説明

通信装置、通信システム、および、通信装置間の通信品質監視方法

【課題】 送信側と受信側が同じ期間における統計情報を収集することを確実に行うことができる通信装置、通信システム、および、通信装置間の通信品質監視方法を実現する。
【解決手段】パケット伝送を行う通信装置間の通信品質を測定する方法であって、送信側通信装置は一定時間ごとに通信品質の測定期間の開始および終了を示すマーカフレームを送出し、該測定期間内の送信パケットの統計情報を収集し、受信側通信装置は、前記マーカフレームの受信により測定期間の開始および終了を認識して該測定期間内の受信パケットの統計情報を収集し、前記測定期間内の送信パケットおよび受信パケットの統計情報により通信品質を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置間の通信の品質監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル通信伝送においてより高品質のサービスをユーザに対して提供するために、回線状況を監視する性能監視機能(PM:Performance Monitor)というモニタ機能が知られている。PM機能は、送信側の通信装置から送出されたデータフレームを受信する通信装置等において、その装置に入力される信号品質を確認するための機能として利用されている。
【0003】
近年、IP(Internet Protocol)に代表されるパケット交換網は広く普及している。また、高信頼なSONET(Synchronous Optical Network)/SDH網にパケットを載せて通信を行う技術も広まり、データ系の通信だけでなく、音声系の通信もパケット交換で行われることもある。そのため、パケット交換網においても、高信頼性を考慮することは非常に重要である。
【0004】
通信の品質を管理する技術として、特許文献1(特開2003−348106号公報)、特許文献2(特開2004−128631号公報)、および、特許文献3(特開平09−172437号公報)に開示される技術がある。
【0005】
特許文献1には、伝送路速度とは無関係に装置内のバッファ読み出し速度を守ると、実際の伝送路速度とデータ送出速度に差が出てしまい、伝送路の帯域幅が無駄になることを課題とし、ネットワークの利用効率を高めることを可能とするために帯域幅を測定するシステムが開示されている。
【0006】
特許文献1では、測定用パケットの送信を行い、送信したパケットが一定時間内に自装置に戻ってきた数から帯域幅を測定する構成が開示されている。
【0007】
特許文献2に開示される発明は、マルチビーム方式の衛星通信において、移動局のハードウェア規模を抑えつつ、移動局のビーム切替をより確実に行うことを目的としている。マルチビーム衛星通信では、一時的な回線の劣化のために回線品質が劣化した場合にもビームエリアを移動していなくても回線切替を行ってしまうという問題がある。
【0008】
特許文献2に開示される発明では、上記の問題を解決することを目的とし、在圏するエリアと周辺エリアの通信回線を受信して回線品質を測定し、その結果に従ってエリア切替が行われる。
【0009】
ゲートウェイ局から移動局へ測定可パケットを送信し、移動局はそれを受信したときにデータパケットの受信を止め、在圏するエリアと周辺エリアの品質を測定することとし、データパケット受信用の受信機と測定用の受信機を分けずに一つにすることで移動局の小型化を図っている。このため、データ受信と品質測定を切り替える必要があり、そのモード切替のために、測定可パケットが使用されている。
【0010】
特許文献3には、送信したフレームを利用して誤り検査用符号を生成し、生成された誤り検査用符号を含む監視用パケットを生成して送信する。受信側では監視用パケットを受信するとこれを用いて誤り検査演算を行い、伝送路の誤り率を求めることが開示されている。
【特許文献1】特開2003−348106号公報
【特許文献2】特開2004−128631号公報
【特許文献3】特開平09−172437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
通信の品質管理技術としては上述したように様々な形態のものがある。パケット交換を行う通信装置間では、各通信装置内で送信処理、受信処理されたデータフレームをカウントし、これらを照合することにより、パケットの重複、廃棄、誤配送や、自装置内で廃棄したデータフレーム数を収集することが可能である。
