説明

通信装置および通信システム

【課題】固定フレーム長を有するフレーム内のデータチャネルのスケジューリングを行う通信装置に於いて、装置間の制御メッセージの送信フレームを特定し、エラー処理の実装を簡潔にして、データ通信のスループット向上を図る。
【解決手段】この発明にかかる通信装置によれば、データ作成要求作成部300は、制御メッセージ作成部340が作成した制御メッセージ、発生したユーザデータの送信時間をデータチャネル内へ割り当てる帯域要求を作成する。データ送信要求受付部310はデータ作成要求作成部300から送信された帯域要求を受け付け、スケジューラ部320は、帯域をデータチャネル内に割り当ててスケジュールを作成する。このとき、要求メッセージに対する応答メッセージは、要求メッセージを割り当てたフレームの次フレームに割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて通信する通信装置、および複数の前記通信装置を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
時分割多元接続(TDMA)方式では、所定の周期の単位時間が1フレームとして定義され、1フレーム内の送受信タイミングは、AccessPoint(以下「AP」と言う。)がスケジューリングして、MobileTerminal(以下、「MT」と言う。)との通信を行う。「小電力データ通信システム」の一つである「広帯域移動アクセスシステム」(以下「HiSWANa」と言う。)で規定されたMACフレームフォーマットを用いて通信を行う場合、各MTは、APからブロードキャストされる帯域割り当て情報に従い、データの送信を行う。帯域割り当て情報は、フレーム開始付近に位置するFrameCHannel(以下「FCH」と言う。)により、ブロードキャストされる。
【0003】
装置間で通信するデータとしては、通信の本来の目的であるユーザデータ以外に、APとMTとのリンク確立や装置情報の交換、また、ノイズの発生や信号減衰量の変化などの伝送路状態の変化に追従して、変調方式や符号化率を変更させるといった通信設定の変更などの制御メッセージが挙げられる。特に通信設定の変更は、設定齟齬が出ている間は通信エラーが発生するため、送受信側で同一フレーム中に実施する必要がある。このため、設定変更の要求メッセージに対する応答メッセージの受信による送達確認を行い実施する必要がある。
【0004】
応答メッセージのスケジューリングに関しては、データ通信の肯定応答(ACK)を応答メッセージと考えれば、データ通信とACK応答を単一チャネルに組み合わせて送信することによりデータ通信の効率化を実現する下記の文献に記載の方法があるが、応答メッセージとしてのACK応答の送信フレームを指定するものではない。
【0005】
【特許文献1】特表2007−520169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
要求メッセージに対して、応答メッセージを任意のフレームにスケジューリングした場合、応答メッセージの受信側は、応答メッセージが受信できないときに、応答メッセージ用の帯域の未割当か、割当済みであるが通信エラーによる応答メッセージの不達かを容易に判定できず、要求メッセージの割当完了後、応答メッセージ受信タイムアウトの判定を行い、タイムアウト発生時は再割当実施を行う必要がある。この場合、帯域割当待ちのタイムアウト時間は応答メッセージ受信タイムアウトより短く設定する必要があり、これを間違えると、複数の割り当て要求が発生し、不具合を起こしかねない。そうならないようタイムアウト時間の整合性を確実にするためには、できるだけタイムアウトの数を減らすのが望ましい。
【0007】
また、応答メッセージを送信する側は応答メッセージのメッセージデータを作成する必要があるが、応答メッセージ用の帯域割当があるまで、このメッセージデータをキューイングするなどして保持する必要があり、さらには応答メッセージ用帯域の割当タイムアウト発生時に、保持されたデータを破棄する必要があるなど、エラー処理としてはより複雑になるという問題があった。
【0008】
この発明は、上記の問題点を踏まえて成されたものであり、その目的は、固定フレーム長を有し、データチャネルのスケジューリングを行う通信装置に於いて、エラー処理の複雑さを軽減した通信装置および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の態様にかかる通信装置は、データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージを第1フレーム内に割り当て、前記応答メッセージを前記第1フレームの次フレームである第2フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部とを備える。
【0010】
また、この発明の第2の態様にかかる通信装置は、データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージをフレーム内に割り当て、前記応答メッセージも前記フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部とを備える。
【0011】
また、この発明の第3の態様にかかる通信装置は、データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージを第1フレーム内に割り当て、前記応答メッセージを第2フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部と、前記スケジューラ部において割り当てた前記第1、第2フレームにおける前記スケジュールの結果を保存する保存部とを備える。ここで前記第2フレームは、前記保存部が保存可能なフレーム数の範囲内で前記第1フレームの後である。
【発明の効果】
【0012】
この発明の第1の態様によれば、通信装置において、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージを第1フレーム内に割り当て、前記応答メッセージを前記第1フレームの次フレームである第2フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部とを備えることにより、通信エラーの発生による再送処理を、タイムアウトを用いずに実施できるため、エラー処理の複雑さが軽減される。よってプログラムのステップ数が削減され高速動作が可能となり、データ通信のスループット向上に寄与できる。
【0013】
また、この発明の第2の態様によれば、通信装置において、データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージをフレーム内に割り当て、前記応答メッセージも前記フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部とを備えることにより、応答メッセージは要求メッセージと同一フレームに割り当てられ、応答メッセージの帯域割り当てフレームを特定できるので、通信エラーの発生による再送処理を、タイムアウトを用いずに実施できるため、エラー処理の複雑さが軽減される。よってプログラムのステップ数が削減され高速動作が可能となり、データ通信のスループット向上に寄与できる。
【0014】
また、この発明の第3の態様によれば、通信装置において、データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージを第1フレーム内に割り当て、前記応答メッセージを第2フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部と、前記スケジューラ部において割り当てた前記第1、第2フレームにおける前記スケジュールの結果を保存する保存部とを備え、前記第2フレームは、前記保存部が保存可能なフレーム数の範囲内で前記第1フレームの後であることにより、次フレーム、同一フレームの場合に限らず、応答メッセージを割り当てるフレームを特定できるようになる。よって、通信エラーの発生による再送処理を、タイムアウトを用いずに実施できるため、エラー処理の複雑さが軽減される。これによりプログラムのステップ数が削減され高速動作が可能となり、データ通信のスループット向上に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<A.実施の形態1>
