説明

通信装置、通信装置の電力制御方法及びプログラム

【課題】接続される給電装置の規格に合わせて、電力クラスを自動的に変更し得る。
【解決手段】実施形態によれば、通信装置は、給電装置から供給される電力を受電する通信装置を対象にし、処理手段と、検出手段と、制御手段とを備える。処理手段は、接続される給電装置に応じて最大受給電力量が異なる複数の電力クラスの中から選択的に設定された電力クラスで動作し、通信処理を実行する。検出手段は、給電装置への接続時に、給電装置との間で実行される認証処理の回数を検出する。制御手段は、検出手段による検出結果に基づいて、接続される給電装置に対応する電力クラスを処理手段に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えばIP(Internet Protocol)電話機として使用される通信装置、通信装置の電力制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IP(Internet Protocol)網を介して、双方向に画像や音声をパケットデータとして、リアルタイムに送受信するIP電話システムが普及している。このIP電話システムでは、IP網に接続されるIP電話端末間で音声通信を行うことができるとともに、IP電話端末と公衆網に接続される電話端末との間で音声通信を行えることは勿論のことである。この場合、POE(Power Over Ether(登録商標))等の給電手法に従って、LAN(Local Area Network)を構成するルータやスイッチングハブなどのLAN給電装置から電源(駆動電力)がIP電話端末に供給されることにより実現できる。このIP電話端末は、例えばIEEE802.3af規格に対応している。
【0003】
一方、上記IP電話システムでは、IP網に接続されるIP電話端末間で動画を利用したビデオ通信を行うこともできる。この場合、IEEE802.3af規格より最大消費電力量が大きいIEEE802.3at規格に対応したIP電話端末が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−106127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記IEEE802.3afとIEEE802.3at規格は互換性があり、IEEE802.3at規格に対応する受電機器(以降、PDと表記)はIEEE802.3af規格のみに対応するLAN給電装置(以降、PSEと表記)からも電力供給を受けることができる。しかし、IEEE802.3at規格に対応するPDはクラスを4に設定する必要があり、IEEE802.3af規格のみに対応するPSEへ接続した場合には、クラス0のPDとして認識される。
【0006】
このため、IEEE802.3at対応の通信装置をIEEE802.3af規格のみに対応するPSEに接続した場合、すべてクラス0として扱われるため、PSE側はクラスによる効率的な電源管理を行うことができない。
【0007】
またPSEの規格対応状況に合わせて手動でクラス設定を行う場合には、手間がかかるほか、誤設定などのミスが発生する恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、接続される給電装置の規格に合わせて、電力クラスを自動的に変更し得る通信装置、通信装置の電力制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、通信装置は、給電装置から供給される電力を受電する通信装置を対象にし、処理手段と、検出手段と、制御手段とを備える。処理手段は、接続される給電装置に応じて最大受給電力量が異なる複数の電力クラスの中から選択的に設定された電力クラスで動作し、通信処理を実行する。検出手段は、給電装置への接続時に、給電装置との間で実行される認証処理の回数を検出する。制御手段は、検出手段による検出結果に基づいて、接続される給電装置に対応する電力クラスを処理手段に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係わるIP電話システムを示す概略構成図である。
【図2】上記図1に示した通信装置としてのIP電話端末の構成を示すブロック図である。
【図3】上記図2に示した主制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本第1の実施形態におけるIP電話端末をハブに接続した際の起動シーケンス波形図である。
【図5】本第1の実施形態におけるIP電話端末をIEEE802.3af対応のハブに接続して音声通話を行なう際のシーケンスを示す図である。
【図6】本第1の実施形態におけるIP電話端末をIEEE802.3at対応のハブに接続してビデオ通話を行なう際のシーケンスを示す図である。
