説明

通信装置、通信携帯端末、及び非接触ICカードのためのリーダライタ

【課題】負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅に現れなくなる現象があってもパケットの全域において変調データを正確に復調可能にする。
【解決手段】負荷変調信号の振幅変化を検出する振幅検波回路(30)と、負荷変調信号の位相変化を検出する位相検波回路(31)とを設け、夫々の検波信号に対するデコード信号の正規性を、情報ビットの正規デューティに基づいて逐次判定し、予め指定された一方のデコード信号に対する正規性が検出されている間は当該一方のデコード信号を選択し、非正規性が検出されたときはデコード信号の選択を前記一方から他方のデコード信号に切換える選択制御を行い、この選択制御を経て得られるデコード信号に対して、エラーチェック及びデータバッファへの蓄積を行うようにする。このように、検波信号の正規生を情報ビットのデューティの正規性から逐次判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷変調信号を受信する通信装置に関し、例えば非接触ICカードとデータ通信を行うリーダライト装置等に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触ICカードを用いるシステムは、非接触ICカードと、非接触ICカードに対してデータの読み出し及び書き込みを行うリーダライタとを有する。このリーダライタの内部では、例えばキャリア信号源によって例えば13.56[MHz]の交流信号を生成し、これを抵抗、コンデンサ及びコイルからなる共振回路を介して昇圧する。これにより、この共振回路のコイルに流れる交流信号に応じた交代磁界が、当該コイルから空間へ輻射される。一方、非接触ICカードの内部には、上記交代磁界に応じてコイルに誘起される電圧を、内部の整流回路によって整流し、これを非接触ICカードの駆動電力として利用することにより、バッテリーレスで動作する。ここで、非接触ICカードからリーダライタへのデータ通信は、負荷変調方式により行われる。この場合、リーダライタの内部回路と非接触ICカードの内部回路は、それぞれに設けられたコイルの物理形状と位置関係とに基づいて決定される結合係数により、電気回路的に結合されているものとみなすことができる。
【0003】
このような前提をもとに負荷変調方式について説明すると、非接触ICカードは、リーダライタへ伝送する伝送データに応じてスイッチをオン又はオフすることによって非接触ICカードの内部回路の抵抗の抵抗値を適宜切り替え、これにより電気回路的に結合しているリーダライタの内部回路に流れる電流を変化させる。リーダライタは、このリーダライタの内部回路に流れる電流の変化による振幅変化を検出し、この検出結果に基づいて受信データを復調する。
【0004】
ところで近年、このような非接触ICカードシステムにおいては、非接触ICカードが複数枚重ねられて使用される状況に対応するために、アンチコリジョン対応の非接触ICカードが用いられるようになってきた。このアンチコリジョン対応の非接触ICカードでは、非接触ICカード側の共振周波数が、リーダライタとのデータ通信で用いられるキャリア周波数(13.56[MHz])と異なる周波数(例えば19[MHz])に設定されている。このアンチコリジョン対応の非接触ICカードをリーダライタから引き離すことによって、リーダライタと非接触ICカード間の距離を徐々に変化させると、リーダライタから離れすぎて非接触ICカードの駆動電力が不足するポイントに至る前に、リーダライタが非接触ICカードからの伝送データを得ることができなくなってしまう不具合ポイント(ヌル点とも称する)が存在する場合があり、この場合にはリーダライタ及び非接触ICカード間のデータ通信が途絶えてしまう問題があった。
【0005】
このような問題に対処するために、特許文献1では、リーダライタにおいて振幅変化の検出と共に位相変化の検出を行い、負荷変調の結果が負荷変調信号の振幅に現れず位相に現れる場合であっても、データを復調することができるようにするものである。
【0006】
【特許文献1】特開2005−318385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
振幅変化の検出結果と位相変化の検出結果をどのように切換えて用いるかについて更なる検討の必要なことが本発明者によって明らかにされた。例えば、各パケットがヘッダ、シンクコード、データ部及びCRCコードを持つ場合に、各パケットのシンクコードを振幅変化で認識したとき、認識エラーがあるときは位相変化による認識に切換えてパケット全体の認識を行い、逆に、シンクコードを位相変化で認識したとき、認識エラーがあるときは振幅変化による認識に切換えてパケット全体の認識を行うことが考えられる。しかしながら、シンクコードに続くデータ部の受信中にデータ通信が途絶えてしまうと、データを確実に復調することができなくなってしまう。また、位相と振幅の双方による認識結果を夫々データバッファに蓄積し、双方に対するCRCチェックの結果に従って、何れか一方のデータバッファの蓄積データを用いることも考えられるが、その場合には常に双方による認識結果を夫々データバッファに蓄積することが必要になって、回路規模が大きくなり、かつ電力消費量も増大してしまう。それらの事情は、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相に現れず振幅に現れる場合について同様である。
【0008】
本発明の目的は、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅に現れなくなる現象があってもパケットの全域において変調データを正確に復調可能にすることができ、非接触インタフェースによる通信装置を提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、上記パケットの全域において変調データを正確に復調することを小さな回路規模で実現することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、上記パケットの全域において変調データを正確に復調することを少ない電力消費で実現することにある。
【0011】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0013】
