判別する。
そして伝送路符号が検出され、かつ平均振幅レベルが閾値以下となっている復調系回路の信号(SA又はSB)を選択させるように選択回路36を制御すればよい。
この構成の場合も、上述した構成例A,Bと同様の効果を得ることができる。
【0067】
[7.構成例F:デジタル系振幅レベル算出例]
上記構成例D,E,Fの場合、第1,第2の復調系回路において、それぞれ信号変化検出回路10、20という異なるアナログ復調回路の信号に対応するため、1ビットA/D変換器51A、51Bの出力値のデューティのズレが、それぞれ異なることが考えられる。
1ビットA/D変換器51A、51Bの出力波形のデューティがずれている場合、たとえ受信振幅レベルが大きくても、平均振幅レベル算出回路54A,54Bで計算される値が小さくなり、選択誤りを起こす可能性がある。
【0068】
そこで構成例Fとして、デューティを検出し、その検出結果に基づいて平均振幅レベル算出回路54A,54Bの算出の際に補正を行う例を示す。
図14は、例えば上記構成例Eとしての図10の構成に加えて、デューティ検出回路56A、56Bを設けたものである。
第1の復調系回路において、1ビットA/D変換器51Aの出力は移動平均フィルタ52Aに供給されると共にデューティ検出回路56Aにも供給される。またデューティ検出回路56Aにはタイミング生成回路61Aからのタイミング信号(図11(c))も供給される。デューティ検出回路56Aは、1ビットA/D変換器51Aの出力についてのデューティ検出を行い、検出結果を平均振幅レベル算出回路54Aに供給する。
また第2の復調系回路において、1ビットA/D変換器51Bの出力は移動平均フィルタ52Bに供給されると共にデューティ検出回路56Bにも供給される。またデューティ検出回路56Bにはタイミング生成回路61Bからのタイミング信号も供給される。デューティ検出回路56Bは、1ビットA/D変換器51Bの出力についてのデューティ検出を行い、検出結果を平均振幅レベル算出回路54Bに供給する。
【0069】
この構成における動作を説明する。
図15(a)(b)に、理想状態とデューティがずれた場合の例を示す。ここでは1ビットA/D変換器51A、51Bは16倍オーバーサンプリングを行うとし、この16倍オーバーサンプリング出力を●で示している。また移動平均フィルタ52A、52Bは8サンプルの移動平均をとるものとし、出力される移動平均値を△で示している。
【0070】
図15(a)は1ビットA/D変換器51A(51B)の出力のデューティが50%となっている理想状態である。
縦軸に値を示しているが、この場合、移動平均値としてのピーク値は「1」「−1」となる。
一方、図15(b)は1ビットA/D変換器51A(51B)の出力のデューティがずれた状態であるが、移動平均値としてのピーク値は「1」「−0.5」となっている。
この図15(b)のような場合、ピーク値を抽出して加算して平均振幅レベルを算出しても、その平均振幅レベルの値は不利な値となってしまう。
【0071】
そこで、両パスをSNR(Signal Noise Ratio)で平等に比較するために、1ビットA/D変換器51A、51Bの各出力波形について、デューティ検出回路56A、56Bでデューティ比を算出して、その値を用いて、平均振幅レベルを補正するようにする。
【0072】
Felica(登録商標)のパケット構成では、パケットの先頭にマンチェスタ符号化されたデータ−1、即ち、−1、1データが5バイト付加されている。データ伝送速度Fbbに対して、16倍でオーバーサンプリングすると、1つのデータに対して−1が8サンプル, 1が8サンプルで構成される。
ここで、デューティずれがなければ、16サンプルの整数倍の数で移動平均をとれば、その移動平均値は「0」になる。図15(a)に16サンプルの移動平均値を○で示しているが、図示のように移動平均値は「0」となっている。
しかし、図15(b)のように「−1」が6サンプル、「1」が10サンプルというようにデューティがずれている場合、16サンプルの整数倍の数で移動平均をとると「+0.25」となる。
この場合、8サンプルの移動平均のピーク値は、「−0.5」「1」となるので、マイナスピーク値だけ、16サンプルの整数倍の数で移動平均値の2倍、即ち
+0.25×2=0.5
だけ補正すればよい。
【0073】
図16にデューティ検出回路56A、56Bの一例を示す。
デューティ検出回路56A、56Bは、移動平均フィルタ71とダウンサンプラ72から構成される。移動平均フィルタ71では、データの伝送速度Fbbと1ビットA/D変換器51A、51Bのサンプリングレートの比に等しい、サンプル数の整数倍のサンプル数を用いて、移動平均値を求める。例えば上記のように1ビットA/D変換器51A、51BのサンプリングレートがFbb×16として16倍のオーバーサンプリングを行う場合、移動平均フィルタ71では16の整数倍のサンプル数の移動平均値を求めればよい。
また、ダウンサンプラ72では、タイミング生成回路の出力タイミングを用いて、移動平均フィルタの出力を間引く。
【0074】
移動平均フィルタ71の出力は、図15(a)(b)で○で示す値となり、つまり、デューティの理想状態を「0」とし、デューティのズレ量に応じて0からずれていく値となる。従って、この出力をダウンサンプリングして平均振幅レベル算出回路54A、54Bに与えることで、平均振幅レベル算出回路54A、54Bではデューティのズレ量の値が与えられることになり、平均振幅レベルを補正することができる。
制御回路35は、補正された平均振幅レベルを用いて図5又は図7の処理で選択回路36を制御すれことで、より正確な選択動作が可能となる。
【0075】
なお、このようなデューティのズレの情報は、平均振幅レベルの補正だけでなく、下記のような使い方も考えられる。
例えば制御回路35での選択制御に用いるようにしても良い。
例えば複数の復調系回路において、伝送路符号が検出され、平均振幅レベルが同一の場合、デューティが50%の理想状態に近いものを選択するということが考えられる。
また、デューティをある閾値と比較し、劣化していると判断された復調系回路の出力は選択しないようにすることもできる。
【0076】
以上、実施の形態について説明してきたが、本発明としては多様な変形例が考えられる。例えば上記各構成例では、2つの信号変化検出回路10、20に対応して2系統の復調系回路を設けた場合について述べたが、信号変化検出回路を3系統以上設け、それぞれに対応して3系統以上の復調系回路を設け、各復調系回路の出力の1つを選択回路で選択するという構成も、上記各実施の形態から導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態の基本構成のブロック図である。
【図2】実施の形態の基本構成のブロック図である。
【図3】実施の形態の伝送路符号検出についての説明図である。
【図4】実施の形態の構成例Aのブロック図である。
【図5】実施の形態の選択制御回路の処理例のフローチャートである。
【図6】実施の形態の構成例Bのブロック図である。
【図7】実施の形態の選択制御回路の処理例のフローチャートである。
【図8】実施の形態の構成例Cのブロック図である。
【図9】実施の形態の構成例Cの動作の説明図である。
【図10】実施の形態の構成例Dのブロック図である。
【図11】実施の形態の構成例Dの動作の説明図である。
【図12】実施の形態の構成例Eのブロック図である。
【図13】実施の形態の構成例Eの動作の説明図である。
【図14】実施の形態の構成例Fのブロック図である。
【図15】実施の形態の構成例Fの動作の説明図である。
【図16】実施の形態のデューティ検出回路のブロック図である。
【図17】ICカードとリーダ/ライタ装置の概略的なブロック図である。
【図18】従来の復調系の構成例及びパケット構造の説明図である。
【図19】従来の復調系の構成例のブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
1 リーダ/ライタ装置、2 アンテナ回路、4 選択復調回路、10,20 信号変化検出回路、31A、31B A/D変換器、32A,32B 同期回路、33A,33B 伝送路符号検出回路、34A,34B,54A,54B 平均振幅レベル算出回路、35 制御回路、36 選択回路、37 誤り検出部、51A,51B 1ビットA/D変換器、52A,52B 移動平均フィルタ、53A,53B ピーク検出回路、56A,56B デューティ検出回路、61A,61B タイミング生成回路、62A,62B ダウンサンプラ、63A,63B 判定器
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置、復調方法に関し、特に非接触ICカードと非接触通信を行うリーダ/ライタ装置として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−318385号公報
【0003】
非接触ICカードは、その情報の読み取りや書き込みを行う装置(リーダ/ライタ装置)との間で無線通信により簡単に情報のやり取りを行うことが可能であるととともに、磁気カードに比べて記憶容量が大きく、また、格納した情報の不正な読み出しや改竄に対する耐性が高いなど、数々の優れた特徴を有している。そのため、近年では、例えば金融機関のクレジットカードや、電子マネーの格納用カード、交通機関の定期券などの用途で、広く一般に利用されている。