【図7】本第2の実施形態に係る主制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図8】本第2の実施形態における制御部による制御処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係わるIP電話システムを示す概略構成図である。
このシステムは、例えばメインオフィスにおいて、LAN(Local Area Network)1を有する。LAN1には、呼制御サーバSV、給電装置としてのハブRT1及びルータRT2が接続されている。ハブRT1には、通信装置としてのIP電話端末T11,T12が接続されている。そして、ハブRT1は、接続されるIP電話端末T11,T12に対し、認証を行い、認証結果に応じて、IP電話端末T11,T12に電力を供給する。
【0013】
IP電話端末T11,T12は、通話処理機能とメディア情報処理機能とを備えた端末である。
【0014】
ルータRT2は、LAN1とインターネット等のIPネットワークNWとの間を接続する。呼制御サーバSVは、IP電話端末T11,T12間またはIP電話端末T11,T12とIPネットワークNW上のIP電話端末との間で、例えばSIPに従ってセッションを確立する交換制御機能を備える。そして、セッション確立後は、発信側と着信側の電話端末間でピアツーピア接続による音声通信を行なう。
【0015】
ところで、上記IP電話端末T11,T12は、本第1の実施形態に係わる機能として次のような機能を有している。図2はその構成を示すブロック図である。ここでは、IP電話端末T11を代表して説明する。
【0016】
図2において、IP電話端末T11は、伝送部11、通話処理部12、主制御部13A、操作パネル部14、ハンドセット15を有している。伝送部11は、外部の機器との間で伝送により種々のデータの授受を行なう。また、伝送部11は、外部の機器から送られてきた例えばRTPパケット中から通話信号や制御信号を抽出し、通話信号を通話処理部12へ、制御信号を主制御部13Aへとそれぞれ与える。さらに伝送部11は、通話処理部12や主制御部13Aから与えられるシリアルデータ信号を時分割多重して伝送用のRTPパケットを生成し、送信する。
【0017】
通話処理部12は、伝送部11から与えられる通話信号に含まれる通話データを取り出して、この通話データからアナログの受話音声信号を再生する。そして、通話処理部12は、この再生した受話音声信号によりハンドセット15の受話器を駆動し、受話音声の出力を行なわせる。また、通話処理部12には、ハンドセット15の送話器で生成されたアナログの送話音声信号が入力される。通話処理部12は、この送話音声信号を所定形態の通話信号に変換して、伝送部11へと与える。
【0018】
主制御部13Aは、CPU、ROM、RAMなどを有して構成され、ソフトウェア処理により本IP電話端末T11の各部の制御を行なう。また、主制御部13Aは、ハブRT1から供給される電力で動作する。
【0019】
操作パネル部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部141と、キー入力部142とを備えている。表示部141には、主制御部13Aから出力された自端末の動作状態を表す種々情報、電話帳なども表示される。
【0020】
ところで、上記主制御部13Aは、本実施形態に係わる機能として次のような機能を有している。図3はその構成を示すブロック図である。
【0021】
主制御部13Aは、ダイオードブリッジ131と、遮断スイッチ132と、LAN給電認証部133と、電力クラスごとの複数の抵抗器R0〜R4を有するクラス設定抵抗器134と、ラッチングリレー135と、制御部136と、メモリ137とを備えている。
【0022】
ダイオードブリッジ131は、ハブRT1からLAN1を介して供給される電流を給電路遮断スイッチ132を介してLAN給電認証部133に送る。
【0023】
LAN給電認証部133は、ハブRT1が受電機器認証(Detection)で印加する電圧に対して適切な電流を流し、正当な受電機器であることをハブRT1側に示す。また、その後のクラス認証(Classification)では、ラッチングリレー135を介してクラス設定抵抗器134の抵抗器R0〜R4のいずれかに特定の電圧を印加し、各電力クラスに応じた電流を流すことでハブRT1に適切な電力クラスを通知する。さらに、LAN給電認証部133は、ハブRT1との間で実行される認証処理の回数を検出する。
【0024】
制御部136は、上記伝送部11、通話処理部12、給電路遮断スイッチ132及びラッチングリレー135の処理を統括的に制御するもので、上記LAN給電認証部133による検出結果に基づいて、電力クラスを変更する場合に、例えばオン状態にある変更元の抵抗器R0をオフ状態に切り替え、変更先の抵抗器R4をオン状態に切り替えるようにラッチングリレー135を制御する。このとき、切り替えた電力クラスを示すクラス値をメモリ137に記憶する。