【0012】
しかしながら、通信装置ごとに独自のタイミングでデータフレームをカウントして統計情報を収集するため、送信側と受信側が同じ期間における統計情報を収集することができず、これらを比較することはできない。
【0013】
上述した各特許文献のうち、特許文献1に記載された技術では、送信したパケットが一定時間内に自装置に戻ってきた数から帯域幅を測定している。このため、実施形態で説明されているようにリング網のように明示的に経路が決められているネットワークにしか適用することができず、送信側と受信側が同じ統計情報を取得することができない。
【0014】
特許文献2に記載された技術では、ゲートウェイ局から移動局へ測定可パケットを送信し、移動局はそれを受信したときにデータパケットの受信を止め、在圏するエリアと周辺エリアの品質を測定する構成であるため、実際に処理が行われるデータフレームをカウントすることはできない。
【0015】
特許文献3に記載された技術では、監視用パケットを受信した時点で誤り検査演算が開始されるが、これは検査期間を規定するものではなく、送信側と受信側が同じ期間における統計情報を収集することに適用することはできない。
【0016】
本発明は、送信側と受信側が同じ期間における統計情報を収集することを確実に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の通信装置間の通信品質測定方法は、パケット伝送を行う通信装置間の通信品質を測定する方法であって、
送信側通信装置は通信品質の測定期間の開始および終了を示すマーカフレームを送出し、該測定期間内の送信パケットの統計情報を収集し、
受信側通信装置は、前記マーカフレームの受信により測定期間の開始および終了を認識して該測定期間内の受信パケットの統計情報を収集し、
前記測定期間内の送信パケットおよび受信パケットの統計情報により通信品質を測定することを特徴とする。
【0018】
本発明の通信装置は、パケット伝送を行う通信装置であって、
通信品質の測定期間の開始および終了を示すマーカフレームを送出し、該測定期間内の送信パケットの統計情報を収集して保持する送信機能部と、
前記マーカフレームの受信により測定期間の開始および終了を認識して該測定期間内の受信パケットの統計情報を収集し保持する受信機能部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の通信システムは、上記の通信装置を用いている。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、通信を行う通信装置間において、送信側の通信装置が通信品質の測定期間の開始および終了を示すマーカフレームを送出し、受信側では、受信したマーカフレームの間隔に従って統計情報の収集を行う。マーカフレームの間隔に従って統計情報を収集することで、送受信を行う通信装置および通信装置間のデータフレームの送受信数、通信における損失数をより高精度に収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1および図2は、本発明による通信装置内に設けられる送信機能部1および受信機能部11の一実施形態の構成をそれぞれ示すブロック図である。送信機能部1および受信機能部11が設けられる通信装置は、パケット交換を行う装置であり、その機能はパケット交換を行うものであれば特に限定されるものではない。送信機能部1および受信機能部11が設けられる通信装置は図1および図2に示した構成の他に、交換されたパケットによる処理を行う様々な機能ブロックを備えるが、これらの機能ブロックの構成および動作は一般的なものであり、本発明には特に関しないため、図1および図2には図示しないものとし、説明も省略する。
【0023】
図1に示される送信機能部1は、フレーム送信回路2、マーカフレーム生成回路3、タイミングソース4、PM回路5、統計情報積算回路6を備えている。
【0024】
タイミングソース4は、送信機能部1が設けられる通信装置内の各機能ブロックおよび各機能ブロック内の回路が動作する基となるクロックを供給するものである。送信機能部1の各部に対してもクロックを供給するが、図1にはマーカフレーム生成回路6へのクロック供給が示されている。
【0025】
マーカフレーム生成回路3は、タイミングソース4から供給されるクロックに基づいてマーカフレームを生成し、フレーム送信回路2へ出力する。
【0026】
