説明

通信装置、通信システムおよび通信方法

【課題】 内部ネットワークにおいてリング状ネットワークが構成され、外部ネットワークを介してデータをダウンロードして更新する場合に、外部ネットワークを使用できない状況であってもデータを更新することが可能な通信装置等を提供すること。
【解決手段】 リング状ネットワークにおいて外部ネットワークを介して外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されているかどうかを示す外部ダウンロード許否データ144と、データの使用可能バージョンを示す使用可能バージョンデータ141と、データの提供可能バージョンを示す提供可能バージョンデータ142と、リング状ネットワークを構成する装置を示す装置リストデータ145を記憶する記憶部140と、通信部110と、通信部110による通信を制御する制御部130と、外部オンライン状態であるかどうかを判定する判定部160と、更新部120を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平5−56061号公報では、複数の子局を用いてリング状ネットワークが構成された状態で、各子局が親局からデータをダウンロードする手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−56061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記手法では、例えば、各子局と親局が通信を行うための外部ネットワークを使用できない状態である場合、すべての子局がデータをダウンロードすることができず、データ更新の遅延が大きくなってしまう。
【0005】
本発明にかかるいくつかの態様は、上記課題を解決することにより、内部ネットワークにおいてリング状ネットワークが構成され、外部ネットワークを介してデータをダウンロードして更新する場合に、外部ネットワークを使用できない状況であってもデータを更新することが可能な通信装置、通信システムおよび通信方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の1つである通信装置は、複数の通信装置によって内部ネットワークでリング状ネットワークが構成される通信システムにおいて用いられる前記通信装置であって、
前記リング状ネットワークにおいて外部ネットワークを介して外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されているかどうかを示す外部ダウンロード許否データと、データの使用可能バージョンを示す使用可能バージョンデータと、他の通信装置に対してデータを提供することが可能なバージョンを示す提供可能バージョンデータと、前記リング状ネットワークを構成する装置を示す装置リストデータとを記憶する記憶部と、
通信部と、
当該通信部による通信を制御する制御部と、
前記外部ネットワークとの通信状態がオフライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オンライン状態であるか、前記外部ネットワークとの通信状態がオンライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オフライン状態であるかを判定する判定部と、
更新部と、
を含み、
前記制御部は、
前記判定部によって前記外部オンライン状態であると判定され、かつ、前記外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されている場合、前記外部サーバーからデータをダウンロードさせるように前記通信部を制御し、
前記判定部によって前記外部オフライン状態であると判定され、かつ、前記装置リストデータで示される送信元の他の前記通信装置における前記提供可能バージョンが、自装置の前記使用可能バージョンよりも新しい場合、前記他の通信装置からデータを受信させるように前記通信部を制御し、
前記更新部は、前記外部サーバーからダウンロードされたデータまたは前記他の通信装置から受信されたデータを前記記憶部に記憶することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の態様の1つである通信システムは、上記複数の通信装置を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の態様の1つである通信方法は、複数の通信装置によって内部ネットワークでリング状ネットワークが構成される通信システムにおける通信方法であって、
前記通信装置は、
前記外部ネットワークとの通信状態がオフライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オンライン状態であるか、前記外部ネットワークとの通信状態がオンライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オフライン状態であるかを判定し、
前記外部オンライン状態であって、かつ、外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されている場合、前記外部ネットワークを介して前記外部サーバーからデータをダウンロードし、
前記外部オフライン状態であって、かつ、前記リング状ネットワークにおける他の通信装置におけるデータの提供可能バージョンが、自装置のデータの使用可能バージョンよりも新しい場合、前記他の通信装置からデータを受信し、