【0025】
次に、上記構成による動作について説明する。
図4は、例えばIP電話端末T11をハブRT1に接続した際の起動シーケンス波形図である。
【0026】
IP電話端末T11をハブRT1にLAN1を介して接続すると、ハブRT1はIP電話端末T11に対して給電を開始するための一連の手順、受電機器認証(Detection)とクラス認証(Classification)を行う。
【0027】
Detectionは、例えば7[v]以上の電圧パルスをハブRT1がLAN給電認証部133に印加した際に流れる電流値を検出することで行われる。Classificationは、例えば14.5[v]から20.5[v]の間の電圧パルスをハブRT1がLAN給電認証部133に印加した際に流れる電流値を検出することで行われる。
【0028】
本第1の実施形態では、LAN給電認証部133がClassificationの電圧パルスが何回印加されるか(Class Event)を検出し、1回の場合はハブRT1が従来のIEEE802.3af対応機器、2回の場合はIEEE802.3at対応機器であると判断する。
【0029】
ハブRT1がIEEE802.3af対応の場合、IP電話端末T11の制御部136は起動した後にメモリ137から自身の最大消費電力に合わせて設定された従来のクラス値C1(0〜3の範囲)を読み込む。そして、メモリ137に格納された現在のクラス値C2と異なっている場合には、制御部136はラッチングリレー135を制御してクラス設定抵抗器134を対応する抵抗器R0〜R3のいずれか1つへと切り替える。これら抵抗器R0〜R3の抵抗値は、R0<R1<R2<R3の関係となる。また、現在設定されているクラス値C2が最適クラス値C1と同じ場合には、制御部136は何も行わない。
【0030】
ハブRT1がIEEE802.3at対応の場合、IP電話端末T11の制御部136は起動した後にメモリ137に格納された現在のクラス値C2を読み込み、クラス4と異なっている場合に、制御部136はラッチングリレー135を制御してクラス設定抵抗器134の抵抗器をクラス4対応の抵抗器R4へと切り替える。この抵抗器R4の抵抗値は、抵抗器R0〜R3に比して大きい値となる。また、現在設定されているクラス値C2がクラス4の場合には、制御部136は何も行わない。
【0031】
クラス設定抵抗器134の定数、つまり抵抗器R0〜R4が変更された場合に、制御部136は給電路遮断スイッチ132を操作し、一定時間、IP電話端末T11への給電を停止させる。一定時間後に、制御部136は給電路遮断スイッチ132をオン状態にすることで、ハブRT1からの認証手順が再実施され、変更後の電力クラスがハブRT1へと通知される。
【0032】
(IEEE802.3af対応の給電装置にIEEE802.3at対応のIP電話端末を接続)
図5は、IP電話端末T11をハブRT1に接続して音声通話を行なう際のシーケンスを示す図である。
【0033】
例えばメインオフィスのプライベートAに設置されるハブが故障したため、IEEE802.3at対応のIP電話端末T11のユーザがLAN1を用いてプライベートBに設置されるハブRT1にIP電話端末T11を接続したとする(図5(1)。ハブRT1はIEEE802.3af対応のため、電力クラス4を認識できず、IP電話端末T11を電力クラス0の機器と認識してしまうことになる。この場合、ハブRT1が電力クラスに応じた電力配分を行うことができなくなる。
【0034】
そこで、本第1の実施形態では、ハブRT1との間で行われる認証方式をIP電話端末T11で自動判別し、電力クラスを切り替えることでハブRT1側との規格不一致を避けるようにした。
【0035】
IP電話端末T11は、LAN給電認証部133にてClassificationの電圧パルスが何回印加されるか(Class Event)を検出する。ここでは、1回となるので、ハブRT1が従来のIEEE802.3af対応機器であることを判断する。
【0036】
そして、IP電話端末T11の制御部136は起動した後にメモリ137から自身の最大消費電力に合わせて設定された電力クラス4を示すクラス値を読み込む。そして、上記判断したクラス値がメモリ137に格納された現在のクラス値と異なっているので、制御部136はラッチングリレー135を制御してクラス設定抵抗器134の抵抗器R4をオンからオフに切り替え、抵抗器R3をオンに切り替える(図5(2))。以後、制御部136は、電力クラス3に対応するクラス値をメモリ137に記憶する。
【0037】
プライベートAに属するIP電話端末T11のユーザが、IP電話端末T11のキー入力部142を操作してIPネットワークNW上の外部端末TT1への発信操作を行なったとする(図5(3))。そうすると、IP電話端末T11は、呼制御サーバSVへ発信要求を送信する(図5(4))。
