説明

通信装置及びその制御方法

【課題】記録媒体からデータを外部装置へ転送する際、外部装置が記録媒体で使っているファイルフォーマットに非対応の場合でもデータ転送を可能とする手段を構築する。
【解決手段】装着している記録媒体から、当該記録媒体に関する情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段によって得られた情報に応じて、外部装置との通信に用いる通信方法を選択する選択手段と、選択手段により選択された通信方法を用いて、外部機器と通信する通信手段とを有する記録媒体から取得した情報に応じて、通信に用いる通信プロトコルを切り替えて、外部機器にデータを転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーカードなどの記録媒体を用いることが出来る通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録媒体の大容量化やファイルサイズの大容量化に伴い、従来使用してきたファイルフォーマットの機能拡張が必要となっている。例えば従来から使われてきたFAT32(FAT:File Allocation Table)では、1ファイルのサイズを32bitで表現しているため最大で4GBまでしか扱うことが出来なかった。これらの問題を解決するために、機能拡張を行った例えばexFATといった次世代のファイルフォーマットが普及しつつある。このexFATは従来のFAT32との互換性が無いため、市場では複数のファイルフォーマットが混在して使われることになる。
【0003】
記録媒体が大容量化、多様化する中で、記録媒体内のデータを外部装置へ転送する方法が注目されている。例えば特許文献1に公開されているデジタルカメラでは、撮影時の動作において、外部メモリ6が装着されている場合には、撮影した画像データを外部メモリ6に保存するが、外部メモリ6が装着されていない場合、または外部メモリ6の空き容量が足りない場合には、撮影した画像データを外部へ転送する。
【0004】
また、デジタルカメラやプリンタ等で採用されている通信方法として、USB(Universal Serial Bus)規格のデバイスクラスで規定されているマスストレージクラスや、USB規格のスティルイメージクラスでPTP(Picture Transfer Protcol)を用いる通信方法が知られている。どちらのプロトコルも一般的なパソコンのOSが対応しているので、パソコンとの通信にも広く利用されている。また、プロトコルの性質上、PTPクラスよりも、マスストレージクラスの方が比較的通信処理が単純なため、高速で通信が可能という特徴がある。
【0005】
なお、マスストレージクラスでは、外部機器が記録媒体のファイルフォーマットを解釈して記録データにアクセスするが、PTPクラスでは、記録媒体のファイルフォーマットを外部機器が解釈する必要のないと言う特徴も有る。
【特許文献1】特開2001−359041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の通信装置では、記録媒体からデータを外部装置へ転送する際、通信プロトコルによっては、通信相手先の記録媒体のファイルフォーマットにも対応していないと、外部機器からその記録媒体に記録されているデータを読み出したり書きこんだりできないという課題が有る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する為、本発明の通信装置は、装着している記録媒体から、当該記録媒体に関する情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段によって得られた情報に応じて、外部装置との通信に用いる通信方法を選択する選択手段と、選択手段により選択された通信方法を用いて、外部機器と通信する通信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、例えば記録媒体のファイルフォーマットが従来のFAT32の場合にはマスストレージクラスとなり、新しいexFATの場合にはイメージクラスとなってPTPによる通信を行う。
【0009】
これにより、従来のファイルシステムにしか対応していない機器でも、ファイルシステムを気にすることなく通信が可能になる。さらには、この記録媒体が従来のファイルシステム(例えばFAT32)の場合には、通信スピードの早い通信方法で通信が出来、exFATの場合には、スピードは多少遅くなるかもしれないが、ファイルシステムの制限を受けずに通信が可能になる。
【0010】
或いは、例えば記録媒体がSDカードや、SDHC(SD High Capacity)カードの場合にはマスストレージクラスになり、それ以外のメモリーカードの場合にはイメージクラスでPTPを利用する通信方法に切替える。
【0011】
これにより、記録媒体が従来のファイルシステム(例えばFAT32)のはずであるメモリーカードの場合には、通信スピードの早い通信方法で通信が出来、exFATなど、未対応のファーマットの可能性が有るメモリーカードを使っている場合には、ファイルシステムの制限を受けないような通信が可能になる。
【0012】
よって、将来、未知の新しい規格のメモリーカードで採用されるファイルフォーマットに対応していなくても、データの転送が可能になる可能性が高くなる。
