説明

通信装置および通信プログラム

【課題】ネットワークの帯域の圧迫を低減すること。
【解決手段】通信装置123は、通信装置122から配信された画像データ(a)を転送する。通信装置123は、画像データ(a)の配信停止を要求するプルーン信号(a)を通信装置122へ送信する。通信装置123は、プルーン信号(a)が送信されたデータを示すログ情報を記憶する。通信装置123は、記憶されたログ情報が示すデータの受信が検出された場合にプルーン信号(a)を通信装置122へ再送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信を行う通信装置および通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet Protocol)ネットワークにおけるマルチキャストでは、ルータ間でたとえばPIM−SM(Protocol Independent Multicast−Sparse Mode)が用いられる。また、マルチキャストでは、ルータとユーザの間でたとえばIGMP(Internet Group Management Protocol)が用いられる(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
PIM−SMにおいて、配信の停止を要求する端末はプルーン信号(pruneメッセージ)をマルチキャストの上流のノードへ送信する。プルーン信号を受信したノードは、プルーン信号を送信した端末以外にマルチキャストのレシーバが存在しない場合は、プルーン信号を上流のノードに転送することでマルチキャストの配信を上流に停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−180960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、上流のノードへ転送されるプルーン信号が経路の途中でロストした場合に、上流のノードはプルーン信号を受信できないためマルチキャストの配信を継続する。また、通常のマルチキャストにおいては信号の再送処理が行われないため、上流のノードはたとえばタイムアウトとなるまでマルチキャストの配信を継続する。このため、ネットワークの帯域が無駄に圧迫されるという問題がある。
【0006】
開示の通信装置および通信プログラムは、上述した問題点を解消するものであり、ネットワークの帯域の圧迫を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、他の通信装置から配信された配信データを受信して転送し、前記配信データの配信停止を要求する制御信号を前記他の通信装置へ送信し、送信された前記制御信号の送信記録であるログ情報を記憶し、記憶されたログ情報において配信停止が要求された配信データの受信を検出し前記受信が検出された場合に、前記配信停止が要求された配信データに対応する前記制御信号を前記ログ情報に基づいて前記他の通信装置へ再送信することを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の通信装置および通信プログラムによれば、ネットワークの帯域の圧迫を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1−1】実施の形態にかかる通信システムを示す図(その1)である。
【図1−2】実施の形態にかかる通信システムを示す図(その2)である。
【図1−3】実施の形態にかかる通信システムを示す図(その3)である。
【図1−4】実施の形態にかかる通信システムを示す図(その4)である。
【図2】通信装置の構成例を示す図である。
【図3】通信装置の配信停止処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
【図5】記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図6】実施の形態にかかる通信システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。開示技術は、プルーン信号を送信した後にも上流の通信装置からデータが配信される場合にプルーン信号を再送信することで、上流の通信装置に対してデータの配信を速やかに停止させ、ネットワークの帯域の圧迫を低減する。
【0011】
(実施の形態)
図1−1は、実施の形態にかかる通信システムを示す図(その1)である。図1に示す通信システム100は、実施の形態にかかる通信システムの一例である。通信システム100は、PIM−SMおよびIGMPを用いるマルチキャストによってデータを転送する。ここでは、通信システム100において画像データを転送する構成を例示するが、通信システム100は画像データに限らず、各種のデータを転送することができる。
【0012】
