通信装置及びその制御方法
【課題】 高速伝送チャネルと低速伝送チャネルとでデータを伝送できる装置において、高速伝送チャネルは通信パスが遮断しやすく、データが正常に送られない場合がある。一方、低速伝送チャネルは高品位のデータを送れない。
【解決手段】 高速伝送チャネルと低速伝送チャネルとで並行して同じデータを伝送する。高速伝送チャネルの受信状態に応じて、高速伝送チャネルにより受信したデータか、低速伝送チャネルにより受信したデータかを選択する。
【解決手段】 高速伝送チャネルと低速伝送チャネルとで並行して同じデータを伝送する。高速伝送チャネルの受信状態に応じて、高速伝送チャネルにより受信したデータか、低速伝送チャネルにより受信したデータかを選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオデータ等のデータを伝送する通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオデータや音声データの伝送技術として、広い帯域幅が利用でき高速無線伝送が可能である60GHz帯を使用したミリ波無線技術が注目されている。ミリ波無線は光に近い性質を持ち、直進性が高いという特徴から、人間等の遮蔽物が通信パスを横切った際に簡単に通信が途切れてしまう。
【0003】
ミリ波無線技術の標準規格であるWirelessHD規格では、高速伝送チャネルであるHRP (High Rate PHY)と、低速伝送チャネルであるLRP(Low Rate PHY)を規定している。HRPは狭指向性のアンテナを用いるため、通信パスの到来方向は限定されるが、高いゲインが得られ、非圧縮ビデオデータ等の高レートのデータ伝送に用いられる。一方LRPは低レートで広指向性のアンテナを用いるため、HRPと比較して通信パスの到来方向が限定されず途切れにくく、圧縮ビデオデータや制御データ等の伝送に用いられる。更にWirelessHDでは、通信パスの遮断を検出した際に、壁の反射等を利用した別の通信パスに切り替え、通信を復帰する手法が取られる。
【0004】
このようにWirelessHDでは、HRPとLRPのどちらか一方のチャネルを選択して使い分け、更に通信パスの遮断検出時に通信パスを切り替えることにより、前述のミリ波の問題点に対処している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】WirelessHD Specification Version 1.0 Overview (http://www.wirelesshd.org/pdfs/WirelessHD_Full_Overview_071009.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、WirelessHDのようにビデオデータ伝送中に通信パスの遮断を検出して通信パスを切り替えると、一瞬ビデオ再生が乱れてしまう。また、通常、通信パスの切り替え動作を高速に行うために切り替え先の通信パスを予め探索しておくが、伝送路の状態が大きく変化した場合には切り替え先の通信パスが有効でなくなる場合がある。その場合には、再度有効なパスを探索しなおす必要があり、長時間にわたってビデオ再生が停止してしまう。
【0007】
本発明は、通信装置間でデータを伝送する際に、データ再生の乱れや途切れを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は、所定のデータを通信する際に、高速伝送チャネルと低速伝送チャネルとを平衡して通信するようにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信パスが遮断されても、受信したデータを再生する際の瞬断、停止を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】システム構成例を表す図
【図2】送信ノードのブロック図
【図3】受信ノードのブロック図
【図4】アンテナ制御の説明図
【図5】通信フレーム構成図
【図6】システム全体動作のシーケンス図
【図7】パス切り替え起動時のシーケンス図
【図8】パスサーチ起動時のシーケンス図
【図9】パスサーチ処理のフローチャート
【図10】通信パステーブルの構成図
【図11】送信ノード処理のフローチャート
【図12】受信ノード処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は本実施形態における無線通信システムの構成例を表す図である。本システムでは、2つのノード間でビデオデータを無線伝送する。無線伝送の方式は、WirelessHD(非特許文献1)を利用するものとする。
【0012】
送信ノード100はビデオデータの送信元である通信装置であり、データソース105から取得したビデオデータを無線リンクを介して送信する。本構成では、送信ノード100はデータソース105に直接接続されているが、必ずしも直接接続されている必要は無い。受信ノード110はビデオデータの宛先側の通信装置であり、無線リンクを介して受信したビデオデータを、ビデオを表示するためのディスプレイ115に出力する。本実施例におけるノードは、指向性アンテナを備え、高速伝送チャネル(以下、HRP)及び低速伝送チャネル(以下、LRP)を用いて、アンテナ指向性を切り替えながらビデオデータを無線伝送することが可能である。120と121はLRPの通信パス、125はHRPの通信パスを示している。LRPの通信パスとHRPの通信パスとは平衡して同じビデオデータを送信する。LRPは低速だが広指向性で伝送されるため、無線信号は広範囲に伝播し、120と121のように複数の通信パスを介して受信ノードに到来する。HRPは高速だが狭指向性で伝送されるため、通信パスの到来方向は限定され、125のように単一の通信パスを介して受信ノードに到来する。130は通信パスを遮断する遮蔽物を示している。
【0013】
図2は、送信ノード100の内部構成を示したブロック図である。201はROM210に記憶されている制御プログラムを実行し、送信ノード100内の全体の動作を制御する制御部である。240は無線データの送受信処理のタイミングを生成するためのタイミング生成部である。210は送信ノード100の制御プログラムや不揮発性のパラメータを格納するためのROMである。215は揮発性のパラメータや一時データを格納するためのRAMである。216は非圧縮のビデオデータである。217は圧縮ビデオデータである。218はHRPの有効な通信パスの情報を示す通信パステーブルである。216〜218は全てRAM215に保存されるデータである。220はメディアプレーヤー等の外部機器と接続し、ビデオデータを受信するための外部インターフェース部である。225は非圧縮ビデオデータから圧縮ビデオデータを生成するビデオエンコーダである。226はビデオエンコード処理時間を記憶し、出力される非圧縮データを、ビデオエンコード処理時間分の所定時間遅延させるディレイブロックである。230は無線データの送受信を行う無線通信部である。231はHRPパケットの送受信処理を行うための第1の通信部であり、HRP処理部である。232はLRPパケットの送受信処理を行うための第2の通信部であり、LRP処理部である。234は無線信号を送受信するためのアンテナ部である。233はアンテナ部234の指向角を制御するためのアンテナ制御部である。235は無線プロトコルの制御コマンドやメッセージを処理するための制御情報処理部である。236は無線通信システム全体のアクセス情報を管理し、ビーコンとして送信するビーコン処理部である。ビーコンには、フレーム同期捕捉用のユニークワードや、無線媒体にアクセスするノードの識別子、各ノードが送受信するパケットで適用するアンテナ指向角や変調クラス等のアクセス情報が含まれる。ここでは、変調クラスとは変調方式と符号化方式の組み合わせを示す。
【0014】
次に、ビデオデータ送信時の各ブロック間の関係について説明する。送信ノード100は、外部インターフェース部220を介して非圧縮のビデオデータ216を外部機器から受信する。ビデオエンコーダ225は、非圧縮のビデオデータ216をエンコードし、圧縮ビデオデータ217を生成する。非圧縮ビデオデータ216はHRP処理部231に、圧縮ビデオデータ217はLRP処理部232に渡される。非圧縮ビデオデータ216は、圧縮ビデオデータとの出力時間差を保証するため、ディレイブロック226によりエンコード処理時間分の遅延が与えられて出力される。非圧縮ビデオデータ216はHRP処理部231によりHRPパケットに格納され、圧縮ビデオデータ217はLRP処理部232によりLRPパケットに格納される。また、通信パステーブル218に基づき、HRPパケット及びLRPパケットのアクセス情報がビーコン処理部236により生成され、ビーコンに格納される。そして、通信パステーブル218の情報に基づき、アンテナ制御部233がアンテナ234の指向性をタイミング生成部240の生成するタイミングで制御しながらビーコン、HRPパケット及びLRPパケットの無線伝送を行う。
【0015】