また、非接触ICカードと同等の通信機能を、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)などの機器に内蔵し、これらの機器がICカードと同様に使用できるようにしたものも開発されている。
【0004】
ICカードとリーダ/ライタ装置の概略的な構成例を図17に示す。
図17においてICカードとしては、アンテナ回路と負荷変調回路のみを示し、復調系や制御系は省略している。
ICカードでは、コイルL10、コンデンサC10の並列共振回路によりアンテナ回路が形成されている。また、スイッチ素子Tr1と抵抗R10により負荷変調回路が形成される。
【0005】
リーダ/ライタ装置では、コイルL2、コンデンサC20の並列共振回路と、コンデンサC21によりアンテナ回路91が構成される。
このアンテナ回路91に対して並列に、変調信号発生回路92が接続される。変調信号発生回路92については、信号源として簡略化して示しているが、このリーダ/ライタ装置が、ICカードに対して送信するASK(Amplitude Shift Keying)変調信号を発生させる回路部である。例えば周波数13.56MHzのキャリア信号を、送信するデータによりASK変調する回路である。
またアンテナ回路91に対して、ASK復調回路93が接続される。ASK復調回路93は、ダイオード検波回路94、低域フィルタ95、リミッタアンプ96、同期回路97、判定器98から成る。
【0006】
このようなICカードとリーダ/ライタ装置では、次のように通信が行われる。
リーダ/ライタ装置は、変調信号発生回路92で発生させた例えばキャリア周波数13.56MHzの変調信号を、アンテナ回路91から電波出力する。
ICカード側では、リーダ/ライタ装置から送出された電波をアンテナ回路で受信し、図示しない復調回路でASK変調信号をデジタル信号に復調し、図示しない制御系回路へ供給する。
ICカードから信号をリーダ/ライタ装置に送信する場合は、ICカードの制御系回路が送信信号TxDをスイッチ素子Tr1に与えてスイッチ素子Tr1をオン/オフさせる。スイッチ素子Tr1がオン/オフされることで、負荷抵抗値が変化するが、これが外部のリーダ/ライタ装置側でキャリア信号のASK変調信号、つまりICカード側からの送信情報として検出される。
リーダ/ライタ装置側では、このようなASK変調信号を、ASK復調回路93で復調することになる。
【0007】
ところで、リーダ/ライタ装置でのICカードでの負荷変調による送信信号の復調に関して、次のような問題があった。
負荷変調時に、ICカードとリーダ/ライタ装置の間の距離が特定の距離となっている際に、位相方向の変化量は存在するが振幅方向の変化量がなくなる状態、いわゆるNull状態となることがあり、この場合、従来のASK復調回路93では、受信信号を復調できずに通信が不能となる。
【0008】
この問題の対策として、上記特許文献1では、従来のASK復調回路のような振幅変化検出回路だけでなく、位相変化検出回路も用いて、その2つの回路の出力系列の一方を選択する方法を提案している。即ち図18(a)に示すように、振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102を備えるようにする。振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102にはアンテナ回路で得られた受信信号が供給され、振幅変化検出回路101は振幅変化を検出し、位相変化検出回路102は位相変化を検出する。
選択復調回路100は、振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102のうちの一方の系列を選択し、受信情報RxDを出力する。
【0009】
そして選択復調回路100の構成例として、図19(a)(b)(c)が提示されている。
図19(a)の構成の場合、振幅変化検出回路101の出力をA/D変換器111aでデジタル化し、伝送路符号検出部112aで伝送路符号の検出を行う。
ICカードとリーダ/ライタ装置の間の通信は、例えば図18(b)のようにプリアンブル、シンクコード、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)情報を含むパケット構造を用いて行われるが、伝送路符号検出部112aでは伝送路符号として例えばシンクコードの検出を確認する。
また、位相変化検出回路102の出力については、A/D変換器111bでデジタル化し、伝送路符号検出部112bで伝送路符号の検出を行う。
そして、選択器113は、伝送路符号検出部112a、112bの検出結果を確認し、伝送路符号検出部112a、112bの出力のうちで伝送路符号が正しく検出できた方を選択して同期検出部114に供給する。同期検出部では同期検出及びデータ再生が行われ、さらに誤り検出部115でCRC情報を用いた誤り検出が行われ、誤りが無ければ、正しく復調された受信情報RxDとして出力される。
【0010】
図19(b)の構成の場合は、振幅変化検出回路101と位相変化検出回路102のそれぞれの出力がA/D変換器111a、111bでデジタル化され、この各デジタル信号に対して、それぞれ同期検出部114a,114bで同期検出・データ再生が行われる。そして選択器113は、同期検出部114a、114bからの同期検出処理結果を確認し、同期検出部114a、114bの出力のうちで正しく同期検出及びデータ再生できた方を選択して誤り検出部115に供給する。
【0011】
図19(c)の構成の場合は、振幅変化検出回路101の出力がA/D変換器111aでデジタル化され、同期検出部114a、誤り検出部115aで処理される。また位相変化検出回路102の出力がA/D変換器111bでデジタル化され、同期検出部114b、誤り検出部115bで処理される。
そして選択器113は、誤り検出部115a、115bのCRC結果を確認し、エラーのない方を選択して受信情報RxDとして出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、これらの方式では、遅延をもたらしてアプリケーションの仕様を満足しなかったり、選択を間違えて特性劣化をもたらすという問題が残された。
【0013】
例えば、図19(a)(b)の場合、振幅変化検出回路101の出力に対応する処理系(伝送路符号検出部112a又は同期検出部114a)と、位相変化検出回路102の出力に対応する処理系(伝送路符号検出部112b又は同期検出部114b)のうちで、一方だけパケットデータを正しく検出処理できた場合は良いが、各処理系で伝送路符号や同期を検出できた場合、どちらがベストなものかを選択することができない。
通常、伝送路符号や同期を検出するのに必要な通信品質はそれほど高くない。このため例えば伝送路符号が検出できたとしても、そのパケットが必ずしも有効なものとは限らない。
特許文献1では、複数の処理系で伝送路符号が検出された場合、予め設定した優先度に従って選択する方法が提案されているが、有効パケットデータが振幅変化から得られるか位相変化から得られるかは、アンテナの共振周波数やアンテナ間の距離などさまざまな要因に依存するために、一意にどちらかの処理系の優先度を上げることは有効な手段ではなく、むしろ、特性を著しく劣化させてしまうこともある。
【0014】
また、図19(c)のような方式は、誤りのないパケットを選択できるが、パケットの誤りを検出するためには、パケットを最後まで一度溜取り込んで、パケットの最後のCRCで検出する。このため、誤り検出情報を検出するのに多くの時間を有するために、受信情報RxDとして得られる復調データは大きく遅延する。多くのアプリケーションは、通常、このような遅延を許容しない。
【0015】
そこで本発明では、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路を備え、復調時に複数の処理系の1つを選択するようにする場合に、大きな遅延無く、より正確に選択を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の通信装置は、それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、複数の上記信号変化検出回路にそれぞれ対応して設けられ、それぞれが対応する信号変化検出回路からの信号に基づいてデータ復調のための処理を行うとともに、対応する信号変化検出回路からの信号についての伝送路符号の検出と平均振幅レベルの検出を行う、複数の復調系回路と、複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して、受信情報として出力する選択回路と、複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号及び平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する選択制御回路とを備える。
【0017】
また上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路の一つで、上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させるとともに、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する。