図1−1に示すように、実施の形態にかかる通信システム100は、画像符号化装置110(ENC)と、通信装置121〜124と、画像復号装置130(DEC)と、を含む。画像符号化装置110および通信装置121はA局に設けられている。通信装置122はB局に設けられている。通信装置123はC局に設けられている。通信装置124および画像復号装置130はD局に設けられている。
【0013】
通信装置121〜124のそれぞれは、たとえばレイヤ3(ネットワーク層)の通信装置である。画像符号化装置110は、画像を符号化し、符号化により得られた画像データを通信装置121へ送信する装置である。画像復号装置130は、通信装置124から送信された画像データを復号し、復号により得られた画像を出力する装置である。
【0014】
ここでは、画像復号装置130が、画像符号化装置110によって出力される画像データ(a)を要求するIGMPの参加要求(Membership Reportメッセージ)を通信装置124へ出力したとする。通信装置124は、画像復号装置130から出力された参加要求に基づいて、画像データ(a)の転送を要求するジョイン信号(a)を通信装置123へ送信する。通信装置123は、通信装置124から送信されたジョイン信号(a)を通信装置122へ転送する。通信装置122は、通信装置123から送信されたジョイン信号(a)を通信装置121へ転送する。
【0015】
通信装置121は、通信装置122から出力されたジョイン信号(a)に基づいて、画像符号化装置110から送信された画像データ(a)を通信装置122へ送信する。通信装置122は、通信装置121から送信された画像データ(a)を通信装置123へ送信する。通信装置123は、通信装置122から送信された画像データ(a)を通信装置124へ送信する。通信装置124は、通信装置123から送信された画像データ(a)を画像復号装置130へ送信する。
【0016】
また、通信装置124は、ジョイン信号(a)を周期的に通信装置123へ送信する。これにより、ジョイン信号(a)が通信装置121に周期的に受信される。通信装置121は、ジョイン信号(a)を受信している間は、画像符号化装置110から送信された画像データ(a)の通信装置122への送信を継続する。また、通信装置121は、ジョイン信号(a)を一定時間受信しないと(タイムアウト)、画像符号化装置110から送信された画像データ(a)の通信装置122への送信を停止する。
【0017】
図1−2は、実施の形態にかかる通信システムを示す図(その2)である。図1−1に示した状態において、画像復号装置130が、画像データ(a)の配信停止を要求するIGMPの離脱要求(Leave Groupメッセージ)を通信装置124へ出力したとする。この場合は、図1−2に示すように、通信装置124は、画像復号装置130から出力された配信離脱要求に基づいて、画像データ(a)の配信停止を要求するプルーン信号(a)を通信装置123へ送信する。
【0018】
通信装置123は、通信装置124から送信されたプルーン信号(a)を通信装置122へ転送する。通信装置122は、通信装置123から送信されたプルーン信号(a)を通信装置121へ転送する。通信装置121は、通信装置122から出力されたプルーン信号(a)に基づいて、画像符号化装置110から送信された画像データ(a)の通信装置122への転送を停止する。
【0019】
図1−3は、実施の形態にかかる通信システムを示す図(その3)である。図1−1に示した状態において、画像復号装置130が、画像データ(a)の配信離脱要求を通信装置124へ出力したとする。そして、図1−3に示すように、通信装置123から通信装置122へ送信されたプルーン信号(a)が、パケット抜けによって失われたとする(ロスト)。プルーン信号(a)のパケット抜けは、たとえば、装置の処理異常や回線断などの不特定要素によって発生する。
【0020】
この場合は、通信装置121へプルーン信号(a)が転送されないため、通信装置121は、タイムアウトとなるまで画像符号化装置110から送信された画像データ(a)の通信装置122への送信を継続する。また、通信装置122もプルーン信号(a)を受信していないため、通信装置121から送信された画像データ(a)を通信装置123へ転送する。したがって、画像復号装置130が離脱要求を出力しているにもかかわらず、通信装置121から通信装置123へ画像データ(a)が転送される。
【0021】
図1−4は、実施の形態にかかる通信システムを示す図(その4)である。図1−3に示した状態において、通信装置123は、プルーン信号(a)を送信した後に画像データ(a)を受信したため、プルーン信号(a)を通信装置122へ再度送信する。これにより、通信装置121へプルーン信号(a)が転送されるため、通信装置121は、タイムアウトを待たずに、画像データ(a)の通信装置122への送信を停止する。これにより、通信装置121から通信装置123へ画像データ(a)が転送されることによる帯域の圧迫を低減することができる。
【0022】
図2は、通信装置の構成例を示す図である。図2に示す通信装置200は、たとえば図1に示した通信装置122や通信装置123に適用される。図2に示すように、通信装置200は、インターフェース部201,202と、記憶部203と、マルチキャスト転送部204と、制御信号受信部205と、制御信号送信部206と、検出部207と、制御部208と、を備えている。