前記外部サーバーからダウンロードされたデータまたは前記他の通信装置から受信されたデータを記憶することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、通信装置等は、外部オフライン状態であっても、他の通信装置におけるデータを受信することができるため、内部ネットワークにおいてリング状ネットワークが構成され、外部ネットワークを介してデータをダウンロードして更新する場合に、外部ネットワークを使用できない状況であってもデータを更新することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記装置リストデータおよび前記通信部による他の通信装置との通信結果の少なくとも一方に基づき、前記複数の通信装置における1台の通信装置を、外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されている通信装置として決定し、
前記更新部は、前記制御部による当該決定に応じて前記外部ダウンロード許否データを更新してもよい。
【0011】
これによれば、1台の通信装置が外部サーバーからデータをダウンロードすることにより、ダウンロードによる通信帯域の占有量が少なくて済むため、外部ネットワークへの接続経路の通信帯域が狭い場合であっても、通信装置は、効率的にデータをダウンロードすることができる。
【0012】
また、前記更新部は、前記通信部による他の通信装置との通信結果に基づき、前記装置リストデータを更新してもよい。
【0013】
これによれば、通信装置等は、リング状ネットワークを構成する通信装置との通信が切断された場合であっても、新たなリング状ネットワークを構成して通信を続行することができる。
【0014】
また、前記通信装置は、ゲーム実行部を含み、
前記外部サーバーからダウンロードされたデータまたは前記他の通信装置から受信されたデータは、ゲームデータであって、
前記ゲーム実行部は、前記ゲームデータに基づき、ゲームを実行してもよい。
【0015】
これによれば、通信装置等は、ゲームデータを適切に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】通信システムの一例を示す図である。
【図2】ゲーム装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【図3】外部オフライン状態時のクライアントとして機能するゲーム装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】外部オフライン状態時のサーバーとして機能するゲーム装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の一例を示す図である。
【図6】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図7】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図8】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図9】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図10】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図11】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図12】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図13】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図14】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図15】外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。
【図16】外部オンライン状態時処理のフローチャートの一例を示す図である。
【図17】ビジー状態時のクライアントとして機能するゲーム装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】ビジー状態時のサーバーとして機能するゲーム装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をゲーム装置に適用した実施例について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施例は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施例に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0018】
(通信システム全体の説明)
図1は、通信システムの一例を示す図である。本実施例では、アミューズメント施設に4台の業務用のゲーム装置100−1〜100−4が配置され、各ゲーム装置100は、ハブ220を介してルーター210と接続され、ルーター210を介して外部サーバー200と接続されるものとする。
【0019】