【0018】
また複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号について上記平均振幅レベルの検出を行う。
特に、複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のピーク値を求め、該ピーク値を加算することで上記平均振幅レベルを検出する。
この場合、上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御する。
又は、複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のゼロ点タイミングでの値を求め、該ゼロ点タイミングでの値から上記平均振幅レベルを検出する。
この場合、上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が小さい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御する。
また、複数の上記復調系回路では、それぞれ上記デジタル信号についてのディーティ検出を行い、検出されたディーティ情報を上記平均振幅レベルの検出の際の補正情報として用いる。
【0019】
また、複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号について上記平均振幅レベルの検出を行う。
例えば複数の上記復調系回路では、それぞれ上記対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を積分することで、上記平均振幅レベルの検出を行う。
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御する。
或いは、上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出され、かつ、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のそれぞれで所定値以上の上記平均振幅レベルが検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、予め優先設定した復調系回路の出力を上記選択回路において選択させるように制御する。
【0020】
また複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する振幅変化を検出する。
また複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する位相変化を検出する。
【0021】
本発明の復調方法は、複数の信号変化検出回路と、複数の復調系回路と、複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して受信情報として出力する選択回路を備えた通信装置の復調方法として、複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号の検出結果を確認する伝送路符号検出確認ステップと、複数の上記復調系回路の1つで上記伝送路符号が検出された場合には、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させる第1の選択制御ステップと、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する第2の選択制御ステップとを備える。
【0022】
このような本発明では、復調系回路の出力(パケット)を選択する際に、伝送路符号が検出できたどうかという情報のほかに平均振幅レベルの大きさの情報を用いることにより、正答率を向上させる。
具体的には、伝送路符号が複数の復調系回路で検出された場合、平均振幅レベルが最も大きいもしくは小さい復調系回路の出力を選択する。
または、平均振幅レベルに閾値を設けて、その閾値以上の平均振幅レベルが検出された復調系回路の中から出力を選択する。
また平均振幅レベルを検出する際には、受信波形のデューティも考慮する。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、複数の復調系回路の出力の選択に、伝送路符号の検出有無と、平均振幅レベルの情報を用いることで、安定して正しい選択を行うことができ、これによって通信品質を向上させることができる。
また誤り訂正結果を用いて選択を行うものではないため、受信情報の取込に大きな遅延を発生させることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、非接触ICカードと通信を行うリーダ/ライタ装置を例に挙げて、本発明の実施の形態を説明する。説明は次の順序で行う。
[1.基本構成]
[2.構成例A:アナログ系振幅レベル算出例]
[3.構成例B:アナログ系振幅レベル算出例]
[4.構成例C:デジタル系振幅レベル算出例]
[5.構成例D:デジタル系振幅レベル算出例]
[6.構成例E:デジタル系振幅レベル算出例]
[7.構成例F:デジタル系振幅レベル算出例]
【0025】
[1.基本構成]
図1,図2で、実施の形態のリーダ/ライタ装置1の基本構成を説明する。なお、図1は平均振幅レベルの算出回路をアナログドメインに実装する場合、図2は平均振幅レベルの算出回路をデジタルドメインに実装する場合の例である。
【0026】
まず図1によりリーダ/ライタ装置1の構成を説明する。
リーダ/ライタ装置1では、コイルL1、コンデンサC1の並列共振回路と、コンデンサC2によりアンテナ回路2が構成される。
このアンテナ回路2に対して並列に、変調信号発生回路3が接続される。変調信号発生回路3については信号源として簡略化して示しているが、このリーダ/ライタ装置が、外部のICカードに対して送信するASK変調信号を発生させる回路部である。例えば周波数13.56MHzのキャリア信号を、送信するデータによりASK変調する回路である。
【0027】
外部のICカードからの信号の受信復調処理を行う回路系として、まずアンテナ回路2に対して、信号変化検出回路10,20が接続される。信号変化検出回路10,20は、それぞれ受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する回路とされる。
例えば信号変化検出回路10は、アナログASK検波回路とされ、アンテナ回路2で得られた受信信号についての振幅変化を検出する。
また例えば信号変化検出回路20は、例えばアナログ位相検波回路とされ、アンテナ回路2で得られた受信信号についての位相変化を検出する。
【0028】
この信号変化検出回路10,20の出力は、選択復調回路4に供給される。
選択復調回路4においては、信号変化検出回路10に対応する復調系回路として、A/D変換器31A、同期回路32A、伝送路符号検出回路33A、平均振幅レベル算出回路34Aが設けられる。なお、これらを説明上「第1の復調系回路」と呼ぶこととする。
また、信号変化検出回路20に対応する復調系回路として、A/D変換器31B、同期回路32B、伝送路符号検出回路33B、平均振幅レベル算出回路34Bが設けられる。これらを説明上「第2の復調系回路」と呼ぶ。
また選択復調回路4においては、選択回路36、誤り検出部37,制御回路35が設けられる。
【0029】
この選択復調回路4において、第1の復調系回路において、A/D変換器31Aは、信号変化検出回路10の出力をデジタルデータ化する。
A/D変換器31Aからのデジタルデータは同期回路32Aに供給され、同期回路32Aにおいて同期検出・データ再生処理が行われる。この同期回路32Aの処理で復調された信号SA(受信情報としてのパケットデータ)は選択回路36に供給される。
また伝送路符号検出回路33Aでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
平均振幅レベル算出回路34Aは、信号変化検出回路10の出力信号について振幅レベルを算出し、振幅レベルの情報を制御回路35に供給する。
【0030】
また、第2の復調系回路として、A/D変換器31Bは、信号変化検出回路20の出力をデジタルデータ化する。
A/D変換器31Bからのデジタルデータは同期回路32Bに供給され、同期回路32Bにおいて同期検出・データ再生処理が行われる。この同期回路32Bの処理で復調された信号SB(受信情報としてのパケットデータ)は選択回路36に供給される。
また伝送路符号検出回路33Bでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
平均振幅レベル算出回路34Bは、信号変化検出回路20の出力信号について振幅レベルを算出し、振幅レベルの情報を制御回路35に供給する。
【0031】
選択回路36は、第1の復調系回路から出力された信号SAと、第2の復調系回路から出力された信号SBのうちの一方を選択して、後段の誤り検出部37に出力する。
制御回路35では、第1,第2の復調系回路における伝送路符号検出回路33A、33Bからのそれぞれの伝送路符号検出結果の情報と、平均振幅レベル算出回路34A、34Bからのそれぞれの平均振幅レベルの情報とを用いて、選択回路36の選択状態を制御する。
