通信装置およびそのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法
【課題】通信装置およびそのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法を提供する。
【解決手段】通信装置は、少なくとも1つの接地面と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体構造と、少なくとも1つの結合導体構造とを含む。アンテナは、ソースを介して接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成される。
【解決手段】通信装置は、少なくとも1つの接地面と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体構造と、少なくとも1つの結合導体構造とを含む。アンテナは、ソースを介して接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置およびそのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線および携帯通信技術の発展に伴い、人々はいつでもどこでも他の人と話をしたり、無線で情報を得たりすることができるようになった。そのため、携帯通信装置は、人々の日常生活において必要不可欠な道具であり、商品価値が高い。
【0003】
しかしながら、国や地域によって使用される通信システムが異なることによって、ユーザーが携帯通信装置の変更を強いられる状況を避けるため、現在の携帯通信装置は、異なる携帯および無線通信システムに対してマルチバンド動作が可能でなければならない。携帯通信装置はますます多種の通信システムを統合する傾向にあるが、携帯通信装置の使用可能なアンテナ空間は次第に減少している。通信装置のアンテナのインピーダンス帯域幅をいかにして効果的に拡大するかが、今後の重要な研究開発課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの実施形態は、少なくとも1つの接地面(ground)と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体(current-drawing conductor)構造と、少なくとも1つの結合導体(coupling conductor)構造とを含む通信装置を提供する。少なくとも1つのアンテナは、ソースを介して少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に、少なくとも1つの相互結合部(mutual coupling portion)が形成される。少なくとも1つの結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に、少なくとも1つの結合部が形成される。
【0005】
本発明の別の実施形態は、通信装置のアンテナに適用されるアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む。少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つの接地面を有する通信装置のケーシング(casing)に、電流取り出し導体構造を配置する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に、少なくとも1つの相互結合部が形成される。接地面に結合導体構造を接続する。結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有し、第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に、少なくとも1つの結合部が形成される。
【0006】
本発明の上記及び他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
国や地域によって使用される通信システムが異なるために携帯通信装置を変更しなければならないのは、旅行者にとって不便である。そのため、無線通信装置は、異なる携帯および無線通信システムに対してマルチバンド動作が可能であることが望ましい。無線通信装置が多種の通信システムを統合すればするほど、無線通信装置において使用可能なアンテナ空間は次第に減少する。しかしながら、従来の設計方法では、無線通信装置におけるアンテナのインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態は、少なくとも1つの接地面と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体構造と、少なくとも1つの結合導体構造とを含む通信装置を提供する。少なくとも1つのアンテナは、ソースを介して少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。少なくとも1つの結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成される。通信装置のアンテナが動作帯域において共振した時、アンテナの接地面が強い表面電流分布を励起させる。アンテナに隣接する結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、アンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。アンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長(effective length)を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る通信装置は、そのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大することができる。アンテナが動作帯域において共振した時、アンテナに隣接する結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、他のアンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。アンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。形成されたアンテナの有効な延長接地面は、接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、それによって、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(specific absorption rate, SAR)や補聴器両立性(hearing aid compatible, HAC)試験の値を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の実施形態に係る通信装置1の構造概略図である。
【図1B】本発明の実施形態に係る通信装置1の構造断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信装置2の構造概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信装置3の構造概略図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る通信装置4の構造概略図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る通信装置4の構造断面図である。
【図4C】結合導体構造と電流取り出し導体構造がアンテナに構成されている/アンテナに構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナの反射減衰量を示した図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る通信装置5の構造概略図である。
【図5B】結合導体構造と電流取り出し導体構造がアンテナに構成されている/アンテナに構成されていない場合に測定した通信装置5のアンテナの反射減衰量を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る通信装置のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る通信装置7の構造概略図である。
【図8A】本発明の実施形態に係る通信装置8の構造概略図である。
【図8B】結合導体構造と電流取り出し導体構造がアンテナに構成されている/アンテナに構成されていない場合に測定した通信装置8のアンテナの反射減衰量を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態を当業者が容易に理解されるよう、添付の図面を参照して詳細に説明する。発明の概念は様々な形式で実施可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。明確になるよう周知の構成要素の説明は省略し、類似する構成要素には類似する参照符号を使用する。
【0012】
本発明は、通信装置およびそのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法に関し、いくつかの実施形態を提供する。これらの実施形態は、例えば、携帯通信装置、無線通信装置、モバイルコンピュータ(mobile computing device, MCD)、コンピュータシステム等の様々な通信装置や、あるいは、テレコム機器(telecom equipment)、ネットワーク機器、またはコンピュータやネットワークの周辺機器に適用されてもよい。
【0013】
図1Aは、本発明の実施形態に係る通信装置1の構造概略図である。通信装置1は、少なくとも1つの接地面11と、少なくとも1つのアンテナ12と、電流取り出し導体構造13と、少なくとも1つの結合導体構造14と、ケーシング16とを有する。アンテナ12は、ソース121(または信号ソース)を介して接地面11に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。例えば、アンテナ12は、モノポールアンテナ(monopole antenna)、短絡モノポールアンテナ(shorted monopole antenna)、板状逆Fアンテナ(planner inverted F antenna, PIFA)、逆Fアンテナ(inverted F antenna, IFA)、ループアンテナ(loop antenna)、スロットアンテナ(slot antenna)、ヘリカルアンテナ(helical antenna)、4線状ヘリカルアンテナ(quadrifilar helical antenna, QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(N-filar helical antenna, NHA)、またはその組み合わせであってもよい。本実施形態において、通信装置1は、複数のアンテナを接地面11に電気接続する複数のソースを有してもよく、図1Aにおいて、1つまたは複数のアンテナを設置できる位置を示してあるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。
【0014】
図1Aを参照すると、電流取り出し導体構造13は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子131、132、133、134および135を有し、電流取り出し導体構造13において隣接する導体素子間に相互結合部3132、3233、3334および3435が形成される。例えば、導体素子131、132、133、134および135の間の相互結合部3132、3233、3334および3435は、それぞれチップコンデンサ(chip capacitor)または他の延長導体部により形成されてもよい。
【0015】
少なくとも1つの結合導体構造14は、第1導体部141および第2導体部142を有する。第1導体部141の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部142に電気接続される。第2導体部142と電流取り出し導体構造13は、結合部143を形成する。ソース121と第1導体部141が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。第2導体部142は、ほぼ楕円形(oval shape)であり、導体素子131、132、133、134および135は、ほぼ長方形(rectangular shape)であるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。第2導体部142は、楕円形以外の他の形状であってもよく、導体素子131、132、133、134および135もまた、長方形以外の他の形状であってもよい。例えば、導体素子131、132、133、134、135および第2導体部142は、異なる形状の金属シート(metal sheet)であるか、あるいは、導体素子131、132、133、134および135は、複数の金属ブランチ(metal branch)を有してもよい。さらに、導体素子131、132、133、134および135は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置(solar photovoltaic apparatus)の電極であってもよい。
【0016】
アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造14と電流取り出し導体構造13の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造13は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、アンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子131、132、133、134および135を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造13と結合導体構造14の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。また、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。図1Bは、図1Aの通信装置1の構造断面図である。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る通信装置2の構造概略図である。通信装置2は、少なくとも1つの接地面11と、少なくとも1つのアンテナ12と、電流取り出し導体構造23と、少なくとも1つの結合導体構造24と、ケーシング16とを含む。アンテナ12は、整合回路(matching circuit)122を介してソース121に接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。整合回路122は、アンテナ12の共振モードのインピーダンス整合を調整するために使用される。例えば、アンテナ12は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0018】
図2を参照すると、電流取り出し導体構造23は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子231、232、233、234および235を有する。導体素子232の延長導体部2321および導体素子231は、それぞれ誘電体基板2312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。例えば、導体素子231は、誘電体基板2312の下面に配置され、導体素子232に接続された延長導体部2321は、誘電体基板2312の上面に配置される。導体素子233の延長導体部2331および導体素子232は、それぞれ誘電体基板2322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子234の延長導体部2341および導体素子233は、それぞれ誘電体基板2332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子235の延長導体部2351および導体素子234は、それぞれ誘電体基板2342の上面および下面に配置され、相互結合部3435を形成する。延長導体部2321、2331、2341、2351は、同じ形状の金属シートであってもよく、例えば、長方形金属シートであるが、本発明はこれに限定されない。導体素子235は、誘電体基板2352の下面に配置される。延長導体部2321と導体素子231の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。相互結合部3233、3334および3435の結合空間も、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。さらに、誘電体基板2312、2322、2332、2342および2352は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0019】