また、ゲーム装置100とルーター210は内部ネットワークの一種であるLAN310を構成し、ルーター210と外部サーバー200は、外部ネットワークの一種であるインターネット300を介して接続されている。また、通信装置の一種である各ゲーム装置100は、図1に示すように物理的にはスター型ネットワークを構成しているが、後述するように相互に情報を送受信することにより、論理的なリング状ネットワークを構成し、ゲーム装置100の電源オフ等に応じてリング状ネットワークを再構成する。
【0020】
本実施例では、リング状ネットワークを構成する複数のゲーム装置100のうちの1台のゲーム装置100が、LAN310が正常に機能しており、外部サーバー200と通信可能な状態(外部オンライン状態)で、外部サーバー200から新しいバージョンのゲームデータをダウンロードする機能を有する。また、LAN310が正常に機能しているが、外部サーバー200と通信不能な状態(外部オフライン状態)である場合、各ゲーム装置100が、他のゲーム装置100からより新しいバージョンのゲームデータを受信する機能を有する。
【0021】
次に、このような機能を有するゲーム装置100の機能ブロックについて説明する。図2は、ゲーム装置100の機能ブロックの一例を示す図である。ゲーム装置100は、ハブ220を介して情報を送受信する通信部110と、種々のデータを記憶する記憶部140と、記憶部140内のデータを更新する更新部120と、通信部110を制御する制御部130と、種々の判定を行う判定部160と、ゲームデータ147に基づくゲーム実行機能を有するゲーム実行部150を含んで構成されている。
【0022】
また、記憶部140は、使用可能なゲームデータ147のバージョンを示す使用可能バージョンデータ141、ダウンロードまたは受信が完了したゲームデータ147のバージョンであって、かつ、他のゲーム装置100に提供可能なバージョンを示す提供可能バージョンデータ142、取得可能なゲームデータ147の最新バージョンを示す最新バージョンデータ143、外部サーバー200からゲームデータ147をダウンロードすることが許可されているかどうかを示す外部ダウンロード許否データ144、リング状ネットワークを構成するゲーム装置100を示す装置リストデータ145、各装置の状態を示す状態データ146、ダウンロード等によって更新されるデータであって、ゲームを実行するためのゲームデータ147等を記憶している。
【0023】
なお、ゲーム装置100は、以下のハードウェアを用いてこれらの各部として機能してもよい。例えば、ゲーム装置100は、通信部110はLANユニット等、更新部120、制御部130、判定部160はCPU等、記憶部140はRAM等、ゲーム実行部150はCPU、画像処理回路、液晶パネル、音声処理回路、アンプ、スピーカー等を用いてもよい。
【0024】
(外部オフライン状態時処理の説明)
ここで、外部オフライン状態(外部ネットワークとの通信状態がオフライン状態であって、かつ、内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態)時の処理について説明する。図3は、外部オフライン状態時のクライアントとして機能するゲーム装置100における処理の流れを示すフローチャートである。外部オフライン状態時には、ゲーム装置100は、ゲームデータ147を他のゲーム装置100に提供するサーバー、ゲームデータ147を他のゲーム装置100から受信するクライアント、サーバー兼クライアントのいずれかとして機能する。
【0025】
ゲーム装置100がクライアントまたはサーバー兼クライアントとして機能する場合、通信部110は、制御部130からの制御情報に基づき、起動時に他のゲーム装置100の起動状態を確認するため、生存確認情報をブロードキャスト送信する(ステップS1)。なお、更新部120は、自装置の状態の変化に応じて状態データ146を更新する。
【0026】
判定部160は、通信部110からの情報に基づき、他のゲーム装置100から応答があったかどうかを判定する(ステップS2)。なお、他のゲーム装置100は、生存確認情報に対して生存応答情報を送信する。また、生存確認情報および生存応答情報は、例えば、情報を送信するゲーム装置100のIPアドレス、当該ゲーム装置100における提供可能なゲームデータ147のバージョン等を示す情報である。
【0027】
応答があった場合、更新部120は、生存応答情報に基づき、生存応答情報を送信したゲーム装置100のIPアドレスを追加するように、装置リストデータ145を更新する(ステップS3)。
【0028】
また、応答があった場合、判定部160は、生存応答情報、ダウンロード完了データ142、装置リストデータ145に基づき、リング状ネットワークにおいて送信元として機能するゲーム装置100に新バージョンのゲームデータ147があるかどうかを判定する(ステップS4)。新バージョンのゲームデータ147がある場合、更新部120は、当該バージョンが最新であることを示すように、最新バージョンデータ143を更新する(ステップS5)。
【0029】
また、この場合、通信部110は、制御部130からの制御情報に基づき、当該ゲーム装置100に対し、新バージョンのゲームデータ147を要求する新バージョンデータ要求情報を送信し(ステップS6)、新バージョンのゲームデータ147を受信する(ステップS6)。新バージョンのゲームデータ147が受信された場合、更新部120は、受信されたゲームデータ147を用いて、記憶部140内のゲームデータ147を更新する。
【0030】