【0038】
呼制御サーバSVは、上記発信要求を受信すると、発信要求を外部端末TT1に送出して着信報知を行わせる(図5(5))。この着信報知は、鳴音の発生または着信表示により行なわれる。そして、この着信報知に対しユーザが応答操作を行うと、外部端末TT1は接続応答信号を呼制御サーバSVに送信する(図5(6))。
【0039】
接続応答信号を受信すると会議サーバSVは、IP電話端末T11と外部端末TT1との間の通信リンクを形成する。(図5(7))。かくして、IP電話端末T11と外部端末TT1との間で音声通話が可能になる。
【0040】
(IEEE802.3at対応の給電装置にIEEE802.3at対応のIP電話端末を接続)
図6は、IP電話端末T11をIEEE802.3at対応のハブRT3に接続してビデオ通話を行なう際のシーケンスを示す図である。
【0041】
例えばメインオフィスのプライベートAに設置されるハブRT3が故障から復旧したとする。そして、IEEE802.3at対応のIP電話端末T11のユーザがプライベートBに設置されるハブRT1に接続されているIP電話端末T11を取り外して、ハブRT3にIP電話端末T11を接続したとする(図6(1))。この場合、IEEE802.3afに比較して大きい電力をIP電話端末T11に供給できるため、動画を用いたビデオ通話を行うことができる。
【0042】
IP電話端末T11は、LAN給電認証部133にてClassificationの電圧パルスが何回印加されるか(Class Event)を検出する。ここでは、2回となるので、ハブRT3がIEEE802.3at対応機器であることを判断する。
【0043】
そして、IP電話端末T11の制御部136は起動した後にメモリ137から自身の最大消費電力に合わせて設定された電力クラス3を示すクラス値を読み込む。そして、上記判断したクラス値がメモリ137に格納された現在のクラス値と異なっているので、制御部136はラッチングリレー135を制御してクラス設定抵抗器134の抵抗器R3をオンからオフに切り替え、抵抗器R4をオンに切り替える(図6(2))。以後、制御部136は、電力クラス4に対応するクラス値をメモリ137に記憶する。
【0044】
プライベートAに属するIP電話端末T11のユーザが、IP電話端末T11のキー入力部142を操作してIPネットワークNW上の外部端末TT2へ「動画」を指定した発信操作を行なったとする(図6(3))。そうすると、IP電話端末T11は、呼制御サーバSVへ発信要求を送信する(図6(4))。
【0045】
呼制御サーバSVは、上記発信要求を受信すると、発信要求を外部端末TT2に送出して着信報知を行わせる(図6(5))。この着信報知は、鳴音の発生または着信表示により行なわれる。そして、この着信報知に対しユーザが応答操作を行うと、外部端末TT2は接続応答信号を呼制御サーバSVに送信する(図6(6))。
【0046】
接続応答信号を受信すると呼制御サーバSVは、IP電話端末T11と外部端末TT2との間のビデオ通話による通信リンクを形成する。(図6(7))。かくして、IP電話端末T11と外部端末TT2との間で「動画」を用いたビデオ通話が可能になる。
【0047】
以上のように上記第1の実施形態では、IP電話端末T11をハブRT1へ接続する時に、IP電話端末T11のLAN給電認証部133にてハブRT1との間で実行される認証処理の回数を検出し、制御部136にてこの検出結果に基づいて接続先のハブRT1がIEEE802.3af準拠かIEEE802.3at準拠かを自動的に判断し、IEEE802.3af対応のハブRT1に合わせるようにメモリ137に記憶されている電力クラス4を電力クラス3に更新し、オン状態にある抵抗器R4をオフ状態に切り替え、抵抗器R4をオン状態に切り替えるようにラッチングリレー135を切替制御するようにしている。
【0048】
従って、IP電話端末T11は、常に給電装置となるハブRT1側の規格に合わせた電力クラスを通知することができ、電力クラス4を電力クラス0と認識するようなクラス認証の不一致による非効率な電力管理を回避できる。また、電力クラスの切り替えを自動化していることで、IP電話端末T11の設置時にかかる設定の手間を省き、人的な設定ミスも回避できる。さらに、電力クラスの変更処理に際し、オン状態にある変更元の抵抗器をオフ状態に切り替え、変更先の抵抗器をオン状態に切り替えるだけでよいことになり、これにより簡単かつ短時間に電力クラスの変更を行うことができる。
【0049】
また、上記第1の実施形態では、電力クラスの変更処理に際し、ハブRT1とLAN給電認証部133との間をオン/オフに切り替える給電路遮断スイッチ132を一定期間オフ状態に切り替え、一定期間後に給電路遮断スイッチ132をオン状態に切り替えて再起動することで、ハブRT1からの認証手順が再実施され、変更後の電力クラスをハブRT1へと通知でき、これによりクラス認証の不一致による非効率な電力管理を回避できる。
