説明

通信装置、通信装置におけるデータ制御方法およびプログラム

【課題】装置間におけるアドレスの不整合を防ぐ通信装置を提供する。
【解決手段】通信先を示すアドレスの一覧を取得する。アドレスで示される通信先と通信装置との間で用いられる通信プロトコルを特定する。その特定された通信プロトコルに応じて、一覧に含まれるアドレスの表記を変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドレス一覧のインポート/エクスポートを行う通信装置、通信装置におけるデータ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機等の通信装置が受信したファクシミリ文書をネットワーク上のファイルサーバに転送する受信転送機能が知られている。この機能を応用して、通信装置が備えるファイルサーバ機能と連携させると、自装置への転送が可能となる。また、配信やエクスポート又はインポート機能によって、ネットワーク上の他の通信装置に転送設定を行うことが可能である。
【0003】
文書管理装置とネットワークの間に接続して使用される装置として、プリンタサーバ等の外部コントローラがある。通信装置に外部コントローラを接続した場合には、通信装置のファイルサーバとして使用できるプロトコルが特定のものに限定されてしまう。例えば、SMB/CIFSプロトコルは複数のポートを使う複雑なプロトコルであるので、外部コントローラで使用されると、通信装置においては、SMB/CIFSプロトコルによってファイルサーバ機能を使用することができなくなってしまう。
【0004】
ファイルサーバ機能を実現するプロトコルには、SMB/CIFSの他に、WebDAVプロトコルがある。WebDAVプロトコルはhttpプロトコルを拡張したものであり、ネットワークのポートを1つしか使用しないことや、アクセス先のURLを指定すること等の理由で、転送処理を比較的容易に行うことができる。そのため、通信装置に外部コントローラが接続された場合においても、通信装置へのWebDAV処理要求を外部コントローラから通信装置に転送することによって、通信装置のファイルサーバ機能を使用することが可能となる。その場合には、通信装置のファイルサーバ機能を利用するためのアドレスに特別なポート番号が付加される。
【0005】
従って、通信装置のファイルサーバ機能をネットワークに公開する場合には、SMB/CIFSプロトコルで公開する場合と、WebDAVプロトコルで公開する場合とに分けられる。さらに、WebDAVプロトコルで公開する場合は、特別なポート番号が付加された場合と、そうではない場合との合計3通りの状態が考えられる。
【0006】
特許文献1には、アドレス帳のインポートに関する技術が記載されている。特許文献1によると、LDAPの共用アドレス帳を複数の通信端末で共有し、各通信端末のアドレスをLDAPの共用アドレスに適した情報に変換して、LDAPの共用アドレス帳に登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−157922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ファイルサーバ機能の公開の状態が上記のように相異なる装置間で転送設定のエクスポートやインポートが行われた場合に、自装置のファイルサーバにアクセスするためのアドレス表現が異なってしまう。従って、ユーザが意図したとおりに動作しないおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。本発明は、上記の点に鑑み、装置間におけるアドレスの不整合を防ぐ通信装置、通信装置におけるデータ制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、ネットワークを介して他の通信装置と通信可能な通信装置であって、
通信先を示すアドレスの一覧を取得する取得手段と、
前記通信先と前記通信装置との間で用いられる通信プロトコルを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された通信プロトコルに応じて、前記一覧に含まれる前記アドレスの表記を変換する変換手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置間におけるアドレスの不整合を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】通信システムの構成を示す図である。
【図2】通信装置のハードウエア構成を示す図である。
【図3】通信装置のソフトウエア構成の主要部分を示す図である。
【図4A】本実施例におけるデータ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4B】図4Aに示す処理の続きを示すフローチャートである。