すなわち、負荷変調信号の振幅変化を検出する振幅検波回路と、負荷変調信号の位相変化を検出する位相検波回路とを設け、夫々の検波信号に対するデコード信号の正規性を、情報ビットの正規デューティに基づいて逐次判定し、予め指定された一方のデコード信号に対する正規性が検出されている間は当該一方のデコード信号を選択し、非正規性が検出されたときはデコード信号の選択を前記一方から他方のデコード信号に切換える選択制御を行い、この選択制御を経て得られるデコード信号に対して、エラーチェック及びデータバッファへの蓄積を行うようにする。
【0014】
これによれば、検波信号の正規生を情報ビットのデューティの正規性から逐次判定するので、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅の一方に現れなくなる現象がランダムに生じてもパケットの全域において変調データを正確に復調可能にすることができる。この選択制御を経て得られるデコード信号に対して、エラーチェック及びデータバッファへの蓄積はデコード信号の選択制御よりも後段で行われるから、位相変化と振幅変化の双方のデコード信号の夫々に対して別々にCRC回路及びデータバッファを設けなくてもよいし、それらを並列的に動作させることも必要ない。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0016】
すなわち、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅に現れなくなる現象があってもパケットの全域において変調データを正確に復調可能にすることができる。
【0017】
それに加えて、上記パケットの全域において変調データを正確に復調することを小さな回路規模で実現することができる。
【0018】
更に、上記パケットの全域において変調データを正確に復調することを少ない電力消費で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0020】
〔1〕本発明に係る通信装置は、アンテナ(10)で受信された負荷変調信号の振幅変化を検出して振幅検波信号(ADTCS)を出力する振幅検波回路(30)と、アンテナで受信された負荷変調信号の位相変化を検出して位相検波信号(PDTCS)を出力する位相検波回路(31)と、前記振幅検波回路から出力された振幅検波信号をデコードして第1デコード信号を生成する第1デコーダ(50)と、前記位相検波回路から出力された位相検波信号をデコードして第2デコード信号を生成する第2デコーダ(51)と、前記振幅検波信号と位相検波信号の夫々の正規性を逐次判定し、予め指定された第1デコード信号又は第2デコード信号の一方のデコード信号に対応する検波信号の正規性が検出されている間は当該一方のデコード信号を選択し、その検波信号の非正規性が検出されたときデコード信号の選択を前記一方のデコード信号から他方のデコード信号に切換える選択制御回路(52)とを有する。前記選択制御回路は、夫々の検波信号における情報ビットの正規のデューティに基づいて信号の正規性を逐次判定する。
【0021】
これによれば、検波信号の正規生を情報ビットのデューティの正規性から逐次判定するので、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅の一方に現れなくなる現象がランダムに生じてもパケットの全域において変調データを正確に復調可能にすることができる。この選択制御を経て得られるデコード信号に対して、エラーチェック及びデータバッファへの蓄積はデコード信号の選択制御よりも後段で行われるから、位相変化と振幅変化の双方のデコード信号の夫々に対して別々にエラーチェック回路及びデータバッファを設けなくてもよいし、それらを並列的に動作させることも必要ない。
【0022】
〔2〕項1記載の通信装置において、前記選択制御回路は、振幅検波信号の正規性を判定する第1判定回路(60)と、位相検波信号の正規性を判定する第2判定回路(61)と、前記第1判定回路による判定動作に応ずる期間だけ第1デコード信号の伝播を遅延させる第1遅延回路(62)と、前記第2判定回路による判定動作に応ずる期間だけ第2デコード信号の伝播を遅延させる第2遅延回路(63)と、前記第1遅延回路又は第2遅延回路の何れか一方の出力を選択し、選択側の遅延回路に対応される前記判定回路による非正規性の判定結果が得られ毎に非選択側の遅延回路の出力を選択する選択回路(64)と、を有する。
【0023】
〔3〕項2記載の通信装置において、前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、情報ビットの伝送路符号方式に応じたタイムユニットにおけるデューティを正規のデューティとするとき、伝送路符号方式から考えられる小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティによって信号を非正規と判定する。即ち、伝送路符号化方式における1tu(Time Unit)毎にデューティ判定を行う。
【0024】
〔4〕項3記載の通信装置において、前記伝送路符号方式はマンチェスタ符号方式である。1tuにおけるデコード信号波形の理想的なデューティは情報ビットの論理値に拘わらず50%となる。
【0025】
〔5〕項4記載の通信装置において、前記小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティは、短すぎるハイレベル期間及び長すぎるハイレベル期間である。
【0026】
〔6〕項4記載の通信装置において、前記小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティは、短すぎるローレベル期間及び長すぎるローレベル期間である。
【0027】
〔7〕項5記載の通信装置において、前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、周期の2倍(nは2以上の整数)がタイムユニットに相当されるクロック信号を前記検波信号のハイレベル期間毎に計数するカウンタ(81)と、前記タイムユニット毎に前記カウンタの計数値をラッチするラッチ回路(82)と、前記ラッチ回路にラッチされた計数値を閾値データと比較して前記正規性を判定する比較回路(83)と、を有する。
【0028】