【0023】
インターフェース部201は、画像データ(a)の転送経路における通信装置200の上流の通信装置との間で通信を行うための通信インターフェースである。インターフェース部202は、画像データ(a)の転送経路における通信装置200の下流の通信装置との間で通信を行うための通信インターフェースである。
【0024】
記憶部203は、制御信号送信部206によって送信されたプルーン信号の送信記録であるログ情報を記憶する記憶手段である。また、記憶部203は、マルチキャスト転送部204による画像データ(a)の転送先を示す経路情報(ルーティングテーブル)を記憶する経路情報記憶手段である。
【0025】
マルチキャスト転送部204は、他の通信装置からマルチキャストにより配信された配信データを受信して転送する転送手段である。具体的には、マルチキャスト転送部204は、上流の通信装置から送信された画像データ(a)を、インターフェース部201を介して受信する。そして、マルチキャスト転送部204は、受信した画像データ(a)の転送先を記憶部203の経路情報に基づいて決定し、受信した画像データ(a)を決定した転送先へインターフェース部202を介して配信する。
【0026】
制御信号受信部205は、他の通信装置から送信される制御信号を受信する受信手段である。制御信号受信部205が受信する制御信号には、たとえばジョイン信号(a)やプルーン信号(a)が含まれる。制御信号受信部205が受信するジョイン信号(a)は、他の通信装置から送信された、画像データ(a)の配信を要求する信号である。制御信号受信部205が受信するプルーン信号(a)は、マルチキャスト転送部204による画像データ(a)の転送先から送信された、画像データ(a)の配信停止を要求する信号である。制御信号受信部205は、受信した制御信号を制御部208へ出力する。
【0027】
制御信号送信部206は、制御部208の制御にしたがって他の通信装置へ制御信号を送信する送信手段である。制御信号送信部206が送信する制御信号には、たとえばジョイン信号(a)やプルーン信号(a)が含まれる。制御信号送信部206が送信するジョイン信号(a)は、他の通信装置に対して画像データ(a)の配信を要求する信号である。制御信号送信部206が送信するプルーン信号(a)は、他の通信装置に対して画像データ(a)の配信停止を要求する信号である。また、制御信号送信部206は、他の通信装置へプルーン信号(a)を再送信する再送信手段である。
【0028】
検出部207は、記憶部203によって記憶されたログ情報が示すデータのマルチキャスト転送部204による受信を検出する検出手段である。具体的には、検出部207は、記憶部203に記憶されたログ情報を取得する。また、検出部207は、マルチキャスト転送部204によって受信される各データを監視する。そして、検出部207は、監視する各データの中から、ログ情報が示す画像データ(a)を検出する。検出部207は、ログ情報が示す画像データ(a)を検出すると制御部208へ検出信号を出力する。
【0029】
制御部208は、制御信号受信部205からジョイン信号(a)が出力された場合に、マルチキャスト転送部204による画像データ(a)の転送を開始させる。具体的には、制御部208は、記憶部203の経路情報に画像データ(a)の転送先を設定する。また、制御部208は、制御信号受信部205からプルーン信号(a)が出力された場合に、マルチキャスト転送部204による画像データ(a)の転送を停止させる。具体的には、制御部208は、記憶部203の経路情報から画像データ(a)の転送先を削除する。
【0030】
また、制御部208は、制御信号受信部205からジョイン信号(a)が出力された場合に、制御信号送信部206から上流の通信装置へジョイン信号(a)を送信させる。
【0031】
また、制御部208は、制御信号受信部205からプルーン信号(a)が出力された場合に、制御信号送信部206から上流の通信装置へプルーン信号(a)を送信させる。ただし、制御部208は、記憶部203に他の通信装置からの画像データ(a)の配信要求がある場合は、制御信号送信部206からプルーン信号(a)を送信させない。
【0032】
また、制御部208は、制御信号送信部206からプルーン信号(a)を送信させた場合に、送信させたプルーン信号(a)が配信停止を要求する画像データ(a)を示す情報をログ情報として記憶部203に記憶させる。また、制御部208は、検出部207から検出信号が出力されると、制御信号送信部206から上流の通信装置へプルーン信号(a)を再送信させる。
【0033】
図3は、通信装置の配信停止処理の一例を示すフローチャートである。通信装置200の制御部208は、マルチキャスト転送部204によって画像データ(a)の転送が行われている状態において、配信停止処理としてたとえば以下の各ステップを実行する。まず、画像データ(a)の配信停止を要求するプルーン信号(a)を他の通信装置から制御信号受信部205によって受信したか否かを判断し(ステップS301)、プルーン信号(a)を受信するまで待つ(ステップS301:Noのループ)。