【図5】転送条件リストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明に係る通信装置1001を含む通信システムの構成を示す図である。LAN1005に、外部コントローラ1004と通信装置1002とPC1007とが相互に通信可能なように接続されている。外部コントローラ1004は、例えばプリントサーバであり、通信装置1002は例えば複合機(MFP)である。一方、公衆網1006に、通信装置1001と通信装置1002と通信装置1003とが接続されており、相互にファクシミリの送受信が可能なように構成されている。また、通信装置1001には外部コントローラ1004が接続されており、LAN1005上の機器から通信装置1001へのネットワークアクセスは、外部コントローラ1004を経由して行われる。
【0015】
図2は、通信装置1001のハードウエア構成を示す図である。コントローラユニット2000は、画像入力デバイスであるスキャナ2070や画像出力デバイスであるプリンタ2095を接続している。コントローラユニット2000は、例えば、スキャナ2070で読み取られた画像データをプリンタ2095により印刷出力するコピー機能を実現する。コントローラユニット2000はさらに、LAN1005やWAN等の公衆網1006に接続することによって、画像情報やデバイス情報の入出力を行うように制御する。
【0016】
コントローラユニット2000は、CPU2001を含む。CPU2001は、ROM2003に格納されているブートプログラムによりオペレーションシステム(OS)を起動する。その後、そのOS上でHDD2004に格納されているアプリケーションプログラムを実行することによって各種処理を実行する。RAM2002は、CPU2001の作業領域として用いられる。RAM2002は、作業領域とともに、画像データを一時記憶するための画像メモリ領域を提供する。HDD2004は、上記のアプリケーションプログラムとともに、画像データを格納する。
【0017】
CPU2001にはシステムバス2007を介して、ROM2003およびRAM2002が接続されている。CPU2001には、さらに、操作部I/F2006、ネットワークI/F2010、モデム2050およびイメージバスI/F2005が接続されている。操作部I/F2006は、タッチパネルを有する操作部2012とのインタフェースであり、操作部2012に表示する画像データを操作部2012に対して出力する。また、操作部I/F2006は、操作部2012においてユーザより入力された情報をCPU2001に送出する。
【0018】
ネットワークI/F2010は、LAN1005に接続され、LAN1005を介して各装置との間で情報の入出力を行う。モデム2050は、公衆網1006に接続され、公衆網1006を介して情報の入出力を行う。イメージバスI/F2005は、システムバス2007と画像データを高速で転送する画像バス2008とを接続し、データ構造を変換するためのバスブリッジである。画像バス2008は、PCIバスまたはIEEE1394から構成される。画像バス2008には、ラスタイメージプロセッサ(RIP)2060、デバイスI/F2020、スキャナ画像処理部2080、プリンタ画像処理部2090、画像回転部2030、サムネイル作成部2035、画像圧縮部2040が接続されている。
【0019】
RIP2060は、PDLコードをビットマップイメージに展開するプロセッサである。デバイスI/F2020には、スキャナ2070およびプリンタ2095が接続され、デバイスI/F2020は、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部2080は、入力画像データに対して補正、加工、編集処理を行う。プリンタ画像処理部2090は、プリント出力画像データに対してプリンタの補正、解像度変換等を行う。画像回転部2030は、画像データの回転を行う。画像圧縮部2040は、多値画像データをJPEGデータに圧縮するとともに伸張処理も行う。また、画像圧縮部2040は、2値画像データをJBIG、MMR、MH等のデータに圧縮するとともに伸張処理も行う。
【0020】
図3は、通信装置1001のソフトウエア構成の主要部分を示す図である。通信装置1001は、操作部2012でのユーザの操作に応じた処理を行う操作部アプリケーション3010を含む。また、通信装置1001は、スキャナ2070、プリンタ2095、モデム2050により実施されるファクシミリを制御するためのデバイス制御部3030と、ボックスに格納された画像データ等を管理する管理部3040とを含む。
【0021】