少なくとも1つの結合導体構造24は、第1導体部241および第2導体部242を有し、第1導体部241の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部242に電気接続される。第2導体部242および電流取り出し導体構造23は、結合部243を形成する。第2導体部242と電流取り出し導体構造23の間の結合部243の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部242は、2つの金属ブランチを有し、ソース121と第1導体部241が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子231、232、233、234および235は、ほぼ長方形であり、第2導体部242は、端が正方形のほぼU字形状を有するが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。さらに、導体素子231、232、233、234および235は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造24と電流取り出し導体構造23の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造23は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。
【0020】
さらに多くの導体素子が第2導体部242との容量結合(capacitive coupling)を形成すると、結合導体構造24と電流取り出し導体構造23の間の結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子231、232、233、234および235を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造23と結合導体構造24の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る通信装置3の構造概略図である。通信装置3は、切り離された2つの接地面11および接地面111と、少なくとも1つのアンテナ12と、電流取り出し導体構造33と、少なくとも1つの結合導体構造34と、ケーシング16とを含む。少なくとも1つのアンテナ12は、ソース121を介して接地面11に接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。別の実施形態において、接地面11および111は、同軸ケーブル、信号伝送路、または金属線を介して電気接続されてもよい。少なくとも1つのアンテナ12は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0022】
図3を参照すると、電流取り出し導体構造33は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子331、332、333および334を有する。導体素子332の延長導体部3321および導体素子331は、それぞれ誘電体基板3312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。導体素子333の延長導体部3331および導体素子332は、それぞれ誘電体基板3322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子334の延長導体部3341および導体素子333は、それぞれ誘電体基板3332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子334は、誘電体基板3342の上面に配置される。延長導体部3321と導体素子331の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。相互結合部3233および3334の結合空間も、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。例えば、延長導体部3311、3321、3331および3341は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、誘電体基板3312、3322、3332および3342は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0023】
結合導体構造34は、第1導体部341および第2導体部342を有し、第1導体部341の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部342に電気接続される。第2導体部342および電流取り出し導体構造33の延長導体部3311は、結合部343を形成する。延長導体部3311と第2導体部342の間の結合部343の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部342の形状は、ほぼ長方形であり、ソース121と第1導体部341が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子331、332、333および334は、ほぼ長方形であり、第2導体部342、ほぼ長方形であるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。さらに、導体素子331、332、333および334は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。
【0024】
アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造34と電流取り出し導体構造33の間に結合部343を設計することによって、電流取り出し導体構造33は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに多くの導体素子が第2導体部342との静電結合を形成すると、結合導体構造34と電流取り出し導体構造33の間のエネルギー結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子331、332、333および334を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造33と結合導体構造34の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0025】
図4Aは、本発明の実施形態に係る通信装置4の構造概略図である。通信装置4は、接地面11と、アンテナ42と、電流取り出し導体構造43と、結合導体構造44と、ケーシング16とを含む。例えば、アンテナ42は、ソース421を介して接地面11に接続された二重経路(dual-path)短絡モノポールアンテナであり、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。しかしながら、本発明の実施可能性はこれに限定されず、アンテナ42は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0026】
図4Aを参照すると、電流取り出し導体構造43は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有する。導体素子432の延長導体部4321および導体素子431は、それぞれ誘電体基板4312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。例えば、導体素子431は、誘電体基板4312の下面に配置され、導体素子432に接続された延長導体部4321は、誘電体基板4312の上面に配置される。導体素子433の延長導体部4331および導体素子432は、それぞれ誘電体基板4322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子434の延長導体部4341および導体素子433は、それぞれ誘電体基板4332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子435の延長導体部4351および導体素子434は、それぞれ誘電体基板4342の上面および下面に配置され、相互結合部3435を形成する。導体素子436の延長導体部4361および導体素子435は、それぞれ誘電体基板4352の上面および下面に配置され、相互結合部3536を形成する。導体素子436は、誘電体基板4362の下面に配置される。延長導体部4321と導体素子431の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。相互結合部3233、3334、3435および3536の結合空間も、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。
【0027】
延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、それぞれ魚の骨の形状を有するが、本発明の実現可能性はこれに限定されず、延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0028】
結合導体構造44は、第1導体部441および第2導体部442を有し、第1導体部441の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部442に電気接続される。第2導体部442および電流取り出し導体構造43は、結合部443を形成する。第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部443の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部442の形状は、ほぼ長方形であり、ソース421と第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子431、432、433、434、435および436はほぼ長方形であり、第2導体部442もほぼ長方形であるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。さらに、導体素子431、432、433、434、435および436は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。
【0029】
アンテナ42が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間に結合部443を設計することによって、電流取り出し導体構造43は、アンテナ42に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに多くの導体素子が第2導体部442との静電結合を形成すると、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間のエネルギー結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ42の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造43と結合導体構造44の間に相互結合を設置することによって、アンテナ42は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ42のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成されたアンテナ42の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ42の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。図4Bは、図4Aの通信装置4の構造断面図である。
【0030】
図4Cは、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている/アンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量(return loss)を示した図である。曲線4211は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。曲線4212は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。図4Cにおいて、通信装置4のアンテナ42に対する最低動作帯域の最低通信帯域は、GMS850(global system for mobile communications 850)であるため、その最低動作周波数は、約824MHzである。通信装置4の実験において、相互結合部3132、3233、3334、3435および3536の結合空間は、いずれも約0.2mmである。第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部442の結合空間は、約0.4mmである。導体素子431、432、433、434、435および436は、太陽電池の電極である。誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、光電シリコン基板である。しかしながら、これらは、通信装置4の単なる実験例であって、本発明の実施可能性を限定するものではない。
【0031】
ソース421と通信装置4の第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1/8より小さい。このように、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において2つの有効なアンテナ接地面を同等に有し、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路が形成されるため、それによって、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において複数の共振モードを生成することができる。図4Cにおいて、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43を設置することによって、アンテナ42の有効な延長接地面により、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において複数の共振モードを形成し、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ42の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0032】
本実施形態において、通信装置4のアンテナ42の比較的低い動作帯域および比較的高い動作帯域は、それぞれGSM850/900およびGSM1800の異なる通信帯域をカバーすることができる。しかしながら、図4Cは、通信装置4のアンテナが少なくとも1つの動作帯域を生成できる場合の一例であり、通信装置4のアンテナによって生成された動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されるが、本発明の実施可能性を限定するものではない。通信装置4のアンテナによって生成された動作帯域は、LTE(long term evolution)システム、WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)システム、DTV(digital television broadcasting)システム、GPS(global positioning systems)、WWAN(wireless wide area network)システム、WLAN(wireless local area network)システム、UWB(ultra-wideband )システム、WPAN(wireless personal area network)システム、衛星通信(satellite communication)システム、または他の無線通信帯域や携帯通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されてもよい。
【0033】