例えば第1,第2の復調系回路の一方で伝送路符号が検出された場合、伝送路符号が検出された方の復調系回路の出力(信号SA,SBの一方)が選択回路36で選択されるように制御する。
また第1,第2の復調系回路の両方で伝送路符号が検出された場合、平均振幅レベルが大きい方の復調系回路の出力(信号SA,SBの一方)が選択回路36で選択されるように制御する。
或いは平均振幅レベルに閾値を設けて、その閾値以上の平均振幅レベルが検出された復調系回路の中から1つの復調系回路を選択して、その出力が選択回路36で選択されるようにしてもよい。
【0032】
選択回路36で選択された信号は、誤り検出部37に供給され、CRC情報を用いた誤り検出処理が行われる。この処理でエラーが無ければ、その信号は、適正な受信情報RxDとしてのパケットデータとされて、図示しない後段の制御回路系に出力される。
【0033】
図2の構成の場合は、平均振幅レベル算出回路34A、34Bが、それぞれA/D変換器31A、31Bから出力されるデジタルデータについて、平均振幅レベルの算出を行う点が、図1の構成と異なる。
この場合も、制御回路35は、第1,第2の復調系回路における伝送路符号検出回路33A、33Bからのそれぞれの伝送路符号検出結果の情報と、平均振幅レベル算出回路34A、34Bからのそれぞれの平均振幅レベルの情報とを用いて、選択回路36の選択状態を制御する。
【0034】
デジタルドメインで実装される場合、平均振幅レベルAaveは、例えば次の(数1)(数2)のいずれかの演算により導出することができる。
【0035】
【数1】
【数2】
但し、Sは信号、Tsはサンプリング間隔、mは伝送路符号が検出されたサンプル数、aは任意の遅延サンプル数、iは平均値を求める際のインデックスである。
【0036】
上記の平均振幅レベルAaveは、必ずしも、伝送路符号が検出されたタイミングから直近のNサンプルである必要でない。また、上記の値に比例する量であれば、利用することができる。
【0037】
なお、図1,図2の各構成の場合において、制御回路35は、伝送路符号検出回路33A、33Bからの検出出力について、次のようにして誤判定を避けることが好ましい。
信号変化検出回路10、20からの2つのパスは、異なるアナログ回路の出力系列であるため、データの遅延量も当然異なる。
このため、一方の復調系回路で伝送路符号が検出されたタイミングで、他方の復調系回路の検出状況を誤判定する可能性がある。
例えば図3の第1パス、第2パスは、それぞれ信号変化検出回路10、20に対する第1,第2の復調系回路における伝送路符号検出情報を示している。即ち第1パスの信号は、伝送路符号検出回路33Aの検出結果出力であり、第2パスの信号は伝送路符号検出回路33Bの検出結果出力である。
ここで、制御回路35は、或る時点t0で、伝送路符号検出回路33Aの検出出力により、第1の復調系回路において伝送路符号が検出されたことを認識したとする。
ところがこの時点t0では、まだ伝送路符号検出回路33Bの検出出力によっては、アナログ系の信号遅延の影響などで、伝送路符号が検出されたという結果が得られていなかったとする。
このため、一方の復調系回路で伝送路符号が検出されたタイミングで、他方の復調系回路の検出状況について判定すると、誤判定する可能性がある。そこで、どちらかのパスで伝送路符号が検出されたとき、そのタイミングをトリガーとしてある時間Tdほど時間が経過してから両パスの検出状況を読み取ることにより、誤判定を避ける。
例えば制御回路35は、時点t0より時間Tdだけ待機した時点t1において、伝送路符号検出回路33A、33Bのそれぞれの検出結果出力を読み取ることで、アナログ信号遅延による誤判定を避けることができる。
【0038】
[2.構成例A:アナログ系振幅レベル算出例]
以下、より具体的な構成例を説明していく。なお以降、構成例A〜Fとして各種の構成例を説明するが、各構成例において、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、繰り返しの説明を避ける。
【0039】
図4は、図1のようなアナログ信号について平均振幅レベルの算出を行う場合の、より具体的な構成例である。
この場合、信号変化検出回路10に対応する第1の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Aの具体例として、積分回路41Aを備える。
また、信号変化検出回路20に対応する第2の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Bの具体例として、積分回路41Bを備える。
また、積分回路41A、41Bの出力を比較し、比較結果情報を出力する比較器42を備える。なお、図では比較器42の比較結果情報が制御回路35に供給される構成としているが、この比較器42は、制御回路35の内部構成と考えても良い。
【0040】
この場合、信号変化検出回路10の出力についての平均振幅レベルが、積分回路41Aの出力として得られ、また信号変化検出回路20の出力についての平均振幅レベルが、積分回路41Bの出力として得られ、これらが比較器42で比較される。
比較器42は、例えば「1」「0」の2値の比較結果情報として、どちらの平均振幅レベルが大きいかの情報を制御回路35に供給する。
なお、図1で説明したように、制御回路35には、伝送路符号検出回路33A、33Bによる伝送路符号の検出結果情報も供給されている。
【0041】
制御回路35は、例えば図5の処理により、選択回路36を制御する。
ステップF101として、伝送路符号検出回路33A、33Bのいずれかで伝送路符号が検出されたか否かを確認する。
伝送路符号検出回路33A、33Bの一方で伝送路符号が検出されたことの検出結果情報が得られたら、制御回路35はステップF102に進み、時間Td待機したうえで、再度、伝送路符号検出回路33A、33Bの検出結果情報を確認する。つまり、図3で説明したように誤判定を避けるため、最初に伝送路符号検出が認識されてから時間Tdを経た後、伝送路符号検出回路33A、33Bで、それぞれ伝送路符号が検出できたか否かを確認するものである。
【0042】
ステップF103では制御回路35は、伝送路符号検出回路33A、33Bの両方で伝送路符号が検出できたのか、或いは一方のみ伝送路符号が検出できたかにより、処理を分岐する。
伝送路符号検出回路33A、33Bの一方のみで伝送路符号が検出できた場合は、ステップF104に進み、伝送路符号が検出された方の復調系回路の出力を選択するように選択回路36を制御する。
例えば伝送路符号検出回路33Aのみで伝送路符号が検出できた場合は、選択回路36には第1の復調系回路の出力信号SAを選択させる。また伝送路符号検出回路33Bのみで伝送路符号が検出できた場合は、選択回路36には第2の復調系回路の出力信号SBを選択させる。
【0043】
伝送路符号検出回路33A、33Bの両方で伝送路符号が検出できた場合は、ステップF105に進み、制御回路35は、平均振幅レベルの大きい方の復調系回路の出力を選択するように選択回路36を制御する。
即ち比較器42からの比較結果情報を確認し、第1の復調系回路で得られた平均振幅レベル(積分回路41Aの出力)の方が大きいという結果が得られていれば、選択回路36には第1の復調系回路の出力信号SAを選択させる。また第2の復調系回路で得られた平均振幅レベル(積分回路41Bの出力)の方が大きいという結果が得られていれば、選択回路36には第2の復調系回路の出力信号SBを選択させる。
【0044】
制御回路35がこのような処理により選択回路36を制御することで、第1,第2の復調系回路の出力信号SA,SBの選択として、伝送路符号の検出有無と平均振幅レベルの情報を用いた正しい選択を行うことができ、これによって通信品質を向上させることができる。
選択回路36で選択された信号(SA、SBのいずれか)は、誤り検出部37に供給されて誤り検出処理され、エラーが無ければ、適正な受信情報RxDとしてのパケットデータとして後段の制御系回路に供給される。
この構成の場合、選択回路36の選択動作に、誤り検出結果を用いるものでないため、選択復調回路4の受信情報RxDの出力として大きな遅延を発生させることはない。
【0045】
[3.構成例B:アナログ系振幅レベル算出例]
図6も、図1のようなアナログ信号について平均振幅レベルの算出を行う場合の具体的な構成例である。
この場合も、信号変化検出回路10に対応する第1の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Aの具体例として、積分回路41Aを備え、また、信号変化検出回路20に対応する第2の復調系回路の平均振幅レベル算出回路34Bの具体例として、積分回路41Bを備える。
そして積分回路41Aの出力電圧は比較器43Aに供給され、所定の閾値電圧Vthと比較される。比較器43Aは、積分回路41Aの出力電圧が、閾値電圧Vth以上であるか否かの比較結果情報を制御回路35に供給する。
同様に積分回路41Bの出力電圧は比較器43Bに供給され、所定の閾値電圧Vthと比較される。比較器43Bは、積分回路41Bの出力電圧が、閾値電圧Vth以上であるか否かの比較結果情報を制御回路35に供給する。
なお、図では比較器43A、43Bの比較結果情報が制御回路35に供給される構成としているが、この比較器43A、43Bは、制御回路35の内部構成と考えても良い。