<A−1−1.マスタ装置の構成>
以下の実施の形態を構成する通信システムでは、HiSWANaのAPに相当するのがマスタ装置であり、MTに相当するのがスレーブ装置となる。本発明は特にマスタ装置のスケジューリング処理に関するものである。
【0016】
まず前提として、マスタ装置とスレーブ装置からなる本通信システムの周期動作を規定するフレームフォーマットについて、図1を用いて記載する。尚、図1は、後述する実施の形態2及び3に於いても援用される。
【0017】
図1に示す通り、本通信システムでは、9msecを1フレームに相当する単位時間(固定フレーム長)としており、1フレーム中には、1組のBCH200、FCH201、ACH202、及びRCH203の各制御チャネルが含まれている。1フレーム中、各制御チャネルに対応する時間以外の時間はデータチャネルのための所定の時間帯であり、後述のマスタ装置たる図2の通信装置は、スレーブ装置又はマスタ装置自身で作成される帯域割り当て要求(以下「帯域要求」とも言う)に対して帯域を割り当てることにより、データチャネルのスケジューリングを行う。ここで帯域とは、時間帯域のことをいうものとする。
【0018】
図1に於いて、BCH200は、1フレームの最も早い時間帯に設定され、マスタ装置がブロードキャストするための制御チャネルであり、システムの管理情報を含んでいる。FCH201は、BCHの後の時間帯に設定され、マスタ装置がブロードキャストするための制御チャネルであり、前述の通りFCH201は、マスタ装置で実施されたスケジューリング結果を、全スレーブ装置に通知する。ACH202は、FCHの後の時間帯に設定され、マスタ装置がブロードキャストするための制御チャネルであり、ランダムアクセスに対する応答情報を含む。1フレームの遅い時間帯に設定されるRCH203は、スレーブ装置がマスタ装置に対して発信するための制御チャネルであり、帯域割り当て要求等の要求の情報を含む。RCH203は、複数のスレーブ装置からのランダムアクセスであるため、データの衝突に関する情報が、次フレームのACH202によって、マスタ装置から配信される。この様に、マスタ装置でスケジューリングを実施し、次のフレームの先頭付近でスケジュール情報を発信するため、マスタ装置はFCH201の送信までに、スケジューリングを完了する必要がある。
【0019】
次に図2は、本実施の形態1に係る通信システムにおける、マスタ装置として機能する通信装置の構成を示すブロック図である。尚、図2は、後述する実施の形態2及び3に於いても援用される。
【0020】
図2に示す通り、本通信装置は、大要、動作の制御を行うCPU100、汎用メモリ110、Bridge120、MAC130、及びPHY140から構成される。
【0021】
汎用メモリ110は、CPU100により実行されるマスタ制御プログラム、及び、Ethernet(登録商標)Frameデータ(以下では、単に「データ」と言う)を格納する。
【0022】
Bridge120は、データを送受信する外部のパーソナルコンピュータ等(図示せず)の機器に接続されており、受信した上記データを汎用メモリ110に格納する機能を有する。またBridge120は、セル管理情報メモリ121を有している。
【0023】
MAC130は、Bridge120が入力した汎用メモリ110上のデータを読み出して、CPU100によって後述する通りに決められたスケジュール、及び、複数のデータを連結して送信するための情報(以下、「連結情報」と言う)に従い、読み出したデータを送信する。また、MAC130には、連結情報メモリ131が接続されている。
【0024】
PHY140は、MAC130から送信されてきたデータを、CPU100によって決められたスケジュールに従って、物理層(インターフェースに相当:図示せず)を介して、スレーブ装置(図示せず)に送信する。尚、スレーブ装置もまた、図2と同様の構成を有し、同様に有するBridgeにはパーソナルコンピュータ等の機器が接続されている。
【0025】
<A−1−2.マスタ装置の動作>
次に、上記のマスタ装置におけるデータの流れについて、図2を用いて記載する。
【0026】
先ず、Bridge120は、任意のタイミングでデータが外部よりBridge120に入力されると、入力されたデータを出力先ポートに出力する。このとき、出力先がMAC130である場合には、Bridge120は、入力されたデータを汎用メモリ110に格納する。汎用メモリ110中のデータ保存部分は固定長のセル(図示せず)に区切られており、このセル単位でデータは管理されている。Bridge120は、セル管理情報メモリ121を有しており、セル管理情報メモリ121は、「汎用メモリ110上のどのセルにデータが保存されているか」の情報を、セル管理情報として記憶している。Bridge120は、データの入出力時に、セル管理情報メモリ121内に格納されている、「どのセルにデータが保存されているか」のセル管理情報を更新する。
【0027】
次に、CPU100は、後述するマスタ制御プログラムの実働による同プログラムの制御の下で、連結情報を作成するためにセル管理情報メモリ121に直接にアクセスして、「どのセルにデータが保存されているか」のセル管理情報を確認した上で、連結情報を作成する。ここで連結情報とは、MAC130がデータ送信のために使用する情報であり、どのデータを一まとめにして送信するかを表現している情報である。CPU100が作成した連結情報は、マスタ制御プログラムの実行としてのCPU100のアクセスにより、MAC130に接続された連結情報メモリ131に格納される。このとき、連結情報作成のために使用されるデータはBridge120に入力されたデータだけでなく、後述する制御メッセージも含まれる。
【0028】
MAC130は、汎用メモリ110上のセル中のデータおよびCPU100が作成した制御メッセージを、CPU100が作成した連結情報に従って読み取る。又、MAC130及びPHY140は、どの時間帯にデータの送受信動作を行うかを規定したスケジュールメモリ132内のスケジュール情報(スケジュールとも言う)に従って動作する。
【0029】
このためのスケジュール作成処理であるスケジューリングを、CPU100が、マスタ制御プログラムによる制御の下で実行する。即ち、CPU100は、マスタ制御プログラムの指令に基づいて、要求された各データ送信時間の割り当て帯域(以下、単に「帯域」と言う)を、周期が固定(本例では9msec)の1フレーム内の所定時間帯(1フレームの周期から後述するBCH200,FCH201,ACH202及びRCH203の各制御チャネルに割り当てられた期間を除いた残りの期間:前述した図1に於けるACH202とRCH203との間の時間帯)内に割り当てる処理を、スケジュール作成処理(スケジューリング)として、実行する。
【0030】
MAC130は、連結情報メモリ131及びスケジュールメモリ132内にそれぞれ格納されている連結情報及びスケジュール情報に基づいて、各制御チャネル内の制御データ及びデータチャネル内の各データの送信処理を行い、PHY140にデータを転送する。
【0031】
PHY140は、PHY140にも接続されたスケジュールメモリ132内のスケジュール情報に従い、MAC130より転送されて来たデータを、物理層を介して各スレーブ装置に送信する。
【0032】
CPU100は、マスタ制御プログラムの実行により、MAC130及びPHY140の動作を規定する「連結情報」及び「スケジュール情報」を、周期動作として、実動作の前フレームの期間中に作成・格納する。
【0033】
一方、スケジュール情報に従って、PHY140が各スレーブ装置からのデータ及び帯域割り当て要求を含む制御メッセージを受信した場合には、PHY140は、受信したデータ等を、MAC130に転送する。MAC130は、PHY140より転送されて来た、連結されたデータを、単独のEthernet(登録商標)Frameデータに分解し、分解された各データをBridge120に入力する。
【0034】
又、MAC130は、各スレーブ装置からの帯域割り当て要求を含む制御メッセージが含まれている場合には、制御メッセージをCPU100に送信する。Bridge120は、入力された各データの出力先ポートに応じて、当該データを出力する。即ち、Bridge120は、出力先が本通信装置に接続されたEthernet(登録商標)機器であれば、当該機器に当該データを出力し、出力先が再度MAC130であれば、出力先ポートに従った汎用メモリ110に当該データを出力する。
【0035】