図5Aは、本発明の実施形態に係る通信装置5の構造概略図である。通信装置5は、接地面11と、アンテナ52と、電流取り出し導体構造53と、2つの結合導体構造54および55と、ケーシング16とを含む。例えば、アンテナ52は、ソース521を介して接地面11に接続された二重経路短絡モノポールアンテナであり、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。しかしながら、本発明の実施可能性はこれに限定されず、アンテナ52は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0034】
図5Aを参照すると、電流取り出し導体構造53は、ケーシング16の上に配置され、2つの導体素子531および532を有する。導体素子532の延長導体部5321および導体素子531は、それぞれ誘電体基板5312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。導体素子531の延長導体部5331および導体素子532は、それぞれ誘電体基板5322の上面および下面に配置され、相互結合部3231を形成する。延長導体部5321および5311は、それぞれくし形(comb-shape)を有するが、本発明の実施可能性はこれに限定されず、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。延長導体部5321と導体素子531の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。延長導体部5311と導体素子532の間の相互結合部3231の結合空間も、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。さらに、誘電体基板5312および5322は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0035】
結合導体構造54は、第1導体部541および第2導体部542を有し、第1導体部541の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部542に電気接続される。結合導体構造55は、第1導体部551および第2導体部552を有し、第1導体部551の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部552に電気接続される。第2導体部542および電流取り出し導体構造53は、結合部543を形成する。第2導体部552および電流取り出し導体構造53は、結合部553を形成する。第2導体部542と電流取り出し導体構造53の間の結合部543の結合空間は、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部552と電流取り出し導体構造53の間の結合部553の結合空間は、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第1導体部541および551が接地面11に電気接続された位置とソース521との間の距離は、いずれもアンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。
【0036】
導体素子531および532は、ほぼ長方形である。さらに、導体素子531および532は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。アンテナ52が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、電流取り出し導体構造53と結合導体構造54および55の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造53は、アンテナ52に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成された有効な延長接地面は、互いに相互結合した2つの導体素子531および532を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路が形成される。このように、電流取り出し導体構造53と結合導体構造54および55の間に相互結合を構成することによって、アンテナ52が動作帯域において複数の共振モードを生成することができるようになるため、アンテナ52のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成されたアンテナ52の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ52の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0037】
図5Bは、結合導体構造54および55と電流取り出し導体構造53がアンテナ52に構成されている/アンテナ52に構成されていない場合に測定した通信装置5のアンテナ52の反射減衰量を示した図である。曲線5211は、結合導体構造54および55と電流取り出し導体構造53がアンテナ52に構成されていない場合に測定した通信装置5のアンテナ52の反射減衰量である。曲線5212は、結合導体構造54および55と電流取り出し導体構造53がアンテナ52に構成されている場合に測定した通信装置5のアンテナ52の反射減衰量である。図5Bにおいて、通信装置5のアンテナ52に対する最低動作帯域の最低通信帯域は、GMS850であるため、その最低動作周波数は、約824MHzである。
【0038】
ソース521と第1導体部541および551が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、いずれもアンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1/8〜1/4の間である。このように、形成された有効な延長アンテナ接地面は、比較的高い動作帯域におけるアンテナ52の表面電流励起を接地面11の末端で抑制し、アンテナ52の共振に有利な同等の接地長(ground length)を比較的高い動作帯域で生成する。そのため、本実施形態では、通信装置5の電流取り出し導体構造53と結合導体構造54および55の間の相互結合により、アンテナ52は、比較的高い動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ52の比較的高い動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ52の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0039】
本実施形態において、通信装置5のアンテナ52の比較的低い動作帯域および比較的高い動作帯域は、それぞれGSM850/900およびGSM1800の異なる通信帯域をカバーすることができる。しかしながら、図5Bは、通信装置5のアンテナが少なくとも1つの動作帯域を生成できる場合の一例であり、通信装置5のアンテナによって生成された動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されるが、本発明の実施可能性を限定するものではない。通信装置5のアンテナによって生成された動作帯域は、LTEシステム、WiMAXシステム、DTVシステム、GPS、WWANシステム、WLANシステム、UWBシステム、WPANシステム、衛星通信システム、または他の無線通信帯域や携帯通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されてもよい。
【0040】
通信装置5の実験において、相互結合部3132および3231の結合空間は、いずれも約0.4mmである。結合部543および553の結合空間は、約0.8mmである。導体素子531および532は、金属シートであり、誘電体基板5312および5322は、FR4基板である。しかしながら、これらは、通信装置5の単なる実験例であって、本発明の実施可能性を限定するものではない。
【0041】
上述した実施形態において、開示した通信装置は、少なくとも1つの接地面と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体構造と、少なくとも1つの結合導体構造と、ケーシングとを有する。少なくとも1つのアンテナは、ソースを介して少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。少なくとも1つのアンテナは、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。電流取り出し導体構造は、ケーシングの上に配置され、複数の導体素子を有し、隣接する導体素子間に相互結合部が形成される。隣接する導体素子間の相互結合部は、チップコンデンサまたは他の延長導体部により形成される。
【0042】
少なくとも1つの結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に結合部が形成される。ソースと第1導体部が接地面に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。
【0043】
導体素子および第2導体部は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、導体素子は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極であってもよい。アンテナが動作帯域において共振した時、接地面が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、アンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成されたアンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナのうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長接地面は、接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係る通信装置のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法を示すフローチャートである。この方法は、以下のステップを含む。少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つの接地面を有する通信装置のケーシングに、電流取り出し導体構造を配置する(ステップ601)。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。さらに、接地面に結合導体構造を接続する(ステップ602)。結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有し、第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成される。
【0045】
上述した方法において、アンテナは、ソースを介して接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。アンテナは、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。導体素子のうちの1つは、延長導体部を介して、隣接する導体素子と少なくとも1つの相互結合部を形成する。あるいは、導体素子のうちの1つは、チップコンデンサを介して、隣接する導体素子と少なくとも1つの相互結合部を形成する。導体素子は、異なる形状の金属シートであってもよく、あるいは、導体素子は、複数の金属ブランチを有してもよい。第2導体部は、異なる形状の金属シートであってもよく、あるいは、第2導体部は、複数の金属ブランチを有してもよい。アンテナとソースの間に整合回路を配置してもよい。導体素子は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極であってもよい。ソースと第1導体部が接地面に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。
【0046】
アンテナが動作帯域において共振した時、接地面が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、アンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成されたアンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路が形成される。そのため、電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナのうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の高周波(radio frequency, RF)信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【0047】
図7の通信装置7は、図6の方法を用いて実施される。図7は、本発明の実施形態に係る通信装置7の構造概略図である。この方法は、以下のステップを含む。少なくとも1つのアンテナ12および1つの接地面11を有する通信装置7のケーシング16に、電流取り出し導体構造73を配置する。電流取り出し導体構造73は、複数の導体素子731、732、733、734および735を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。さらに、接地面11に結合導体構造74を接続する。結合導体構造74は、第1導体部741および第2導体部742を有する。第1導体部741の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部742に電気接続される。第2導体部742および電流取り出し導体構造73は、少なくとも1つの結合部743を形成し、アンテナ12によって生成された少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大する。
【0048】
導体素子731と732の間に相互結合部3132が形成される。導体素子732と733の間に相互結合部3233が形成される。導体素子733と734の間に相互結合部3334が形成される。導体素子734と735の間に相互結合部3435が形成される。相互結合部3132、3233、3334および3435のそれぞれは、延長導体部または隣接する導体素子によって形成されるか、あるいは、チップコンデンサを介して導体素子の1つを隣接する導体素子に接続することによって形成されてもよい。
【0049】
アンテナ12は、ソース121を介して接地面11に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。アンテナ12は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。第2導体部742と電流取り出し導体構造73の間の結合部743の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。ソース121と第1導体部741が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子731、732、733、734、735および第2導体部742は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、導体素子731、732、733、734および735は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極であってもよい。
【0050】
アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造74と電流取り出し導体構造73の間に結合部343を設計することによって、電流取り出し導体構造73は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子731、732、733、734および735を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造73と結合導体構造74の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【0051】