【0034】
ステップS301においてプルーン信号(a)を受信すると(ステップS301:Yes)、受信したプルーン信号(a)の送信元の通信装置への画像データ(a)の転送を停止する(ステップS302)。つぎに、画像データ(a)に対する他の通信装置からの配信要求があるか否かを判断する(ステップS303)。他の通信装置からの配信要求がある場合(ステップS303:Yes)は、ステップS301へ戻る。この場合は、配信要求がある他の通信装置に対する画像データ(a)の転送を継続する。
【0035】
ステップS303において、他の通信装置からの配信要求がない場合(ステップS303:No)は、制御信号送信部206を制御して、画像データ(a)の配信停止を要求するプルーン信号(a)を上流の通信装置へ送信する(ステップS304)。つぎに、所定時間だけ待機する(ステップS305)。
【0036】
つぎに、ステップS304によってプルーン信号(a)を送信した上流の通信装置から画像データ(a)を受信したか否かを判断する(ステップS306)。具体的には、検出部207から検出信号が出力された場合は画像データ(a)を受信したと判断し、検出信号が出力されていない場合は画像データ(a)を受信していないと判断する。
【0037】
ステップS306において、画像データ(a)を受信した場合(ステップS306:Yes)は、制御信号送信部206を制御して、画像データ(a)の配信停止を要求するプルーン信号(a)を上流の通信装置へ再送信する(ステップS307)。画像データ(a)を受信していない場合(ステップS306:No)は、一連の処理を終了する。
【0038】
以上の各ステップにより、プルーン信号(a)が送信された後に画像データ(a)の受信が検出された場合にプルーン信号(a)を再送信することができる。これにより、上流の通信装置に対してデータの配信を速やかに停止させることができる。このため、ネットワークの帯域の圧迫を低減することができる。
【0039】
また、ステップS305により、プルーン信号(a)が送信されてから所定時間の経過後に画像データ(a)の受信が検出された場合にプルーン信号(a)を再送信することができる。これにより、プルーン信号(a)がパケット抜けなどで通信装置121まで転送されていないことをより精度よく確認してからプルーン信号(a)を再送信することができる。たとえば、通信装置200からプルーン信号(a)が送信されてから通信装置121に受信されるまでの間に通信装置121から画像データ(a)が送信された場合には、通信装置200からプルーン信号(a)を再送信しないようにすることができる。
【0040】
図4は、通信システムの動作例を示すシーケンス図である。まず、画像符号化装置110が、通信装置121への画像データ(a)の送信を開始する(ステップS401)。つぎに、画像復号装置130が、画像データ(a)を要求するIGMPの参加要求を通信装置124へ送信したとする(ステップS402)。
【0041】
つぎに、通信装置124が、ステップS402によって送信された参加要求に基づいて、画像データ(a)の配信を要求するジョイン信号(a)を通信装置123へ送信する(ステップS403)。つぎに、通信装置123が、ステップS403によって送信されたジョイン信号(a)を通信装置122へ転送する(ステップS404)。つぎに、通信装置122が、ステップS404によって転送されたジョイン信号(a)を通信装置121へ転送する(ステップS405)。
【0042】
つぎに、通信装置121が、ステップS405によって転送されたジョイン信号(a)に基づいて、ステップS401によって送信が開始された画像データ(a)を通信装置122へ送信する(ステップS406)。つぎに、通信装置122が、ステップS406によって送信された画像データ(a)を通信装置123へ送信する(ステップS407)。
【0043】
つぎに、通信装置123が、ステップS407によって送信された画像データ(a)を通信装置124へ送信する(ステップS408)。つぎに、通信装置124が、ステップS408によって送信された画像データ(a)を画像復号装置130へ送信する(ステップS409)。画像復号装置130は、ステップS409によって送信された画像データ(a)を復号して出力する。
【0044】
つぎに、画像復号装置130が、画像データ(a)の配信停止を要求する離脱要求を通信装置124へ送信したとする(ステップS410)。つぎに、通信装置124が、ステップS410によって送信された離脱要求に基づいて、画像データ(a)の配信停止を要求するプルーン信号(a)を通信装置123へ送信する(ステップS411)。
【0045】
つぎに、通信装置123が、ステップS411によって送信されたプルーン信号(a)を通信装置122へ転送する(ステップS412)。このとき、通信装置123と通信装置122の間でパケット抜けが発生し、ステップS412によって送信されたプルーン信号(a)が通信装置122に受信されなかったとする。