フレーム送信回路2は、通信装置内の他の機能ブロックにて生成されたデータフレームやマーカフレーム生成回路3から送られてきたマーカフレームを伝送路およびPM回路5に送信する処理を行う。
【0027】
PM回路5は、フレーム送信回路2より送信されたデータフレームの統計情報を収集し、統計情報積算回路6へ出力する。統計情報積算回路6は、PM回路5において収集された統計情報を、一定期間格納する。
【0028】
マーカフレーム生成回路3が生成するマーカフレームは、統計情報の積算を開始するタイミングを規定するものであり、ヘッダ部分の未使用部分に、マーカフレームであることを示すデータが書き込まれている。マーカフレームは、タイミングソース4から受信したクロックを元に統計情報積算周期Tごとに1個あるいはシーケンス番号を付与したn個が作成され、フレーム送信回路2へ出力される。複数のマーカフレームを送信する場合、n個のマーカフレームは微小な時間間隔tを空けて順次送信されるものとする。1個のマーカフレームが送信される場合には、統計情報積算周期Tとマーカフレームが送信される時間間隔tは等しいものとなる。
【0029】
ここで、統計情報積算周期Tとは統計情報を収集する周期のことを表し、通信装置に依って決められる。また、微小な時間間隔tは統計情報を収集する周期Tと比べて十分に小さいものとする。
【0030】
マーカフレームは、受信側の通信装置が統計情報の収集期間を認識するために使用するので、他の通信に与える影響を小さくするためにフレームサイズは小さくてよいが、伝送中に損失が発生しないよう高優先度が与えて送信されるものとする。
【0031】
なお、PM回路5、統計情報積算回路6、タイミングソース4は、通信装置内の他の機能ブロックと共有され、送信機能部1外に実装されていても良い。
【0032】
図2に示される受信機能部11は、フレーム受信回路12、マーカフレーム識別回路13、タイミングソース14、PM回路15、統計情報積算回路16を備えている。
【0033】
タイミングソース14は、受信機能部11が設けられる通信装置内の各機能ブロックおよび各機能ブロック内の回路が動作する基となるクロックを供給するものである。受信機能部11の各部に対してもクロックを供給するが、図2にはマーカフレーム識別回路13へのクロック供給が示されている。
【0034】
フレーム受信回路12は、伝送路からデータフレームを受信し、マーカフレーム識別回路13およびPM回路15へ出力する。PM回路15は受信したデータフレームから統計情報を収集し、統計情報積算回路16へ出力する。統計情報積算回路16は、PM回路15において収集された統計情報を一定期間格納する。
【0035】
マーカフレーム識別回路13は、受信したデータフレームのヘッダ部分を参照することにより、マーカフレームであるかを識別、検出するもので、マーカフレームを検出した場合、統計情報積算周期Tであることを表すため、マーカフレームを検出したことをPM回路15に通知する。
【0036】
マーカフレーム識別回路13からマーカフレームの検出通知を受信したPM回路15は、収集していた統計情報積算周期T分の統計情報を統計情報積算回路16に送信し、自身のカウンタをリセットする。そして次の周期の統計情報の収集を開始する。統計情報積算回路16はPM回路15から送信された統計情報を保持する。
【0037】
なお、PM回路15、統計情報積算回路16、タイミングソース14は通信装置内の他の機能ブロックと共有され、受信機能部11外に実装されていても良い。
【0038】
マーカフレーム生成回路3およびマーカフレーム識別回路13のそれぞれは、統計情報積算周期Tの開始および終了タイミングを示すマーカフレームの個数を共通に認識し、また、マーカフレームがn個である場合には、統計情報積算周期Tおよび時間間隔tを共通に認識している。
【0039】
図3は、本発明による通信装置22、23間での通信状態を示す図であり、マーカフレームを用いた受信処理と結果判定の一例を示している。ここで、マーカフレームはn個送信されるものとする。通信装置22、23のそれぞれには、図1および図2に示した送信機能部1および受信機能部11が設けられている。
【0040】
通信装置22から、シーケンス番号を付与したn個のマーカフレーム21が統計情報積算期間Tと比べて非常に小さな時間間隔tごとに送信される。通信装置22のフレーム送信回路2は、統計情報積算周期Tの(n−1)t時間前からt時間ごとにマーカフレーム21を送信する。受信側の通信装置23のマーカフレーム識別回路13はマーカフレームの受信を検知するとシーケンス番号から、収集期間が終了する時刻である統計情報積算時刻を計算する。