【0046】
この場合、信号変化検出回路10、20のそれぞれの出力についての平均振幅レベルが、閾値電圧Vthに相当する所定値以上であるか否かの情報が制御回路35に与えられることになる。
また制御回路35には、図1で説明したように、伝送路符号検出回路33A、33Bによる伝送路符号の検出結果情報も供給されている。
【0047】
制御回路35は、例えば図7の処理により、選択回路36を制御する。
ステップF201として、伝送路符号検出回路33A、33Bのいずれかで伝送路符号が検出されたか否かを確認する。
伝送路符号検出回路33A、33Bの一方で伝送路符号が検出されたことの検出結果情報が得られたら、制御回路35はステップF202に進み、誤判定を避けるため、時間Td待機したうえで、再度、伝送路符号検出回路33A、33Bの検出結果情報を確認する。
【0048】
ステップF203では制御回路35は、伝送路符号が検出された一方又は両方の復調系回路において、平均振幅レベル(積分値)が閾値電圧Vthとしての所定レベル以上であるか否かを確認する。
例えば伝送路符号検出回路33Aのみで伝送路符号が検出できた場合、比較器43Aの比較結果情報を確認して、信号変化検出回路10の出力信号の平均振幅レベル(積分回路41A出力)として閾値Vth以上の積分値が検出されているか否かを確認する。
この場合、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていればステップF204に進み、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていなければステップF201に戻る。
また例えば伝送路符号検出回路33Bのみで伝送路符号が検出できた場合、比較器43Bの比較結果情報を確認して、信号変化検出回路20の出力信号の平均振幅レベル(積分回路41B出力)として閾値Vth以上の積分値が検出されているか否かを確認する。
この場合、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていればステップF204に進み、閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていなければステップF201に戻る。
また伝送路符号検出回路33A、33Bの両方で伝送路符号が検出できた場合、比較器43A、43Bの比較結果情報を確認して、それぞれで所定レベル以上の積分値が検出されているか否かを確認する。
この場合、一方でも閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていればステップF204に進み、両方とも閾値Vth以上の平均振幅レベルが検出されていなければステップF201に戻る。
【0049】
ステップF201に戻る場合は、第1,第2の復調系回路の一方又は両方で伝送路符号が検出できたが、信号変化検出回路10、20の一方又は両方の出力信号の平均振幅レベルが十分でなく、信頼できない信号状態であったとして、伝送路符号の検出からやり直すことになる。
【0050】
第1,第2の復調系回路の一方又は両方で、平均振幅レベルが閾値Vth以上の状態で伝送路符号が検出できた場合は、ステップF204に進むが、ここで制御回路35は、平均振幅レベルが閾値Vth以上の状態で伝送路符号が検出できた出力が、信号変化検出回路10、20のうちの一方であったか両方であったかにより処理を分岐する。
一方であった場合は、制御回路35はステップF205で、条件を満足した方の復調系回路の出力を選択するように選択回路36を制御する。
例えば信号変化検出回路10の出力信号についての第1の復調系回路のみで平均振幅レベルが閾値Vth以上の状態で伝送路符号が検出できた場合は、選択回路36には、第1の復調系回路からの信号SAを選択させることになる。
【0051】
第1,第2の復調系回路の両方で、条件を満足していた場合、いずれを選択しても問題無いことになる。そこで制御回路35はステップF206に進み、予め決められていた優先度に従って、選択回路36に選択させる。例えば第1の復調系回路を優先させるものとしている場合は、信号SAを選択させることになる。
【0052】
制御回路35がこのような処理により選択回路36を制御することで、上記構成例Aの場合と同様に、第1,第2の復調系回路の出力信号SA,SBの選択として、伝送路符号の検出有無と平均振幅レベルの情報を用いた正しい選択を、大きな遅延無く行うことができる。
【0053】
[4.構成例C:デジタル系振幅レベル算出例]
次に構成例Cとしてデジタルデータ段階で平均振幅レベル検出を行う場合の構成例を図8で説明する。
【0054】
図8の例では、選択復調回路4において信号変化検出回路10に対応する第1の復調系回路としては、1ビットA/D変換器51A、移動平均フィルタ52A、ピーク値検出回路53A、平均振幅レベル算出回路54A、同期回路32A、伝送路符号検出回路33Aを備える。
また 選択復調回路4において信号変化検出回路20に対応する第2の復調系回路としては、1ビットA/D変換器51B、移動平均フィルタ52B、ピーク値検出回路53B、平均振幅レベル算出回路54B、同期回路32B、伝送路符号検出回路33Bを備える。
また選択復調回路4において制御回路35,選択回路36,誤り検出部37を備えることは、上述した各例と同様である。
【0055】
第1の復調系回路として、1ビットA/D変換器51Aは、サンプリング周波数Fs=N×Fbb(Fbbはデータ伝送速度)Hzを用いた1ビット量子化を行うものであり、つまり信号変化検出回路10の出力に対してN倍のオーバーサンプリングとして、例えば図9(a)のように「1」「0」の2値出力を行う。(図9において○はサンプル点)
移動平均フィルタ52Aは、1ビットA/D変換器51Aの出力について所定サンプル数の移動平均値を算出する。移動平均フィルタ52Aの出力は例えば図9(b)のようになる。
ピーク値検出回路53Aは、移動平均フィルタ52Aの出力値から図9(c)のようなピーク値となるサンプルを抽出して平均振幅レベル算出回路34Aに供給する。
平均振幅レベル算出回路34Aは、ピーク値としてのサンプル点の絶対値の加算(もしくは平均値演算)を行い、それを平均振幅レベルの値として制御回路35に供給する。
同期回路32Aは、移動平均フィルタ52Aの出力から、同期検出及び受信情報としてのパケットデータ再生を行い、これを復調した信号SAとして選択回路36に供給する。
伝送路符号検出回路33Aでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0056】
第2の復調系回路でも同様の処理が行われる。即ち1ビットA/D変換器51Bも同様のサンプリング周波数Fsで信号変化検出回路20の出力に対してN倍のオーバーサンプリングを行い、移動平均フィルタ52Bは、1ビットA/D変換器51Bの出力について所定サンプル数の移動平均値を算出する。ピーク値検出回路53Bは、移動平均フィルタ52Bの出力値からピーク値となるサンプルを抽出して平均振幅レベル算出回路34Bに供給する。平均振幅レベル算出回路34Bは、ピーク値としてのサンプル点の絶対値の加算(もしくは平均値演算)を行い、それを平均振幅レベルの値として制御回路35に供給する。
同期回路32Bは、移動平均フィルタ52Bの出力から、同期検出及び受信情報としてのパケットデータ再生を行い、これを復調した信号SBとして選択回路36に供給する。
伝送路符号検出回路33Bでは、復調されたパケットを構成する伝送路符号として、例えばシンクコード等の検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0057】
この構成において制御回路35は、上述した図5の処理で選択回路36を制御すればよい。即ち一方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、その復調系回路の出力を選択させ、また両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、平均振幅レベルが大きい方の復調系回路の出力を選択させるようにすればよい。
或いは、制御回路35は図7の処理で選択回路36を制御しても良い。即ち、一方又は両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合に、検出された復調系回路における平均振幅レベルが所定の閾値以上となっているか否かを判別する。そして伝送路符号が検出され、かつ平均振幅レベルが閾値以上となっている復調系回路の信号(SA又はSB)を選択させるように選択回路36を制御すればよい。
この構成の場合も、上述した構成例A,Bと同様の効果を得ることができる。
【0058】
[5.構成例D:デジタル系振幅レベル算出例]
次に構成例Dとして図10の構成を説明するが、これも各復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路10,20からのアナログ信号を1ビットA/D変換器51A、51Bでデジタル信号に変換し、移動平均フィルタ52A、52Bで1ビットA/D変換器51A、51Bから出力されるデジタル信号の移動平均値を求める。そして移動平均値のピーク値を求め、ピーク値を加算することで平均振幅レベルを検出するものであるが、特に、同期回路32A、32Bとして、タイミング生成回路61A、61B、ダウンサンプラ62A,62B、判定器63A,63Bで構成される場合の例である。