図8Aの通信装置8は、図6の方法を適用する。図8Aは、本発明の実施形態に係る通信装置8の構造概略図である。この方法は、以下の手順を含む。少なくとも1つのアンテナ42および少なくとも1つの接地面を有する通信装置8のケーシング16に、電流取り出し導体構造43を配置する。通信装置8は、切り離された2つの接地面11および111を有し、それぞれ異なる電気回路システムに設置されてもよい。接地面11および111は、同軸ケーブルや信号伝送路を介して、または他の方法により電気接続されてもよい。電流取り出し導体構造43は、複数の導体素子431、432、433、434、435および436を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。さらに、接地面11に結合導体構造44を接続する。結合導体構造44は、第1導体部441および第2導体部442を有する。第1導体部441の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部442に電気接続される。第2導体部442および電流取り出し導体構造43は、少なくとも1つの結合部443を形成し、アンテナ42の少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大する。
【0052】
例えば、アンテナ42は、ソース421を介して接地面11に接続された二重経路短絡モノポールアンテナであり、動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。しかしながら、本発明の実施可能性はこれに限定されず、アンテナ42は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。また、通信装置8は、複数層の接地面を有するか、あるいは、複数層の電気回路システムに設置された接地面を有してもよい。
【0053】
図8Aを参照すると、電流取り出し導体構造43は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有する。導体素子432の延長導体部4321および導体素子431は、それぞれ誘電体基板4312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。例えば、導体素子431は、誘電体基板4312の下面に配置され、導体素子432に接続された延長導体部4321は、誘電体基板4312の上面に配置される。導体素子433の延長導体部4331および導体素子432は、それぞれ誘電体基板4322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子434の延長導体部4341および導体素子433は、それぞれ誘電体基板4332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子435の延長導体部4351および導体素子434は、それぞれ誘電体基板4342の上面および下面に配置され、相互結合部3435を形成する。導体素子436の延長導体部4361および導体素子435は、それぞれ誘電体基板4352の上面および下面に配置され、相互結合部3536を形成する。導体素子436は、誘電体基板4362の下面に配置される。相互結合部3132、3233、3334、3435および3436の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。
【0054】
延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、それぞれ魚の骨の形状を有するが、本発明の実現可能性はこれに限定されず、延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0055】
第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部443の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部442の形状は、ほぼ長方形であり、ソース421と第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子431、432、433、434、435および436は、ほぼ長方形である。さらに、導体素子431、432、433、434、435および436は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。
【0056】
アンテナ42が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間に結合部443を設計することによって、電流取り出し導体構造43は、アンテナ42に対して別の有効な延長接地面を同等に形成し、接地面11の共振長(resonant length)不足の状況を補うことができる。さらに多くの導体素子が第2導体部442との静電結合を形成すると、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間のエネルギー結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ42の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造43と結合導体構造44の間に相互結合を設置することによって、アンテナ42は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ42のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ42の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0057】
図8Bは、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている/アンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置8のアンテナ42の反射減衰量を示した図である。曲線8211は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。曲線8212は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。図8Bにおいて、通信装置8のアンテナ42の最低動作帯域の最低通信帯域は、GMS850であるため、その最低動作周波数は、約824MHzである。
【0058】
ソース421と通信装置8の第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1/8より小さい。そのため、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間の相互結合により、アンテナ42に対して別の有効な延長接地面を同等に形成し、接地面11の共振長不足の状況を補うことができる。このようにして、比較的低い動作帯域におけるアンテナ42の共振モードのインピーダンス整合を向上させ、アンテナ42の比較的低い動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。図8Bからわかるように、結合導体構造44および電流取り出し導体構造43を設置することによって、形成された有効な延長アンテナ接地面により、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において複数の共振モードを上手く生成できるようになり、アンテナ42の比較的低い動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。
【0059】
通信装置8の実験において、相互結合部3132、3233、3334、3435および3536の結合空間は、いずれも約0.2mmである。第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部442の結合空間は、約0.4mmである。導体素子431、432、433、434、435および436は、太陽電池の電極である。誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、光電シリコン基板である。しかしながら、これらは、通信装置8の単なる実験例であって、本発明の実施可能性を限定するものではない。
【0060】
本実施形態において、通信装置8のアンテナ42に対する比較的低い動作帯域および比較的高い動作帯域は、それぞれGSM850/900およびGSM1800の異なる通信帯域をカバーすることができる。しかしながら、図8Bは、通信装置8のアンテナが少なくとも1つの動作帯域を生成できる場合の一例であり、通信装置8のアンテナによって生成された動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されるが、本発明の実施可能性を限定するものではない。通信装置8のアンテナによって生成された動作帯域は、LTEシステム、WiMAXシステム、DTVシステム、GPS、WWANシステム、WLANシステム、UWBシステム、WPANシステム、衛星通信システム、または他の無線通信帯域や携帯通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されてもよい。
【0061】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の実施形態に係る通信装置は、そのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大することができる。アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成することができるため、アンテナの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。形成されたアンテナの有効な延長接地面は、アンテナに結合された接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有する。それにより、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【符号の説明】
【0063】
1、2、3、4、5、7、8 通信装置
11、111 接地面
12、42、52 アンテナ
121、421、521 信号ソース
122 整合回路
13、23、33、43、53、73 電流取り出し導体構造
131〜135、231〜235、331〜334、431〜436、531〜532、731〜735 導体素子
2312、2322、2332、2342、2352、3312、3322、3332、3342、4312、4322、4332、4342、4352、4362、5312、5322 誘電体基板
2321、2331、2341、2351、3311、3321、3331、3341、4321、4331、4341、4351、4361、5311、5321 延長導体部
3132、3231、3233、3334、3435、3536 相互結合部
14、24、34、44、54、74 結合導体構造
141、241、341、441、541、551、741 第1導体部
142、242、342、442、542、552、742 第2導体部
143、243、343、443、543、553、743 結合部
16 ケーシング
4211、4212、5211、5212、8211、8212 測定した反射減衰量
601、602 ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置およびそのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線および携帯通信技術の発展に伴い、人々はいつでもどこでも他の人と話をしたり、無線で情報を得たりすることができるようになった。そのため、携帯通信装置は、人々の日常生活において必要不可欠な道具であり、商品価値が高い。
【0003】
しかしながら、国や地域によって使用される通信システムが異なることによって、ユーザーが携帯通信装置の変更を強いられる状況を避けるため、現在の携帯通信装置は、異なる携帯および無線通信システムに対してマルチバンド動作が可能でなければならない。携帯通信装置はますます多種の通信システムを統合する傾向にあるが、携帯通信装置の使用可能なアンテナ空間は次第に減少している。通信装置のアンテナのインピーダンス帯域幅をいかにして効果的に拡大するかが、今後の重要な研究開発課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの実施形態は、少なくとも1つの接地面(ground)と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体(current-drawing conductor)構造と、少なくとも1つの結合導体(coupling conductor)構造とを含む通信装置を提供する。少なくとも1つのアンテナは、ソースを介して少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に、少なくとも1つの相互結合部(mutual coupling portion)が形成される。少なくとも1つの結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に、少なくとも1つの結合部が形成される。
【0005】
本発明の別の実施形態は、通信装置のアンテナに適用されるアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む。少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つの接地面を有する通信装置のケーシング(casing)に、電流取り出し導体構造を配置する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に、少なくとも1つの相互結合部が形成される。接地面に結合導体構造を接続する。結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有し、第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に、少なくとも1つの結合部が形成される。
【0006】
本発明の上記及び他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
国や地域によって使用される通信システムが異なるために携帯通信装置を変更しなければならないのは、旅行者にとって不便である。そのため、無線通信装置は、異なる携帯および無線通信システムに対してマルチバンド動作が可能であることが望ましい。無線通信装置が多種の通信システムを統合すればするほど、無線通信装置において使用可能なアンテナ空間は次第に減少する。しかしながら、従来の設計方法では、無線通信装置におけるアンテナのインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態は、少なくとも1つの接地面と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体構造と、少なくとも1つの結合導体構造とを含む通信装置を提供する。少なくとも1つのアンテナは、ソースを介して少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。少なくとも1つの結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成される。通信装置のアンテナが動作帯域において共振した時、アンテナの接地面が強い表面電流分布を励起させる。アンテナに隣接する結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、アンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。アンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長(effective length)を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る通信装置は、そのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大することができる。アンテナが動作帯域において共振した時、アンテナに隣接する結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、他のアンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。アンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。形成されたアンテナの有効な延長接地面は、接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、それによって、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(specific absorption rate, SAR)や補聴器両立性(hearing aid compatible, HAC)試験の値を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の実施形態に係る通信装置1の構造概略図である。