【0041】
n個目のマーカフレーム21を受信したとき、マーカフレーム識別回路13は、統計情報の収集期間の終了を表すため、マーカフレーム21の検出信号をPM回路15に送信する。マーカフレーム識別回路13は予め計算した収集期間の終了時刻を計算するが、計算した時刻にn個目のマーカフレーム21を受信しなかった場合、マーカフレーム損失通知をPM回路15に通知する。この判定に用いる統計情報積算時刻は、伝送路による遅延ゆらぎを考慮して、時間幅を持たせられている。
【0042】
統計情報積算周期T分の受信信号数、送信信号数を保持する通信装置22、23の統計情報積算回路6、16は、それぞれ対向する通信装置に、積算した収集結果24を送信する。収集結果24を受信した通信装置は、それぞれ自身が保持している送信数(あるいは受信数)と、受信した収集結果の受信数(あるいは送信数)とを比較する。同一期間に収集した統計情報を比較することで、伝送路におけるデータフレームの損失の有無を確認する。
【0043】
次に、図1に示した送信機能部1の動作について図4および図5に示すフローチャートを使用して説明する。図4はマーカフレームを1つ送信する場合の送信機能部1の動作を示すフローチャート、図5はマーカフレームをn個送信する場合の送信機能部1の動作を示すフローチャートである。
【0044】
まず、図4を参照して、マーカフレームを1個送信する場合について説明する。
【0045】
図4において、送信機能部1のデータフレーム送信回路2は、送信すべきデータフレームがあればデータフレームを伝送路およびPM回路5へ送信する(ステップS1)。そして、PM回路5は送られてきたデータフレーム数をカウントする(ステップS2)。
【0046】
マーカフレーム生成回路3は、タイミングソース4より供給されるクロックをカウントすることにより統計情報積算周期Tの開始タイミングであるかの判断を行っている(ステップS3)。マーカフレーム生成回路3は、統計情報積算周期Tを開始するタイミングではないと判断した場合にはステップS1に戻って上記の動作を繰り返す。
【0047】
マーカフレーム生成回路3は、統計情報積算周期Tを開始するタイミングであると判断した場合、マーカフレームを作成し(ステップS4)、データフレーム送信回路2からマーカフレームを伝送路およびPM回路5へ送信する(ステップS5)。
【0048】
PM回路5は、マーカフレームを受け付けると、それまでに収集していたデータフレームの送信数を積算した情報を含む統計情報を統計情報積算回路6に通知し(ステップS6)、また、その後の統計情報の収集を開始する。統計情報積算回路6では送られてきた統計情報を保持する(ステップS7)。
【0049】
統計情報積算回路6にて蓄積された統計情報は、対向側の通信装置の統計情報と比較を行うために、データフレーム送回路2より送信される(ステップS8)。
【0050】
次に、図5を参照して、マーカフレームをn個送信する場合について説明する。
【0051】
図5において、送信機能部1のデータフレーム送信回路2は、送信すべきデータフレームがあればデータフレームを伝送路およびPM回路5へ送信する(ステップS11)。そして、PM回路5は送られてきたデータフレーム数をカウントする(ステップS12)。
【0052】
マーカフレーム生成回路3は、タイミングソース4より供給されるクロックをカウントすることにより統計情報積算周期Tの開始タイミングであるかの判断を行っている(ステップS13)。マーカフレーム生成回路3は、統計情報積算周期Tを開始するタイミングではないと判断した場合にはステップS1にもどって上記の動作を繰り返す。
【0053】
マーカフレーム生成回路3は、統計情報積算周期Tを開始するタイミングであると判断した場合、マーカフレームを作成し(ステップS14)、データフレーム送信回路2から微小間隔tを空けてn個のマーカフレームを伝送路およびPM回路5へ送信する(ステップS15)。
【0054】
PM回路5は、n個のマーカフレームが送信されたかの確認を行う(ステップS16)。n個のマーカフレームの送信が確認されると、PM回路5は、それまでに収集していたデータフレームの送信数を積算した情報を含む統計情報を統計情報積算回路6に通知し(ステップS17)、また、その後の統計情報の収集を開始する。統計情報積算回路6では送られてきた統計情報を保持する(ステップS17)。