また、CPU100は、受信時のCRCエラー発生状況や受信信号のS/N比をMAC130及びPHY140から受信し、伝送路の変化に追従して通信品質を一定に保つような通信設定を求め、設定変更内容に応じて制御メッセージを作成する。制御メッセージには、帯域割り当て要求や通信設定変更だけでなく、装置起動時のマスタ−スレーブのリンク確立や装置情報取得などのメッセージが含まれる。
【0036】
<A−2−1.マスタ制御プログラムの構成>
図3は、本実施の形態に係るマスタ制御プログラムの構成を模式的に示すブロック図である。ここでマスタ制御プログラムとは、図2に示すマスタ装置のCPU100上で機能する制御プログラムである。従って図3は、当該プログラムにより機能化されたCPU100の機能ブロック図でもある。尚、図3は、後述する実施の形態2及び3に於いても援用される。
【0037】
マスタ制御プログラムは、制御メッセージを作成する制御メッセージ作成部340と、制御メッセージ等を考慮してデータ送信要求を作成するデータ送信要求作成部300と、データ送信要求を受け付けるデータ送信要求受付部310と、データ送信要求をスケジューリングするスケジューラ部320と、定刻(スケジューリング開始時間)に割り込みを発生させる等により上記のプログラムの時間管理を実施する時間管理部330より構成されている。なお時間管理部330は、上記定刻を予め定める処理開始時刻設定部331を備えている。
【0038】
また、スケジューラ部320は、連続したフレームに帯域を割り当てたスケジュールを保持するためのスケジュール保存領域(図示せず)を管理している。スケジュール保存領域は図2の汎用メモリ110中に配置されており、詳細については図7及び図12を用いて後述する。
【0039】
<A−2−2.マスタ制御プログラムの動作>
図4は、本実施の形態に係る上記マスタ制御プログラムのスケジューリング処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3に示した構成要素を用いて説明する。
【0040】
図3に示したCPU100が汎用メモリ110に格納されているマスタ制御プログラムを実働させることにより機能する処理開始時刻設定部331には、予め、フレーム周期中の任意の時間に、マスタ制御プログラムに於けるスケジューリングの実行を開始する時間である処理開始時刻を、設定しておく。そして、処理開始時刻である定刻に於いて時間管理部330より割り込みが発生すると、CPU100はマスタ制御プログラムのスケジューリング処理を実行する。
【0041】
CPU100内の同プログラムの下で機能するデータ送信要求作成部300は、Bridge120内のセル管理情報メモリ121に直接にアクセスして、セル管理情報メモリ121内に格納されているセル管理情報と、制御メッセージ作成部340が作成した制御メッセージとを確認した上で、連結情報と帯域要求とを作成する(ステップS−401)。
【0042】
そして、作成された帯域要求を、CPU100内の同プログラムの下で実現されるデータ送信要求受付部310が受け付けると、引き続いて、CPU100内の同プログラムの下で機能し得るスケジューラ部320がスケジュールを作成する(ステップS−402)。ここで受け付けられる帯域要求は、RCH203及びデータチャネルを使用してスレーブ装置から受信するものも含む。
【0043】
その後、スケジューリングが完了すると、CPU100内のスケジューラ部320はスケジュールメモリ132に直接にアクセスして、作成されたスケジュールを、スケジュール情報としてスケジュールメモリ132内に書き込み、CPU100内のデータ送信要求作成部300は、連結情報メモリ131に直接にアクセスして、割り当てられた帯域に関する連結情報を、連結情報メモリ131内に書き込む(ステップS−403)。しかも、作成されたスケジュールは図1に示すFCH201として全スレーブ装置に送信されるため、CPU100によって、汎用メモリ110上に配置されたFCH送信用のメモリ領域内にも書き込まれる。なお、スケジューラ部320が実施するスケジュール作成(ステップS−402)の詳細については、全体的な周期動作の概要を説明した後に述べる。
【0044】
<A−3−1.マスタ装置の周期動作>
以下、図2に例示された通信装置の、図4に示した制御プログラムの動作等の全体的な周期動作の概要を、図5を使用して記載する。尚、図5は、後述する実施の形態2及び3に於いても援用される。
【0045】
図5は、通信装置の動作を時系列に表した概念図であり、図4に示した動作等を周期的に行なうCPU100の処理と、CPU100が作成したスケジュールに従ったMAC130及びPHY140の動作とを、複数のフレームにわたって記載する図である。尚、Bridge120は周期的には動作せず、データの入力があったときに処理を実施するため、その動作の記載を割愛する。
【0046】
CPU100は図4のフローチャートで説明した一連のスケジューリング処理以外の時間帯に制御メッセージを作成する(ステップS−500)。制御メッセージ作成処理の開始時刻についても、スケジューリング処理と同様に、あらかじめ処理開始時刻設定部331に制御メッセージ作成処理の開始時刻を設定しておき、定刻になり時間管理部330から発生する割り込みをトリガにして制御メッセージ作成処理(ステップS−500)を実行する。
【0047】
その後、前述の様に、あらかじめ設定されたスケジューリング処理開始時刻に割り込みが発生し、図4に示したスケジューリング処理が実施される。すなわち、CPU100が帯域要求及び連結情報を作成し(ステップS−501)、更にこれらの要求に基づきCPU100が当該n番目のフレームの期間内で次フレーム((n+1)番目のフレーム)のスケジュールを作成し(ステップS−502)、更に、CPU100は、当該n番目のフレームの期間内で、連結情報メモリ及びスケジュールメモリ500の一方の面0に結果(連結情報及びスケジュール情報)を書き込む(ステップS−503)。
【0048】
次の(n+1)番目のフレームで、MAC130及びPHY140は、これらの情報に基づき、データの送受信処理を実施する(ステップS−514)。他方、CPU100は制御メッセージを作成した後(ステップS−510)、定刻になると帯域要求及び連結情報を作成し(ステップS−511)、これらの要求に基づき次フレーム((n+2)番目のフレーム)のスケジュールを作成し(ステップS−512)、引き続いて連結情報メモリ及びスケジュールメモリ510に結果(連結情報及びスケジュール情報)を書き込む(ステップS−513)。
【0049】
MAC130及びPHY140が結果の読み出し及び送受信の処理を実施している間に、CPU100が次フレーム((n+2)番目のフレーム)のスケジュール情報及び連結情報で上書きしない様にするために、連結情報メモリ131及びスケジュールメモリ132は2面構成と成っており(図2参照)、MAC130及びPHY140が連結情報メモリ及びスケジュールメモリ500の片方の面0を読み出している間に、CPU100はもう片方の面1に結果を書き込む制御を実施している。その次のフレーム((n+2)番目のフレーム)の期間内で、MAC130及びPHY140が、連結情報メモリ及びスケジュールメモリ510から結果を読み出して送受信の動作を行っている間(ステップS−524)に、CPU100は、次フレーム((n+3)番目のフレーム)のスケジュール情報及び連結情報を作成し、連結情報メモリ及びスケジュールメモリ520に、即ち、MAC130及びPHY140の読み出し面1とは反対の面0に結果を書き込む。
【0050】
<A−3−2.スケジュール作成処理1>
次に図4のフローチャートを用いて説明した、スケジューリング処理中のスケジュール作成処理(ステップS−402)の詳細な処理内容を、図6を用いて説明する。図6は本実施の形態に係るマスタ制御プログラムのスケジューリング処理中のスケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
スケジュール作成処理が開始されると、帯域割り当ての要求があるか確認する(ステップS−600)。要求がある場合は要求キューから要求を取り出し(ステップS−601)、データの割り当て要求か制御メッセージの割り当て要求かの確認を行う(ステップS−602)。
【0052】
データの割り当て要求の場合、次のフレームでの割り当てが可能かどうかの確認を行い(ステップS−603)、可能であれば次フレームでの帯域割り当てを実施し(ステップS−604)、次の要求の確認を行う(ステップS−600)。