【図1B】本発明の実施形態に係る通信装置1の構造断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る通信装置2の構造概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信装置3の構造概略図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る通信装置4の構造概略図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る通信装置4の構造断面図である。
【図4C】結合導体構造と電流取り出し導体構造がアンテナに構成されている/アンテナに構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナの反射減衰量を示した図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る通信装置5の構造概略図である。
【図5B】結合導体構造と電流取り出し導体構造がアンテナに構成されている/アンテナに構成されていない場合に測定した通信装置5のアンテナの反射減衰量を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る通信装置のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る通信装置7の構造概略図である。
【図8A】本発明の実施形態に係る通信装置8の構造概略図である。
【図8B】結合導体構造と電流取り出し導体構造がアンテナに構成されている/アンテナに構成されていない場合に測定した通信装置8のアンテナの反射減衰量を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態を当業者が容易に理解されるよう、添付の図面を参照して詳細に説明する。発明の概念は様々な形式で実施可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。明確になるよう周知の構成要素の説明は省略し、類似する構成要素には類似する参照符号を使用する。
【0012】
本発明は、通信装置およびそのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法に関し、いくつかの実施形態を提供する。これらの実施形態は、例えば、携帯通信装置、無線通信装置、モバイルコンピュータ(mobile computing device, MCD)、コンピュータシステム等の様々な通信装置や、あるいは、テレコム機器(telecom equipment)、ネットワーク機器、またはコンピュータやネットワークの周辺機器に適用されてもよい。
【0013】
図1Aは、本発明の実施形態に係る通信装置1の構造概略図である。通信装置1は、少なくとも1つの接地面11と、少なくとも1つのアンテナ12と、電流取り出し導体構造13と、少なくとも1つの結合導体構造14と、ケーシング16とを有する。アンテナ12は、ソース121(または信号ソース)を介して接地面11に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。例えば、アンテナ12は、モノポールアンテナ(monopole antenna)、短絡モノポールアンテナ(shorted monopole antenna)、板状逆Fアンテナ(planner inverted F antenna, PIFA)、逆Fアンテナ(inverted F antenna, IFA)、ループアンテナ(loop antenna)、スロットアンテナ(slot antenna)、ヘリカルアンテナ(helical antenna)、4線状ヘリカルアンテナ(quadrifilar helical antenna, QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(N-filar helical antenna, NHA)、またはその組み合わせであってもよい。本実施形態において、通信装置1は、複数のアンテナを接地面11に電気接続する複数のソースを有してもよく、図1Aにおいて、1つまたは複数のアンテナを設置できる位置を示してあるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。
【0014】
図1Aを参照すると、電流取り出し導体構造13は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子131、132、133、134および135を有し、電流取り出し導体構造13において隣接する導体素子間に相互結合部3132、3233、3334および3435が形成される。例えば、導体素子131、132、133、134および135の間の相互結合部3132、3233、3334および3435は、それぞれチップコンデンサ(chip capacitor)または他の延長導体部により形成されてもよい。
【0015】
少なくとも1つの結合導体構造14は、第1導体部141および第2導体部142を有する。第1導体部141の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部142に電気接続される。第2導体部142と電流取り出し導体構造13は、結合部143を形成する。ソース121と第1導体部141が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。第2導体部142は、ほぼ楕円形(oval shape)であり、導体素子131、132、133、134および135は、ほぼ長方形(rectangular shape)であるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。第2導体部142は、楕円形以外の他の形状であってもよく、導体素子131、132、133、134および135もまた、長方形以外の他の形状であってもよい。例えば、導体素子131、132、133、134、135および第2導体部142は、異なる形状の金属シート(metal sheet)であるか、あるいは、導体素子131、132、133、134および135は、複数の金属ブランチ(metal branch)を有してもよい。さらに、導体素子131、132、133、134および135は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置(solar photovoltaic apparatus)の電極であってもよい。
【0016】
アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造14と電流取り出し導体構造13の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造13は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、アンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子131、132、133、134および135を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造13と結合導体構造14の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。また、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。図1Bは、図1Aの通信装置1の構造断面図である。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る通信装置2の構造概略図である。通信装置2は、少なくとも1つの接地面11と、少なくとも1つのアンテナ12と、電流取り出し導体構造23と、少なくとも1つの結合導体構造24と、ケーシング16とを含む。アンテナ12は、整合回路(matching circuit)122を介してソース121に接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。整合回路122は、アンテナ12の共振モードのインピーダンス整合を調整するために使用される。例えば、アンテナ12は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0018】
図2を参照すると、電流取り出し導体構造23は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子231、232、233、234および235を有する。導体素子232の延長導体部2321および導体素子231は、それぞれ誘電体基板2312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。例えば、導体素子231は、誘電体基板2312の下面に配置され、導体素子232に接続された延長導体部2321は、誘電体基板2312の上面に配置される。導体素子233の延長導体部2331および導体素子232は、それぞれ誘電体基板2322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子234の延長導体部2341および導体素子233は、それぞれ誘電体基板2332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子235の延長導体部2351および導体素子234は、それぞれ誘電体基板2342の上面および下面に配置され、相互結合部3435を形成する。延長導体部2321、2331、2341、2351は、同じ形状の金属シートであってもよく、例えば、長方形金属シートであるが、本発明はこれに限定されない。導体素子235は、誘電体基板2352の下面に配置される。延長導体部2321と導体素子231の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。相互結合部3233、3334および3435の結合空間も、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。さらに、誘電体基板2312、2322、2332、2342および2352は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0019】
少なくとも1つの結合導体構造24は、第1導体部241および第2導体部242を有し、第1導体部241の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部242に電気接続される。第2導体部242および電流取り出し導体構造23は、結合部243を形成する。第2導体部242と電流取り出し導体構造23の間の結合部243の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部242は、2つの金属ブランチを有し、ソース121と第1導体部241が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子231、232、233、234および235は、ほぼ長方形であり、第2導体部242は、端が正方形のほぼU字形状を有するが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。さらに、導体素子231、232、233、234および235は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造24と電流取り出し導体構造23の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造23は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。
【0020】
さらに多くの導体素子が第2導体部242との容量結合(capacitive coupling)を形成すると、結合導体構造24と電流取り出し導体構造23の間の結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子231、232、233、234および235を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造23と結合導体構造24の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る通信装置3の構造概略図である。通信装置3は、切り離された2つの接地面11および接地面111と、少なくとも1つのアンテナ12と、電流取り出し導体構造33と、少なくとも1つの結合導体構造34と、ケーシング16とを含む。少なくとも1つのアンテナ12は、ソース121を介して接地面11に接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。別の実施形態において、接地面11および111は、同軸ケーブル、信号伝送路、または金属線を介して電気接続されてもよい。少なくとも1つのアンテナ12は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0022】
図3を参照すると、電流取り出し導体構造33は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子331、332、333および334を有する。導体素子332の延長導体部3321および導体素子331は、それぞれ誘電体基板3312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。導体素子333の延長導体部3331および導体素子332は、それぞれ誘電体基板3322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子334の延長導体部3341および導体素子333は、それぞれ誘電体基板3332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子334は、誘電体基板3342の上面に配置される。延長導体部3321と導体素子331の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。相互結合部3233および3334の結合空間も、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。例えば、延長導体部3311、3321、3331および3341は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、誘電体基板3312、3322、3332および3342は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0023】
結合導体構造34は、第1導体部341および第2導体部342を有し、第1導体部341の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部342に電気接続される。第2導体部342および電流取り出し導体構造33の延長導体部3311は、結合部343を形成する。延長導体部3311と第2導体部342の間の結合部343の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部342の形状は、ほぼ長方形であり、ソース121と第1導体部341が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子331、332、333および334は、ほぼ長方形であり、第2導体部342、ほぼ長方形であるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。さらに、導体素子331、332、333および334は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。
【0024】
アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造34と電流取り出し導体構造33の間に結合部343を設計することによって、電流取り出し導体構造33は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに多くの導体素子が第2導体部342との静電結合を形成すると、結合導体構造34と電流取り出し導体構造33の間のエネルギー結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子331、332、333および334を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造33と結合導体構造34の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0025】