【0059】
第1の復調系回路においては、タイミング生成回路61Aでは、移動平均フィルタ52Aの出力値からそのピーク値のタイミングを生成する。
図11(a)は1ビットA/D変換器51Aの出力、図11(b)は移動平均フィルタ52Aの出力を示しているが、タイミング生成回路61Aは、図11(c)のように、移動平均値のピークタイミングを示すタイミング信号を生成する。
タイミングの生成は、コスタスループ回路等の手法などにより比較的簡単に導出することができる。
ダウンサンプラ62Aは、このタイミングを用いて、移動平均フィルタ52Aの出力値を2Fbbに間引く。図11(d)にダウンサンプラ62Aの出力を示す。
判定器63Aでは、このダウンサンプラ62Aの出力値を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SAとして選択回路36に供給する。
平均振幅レベル算出回路54Aでは、ダウンサンプラ62Aの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Aでは、信号SAについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0060】
第2の復調系回路も同様に、タイミング生成回路61Bでは、移動平均フィルタ52Bの出力値からそのピーク値のタイミングを生成し、ダウンサンプラ62Bは、このタイミングを用いて、移動平均フィルタ52Bの出力値を2Fbbに間引く。判定器63Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力値を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SBとして選択回路36に供給する。
平均振幅レベル算出回路54Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Bでは、信号SBについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0061】
この構成においても制御回路35は、上述した図5の処理で選択回路36を制御すればよい。即ち一方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、その復調系回路の出力を選択させ、また両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、平均振幅レベルが大きい方の復調系回路の出力を選択させるようにすればよい。
或いは、制御回路35は図7の処理で選択回路36を制御しても良い。即ち、一方又は両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合に、検出された復調系回路における平均振幅レベルが所定の閾値以上となっているか否かを判別する。そして伝送路符号が検出され、かつ平均振幅レベルが閾値以上となっている復調系回路の信号(SA又はSB)を選択させるように選択回路36を制御すればよい。
この構成の場合も、上述した構成例A,Bと同様の効果を得ることができる。
【0062】
[6.構成例E:デジタル系振幅レベル算出例]
図12で構成例Eを説明する。これは各復調系回路において、1ビットA/D変換器51A、51Bから出力されるデジタル信号について、移動平均フィルタ52A、52Bで移動平均値を求め、同期回路32A、32Bで移動平均値のゼロ点タイミングでの値を求め、ゼロ点タイミングでの値から平均振幅レベルを検出する例である。
同期回路32A、32Bは、タイミング生成回路61A、61B、ダウンサンプラ62A,62B、判定器63A,63Bで構成される。
【0063】
第1の復調系回路においては、タイミング生成回路61Aでは、移動平均フィルタ52Aの出力値からそのピーク値のタイミングとゼロ点のタイミングを生成する。
図13(a)は1ビットA/D変換器51Aの出力、図13(b)は移動平均フィルタ52Aの出力を示しているが、タイミング生成回路61Aは、図13(c)のタイミングTM1として移動平均値のピークタイミングを示すタイミング信号を生成し、また図13(e)のタイミングTM2としてゼロ点を示すタイミング信号を生成する。ゼロ点のタイミングTM2は、ピーク値間のタイミングの中心であるため、ピーク値のタイミングTM1から簡単に算出することができる。
ダウンサンプラ62Aは、タイミングTM1を用いて、移動平均フィルタ52Aの出力値を2Fbbに間引き、図13(d)に示す出力OTM1を判定器63Aに供給する。判定器63Aでは、このダウンサンプラ62Aの出力OTM1を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SAとして選択回路36に供給する。
またダウンサンプラ62Aは、タイミングTM2を用いて、移動平均フィルタ52Aの出力値を間引き、ゼロ点のタイミングの値として、図13(f)に示す出力OTM2を平均振幅レベル算出回路54Aに供給する。
平均振幅レベル算出回路54Aでは、ダウンサンプラ62Aの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Aでは、信号SAについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0064】
第2の復調系回路についても同様に、タイミング生成回路61Bでは、移動平均フィルタ52Bの出力値からそのピーク値のタイミングとゼロ点のタイミングTM1,TM2を生成し、ダウンサンプラ62Bは、タイミングTM1での出力OTM1を判定器63Bに供給するとともに、タイミングTM2での出力OTM2を平均振幅レベル算出回路34Bに供給する。
判定器63Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力OTM1を2値化し、サンプリングレートをFbbに間引く。そして信号SBとして選択回路36に供給する。
平均振幅レベル算出回路54Bでは、ダウンサンプラ62Bの出力値を加算して平均振幅レベルを計算し、制御回路35に供給する。
伝送路符号検出回路33Bでは、信号SBについて伝送路符号検出の有無を判別し、その判別結果情報を制御回路35に与える。
【0065】
ICカードとリーダ/ライタ装置の非接触無線通信に用いられるFelica(登録商標)方式では、プリアンブルに”0”のデータをマンチェスター符号化されたものが付加されている。
このために、移動平均フィルタの出力は規則的にゼロクロスする点が現われることになるので、本例では、このゼロ点を利用するものである。つまり規則的にゼロ点が表れることで、適切な信号状態と考えることができる。
平均振幅レベル算出回路54A,54Bではゼロ点のタイミングTM2でのダウンサンプリング出力を加算するが、この場合は、加算値としての平均振幅レベルが小さいほど適切な信号となる。
【0066】
そこで制御回路35は、上述した図5のステップF105を変形した処理で選択回路36を制御する。
即ち一方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、その復調系回路の出力を選択させる。また両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合は、ステップF105に進むが、この場合、平均振幅レベルが小さい方の復調系回路の出力を選択させるようにすればよい。
或いは、制御回路35は図7のステップF203を変形した処理で選択回路36を制御しても良い。即ち、一方又は両方の復調系回路で伝送路符号が検出された場合に、ステップF203では、検出された復調系回路における平均振幅レベルが所定の閾値以下となっているか否かを判別する。
そして伝送路符号が検出され、かつ平均振幅レベルが閾値以下となっている復調系回路の信号(SA又はSB)を選択させるように選択回路36を制御すればよい。
この構成の場合も、上述した構成例A,Bと同様の効果を得ることができる。
【0067】
[7.構成例F:デジタル系振幅レベル算出例]
上記構成例D,E,Fの場合、第1,第2の復調系回路において、それぞれ信号変化検出回路10、20という異なるアナログ復調回路の信号に対応するため、1ビットA/D変換器51A、51Bの出力値のデューティのズレが、それぞれ異なることが考えられる。
1ビットA/D変換器51A、51Bの出力波形のデューティがずれている場合、たとえ受信振幅レベルが大きくても、平均振幅レベル算出回路54A,54Bで計算される値が小さくなり、選択誤りを起こす可能性がある。
【0068】
そこで構成例Fとして、デューティを検出し、その検出結果に基づいて平均振幅レベル算出回路54A,54Bの算出の際に補正を行う例を示す。
図14は、例えば上記構成例Eとしての図10の構成に加えて、デューティ検出回路56A、56Bを設けたものである。
第1の復調系回路において、1ビットA/D変換器51Aの出力は移動平均フィルタ52Aに供給されると共にデューティ検出回路56Aにも供給される。またデューティ検出回路56Aにはタイミング生成回路61Aからのタイミング信号(図11(c))も供給される。デューティ検出回路56Aは、1ビットA/D変換器51Aの出力についてのデューティ検出を行い、検出結果を平均振幅レベル算出回路54Aに供給する。