【0046】
この場合は、プルーン信号(a)が通信装置121まで転送されないため、通信装置121は画像データ(a)の配信を継続する。具体的には、通信装置121は、画像データ(a)を通信装置122へ送信する(ステップS413)。つぎに、通信装置122が、ステップS413によって送信された画像データ(a)を通信装置123へ転送する(ステップS414)。通信装置123は、ステップS411によってプルーン信号(a)を受信しているため、ステップS414によって転送された画像データ(a)を通信装置124へ転送せずに破棄する(ステップS415)。
【0047】
つぎに、通信装置123は、プルーン信号(a)を通信装置122へ再送信する(ステップS416)。つぎに、通信装置122が、ステップS416によって送信されたプルーン信号(a)を通信装置121へ転送する(ステップS417)。つぎに、通信装置121が、ステップS417によって転送されたプルーン信号(a)に基づいて、画像データ(a)の配信を停止し(ステップS418)、一連の動作を終了する。
【0048】
図5は、記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。図5に示すテーブル500は、通信装置123の記憶部203に記憶される情報の一例を示している。テーブル500は、データの転送先を示す経路情報を含む情報である。具体的には、テーブル500は、上流側情報510と、下流側情報520と、を含んでいる。上流側情報510および下流側情報520のそれぞれは、「インターフェース」、「マルチキャスト制御」、「マルチキャストアドレス」および「ステータス」を含んでいる。
【0049】
上流側情報510の「インターフェース」は、マルチキャストにおける上流の通信装置へのインターフェース(たとえばインターフェース部201)を示す。下流側情報520の「インターフェース」は、マルチキャストにおける下流の通信装置へのインターフェース(たとえばインターフェース部202)を示す。
【0050】
上流側情報510の「マルチキャスト制御」は、ジョイン信号(a)やプルーン信号(a)など、マルチキャストの上流へ送信した制御信号を示す。下流側情報520の「マルチキャスト制御」は、ジョイン信号(a)やプルーン信号(a)など、マルチキャストの下流から受信した制御信号を示す。
【0051】
上流側情報510および下流側情報520の「マルチキャストアドレス」は、マルチキャストに用いるマルチキャストアドレスを示す。ここでは、画像データ(a)の「マルチキャストアドレス」を「aa.bb.cc.01」とする。上流側情報510および下流側情報520の「ステータス」は、マルチキャストのデータの転送状態を示す。
【0052】
通信装置123は、図4のステップS403によって通信装置124からジョイン信号(a)を受信すると、符号501に示すように、下流側情報520の「インターフェース」を「IF(D局)」とする。また、通信装置123は、下流側情報520の「マルチキャスト制御」を「ジョイン信号(a)」とする。また、通信装置123は、下流側情報520の「マルチキャストアドレス」を「aa.bb.cc.01」とする。
【0053】
つぎに、通信装置123は、図4のステップS404によってジョイン信号(a)を通信装置122へ送信すると、符号502に示すように、上流側情報510の「インターフェース」を「IF(B局)」とする。また、通信装置123は、上流側情報510の「マルチキャスト制御」を「ジョイン信号(a)」とする。また、通信装置123は、上流側情報510の「マルチキャストアドレス」を「aa.bb.cc.01」とする。
【0054】
つぎに、通信装置123は、図4のステップS407によって画像データ(a)を通信装置122から受信すると、符号503に示すように、上流側情報510の「ステータス」を「受信あり」とする。また、通信装置123は、図4のステップS408によって画像データ(a)を通信装置124へ送信すると、符号503に示すように、下流側情報520の「ステータス」を「送信あり」とする。
【0055】
つぎに、通信装置123は、図4のステップS411によって通信装置124からプルーン信号(a)を受信すると、符号504に示すように下流側情報520の「マルチキャスト制御」を「プルーン信号(a)」とする。
【0056】
つぎに、通信装置123は、図4のステップS412によってプルーン信号(a)を通信装置122へ送信すると、符号505に示すように上流側情報510の「マルチキャスト制御」を「プルーン信号(a)」とする。これにより、テーブル500は、プルーン信号が送信されたデータを示すログ情報となる。
【0057】
つぎに、通信装置123は、図4のステップS414によって画像データ(a)を通信装置122から受信すると、上流側情報510の「マルチキャスト制御」が「プルーン信号(a)」になっているため、画像データ(a)を破棄する。そして、通信装置123は、符号506に示すように上流側情報510の「ステータス」を「受信あり」とする。