〔8〕項6記載の通信装置において、前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、周期の2倍(nは2以上の整数)がタイムユニットに相当されるクロック信号を前記検波信号のローレベル期間毎に計数するカウンタと、前記タイムユニット毎に前記カウンタの計数値をラッチするラッチ回路と、前記ラッチ回路にラッチされた計数値を閾値データと比較して前記正規性を判定する比較回路と、を有する。
【0029】
〔9〕項2記載の通信装置は更に、前記選択回路から出力されるデコード信号を蓄積する受信データバッファと、前記選択回路から出力されるデコード信号を用いてパケット単位のエラーチェックを行うエラーチェック回路と、前記エラーチェック回路によるチェック結果に基づいて前記受信データバッファのデータを処理するデータ処理回路と、を有する。
【0030】
〔10〕項9記載の通信装置は1個の半導体チップに形成され、又は1個のモジュール基板に複数個の半導体チップが搭載されて形成される。
【0031】
〔11〕項10記載の通信装置を搭載した通信携帯端末。
【0032】
〔12〕項10記載の通信装置を搭載した非接触ICカードのリーダライタ。
【0033】
〔13〕項2記載の通信装置において、前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、対応する検波信号のハイレベル期間を計数するハイ期間用のカウンタ(92)と、対応する検波信号のローレベル期間を計数するロー期間用のカウンタ(91)と、前記ハイ期間用のカウンタの計数値が閾値を越えた状態又は前記ロー期間用のカウンタの計数値が閾値を越えた状態を対応する検波信号の非正規性の判定結果として出力する検出回路(93,94,97)とを有し、前記閾値は、情報ビットの伝送符号方式に応じた連続タイムユニットの範囲で検波信号が一定となる期間を超える計数値とされる。これは項3の1tu毎のデューティ判定とは異なり、伝送路符号方式のデューティから導かれる、連続複数tuに跨る小さ過ぎる信号パルス及び大き過ぎる信号パルスによって検波信号の非正規生を判定するものである。小さ過ぎる信号パルス及び大き過ぎる信号パルスは検波信号のハイレベルパルスとローレベルパルスのパルス期間をカウントすることによって得ることができる。
【0034】
〔14〕項13記載の通信装置において、前記伝送路符号方式はマンチェスタ符号方式、CMI符号方式、又はRZ方式である。
【0035】
〔15〕上記デューティ判定とは観点の異なる本発明による通信装置は、アンテナ(10)で受信された負荷変調信号の振幅変化を検出して振幅検波信号を出力する振幅検波回路(30)と、アンテナで受信された負荷変調信号の位相変化を検出して位相検波信号を出力する位相検波回路(31)と、前記振幅検波回路から出力された振幅検波信号をデコードして第1デコード信号を生成する第1デコーダ(50)と、前記位相検波回路から出力された位相検波信号をデコードして第2デコード信号を生成する第2デコーダ(51)と、前記第1デコード信号に対してパケットのシンクコードをチェックする第1シンクコードチェック回路(100A)と、前記第2デコード信号に対してパケットのシンクコードをチェックする第2シンクコードチェック回路(100P)と、前記第1デコード信号に対してパケットのエラーチェックコードを用いてエラーチェックを行う第1エラーチェック回路(72A)と、前記第2デコード信号に対してパケットのエラーチェックコードを用いてエラーチェックを行う第2エラーチェック回路(72P)と、前記第1デコード信号をパケット単位で蓄積する第1受信データバッファ(71A)と、前記第2デコード信号をパケット単位で蓄積する第2受信データバッファ(71P)と、前記第1エラーチェック回路及び第2エラーチェック回路のチェック結果にエラーがなく且つシンクコードチェックにエラーが検出されていないデコード信号側の受信データバッファのデータを利用するデータ処理回路(13)とを有する。
【0036】
これによれば、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅に現れなくなる現象があってもパケットの全域において変調データを正確に復調可能にすることができる。
【0037】
〔16〕項15の通信装置は更に、前記第1シンクコードチェック回路のチェック結果又は第2シンクコードチェック回路のチェック結果にエラーが検出されたとき当該パケットに対してエラーが検出された側のエラーチェック回路及びデータバッファの動作を停止させる制御回路(101)を有する。
【0038】
これによれば、エラーチェック回路及びデータバッファを位相検波信号処理系と振幅検波信号処理系で別々に持つが、双方が常時動作する訳ではないから、上記パケットの全域において変調データを正確に復調することを少ない電力消費で実現することができる。
【0039】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0040】
《実施の形態1》
図2には本発明に係る通信装置を適用した非接触ICカード通信システムが例示される。1は非接触ICカード(CRD)、2は非接触ICカード1のリーダライタである。リーダライタ2は非接触通信半導体装置(CFCLSI)3とサーバインタフェース(SRVIF)4を有し、サーバインタフェース4はその他の図示しないリーダライタと共にネットワークを介してサーバ(SRV)5に接続される。リーダライタ2は、非接触ICカード1を無線通信によってリードライトを可能とするもので、特に制限されないが、ループアンテナ10、非接触通信アナログ部(CFCALG)11、非接触通信ロジック部(CFCLGC)12、中央処理装置(CPU)13、メモリ(MRY)14、外部インタフェース(EXIF)15、及びバス(BUS)16を備える。この無線通信は所謂パケット通信とされ、データを複数のパケットに分割して行われる。1パケットは、プリアンブル(PREAMBLE)とシンク(SYNC)コードとそれに続くデータを含む。プリアンブルは、パケット通信で送受信のタイミングを計るのに設けられる一種のデータである。プリアンブルは、16進コードですべて[00h]となっている。シンクコードはプリアンブルに続く2バイトコードとされ、例えば“h’B24D”のような特定な値とされる。このシンクコード(SYNC)がタイミング基準となってシンクコード(SYNC)以降のデータ検出が可能とされる。シンクコードに続くデータには、リーダライタ2とICカード1との間の通信制御用データやユーザデータ等とされ、最後にCRC(Cyclic Redundancy Check)等のエラーチェックコードなどが含まれる。