【0055】
次に、図2に示した受信機能部11の動作について図6および図7に示すフローチャートを使用して説明する。図6は1つのマーカフレームを受信する場合の受信機能部11の動作を示すフローチャート、図7はn個のマーカフレームを受信する場合の受信機能部11の動作を示すフローチャートである。
【0056】
まず、図6を参照して、マーカフレームを1個受信する場合について説明する。本実施形態のようにマーカフレームが1つしか送信されない場合には、統計情報積算時刻として、前回マーカフレームを受信してから統計情報積算周期T経過した時刻がタイミングソース14を使用して計算される。
【0057】
図6において、受信機能部11のフレーム受信回路12は、伝送路から入力されたデータフレームを受信し(ステップS21)、マーカフレーム識別回路13およびPM回路15へ出力する。PM回路15は受信したデータフレーム数をカウントする(ステップS22)。
【0058】
マーカフレーム識別回路13では、受信したデータフレームのなかにマーカフレームが含まれているかを判定する(ステップS23)。ステップS23にて、受信したデータフレームのなかにマーカフレームが含まれていない場合には、統計情報積算時刻であるかが確認される(ステップS24)。
【0059】
ステップS24にて統計情報積算時刻でないことが確認された場合にはステップS21に戻って上記の動作を繰り返し、統計情報積算時刻であることが確認された場合には、マーカフレームを受信していないことを表すため、現在の統計情報を仮保持する仮保持通知をPM回路15に通知する(ステップS25)。
【0060】
ステップS23において、マーカフレームを受信していることが確認された場合、または、ステップS25の後には、PM回路15はそれまでに収集していたデータフレームの送信数を積算した情報を含む統計情報を統計情報積算回路16に通知し、また、その後の統計情報の収集を開始する。統計情報積算回路16では送られてきた統計情報を保持する(ステップS26)。
【0061】
その後、データフレーム受信回路12において、対向側の通信装置から統計情報を受信した場合(ステップS27)、統計情報積算回路16は自装置の統計情報と対向側の通信装置の統計情報の比較を行い、伝送路においてデータフレームの損失がなかったかの判定を行う(ステップS28)。
【0062】
次に、図7を参照して、マーカフレームをn個受信する場合について説明する。本実施形態のようにマーカフレームがn個送信される場合には、統計情報積算時刻として、受信したマーカフレームのシーケンス番号および微小間隔tからタイミングソース14を使用して計算される。
【0063】
図7において、受信機能部11のフレーム受信回路12は、伝送路から入力されたデータフレームを受信し(ステップS31)、マーカフレーム識別回路13およびPM回路15へ出力する。PM回路15は受信したデータフレーム数をカウントする(ステップS32)。
【0064】
マーカフレーム識別回路13では、受信したデータフレームのなかにマーカフレームが含まれているかを判定する(ステップS33)。
【0065】
ステップS23にてマーカフレームを受信していることが確認された場合、受信したマーカフレームのシーケンス番号がnであるかが確認される(ステップS34)。シーケンス番号がnではなかった場合、受信したマーカフレームのシーケンス番号から、統計情報の収集終了時間を計算する(ステップS35)。
【0066】
ステップS23にてマーカフレームを受信していないことが確認された場合、または、ステップS34にて受信したマーカフレームのシーケンス番号がnでないことが確認された場合には、統計情報積算時刻であるかが確認される(ステップS36)。
【0067】
ステップS36にて統計情報積算時刻でないことが確認された場合にはステップS31に戻って上記の動作を繰り返し、統計情報積算時刻であることが確認された場合には、マーカフレームを受信していないことを表すため、現在の統計情報を仮保持する仮保持通知をPM回路15に通知する(ステップS37)。
【0068】
ステップS34において、受信したマーカフレームのシーケンス番号がnであることが確認された場合、または、ステップS37の後には、PM回路15はそれまでに収集していたデータフレームの送信数を積算した情報を含む統計情報を統計情報積算回路16に通知し、また、その後の統計情報の収集を開始する。統計情報積算回路16では送られてきた統計情報を保持する(ステップS36)。