【0058】
つぎに、通信装置123は、図4のステップS416によってプルーン信号(a)を通信装置122へ再送信すると、符号507に示すように上流側情報510の「マルチキャスト制御」を「プルーン信号(a)」とする。そして、通信装置123は、所定時間だけ待機しても通信装置122から画像データ(a)を受信しないため、符号508に示すように、上流側情報510の「ステータス」を「受信なし」とし、一連の処理を終了する。
【0059】
図6は、実施の形態にかかる通信システムの変形例を示す図である。上述した通信システム100においては、レイヤ3の通信装置122,123に通信装置200(図2参照)を適用する場合について説明したが、レイヤ2の通信装置に通信装置200を適用してもよい。たとえば、図6に示す通信システム100においては、B局には通信装置610が設けられ、C局には通信装置620が設けられている。通信装置610,620のそれぞれは、レイヤ2(データリンク層)の通信装置である。
【0060】
図2に示した通信装置200を、たとえば通信装置610や通信装置620に適用してもよい。この場合は、たとえば通信装置620から通信装置610へ送信されるプルーン信号(a)にパケット抜けが発生しても、通信装置620から通信装置610へプルーン信号(a)を再送信することができる。これにより、通信装置121から通信装置620へ画像データ(a)が転送されることによる帯域の圧迫を低減することができる。
【0061】
このように、実施の形態にかかる通信システム100によれば、プルーン信号を送信した後にも上流の通信装置からデータが配信される場合にプルーン信号を再送信することで、上流の通信装置に対してデータの配信を速やかに停止させることができる。このため、ネットワークの帯域の圧迫を低減することができる。また、プルーン信号を受信した後に受信したデータの転送を停止させることで、プルーン信号を受信した後に上流の通信装置からデータが配信されても、上流の通信装置への転送を回避することができる。このため、ネットワークの帯域の圧迫をさらに低減することができる。
【0062】
通信システム100は、データをマルチキャストによって転送する各種システムに適用することができる。たとえば、通信システム100は、トンネル内のカメラによって撮影された映像データを管理システムへ転送する防災映像システムなどに適用することができる。通信システム100によれば、ネットワークの帯域の圧迫を低減することができるため、トンネル内の映像データを安定して管理システムへ転送することができる。
【0063】
以上説明したように、通信装置および通信プログラムによれば、ネットワークの帯域の圧迫を低減することができる。
【0064】
なお、本実施の形態で説明した通信方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0065】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0066】
(付記1)他の通信装置から配信された配信データを受信して転送する転送手段と、
前記配信データの配信停止を要求する制御信号を前記他の通信装置へ送信する送信手段と、
前記送信手段によって送信された前記制御信号の送信記録であるログ情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶されたログ情報において配信停止が要求された配信データの前記転送手段による受信を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記受信が検出された場合に、前記配信停止が要求された配信データに対応する前記制御信号を前記ログ情報に基づいて前記他の通信装置へ再送信する再送信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【0067】
(付記2)配信データの転送先を示す経路情報を記憶する経路情報記憶手段を備え、
前記転送手段は、前記他の通信装置からマルチキャストにより配信された配信データを、前記経路情報記憶手段によって記憶された経路情報に基づく転送先へ転送することを特徴とする付記1に記載の通信装置。
【0068】
(付記3)前記転送手段による前記配信データの転送先から、前記配信データの配信停止を要求する制御信号を受信する受信手段を備え、
前記送信手段は、前記受信手段によって前記制御信号が受信された場合に前記制御信号を前記他の通信装置へ送信することを特徴とする付記1または2に記載の通信装置。
【0069】
(付記4)前記受信手段によって前記制御信号が受信された場合に、前記転送手段による前記配信データの転送を停止させる制御部を備えることを特徴とする付記3に記載の通信装置。
【0070】
(付記5)前記再送信手段は、前記送信手段によって前記制御信号が送信されてから所定時間の経過後に前記検出手段によって前記受信が検出された場合に前記制御信号を再送信することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の通信装置。