【0041】
非接触通信アナログ部11は、ループアンテナ10を介してRF信号の送信を行う送信アナログ部20と、ループアンテナ10介してRF信号の受信を行う受信アナログ部21を有する。受信アナログ部21はICカードから送信された負荷変調信号を受信し、受信信号に対して振幅変化を検出した振幅検波信号ADTCSと位相変化を検出した位相検波信号PDTCSを生成する。送信アナログ部20は振幅偏移変調(ASK:amplitude shift keying)によりディジタル信号を正弦波の振幅の違いで表すように変調したRF信号をループアンテナ10から出力する。
【0042】
非接触通信ロジック部12は、送信ロジック部(TXLGC)22、受信ロジック部(RXLGC)23、及び制御ロジック部(CONTLGC)24を有する。送信ロジック部(TXLGC)22はCPU13から受取った送信データに基づいて送信アナログ部20でASK変調を行うための変調制御信号MDLCSを生成する。受信ロジック部23は振幅検波信号ADTCSと位相検波信号PDTCSを受取って受信データを復調するためのディジタル処理を行なう。制御部24は送信ロジック部22及び受信ロジック部23の動作を制御すると共に動作の結果を示すフラグをCPU13によってアクセス可能に保持する制御等を行う。
【0043】
CPU13はメモリ14が保持するプログラムに従って送信コマンドを制御部24に与え、送信データを送信ロジック部22に与える送信制御を行い、また、制御部24が保持するフラグや割り込み等に応じて受信ロジック部23から受信データ等を取り込んで必要なデータ処理を行なう。
【0044】
前記非接触通信半導体装置3は公知の半導体集積回路製造技術により、単結晶シリコン基板などの一つの半導体基板に形成される。サーバインタフェース4は前記非接触通信半導体装置3の外部インタフェースに接続されている。
【0045】
リーダライタ2は、所定の周波数のキャリア信号(搬送波)をループアンテナ10から放出する。非接触ICカード1は、自己のループアンテナ9がリーダライタ2のループアンテナ10と電磁誘導を引き起こす範囲内にあると、キャリア信号がループアンテナ9に誘起される。この誘起電圧は、非接触ICカード1の動作用電源として使用される。また、非接触ICカード1において送信すべきデータによって上記キャリア信号を負荷変調し、それがリーダライタ2に受信されることでデータ通信が可能とされる。このとき、リーダライタ2と非接触ICカード1との距離によっては、リーダライタ2が受信した受信信号(RF信号)から負荷変調による変調部分と無変調部分との振幅差の成分がなくなることがある。例えば図3に例示されるように、ヌル点(NULL-POINT)では変調部分(modulation)において無変調部分(no modulation)との間の振幅差が消失し、位相差が現れる。この現象に対応するために、送信アナログ回路部21は負荷変調信号に対して振幅検波と位相検波の双方を行い、受信ロジック部23は振幅検波信号ADTCSと位相検波信号PDTCSの双方を用いて、途切れることなく受信データを復調できるようにする。以下、そのための構成について詳述する。
【0046】
図1には受信アナログ部21及び受信ロジック部23の具体例が示される。受信アナログ部21はループアンテナ10で受信された負荷変調信号の振幅変化を検出して振幅検波信号ADTCSを出力する振幅検波回路(ADTC)30と、ループアンテナ10で受信された負荷変調信号の位相変化を検出して位相検波信号PDTCSを出力する位相検波回路(PDTC)40とを有する。振幅検波回路30は、特に制限されないが、例えば図4のように、入力された負荷変調信号LMDLSのピークをホールドするピークホールド回路(PH)31、ピークホールド回路31の出力信号を増幅するための非線形アンプ(NLA)32、振幅偏移変調(ASK; amplitude shift keying)エンベロープ検波を可能とする包絡線検波回路(EDET)33、及び包絡線検波回路33の出力を波形整形するA/D変換回路(ADC)34を含んで成る。位相検波回路40は、特に制限されないが、図4に示されるように、入力信号LMDLSの波形整形を行う波形整形回路(MOD)41と、この波形整形回路40の出力信号と基準クロックSCLKとを比較して位相差を検出するための掛算回路(MIX)42、及び掛算回路42の出力を波形整形するA/D変換回路(ADC)43を含んで成る。
【0047】
受信ロジック部23は、前記振幅検波回路30から出力された振幅検波信号ADTCSをデコードして振幅側デコード信号(第1デコード信号)ADECSを生成する振幅側デコーダ(第1デコーダ)50と、前記位相検波回路から出力された位相検波信号PDTCSを波形整形して位相側デコード信号(第2デコード信号)PDECSを生成する位相側デコーダ(第2デコーダ)51と、選択制御回路(SLCONT)52とを有する。
【0048】
選択制御回路52は、前記振幅検波信号ADTCSと位相検波信号PDTCSの夫々の正規性を逐次判定し、予め指定されたデコード信号ADECS又はデコード信号PDECSの一方のデコード信号に対応する検波信号の正規性が検出されている間は当該一方のデコード信号を選択し、その検波信号の非正規性が検出されたときデコード信号の選択を前記一方のデコード信号から他方のデコード信号に切換えて出力する。検波信号に対する正規性は検波信号における情報ビットの正規のデューティに基づいて逐次判定する。
【0049】
更に具体的には、選択制御回路52は、振幅側のデューティ判定回路(ADTM)60、位相側のデューティ判定回路(PDTM)61、振幅側の遅延回路(ADLY)62、位相側の遅延回路(PDLY)63、及び選択回路(SLCT)64から成る。振幅側のデューティ判定回路(ADTM)60は前記振幅検波信号ADTCSのデューティの正規性を判定し、非正規を判別するとエラー信号ADERRをハイレベルにする。位相側のデューティ判定回路(PDTM)61は前記位相検波信号PDTCSのデューティの正規性を判定し、非正規を判別するとエラー信号PDERRをハイレベルにする。遅延回路(ADLY)62は前記振幅側デューティ判定回路60による判定動作に応ずる期間だけ振幅側デコード信号ADECSの伝播を遅延させる。遅延回路(PDLY)63は記位相側デューティ判定回路61による判定動作に応ずる期間だけ位相側デコード信号PDECSの伝播を遅延させる。選択回路(SLCT)64は、前記遅延回路62の出力ADLDAT又は遅延回路63の出力PDLDATの何れか一方を選択し、選択側の遅延回路に対応される前記判定回路による非正規性の判定結果が得られる毎に非選択側の遅延回路の出力を選択する。例えば制御部24によりセレクタ64に遅延出力ADLDATの選択が初期的に指示されている場合、エラー信号ADERRによって振幅側のデューティに非正規性が判定されるまでその状態を維持し、非正規が判定されると遅延出力PDLDATの選択に切換えられ、以降、選択側の検波信号に対するデューティの非正規性が判定される度に選択回路の選択状態がトグル変化される。