図4は、外部オフライン状態時のサーバーとして機能するゲーム装置100における処理の流れを示すフローチャートである。ゲーム装置100がサーバーまたはサーバー兼クライアントとして機能する場合、判定部160は、通信部110からの情報に基づき、他のゲーム装置100から生存確認情報が受信されたかどうかを判定する(ステップS11)。他のゲーム装置100から生存確認情報が受信された場合、更新部120は、生存確認情報を送信したゲーム装置100のIPアドレスを追加するように、装置リストデータ145を更新し(ステップS12)、通信部110は、制御部130からの制御情報に基づき、生存応答情報をブロードキャスト送信する(ステップS13)。
【0031】
また、判定部160は、通信部110からの情報に基づき、クライアントとして機能しているゲーム装置100から新バージョンのゲームデータ147の送信要求があったかどうかを判定する(ステップS14)。
【0032】
新バージョンのゲームデータ147の送信要求があった場合、通信部110は、制御部130からの制御情報、提供可能バージョンデータ142に基づき、当該ゲーム装置100へ向け、新バージョンのゲームデータ147を送信する(ステップS15)。
【0033】
以上説明した処理について、より具体的に説明する。図5は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の一例を示す図である。例えば、ゲーム装置100−1のIPアドレスが「192.168.1.1」、ゲーム装置100−2のIPアドレスが「192.168.1.2」、ゲーム装置100−3のIPアドレスが「192.168.1.3」、ゲーム装置100−4のIPアドレスが「192.168.1.4」であるものとする。
【0034】
外部オフライン状態、かつ、ゲーム装置100−1〜100−4が電源オフの状態で、ゲーム装置100−3が起動した場合、ゲーム装置100−3は、生存確認情報をブロードキャスト送信する。
【0035】
図6は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。ゲーム装置100−3以外のゲーム装置100は電源オフの状態であるため、生存応答情報は受信されず、ゲーム装置100−3は休止状態になる。
【0036】
図7は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。この状態で、ゲーム装置100−2が起動し、ゲーム装置100−2が生存確認情報をブロードキャスト送信する。ゲーム装置100−3の更新部120は、生存確認情報の受信結果に基づき、ゲーム装置100−2を追加するように、装置リストデータ145を更新する。なお、この状態で、ゲーム装置100−3は、クライアントとして機能し、ゲーム装置100−2は、ゲーム装置100−3にとってのサーバーとして機能する。
【0037】
図8は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。ゲーム装置100−3は、ゲーム装置100−2からの生存確認情報を受信すると、生存応答情報をブロードキャスト送信する。ゲーム装置100−2の更新部120は、生存応答情報の受信結果に基づき、ゲーム装置100−3を追加するように、装置リストデータ145を更新する。
【0038】
なお、この状態で、ゲーム装置100−3は、ゲーム装置100−2にとってのサーバーとして機能するとともに、クライアントとしても機能し、ゲーム装置100−2は、ゲーム装置100−3にとってのサーバーとして機能するとともに、クライアントとしても機能する。
【0039】
図9は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置の状態の他の一例を示す図である。ゲーム装置100−2とゲーム装置100−3が相互に通信することにより、ゲーム装置100−2、100−3でリング状ネットワークが構成される。また、ゲーム装置100−3の提供可能バージョンが3.7であるのに対し、ゲーム装置100−2の提供可能バージョンは2.6であるため、ゲーム装置100−2は、ゲーム装置100−3からバージョン3.7のゲームデータ147の受信を開始する。
【0040】
図10は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。この状態で、ゲーム装置100−4が起動すると、ゲーム装置100−4が生存確認情報をブロードキャスト送信する。
【0041】
図11は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。ゲーム装置100−3、100−4は、ゲーム装置100−2からの生存確認情報を受信すると、生存応答情報をブロードキャスト送信する。
【0042】
図12は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。ゲーム装置100−2〜100−4が相互に通信することにより、ゲーム装置100−2〜100−4でリング状ネットワークが構成される。なお、本実施例では、リング状ネットワークを構成するゲーム装置100のうち、自装置よりもIPアドレスの数値が小さく、かつ、最も差のないゲーム装置100が内部的なサーバー、すなわち、ゲームデータ147の送信元として機能する。
【0043】
本実施例では、ゲーム装置100−4にとってのサーバーは、ゲーム装置100−3であり、ゲーム装置100−3にとってのサーバーは、ゲーム装置100−2である。また、リング状ネットワークにおいて、自装置よりもIPアドレスの数値が小さいゲーム装置100が存在しない場合、IPアドレスの数値が最も大きいゲーム装置100がサーバーとなる。すなわち、ゲーム装置100−2にとってのサーバーは、ゲーム装置100−4である。