【0069】
その後、データフレーム受信回路12において、対向側の通信装置から統計情報を受信した場合(ステップS39)、統計情報積算回路16は自装置の統計情報と対向側の通信装置の統計情報の比較を行い、伝送路においてデータフレームの損失がなかったかの判定を行う(ステップS40)。
【0070】
上記のように構成される本実施形態においては、マーカフレームによって統計情報積算周期であるかの確認が行われる。マーカフレームに従って統計情報の収集を行うことにより、送受信を行う通信装置および通信装置間のデータフレームの送受信数、伝送路における損失数をより高精度に収集することを可能にしたことを特徴としている。
【0071】
なお、マーカフレームは、一定時間ごとに送出されることとしてもよく、また、通信品質測定を行うときに不定期に送出されることとしてもよい。
【0072】
マーカフレームが損失した場合であっても、統計情報積算時刻となると統計情報が統計情報積算回路へ送出されるため、通信装置間のデータフレームの送受信数、伝送路における信号損失数を正確に収集することができる。
【0073】
これらにより、大幅に回路を増加することなく、単純なアルゴリズムを使用することで高信頼な通信を実現することができる。
【0074】
なお、マーカフレームが損失した場合、マーカフレームを受信しないことを待つため、実際の収集期間よりも長い期間を収集する可能性がある。そのため、複数のマーカフレームを使用の場合、一つのマーカフレームを使用する場合、のいずれにおいても、計算により求めた終了時間までに収集した統計情報を仮保持した統計情報として、PM回路15に持たせることとしてもよい。
【0075】
また、統計情報積算周期T分の受信信号数、送信信号数を保持する統計情報積算回路6、16は、それぞれ対向する通信装置に、積算した収集結果を送信し、それぞれ自身が保持している送信数(あるいは受信数)と、受信した収集結果の受信数(あるいは送信数)とを比較するものとして説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、各通信装置間の通信の品質を管理する管理センターを設け、各通信装置が管理センターに統計情報積算周期T分の受信信号数、送信信号数を送り、管理センターは同一期間に収集した統計情報を比較することで、通信におけるデータフレームの損失の有無を確認して通信品質を決定し、その内容に応じて各通信装置間の各通信装置間を結ぶ伝送路を切り替えることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明による通信装置内に設けられる送信機能部1の一実施形態の構成をそれぞれ示すブロック図である。
【図2】本発明による通信装置内に設けられる受信機能部11の一実施形態の構成をそれぞれ示すブロック図である。
【図3】本発明による通信装置間での通信状態を示す図である。
【図4】図1に示した送信機能部1の動作を示すフローチャートであり、マーカフレームを1つ送信する場合の動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した送信機能部1の動作をフローチャートであり、マーカフレームをn個送信する場合の動作を示すフローチャートである。
【図6】図2に示した受信機能部11の動作を示すフローチャートであり、1つのマーカフレームを受信する場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】図2に示した受信機能部11の動作を示すフローチャートであり、n個のマーカフレームを受信する場合の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
1 送信機能部
2 フレーム送信回路
3 マーカフレーム生成回路
4、14 タイミングソース
5、15 PM回路
6、16 統計情報積算回路
11 受信機能部
12 フレーム受信回路
13 マーカフレーム識別回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット伝送を行う通信装置間の通信品質を測定する方法であって、
送信側通信装置は通信品質の測定期間の開始および終了を示すマーカフレームを送出し、該測定期間内の送信パケットの統計情報を収集し、
受信側通信装置は、前記マーカフレームの受信により測定期間の開始および終了を認識して該測定期間内の受信パケットの統計情報を収集し、