【0050】
選択回路64の出力はシリアル・パラレル変換回路(SPCNV)70によってバイト単位のパラレルデータに変換され、変換されたデータはデータバッファ(RXDBUF)71に蓄積され、また、変換されたデータはそれに含まれるCRCコードを用いてCRCチェック回路(CRCCHK)72でエラーチェックが行われる。CRCチェック結果CRCERRはCPU13により参照可能とされ、データバッファ71に格納されたデータはCPU13のデータ処理に用いられる。
【0051】
図5には振幅側のデューティ判定回路60の構成が例示される。ここでは伝送路変調方式としてマンチェスタ方式を一例として説明する。1タイムユニット(Tu)は、特に制限されないが、例えば、キャリアクロックCARCKの64周期とする。デューティ判定回路60は論理積ゲート80、カウンタ(COUNT)81、ラッチ回路(LAT)82、及び比較回路(COMP)83から成る。論理積ゲート80は振幅検波信号ADTCSとキャリアクロックCARCKを入力し、振幅検波信号ADTCSのハイレベル期間にキャリアクロックCARCKを出力する。カウンタ81はリセット端子reset、クロック端子ck及び計数値の出力端子Qを有する。PLS_1tuは1Tu毎にパルス変化されるリセット信号である。PLS_1tuはキャリアクロックCARCKに基づいて生成される。これにより、カウンタ81は振幅検波信号ADTCSのハイレベル期間をキャリアクロックCARCKの計数値(振幅検波信号ADTCSのハイレベル期間値)VCOUNTとして出力する。カウンタ81の計数値は1Tu毎にラッチ回路82にラッチされ、比較回路83はラッチされた振幅検波信号ADTCSのハイレベル期間値を閾値Dthと比較する。マンチェスタ符号方式では図6に例示されるように1Tuにおける信号の正規のデューティは50%であり、論理値1は前半がローレベル、後半がハイレベルであり、論理値0はその逆である。閾値Dthは検波動作による波形の歪み等の誤差を考慮して、最小値a、最大値bとする。比較回路8はa<VCOUNT<bを満足するか否かを判定し、満足すれば信号ADERRをハイレベル、満足しなければローレベルとする。
【0052】
位相側のデューティ判定回路61については、特に図示はしないが、アンドゲート80に位相検波信号PDTCSを供給して、上記と同様に構成すればよい。
【0053】
図7には検波信号ADTCSに対するデューティの非正規性判定動作のタイミングチャートが例示される。ここでは検波信号ADTCSは1,0,1,0と変化されるべきところ、時刻t0乃至t4の期間にハイレベル固定になってしまったとする。計数値VCOUNTは時刻t1でn、時刻t2でy、時刻t3でy、時刻t5でnとなっている。時刻t2のVCOUNT=yは閾値a,bによる許容範囲外であるから、時刻t2にエラー信号ADERRがローレベルにされる。時刻t5ではVCOUNT=nであり、これは閾値a,bによる許容範囲内であるから、時刻t5にエラー信号ADERRがハイレベルに反転される。
【0054】
図8には選択制御回路52の動作タイミングが例示される。TRNは送信側による変調波形であり、これに対してその検波信号ADTCTS,PDTCSにおいてヌル点の影響などによって波形が歪んだ部分(デューティが非正規となっている部分)を一点鎖線で示す。遅延回路62,63は例えばシフトレジスタによって構成され、1Tu分遅延させてデコード信号ADLDAT、PDLDATを出力する。したがって、検波信号ADTCTS,PDTCSのデューティ非正規部分に対応するデコード信号ADLDAT、PDLDATの部分は、それよりも1Tu遅れたハッチング部分によって明示してある。
【0055】
最初に選択回路64は位相側データPDLDATを選択して出力する(SLDAT)。時刻t1において位相側検波信号PDTCSのデューティに非正規性のあることが検出されてエラー信号PDERRがローレベルに変化される。これを受けて選択回路64は出力データSLDATを位相側データPDLDATから振幅側データADLDATに切換える。次に、時刻t5において振幅側検波信号ADTCSのデューティに非正規性のあることが検出されてエラー信号ADERRがローレベルに変化される。これを受けて選択回路64は出力データSLDATを振幅側データADLDATから位相側データPDLDATに切換える。
【0056】
これにより、検波信号PDTCS,ADTCSの正規性を1Tuである情報ビットのデューティの正規性から逐次判定するので、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅の一方に現れなくなる現象がランダムに生じても、データSLDATによりパケットの全域において変調データを正確に復調可能にすることができる。この選択制御を経て得られるデコード信号に対して、エラーチェック回路72によるエラーチェック及びデータバッファ71への蓄積はデコード信号の選択制御よりも後段で行われるから、位相変化と振幅変化の双方のデコード信号PDECS,ADECSの夫々に対して別々にエラーチェック回路及びデータバッファを設けなくてもよいし、それらを並列的に動作させることも必要ない。上記パケットの全域において変調データを正確に復調することを小さな回路規模で実現することができ、且つ、少ない電力消費で実現することができる。
【0057】