【0044】
また、ゲーム装置100−4の提供可能バージョンが4.8で最も新しいバージョンであるため、ゲーム装置100−4からゲーム装置100−2にバージョン4.8のゲームデータ147が送信され、ゲーム装置100−2からゲーム装置100−3にバージョン4.8のゲームデータ147が送信される。また、この場合、ゲーム装置100−4は、サーバーとして機能しているが、クライアントとしての機能は休止しており、ゲーム装置100−2は、サーバー兼クライアントとして機能し、ゲーム装置100−3は、クライアントとして機能しているが、サーバーとしての機能は休止している。
【0045】
図13は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。以上の手順によってゲーム装置100−1〜100−4が起動し、ゲーム装置100−1〜100−4によってリング状ネットワークが構成される。
【0046】
この状態で、ゲーム装置100−4が電源オフ状態になったものとする。図14は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。また、図15は、外部オフライン状態時における各ゲーム装置100の状態の他の一例を示す図である。この場合、ゲーム装置100−1にとってのサーバーがゲーム装置100−3になり、ゲーム装置100−1〜100−3によってリング状ネットワークが再構成される。
【0047】
以上のように、外部オフライン状態では、リング状ネットワークにおける最新バージョンのゲームデータ147が相互に送受信される。
【0048】
(外部オンライン状態時処理の説明)
次に、外部オンライン状態(外部ネットワークとの通信状態がオンライン状態であって、かつ、内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態)時における処理の流れについて説明する。図16は、外部オンライン状態時処理のフローチャートの一例を示す図である。判定部160は、装置リストデータ145に基づき、自装置のIPアドレスがリング状ネットワークにおいて最小であるかどうかを判定する(ステップS21)。
【0049】
自装置のIPアドレスが最小である場合、制御部130は、自装置を、外部サーバー200からゲームデータ147をダウンロードすることが許可されているゲーム装置100として決定し、更新部120は、外部ダウンロード許否データ144で示される外部ダウンロードを許可に設定し、外部サーバー200に最新バージョンのゲームデータ147がある場合は最新バージョンデータ143を更新する(ステップS22)。
【0050】
また、この場合、通信部110は、制御部130からの制御情報に基づき、外部サーバー200から最新バージョンのゲームデータ147をダウンロードする(ステップS23)。
【0051】
一方、自装置のIPアドレスが最小でない場合、制御部130は、自装置を、外部サーバー200からゲームデータ147をダウンロードすることが拒否されているゲーム装置100として決定し、更新部120は、外部ダウンロード許否データ144で示される外部ダウンロードを拒否に設定する(ステップS24)。
【0052】
以上のように、外部オンライン状態では、1台のゲーム装置100によって外部サーバー200から最新バージョンのゲームデータ147がダウンロードされ、当該ゲームデータ147がリング状ネットワークを構成するゲーム装置100間で相互に送受信される。
【0053】
(ビジー状態時処理の説明)
次に、ビジー状態時における処理の流れについて説明する。図17は、ビジー状態時のクライアントとして機能するゲーム装置100における処理の流れを示すフローチャートである。例えば、ゲーム実行部150によって動画の再生等の高負荷のゲーム処理が実行される場合、更新部120は、自装置がビジー状態であることを示すように状態データ146を更新し、制御部130は、通信部110を制御することにより、当該実行に先立ってビジー状態であることを示すビジー状態情報をブロードキャスト送信させる(ステップS31)。なお、自装置のビジー状態が解消した場合、更新部120は、自装置がビジー状態でないことを示すように状態データ146を更新し、通信部110は、ビジー状態でないことを示すビジー状態情報をブロードキャスト送信する(ステップS31)。
【0054】
判定部160は、サーバーとして機能するゲーム装置100または外部サーバー200に新バージョンのゲームデータ147があるかどうかを判定する(ステップS32)。新バージョンのゲームデータ147がある場合、判定部160は、状態データ146に基づき、自装置がビジー状態であるかどうかを判定する(ステップS33)。また、自装置がビジー状態でない場合、判定部160は、状態データ146に基づき、外部サーバー200またはサーバーとして機能するゲーム装置100がビジー状態であるかどうかを判定する(ステップS34)。
【0055】
自装置がビジー状態である場合、外部サーバー200がビジー状態である場合、またはサーバーとして機能するゲーム装置100がビジー状態である場合、制御部130は、通信部110を制御し、通信速度を低下させる(ステップS35)。一方、ステップS34の判定結果が偽である場合、すなわち、ビジー状態でない場合、制御部130は、通信部110の通信速度を通常状態のまま変化させない。
【0056】