図3は、受信ノード110の内部構成を示したブロック図である。305はROM310に記憶されている制御プログラムを実行し、受信ノード110内の全体の動作を制御する制御部である。310は受信ノード110の制御プログラムや不揮発性のパラメータを格納するためのROMである。315は揮発性のパラメータや一時データを格納するためのRAMである。316は非圧縮のビデオデータである。317は圧縮ビデオデータである。318は伸張ビデオデータである。319はHRPの有効な通信パスの情報を示す通信パステーブルである。316〜319は全てRAM315に保存されるデータである。320は無線データの送受信処理のタイミングを生成するためのタイミング部である。325は無線データの送受信を行う無線通信部である。326は無線信号を送受信するためのアンテナ部である。327はアンテナ部326の指向角を制御するためのアンテナ制御部である。329はHRPパケットの送受信処理を行うための第1の通信部であり、HRP処理部である。328はLRPパケットの送受信処理を行うための第2の通信部であり、LRP処理部である。330はHRP及びLRPパケットが正しく受信できたかどうかの判定を行うパケット受信判定部である。331は無線プロトコルの制御コマンドや制御メッセージを処理するための制御情報処理部である。332は受信したビーコンのアクセス情報を解析し処理するビーコン処理部である。335は圧縮ビデオデータを伸張し、伸張ビデオデータを生成するビデオデコーダである。336はビデオデコード処理時間を記憶し、出力される非圧縮データを、ビデオデコード処理時間分の所定時間遅延させるディレイブロックである。340は外部インターフェース部に出力するビデオデータを切り替える出力データスイッチである。345はディスプレイ等の外部機器と接続され、ビデオデータを出力する外部インターフェース部である。
【0016】
次に、ビデオデータ受信時の各ブロック間の関係について説明する。受信ノード110は、送信ノードから無線伝送されるビーコンを受信する。ビーコン処理部332により取得したアクセス情報に基づき、アンテナ制御部327がアンテナ326の指向性をタイミング生成部320の生成するタイミングで制御しながらHRPパケット及びLRPパケットを受信する。パケット受信判定部330によりHRPパケット及びLRPパケットの受信判定が行われる。その結果、HRPパケットが正常に受信ができた場合には、HRPパケットに格納されている非圧縮ビデオデータ316を抽出し、RAM315に保存する。また、LRPパケットが正常に受信ができた場合には、LRPパケットに格納されている圧縮ビデオデータ317を抽出し、RAM315に保存する。圧縮ビデオデータ317を受信すると、圧縮ビデオデータ317をビデオデコーダ335により伸張し、伸張ビデオデータ318を生成する。生成した伸張ビデオデータ318は、RAM315に保存する。
【0017】
また、パケット受信判定部330によるパケット受信判定結果に基づき、出力データスイッチ340は外部インターフェース345に出力するビデオデータを決定する。この決定は、HRPパケットが正常に受信ができた場合には、非圧縮ビデオデータ316を出力し、HRPパケットが正常に受信できず、LRPパケットが正常に受信ができた場合には、圧縮ビデオデータ317から生成した伸張ビデオデータ318を出力する。非圧縮ビデオデータ316を出力する際には、伸張ビデオデータ318との出力時間差を保証するために、非圧縮ビデオデータ316はディレイブロック336によりデコード処理時間分の遅延が挿入されて出力される。外部インターフェース部345は、受信した非圧縮ビデオデータ319または伸張ビデオデータ318を外部機器に出力する。
【0018】
図4は、ノードのアンテナ制御を説明するための図である。各ノードはアダプティブ・アレイ・アンテナを備え、アンテナ素子から送受信される無線信号の位相を制御することにより、狭指向性モード350と広指向性(Wide)モード360を切り替えることが出来る。狭指向性モード350では、例えば図示されるように0°〜180°の範囲を15°ステップの分解能で制御し、アンテナ指向角パターンのビームを形成することが出来る。これにより送受信時に高いゲインを得ることができるが、利用できる通信パスの範囲は限定される。本例では理解を容易にするために前述の構成をとっているが、狭指向性モード350におけるアンテナ指向角の範囲及びアンテナ指向角の分解能はこの限りではない。Wideモード360では例えば図示されるように0〜180°の範囲の広い指向角をカバーするが、狭指向性モード350と同様、指向角の範囲はこの限りではない。Wideモード360は、狭指向性モード350と比較し送受信時のゲインは劣るが、利用できる通信パスの範囲は広がる。本実施例ではHRPは送信ノードと受信ノードの少なくともどちらか一方が狭指向性モード350での送受信を行い、データ容量が小さいLRPはWideモード360での送受信を行う。
【0019】
図5は、本実施形態の無線通信システムにおける通信フレームの例であるスーパーフレーム400の構成を示す図である。スーパーフレーム400はビデオデータの有効期間である繰り返し周期で送信される。スーパーフレーム400は、ビーコン401、下りLRPパケット405、下りHRPパケット410、上りLRPパケット415から構成される。ここで”下り”と”上り”という言葉は2つのノード間の通信方向を示す表現である。送信ノード100から受信ノード110への通信方向を”下り”、受信ノード110から送信ノード100への通信方向を”上り”と定義する。ビーコン401、下りLRPパケット405、下りHRPパケット410は、送信ノード100が送信する。下りLRPパケット405は制御情報と圧縮ビデオデータを送信する。下りHRPパケット410は非圧縮ビデオデータを送信する。上りLRPパケット415は受信ノード110が送信し、制御情報を送信する。本実施例では、ビデオデータの片方向通信を想定しているため、上りHRPパケットをスーパーフレーム400に含まれていないが、双方向通信の場合にはスーパーフレーム400に上りHRPパケットも含まれる。またパケットの配置方法はこの限りではなく、例えば上りLRPパケットが先頭に配置されても良い。
【0020】
各パケットに含まれる情報要素について説明する。ビーコン401には、フレーム同期捕捉用のユニークワード、無線媒体にアクセスするノードの識別子、各ノードが送受信するパケットで適用するアンテナ指向角、変調クラスといったアクセス情報が含まれる。受信ノード110はビーコン401を受信しフレーム同期を取ると共に、ビーコン401内のアクセス情報に基づきアンテナ指向角や変調クラスを制御することにより送信ノード100からのLRP、HRPのデータパケットを受信する。下りLRPパケット405は、送信ノード100が制御情報と圧縮ビデオデータを送信するパケットである。LRPプリアンブル420には、下りLRPパケット405のシンボル同期捕捉用の既知信号が含まれる。LRPヘッダ425には、下りLRPパケット405に含まれるペイロードの数や各ペイロードの長さといった下りLRPパケット405全体の情報が含まれる。下りLRPペイロード1(430)には、パス切り替えやパスサーチ用の制御コマンド、パスサーチ時のトレーニングシーケンスといった制御情報が必要に応じて含まれる。LRPペイロード2(435)には、圧縮ビデオのデータが含まれる。CRC440は、下りLRPパケット405の誤り検出用の符号である。
【0021】
下りHRPパケット410は、送信ノード100が非圧縮ビデオデータを送信するパケットである。HRPプリアンブル445 には、下りHRPパケット410のシンボル同期捕捉用の既知信号が含まれる。HRPヘッダ450には、下りHRPパケット410に含まれるペイロードの数、各ペイロードの長さといった下りHRPパケット410全体の情報が含まれる。下りHRPペイロード455には、非圧縮ビデオのデータが含まれる。CRC460は、下りHRPパケット410の誤り検出用の符号である。本実施例では、下りHRPパケット410の誤り検出結果に基づき、再生するビデオに非圧縮ビデオデータを用いるか、圧縮ビデオデータ(伸張ビデオデータ)を用いるかを決定する。
【0022】
上りLRPパケット415は、受信ノード110が制御情報を送信するパケットである。LRPプリアンブル465 には、上りLRPパケット415のシンボル同期捕捉用の既知信号が含まれる。LRPヘッダ470には、上りLRPパケット405に含まれるペイロードの数、各ペイロードの長さといった上りLRPパケット405全体の情報が含まれる。上りLRPペイロード475には、パス切り替えやパスサーチ用の制御コマンド、パスサーチ時のトレーニングシーケンスといった制御情報が含まれる。CRC480は、上りLRPパケット415の誤り検出用の符号である。
【0023】
図6は、本システムの制御動作を説明する図である。送信ノード100と受信ノード110は、ビデオデータの伝送に先立ち、HRPの最適な通信パスを探索するために、パスサーチ処理S1000を実行する。パスサーチ処理では、LRPの制御コマンドやトレーニングシーケンスを使用して、各送受信アンテナ指向角の通信品質の測定を行う。その測定結果に基づき、ビデオデータの伝送に有効な通信パスをリストアップし、通信パステーブル218、319としてRAM215、315に保存する。そして通信パステーブル218、319の中から、最適な通信パスを選択し、送信ノード100における送信アンテナ指向角、受信ノード110における受信アンテナ指向角、HRPの変調クラス等のアクセス情報を決定する。決定された新規通信パスのアクセス情報は、ビーコン401を使用して、送信ノード100及び受信ノード110間で共有する(S1001)。
【0024】
続いて、送信ノード100と受信ノード110はビデオデータの伝送を行う。S1005〜S1030のシーケンスでは、受信ノード110がHRPとLRPを正しく受信できた場合の処理を示している。データソースは非圧縮ビデオデータを送信ノード100に送信する(S1005)。送信ノード100は受信した非圧縮ビデオデータをエンコードし、圧縮ビデオデータを生成する(S1010)。送信ノード100は、LRPを使用して圧縮ビデオデータを送信し(S1015)、また、HRPを使用して非圧縮ビデオデータを送信する(S1020)。受信ノード110はLRP、HRP共に受信に成功しているため、非圧縮のビデオデータをディスプレイに出力する(S1025)。ビデオデータを受信したディスプレイは、非圧縮のビデオデータを再生する(S1030)。