前記測定期間内の送信パケットおよび受信パケットの統計情報により通信品質を測定することを特徴とする通信装置間の通信品質測定方法。
【請求項2】
請求項1記載の通信品質測定方法において、
前記送信側通信装置および受信側通信装置のそれぞれは、収集した送信パケットの統計情報または受信パケットの統計情報を対向する通信装置に送信し、自身が保持している統計情報と、受信した統計情報とを比較して通信品質を測定することを特徴とする通信装置間の通信品質測定方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の通信装置間の通信品質測定方法において、
マーカフレームが1個のパケットからなり、
前記受信側通信装置は、前記測定期間を認識し、前記マーカフレームを受信後に前記測定期間が経過しても次のマーカフレームを受信しない場合には、前記受信パケットの統計情報を収集することを特徴とする通信装置間の通信品質測定方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の通信装置間の通信品質測定方法において、
マーカフレームが一定間隔で送信されるシーケンス番号が付与されたn個のパケットからなり、
前記受信側通信装置は、前記測定期間およびマーカフレームの送信間隔を認識し、前記マーカフレームを受信するとそのシーケンス番号から前記測定期間の終了時刻を認識し、該終了時刻が経過しても前記測定期間の終了を示すマーカフレームを受信しない場合には、前記受信パケットの統計情報を収集することを特徴とする通信装置間の通信品質測定方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の通信装置間の通信品質測定方法において、
送信パケットおよび受信パケットの統計情報に示される送信パケット数および受信パケット数を比較することにより通信品質を測定することを特徴とする通信装置間の通信品質測定方法。
【請求項6】
パケット伝送を行う通信装置であって、
通信品質の測定期間の開始および終了を示すマーカフレームを送出し、該測定期間内の送信パケットの統計情報を収集して保持する送信機能部と、
前記マーカフレームの受信により測定期間の開始および終了を認識して該測定期間内の受信パケットの統計情報を収集し保持する受信機能部と、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項6記載の通信装置において、
前記通信装置は、収集した送信パケットの統計情報または受信パケットの統計情報を対向する通信装置に送信し、自身が保持している統計情報と、受信した統計情報とを比較して通信品質を測定することを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7記載の通信装置において、
前記送信機能部は、1個のパケットからなるマーカフレームを送信し、
前記受信機能部は、前記測定期間を認識し、前記マーカフレームを受信後に前記測定期間が経過しても次のマーカフレームを受信しない場合には、前記受信パケットの統計情報を収集することを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項6または請求項7記載の通信装置において、
前記送信機能部は、一定間隔で送信されるシーケンス番号が付与されたn個のパケットからなるマーカフレームを送信し、
前記受信機能部は、前記測定期間およびマーカフレームの送信間隔を認識し、前記マーカフレームを受信するとそのシーケンス番号から前記測定期間の終了時刻を認識し、該終了時刻が経過しても前記測定期間の終了を示すマーカフレームを受信しない場合には、前記受信パケットの統計情報を収集することを特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の通信装置において、
前記送信機能部および受信機能部のそれぞれは、送信パケットおよび受信パケットの統計情報に示される送信パケット数および受信パケット数を比較することにより通信品質を測定することを特徴とする通信装置。
【請求項11】
請求項6ないし請求項10のいずれかに記載の通信装置を用いた通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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