図4Aは、本発明の実施形態に係る通信装置4の構造概略図である。通信装置4は、接地面11と、アンテナ42と、電流取り出し導体構造43と、結合導体構造44と、ケーシング16とを含む。例えば、アンテナ42は、ソース421を介して接地面11に接続された二重経路(dual-path)短絡モノポールアンテナであり、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。しかしながら、本発明の実施可能性はこれに限定されず、アンテナ42は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0026】
図4Aを参照すると、電流取り出し導体構造43は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有する。導体素子432の延長導体部4321および導体素子431は、それぞれ誘電体基板4312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。例えば、導体素子431は、誘電体基板4312の下面に配置され、導体素子432に接続された延長導体部4321は、誘電体基板4312の上面に配置される。導体素子433の延長導体部4331および導体素子432は、それぞれ誘電体基板4322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子434の延長導体部4341および導体素子433は、それぞれ誘電体基板4332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子435の延長導体部4351および導体素子434は、それぞれ誘電体基板4342の上面および下面に配置され、相互結合部3435を形成する。導体素子436の延長導体部4361および導体素子435は、それぞれ誘電体基板4352の上面および下面に配置され、相互結合部3536を形成する。導体素子436は、誘電体基板4362の下面に配置される。延長導体部4321と導体素子431の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。相互結合部3233、3334、3435および3536の結合空間も、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。
【0027】
延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、それぞれ魚の骨の形状を有するが、本発明の実現可能性はこれに限定されず、延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0028】
結合導体構造44は、第1導体部441および第2導体部442を有し、第1導体部441の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部442に電気接続される。第2導体部442および電流取り出し導体構造43は、結合部443を形成する。第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部443の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部442の形状は、ほぼ長方形であり、ソース421と第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子431、432、433、434、435および436はほぼ長方形であり、第2導体部442もほぼ長方形であるが、本発明の実現可能性はこれに限定されない。さらに、導体素子431、432、433、434、435および436は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。
【0029】
アンテナ42が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間に結合部443を設計することによって、電流取り出し導体構造43は、アンテナ42に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに多くの導体素子が第2導体部442との静電結合を形成すると、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間のエネルギー結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ42の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造43と結合導体構造44の間に相互結合を設置することによって、アンテナ42は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ42のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成されたアンテナ42の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ42の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。図4Bは、図4Aの通信装置4の構造断面図である。
【0030】
図4Cは、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている/アンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量(return loss)を示した図である。曲線4211は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。曲線4212は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。図4Cにおいて、通信装置4のアンテナ42に対する最低動作帯域の最低通信帯域は、GMS850(global system for mobile communications 850)であるため、その最低動作周波数は、約824MHzである。通信装置4の実験において、相互結合部3132、3233、3334、3435および3536の結合空間は、いずれも約0.2mmである。第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部442の結合空間は、約0.4mmである。導体素子431、432、433、434、435および436は、太陽電池の電極である。誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、光電シリコン基板である。しかしながら、これらは、通信装置4の単なる実験例であって、本発明の実施可能性を限定するものではない。
【0031】
ソース421と通信装置4の第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1/8より小さい。このように、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において2つの有効なアンテナ接地面を同等に有し、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路が形成されるため、それによって、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において複数の共振モードを生成することができる。図4Cにおいて、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43を設置することによって、アンテナ42の有効な延長接地面により、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において複数の共振モードを形成し、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ42の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0032】
本実施形態において、通信装置4のアンテナ42の比較的低い動作帯域および比較的高い動作帯域は、それぞれGSM850/900およびGSM1800の異なる通信帯域をカバーすることができる。しかしながら、図4Cは、通信装置4のアンテナが少なくとも1つの動作帯域を生成できる場合の一例であり、通信装置4のアンテナによって生成された動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されるが、本発明の実施可能性を限定するものではない。通信装置4のアンテナによって生成された動作帯域は、LTE(long term evolution)システム、WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)システム、DTV(digital television broadcasting)システム、GPS(global positioning systems)、WWAN(wireless wide area network)システム、WLAN(wireless local area network)システム、UWB(ultra-wideband )システム、WPAN(wireless personal area network)システム、衛星通信(satellite communication)システム、または他の無線通信帯域や携帯通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されてもよい。
【0033】
図5Aは、本発明の実施形態に係る通信装置5の構造概略図である。通信装置5は、接地面11と、アンテナ52と、電流取り出し導体構造53と、2つの結合導体構造54および55と、ケーシング16とを含む。例えば、アンテナ52は、ソース521を介して接地面11に接続された二重経路短絡モノポールアンテナであり、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。しかしながら、本発明の実施可能性はこれに限定されず、アンテナ52は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。
【0034】
図5Aを参照すると、電流取り出し導体構造53は、ケーシング16の上に配置され、2つの導体素子531および532を有する。導体素子532の延長導体部5321および導体素子531は、それぞれ誘電体基板5312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。導体素子531の延長導体部5331および導体素子532は、それぞれ誘電体基板5322の上面および下面に配置され、相互結合部3231を形成する。延長導体部5321および5311は、それぞれくし形(comb-shape)を有するが、本発明の実施可能性はこれに限定されず、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。延長導体部5321と導体素子531の間の相互結合部3132の結合空間は、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。延長導体部5311と導体素子532の間の相互結合部3231の結合空間も、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。さらに、誘電体基板5312および5322は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0035】
結合導体構造54は、第1導体部541および第2導体部542を有し、第1導体部541の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部542に電気接続される。結合導体構造55は、第1導体部551および第2導体部552を有し、第1導体部551の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部552に電気接続される。第2導体部542および電流取り出し導体構造53は、結合部543を形成する。第2導体部552および電流取り出し導体構造53は、結合部553を形成する。第2導体部542と電流取り出し導体構造53の間の結合部543の結合空間は、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部552と電流取り出し導体構造53の間の結合部553の結合空間は、アンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第1導体部541および551が接地面11に電気接続された位置とソース521との間の距離は、いずれもアンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。
【0036】
導体素子531および532は、ほぼ長方形である。さらに、導体素子531および532は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。アンテナ52が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、電流取り出し導体構造53と結合導体構造54および55の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造53は、アンテナ52に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成された有効な延長接地面は、互いに相互結合した2つの導体素子531および532を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路が形成される。このように、電流取り出し導体構造53と結合導体構造54および55の間に相互結合を構成することによって、アンテナ52が動作帯域において複数の共振モードを生成することができるようになるため、アンテナ52のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成されたアンテナ52の有効な延長接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ52の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0037】
図5Bは、結合導体構造54および55と電流取り出し導体構造53がアンテナ52に構成されている/アンテナ52に構成されていない場合に測定した通信装置5のアンテナ52の反射減衰量を示した図である。曲線5211は、結合導体構造54および55と電流取り出し導体構造53がアンテナ52に構成されていない場合に測定した通信装置5のアンテナ52の反射減衰量である。曲線5212は、結合導体構造54および55と電流取り出し導体構造53がアンテナ52に構成されている場合に測定した通信装置5のアンテナ52の反射減衰量である。図5Bにおいて、通信装置5のアンテナ52に対する最低動作帯域の最低通信帯域は、GMS850であるため、その最低動作周波数は、約824MHzである。
【0038】
ソース521と第1導体部541および551が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、いずれもアンテナ52の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1/8〜1/4の間である。このように、形成された有効な延長アンテナ接地面は、比較的高い動作帯域におけるアンテナ52の表面電流励起を接地面11の末端で抑制し、アンテナ52の共振に有利な同等の接地長(ground length)を比較的高い動作帯域で生成する。そのため、本実施形態では、通信装置5の電流取り出し導体構造53と結合導体構造54および55の間の相互結合により、アンテナ52は、比較的高い動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ52の比較的高い動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ52の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0039】
本実施形態において、通信装置5のアンテナ52の比較的低い動作帯域および比較的高い動作帯域は、それぞれGSM850/900およびGSM1800の異なる通信帯域をカバーすることができる。しかしながら、図5Bは、通信装置5のアンテナが少なくとも1つの動作帯域を生成できる場合の一例であり、通信装置5のアンテナによって生成された動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されるが、本発明の実施可能性を限定するものではない。通信装置5のアンテナによって生成された動作帯域は、LTEシステム、WiMAXシステム、DTVシステム、GPS、WWANシステム、WLANシステム、UWBシステム、WPANシステム、衛星通信システム、または他の無線通信帯域や携帯通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されてもよい。