【0025】
S1035〜S1065のシーケンスでは、受信ノード110がHRPを正しく受信できない場合の処理を示している。S1035〜S1050までの処理は、S1005〜S1020までの処理と同じである。このシーケンスでは、受信ノード110はLRPの受信は成功しているが、HRPの受信に失敗しているため、受信ノード110は、圧縮ビデオデータをデコードして伸張ビデオデータを生成する(S1055)。そして、受信ノード110は、伸張ビデオデータをディスプレイに出力する(S1060)。伸張ビデオデータを受信したディスプレイは、伸張ビデオデータを再生する(S1065)。以上のシーケンスにより、受信ノード110がHRPの非圧縮ビデオデータを正しく受信できない場合においても、同時に伝送しているLRPの圧縮ビデオデータを利用することにより、ビデオを途切れなく再生できる。
【0026】
次に、HRPの受信エラーを検出した際の、パス切り替えの処理の例を、図7のシーケンス図を用いて説明する。ここでのパス切り替え処理とは、パスサーチの結果に基づき、現在使用中の通信パスとは異なる通信パスに切り替える処理のことを示す。パス切り替え処理は、HRPが正しく受信できないためにLRPの圧縮ビデオデータの再生を行っている状態が一定期間継続下場合に、HRPの通信パスを切り替えるために行われる。HRPの通信パスを切り替え、切り替え先の通信パスにより非圧縮ビデオデータの再生を再開できるようにする。
【0027】
受信ノード110は、HRP受信エラーを所定期間継続して検出すると、別の通信パスへ切り替える必要があると判断し、送信ノード100に対して希望する通信パスを指定してパス切り替え要求を送信する(S1100)。パス切り替え要求を受信した送信ノード100は、指定されら新しい通信パスにおける送信ノード100の送信アンテナ指向角、受信ノード110における受信アンテナ指向角、HRPの変調クラス等のアクセス情報を決定する。決定したアクセス情報は、ビーコン401を使用して、送信ノード100及び受信ノード110間で共有する(S1105)。以後のHRPは新しい通信パスを使用して伝送される。以上のシーケンスによって、HRPが正しく受信できないためにLRPの圧縮ビデオデータの再生を行っていた状態からHRPの通信パスを切り替えることができ、再度HRPの非圧縮ビデオデータの再生を行うことができる。なお本実施例では、パス切り替えのトリガーを受信ノード110が発行する構成となっているが、この限りではなく、送信ノード100がトリガーを発行する構成をとっても良い。
【0028】
次に、HRPの受信エラーを検出した際の、パスサーチの処理の例を、図8のシーケンス図を用いて説明する。受信ノード110は、HRPの受信エラーを所定期間継続して検出すると、S1100、S1105の手順を実行し、通信パスの切り替えを行う。通信パスの切り替え実行したにも関わらず、HRPの受信エラーが継続する場合には、HRPの受信が成功するまで更に別の通信パスへの切り替えを行う。全ての有効通信パスの伝送を試行し、なおHRPの受信が失敗する場合には、受信ノード110はパスサーチ要求を送信する(S1120)。パスサーチ要求を受信した送信ノード100は、パスサーチ応答を送信し(S1125)、パスサーチ処理を再度実行し(S1000)、新たな有効通信パスの探索を行う。以上のシーケンスによって、HRPの有効な通信パスが見つからない場合においても、ビデオ再生を停止することなく、再度パスサーチを実行できる。なお本実施例では、パスサーチ処理のトリガーを受信ノード110が発行する構成となっているが、この限りではなく、送信ノード100がトリガーを発行する構成をとっても良い。
【0029】
図9は、送信ノード100及び受信ノード110におけるパスサーチ処理の動作を示すフローチャートである。パスサーチ処理は、HRP伝送に有効である通信パスを新たに探索する処理である。まず送信ノード100及び受信ノード110は、トレーニング処理(S1200)を行うことにより各送受信アンテナ指向角の通信品質を測定する。トレーニング処理(S1200)では、どちらか一方のノードがトレーニングシーケンスを所定のアンテナ指向角で送信し、それを他方のノードが所定のアンテナ指向角で受信した際の通信品質を測定するという処理を、全てのアンテナ指向角の組み合わせ分繰り返す。なお、送信ノード100から受信ノード110にビデオデータを送信することを考慮すると、送信ノード100がトレーニングシーケンスを所定のアンテナ指向角で送信し、受信ノード110が所定のアンテナ指向角で受信した際の通信品質を測定する方が好ましい。通信品質を示す指標としては一般的にRSSI(受信電界強度)や、CINR(搬送波電力対干渉雑音電力比)等が用いられる。RSSIは、Received Signal Strength Indicatorの略である。CINRは、Carrier to Interference and Noise Ratioの略である。トレーニング処理の結果、所定の通信品質を満たす通信パスの情報をHRPの有効通信パスとして、通信パステーブル218、319に保存する(S1205)。そして通信パステーブル218、319の中から、最も通信品質の良い通信パスを選択する(S1210)。
【0030】
通信パステーブル218、319は、パスサーチ処理を実行した結果生成される、HRP伝送に有効である通信パスの一覧を示すテーブルである(図10参照)。本例では各有効パスごとに、パス番号500、RSSIレベル505、送信アンテナ指向角510、受信アンテナ指向角515、変調方式520と符号化率525をテーブルに保存している。パス番号500は通信パスの識別に使用され、現在使用中の通信パスや、通信パス切り替え時の通信パスの指定等に使用される。RSSIレベル505は通信パスの通信品質のレベルを示しており、高ければ高いほど通信品質が良いことを示している。本例では、RSSIレベルの高い順に通信パスをソートしてある。送信アンテナ指向角510は、通信パスを使用する際の送信ノード100のアンテナ指向角である。受信アンテナ指向角515は、受信ノード110のアンテナ指向角を示す。変調方式520と符号化率525は、RSSIレベル505から妥当だと判断される、当該パスで適用すべき変調クラスを示している。通信パステーブルで選択された通信パスの情報に基づき、送信ノード100及び受信ノード110が送受信動作の制御を行う。なお、図10の通信パステーブルは、HRPの通信パスを選択する際に参照される情報の一例であり、通信パスを選択する際に参照される情報は前述の構成に限定されるものではない。
【0031】
図11(a)、(b)は、送信ノード100の内部動作を示す動作フローチャートである。図11(a)、(b)の動作は、制御部201がROM210に記憶されている制御プログラムを実行することにより実行される。
【0032】
図11(a)の送信ノード100の全体動作のフローチャートにおける各ステップについて以下に説明する。送信ノード100は、受信ノード110と共にパスサーチ処理を行い、HRP伝送に最適な通信パスを選択する(S1300)。通信パステーブルから選択された通信パスのHRPの変調クラス、受信アンテナ指向角情報を、ビーコン401に格納する(S1305)。受信ノード110はこの情報を以ってHRPの受信アンテナ指向角の設定及び復調を行う。
【0033】
送信ノード100は、データソース105からのビデオ伝送が継続しているかどうかを判定する(S1310)。継続している場合には、S1311へ分岐し、継続していない場合には処理を終了する。S1311では、ビーコン401を送信する。ビーコン401は、Wideモードで、既知の変調クラスを用いて送信するものとする。送信ノード100は、アンテナ指向性の制御を行いながら、非圧縮ビデオデータと圧縮ビデオデータを含むデータパケットを送信する(S1315)。送信ノード100は、アンテナをWideモードに設定し、上りLRPパケットに含まれる制御情報を受信する(S1316)。送信ノード100は、受信した制御情報を解析し、受信ノード110からパス切り替え要求を受信したかどうかを判定する(S1320)。パス切り替え要求を受信したと判定された場合にはS1325へ分岐し、そうでない場合にはS1330へ分岐する。S1325では、送信ノード100は、受信ノード110がパス切り替え要求で指定した通信パスに切り替え、HRPの新しい通信パスとして使用する。そして、送信ノード100は、通信パステーブルから指定された通信パスの変調クラス、受信アンテナ指向角情報を取得し、ビーコン401に格納する。S1330では、送信ノード100は、受信ノード110から受信した制御情報を解析し、受信ノード110からパスサーチ要求を受信したかどうかを判定する。パスサーチ要求を受信したと判定し場合にはS1335へ分岐し、そうでない場合にはS1310へ分岐する。S1335では、送信ノード100は、パスサーチ応答の制御コマンドを下りLRPパケットの制御情報に格納して送信する。その後S1300へ分岐し、パスサーチ処理を実行する。
【0034】