操作部アプリケーション3010について説明する。主制御部3011は、画面の表示やユーザのタッチパネル操作などの基本的な入出力を制御する。コピー操作処理部3012は、デバイス制御部3030を用いて原稿を読み取って記録媒体に複写するコピー操作を行う。スキャン操作処理部3013は、デバイス制御部3030及び文書管理部3050を用いて原稿を読み取って電子画像データに変換し、文書ボックスに格納したり、LAN1005上の装置に送信したりする。送信操作処理部3014は、デバイス制御部3030を用いて原稿を読み取って、ファクシミリ、電子メール、ファイルサーバへの送信を行う。送信操作処理部3014は、宛先管理部3070を用いて送信宛先(通信先)の参照、作成、削除、変更の操作を処理する。文書ボックス操作処理部3015は、文書管理部3050およびデバイス制御部3030を用いて文書ボックス内に保存されている画像データの表示、印刷、送信等を行う。装置設定処理部3016は、装置設定管理部3090を用いて装置設定の参照、変更の操作を処理する。
【0022】
ファイル変換部3017は、画像ファイルからPDF(Portable Document Format)やXPS(XML Paper Specification) への変換処理や、その逆のファイル変換処理を行う。ここで、画像ファイルとは、JPEG、MH、MMR、JBIG、TIFF等の画像ファイルをいう。ユーザ管理操作処理部3018は、ユーザ管理部3060を用いて、ユーザ認証処理、ユーザの作成、削除等の操作を処理する。受信転送処理部3019は、ファクシミリ制御部3034によりファクシミリを受信した場合や、ネットワーク制御部3035により電子メールを受信した場合に転送条件を満たしていれば、送信操作処理部3014を用いて転送処理を行う。ここで、転送条件は、転送条件管理部3080に登録されている。受信転送処理部3019は、転送条件管理部3080への転送条件の作成、削除、参照、変更等の操作を処理する。
【0023】
ファイルサーバ処理部3020は、ネットワーク制御部3035を介してLAN1005に接続されている機器からのファイルアクセス要求に応じて、ユーザ管理部3060によるユーザ認証処理や、文書管理部3050による文書アクセス処理を行う。このとき、ファイルアクセス要求は、装置設定管理部3090に設定されている文書公開設定に従って、SMB/CIFS(以下、単にSMBともいう)又はWebDAVで受け付けられる。文書公開設定が「公開しない」場合にはファイルアクセス要求を受け付けない。文書公開設定が「WebDAV」の場合には、さらに装置設定管理部3090に設定されている外部コントローラ接続に関する装置構成の設定に従う。つまり、外部コントローラを接続していない場合には、通常のhttp用のポート番号である80番ポートでWebDAVのサービスを実行する。このときクライアントがWebDAVでファイルアクセス要求を行う場合には、そのアドレスに明示的にポート番号を付与する必要はない。例えば 、「http://hostname/share/folder/」 のようなアドレスを使用することができる。一方、外部コントローラを接続している場合には、httpの代替ポートである18080番ポートでWebDAVのサービスを実行する。このとき、クライアントはアドレス文字列に明示的に18080番ポートを付加する必要がある。例えば、「http://hostname:18080/share/folder/」 のようにホストアドレスの後に「:18080」を付加する必要がある。ここで、18080番は代替ポートの一例であり、他のサービスで使用していない番号であれば別の番号でも良い。
【0024】
次に、デバイス制御部3030を説明する。スキャナ制御部3032は、スキャナ2070を制御する。プリンタ制御部3033は、プリンタ2095を制御する。ファクシミリ制御部3034は、ファクシミリ通信を制御する。ネットワーク制御部3035は、ネットワーク通信の制御を行う。
【0025】
次に、管理部3040を説明する。文書管理部3050は、画像データ等からなる文書の作成、変更、削除、閲覧や、文書を格納するフォルダの作成、変更、削除、閲覧や、文書やフォルダの属性情報の変更や、文書やフォルダのアクセス許可設定の変更や、文書の一時保管等の処理を行う。また、これらの情報は文書データベース3051で管理される。ユーザ管理部3060は、ユーザID、ユーザ名、ユーザパスワード、ユーザのメールアドレスやユーザのホームフォルダ等の作成、削除、閲覧、変更等の処理を行う。また、装置内の各部からの要求に応じてユーザの認証処理も行う。これらの情報は、ユーザデータベース3061で管理される。宛先管理部3070は、宛先ID、宛先名、宛先種別、宛先アドレスなどの作成、削除、閲覧、変更等の処理を行う。これらの情報は、宛先データベース3071で管理される。ここで、宛先IDとは、宛先作成時にシステムが発行する識別用のIDである。宛先名称は、ユーザが入力する宛先を示す文字列である。宛先種別は、宛先にアクセスする際に使用するアクセス方法(通信プロトコル)を特定する情報であり、ファクシミリ、電子メール、SMB、WebDAV等が設定される。宛先アドレスは、ファクシミリ番号や電子メールアドレス、SMB共有フォルダ名やWebDAVフォルダのアドレスが設定される。また、宛先がSMBやWebDAV等で宛先にアクセスするためのユーザ名、パスワード等も設定される。転送条件管理部3080は 図5に示される転送条件リスト5000を格納する転送条件データベース3081を管理する。上記の情報は、転送条件データベース3081で管理される。