【0053】
ステップS−602において、割り当て要求が制御メッセージであった場合、次フレームに要求メッセージを割り当てることが可能か確認し(ステップS−605)、要求メッセージの割り当てが可能であれば、応答メッセージを次々フレームに割り当てることが可能かを確認し(ステップS−606)、応答メッセージの割り当ても可能であれば、要求メッセージの割り当て要求の帯域を次フレームへ割り当て(ステップS−607)、応答メッセージの割り当て要求の帯域を次々フレームへ割り当てる(ステップS−608)。
【0054】
ステップS−600で要求がなかった場合、データ割り当て要求が次フレームに割り当て不可の場合、要求メッセージの割り当て要求が次フレームに割り当て不可の場合、あるいは応答メッセージの割り当て要求が次々フレームに割り当てが不可能な場合は、スケジュール作成処理を終了する。
【0055】
<A−3−3.スケジュール作成処理2>
以下、本実施の形態に係るマスタ制御プログラムのスケジューリング処理中のスケジュール作成処理の流れの概要を、図7を用いて記載する。これは、図5に示すステップS−502において作成したスケジュールを、ステップS−503において当該n番目のフレームの期間内で、連結情報メモリ及びスケジュールメモリ500の一方の面0に結果(連結情報及びスケジュール情報)を書き込むまでの動作に対応するものである。
【0056】
図7はスケジュール作成処理を時系列に表した概念図であり、スケジューラ部320が作成しスケジュール保存領域0およびスケジュール保存領域1に保存したスケジュールを、MAC130、PHY140とのインタフェースとなるスケジュールメモリ132に書き込む動作を複数のフレームにわたって記載する図である。
【0057】
nフレームにおいて発生した帯域割り当て要求は、データ帯域要求03(703)、データ帯域要求04(704)、制御メッセージ帯域要求6(706)、データ帯域要求05(705)であり、この順で要求キューに保存されている。スケジュール作成処理ではキューの先頭にあるデータ帯域要求03(703)を取り出し、次フレームへの帯域割り当てが可能か確認する。図7の例では、スケジューラ部320は作成したスケジュールを保存する領域としてスケジュール保存領域0(700)とスケジュール保存領域1(701)の2面を持ち、これを切り替えて使用している。
【0058】
次フレーム(n+1フレーム)のスケジュールを保存するのはスケジュール保存領域0(700)であるため、ここに割り当て可能か確認し、割り当て可能であるため、スケジュール保存領域0(700)に割り当てた帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求04(704)を要求キューから取り出し、同様にスケジュール保存領域0(700)に割り当て可能であるため、割り当てた帯域を保存する。次の要求は制御メッセージ帯域要求6(706)であり、この割り当て要求中には、制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域と、受信側が要求を受領したことを通知する応答メッセージ用の帯域が保存されている。まず、n+1フレームに要求メッセージの帯域が割り当て可能か、スケジュール保存領域0(700)を確認し、割り当て可能であったので、n+2フレームに応答メッセージの帯域割り当てが可能か、n+2フレーム用のスケジュールを保存するスケジュール保存領域1(701)を確認する。ここでは、割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域0(700)に要求メッセージ用の帯域を、スケジュール保存領域1(701)に応答メッセージ用の帯域をそれぞれ保存する。次の要求であるデータ帯域要求05(705)がn+1フレームへ割り当て可能か確認し、割り当てが不可であったため、スケジュール作成処理を終了している。
【0059】
スケジューリング処理完了後、nフレームで作成されたn+1フレームのスケジュールは、MAC130、PHY140の動作を規定するスケジュールメモリ712の0面に書き込まれ、n+1フレームではMAC130、PHY140はそのスケジュールに従い動作する。なお、図7に示したスケジュールメモリ712の0面とは、図5に示すスケジュールメモリ0(500)に対応するものである。
【0060】
続いてn+1フレームでのスケジュール作成処理を説明する。本フレームで発生した新たな帯域割り当て要求は、データ帯域要求06(716)と制御メッセージ帯域要求7(717)であり、nフレームで割り当て不可であったデータ帯域要求05(715)に続いてこの順で要求キューに入力されている。n+1フレームのスケジュール作成処理では、キューの先頭にあるデータ帯域要求05(715)を取り出し割り当ての可否を確認する。
【0061】
n+2フレームのスケジュールの保存場所はスケジュール保存領域1(711)であるため、これに対して割り当ての可否を確認する。このときスケジュール保存領域1には、nフレームでのスケジュール作成処理で割り当てられた制御メッセージ帯域要求6(706)の応答メッセージ用の帯域が保存されている。データ帯域要求05(715)の割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域1(711)にこの割り当てた帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求06(716)を要求キューから取り出し、同様に割り当て可否の確認を行い、割り当て可能であったため割り当てた帯域を保存する。次の要求は制御メッセージ帯域要求7(717)で、制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域の割り当ての可否を確認したところ、割り当て不可であったため、ここでスケジュール作成処理を終了している。
【0062】
作成されたスケジュールは、スケジュールメモリ722の1面に書き込まれ、n+2フレームのMAC130、PHY140の動作を規定する。なお、図7に示したスケジュールメモリ722の1面とは、図5に示すスケジュールメモリ1(510)に対応するものである。
【0063】
次にn+2フレームでのスケジュール作成処理を説明する。本フレームで発生した新たな帯域割り当て要求は、データ帯域要求07(728)とデータ帯域要求08(729)であり、n+1フレームで割り当て不可であった制御メッセージ帯域要求7(727)に続いてこの順で要求キューに入力されている。n+2フレームのスケジュール作成処理では、キューの先頭にある制御メッセージ帯域要求7(727)を取り出し、まず制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域の割り当ての可否を確認する。
【0064】
n+3フレームのスケジュールの保存場所はスケジュール保存領域0(720)であるため、これに対しての割り当て可否を確認する。この例では割り当てが可能であったため、n+4フレームに応答メッセージの帯域割り当てが可能か、n+4フレーム用のスケジュールを保存するスケジュール保存領域1(721)を確認する。ここも、割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域0(720)に要求メッセージ用の帯域を、スケジュール保存領域1(721)に応答メッセージ用の帯域をそれぞれ保存する。次の要求であるデータ帯域要求07(728)がn+3フレームへ割り当て可能か確認し、割り当てが可能であったため、割り当てた帯域をスケジュール保存領域0(720)に保存し、次の要求のデータ帯域要求08(729)も割り当て可能であったため、割り当てた帯域をスケジュール保存領域0(720)に保存し、要求キューに割り当て要求がなくなったので、スケジュール作成処理を終了している。
【0065】
スケジューリング処理完了後、n+2フレームで作成されたn+3フレームのスケジュールは、スケジュールメモリ732の0面に書き込まれ、n+3フレームではMAC130、PHY140はそのスケジュールに従い動作する。なお、図7に示したスケジュールメモリ732の0面とは、図5に示すスケジュールメモリ0(520)に対応するものである。
【0066】
<A−4.制御メッセージの通信>
図8はマスタ、スレーブ装置間の制御メッセージの通信をフレーム単位で表したシーケンス図である。
【0067】