また第2の復調系回路において、1ビットA/D変換器51Bの出力は移動平均フィルタ52Bに供給されると共にデューティ検出回路56Bにも供給される。またデューティ検出回路56Bにはタイミング生成回路61Bからのタイミング信号も供給される。デューティ検出回路56Bは、1ビットA/D変換器51Bの出力についてのデューティ検出を行い、検出結果を平均振幅レベル算出回路54Bに供給する。
【0069】
この構成における動作を説明する。
図15(a)(b)に、理想状態とデューティがずれた場合の例を示す。ここでは1ビットA/D変換器51A、51Bは16倍オーバーサンプリングを行うとし、この16倍オーバーサンプリング出力を●で示している。また移動平均フィルタ52A、52Bは8サンプルの移動平均をとるものとし、出力される移動平均値を△で示している。
【0070】
図15(a)は1ビットA/D変換器51A(51B)の出力のデューティが50%となっている理想状態である。
縦軸に値を示しているが、この場合、移動平均値としてのピーク値は「1」「−1」となる。
一方、図15(b)は1ビットA/D変換器51A(51B)の出力のデューティがずれた状態であるが、移動平均値としてのピーク値は「1」「−0.5」となっている。
この図15(b)のような場合、ピーク値を抽出して加算して平均振幅レベルを算出しても、その平均振幅レベルの値は不利な値となってしまう。
【0071】
そこで、両パスをSNR(Signal Noise Ratio)で平等に比較するために、1ビットA/D変換器51A、51Bの各出力波形について、デューティ検出回路56A、56Bでデューティ比を算出して、その値を用いて、平均振幅レベルを補正するようにする。
【0072】
Felica(登録商標)のパケット構成では、パケットの先頭にマンチェスタ符号化されたデータ−1、即ち、−1、1データが5バイト付加されている。データ伝送速度Fbbに対して、16倍でオーバーサンプリングすると、1つのデータに対して−1が8サンプル, 1が8サンプルで構成される。
ここで、デューティずれがなければ、16サンプルの整数倍の数で移動平均をとれば、その移動平均値は「0」になる。図15(a)に16サンプルの移動平均値を○で示しているが、図示のように移動平均値は「0」となっている。
しかし、図15(b)のように「−1」が6サンプル、「1」が10サンプルというようにデューティがずれている場合、16サンプルの整数倍の数で移動平均をとると「+0.25」となる。
この場合、8サンプルの移動平均のピーク値は、「−0.5」「1」となるので、マイナスピーク値だけ、16サンプルの整数倍の数で移動平均値の2倍、即ち
+0.25×2=0.5
だけ補正すればよい。
【0073】
図16にデューティ検出回路56A、56Bの一例を示す。
デューティ検出回路56A、56Bは、移動平均フィルタ71とダウンサンプラ72から構成される。移動平均フィルタ71では、データの伝送速度Fbbと1ビットA/D変換器51A、51Bのサンプリングレートの比に等しい、サンプル数の整数倍のサンプル数を用いて、移動平均値を求める。例えば上記のように1ビットA/D変換器51A、51BのサンプリングレートがFbb×16として16倍のオーバーサンプリングを行う場合、移動平均フィルタ71では16の整数倍のサンプル数の移動平均値を求めればよい。
また、ダウンサンプラ72では、タイミング生成回路の出力タイミングを用いて、移動平均フィルタの出力を間引く。
【0074】
移動平均フィルタ71の出力は、図15(a)(b)で○で示す値となり、つまり、デューティの理想状態を「0」とし、デューティのズレ量に応じて0からずれていく値となる。従って、この出力をダウンサンプリングして平均振幅レベル算出回路54A、54Bに与えることで、平均振幅レベル算出回路54A、54Bではデューティのズレ量の値が与えられることになり、平均振幅レベルを補正することができる。
制御回路35は、補正された平均振幅レベルを用いて図5又は図7の処理で選択回路36を制御すれことで、より正確な選択動作が可能となる。
【0075】
なお、このようなデューティのズレの情報は、平均振幅レベルの補正だけでなく、下記のような使い方も考えられる。
例えば制御回路35での選択制御に用いるようにしても良い。
例えば複数の復調系回路において、伝送路符号が検出され、平均振幅レベルが同一の場合、デューティが50%の理想状態に近いものを選択するということが考えられる。
また、デューティをある閾値と比較し、劣化していると判断された復調系回路の出力は選択しないようにすることもできる。
【0076】
以上、実施の形態について説明してきたが、本発明としては多様な変形例が考えられる。例えば上記各構成例では、2つの信号変化検出回路10、20に対応して2系統の復調系回路を設けた場合について述べたが、信号変化検出回路を3系統以上設け、それぞれに対応して3系統以上の復調系回路を設け、各復調系回路の出力の1つを選択回路で選択するという構成も、上記各実施の形態から導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態の基本構成のブロック図である。
【図2】実施の形態の基本構成のブロック図である。
【図3】実施の形態の伝送路符号検出についての説明図である。
【図4】実施の形態の構成例Aのブロック図である。
【図5】実施の形態の選択制御回路の処理例のフローチャートである。
【図6】実施の形態の構成例Bのブロック図である。
【図7】実施の形態の選択制御回路の処理例のフローチャートである。
【図8】実施の形態の構成例Cのブロック図である。
【図9】実施の形態の構成例Cの動作の説明図である。
【図10】実施の形態の構成例Dのブロック図である。
【図11】実施の形態の構成例Dの動作の説明図である。
【図12】実施の形態の構成例Eのブロック図である。
【図13】実施の形態の構成例Eの動作の説明図である。
【図14】実施の形態の構成例Fのブロック図である。
【図15】実施の形態の構成例Fの動作の説明図である。
【図16】実施の形態のデューティ検出回路のブロック図である。
【図17】ICカードとリーダ/ライタ装置の概略的なブロック図である。
【図18】従来の復調系の構成例及びパケット構造の説明図である。
【図19】従来の復調系の構成例のブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
1 リーダ/ライタ装置、2 アンテナ回路、4 選択復調回路、10,20 信号変化検出回路、31A、31B A/D変換器、32A,32B 同期回路、33A,33B 伝送路符号検出回路、34A,34B,54A,54B 平均振幅レベル算出回路、35 制御回路、36 選択回路、37 誤り検出部、51A,51B 1ビットA/D変換器、52A,52B 移動平均フィルタ、53A,53B ピーク検出回路、56A,56B デューティ検出回路、61A,61B タイミング生成回路、62A,62B ダウンサンプラ、63A,63B 判定器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、
複数の上記信号変化検出回路にそれぞれ対応して設けられ、それぞれが対応する信号変化検出回路からの信号に基づいてデータ復調のための処理を行うとともに、対応する信号変化検出回路からの信号についての伝送路符号の検出と平均振幅レベルの検出を行う、複数の復調系回路と、
複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して、受信情報として出力する選択回路と、
複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号及び平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する選択制御回路と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路の一つで、上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させるとともに、
複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号について上記平均振幅レベルの検出を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のピーク値を求め、該ピーク値を加算することで上記平均振幅レベルを検出することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のゼロ点タイミングでの値を求め、該ゼロ点タイミングでの値から上記平均振幅レベルを検出することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項7】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が小さい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
複数の上記復調系回路では、それぞれ上記デジタル信号についてのディーティ検出を行い、検出されたディーティ情報を上記平均振幅レベルの検出の際の補正情報として用いることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項9】