次に、図11(b)を用いて、図11(a)のデータパケット送信処理(S1315)について説明する。送信ノード100は、データソース105から外部インターフェース220を介して非圧縮ビデオデータを受信する(S1400)。送信ノード100は、ビデオエンコーダ225により非圧縮ビデオデータをエンコードし、圧縮ビデオデータを生成する(S1405)。送信ノード100は、非圧縮ビデオデータを下りHRPパケットに格納する(S1410)。また、圧縮ビデオデータを下りLRPパケットに格納する(S1415)。送信ノード100は、タイミン生成部240の生成するタイミングにしたがって、アンテナ指向性の制御を行いながら、下りLRPパケット及び下りHRPパケットの送信処理を行う(S1420)。この送信処理では、まずアンテナをWideモードに設定し、下りLRPパケット405をビーコン401で指定した変調クラスで送信する。次にアンテナを狭指向性モードに設定し、ビーコン401で指定したアンテナ指向角を設定し、下りHRPパケット410を所定の変調クラスで送信する。
【0035】
図12(a)、(b)は、受信ノード110の内部動作を示すフローチャートである。図12(a)、(b)の動作は、制御部305がROM310に記憶されている制御プログラムを実行することにより実行される。
【0036】
図12(a)の受信ノード110の全体動作のフローチャートにおける各ステップについて以下に説明する。受信ノード110は、送信ノード100と共にパスサーチ処理を行うことにより、HRP伝送に最適な通信パスを選択する(S1600)。受信ノード110は、ビーコン401を受信したかどうかを判定し(S1605)、受信した場合にはS1610へ分岐し、そうでない場合には処理を終了する。なお本実施例ではビーコン401はWideモードで、既知の変調クラスを用いて受信するものとする。ビーコン401を受信した場合、受信ノード110は、受信したビーコンのアクセス情報に基づき、タイミング生成部320が生成するタイミングに従ってアンテナ指向性の制御を行い、ビデオデータを含むデータパケットを受信する(S1610)。データパケットを受信すると、HRPの受信状態を判別し、HRPの受信エラーが所定期間継続したかどうかを判定する(S1615)。判定の結果、HRPの受信エラーが所定期間継続していると判定した場合には、S1620へ分岐し、そうでない場合にはS1610へ分岐して再度ビデオパケットの受信を試みる。S1620では、HRPの受信エラーが所定期間継続したため、他の通信パスに切り替えたほうが良いと判断し、他の有効な通信パス候補があるかどうかを通信パステーブルを参照して確認する。確認の結果、有効な通信パスの候補が存在する場合にはS1625へ分岐し、存在しない場合にはS1635へ分岐する。S1625では、受信ノード110は、通信パステーブルから他の有効な通信パスを選択する。そして、パス切り替え要求の制御コマンドを上りLRPパケットの制御情報に格納して送信する(S1630)。このパス切り替え要求には、S1625において選択した通信パスを指定する情報が含まれている。S1635では、パスサーチ要求の制御コマンドを上りLRPパケットの制御情報に格納して送信する。そして、S1600に戻り、受信ノード110は、送信ノード100と共にパスサーチを再度行なう。
【0037】
次に、図12(b)を用いて図12(a)のデータパケット受信処理(S1610)について説明する。受信ノード110は、タイミング生成部320が生成するタイミングに従ってアンテナ指向性の制御を行い、ビデオデータを含む下りLRPパケット及び下りHRPパケットの受信処理を行う(S1700)。まずアンテナをWideモードに設定し、下りLRPパケット405をビーコン401で指定される変調クラスで受信する。次にアンテナを狭指向性モードに設定し、ビーコン401で指定されるアンテナ指向角に設定し、下りHRPパケット410を所定の変調クラスで受信する。そして、下りHRPパケットの受信状態を判別し、下りHRPパケットが正常に受信できたどうかを判定する(S1705)。判定の結果、下りHRPパケットが正常に受信できた場合には、受信した非圧縮ビデオデータをディスプレイに接続された外部インターフェース345に出力する。下りHRPパケットが正常に受信できなかった場合は、下りLRPパケットが正常に受信できたどうかを判定する(S1710)。判定の結果、下りLRPパケットを正常に受信できた場合には、ビデオデコーダ335により下りLRPパケットに格納される圧縮ビデオデータを伸張し、伸張ビデオデータを生成する(S1715)。そして、伸張ビデオデータをディスプレイに接続された外部インターフェース345に出力する(S1720)。下りLRPパケットを正常に受信できた場合、つまり、下りHRPパケット、下りLRPパケット共にエラーはあり、正常に受信できなかった場合には、処理を終了する。
【0038】
なお、本実施形態ではHRP及びLRPに互いに異なるアンテナ指向性を適用することにより、互いに異なる通信パスを適用しているが、これに限定されるものではない。例えばアンテナ指向性制御を行わず、単にHRP及びLRPに互いに異なる変調クラスを適用することにより通信パスの特性に違いを持たせる構成であっても良い。また本実施形態はHRP及びLRPの通信は、時分割多重、周波数分割多重、符号分割多重、空間分割多重の何れかにより多重される構成であっても良い。また、上記例では、ビデオデータを例にしたが、音声データ、その他のデータであってもよい。特に、リアルタイム性が要求されるデータ伝送に本発明は有効である。
【0039】
以上のように、同じデータを高速伝送チャネルと低速伝送チャネルで並行して伝送し、通常は高速伝送チャネルのデータを利用するが、高速伝送チャネル遮断時には低速伝送チャネルのデータを利用する。これにより、高速伝送チャネルの遮断時でもデータ再生の瞬断を低減することができる。また高速伝送チャネルの遮断により、新たな通信パスの探索が必要になる場合において、再生が停止してしまうことを低減することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 送信ノード
105 データソース
110 受信ノード
115 ディスプレイ
120,121 LRP通信パス
125 HRP通信パス
130 遮蔽物
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオデータ等のデータを伝送する通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオデータや音声データの伝送技術として、広い帯域幅が利用でき高速無線伝送が可能である60GHz帯を使用したミリ波無線技術が注目されている。ミリ波無線は光に近い性質を持ち、直進性が高いという特徴から、人間等の遮蔽物が通信パスを横切った際に簡単に通信が途切れてしまう。
【0003】
ミリ波無線技術の標準規格であるWirelessHD規格では、高速伝送チャネルであるHRP (High Rate PHY)と、低速伝送チャネルであるLRP(Low Rate PHY)を規定している。HRPは狭指向性のアンテナを用いるため、通信パスの到来方向は限定されるが、高いゲインが得られ、非圧縮ビデオデータ等の高レートのデータ伝送に用いられる。一方LRPは低レートで広指向性のアンテナを用いるため、HRPと比較して通信パスの到来方向が限定されず途切れにくく、圧縮ビデオデータや制御データ等の伝送に用いられる。更にWirelessHDでは、通信パスの遮断を検出した際に、壁の反射等を利用した別の通信パスに切り替え、通信を復帰する手法が取られる。
【0004】
このようにWirelessHDでは、HRPとLRPのどちらか一方のチャネルを選択して使い分け、更に通信パスの遮断検出時に通信パスを切り替えることにより、前述のミリ波の問題点に対処している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】WirelessHD Specification Version 1.0 Overview (http://www.wirelesshd.org/pdfs/WirelessHD_Full_Overview_071009.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、WirelessHDのようにビデオデータ伝送中に通信パスの遮断を検出して通信パスを切り替えると、一瞬ビデオ再生が乱れてしまう。また、通常、通信パスの切り替え動作を高速に行うために切り替え先の通信パスを予め探索しておくが、伝送路の状態が大きく変化した場合には切り替え先の通信パスが有効でなくなる場合がある。その場合には、再度有効なパスを探索しなおす必要があり、長時間にわたってビデオ再生が停止してしまう。
【0007】
本発明は、通信装置間でデータを伝送する際に、データ再生の乱れや途切れを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は、所定のデータを通信する際に、高速伝送チャネルと低速伝送チャネルとを平衡して通信するようにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信パスが遮断されても、受信したデータを再生する際の瞬断、停止を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】システム構成例を表す図
【図2】送信ノードのブロック図
【図3】受信ノードのブロック図
【図4】アンテナ制御の説明図
【図5】通信フレーム構成図
【図6】システム全体動作のシーケンス図
【図7】パス切り替え起動時のシーケンス図
【図8】パスサーチ起動時のシーケンス図
【図9】パスサーチ処理のフローチャート
【図10】通信パステーブルの構成図