【0026】
ここで、図5を参照しながら転送条件リスト5000を説明する。転送条件リスト5000とは、例えば、ファクシミリが自装置で受信された場合に、そのデータを遠隔の通信装置のボックス内にネットワークを介して格納するといった場合に用いられる転送宛先(上記の遠隔の通信装置のアドレス等)の一覧である。転送条件リスト5000は、転送条件1から転送条件Nまでの配列として構成されている。ここでそれぞれの転送条件は、転送条件番号5011と、転送条件名5012と、転送条件:宛先5013と、転送条件:送信元5014と、転送条件:件名5015と、転送先種別5016と、転送先アドレス5017とを含む。
【0027】
転送条件:宛先5013は、例えば「ファクシミリの宛先の電話番号がNNN−NNNNに一致した場合」などの転送条件を設定する場合に用いられる。転送条件:送信元5014は、例えば「ファクシミリ送信元の電話番号がNNN−NNNNに一致した場合」や「送信元のメールアドレスがxxx@xxxx.xxxに一致した場合」などの転送条件を設定する場合に用いられる。転送条件:件名5015は、例えば「電子メールの件名に「緊急」が含まれる場合」などの転送条件を設定する場合に用いられる。
【0028】
転送先種別5016には、転送先の種別として、宛先表、ファクシミリ、SMB、WebDAV、電子メールなどを設定することができる。転送先アドレス5017は、宛先データベース3071に管理されている宛先IDまたは、電子メールアドレスやファイルサーバの共有フォルダ等のアドレス、共有フォルダへのパス名を保持する。宛先がファイルサーバ等、アクセスする際にユーザ名やパスワードが必要な宛先の場合には、それらの情報も保持されている。ファクシミリ受信時などに、これらの条件を満たすものがあれば、転送先アドレス5017に保持されている転送先に転送処理が行われる。
【0029】
例えば、LAN1005に接続されたPC1007や通信装置1002からネットワーク制御部3035を介して、通信装置1001に転送条件リスト5000を設定することができる(インポート)。このインポート処理については、図4、図5を用いて詳細に説明する。
【0030】
装置設定管理部3090は、通信装置1001の動作に必要な設定を管理する。装置の設定情報は、装置設定データベース3091に管理されている。本実施例における文書公開設定や外部コントローラの接続設定は、装置設定データベース3091で管理されている。文書公開設定はファイルサーバで使用するプロトコルを設定しており、「公開しない」、「SMB」、「WebDAV」のいずれかを設定することができる。ファイルサーバ処理部3020は、「公開しない」が設定されている場合には、LAN1005経由のファイルアクセス要求を一切受け付けない。「SMB」が設定されている場合には、SMB/CIFSプロトコルによるファイルアクセス要求を受け付ける。「WebDAV」が設定されている場合には、WebDAVプロトコルによるファイルアクセス要求を受け付ける。外部コントローラの接続設定は、外部コントローラが接続されている場合には「ON」、外部コントローラが接続されていない場合には「OFF」と設定される。
【0031】
図4A及び図4Bは、本実施例におけるデータ制御処理の手順を示すフローチャートである。図4A及び図4Bに示す各処理は、例えば、通信装置1001のCPU2001により受信転送処理部3019のプログラムが実行されて実現される。また、本図で示される処理は、例えば、PC1007や通信装置1002から通信装置1001に転送条件リスト5000が設定される場合に開始される。具体的には、LAN1005上のPC1007や通信装置1002からのインポート指示により開始される。CPU2001は、ネットワークI/F2010を介して転送設定のインポート指示を受信すると、S4010において、転送条件リスト5000を取得して格納するためのメモリをRAM2002に確保するなどの初期化処理を行う(S401)。以降、ネットワークI/F2010を介して受信された転送条件リスト5000は、確保されたメモリに一時的に保存される(S402)。転送条件リスト5000は、図5に示すように、転送条件1〜Nの配列として構成されている。