【0040】
通信装置5の実験において、相互結合部3132および3231の結合空間は、いずれも約0.4mmである。結合部543および553の結合空間は、約0.8mmである。導体素子531および532は、金属シートであり、誘電体基板5312および5322は、FR4基板である。しかしながら、これらは、通信装置5の単なる実験例であって、本発明の実施可能性を限定するものではない。
【0041】
上述した実施形態において、開示した通信装置は、少なくとも1つの接地面と、少なくとも1つのアンテナと、電流取り出し導体構造と、少なくとも1つの結合導体構造と、ケーシングとを有する。少なくとも1つのアンテナは、ソースを介して少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。少なくとも1つのアンテナは、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。電流取り出し導体構造は、ケーシングの上に配置され、複数の導体素子を有し、隣接する導体素子間に相互結合部が形成される。隣接する導体素子間の相互結合部は、チップコンデンサまたは他の延長導体部により形成される。
【0042】
少なくとも1つの結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有する。第1導体部の一端は、接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に結合部が形成される。ソースと第1導体部が接地面に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。
【0043】
導体素子および第2導体部は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、導体素子は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極であってもよい。アンテナが動作帯域において共振した時、接地面が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、アンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成されたアンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナのうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長接地面は、接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【0044】
図6は、本発明の実施形態に係る通信装置のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法を示すフローチャートである。この方法は、以下のステップを含む。少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つの接地面を有する通信装置のケーシングに、電流取り出し導体構造を配置する(ステップ601)。電流取り出し導体構造は、複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。さらに、接地面に結合導体構造を接続する(ステップ602)。結合導体構造は、第1導体部および第2導体部を有し、第1導体部の一端は、少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端は、第2導体部に電気接続される。第2導体部と電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成される。
【0045】
上述した方法において、アンテナは、ソースを介して接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。アンテナは、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。導体素子のうちの1つは、延長導体部を介して、隣接する導体素子と少なくとも1つの相互結合部を形成する。あるいは、導体素子のうちの1つは、チップコンデンサを介して、隣接する導体素子と少なくとも1つの相互結合部を形成する。導体素子は、異なる形状の金属シートであってもよく、あるいは、導体素子は、複数の金属ブランチを有してもよい。第2導体部は、異なる形状の金属シートであってもよく、あるいは、第2導体部は、複数の金属ブランチを有してもよい。アンテナとソースの間に整合回路を配置してもよい。導体素子は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極であってもよい。ソースと第1導体部が接地面に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。
【0046】
アンテナが動作帯域において共振した時、接地面が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造と電流取り出し導体構造の間に相互結合を設計することによって、電流取り出し導体構造は、アンテナに対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成されたアンテナの有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路が形成される。そのため、電流取り出し導体構造と結合導体構造の間に相互結合を設置することによって、アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナのうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の高周波(radio frequency, RF)信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【0047】
図7の通信装置7は、図6の方法を用いて実施される。図7は、本発明の実施形態に係る通信装置7の構造概略図である。この方法は、以下のステップを含む。少なくとも1つのアンテナ12および1つの接地面11を有する通信装置7のケーシング16に、電流取り出し導体構造73を配置する。電流取り出し導体構造73は、複数の導体素子731、732、733、734および735を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。さらに、接地面11に結合導体構造74を接続する。結合導体構造74は、第1導体部741および第2導体部742を有する。第1導体部741の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部742に電気接続される。第2導体部742および電流取り出し導体構造73は、少なくとも1つの結合部743を形成し、アンテナ12によって生成された少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大する。
【0048】
導体素子731と732の間に相互結合部3132が形成される。導体素子732と733の間に相互結合部3233が形成される。導体素子733と734の間に相互結合部3334が形成される。導体素子734と735の間に相互結合部3435が形成される。相互結合部3132、3233、3334および3435のそれぞれは、延長導体部または隣接する導体素子によって形成されるか、あるいは、チップコンデンサを介して導体素子の1つを隣接する導体素子に接続することによって形成されてもよい。
【0049】
アンテナ12は、ソース121を介して接地面11に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。アンテナ12は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。第2導体部742と電流取り出し導体構造73の間の結合部743の結合空間は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。ソース121と第1導体部741が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ12の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子731、732、733、734、735および第2導体部742は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、導体素子731、732、733、734および735は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極であってもよい。
【0050】
アンテナ12が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造74と電流取り出し導体構造73の間に結合部343を設計することによって、電流取り出し導体構造73は、アンテナ12に対して別の有効な延長接地面を同等に形成することができる。さらに、形成されたアンテナ12の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子731、732、733、734および735を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造73と結合導体構造74の間に相互結合を設置することによって、アンテナ12は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ12のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ12の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【0051】
図8Aの通信装置8は、図6の方法を適用する。図8Aは、本発明の実施形態に係る通信装置8の構造概略図である。この方法は、以下の手順を含む。少なくとも1つのアンテナ42および少なくとも1つの接地面を有する通信装置8のケーシング16に、電流取り出し導体構造43を配置する。通信装置8は、切り離された2つの接地面11および111を有し、それぞれ異なる電気回路システムに設置されてもよい。接地面11および111は、同軸ケーブルや信号伝送路を介して、または他の方法により電気接続されてもよい。電流取り出し導体構造43は、複数の導体素子431、432、433、434、435および436を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成される。さらに、接地面11に結合導体構造44を接続する。結合導体構造44は、第1導体部441および第2導体部442を有する。第1導体部441の一端は、接地面11に電気接続され、他端は、第2導体部442に電気接続される。第2導体部442および電流取り出し導体構造43は、少なくとも1つの結合部443を形成し、アンテナ42の少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大する。
【0052】
例えば、アンテナ42は、ソース421を介して接地面11に接続された二重経路短絡モノポールアンテナであり、動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する。しかしながら、本発明の実施可能性はこれに限定されず、アンテナ42は、モノポールアンテナ、短絡モノポールアンテナ、板状逆Fアンテナ(PIFA)、逆Fアンテナ(IFA)、ループアンテナ、スロットアンテナ、ヘリカルアンテナ、4線状ヘリカルアンテナ(QHA)、N線状ヘリカルアンテナ(NHA)、またはその組み合わせであってもよい。また、通信装置8は、複数層の接地面を有するか、あるいは、複数層の電気回路システムに設置された接地面を有してもよい。
【0053】
図8Aを参照すると、電流取り出し導体構造43は、ケーシング16の上に配置され、複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有する。導体素子432の延長導体部4321および導体素子431は、それぞれ誘電体基板4312の上面および下面に配置され、相互結合部3132を形成する。例えば、導体素子431は、誘電体基板4312の下面に配置され、導体素子432に接続された延長導体部4321は、誘電体基板4312の上面に配置される。導体素子433の延長導体部4331および導体素子432は、それぞれ誘電体基板4322の上面および下面に配置され、相互結合部3233を形成する。導体素子434の延長導体部4341および導体素子433は、それぞれ誘電体基板4332の上面および下面に配置され、相互結合部3334を形成する。導体素子435の延長導体部4351および導体素子434は、それぞれ誘電体基板4342の上面および下面に配置され、相互結合部3435を形成する。導体素子436の延長導体部4361および導体素子435は、それぞれ誘電体基板4352の上面および下面に配置され、相互結合部3536を形成する。導体素子436は、誘電体基板4362の下面に配置される。相互結合部3132、3233、3334、3435および3436の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1%よりも小さい。
【0054】
延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、それぞれ魚の骨の形状を有するが、本発明の実現可能性はこれに限定されず、延長導体部4321、4331、4341、4351および4361は、異なる形状の金属シートであるか、あるいは、複数の金属ブランチを有してもよい。さらに、誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、誘電体材料、プラスチック材料、フレキシブルプリント配線板用材料、光電変換材料、光電半導体材料、または太陽光発電材料等の異なる材料であってもよい。
【0055】
第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部443の結合空間は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の2%よりも小さい。第2導体部442の形状は、ほぼ長方形であり、ソース421と第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい。導体素子431、432、433、434、435および436は、ほぼ長方形である。さらに、導体素子431、432、433、434、435および436は、異なる金属材料、金属電極、または太陽光電変換装置の電極であってもよい。
【0056】
アンテナ42が動作帯域において共振した時、接地面11が強い表面電流分布を励起させる。そのため、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間に結合部443を設計することによって、電流取り出し導体構造43は、アンテナ42に対して別の有効な延長接地面を同等に形成し、接地面11の共振長(resonant length)不足の状況を補うことができる。さらに多くの導体素子が第2導体部442との静電結合を形成すると、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間のエネルギー結合強度が増大する。さらに、形成されたアンテナ42の有効な延長接地面は、互いに相互結合した複数の導体素子431、432、433、434、435および436を有するため、異なる有効長を有する複数の結合電流共振経路を形成することができる。そのため、電流取り出し導体構造43と結合導体構造44の間に相互結合を設置することによって、アンテナ42は、動作帯域において複数の共振モードを生成できるようになり、アンテナ42のうちの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。さらに、形成された有効な延長アンテナ接地面は、接地面11の励起表面電流の強度を下げる機会を有するため、動作帯域におけるアンテナ42の比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)値を下げることができる。
【0057】