【図11】送信ノード処理のフローチャート
【図12】受信ノード処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は本実施形態における無線通信システムの構成例を表す図である。本システムでは、2つのノード間でビデオデータを無線伝送する。無線伝送の方式は、WirelessHD(非特許文献1)を利用するものとする。
【0012】
送信ノード100はビデオデータの送信元である通信装置であり、データソース105から取得したビデオデータを無線リンクを介して送信する。本構成では、送信ノード100はデータソース105に直接接続されているが、必ずしも直接接続されている必要は無い。受信ノード110はビデオデータの宛先側の通信装置であり、無線リンクを介して受信したビデオデータを、ビデオを表示するためのディスプレイ115に出力する。本実施例におけるノードは、指向性アンテナを備え、高速伝送チャネル(以下、HRP)及び低速伝送チャネル(以下、LRP)を用いて、アンテナ指向性を切り替えながらビデオデータを無線伝送することが可能である。120と121はLRPの通信パス、125はHRPの通信パスを示している。LRPの通信パスとHRPの通信パスとは平衡して同じビデオデータを送信する。LRPは低速だが広指向性で伝送されるため、無線信号は広範囲に伝播し、120と121のように複数の通信パスを介して受信ノードに到来する。HRPは高速だが狭指向性で伝送されるため、通信パスの到来方向は限定され、125のように単一の通信パスを介して受信ノードに到来する。130は通信パスを遮断する遮蔽物を示している。
【0013】
図2は、送信ノード100の内部構成を示したブロック図である。201はROM210に記憶されている制御プログラムを実行し、送信ノード100内の全体の動作を制御する制御部である。240は無線データの送受信処理のタイミングを生成するためのタイミング生成部である。210は送信ノード100の制御プログラムや不揮発性のパラメータを格納するためのROMである。215は揮発性のパラメータや一時データを格納するためのRAMである。216は非圧縮のビデオデータである。217は圧縮ビデオデータである。218はHRPの有効な通信パスの情報を示す通信パステーブルである。216〜218は全てRAM215に保存されるデータである。220はメディアプレーヤー等の外部機器と接続し、ビデオデータを受信するための外部インターフェース部である。225は非圧縮ビデオデータから圧縮ビデオデータを生成するビデオエンコーダである。226はビデオエンコード処理時間を記憶し、出力される非圧縮データを、ビデオエンコード処理時間分の所定時間遅延させるディレイブロックである。230は無線データの送受信を行う無線通信部である。231はHRPパケットの送受信処理を行うための第1の通信部であり、HRP処理部である。232はLRPパケットの送受信処理を行うための第2の通信部であり、LRP処理部である。234は無線信号を送受信するためのアンテナ部である。233はアンテナ部234の指向角を制御するためのアンテナ制御部である。235は無線プロトコルの制御コマンドやメッセージを処理するための制御情報処理部である。236は無線通信システム全体のアクセス情報を管理し、ビーコンとして送信するビーコン処理部である。ビーコンには、フレーム同期捕捉用のユニークワードや、無線媒体にアクセスするノードの識別子、各ノードが送受信するパケットで適用するアンテナ指向角や変調クラス等のアクセス情報が含まれる。ここでは、変調クラスとは変調方式と符号化方式の組み合わせを示す。
【0014】
次に、ビデオデータ送信時の各ブロック間の関係について説明する。送信ノード100は、外部インターフェース部220を介して非圧縮のビデオデータ216を外部機器から受信する。ビデオエンコーダ225は、非圧縮のビデオデータ216をエンコードし、圧縮ビデオデータ217を生成する。非圧縮ビデオデータ216はHRP処理部231に、圧縮ビデオデータ217はLRP処理部232に渡される。非圧縮ビデオデータ216は、圧縮ビデオデータとの出力時間差を保証するため、ディレイブロック226によりエンコード処理時間分の遅延が与えられて出力される。非圧縮ビデオデータ216はHRP処理部231によりHRPパケットに格納され、圧縮ビデオデータ217はLRP処理部232によりLRPパケットに格納される。また、通信パステーブル218に基づき、HRPパケット及びLRPパケットのアクセス情報がビーコン処理部236により生成され、ビーコンに格納される。そして、通信パステーブル218の情報に基づき、アンテナ制御部233がアンテナ234の指向性をタイミング生成部240の生成するタイミングで制御しながらビーコン、HRPパケット及びLRPパケットの無線伝送を行う。
【0015】
図3は、受信ノード110の内部構成を示したブロック図である。305はROM310に記憶されている制御プログラムを実行し、受信ノード110内の全体の動作を制御する制御部である。310は受信ノード110の制御プログラムや不揮発性のパラメータを格納するためのROMである。315は揮発性のパラメータや一時データを格納するためのRAMである。316は非圧縮のビデオデータである。317は圧縮ビデオデータである。318は伸張ビデオデータである。319はHRPの有効な通信パスの情報を示す通信パステーブルである。316〜319は全てRAM315に保存されるデータである。320は無線データの送受信処理のタイミングを生成するためのタイミング部である。325は無線データの送受信を行う無線通信部である。326は無線信号を送受信するためのアンテナ部である。327はアンテナ部326の指向角を制御するためのアンテナ制御部である。329はHRPパケットの送受信処理を行うための第1の通信部であり、HRP処理部である。328はLRPパケットの送受信処理を行うための第2の通信部であり、LRP処理部である。330はHRP及びLRPパケットが正しく受信できたかどうかの判定を行うパケット受信判定部である。331は無線プロトコルの制御コマンドや制御メッセージを処理するための制御情報処理部である。332は受信したビーコンのアクセス情報を解析し処理するビーコン処理部である。335は圧縮ビデオデータを伸張し、伸張ビデオデータを生成するビデオデコーダである。336はビデオデコード処理時間を記憶し、出力される非圧縮データを、ビデオデコード処理時間分の所定時間遅延させるディレイブロックである。340は外部インターフェース部に出力するビデオデータを切り替える出力データスイッチである。345はディスプレイ等の外部機器と接続され、ビデオデータを出力する外部インターフェース部である。
【0016】
次に、ビデオデータ受信時の各ブロック間の関係について説明する。受信ノード110は、送信ノードから無線伝送されるビーコンを受信する。ビーコン処理部332により取得したアクセス情報に基づき、アンテナ制御部327がアンテナ326の指向性をタイミング生成部320の生成するタイミングで制御しながらHRPパケット及びLRPパケットを受信する。パケット受信判定部330によりHRPパケット及びLRPパケットの受信判定が行われる。その結果、HRPパケットが正常に受信ができた場合には、HRPパケットに格納されている非圧縮ビデオデータ316を抽出し、RAM315に保存する。また、LRPパケットが正常に受信ができた場合には、LRPパケットに格納されている圧縮ビデオデータ317を抽出し、RAM315に保存する。圧縮ビデオデータ317を受信すると、圧縮ビデオデータ317をビデオデコーダ335により伸張し、伸張ビデオデータ318を生成する。生成した伸張ビデオデータ318は、RAM315に保存する。
【0017】
また、パケット受信判定部330によるパケット受信判定結果に基づき、出力データスイッチ340は外部インターフェース345に出力するビデオデータを決定する。この決定は、HRPパケットが正常に受信ができた場合には、非圧縮ビデオデータ316を出力し、HRPパケットが正常に受信できず、LRPパケットが正常に受信ができた場合には、圧縮ビデオデータ317から生成した伸張ビデオデータ318を出力する。非圧縮ビデオデータ316を出力する際には、伸張ビデオデータ318との出力時間差を保証するために、非圧縮ビデオデータ316はディレイブロック336によりデコード処理時間分の遅延が挿入されて出力される。外部インターフェース部345は、受信した非圧縮ビデオデータ319または伸張ビデオデータ318を外部機器に出力する。
【0018】
図4は、ノードのアンテナ制御を説明するための図である。各ノードはアダプティブ・アレイ・アンテナを備え、アンテナ素子から送受信される無線信号の位相を制御することにより、狭指向性モード350と広指向性(Wide)モード360を切り替えることが出来る。狭指向性モード350では、例えば図示されるように0°〜180°の範囲を15°ステップの分解能で制御し、アンテナ指向角パターンのビームを形成することが出来る。これにより送受信時に高いゲインを得ることができるが、利用できる通信パスの範囲は限定される。本例では理解を容易にするために前述の構成をとっているが、狭指向性モード350におけるアンテナ指向角の範囲及びアンテナ指向角の分解能はこの限りではない。Wideモード360では例えば図示されるように0〜180°の範囲の広い指向角をカバーするが、狭指向性モード350と同様、指向角の範囲はこの限りではない。Wideモード360は、狭指向性モード350と比較し送受信時のゲインは劣るが、利用できる通信パスの範囲は広がる。本実施例ではHRPは送信ノードと受信ノードの少なくともどちらか一方が狭指向性モード350での送受信を行い、データ容量が小さいLRPはWideモード360での送受信を行う。