通信部110は、通信速度を低下させた状態または通信速度が通常の状態で、新バージョンのゲームデータ147の送信要求情報を、外部サーバー200またはサーバーとして機能するゲーム装置100に送信し(ステップS36)、新バージョンのゲームデータ147を受信する(ステップS37)。
【0057】
図18は、ビジー状態時のサーバーとして機能するゲーム装置100における処理の流れを示すフローチャートである。サーバーとして機能するゲーム装置100の判定部160は、通信部110によってビジー状態情報が受信されたかどうかを判定する(ステップS41)。ビジー状態情報が受信された場合、更新部120は、状態データ146を更新する(ステップS42)。
【0058】
また、判定部160は、通信部110によって送信要求情報が受信されたかどうかを判定する(ステップS43)。送信要求情報が受信された場合、判定部160は、状態データ146に基づき、自装置がビジー状態であるかどうかを判定する(ステップS44)。送信要求情報が受信された状態で、自装置がビジー状態である場合、制御部130は、通信部110を制御し、通信速度を低下させる(ステップS45)。
【0059】
以上のように、本実施例によれば、ゲーム装置100は、外部オフライン状態であっても、他のゲーム装置100におけるゲームデータ147を受信することができるため、LAN310においてリング状ネットワークが構成され、インターネット300を介してゲームデータ147をダウンロードして更新する場合に、インターネット300が使用できない状況であってもゲームデータ147を更新することができる。
【0060】
また、本実施例によれば、ゲーム装置100は、外部オンライン状態の場合、1台のゲーム装置100が外部サーバー200からゲームデータ147をダウンロードすることにより、ダウンロードによる通信帯域の占有量が少なくて済むため、インターネット300への接続経路の通信帯域が狭い場合であっても、ゲーム装置100は、効率的にゲームデータ147をダウンロードすることができる。
【0061】
また、本実施例によれば、ゲーム装置100は、装置リストデータ145を用いることにより、リング状ネットワークにおける新たなゲーム装置100との通信開始、既存のゲーム装置100との通信切断等に応じて、サーバーとなるゲーム装置100を自動的に決定し、リング状ネットワークを動的に構成して通信を続行することができる。
【0062】
また、本実施例によれば、ゲーム装置100は、外部オフライン状態であっても、他のゲーム装置100におけるゲームデータ147を受信することができ、自装置の状態を示す状態情報を送受信することができるため、LAN310においてリング状ネットワークが構成され、インターネット300を介してゲームデータ147をダウンロードして更新する場合に、インターネット300が使用できない状況であっても、ゲームデータ147を更新することができ、かつ、状態を通知することができる。
【0063】
また、本実施例によれば、ゲーム装置100は、ゲームデータ147を適切に更新することができる。また、本実施例によれば、ゲーム装置100は、自装置がビジー状態の場合であっても、自装置にかかる負荷を低減することができ、他装置がビジー状態の場合であっても、他装置にかかる負荷を低減することができる。
【0064】
(その他の実施例)
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、ゲーム装置100の台数は4台に限定されず、3台以下であってもよいし、5台以上であってもよい。また、外部ダウンロード許否データ144、状態データ146は必須ではない。
【0065】
また、外部サーバー200からゲームデータ147をダウンロードするゲーム装置100は、最小のIPアドレスを有するゲーム装置100に限定されず、例えば、最大のIPアドレスを有するゲーム装置100、最初に起動したゲーム装置100等であってもよい。
【0066】
また、制御部130は、装置リストデータ145に基づき、自装置がゲームデータ147をダウンロードするゲーム装置100であるかどうかを決定したが、通信部110による他のゲーム装置100との通信結果に基づき、自装置がゲームデータ147をダウンロードするゲーム装置100であるかどうかを決定してもよい。
【0067】
また、所定の状況で自装置の状態を示す状態情報をブロードキャスト送信する手法は、ビジー状態になる場合にビジー状態情報をブロードキャスト送信する手法に限定されず、例えば、ゲームデータ147のダウンロードが完了した場合にダウンロード完了を示すダウンロード完了通知情報をブロードキャスト送信する手法、電源オフになる場合に電源オフになることを示す電源オフ情報をブロードキャスト送信する手法等であってもよい。
【0068】
また、通信装置は、業務用のゲーム装置100に限定されず、例えば、家庭用ゲーム装置、携帯電話、携帯情報端末等であってもよい。また、外部ネットワークは、インターネット300に限定されず、例えば、専用線を用いたネットワーク等であってもよい。また、内部ネットワークは、LAN310に限定されず、例えば、近距離無線通信網等であってもよい。
【0069】
また、ゲーム装置100の有するコンピューターは、情報記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取って制御部130等として機能してもよい。このような情報記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、HDD等を適用できる。