マスタ装置において前述したような周期動作の中のnフレームで実施された前述のスケジュール作成処理(ステップS−800)により、図1に示すようなフレームのn+1フレームで制御メッセージの要求メッセージの帯域が割り当てられ、n+2フレームで制御メッセージの応答メッセージの帯域が割り当てられる。
【0068】
n+1フレームで要求メッセージを受信したスレーブ装置では、n+2フレームで割り当てられる応答メッセージの帯域で応答メッセージを送信するために応答メッセージのデータの作成を行う(ステップS−801)。スレーブ装置はn+2フレームで割り当てられた応答メッセージ用の帯域で、応答メッセージを送信し、データを廃棄することができる(ステップS−802)。
【0069】
必ず要求メッセージを受信した次のフレームで応答メッセージの帯域が割り当てられるため、応答メッセージ用の帯域の割り当て待ちのタイムアウトを設定する必要がなく、例えばn+2フレームのFCHが通信エラーにより受信できず、フレームそのものが無効になった場合なども、n+3フレーム以降に応答メッセージ用の帯域が単独で割り当てられることはなく、要求メッセージを受信した次のフレームでの割り当てとなるため、n+2フレームの終了時点で応答メッセージのデータを廃棄しても問題ない。つまり、応答メッセージ用の帯域再割り当てのタイムアウトを設定する必要がない。
【0070】
またマスタ装置においては、要求メッセージ用の帯域が割り当てられたスケジュール作成処理(ステップS−800)から2フレーム後に応答メッセージが返ることが確定するため、n+2フレームの応答メッセージ受信処理(ステップS−803)では、応答メッセージが受信できなかったときは、エラーによるデータ不達であると判断できるため、要求メッセージの再送を実施することができる。
【0071】
<A−5.効果>
この発明にかかる実施の形態1によれば、通信装置であるマスタ装置において、制御要求メッセージとしての要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、データチャネル内において、前記要求メッセージと前記要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記要求メッセージを第1フレームとしてのフレーム内に割り当て、前記応答メッセージを第2フレームとしての前記フレームの次フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部とを備えることにより、応答メッセージが割り当てられるフレームが確定しているため、応答メッセージ用の帯域再割り当てのタイムアウトを設定する必要がない。また、応答メッセージが受信できなかったときは、応答メッセージ用の帯域未割当である可能性はなく、エラーによるデータ不達であると判断できるため、要求メッセージの再送を実施することができる。
【0072】
よって本実施の形態1を用いれば、通信エラーの発生による再送処理をタイムアウトを用いずに実施できるため、エラー処理の複雑さが軽減される。これによりプログラムのステップ数が削減され高速動作が可能となり、データ通信のスループット向上に寄与できる。
【0073】
また、この発明にかかる実施の形態1によれば、前述のマスタ装置およびスレーブ装置を備える通信システムにおいて、第1の通信装置としての前述のマスタ装置と、第2の通信装置としてのスレーブ装置を備え、スレーブ装置がマスタ装置から送信されたスケジュールを受信し、前記スケジュールに応じて応答メッセージを送信することで、スレーブ装置は、応答メッセージ用の帯域再割り当てのタイムアウトを設定する必要がなく、またマスタ装置は、スケジュールに従った時間帯域において応答メッセージが受信できなかったときは、エラーによるデータ不達であると判断できるため、タイムアウトを待たずに要求メッセージの再送を実施することができる。
【0074】
<B.実施の形態2>
本実施の形態が実施の形態1と相違する点は、図4のフローチャートを用いて説明した、スケジューリング処理中のスケジュール作成処理(ステップS−402)にある。従って以下では、この差異についてのみ図9のフローチャートおよび図10のスケジュール作成処理を時系列に表した概念図を用いて記載する。
【0075】
<B−1.構成>
本実施の形態2における通信装置、および通信システムの構成に関しては、実施の形態1に示すものと同様であるので、説明は省略する。
【0076】
<B−2−1.スケジュール作成処理1>
図9は本実施の形態に係るマスタ制御プログラムのスケジューリング処理中のスケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。実施の形態1における図6に対応するものである。
【0077】
スケジュール作成処理が開始されると、帯域割り当ての要求があるか確認する(ステップS−900)。要求がある場合は要求キューから要求を取り出し(ステップS−901)、データの割り当て要求か制御メッセージの割り当て要求かの確認を行う(ステップS−902)。
【0078】
データの割り当て要求の場合、次のフレームでの割り当てが可能かどうかの確認を行い(ステップS−903)、可能であれば次フレームでの帯域割り当てを実施し(ステップS−904)、次の要求の確認を行う(ステップS−900)。
【0079】
ステップS−902において、割り当て要求が制御メッセージであった場合、次フレームに要求メッセージを割り当てることが可能か確認し(ステップS−905)、要求メッセージの割り当てが可能であれば、応答メッセージを次フレームに割り当てることが可能か確認し(ステップS−906)、応答メッセージの割り当てが可能であれば、要求メッセージの割り当て要求の帯域を次フレームへ割り当て(ステップS−907)、応答メッセージの割り当て要求の帯域も次フレームへ割り当てる(ステップS−908)。
【0080】
ステップS−900で要求がなかった場合およびすべての要求において、次フレームでの割り当てが不可能な場合は、次フレームに要求メッセージ及び応答メッセージを割り当てたかどうか確認し(ステップS−909)、割り当てていれば、スケジューリングを行うデータチャネル中で、要求メッセージを割り当てる時間帯と応答メッセージを割り当てる時間帯の間隔が大きくなるようにスケジューリングを実施して、スケジュール作成処理を終了する。要求メッセージ及び応答メッセージを割り当てていなければ、そのままスケジュール作成処理を終了する。
【0081】
<B−2−2.スケジュール作成処理2>
以下、本実施の形態に係るマスタ制御プログラムのスケジューリング処理中のスケジュール作成処理の流れの概要を、図10を用いて記載する。
【0082】
図10はスケジュール作成処理を時系列に表した概念図であり、スケジューラ部320が作成しスケジュール保存領域に保存したスケジュールを、MAC130、PHY140とのインタフェースとなるスケジュールメモリ132に書き込む動作を複数のフレームにわたって記載する図である。本実施の形態では、スケジュール保存領域は1面のみを使用するため、本図中には1面のみを記載している。図10は、実施の形態1における図7に対応するものである。
【0083】
nフレームにおいて発生した帯域割り当て要求は、データ帯域要求03(1003)、データ帯域要求04(1004)、制御メッセージ帯域要求6(1006)、データ帯域要求05(1005)であり、この順で要求キューに保存されている。スケジュール作成処理ではキューの先頭にあるデータ帯域要求03(1003)を取り出し、次フレームへの帯域割り当てが可能か確認する。
【0084】
本実施の形態では、スケジューラ部320は作成したスケジュールを保存する領域として、スケジュール保存領域1000を使用する。ここに割り当て可能か確認し、割り当て可能であるため、ここに割り当てた帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求04(1004)を要求キューから取り出し、同様にスケジュール保存領域1000に割り当て可能であるため、割り当てた帯域を保存する。次の要求は制御メッセージ帯域要求6(1006)であり、この割り当て要求中には、制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域と、受信側が要求を受領したことを通知する応答メッセージ用の帯域が保存されている。まず、要求メッセージの帯域が割り当て可能か、スケジュール保存領域1000を確認し、割り当て可能であったので、次フレームに応答メッセージの帯域割り当てが可能か、同様に確認する。ここでは、割り当てが可能であったため、要求メッセージ用の帯域と応答メッセージ用の帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求05(1005)が割り当て可能か確認し、割り当てが不可であったため、スケジュール保存領域1000に保存された制御メッセージ帯域要求6(1006)の要求メッセージをデータチャネルの先頭に配置し、応答メッセージをRCH(203)の直前に配置してスケジュール作成処理を終了する。