実施の形態1の説明では、前記夫々のデューティ判定回路60,61は、情報ビットの伝送路符号方式に応じたタイムユニット(Tu)におけるデューティを正規のデューティとするとき、伝送路符号方式から考えられる小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティによって信号を非正規と判定するものであり、例えば、前記伝送路符号方式をマンチェスタ符号方式とし、前記小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティは、短すぎるハイレベル期間及び長すぎるハイレベル期間として検出した。本発明はこれに限定されず、前記小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティを、短すぎるローレベル期間及び長すぎるローレベル期間として検出してもよい。例えばアンドゲート80には検波信号ADTCSの反転信号を供給すればよい。
【0058】
《実施の形態2》
図9にはデューティ検出回路の別の例が示される。ここでは位相側のデューティ検出回路90を示す。デューティ検出回路90は、ハイ期間側のカウンタ(COUNT_H)92、ロー期間側のカウンタ(COUNT_L)91、ハイ期間側のコンパレータ(COMP_H)93、ロー期間側のコンパレータ(COMP_L)94、アンドゲート95,96,97、及びインバータ98,99から成る。ハイ期間側のカウンタ92は位相側検波信号PDECSのハイレベル期間を計数する。ロー期間側のカウンタ91は位相側検波信号PDECSのローレベル期間を計数する。ckは対応するアンドゲート95,96の出力を受けるクロック入力端子、resetはリセット端子、Qはカウント値VCOUNT_L,VCOUNT_Hの出力端子である。ハイ期間側のコンパレータ93は前記ハイカウンタ92の計数値VCOUNT_Hが閾値Dthを越えた状態を検出して信号PDERR_Hをローレベルにする。ロー期間側のコンパレータ94は前記カウンタ91の計数値VCOUNT_Lが閾値Dthを越えた状態を検出して信号PDERR_Lをローレベルにする。信号PDERRは、前記信号PDERR_HとPDERR_Lの論理積信号であり、前記カウンタ91の計数値VCOUNT_Lが閾値Dthを越えた状態又は前記カウンタ92の計数値VCOUNT_Hが閾値Dthを越えた状態をローレベルで示し、当該ローレベルは対応する検波信号PDECSの非正規性を意味する。
【0059】
前記閾値Dthは、情報ビットの伝送符号方式に応じた連続タイムユニットの範囲で検波信号が一定となる期間を超える計数値とされる。例えばマンチェス方式の場合、連続する複数タイムユニットにおいて連続するハイレベル期間又はローレベル期間は1Tuの期間が正規であり、誤差を考慮しても1.5Tuになることはない。これを考慮してDth=zとする。デューティ検出回路90は、マンチェスタ符号方式のデューティから導かれる、連続する複数のTuに跨る短か過ぎるハイレベル期間(長過ぎるローレベル期間)及び長過ぎるハイレベル期間によって検波信号の非正規性を判定するものであり、短か過ぎるハイレベル期間(長過ぎるローレベル期間)はローレベルパルスのパルス期間をカウントすることによって、長過ぎるハイレベル期間は検波信号のハイレベルパルス期間をカウントすることによって得ることができる。
【0060】
尚、特に図示はしないが、振幅側のデューティ検出回路61についても図9と同様に構成される。
【0061】
図10には位相検波信号PDECSのハイレベル期間が長過ぎる非正規性を生じたときのデューティ検出回路90の動作タイミングを示す。位相検波信号PDECSのハイレベル期間を計数するカウンタ92の計数値VCOUNT_Hが閾値Dth=zを超えたところで検出信号PDERR_Hがローレベルに反転される。これによる信号PDERRの変化による選択回路64による出力SLDATのトグル状の切換え動作は前述の例と同じである。
【0062】
図11には位相検波信号PDECSのローレベル期間が長過ぎる非正規性を生じたときのデューティ検出回路90の動作タイミングを示す。位相検波信号PDECSのローレベル期間を計数するカウンタ91の計数値VCOUNT_Lが閾値Dth=zを超えたところで検出信号PDERR_Lがローレベルに反転される。図9と図10の信号PDERR_H,PDERR_Lの論理積信号PDERRの変化による選択回路64の出力SLDATは前述の例と同様にトグル状に切換え動作される。
【0063】
実施の形態2では伝送路符号方式としてマンチェスタ符号方式の場合について説明したが、それに限定されずCMI符号方式、又はRZ方式であってもよい。
【0064】
《実施の形態3》
図12には受信アナログ部21及び受信ロジック部23の別の例が示される。図1との第1の相違点は、振幅検波側と位相検波側の夫々にシリアル・パラレル変換回路(ASPCONV、PSPCONV)70A,70P、データバッファ(ARXDBUF,PRXDBUF)71A,71P、CRCチェック回路(ACRCCHK,PCRCCHK)72A,72P、シンクコードチェック回路(ASYNCCHK,PSYNCCHK)100A,100Pを別々に設け、CRCチェック回路72A,72Pによるチェック結果と、シンクコードチェック回路100A,100Pによるチェック結果を制御回路101のフラグレジスタ(FLGREG)102に保持して、CPU13による参照を可能にした点である。シンクコードチェック回路(ASYNCCHK,PSYNCCHK)100A,100Pは各パケットの先頭に位置するシンクコードが既定の値であるか否かを判定し、その判定結果はフラグレジスタ102にセットされる。ASCERR、PSCERRはシンクコードチェック回路(ASYNCCHK,PSYNCCHK)100A,100Pによる判定結果信号である。ACCERR,PCCERRはCRCチェック回路(ACRCCHK,PCRCCHK)72A,72Pによる判定結果信号である。
【0065】
CPU13は、CRCチェックにエラーがなく且つシンクコードチェックにエラーが検出されていないデコード信号側の受信データバッファのデータを利用する。これにより、負荷変調の結果が負荷変調信号の位相又は振幅に現れなくなる現象があってもパケットの全域において変調データを正確に復調可能にすることができる。
【0066】
図1との第2の相違点は、前記シンクコードチェック回路100A又はシンクコードチェック回路100Pのチェック結果にエラーが検出されたとき制御回路101は、当該パケットに対してエラーが検出された方である振幅検波側CRCチェック回路72A及びデータバッファ71A又は位相検波側のCRCチェック回路72P及びデータバッファの71Pの動作を停止させる。これによれば、エラーチェック回路及びデータバッファを位相検波信号処理系と振幅検波信号処理系で別々に持つが、双方が常時動作する訳ではないから、上記パケットの全域において変調データを正確に復調することを少ない電力消費で実現することができる。