【0032】
次に、CPU2001は、変数を確保して、RAM2002から1件分の転送条件をその変数に読み出す(S403)。S404では以下のように処理を分岐する。読み出す転送条件がない、即ち、転送条件1〜Nまでの全ての転送条件に対する処理を終えた場合には、S414において、S401において確保したメモリの解放処理等を行って本処理を終了する。一方、読み出す転送条件がある場合には、S405に進む。
【0033】
S405において、CPU2001は、装置設定管理部3090を用いて、外部コントローラが接続されているか否かを判定する。S405においては、例えば、装置設定管理部3090において外部コントローラの接続設定が「ON」か「OFF」かによって判定することができる。ここで、外部コントローラが接続されていると判定された場合にはS406に進み、外部コントローラが接続されていないと判定された場合には、S415に進む。
【0034】
S406においては、装置設定管理部3090を用いて装置の文書公開設定を判定する。ここで、文書公開設定が「公開しない」または「SMB」である場合にはS412に進み、「WebDAV」である場合にはS407に進む。
【0035】
S412において、CPU2001は、S403で読み出した転送条件に設定されている転送宛先のアドレス5017を確認する。ここで、転送宛先のアドレスがローカルホストアドレスである場合には、その転送宛先に転送処理ができないので、通信装置1001への転送条件の登録を行わずに、S403に戻る。一方、転送宛先のアドレスがローカルホストアドレスでない場合にはS413に進み、転送条件を転送条件管理部3080により転送条件データベース3081に登録する。ローカルホストアドレスは、宛先のネットワークアドレス部分を抜き出して、以下の文字列に一致するか否かによって分かる。ローカルホストアドレスを表す文字列として、「localhost」、「127.0.0.1」、「[0:0:0:0:0:0:0:1]」、「[0::1]」,「[::1]」が用いられる。
【0036】
S407において、S412と同様に、読み出した宛先のアドレス5017がローカルホストアドレスか否かを確認する。ローカルホストアドレスであった場合には、S408に進み、ローカルホストアドレスでない場合にはS413に進み、転送条件を転送条件管理部3080により転送条件データベース3081に登録する。S408において、S403において読み出された転送条件に設定されている転送宛先の宛先種別を判定する。宛先種別は、宛先に転送するときに使用するプロトコルの種類を識別するための情報である。ここで、宛先種別が「SMB」であると判定された場合にはS409に進み、宛先種別が「WebDAV」であると判定された場合にはS410に進み、いずれでもないと判定された場合にはS413に進む。
【0037】
S409においては、S403において読み出されたSMB形式の宛先を、WebDAV形式の宛先に変更する。例えば、「¥¥localhost¥share¥folder」を「http://localhost/share/folder」と変換する。S410においては、S403において読み出された転送条件に設定されている転送宛先でネットワークポート番号が指定されているか否かを確認し、代替ポート番号が指定されているかを判定する。例えば、「http://localhost:18080/share/folder」のように「:18080」に相当する部分があれば、代替ポート番号が指定されていると判定してS413に進む。一方、「:18080」に相当する部分がなければ、代替ポート番号が指定されていないと判定してS411に進む。S411においては、例えば、「http://localhost/share/folder」は、「http://loalhost:18080/share/folder」に変換される。ここで、「:18080」は、外付けコントローラが通信装置1001に接続されている場合のおけるWebDAVによる文書公開サービスのためのネットワークポート番号の一例であり、他のポート番号が用いられても良い。
【0038】