【0013】
或いは、例えば記録媒体としてSDカードの容量が32GB以下であればマスストレージクラスに、32GBを超える容量の場合にはイメージクラスでPTPを利用する通信方法に切替える。
【0014】
これにより、記録媒体が従来のファイルシステム(例えばFAT32)のはずである32GB以下のメモリーカードの場合には、通信スピードの早い通信方法で通信が出来、exFATなど、未対応のファーマットの可能性が有る32GBを超える容量のメモリーカードを使っている場合には、ファイルシステムの制限を受けないような通信が可能になる。
【0015】
よって、将来、未知の新しい規格のメモリーカードで採用されるファイルフォーマットに対応していなくても、データの転送が可能になる可能性が高くなる。
【0016】
或いは、例えば記録媒体としてSDHCカードのSpeedClassが6以下であればマスストレージクラスに、SpeedClass6を超える場合にはイメージクラスでPTPを利用する通信方法に切替える。
【0017】
これにより、記録媒体が従来のファイルシステム(例えばFAT32)のはずであるSpeedClass6以下のメモリーカードの場合には、通信スピードの早い通信方法で通信が出来、exFATなど、未対応のファーマットの可能性が有るSpeedClass6を超える容量のメモリーカードを使っている場合には、ファイルシステムの制限を受けないような通信が可能になる。
【0018】
よって、将来、未知の新しい規格のメモリーカードで採用されるファイルフォーマットに対応していなくても、データの転送が可能になる可能性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施例)
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。
なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明を実施した通信装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施例に係る接続方法は、図1に示すように、通信装置100、外部装置120、接続ケーブル130の構成で実施される。通信装置100と外部装置120は、接続ケーブル130を介して接続されている。
【0021】
100は、本発明を適用した通信装置である。なお、以下実施の形態ではビデオカメラを例に取って説明するが、例えばスチルカメラ等の機器であってもよい。ビデオカメラ100は、USB規格で規定された、デバイス機器として動作する。
【0022】
101は、各部の動作を制御するCPUであり、後述する記録媒体の情報取得、外部装置との通信プロトコル(USBで規定されたデバイスクラス)の切り替えと、通信処理など、カメラ100の全体を制御する部分でもある。
【0023】
102は、前記CPU101がワーキングエリアとして使用するRAMである。
また、記録媒体のフォーマットや後述する外部装置の種別を一時的に保持することにも使用する。
103は、静止画像や動画ストリームを記録することが可能な記録媒体である。これは内蔵のものでも、着脱可能なものでもよい。
104は、記録媒体103の記録情報を取得する部分である。
105は、外部装置120と通信を行う通信部であり、接続された外部装置120へのデータ送信や、外部装置120からコマンドやデータの受信を行う。なお、 以下実施の形態ではUSBを例に取って説明する。
106は、外部装置120との通信で用いる通信プロトコルを切り替える部分である。
通信プロトコルの切り替えは、マスストレージクラスの通信方法と、イメージクラスでPTPを利用する通信方法とを104で取得した情報によって切り替える。
【0024】
外部装置120の一例として、PC(Personal Computer)を用いるが、例えばレコーダやDVDライター等の機器でもよい。PC120は、USB規格で規定されたホスト機器として動作する。また、PC120は図示されないビデオカメラと通信を行う通信部、表示部、CPU、RAM等を含む。
【0025】
接続ケーブル130の一例として、USB規格に準拠した接続ケーブルを用いる。以下、USB規格に準拠した接続ケーブルを「USBケーブル」という。USBケーブルは、VBUS、D+、D−、GNDの4つのラインで構成されている。
【0026】
次に図2に基づいて、本発明を実施したビデオカメラとPCとのUSBケーブルでの接続において、記録媒体のファイルフォーマットに応じて、通信プロトコルを切り替える制御について説明する。
【0027】
ステップS201でUSBケーブルの接続を検出する。ケーブルの接続検出は、USB信号ラインVBUSの電圧がHighレベルの検出によって行う。この電圧は、USB規格によって、USBケーブルの反対側に接続されているPCによって印加される。
【0028】
ステップS202において、記録情報取得部104は、記録媒体103のFATファイルシステムの管理用データであるMBRに記載しているファイルシステムタイプの情報を取得し、記録媒体103で利用しているファイルフォーマットを取得する。ファイルフォーマットの取得が終われば、S203に進む。
【0029】