【0085】
スケジューリング処理完了後、nフレームで作成されたn+1フレームのスケジュールは、スケジュールメモリ1012の0面に書き込まれ、n+1フレームではMAC130、PHY140はそのスケジュールに従い動作する。
【0086】
続いてn+1フレームでのスケジュール作成処理を説明する。本フレームで発生した新たな帯域割り当て要求は、データ帯域要求06(1016)と制御メッセージ帯域要求7(1017)であり、nフレームで割り当て不可であったデータ帯域要求05(1015)に続いてこの順で要求キューに入力されている。n+1フレームのスケジュール作成処理では、キューの先頭にあるデータ帯域要求05(1015)を取り出し、割り当ての可否をスケジュール保存領域1010で確認し、割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域1010にこの割り当てた帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求06(1016)を要求キューから取り出し、同様に割り当て可否の確認を行い、割り当て可能であったため割り当てた帯域を保存する。次の要求は制御メッセージ帯域要求7(1017)で、制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域の割り当ての可否を確認し、これの割り当ては可能であったが、応答メッセージ用の帯域の割り当てが不可であったため、ここでスケジュール作成処理を終了している。
【0087】
作成されたスケジュールは、スケジュールメモリ1022の1面に書き込まれ、n+2フレームのMAC130、PHY140の動作を規定する。
【0088】
次にn+2フレームでのスケジュール作成処理を説明する。本フレームで発生した新たな帯域割り当て要求は、データ帯域要求07(1028)とデータ帯域要求08(1029)であり、n+1フレームで割り当て不可であった制御メッセージ帯域要求7(1027)に続いてこの順で要求キューに入力されている。n+2フレームのスケジュール作成処理では、キューの先頭にある制御メッセージ帯域要求7(1027)を取り出し、まず制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域の割り当ての可否をスケジュール保存領域1020で確認する。割り当てが可能であったため、さらに応答メッセージ用の帯域の割り当ての可否を確認する。割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域1020に要求メッセージ用の帯域と応答メッセージ用の帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求07(1028)がn+3フレームへ割り当て可能か確認し、割り当てが可能であったため、割り当てた帯域をスケジュール保存領域1020に保存し、次の要求のデータ帯域要求08(1029)も割り当て可能であったため、割り当てた帯域をスケジュール保存領域1020に保存し、要求キューに割り当て要求がなくなったので、スケジュール保存領域1020に保存された制御メッセージ帯域要求7(1027)の要求メッセージをデータチャネルの先頭に配置し、応答メッセージをRCH(203)の直前に配置してスケジュール作成処理を終了する。
【0089】
スケジューリング処理完了後、n+2フレームで作成されたn+3フレームのスケジュールは、スケジュールメモリ1032の0面に書き込まれ、n+3フレームではMAC130、PHY140はそのスケジュールに従い動作する。
【0090】
<B−3.効果>
本実施の形態2によれば、通信装置であるマスタ装置において、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージとしての要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記要求メッセージと前記要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記要求メッセージをフレーム内に割り当て、前記応答メッセージも前記フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部とを備えることで、応答メッセージは要求メッセージと同一フレームに割り当てられ、また実施の形態1と同様に、応答メッセージの帯域割り当てフレームを特定できるので、通信エラーの発生による再送処理を、タイムアウトを用いずに実施でき、エラー処理の複雑さが軽減される。これによりプログラムのステップ数が削減され高速動作が可能となり、データ通信のスループット向上に寄与できる。
【0091】
また、この発明にかかる実施の形態2によれば、前述のマスタ装置およびスレーブ装置を備える通信システムにおいて、第1の通信装置としての前述のマスタ装置と、第2の通信装置としてのスレーブ装置を備え、スレーブ装置がマスタ装置から送信されたスケジュールを受信し、前記スケジュールに応じて応答メッセージを送信することで、スレーブ装置は、応答メッセージ用の帯域再割り当てのタイムアウトを設定する必要がなく、またマスタ装置は、スケジュールに従った時間帯域において応答メッセージが受信できなかったときは、エラーによるデータ不達であると判断できるため、タイムアウトを待たずに要求メッセージの再送を実施することができる。
【0092】
<C.実施の形態3>
<C−1.構成>
本実施の形態2において、実施の形態1および実施の形態2と構成上相違する点は、作成したスケジュールを保存するスケジュール保存領域の数である。実施の形態1および実施の形態2における場合よりも、多くのスケジュール保存領域を有している。他の構成要素に関しては同様であるので、説明は省略する。
【0093】
以下では、この差異についてのみ、図11のフローチャート及び図12のスケジュール作成処理を時系列に表した概念図を用いて記載する。
【0094】
<C−2−1.スケジュール作成処理1>
図11は本実施の形態に係るマスタ制御プログラムのスケジューリング処理中のスケジュール作成処理の流れを示すフローチャートである。実施の形態1における図6に対応するものである。
【0095】
スケジュール作成処理が開始されると、帯域割り当ての要求があるか確認する(ステップS−1100)。要求がある場合は要求キューから要求を取り出し(ステップS−1101)、データの割り当て要求か制御メッセージの割り当て要求かの確認を行う(ステップS−1102)。
【0096】
データの割り当て要求の場合、次のフレームでの割り当てが可能かどうかの確認を行い(ステップS−1103)、可能であれば次フレームでの帯域割り当てを実施し(ステップS−1104)、次の要求の確認を行う(ステップS−1100)。ステップS−1102において、割り当て要求が制御メッセージであった場合、次フレームに要求メッセージの帯域を割り当てることが可能か確認し(ステップS−1105)、要求メッセージの割り当てが可能であれば、スケジュール保存領域カウンタに1を設定する(ステップS−1106)。スケジュール保存領域カウンタとは複数保持しているスケジュール保存領域を特定するための情報で、「次+(カウンタが示す数値)先のフレーム」への応答メッセージの割り当て可否を確認するために使用する。カウンタが1の場合「次+(カウンタが示す数値)先のフレーム」は次々フレームとなり、次々フレームへの応答メッセージの帯域割り当て可否を確認する(ステップS−1107)。応答メッセージの割り当てが可能であれば、要求メッセージの割り当て要求の帯域を次フレームへ割り当て(ステップS−1110)、応答メッセージの割り当て要求の帯域を次々フレームへ割り当てる(ステップS−1111)。次に要求メッセージ中に応答メッセージを割り当てたフレーム番号を、要求メッセージからのオフセット値で入力する(ステップS−1112)。つまりカウンタ値を設定することになる。
【0097】