【0019】
図5は、本実施形態の無線通信システムにおける通信フレームの例であるスーパーフレーム400の構成を示す図である。スーパーフレーム400はビデオデータの有効期間である繰り返し周期で送信される。スーパーフレーム400は、ビーコン401、下りLRPパケット405、下りHRPパケット410、上りLRPパケット415から構成される。ここで”下り”と”上り”という言葉は2つのノード間の通信方向を示す表現である。送信ノード100から受信ノード110への通信方向を”下り”、受信ノード110から送信ノード100への通信方向を”上り”と定義する。ビーコン401、下りLRPパケット405、下りHRPパケット410は、送信ノード100が送信する。下りLRPパケット405は制御情報と圧縮ビデオデータを送信する。下りHRPパケット410は非圧縮ビデオデータを送信する。上りLRPパケット415は受信ノード110が送信し、制御情報を送信する。本実施例では、ビデオデータの片方向通信を想定しているため、上りHRPパケットをスーパーフレーム400に含まれていないが、双方向通信の場合にはスーパーフレーム400に上りHRPパケットも含まれる。またパケットの配置方法はこの限りではなく、例えば上りLRPパケットが先頭に配置されても良い。
【0020】
各パケットに含まれる情報要素について説明する。ビーコン401には、フレーム同期捕捉用のユニークワード、無線媒体にアクセスするノードの識別子、各ノードが送受信するパケットで適用するアンテナ指向角、変調クラスといったアクセス情報が含まれる。受信ノード110はビーコン401を受信しフレーム同期を取ると共に、ビーコン401内のアクセス情報に基づきアンテナ指向角や変調クラスを制御することにより送信ノード100からのLRP、HRPのデータパケットを受信する。下りLRPパケット405は、送信ノード100が制御情報と圧縮ビデオデータを送信するパケットである。LRPプリアンブル420には、下りLRPパケット405のシンボル同期捕捉用の既知信号が含まれる。LRPヘッダ425には、下りLRPパケット405に含まれるペイロードの数や各ペイロードの長さといった下りLRPパケット405全体の情報が含まれる。下りLRPペイロード1(430)には、パス切り替えやパスサーチ用の制御コマンド、パスサーチ時のトレーニングシーケンスといった制御情報が必要に応じて含まれる。LRPペイロード2(435)には、圧縮ビデオのデータが含まれる。CRC440は、下りLRPパケット405の誤り検出用の符号である。
【0021】
下りHRPパケット410は、送信ノード100が非圧縮ビデオデータを送信するパケットである。HRPプリアンブル445 には、下りHRPパケット410のシンボル同期捕捉用の既知信号が含まれる。HRPヘッダ450には、下りHRPパケット410に含まれるペイロードの数、各ペイロードの長さといった下りHRPパケット410全体の情報が含まれる。下りHRPペイロード455には、非圧縮ビデオのデータが含まれる。CRC460は、下りHRPパケット410の誤り検出用の符号である。本実施例では、下りHRPパケット410の誤り検出結果に基づき、再生するビデオに非圧縮ビデオデータを用いるか、圧縮ビデオデータ(伸張ビデオデータ)を用いるかを決定する。
【0022】
上りLRPパケット415は、受信ノード110が制御情報を送信するパケットである。LRPプリアンブル465 には、上りLRPパケット415のシンボル同期捕捉用の既知信号が含まれる。LRPヘッダ470には、上りLRPパケット405に含まれるペイロードの数、各ペイロードの長さといった上りLRPパケット405全体の情報が含まれる。上りLRPペイロード475には、パス切り替えやパスサーチ用の制御コマンド、パスサーチ時のトレーニングシーケンスといった制御情報が含まれる。CRC480は、上りLRPパケット415の誤り検出用の符号である。
【0023】
図6は、本システムの制御動作を説明する図である。送信ノード100と受信ノード110は、ビデオデータの伝送に先立ち、HRPの最適な通信パスを探索するために、パスサーチ処理S1000を実行する。パスサーチ処理では、LRPの制御コマンドやトレーニングシーケンスを使用して、各送受信アンテナ指向角の通信品質の測定を行う。その測定結果に基づき、ビデオデータの伝送に有効な通信パスをリストアップし、通信パステーブル218、319としてRAM215、315に保存する。そして通信パステーブル218、319の中から、最適な通信パスを選択し、送信ノード100における送信アンテナ指向角、受信ノード110における受信アンテナ指向角、HRPの変調クラス等のアクセス情報を決定する。決定された新規通信パスのアクセス情報は、ビーコン401を使用して、送信ノード100及び受信ノード110間で共有する(S1001)。
【0024】
続いて、送信ノード100と受信ノード110はビデオデータの伝送を行う。S1005〜S1030のシーケンスでは、受信ノード110がHRPとLRPを正しく受信できた場合の処理を示している。データソースは非圧縮ビデオデータを送信ノード100に送信する(S1005)。送信ノード100は受信した非圧縮ビデオデータをエンコードし、圧縮ビデオデータを生成する(S1010)。送信ノード100は、LRPを使用して圧縮ビデオデータを送信し(S1015)、また、HRPを使用して非圧縮ビデオデータを送信する(S1020)。受信ノード110はLRP、HRP共に受信に成功しているため、非圧縮のビデオデータをディスプレイに出力する(S1025)。ビデオデータを受信したディスプレイは、非圧縮のビデオデータを再生する(S1030)。
【0025】
S1035〜S1065のシーケンスでは、受信ノード110がHRPを正しく受信できない場合の処理を示している。S1035〜S1050までの処理は、S1005〜S1020までの処理と同じである。このシーケンスでは、受信ノード110はLRPの受信は成功しているが、HRPの受信に失敗しているため、受信ノード110は、圧縮ビデオデータをデコードして伸張ビデオデータを生成する(S1055)。そして、受信ノード110は、伸張ビデオデータをディスプレイに出力する(S1060)。伸張ビデオデータを受信したディスプレイは、伸張ビデオデータを再生する(S1065)。以上のシーケンスにより、受信ノード110がHRPの非圧縮ビデオデータを正しく受信できない場合においても、同時に伝送しているLRPの圧縮ビデオデータを利用することにより、ビデオを途切れなく再生できる。
【0026】
次に、HRPの受信エラーを検出した際の、パス切り替えの処理の例を、図7のシーケンス図を用いて説明する。ここでのパス切り替え処理とは、パスサーチの結果に基づき、現在使用中の通信パスとは異なる通信パスに切り替える処理のことを示す。パス切り替え処理は、HRPが正しく受信できないためにLRPの圧縮ビデオデータの再生を行っている状態が一定期間継続下場合に、HRPの通信パスを切り替えるために行われる。HRPの通信パスを切り替え、切り替え先の通信パスにより非圧縮ビデオデータの再生を再開できるようにする。
【0027】
受信ノード110は、HRP受信エラーを所定期間継続して検出すると、別の通信パスへ切り替える必要があると判断し、送信ノード100に対して希望する通信パスを指定してパス切り替え要求を送信する(S1100)。パス切り替え要求を受信した送信ノード100は、指定されら新しい通信パスにおける送信ノード100の送信アンテナ指向角、受信ノード110における受信アンテナ指向角、HRPの変調クラス等のアクセス情報を決定する。決定したアクセス情報は、ビーコン401を使用して、送信ノード100及び受信ノード110間で共有する(S1105)。以後のHRPは新しい通信パスを使用して伝送される。以上のシーケンスによって、HRPが正しく受信できないためにLRPの圧縮ビデオデータの再生を行っていた状態からHRPの通信パスを切り替えることができ、再度HRPの非圧縮ビデオデータの再生を行うことができる。なお本実施例では、パス切り替えのトリガーを受信ノード110が発行する構成となっているが、この限りではなく、送信ノード100がトリガーを発行する構成をとっても良い。
【0028】
次に、HRPの受信エラーを検出した際の、パスサーチの処理の例を、図8のシーケンス図を用いて説明する。受信ノード110は、HRPの受信エラーを所定期間継続して検出すると、S1100、S1105の手順を実行し、通信パスの切り替えを行う。通信パスの切り替え実行したにも関わらず、HRPの受信エラーが継続する場合には、HRPの受信が成功するまで更に別の通信パスへの切り替えを行う。全ての有効通信パスの伝送を試行し、なおHRPの受信が失敗する場合には、受信ノード110はパスサーチ要求を送信する(S1120)。パスサーチ要求を受信した送信ノード100は、パスサーチ応答を送信し(S1125)、パスサーチ処理を再度実行し(S1000)、新たな有効通信パスの探索を行う。以上のシーケンスによって、HRPの有効な通信パスが見つからない場合においても、ビデオ再生を停止することなく、再度パスサーチを実行できる。なお本実施例では、パスサーチ処理のトリガーを受信ノード110が発行する構成となっているが、この限りではなく、送信ノード100がトリガーを発行する構成をとっても良い。
【0029】