ステップS203において、記録媒体103のファイルフォーマットがexFATであるか否かを判別する。記録フォーマットがexFATである場合には、S204に進む。記録フォーマットがexFATでない場合には、S205に進む。
【0030】
ステップS204において、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをイメージクラスとしてPTPを利用した通信方法を設定し、S206に進む。
ステップS205では、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをマスストレージクラスと設定して通信の準備を行い、S206に進む。
ステップS206において、USBの通信を開始する。通信の開始は、USBの信号ラインであるD+のプルアップをONに制御し、D+信号をHighレベルに制御する。この信号ラインの電圧変化を接続相手のPCが検出して、ビデオカメラの接続を認識し、USBの通信を開始する。
ステップS207は、通信中の状態を表す。
【0031】
次に図3に基づいて、本発明を実施したビデオカメラとPCとのUSBケーブルでの接続において、記録媒体の種類に応じて、通信プロトコルを切り替える制御について説明する。
【0032】
ステップS301でUSBケーブルの接続を検出する。ケーブルの接続検出は、USB信号ラインVBUSの電圧がHighレベルの検出によって行う。この電圧は、USB規格によって、USBケーブルの反対側に接続されているPCによって印加される。
【0033】
ステップS302において、記録情報取得部104は、記録媒体103の種類を表す情報を取得する。記録媒体の種類の取得は、記録媒体が着脱不可であれば所定の固定情報であり、記録媒体が着脱可能であれば、例えばSDカードスロットの場合には、SDIFコマンドによって、装着されているメモリーカードを特定しカードの種類を表す情報を取得する。記録媒体の種類の取得が終われば、S303に進む。
【0034】
ステップS303において、記録媒体103の種類がSDカードまたはSDHCカードなど、FAT16またFAT32を利用しているはずであると判定可能なカードか否かを判別する。記録媒体の種類が不明であったり、exFATを利用しているか可能性の高い記録媒体であると判定した場合はS304に進む。記録媒体の種類が、FAT16またFAT32を利用しているであろうと想定できる種類と判定したらS305に進む。
【0035】
ステップS304において、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをイメージクラスとしてPTPを利用した通信方法を設定し、S306に進む。
ステップS305では、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをマスストレージクラスと設定して通信の準備を行い、S306に進む。
【0036】
ステップS306において、USBの通信を開始する。通信の開始は、USBの信号ラインであるD+のプルアップをONに制御し、D+信号をHighレベルに制御する。この信号ラインの電圧変化を接続相手のPCが検出して、ビデオカメラの接続を認識し、USBの通信を開始する。
ステップS307は、通信中の状態を表す。
【0037】
次に図4に基づいて、本発明を実施したビデオカメラとPCとのUSBケーブルでの接続において、記録媒体のフラッシュメモリーの容量に応じて、通信プロトコルを切り替える制御について説明する。
【0038】
ステップS401でUSBケーブルの接続を検出する。ケーブルの接続検出は、USB信号ラインVBUSの電圧がHighレベルの検出によって行う。この電圧は、USB規格によって、USBケーブルの反対側に接続されているPCによって印加される。
【0039】
ステップS402において、記録情報取得部104は、記録媒体103の容量を表す情報を取得する。記録媒体の容量の取得は、記録媒体がフラッシュメモリーで、SDIFで接続されている場合に、SDIFコマンドによって容量を表す情報を取得する。記録媒体の容量の取得が終われば、S403に進む。
【0040】
ステップS403において、記録媒体103の容量が32GB超か否かを判別する。記録媒体の容量が32GB超であればexFATを利用している可能性が高いのでS404に進む。記録媒体の容量が32GB超でなければ従来のファイルシステムを使っていると想定されるので、S405に進む。
【0041】
ステップS404において、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをイメージクラスとしてPTPを利用した通信方法を設定し、S406に進む。
ステップS405では、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをマスストレージクラスと設定して通信の準備を行い、S406に進む。
ステップS406において、USBの通信を開始する。通信の開始は、USBの信号ラインであるD+のプルアップをONに制御し、D+信号をHighレベルに制御する。この信号ラインの電圧変化を接続相手のPCが検出して、ビデオカメラの接続を認識し、USBの通信を開始する。
ステップS407は、通信中の状態を表す。
【0042】
次に図5に基づいて、本発明を実施したビデオカメラとPCとのUSBケーブルでの接続において、記録媒体のフラッシュメモリーのSpeedClassに応じて、通信プロトコルを切り替える制御について説明する。