ステップS−1107において、応答メッセージの割り当てが次々フレームでできない場合、スケジュール保存領域カウンタをインクリメントして(ステップS−1108)、「次+(カウンタが示す数値)先のフレーム」のスケジュール情報が保存可能か確認し(ステップS−1109)、保存可能であれば、「次+(カウンタが示す数値)先のフレーム」で割り当てが可能か確認する(ステップS−1107)。ステップS−1109において「次+(カウンタが示す数値)先のフレーム」のスケジュール情報が保存不可の場合、スケジュール処理を終了する。これはカウンタの値が保持しているスケジュール保存領域の数に一致したときである。
【0098】
ステップS−1100で要求がなかった場合、データ割り当て要求が次フレームに割り当て不可の場合、あるいは要求メッセージの割り当て要求が次フレームに割り当て不可の場合も同様にスケジュール作成処理を終了する。
【0099】
<C−2−2.スケジュール作成処理2>
以下、本実施の形態に係るマスタ制御プログラムのスケジューリング処理中のスケジュール作成処理の流れの概要を、図12を用いて記載する。
【0100】
図12はスケジュール作成処理を時系列に表した概念図であり、スケジューラ部320が作成しスケジュール保存領域に保存したスケジュールを、MAC130、PHY140とのインタフェースとなるスケジュールメモリ132に書き込む動作を複数のフレームにわたって記載する図である。本実施の形態では汎用メモリ110中に4つのスケジュール保存領域が配置され、スケジューラ部320が管理をしている。図12は、実施の形態1における図7に対応するものである。
【0101】
nフレームにおいて発生した帯域割り当て要求は、データ帯域要求05(1205)、データ帯域要求06(1206)、制御メッセージ帯域要求8(1208)、データ帯域要求07(1207)であり、この順で要求キューに保存されている。スケジュール作成処理ではキューの先頭にあるデータ帯域要求05(1205)を取り出し、次フレームへの帯域割り当てが可能か確認する。本実施の形態では、スケジューラ部320は作成したスケジュールを保存する領域としてスケジュール保存領域0(1200)、スケジュール保存領域1(1201)、スケジュール保存領域2(1202)及びスケジュール保存領域3(1203)の4面を持ち、これらを順に切り替えて使用している。
【0102】
次フレーム(n+1フレーム)のスケジュールを保存するのはスケジュール保存領域0(1200)であるため、ここに割り当て可能か確認し、割り当て可能であるため、スケジュール保存領域0(1200)に割り当てた帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求06(1206)を要求キューから取り出し、同様にスケジュール保存領域0(1200)に割り当て可能であるため、割り当てた帯域を保存する。次の要求は制御メッセージ帯域要求8(1208)であり、この割り当て要求中には、制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域と、受信側が要求を受領したことを通知する応答メッセージ用の帯域が保存されている。まず、n+1フレームに要求メッセージの帯域が割り当て可能か、スケジュール保存領域0(1200)を確認し、割り当て可能であったので、n+2フレームに応答メッセージの帯域割り当てが可能か、n+2フレーム用のスケジュールを保存するスケジュール保存領域1(1201)を確認する。ここで、n+2フレームでは、特殊な制御メッセージをブロードキャストするためにデータチャネルのすべての領域がリザーブされており、すべての帯域割り当てが不可であった。そこでn+3フレームでの帯域割り当て可否をスケジュール保存領域2(1202)で確認し、ここでは、割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域0(1200)に要求メッセージ用の帯域を、スケジュール保存領域2(1202)に応答メッセージ用の帯域をそれぞれ保存し、要求メッセージ本体に、応答メッセージの割り当てフレームを示すオフセット値「2」を入力する。次の要求であるデータ帯域要求07(1207)がn+1フレームへ割り当て可能か確認し、割り当てが不可であったため、スケジュール作成処理を終了する。
【0103】
スケジューリング処理完了後、nフレームで作成されたn+1フレームのスケジュールは、MAC130、PHY140の動作を規定するスケジュールメモリ1214の0面に書き込まれ、n+1フレームではMAC130、PHY140はそのスケジュールに従い動作する。
【0104】
続いてn+1フレームでのスケジュール作成処理を説明する。本フレームで発生した新たな帯域割り当て要求は、データ帯域要求08(1218)と制御メッセージ帯域要求9(1219)であり、nフレームで割り当て不可であったデータ帯域要求07(1217)に続いてこの順で要求キューに入力されている。n+1フレームのスケジュール作成処理では、キューの先頭にあるデータ帯域要求07(1217)を取り出し割り当ての可否を確認する。n+2フレームのスケジュールの保存場所はスケジュール保存領域1(1211)であるため、これに対して割り当ての可否を確認する。前述のとおり、n+2フレームは特殊な制御メッセージをブロードキャストするためにデータチャネルのすべての領域がリザーブされており、すべての帯域割り当てが不可である。スケジュール作成処理は終了し、特殊な制御メッセージをブロードキャストすると設定されたスケジュールが、スケジュールメモリ1224の1面に書き込まれ、n+2フレームのMAC130、PHY140の動作を規定する。
【0105】
次にn+2フレームでのスケジュール作成処理を説明する。本フレームでは新たな帯域割り当て要求が発生してない。n+2フレームのスケジュール作成処理では、キューの先頭にあるデータ帯域要求07(1227)を取り出し、n+3フレームのスケジュールの保存場所はスケジュール保存領域2(1222)であるため、これに対しての割り当て可否を確認する。割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域2(1222)にこの割り当てた帯域を保存する。次の要求であるデータ帯域要求08(1228)を要求キューから取り出し、同様に割り当て可否の確認を行い、割り当て可能であったため割り当てた帯域を保存する。
【0106】
次に制御メッセージ帯域要求9(1229)を取り出し、まず制御の要求を通知する要求メッセージ用の帯域の割り当ての可否を確認する。ここでは割り当てが可能であったため、n+4フレームに応答メッセージの帯域割り当てが可能か、n+4フレーム用のスケジュールを保存するスケジュール保存領域3(1223)を確認する。ここも、割り当てが可能であったため、スケジュール保存領域2(1222)に要求メッセージ用の帯域を、スケジュール保存領域3(1223)に応答メッセージ用の帯域をそれぞれ保存し、要求メッセージ本体に、応答メッセージの割り当てフレームを示すオフセット値「1」を入力する。ここで、要求キューに割り当て要求がなくなったので、スケジュール作成処理を終了している。スケジューリング処理完了後、n+2フレームで作成されたn+3フレームのスケジュールは、スケジュールメモリ732の0面に書き込まれ、n+3フレームではMAC130、PHY140はそのスケジュールに従い動作する。
【0107】
<C−3.効果>
本実施の形態3によれば、通信装置であるマスタ装置において、通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージとしての要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、前記データチャネル内において、前記要求メッセージと前記要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記要求メッセージを第1フレーム内に割り当て、前記応答メッセージを第2フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部と、前記スケジューラ部において割り当てた前記第1、第2フレームにおける前記スケジュールの結果を保存する保存部とを備える。ここで前記第2フレームは、前記保存部が保存可能なフレーム数の範囲内で前記第1フレームの後であるフレームとすることにより、実施の形態1,2の次フレーム、同一フレームの場合に限らず、応答メッセージを割り当てるフレームを特定できるようになる。また、要求メッセージ中に入力されたフレームのオフセット値から、その応答メッセージの帯域割り当てフレームを特定できるので、通信エラーの発生による再送処理を、タイムアウトを用いずに実施でき、エラー処理の複雑さが軽減される。これによりプログラムのステップ数が削減され高速動作が可能となり、データ通信のスループット向上に寄与できる。