【0050】
また、上記第1の実施形態では、IP電話端末T11をIEEE802.3at対応のハブRT3に接続変更されるときに、ハブRT1に対応する電力クラス3をハブRT3に対応する電力クラス4に変更するようにしているので、動画を利用したビデオ通信等の大きい受給電力量を必要とするサービスを利用することができる。
【0051】
さらに、上記第1の実施形態では、電力クラスの変更制御を実行する場合に、ハブRT1との認証処理から電力クラスの変更処理までを制御部136に頼らずLAN給電認証部133で分担して実行することが可能となり、処理が軽減した分を例えば制御部136による通信処理の制御に充てることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図7は、本第2の実施形態に係る主制御部13Bの機能構成図である。なお、図7において、上記図3と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
本第2の実施形態では、上記LAN給電認証部133及び制御部136を1つの制御部138で担うようにしている。
【0054】
図8は、上記制御部138による制御処理手順を示すフローチャートである。
【0055】
例えばメインオフィスのプライベートAに設置されるハブが故障したため、IEEE802.3at対応のIP電話端末T11のユーザがLAN1を用いてプライベートBに設置されるハブRT1にIP電話端末T11を接続したとする。そうすると、ハブRT1はIP電話端末T11に対して給電を開始するために、受電機器認証(Detection)を行う。一方、制御部138は、電圧を7[v]まで徐々に上げていく(ステップST8a)。
【0056】
続いて、ハブRT1はIP電話端末T11に対してクラス認証(Classification)を行う。そして、制御部138は、Classificationの電圧パルスが何回印加されるか(Class Event)を検出する(ステップST8b)。また、制御部138は、メモリ137に既に記憶されている初期値クラスで起動し(ステップST8c)、Classificationの電圧パルスが1回であるか2回であるかの判断を行う(ステップST8d)。
【0057】
ここでは、1回となるので、制御部138はハブRT1が従来のIEEE802.3af対応機器であることを判断し、メモリ137から自身の最大消費電力に合わせて設定された電力クラス4を示すクラス値を読み込み(ステップST8e)、クラス値が一致するか否かの判断を行う(ステップST8f)。そして、メモリ137に格納された現在のクラス値と異なっているので(No)、制御部138はラッチングリレー135を制御してクラス設定抵抗器134の抵抗器R4をオンからオフに切り替え、抵抗器R3をオンに切り替える(ステップST8g)。以後、制御部138は、電力クラス3に対応するクラス値をメモリ137に記憶し(ステップST8i)、給電路遮断スイッチ132を一定時間オフにし、再起動を行う(ステップST8i)。
【0058】
例えばメインオフィスのプライベートAに設置されるハブRT3が故障から復旧したとする。そして、IEEE802.3at対応のIP電話端末T11のユーザがプライベートBに設置されるハブRT1に接続されているIP電話端末T11を取り外して、ハブRT3に接続したとする。そうすると、制御部138は、Classificationの電圧パルスが何回印加されるか(Class Event)を検出する。ここでは、2回となるので、ハブRT3がIEEE802.3at対応機器であることを判断する。
【0059】
そして、制御部138はメモリ137から自身の最大消費電力に合わせて設定された電力クラス3を示すクラス値を読み込み(ステップST8j)、クラス値が電力クラス4に対応するか否かの判断を行う(ステップST8k)。
【0060】
ここでは、メモリ137に格納された現在のクラス値と異なっているので(No)、制御部138はラッチングリレー135を制御してクラス設定抵抗器134の抵抗器R3をオンからオフに切り替え、抵抗器R4をオンに切り替える(ステップST8l)。以後、制御部138は、電力クラス4に対応するクラス値をメモリ137に記憶し(ステップST8m)、給電路遮断スイッチ132を一定時間オフにし、再起動を行う(ステップST8n)。
【0061】
なお、上記ステップST8fにおいて、メモリ137に記憶されているクラス値が一致する場合には(YES)、制御部138は処理をそのまま終了する。また、上記ステップST8kにおいて、メモリ137に記憶されているクラス値が一致する場合には(YES)、制御部138は処理をそのまま終了する。
【0062】