次に、S405において外部コントローラが接続されていないと判定された場合について説明する。S415において、S406と同様に文書公開設定を判定する。ここで、「公開しない」と判定された場合には、転送リストの登録を行わずにS403に戻る。また、「SMB」であると判定された場合にはS421に進み、「WebDAV」であると判定された場合にはS416に進む。S416においては、S412と同様に、読み出した転送宛先のアドレス5017がローカルホストアドレスであるか否かを判定する。ここで、ローカルホストアドレスであると判定された場合にはS417に進み、ローカルホストアドレスでない場合には、S403に戻る。S417においては、S408と同様に、転送宛先の宛先種別を判定する。ここで、宛先種別が「SMB」であると判定された場合にはS418に進み、宛先種別が「WebDAV」であると判定された場合にはS419に進み、いずれでもないと判定された場合にはS403に戻る。S418においては、S409と同様に、SMB形式のアドレス表記をWebDAV形式のアドレス表記に変換して、S413に進む。S419においては、S410と同様に、転送条件に設定されている転送宛先でネットワークポート番号(代替ポート番号)が指定されているか否かを判定する。ここで、指定されていると判定された場合にはS420に進み、ネットワークポート番号を削除してS413に進む。一方、指定されていないと判定された場合にはS413に進む。
【0039】
S421においては、S412と同様に、読み出した転送宛先のアドレス5017がローカルホストアドレスであるか否かを判定する。ここで、ローカルホストアドレスであると判定された場合にはS422に進み、ローカルホストアドレスでなければS413に進む。S422においては、S408と同様に、転送宛先の宛先種別を判定する。ここで、宛先種別が「SMB」であると判定された場合にはS413に進み、「WebDAV」 であると判定された場合にはS423に進み、いずれでもないと判定された場合にはS403に戻る。S423においては、転送先のアドレス表記をWebDAV形式のアドレス表記からSMB形式の表記に変換する。例えば、「http://localhost/share/folder」を「¥¥localhost¥share¥folder」に変換する。
【0040】
以上説明したように、本実施例によれば、他の装置から送信された転送設定を受信して自装置の転送設定として設定するにあたって、その転送設定に従ってデータの転送を行う際の転送エラーを未然に防ぐように設定することができる。例えば自装置の構成(外部コントローラが接続されているか否か等)に基づいて、転送設定に含まれる転送宛先の内容を書き変えるので、自装置の構成に基づく制約による転送エラーを未然に防ぐことができる。
【0041】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
通信先を示すアドレスの一覧を取得する取得手段と、
前記通信先と前記通信装置との間で用いられる通信プロトコルを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された通信プロトコルに応じて、前記一覧に含まれる前記アドレスの表記を変換する変換手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記アドレスの表記がWebDAVプロトコルの形式であり、前記特定手段により前記通信プロトコルがSMB/CIFSプロトコルであると特定された場合には、
前記変換手段は、前記アドレスの表記をSMB/CIFSプロトコルの形式に変換することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記アドレスの表記がSMB/CIFSプロトコルの形式であり、前記特定手段により前記通信プロトコルがWebDAVプロトコルであると特定された場合には、
前記変換手段は、前記アドレスの表記をWebDAVプロトコルの形式に変換することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記アドレスの表記がWebDAVプロトコルの形式であり、前記特定手段により前記通信プロトコルがWebDAVプロトコルであると特定された場合には、
前記変換手段は、前記アドレスの表記を、前記通信先の装置構成に応じたWebDAVプロトコルの形式に変換することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
ネットワークを介して他の通信装置と通信可能な通信装置において実行されるデータ制御方法であって、
前記通信装置の取得手段が、通信先を示すアドレスの一覧を取得する取得工程と、
前記通信装置の特定手段が、前記他の通信装置と前記通信装置との間で用いられる通信プロトコルを特定する特定工程と、
前記通信装置の変換手段が、前記特定工程において特定された通信プロトコルに応じて、前記一覧に含まれる前記アドレスの表記を変換する変換工程と
を有することを特徴とするデータ制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−242856(P2012−242856A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108735(P2011−108735)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】