図9は、送信ノード100及び受信ノード110におけるパスサーチ処理の動作を示すフローチャートである。パスサーチ処理は、HRP伝送に有効である通信パスを新たに探索する処理である。まず送信ノード100及び受信ノード110は、トレーニング処理(S1200)を行うことにより各送受信アンテナ指向角の通信品質を測定する。トレーニング処理(S1200)では、どちらか一方のノードがトレーニングシーケンスを所定のアンテナ指向角で送信し、それを他方のノードが所定のアンテナ指向角で受信した際の通信品質を測定するという処理を、全てのアンテナ指向角の組み合わせ分繰り返す。なお、送信ノード100から受信ノード110にビデオデータを送信することを考慮すると、送信ノード100がトレーニングシーケンスを所定のアンテナ指向角で送信し、受信ノード110が所定のアンテナ指向角で受信した際の通信品質を測定する方が好ましい。通信品質を示す指標としては一般的にRSSI(受信電界強度)や、CINR(搬送波電力対干渉雑音電力比)等が用いられる。RSSIは、Received Signal Strength Indicatorの略である。CINRは、Carrier to Interference and Noise Ratioの略である。トレーニング処理の結果、所定の通信品質を満たす通信パスの情報をHRPの有効通信パスとして、通信パステーブル218、319に保存する(S1205)。そして通信パステーブル218、319の中から、最も通信品質の良い通信パスを選択する(S1210)。
【0030】
通信パステーブル218、319は、パスサーチ処理を実行した結果生成される、HRP伝送に有効である通信パスの一覧を示すテーブルである(図10参照)。本例では各有効パスごとに、パス番号500、RSSIレベル505、送信アンテナ指向角510、受信アンテナ指向角515、変調方式520と符号化率525をテーブルに保存している。パス番号500は通信パスの識別に使用され、現在使用中の通信パスや、通信パス切り替え時の通信パスの指定等に使用される。RSSIレベル505は通信パスの通信品質のレベルを示しており、高ければ高いほど通信品質が良いことを示している。本例では、RSSIレベルの高い順に通信パスをソートしてある。送信アンテナ指向角510は、通信パスを使用する際の送信ノード100のアンテナ指向角である。受信アンテナ指向角515は、受信ノード110のアンテナ指向角を示す。変調方式520と符号化率525は、RSSIレベル505から妥当だと判断される、当該パスで適用すべき変調クラスを示している。通信パステーブルで選択された通信パスの情報に基づき、送信ノード100及び受信ノード110が送受信動作の制御を行う。なお、図10の通信パステーブルは、HRPの通信パスを選択する際に参照される情報の一例であり、通信パスを選択する際に参照される情報は前述の構成に限定されるものではない。
【0031】
図11(a)、(b)は、送信ノード100の内部動作を示す動作フローチャートである。図11(a)、(b)の動作は、制御部201がROM210に記憶されている制御プログラムを実行することにより実行される。
【0032】
図11(a)の送信ノード100の全体動作のフローチャートにおける各ステップについて以下に説明する。送信ノード100は、受信ノード110と共にパスサーチ処理を行い、HRP伝送に最適な通信パスを選択する(S1300)。通信パステーブルから選択された通信パスのHRPの変調クラス、受信アンテナ指向角情報を、ビーコン401に格納する(S1305)。受信ノード110はこの情報を以ってHRPの受信アンテナ指向角の設定及び復調を行う。
【0033】
送信ノード100は、データソース105からのビデオ伝送が継続しているかどうかを判定する(S1310)。継続している場合には、S1311へ分岐し、継続していない場合には処理を終了する。S1311では、ビーコン401を送信する。ビーコン401は、Wideモードで、既知の変調クラスを用いて送信するものとする。送信ノード100は、アンテナ指向性の制御を行いながら、非圧縮ビデオデータと圧縮ビデオデータを含むデータパケットを送信する(S1315)。送信ノード100は、アンテナをWideモードに設定し、上りLRPパケットに含まれる制御情報を受信する(S1316)。送信ノード100は、受信した制御情報を解析し、受信ノード110からパス切り替え要求を受信したかどうかを判定する(S1320)。パス切り替え要求を受信したと判定された場合にはS1325へ分岐し、そうでない場合にはS1330へ分岐する。S1325では、送信ノード100は、受信ノード110がパス切り替え要求で指定した通信パスに切り替え、HRPの新しい通信パスとして使用する。そして、送信ノード100は、通信パステーブルから指定された通信パスの変調クラス、受信アンテナ指向角情報を取得し、ビーコン401に格納する。S1330では、送信ノード100は、受信ノード110から受信した制御情報を解析し、受信ノード110からパスサーチ要求を受信したかどうかを判定する。パスサーチ要求を受信したと判定し場合にはS1335へ分岐し、そうでない場合にはS1310へ分岐する。S1335では、送信ノード100は、パスサーチ応答の制御コマンドを下りLRPパケットの制御情報に格納して送信する。その後S1300へ分岐し、パスサーチ処理を実行する。
【0034】
次に、図11(b)を用いて、図11(a)のデータパケット送信処理(S1315)について説明する。送信ノード100は、データソース105から外部インターフェース220を介して非圧縮ビデオデータを受信する(S1400)。送信ノード100は、ビデオエンコーダ225により非圧縮ビデオデータをエンコードし、圧縮ビデオデータを生成する(S1405)。送信ノード100は、非圧縮ビデオデータを下りHRPパケットに格納する(S1410)。また、圧縮ビデオデータを下りLRPパケットに格納する(S1415)。送信ノード100は、タイミン生成部240の生成するタイミングにしたがって、アンテナ指向性の制御を行いながら、下りLRPパケット及び下りHRPパケットの送信処理を行う(S1420)。この送信処理では、まずアンテナをWideモードに設定し、下りLRPパケット405をビーコン401で指定した変調クラスで送信する。次にアンテナを狭指向性モードに設定し、ビーコン401で指定したアンテナ指向角を設定し、下りHRPパケット410を所定の変調クラスで送信する。
【0035】
図12(a)、(b)は、受信ノード110の内部動作を示すフローチャートである。図12(a)、(b)の動作は、制御部305がROM310に記憶されている制御プログラムを実行することにより実行される。
【0036】
図12(a)の受信ノード110の全体動作のフローチャートにおける各ステップについて以下に説明する。受信ノード110は、送信ノード100と共にパスサーチ処理を行うことにより、HRP伝送に最適な通信パスを選択する(S1600)。受信ノード110は、ビーコン401を受信したかどうかを判定し(S1605)、受信した場合にはS1610へ分岐し、そうでない場合には処理を終了する。なお本実施例ではビーコン401はWideモードで、既知の変調クラスを用いて受信するものとする。ビーコン401を受信した場合、受信ノード110は、受信したビーコンのアクセス情報に基づき、タイミング生成部320が生成するタイミングに従ってアンテナ指向性の制御を行い、ビデオデータを含むデータパケットを受信する(S1610)。データパケットを受信すると、HRPの受信状態を判別し、HRPの受信エラーが所定期間継続したかどうかを判定する(S1615)。判定の結果、HRPの受信エラーが所定期間継続していると判定した場合には、S1620へ分岐し、そうでない場合にはS1610へ分岐して再度ビデオパケットの受信を試みる。S1620では、HRPの受信エラーが所定期間継続したため、他の通信パスに切り替えたほうが良いと判断し、他の有効な通信パス候補があるかどうかを通信パステーブルを参照して確認する。確認の結果、有効な通信パスの候補が存在する場合にはS1625へ分岐し、存在しない場合にはS1635へ分岐する。S1625では、受信ノード110は、通信パステーブルから他の有効な通信パスを選択する。そして、パス切り替え要求の制御コマンドを上りLRPパケットの制御情報に格納して送信する(S1630)。このパス切り替え要求には、S1625において選択した通信パスを指定する情報が含まれている。S1635では、パスサーチ要求の制御コマンドを上りLRPパケットの制御情報に格納して送信する。そして、S1600に戻り、受信ノード110は、送信ノード100と共にパスサーチを再度行なう。
【0037】
次に、図12(b)を用いて図12(a)のデータパケット受信処理(S1610)について説明する。受信ノード110は、タイミング生成部320が生成するタイミングに従ってアンテナ指向性の制御を行い、ビデオデータを含む下りLRPパケット及び下りHRPパケットの受信処理を行う(S1700)。まずアンテナをWideモードに設定し、下りLRPパケット405をビーコン401で指定される変調クラスで受信する。次にアンテナを狭指向性モードに設定し、ビーコン401で指定されるアンテナ指向角に設定し、下りHRPパケット410を所定の変調クラスで受信する。そして、下りHRPパケットの受信状態を判別し、下りHRPパケットが正常に受信できたどうかを判定する(S1705)。判定の結果、下りHRPパケットが正常に受信できた場合には、受信した非圧縮ビデオデータをディスプレイに接続された外部インターフェース345に出力する。下りHRPパケットが正常に受信できなかった場合は、下りLRPパケットが正常に受信できたどうかを判定する(S1710)。判定の結果、下りLRPパケットを正常に受信できた場合には、ビデオデコーダ335により下りLRPパケットに格納される圧縮ビデオデータを伸張し、伸張ビデオデータを生成する(S1715)。そして、伸張ビデオデータをディスプレイに接続された外部インターフェース345に出力する(S1720)。下りLRPパケットを正常に受信できた場合、つまり、下りHRPパケット、下りLRPパケット共にエラーはあり、正常に受信できなかった場合には、処理を終了する。