【0067】
《実施の形態4》
図13にはNFCシステムを備えた携帯電話機(MBLPHN)110に本発明を適用した場合が例示される。本発明は図2のICカードのリーダライト2に適用する場合に限定されない。非接触通信半導体装置2はホストコントローラ(HSTCNT)111、セキュアモジュール(SCRMDL)112に接続される。ホストコントローラ(HSTCNT)111は携帯電話機のための操作部(OPRTN)113、表示部(DSP)114、及び移動体通信部(MBLCOM)115に接続される。セキュアモジュール112は認証処理などに用いられる。ホストコントローラ111は全体的な制御を行う。これによれば、携帯電話機110において同種の他の携帯電話機から送信された負荷変調信号を受信する場合において、ヌル点などによる受信不能を、小さな回路規模で、電力消費を抑えて実現することができる。
【0068】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0069】
例えば閾値Dthの値は上記説明に限定されず適宜変更可能である。非接触通信半導体装置が搭載する回路ブロックの種類は図2に限定されず適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は本発明における受信アナログ部21及び受信ロジック部23の具体例を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明に係る通信装置を適用した非接触ICカード通信システムを例示するブロック図である。
【図3】図3は変調部分において無変調部分との間の振幅差が消失して位相差が現れるヌル点の状態を例示する説明図である。
【図4】図4は振幅検波回路と位相検波回路の具体例を示すブロック図である。
【図5】図5は振幅側のデューティ判定回路の構成を例示するブロック図である。
【図6】図6はマンチェスタ符号方式における1Tuにおける情報ビットと波形を示す説明図である。
【図7】図7は検波信号ADTCSに対するデューティの非正規性判定動作のタイミングチャートである。
【図8】図8は選択制御回路52の動作タイミングである。
【図9】図9はデューティ検出回路の別の例を示すブロック図である。
【図10】図10は位相検波信号PDECSのハイレベル期間が長過ぎる非正規性を生じたときのデューティ検出回路90の動作タイミングチャートである。
【図11】図11は位相検波信号PDECSのローレベル期間が長過ぎる非正規性を生じたときのデューティ検出回路90の動作タイミングチャートである。
【図12】図12は受信アナログ部及び受信ロジック部の別の例を示すブロック図である。
【図13】図13はNFCシステムを備えた携帯電話機に本発明を適用した場合のシステムブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
1 非接触ICカード(CRD)
2 非接触ICカード1のリーダライタ
3 非接触通信半導体装置(CFCLSI)
4 サーバインタフェース(SRVIF)
5 サーバ(SRV)
10 ループアンテナ
11 非接触通信アナログ部(CFCALG)
12 非接触通信ロジック部(CFCLGC)
13 中央処理装置(CPU)
14 メモリ(MRY)
15 外部インタフェース(EXIF)
16 バス(BUS)
20 送信アナログ部
21 受信アナログ部
22 送信ロジック部(TXLGC)
23 受信ロジック部(RXLGC)
24 制御ロジック部(CONTLGC)
ADTCS 振幅検波信号
30 振幅検波回路(ADTC)
PDTCS 位相検波信号
40 位相検波回路(PDTC)
31 ピークホールド回路(PH)
32 非線形アンプ(NLA)
33 包絡線検波回路(EDET)
34 A/D変換回路(ADC)
41 波形整形回路(MOD)
42 掛算回路(MIX)
43 A/D変換回路(ADC)
ADECS 振幅側デコード信号(第1デコード信号)
50 振幅側デコーダ(第1デコーダ)
PDTCS 位相側デコード信号(第2デコード信号)
51 位相側デコーダ(第2デコーダ)
52 選択制御回路(SLCONT)
60 振幅側のデューティ判定回路(ADTM)
61 位相側のデューティ判定回路(PDTM)
62 振幅側の遅延回路(ADLY)
63 位相側の遅延回路(PDLY)
64 選択回路(SLCT)
70 シリア・パラレル変換回路(SPCNV)
71 データバッファ(RXDBUF)
72 CRCチェック回路(CRCCHK)
CARCK キャリアクロック
80 論理積ゲート
81 カウンタ(COUNT)
82 ラッチ回路(LAT)
83 比較回路(COMP)
90 位相側のデューティ検出回路
92 ハイ期間側のカウンタ(COUNT_H)
91 ロー期間側のカウンタ(COUNT_L)
93 ハイ期間側のコンパレータ(COMP_H)
94 ロー期間側のコンパレータ(COMP_L)
95,96,97 アンドゲート
98,99 インバータ
70A,70P シリアル・パラレル変換回路(ASPCONV、PSPCONV)
71A,71P データバッファ(ARXDBUF,PRXDBUF)
72A,72P CRCチェック回路(ACRCCHK,PCRCCHK)
100A,100P シンクコードチェック回路(ASYNCCHK,PSYNCCHK)
101 制御回路
102 フラグレジスタ(FLGREG)
110 携帯電話機(MBLPHN)
111 ホストコントローラ(HSTCNT)
112 セキュアモジュール(SCRMDL)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナで受信された負荷変調信号の振幅変化を検出して振幅検波信号を出力する振幅検波回路と、
アンテナで受信された負荷変調信号の位相変化を検出して位相検波信号を出力する位相検波回路と、
前記振幅検波回路から出力された振幅検波信号をデコードして第1デコード信号を生成する第1デコーダと、
前記位相検波回路から出力された位相検波信号をデコードして第2デコード信号を生成する第2デコーダと、
前記振幅検波信号と位相検波信号の夫々の正規性を逐次判定し、予め指定された第1デコード信号又は第2デコード信号の一方のデコード信号に対応する検波信号の正規性が検出されている間は当該一方のデコード信号を選択し、その検波信号の非正規性が検出されたときデコード信号の選択を前記一方のデコード信号から他方のデコード信号に切換える選択制御回路と、を有し、