【0043】
ステップS501でUSBケーブルの接続を検出する。ケーブルの接続検出は、USB信号ラインVBUSの電圧がHighレベルの検出によって行う。この電圧は、USB規格によって、USBケーブルの反対側に接続されているPCによって印加される。
【0044】
ステップS502において、記録情報取得部104は、記録媒体103のSpeedClassを表す情報を取得する。記録媒体のSpeedClassの取得は、記録媒体がフラッシュメモリーで、SDIFで接続されている場合に、SDIFコマンドによって情報を取得する。記録媒体の容量の取得が終われば、S503に進む。
【0045】
ステップS503において、記録媒体103のSpeedClassが6超か否かを判別する。記録媒体のSpeedClassが6超であればexFATを利用している可能性が高いのでS504に進む。記録媒体のSpeedClassが6超でなければ、従来のファイルシステムを使っていると想定されるので、S505に進む。
【0046】
ステップS504において、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをイメージクラスとしてPTPを利用した通信方法を設定し、S506に進む。
ステップS505では、ビデオカメラは、USBデバイスクラスをマスストレージクラスと設定して通信の準備を行い、S506に進む。
【0047】
ステップS506において、USBの通信を開始する。通信の開始は、USBの信号ラインであるD+のプルアップをONに制御し、D+信号をHighレベルに制御する。この信号ラインの電圧変化を接続相手のPCが検出して、ビデオカメラの接続を認識し、USBの通信を開始する。
ステップS507は、通信中の状態を表す。
【0048】
以上の図3〜5では、記録媒体の種類や容量、スピードクラスの情報を利用して、記録媒体のファイルシステムを想定し、通信方法の決定に利用したが、図3〜5で扱った情報を複数、または全てを複合的に用いて判定しても良い。また、その他の情報、例えば、記録媒体のメーカや商品名などを利用して、記録媒体のファイルシステムを想定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】システムブロック図
【図2】記録媒体のファイルフォーマット情報に応じて通信方法を決定するフローを示す図である
【図3】記録媒体の種類に基きファイルフォーマットを想定し、通信方法を決定するフローを示す図である
【図4】記録媒体の容量に基きファイルフォーマットを想定し、通信方法を決定するフローを示す図である
【図5】記録媒体のスピードクラス情報に基きファイルフォーマットを想定し、通信方法を決定するフローを示す図である
【符号の説明】
【0050】
100 通信装置
101 CPU
102 RAM
103 記録媒体
104 記録情報取得部
105 通信部
106 プロトコル切り替え部
120 外部装置
130 接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着している記録媒体から、当該記録媒体に関する情報を取得する情報取得手段と、
情報取得手段によって得られた情報に応じて、外部装置との通信に用いる通信方法を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された通信方法を用いて、前記外部機器と通信する通信手段とを有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記選択手段により選択される通信方法は、USB規格に規定されているマスストレージクラスと、PTP(Picture Transfer Protcol)とを含むことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記情報取得手段によって得られる前記記録媒体に関する情報は、前記記録媒体のファイルフォーマットを特定する情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記情報取得手段によって得られる前記記録媒体に関する情報は、記録媒体の種類、メーカ、記憶容量、スピードクラス、商品名の少なくともいずれか1つの情報を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
装着している記録媒体から、当該記録媒体に関する情報を取得する情報取得工程と、
情報取得工程によって得られた情報に応じて、外部装置との通信に用いる通信方法を選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された通信方法を用いて、前記外部機器と通信する通信工程とを有することを特徴とする通信装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−141815(P2010−141815A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318561(P2008−318561)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】