以上のように上記第2の実施形態にあっても、上記第1の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0063】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、IEEE802.3afでは音声通話に限られ、IEEE802.3atではビデオ通話を行うことができる例について説明した。しかしこれに限ることなく、例えばIEEE802.3atでは電子ゲームを行うこともできる。
【0064】
また、上記各実施形態では、通信装置としてIP電話端末を例に説明したが、その他の例えば監視カメラ等やパーソナル・コンピュータ等であってもよい。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…LAN、11…伝送部、12…通話処理部、13A,13B…主制御部、14…操作パネル部、141…表示部、142…キー入力部、15…ハンドセット、131…ダイオードブリッジ、132…遮断スイッチ、133…LAN給電認証部、134…クラス設定抵抗器、135…ラッチングリレー、136,138…制御部、137…メモリ、T11,T12…IP電話端末、RT1…ハブ、RT2…ルータ、NW…IPネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置から供給される電力を受電する通信装置において、
接続される給電装置に応じて最大受給電力量が異なる複数の電力クラスの中から選択的に設定された電力クラスで動作し、通信処理を実行する処理手段と、
前記給電装置への接続時に、前記給電装置との間で実行される認証処理の回数を検出する検出手段と、
この検出手段による検出結果に基づいて、接続される前記給電装置に対応する電力クラスを前記処理手段に設定する制御手段とを具備する通信装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記電力クラスに対応する複数の抵抗器を選択的に導通状態にし、
前記制御手段は、前記電力クラスを変更する際に、導通状態にある変更元の抵抗器を切断状態に切り替え、変更先の抵抗器を導通状態に切り替える請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電力クラスを変更する際に、前記給電装置と前記処理手段との間を導通状態/遮断状態に切り替えるスイッチを一定期間遮断状態に切り替え、一定期間経過後に前記スイッチを導通状態に切り替えて再起動する請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、接続されている第1の給電装置から、前記第1の給電装置が対応していない電力クラスに対応する第2の給電装置へ接続変更するとき、前記処理手段に設定され前記第1の給電装置に対応する電力クラスを前記第2の給電装置に対応する電力クラスに変更する請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
接続される給電装置との間の認証処理を実行する認証処理手段を備え、
前記検出手段は、前記認証処理手段に備えられ、
前記制御手段は、前記処理手段及び前記認証処理手段それぞれの処理を統括的に制御する請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
給電装置から供給される電力を受電し、接続される給電装置に応じて最大受給電力量が異なる複数の電力クラスの中から選択的に設定された電力クラスで動作し、通信処理を実行する処理部を有する通信装置の電力制御方法において、
前記給電装置への接続時に、前記給電装置との間で実行される認証処理の回数を検出し、
この検出結果に基づいて、接続される前記給電装置に対応する電力クラスを前記処理部に設定する通信装置の電力制御方法。
【請求項7】
通信装置により実行されるプログラムであって、前記通信装置を
接続される給電装置に応じて最大受給電力量が異なる複数の電力クラスの中から選択的に設定された電力クラスで動作し、通信処理を実行する処理手段と、
前記給電装置への接続時に、前記給電装置との間で実行される認証処理の回数を検出する検出手段と、
この検出手段による検出結果に基づいて、接続される前記給電装置に対応する電力クラスを前記処理手段に設定する制御手段と
して動作させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209722(P2012−209722A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73247(P2011−73247)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【特許番号】特許第5002714号(P5002714)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】