前記選択制御回路は、夫々の検波信号における情報ビットの正規のデューティに基づいて信号の正規性を逐次判定する、通信装置。
【請求項2】
前記選択制御回路は、前記振幅検波信号の正規性を判定する第1判定回路と、
前記位相検波信号の正規性を判定する第2判定回路と、
前記第1判定回路による判定動作に応ずる期間だけ第1デコード信号の伝播を遅延させる第1遅延回路と、
前記第2判定回路による判定動作に応ずる期間だけ第2デコード信号の伝播を遅延させる第2遅延回路と、
前記第1遅延回路又は第2遅延回路の何れか一方の出力を選択し、選択側の遅延回路に対応される前記判定回路による非正規性の判定結果が得られる毎に非選択側の遅延回路の出力を選択する選択回路と、を有する請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、情報ビットの伝送路符号方式に応じたタイムユニットにおけるデューティを正規のデューティとするとき、伝送路符号方式から考えられる小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティによって信号を非正規と判定する、請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記伝送路符号方式はマンチェスタ符号方式である、請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
前記小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティは、短すぎるハイレベル期間及び長すぎるハイレベル期間である、請求項4記載の通信装置。
【請求項6】
前記小さ過ぎるデューティ及び大き過ぎるデューティは、短すぎるローレベル期間及び長すぎるローレベル期間である、請求項4記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、周期の2倍(nは2以上の整数)がタイムユニットに相当されるクロック信号を前記検波信号のハイレベル期間毎に計数するカウンタと、
前記タイムユニット毎に前記カウンタの計数値をラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路にラッチされた計数値を閾値データと比較して前記正規性を判定する比較回路と、を有する請求項5記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、周期の2倍(nは2以上の整数)がタイムユニットに相当されるクロック信号を前記検波信号のローレベル期間毎に計数するカウンタと、
前記タイムユニット毎に前記カウンタの計数値をラッチするラッチ回路と、
前記ラッチ回路にラッチされた計数値を閾値データと比較して前記正規性を判定する比較回路と、を有する請求項6記載の通信装置。
【請求項9】
前記選択回路から出力されるデコード信号を蓄積する受信データバッファと、前記選択回路から出力されるデコード信号を用いてパケット単位のエラーチェックを行うエラーチェック回路と、前記エラーチェック回路によるチェック結果に基づいて前記受信データバッファのデータを処理するデータ処理回路と、を更に有する、請求項2記載の通信装置。
【請求項10】
1個の半導体チップに形成され、又は1個のモジュール基板に複数個の半導体チップが搭載されて形成された、請求項9記載の通信装置。
【請求項11】
請求項10記載の通信装置を搭載した通信携帯端末。
【請求項12】
請求項10記載の通信装置を搭載した、非接触ICカードのためのリーダライタ。
【請求項13】
前記第1判定回路及び第2判定回路の夫々は、対応する検波信号のハイレベル期間を計数するハイ期間用のカウンタと、対応する検波信号のローレベル期間を計数するロー期間用のカウンタと、前記ハイ期間用のカウンタの計数値が閾値を越えた状態又は前記ロー期間用のカウンタの計数値が閾値を越えた状態を対応する検波信号の非正規性の判定結果として出力する検出回路とを有し、
前記閾値は、情報ビットの伝送符号方式に応じた連続タイムユニットの範囲で検波信号が一定となる期間を超える計数値とされる、請求項2記載の通信装置。
【請求項14】
前記伝送路符号方式はマンチェスタ符号方式、CMI符号方式、又はRZ方式である、請求項13記載の通信装置。
【請求項15】
アンテナで受信された負荷変調信号の振幅変化を検出して振幅検波信号を出力する振幅検波回路と、
アンテナで受信された負荷変調信号の位相変化を検出して位相検波信号を出力する位相検波回路と、
前記振幅検波回路から出力された振幅検波信号をデコードして第1デコード信号を生成する第1デコーダと、
前記位相検波回路から出力された位相検波信号をデコードして第2デコード信号を生成する第2デコーダと、
前記第1デコード信号に対してパケットのシンクコードをチェックする第1シンクコードチェック回路と、
前記第2デコード信号に対してパケットのシンクコードをチェックする第2シンクコードチェック回路と、
前記第1デコード信号に対してパケットのエラーチェックコードを用いてエラーチェックを行う第1エラーチェック回路と、
前記第2デコード信号に対してパケットのエラーチェックコードを用いてエラーチェックを行う第2エラーチェック回路と、
前記第1デコード信号をパケット単位で蓄積する第1受信データバッファと、
前記第2デコード信号をパケット単位で蓄積する第2受信データバッファと、
前記第1エラーチェック回路及び第2エラーチェック回路のチェック結果にエラーがなく且つシンクコードチェックにエラーが検出されていないデコード信号側の受信データバッファのデータを利用するデータ処理回路と、を有する通信装置。
【請求項16】
前記第1シンクコードチェック回路のチェック結果又は第2シンクコードチェック回路のチェック結果にエラーが検出されたとき当該パケットに対してエラーが検出された側のエラーチェック回路及びデータバッファの動作を停止させる制御回路を更に有する、請求項15記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−109782(P2010−109782A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280643(P2008−280643)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】