【0038】
なお、本実施形態ではHRP及びLRPに互いに異なるアンテナ指向性を適用することにより、互いに異なる通信パスを適用しているが、これに限定されるものではない。例えばアンテナ指向性制御を行わず、単にHRP及びLRPに互いに異なる変調クラスを適用することにより通信パスの特性に違いを持たせる構成であっても良い。また本実施形態はHRP及びLRPの通信は、時分割多重、周波数分割多重、符号分割多重、空間分割多重の何れかにより多重される構成であっても良い。また、上記例では、ビデオデータを例にしたが、音声データ、その他のデータであってもよい。特に、リアルタイム性が要求されるデータ伝送に本発明は有効である。
【0039】
以上のように、同じデータを高速伝送チャネルと低速伝送チャネルで並行して伝送し、通常は高速伝送チャネルのデータを利用するが、高速伝送チャネル遮断時には低速伝送チャネルのデータを利用する。これにより、高速伝送チャネルの遮断時でもデータ再生の瞬断を低減することができる。また高速伝送チャネルの遮断により、新たな通信パスの探索が必要になる場合において、再生が停止してしまうことを低減することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 送信ノード
105 データソース
110 受信ノード
115 ディスプレイ
120,121 LRP通信パス
125 HRP通信パス
130 遮蔽物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータを高速伝送チャネルを介して通信する第1の通信手段と、
前記第1の通信手段による通信の際に、前記所定のデータを低速伝送チャネルを介して通信する第2の通信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記高速伝送チャネルの受信状態を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果に応じて、前記高速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータか、前記低速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータかを選択する選択手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記選択手段により選択したデータを表示するために出力する出力手段を有することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置は、前記高速伝送チャネルにより非圧縮データを通信し、前記低速伝送チャネルにより圧縮データを通信することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記高速伝送チャネルの受信状態と前記低速伝送チャネルの受信状態とを判別し、
前記選択手段は、前記高速伝送チャネルにより前記所定のデータを受信できず、前記低速伝送チャネルにより前記所定のデータを受信できた場合に、前記低速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータを選択することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記高速伝送チャネルと前記低速伝送チャネルに対し互いに異なる通信パスを適用することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記高速伝送チャネルと前記低速伝送チャネルとは互いに異なるアンテナ指向角により通信することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記選択手段により選択した前記所定のデータを出力する出力手段を有し、
前記出力手段は、前記高速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータを、所定時間遅延させて出力することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1の通信手段は、前記所定のデータを所定時間遅延させて送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
前記所定のデータはビデオデータであることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
高速伝送チャネルを介して所定のデータを通信する工程と、
前記高速伝送チャネルを介して前記所定のデータを通信する際に、前記所定のデータを低速伝送チャネルを介しても通信する工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項12】
通信装置を制御するプログラムであって、
高速伝送チャネルを介して所定のデータを通信する工程と、
前記高速伝送チャネルを介して所定のデータを通信する際に、前記所定のデータを低速伝送チャネルを介しても通信する工程と、
を通信装置に実行させるためのプログラム。
【請求項1】
所定のデータを高速伝送チャネルを介して通信する第1の通信手段と、
前記第1の通信手段による通信の際に、前記所定のデータを低速伝送チャネルを介して通信する第2の通信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記高速伝送チャネルの受信状態を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果に応じて、前記高速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータか、前記低速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータかを選択する選択手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記選択手段により選択したデータを表示するために出力する出力手段を有することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置は、前記高速伝送チャネルにより非圧縮データを通信し、前記低速伝送チャネルにより圧縮データを通信することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記高速伝送チャネルの受信状態と前記低速伝送チャネルの受信状態とを判別し、
前記選択手段は、前記高速伝送チャネルにより前記所定のデータを受信できず、前記低速伝送チャネルにより前記所定のデータを受信できた場合に、前記低速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータを選択することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記高速伝送チャネルと前記低速伝送チャネルに対し互いに異なる通信パスを適用することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記高速伝送チャネルと前記低速伝送チャネルとは互いに異なるアンテナ指向角により通信することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記選択手段により選択した前記所定のデータを出力する出力手段を有し、
前記出力手段は、前記高速伝送チャネルにより受信した前記所定のデータを、所定時間遅延させて出力することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記第1の通信手段は、前記所定のデータを所定時間遅延させて送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
前記所定のデータはビデオデータであることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
高速伝送チャネルを介して所定のデータを通信する工程と、
前記高速伝送チャネルを介して前記所定のデータを通信する際に、前記所定のデータを低速伝送チャネルを介しても通信する工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項12】
通信装置を制御するプログラムであって、
高速伝送チャネルを介して所定のデータを通信する工程と、
前記高速伝送チャネルを介して所定のデータを通信する際に、前記所定のデータを低速伝送チャネルを介しても通信する工程と、
を通信装置に実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−213190(P2010−213190A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59561(P2009−59561)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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