【符号の説明】
【0070】
100 ゲーム装置(通信装置)、110 通信部、120 更新部、130 制御部、140 記憶部、141 使用可能バージョンデータ、142 提供可能バージョンデータ、143 最新バージョンデータ、144 外部ダウンロード許否データ、145 装置リストデータ、146 状態データ、147 ゲームデータ、150 ゲーム実行部、160 判定部、200 外部サーバー、210 ルーター、220 ハブ、300 インターネット(外部ネットワーク)、310 LAN(内部ネットワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置によって内部ネットワークでリング状ネットワークが構成される通信システムにおいて用いられる前記通信装置であって、
前記リング状ネットワークにおいて外部ネットワークを介して外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されているかどうかを示す外部ダウンロード許否データと、データの使用可能バージョンを示す使用可能バージョンデータと、他の通信装置に対してデータを提供することが可能なバージョンを示す提供可能バージョンデータと、前記リング状ネットワークを構成する装置を示す装置リストデータとを記憶する記憶部と、
通信部と、
当該通信部による通信を制御する制御部と、
前記外部ネットワークとの通信状態がオフライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オンライン状態であるか、前記外部ネットワークとの通信状態がオンライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オフライン状態であるかを判定する判定部と、
更新部と、
を含み、
前記制御部は、
前記判定部によって前記外部オンライン状態であると判定され、かつ、前記外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されている場合、前記外部サーバーからデータをダウンロードさせるように前記通信部を制御し、
前記判定部によって前記外部オフライン状態であると判定され、かつ、前記装置リストデータで示される送信元の他の前記通信装置における前記提供可能バージョンが、自装置の前記使用可能バージョンよりも新しい場合、前記他の通信装置からデータを受信させるように前記通信部を制御し、
前記更新部は、前記外部サーバーからダウンロードされたデータまたは前記他の通信装置から受信されたデータを前記記憶部に記憶する、
通信装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記装置リストデータおよび前記通信部による他の通信装置との通信結果の少なくとも一方に基づき、前記複数の通信装置における1台の通信装置を、外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されている通信装置として決定し、
前記更新部は、前記制御部による当該決定に応じて前記外部ダウンロード許否データを更新する、
通信装置。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかにおいて、
前記更新部は、前記通信部による他の通信装置との通信結果に基づき、前記装置リストデータを更新する、
通信装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
ゲーム実行部を含み、
前記外部サーバーからダウンロードされたデータまたは前記他の通信装置から受信されたデータは、ゲームデータであって、
前記ゲーム実行部は、前記ゲームデータに基づき、ゲームを実行する、
通信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の複数の通信装置を含む通信システム。
【請求項6】
複数の通信装置によって内部ネットワークでリング状ネットワークが構成される通信システムにおける通信方法であって、
前記通信装置は、
前記外部ネットワークとの通信状態がオフライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オンライン状態であるか、前記外部ネットワークとの通信状態がオンライン状態であって、かつ、前記内部ネットワークとの通信状態がオンライン状態である外部オフライン状態であるかを判定し、
前記外部オンライン状態であって、かつ、外部サーバーからデータをダウンロードすることが許可されている場合、前記外部ネットワークを介して前記外部サーバーからデータをダウンロードし、
前記外部オフライン状態であって、かつ、前記リング状ネットワークにおける他の通信装置におけるデータの提供可能バージョンが、自装置のデータの使用可能バージョンよりも新しい場合、前記他の通信装置からデータを受信し、
前記外部サーバーからダウンロードされたデータまたは前記他の通信装置から受信されたデータを記憶する、
通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−205183(P2011−205183A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67775(P2010−67775)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】