【0108】
また、この発明にかかる実施の形態3によれば、前述のマスタ装置およびスレーブ装置を備える通信システムにおいて、第1の通信装置としての前述のマスタ装置と、第2の通信装置としてのスレーブ装置を備え、スレーブ装置がマスタ装置から送信されたスケジュールを受信し、前記スケジュールに応じて応答メッセージを送信することで、スレーブ装置は、応答メッセージ用の帯域再割り当てのタイムアウトを設定する必要がなく、またマスタ装置は、スケジュールに従った時間帯域において応答メッセージが受信できなかったときは、エラーによるデータ不達であると判断できるため、タイムアウトを待たずに要求メッセージの再送を実施することができる。
【0109】
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正や変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】この発明の実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3の各々に於いて使用するフレームフォーマットを示すフレーム構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3の各々に係る通信装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3の各々に係るマスタ制御プログラムの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3の各々に於けるスケジューリング処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3の各々に係る処理を時系列に表現した図である。
【図6】この発明の実施の形態1に於けるスケジュール作成処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係るスケジュール作成処理を時系列に表現した図である。
【図8】この発明の実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3の各々に於ける効果を表現する概念図である。
【図9】この発明の実施の形態2に於けるスケジュール作成処理を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態2に係るスケジュール作成処理を時系列に表現した図である。
【図11】この発明の実施の形態3に於けるスケジュール作成処理を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態3に係るスケジュール作成処理を時系列に表現した図である。
【符号の説明】
【0111】
100 CPU、110 汎用メモリ、120 Bridge、121 セル管理情報メモリ、130 MAC、131 連結情報メモリ、132 スケジュールメモリ、140 PHY、200 BCH、201 FCH、202 ACH、203 RCH、300 データ送信要求作成部、310 データ送信要求受付部、320 スケジューラ部、330 時間管理部、331 処理開始時刻設定部、340 制御メッセージ作成部、500,520 連結情報メモリ0及びスケジュールメモリ0、510 連結情報メモリ1及びスケジュールメモリ1、700,710,720,1200,1210,1220 スケジュール保存領域0、701,711,721,1201,1211,1221 スケジュール保存領域1、712,732,1012,1032,1214,1234 スケジュールメモリ0、722,1022,1224 スケジュールメモリ1、703,1003 データ帯域要求03、704,1004 データ帯域要求04、705,715,1005,1015,1205 データ帯域要求05、706,1006 制御メッセージ帯域要求6、716,1016,1296 データ帯域要求06、717,727,1017,1027 制御メッセージ帯域要求7、728,1028,1207,1217,1227 データ帯域要求07、729,1029,1218,1228 データ帯域要求08、1208 制御メッセージ帯域要求8、1219,1229 制御メッセージ帯域要求9、1000,1010,1020 スケジュール保存領域、1202,1212,1232 スケジュール保存領域2、1203,1213,1223 スケジュール保存領域3。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、
通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、
前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、
前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、
前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージを第1フレーム内に割り当て、前記応答メッセージを前記第1フレームの次フレームである第2フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部と、
を備える、通信装置。
【請求項2】
データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、
通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、
前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、
前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、
前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージを所定フレーム内に割り当て、前記応答メッセージも前記所定フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部と、
を備える、通信装置。
【請求項3】
データチャネルを有し、時間長一定の固定フレーム長で規定されるフレームを用いて、通信を行なう通信装置であって、
通信装置間の接続状況および通信設定を制御する制御要求メッセージを作成する制御メッセージ作成部と、
前記データチャネル内において、前記制御要求メッセージと前記制御要求メッセージに対する応答メッセージとを、送信するための帯域を割り当てる要求である帯域要求を作成する、データ送信要求作成部と、
前記帯域要求を受け付けるデータ送信要求受付部と、
前記データ送信要求受付部において受け付けた前記帯域要求に応じて、前記制御要求メッセージを第1フレーム内に割り当て、前記応答メッセージを第2フレーム内に割り当てたスケジュールを作成するスケジューラ部と、
前記スケジューラ部において割り当てた前記第1、第2フレームにおける前記スケジュールの結果を保存する保存部と、
を備え、
前記第2フレームは、前記保存部が保存可能なフレーム数の範囲内で前記第1フレームの後である、通信装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の通信装置である第1の通信装置と、
第2の通信装置と、
を備え、
前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置から送信された前記スケジュールを受信し、前記スケジュールに応じて前記応答メッセージを送信する、
通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−124292(P2010−124292A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296613(P2008−296613)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】