【0071】
(付記6)コンピュータを、
他の通信装置から配信された配信データを受信して転送する転送手段、
前記配信データの配信停止を要求する制御信号を前記他の通信装置へ送信する送信手段、
前記送信手段によって送信された前記制御信号の送信記録であるログ情報を記憶する記憶手段、
前記記憶手段によって記憶されたログ情報において配信停止が要求された配信データの前記転送手段による受信を検出する検出手段、
前記検出手段によって前記受信が検出された場合に、前記配信停止が要求された配信データに対応する前記制御信号を前記ログ情報に基づいて前記他の通信装置へ再送信する再送信手段、
として動作させることを特徴とする通信プログラム。
【0072】
(付記7)他の通信装置から配信された配信データを受信して転送する転送工程と、
前記配信データの配信停止を要求する制御信号を前記他の通信装置へ送信する送信工程と、
前記送信工程によって送信された前記制御信号の送信記録であるログ情報を記憶する記憶工程と、
前記記憶工程によって記憶されたログ情報において配信停止が要求された配信データの前記転送工程による受信を検出する検出工程と、
前記検出工程によって前記受信が検出された場合に、前記配信停止が要求された配信データに対応する前記制御信号を前記ログ情報に基づいて前記他の通信装置へ再送信する再送信工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【符号の説明】
【0073】
100 通信システム
110 画像符号化装置
121〜124,200,610,620 通信装置
130 画像復号装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信装置から配信された配信データを受信して転送する転送手段と、
前記配信データの配信停止を要求する制御信号を前記他の通信装置へ送信する送信手段と、
前記送信手段によって送信された前記制御信号の送信記録であるログ情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶されたログ情報において配信停止が要求された配信データの前記転送手段による受信を検出する検出手段と、
前記検出手段によって前記受信が検出された場合に、前記配信停止が要求された配信データに対応する前記制御信号を前記ログ情報に基づいて前記他の通信装置へ再送信する再送信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
配信データの転送先を示す経路情報を記憶する経路情報記憶手段を備え、
前記転送手段は、前記他の通信装置からマルチキャストにより配信された配信データを、前記経路情報記憶手段によって記憶された経路情報に基づく転送先へ転送することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記転送手段による前記配信データの転送先から、前記配信データの配信停止を要求する制御信号を受信する受信手段を備え、
前記送信手段は、前記受信手段によって前記制御信号が受信された場合に前記制御信号を前記他の通信装置へ送信することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記受信手段によって前記制御信号が受信された場合に、前記転送手段による前記配信データの転送を停止させる制御部を備えることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記再送信手段は、前記送信手段によって前記制御信号が送信されてから所定時間の経過後に前記検出手段によって前記受信が検出された場合に前記制御信号を再送信することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の通信装置。
【請求項6】
コンピュータを、
他の通信装置から配信された配信データを受信して転送する転送手段、
前記配信データの配信停止を要求する制御信号を前記他の通信装置へ送信する送信手段、
前記送信手段によって送信された前記制御信号の送信記録であるログ情報を記憶する記憶手段、
前記記憶手段によって記憶されたログ情報において配信停止が要求された配信データの前記転送手段による受信を検出する検出手段、
前記検出手段によって前記受信が検出された場合に、前記配信停止が要求された配信データに対応する前記制御信号を前記ログ情報に基づいて前記他の通信装置へ再送信する再送信手段、
として動作させることを特徴とする通信プログラム。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−223494(P2011−223494A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93021(P2010−93021)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】