図8Bは、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている/アンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置8のアンテナ42の反射減衰量を示した図である。曲線8211は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されていない場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。曲線8212は、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43がアンテナ42に構成されている場合に測定した通信装置4のアンテナ42の反射減衰量である。図8Bにおいて、通信装置8のアンテナ42の最低動作帯域の最低通信帯域は、GMS850であるため、その最低動作周波数は、約824MHzである。
【0058】
ソース421と通信装置8の第1導体部441が接地面11に電気接続された位置との間の最短距離は、アンテナ42の最低動作帯域の最低動作周波数の波長の1/8より小さい。そのため、結合導体構造44と電流取り出し導体構造43の間の相互結合により、アンテナ42に対して別の有効な延長接地面を同等に形成し、接地面11の共振長不足の状況を補うことができる。このようにして、比較的低い動作帯域におけるアンテナ42の共振モードのインピーダンス整合を向上させ、アンテナ42の比較的低い動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。図8Bからわかるように、結合導体構造44および電流取り出し導体構造43を設置することによって、形成された有効な延長アンテナ接地面により、アンテナ42は、比較的低い動作帯域において複数の共振モードを上手く生成できるようになり、アンテナ42の比較的低い動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。
【0059】
通信装置8の実験において、相互結合部3132、3233、3334、3435および3536の結合空間は、いずれも約0.2mmである。第2導体部442と電流取り出し導体構造43の間の結合部442の結合空間は、約0.4mmである。導体素子431、432、433、434、435および436は、太陽電池の電極である。誘電体基板4312、4322、4332、4342、4352および4362は、光電シリコン基板である。しかしながら、これらは、通信装置8の単なる実験例であって、本発明の実施可能性を限定するものではない。
【0060】
本実施形態において、通信装置8のアンテナ42に対する比較的低い動作帯域および比較的高い動作帯域は、それぞれGSM850/900およびGSM1800の異なる通信帯域をカバーすることができる。しかしながら、図8Bは、通信装置8のアンテナが少なくとも1つの動作帯域を生成できる場合の一例であり、通信装置8のアンテナによって生成された動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されるが、本発明の実施可能性を限定するものではない。通信装置8のアンテナによって生成された動作帯域は、LTEシステム、WiMAXシステム、DTVシステム、GPS、WWANシステム、WLANシステム、UWBシステム、WPANシステム、衛星通信システム、または他の無線通信帯域や携帯通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用されてもよい。
【0061】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の実施形態に係る通信装置は、そのアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大することができる。アンテナは、動作帯域において複数の共振モードを生成することができるため、アンテナの少なくとも1つの動作帯域のインピーダンス帯域幅を効果的に拡大することができる。このような動作帯域は、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信するために使用される。形成されたアンテナの有効な延長接地面は、アンテナに結合された接地面の励起表面電流の強度を下げる機会を有する。それにより、動作帯域におけるアンテナの比吸収率(SAR)や補聴器両立性(HAC)試験の値を下げることができる。
【符号の説明】
【0063】
1、2、3、4、5、7、8 通信装置
11、111 接地面
12、42、52 アンテナ
121、421、521 信号ソース
122 整合回路
13、23、33、43、53、73 電流取り出し導体構造
131〜135、231〜235、331〜334、431〜436、531〜532、731〜735 導体素子
2312、2322、2332、2342、2352、3312、3322、3332、3342、4312、4322、4332、4342、4352、4362、5312、5322 誘電体基板
2321、2331、2341、2351、3311、3321、3331、3341、4321、4331、4341、4351、4361、5311、5321 延長導体部
3132、3231、3233、3334、3435、3536 相互結合部
14、24、34、44、54、74 結合導体構造
141、241、341、441、541、551、741 第1導体部
142、242、342、442、542、552、742 第2導体部
143、243、343、443、543、553、743 結合部
16 ケーシング
4211、4212、5211、5212、8211、8212 測定した反射減衰量
601、602 ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの接地面と、
ソースを介して前記少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する少なくとも1つのアンテナと、
複数の導体素子を有し、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成された電流取り出し導体構造と、
第1導体部および第2導体部を有し、前記第1導体部の一端が、前記少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端が、前記第2導体部に電気接続されるとともに、前記第2導体部と前記電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成された少なくとも1つの結合導体構造と
を含む通信装置。
【請求項2】
前記導体素子のうちの1つが、延長導体部またはチップコンデンサを介して、前記隣接する導体素子と前記少なくとも1つの相互結合部を形成する請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記導体素子が、異なる形状の金属シートである請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記導体素子が、同じ形状の金属シートである請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
前記導体素子が、複数の金属ブランチを有する請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2導体部が、複数の金属ブランチを有する請求項1記載の通信装置。
【請求項7】
前記導体素子のうちの1つが、前記少なくとも1つの接地面に電気接続された請求項1記載の通信装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアンテナと前記ソースの間に整合回路が接続された請求項1記載の通信装置。
【請求項9】
前記導体素子が、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極である請求項1記載の通信装置。
【請求項10】
前記電流取り出し導体構造を配置したケーシングをさらに備えた請求項1記載の通信装置。
【請求項11】
前記ソースと前記第1導体部が前記接地面に電気接続された位置との間の最短距離が、前記アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい請求項1記載の通信装置。
【請求項12】
通信装置のアンテナに適用されるアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法であって、
複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成された電流取り出し導体構造を、少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つの接地面を有する前記通信装置のケーシングに配置することと、
第1導体部および第2導体部を有し、前記第1導体部の一端が前記接地面に電気接続され、他端が前記第2導体部に電気接続されるとともに、前記第2導体部と前記電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成された結合導体構造を、前記接地面に接続することと
を含むアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項13】
前記アンテナが、ソースを介して前記接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項14】
前記導体素子のうちの1つが、延長導体部またはチップコンデンサを介して、前記隣接する導体素子と前記少なくとも1つの相互結合部を形成する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項15】
前記導体素子が、異なる形状の金属シートである請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項16】
前記導体素子が、同じ形状の金属シートである請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項17】
前記導体素子が、複数の金属ブランチを有する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項18】
前記第2導体部が、複数の金属ブランチを有する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項19】
前記導体素子が、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極である請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項20】
前記ソースと前記第1導体部が前記接地面に電気接続された位置との間の最短距離が、前記アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項1】
少なくとも1つの接地面と、
ソースを介して前記少なくとも1つの接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する少なくとも1つのアンテナと、
複数の導体素子を有し、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成された電流取り出し導体構造と、
第1導体部および第2導体部を有し、前記第1導体部の一端が、前記少なくとも1つの接地面に電気接続され、他端が、前記第2導体部に電気接続されるとともに、前記第2導体部と前記電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成された少なくとも1つの結合導体構造と
を含む通信装置。
【請求項2】
前記導体素子のうちの1つが、延長導体部またはチップコンデンサを介して、前記隣接する導体素子と前記少なくとも1つの相互結合部を形成する請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記導体素子が、異なる形状の金属シートである請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記導体素子が、同じ形状の金属シートである請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
前記導体素子が、複数の金属ブランチを有する請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2導体部が、複数の金属ブランチを有する請求項1記載の通信装置。
【請求項7】
前記導体素子のうちの1つが、前記少なくとも1つの接地面に電気接続された請求項1記載の通信装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアンテナと前記ソースの間に整合回路が接続された請求項1記載の通信装置。
【請求項9】
前記導体素子が、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極である請求項1記載の通信装置。
【請求項10】
前記電流取り出し導体構造を配置したケーシングをさらに備えた請求項1記載の通信装置。
【請求項11】
前記ソースと前記第1導体部が前記接地面に電気接続された位置との間の最短距離が、前記アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい請求項1記載の通信装置。
【請求項12】
通信装置のアンテナに適用されるアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法であって、
複数の導体素子を含み、隣接する導体素子の間に少なくとも1つの相互結合部が形成された電流取り出し導体構造を、少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つの接地面を有する前記通信装置のケーシングに配置することと、
第1導体部および第2導体部を有し、前記第1導体部の一端が前記接地面に電気接続され、他端が前記第2導体部に電気接続されるとともに、前記第2導体部と前記電流取り出し導体構造の間に少なくとも1つの結合部が形成された結合導体構造を、前記接地面に接続することと
を含むアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項13】
前記アンテナが、ソースを介して前記接地面に電気接続され、少なくとも1つの動作帯域を生成して、少なくとも1つの通信帯域の電磁信号を伝送または受信する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項14】
前記導体素子のうちの1つが、延長導体部またはチップコンデンサを介して、前記隣接する導体素子と前記少なくとも1つの相互結合部を形成する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項15】
前記導体素子が、異なる形状の金属シートである請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項16】
前記導体素子が、同じ形状の金属シートである請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項17】
前記導体素子が、複数の金属ブランチを有する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項18】
前記第2導体部が、複数の金属ブランチを有する請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項19】
前記導体素子が、異なる金属材料、金属電極、または太陽光発電装置の電極である請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【請求項20】
前記ソースと前記第1導体部が前記接地面に電気接続された位置との間の最短距離が、前記アンテナの最低動作帯域の最低動作周波数の波長の半分より小さい請求項12記載のアンテナのインピーダンス帯域幅を拡大する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2013−55639(P2013−55639A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−137543(P2012−137543)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137543(P2012−137543)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
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