複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号について上記平均振幅レベルの検出を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
複数の上記復調系回路では、それぞれ上記対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を積分することで、上記平均振幅レベルの検出を行うことを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項12】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出され、かつ、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のそれぞれで所定値以上の上記平均振幅レベルが検出された場合は、
上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、予め優先設定した復調系回路の出力を上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項13】
複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する振幅変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する位相変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項15】
それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、
複数の上記信号変化検出回路にそれぞれ対応して設けられ、それぞれが対応する信号変化検出回路からの信号に基づいてデータ復調のための処理を行うとともに、対応する信号変化検出回路からの信号についての伝送路符号の検出と平均振幅レベルの検出を行う、複数の復調系回路と、
複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して、受信情報として出力する選択回路と、
を備えた通信装置の復調方法として、
複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号の検出結果を確認する伝送路符号検出確認ステップと、
複数の上記復調系回路の1つで上記伝送路符号が検出された場合には、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させる第1の選択制御ステップと、
複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する第2の選択制御ステップと、
を備えたことを特徴とする復調方法。
【請求項1】
それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、
複数の上記信号変化検出回路にそれぞれ対応して設けられ、それぞれが対応する信号変化検出回路からの信号に基づいてデータ復調のための処理を行うとともに、対応する信号変化検出回路からの信号についての伝送路符号の検出と平均振幅レベルの検出を行う、複数の復調系回路と、
複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して、受信情報として出力する選択回路と、
複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号及び平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する選択制御回路と、
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路の一つで、上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させるとともに、
複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、該デジタル信号について上記平均振幅レベルの検出を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のピーク値を求め、該ピーク値を加算することで上記平均振幅レベルを検出することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
複数の上記復調系回路では、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を1ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、上記1ビットA/D変換器から出力されるデジタル信号の移動平均値を求め、該移動平均値のゼロ点タイミングでの値を求め、該ゼロ点タイミングでの値から上記平均振幅レベルを検出することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項7】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が小さい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
複数の上記復調系回路では、それぞれ上記デジタル信号についてのディーティ検出を行い、検出されたディーティ情報を上記平均振幅レベルの検出の際の補正情報として用いることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項9】
複数の上記復調系回路は、それぞれ対応する信号変化検出回路からのアナログ信号について上記平均振幅レベルの検出を行うことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
複数の上記復調系回路では、それぞれ上記対応する信号変化検出回路からのアナログ信号を積分することで、上記平均振幅レベルの検出を行うことを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、検出された上記平均振幅レベルの値が大きい方の出力を、上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項12】
上記選択制御回路は、複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出され、かつ、上記伝送路符号が検出された各復調系回路のそれぞれで所定値以上の上記平均振幅レベルが検出された場合は、
上記伝送路符号が検出された各復調系回路のうちで、予め優先設定した復調系回路の出力を上記選択回路において選択させるように制御することを特徴とする請求項9に記載の通信装置。
【請求項13】
複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する振幅変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
複数の上記信号変化検出回路の1つは、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する位相変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項15】
それぞれが、受信した負荷変調信号について負荷変調に起因する信号変化を検出する複数の信号変化検出回路と、
複数の上記信号変化検出回路にそれぞれ対応して設けられ、それぞれが対応する信号変化検出回路からの信号に基づいてデータ復調のための処理を行うとともに、対応する信号変化検出回路からの信号についての伝送路符号の検出と平均振幅レベルの検出を行う、複数の復調系回路と、
複数の上記復調系回路の出力のうちの一つを選択して、受信情報として出力する選択回路と、
を備えた通信装置の復調方法として、
複数の上記復調系回路のそれぞれの上記伝送路符号の検出結果を確認する伝送路符号検出確認ステップと、
複数の上記復調系回路の1つで上記伝送路符号が検出された場合には、上記伝送路符号が検出された復調系回路の出力を、上記選択回路において選択させる第1の選択制御ステップと、
複数の上記復調系回路のうちで2つ以上の復調系回路で上記伝送路符号が検出された場合は、上記伝送路符号が検出された各復調系回路での各平均振幅レベルの検出結果を用いて、上記選択回路の選択状態を制御する第2の選択制御ステップと、
を備えたことを特徴とする復調方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−118070(P2009−118070A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287518(P2007−287518)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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