説明

通信装置等

【課題】簡単に時刻の設定が可能な通信装置等を提供する。
【解決手段】本発明の通信装置は、携帯端末1と時刻情報を設定可能な電子機器3との間で通信可能な通信装置であって、前記通信装置は、アンテナ及び通信制御部を備え、携帯端末1との間で無線通信を行うNFCインターフェース17と、前記NFCインターフェース17を介して前記携帯端末1から送信される時刻情報を受信し、その受信した前記時刻情報に基づいて前記電子機器3の時刻情報を設定する時刻情報設定手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末から時刻情報を受信して家電製品の時刻設定を行う通信装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から時計機能を備えている家電製品が多数存在する。このような家電製品には、表示パネルが設けられており、この表示パネルには時計機能によって現在時刻が表示される。この現在時刻は、家電製品の筐体に設けられている所定のボタンなどで設定可能となっている。
【0003】
一方、近年では、標準時刻情報を含む標準電波を受信して、その標準時刻情報に基づいて時刻を設定する電波時計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−119049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、仮に、家電製品の時計機能として電波時計を用いた場合、現在時刻の設定が自動的に行われるため便利であるものの、当該家電製品は電波が届く位置に設置する必要がある。
【0006】
しかしながら、電波が届かない位置における家電製品の現在時刻の設定は手動で行わなければならず、このような手動による現在時刻の設定は、ボタン操作等が必要となり手間がかかる。
【0007】
また、家電製品は、ボタン操作により、例えば、タイマ時刻を設定することができるが、一般的にこのタイマ時刻の設定は手動で行うため手間がかかる。
【0008】
一方、時計機能を有する携帯端末が従来から知られており、このような携帯端末により家電製品の時刻の設定が可能であれば便利であるが、異なる機器間における情報の送受信はその仕様が機器毎に異なるため容易にできるものではない。
【0009】
本発明は上記問題を課題の一例として為されたもので、簡単に時刻の設定が可能な通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の通信装置は、携帯端末と時刻情報を設定可能な電子機器との間で通信可能な通信装置であって、前記通信装置は、アンテナ及び通信制御部を備え、携帯端末との間で無線通信を行う通信インターフェースと、前記通信インターフェースを介して前記携帯端末から送信される時刻情報を受信し、その受信した前記時刻情報に基づいて前記電子機器の時刻情報を設定する時刻情報設定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、異なる機器間で情報の送受信が可能であって、容易に携帯端末から電子機器の時刻設定を行うことができる。
【0012】
また、請求項2に記載の通信装置は、請求項1に記載の通信装置において、前記時刻情報は、前記電子機器の動作に応じた識別情報とともに前記携帯端末から送信されることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、異なる機器間で情報の送受信が可能であって、容易に携帯端末から電子機器の動作に応じた時刻設定を行うことができる。
【0014】
また、請求項3に記載の電子機器は、請求項1に記載の通信装置が組み込まれていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、携帯端末から時刻設定を容易に行うことが可能な電子機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、携帯端末を用いて電子機器の時刻設定を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】情報処理システムの概要構成の一例を示す図である。
【図2】携帯電話機2内の機能ブロックの一例を示す概念図である。
【図3】炊飯器4内の機能ブロックの一例を示す概念図である。
【図4】本実施形態における情報処理システムSの現在時刻設定処理についての処理及び情報の流れ等を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は情報処理システムSに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0019】
[1.情報処理システムSの構成等]
まず、図1を参照して、本実施形態における情報処理システムSの構成等について説明する。図1は情報処理システムの概要構成の一例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、情報処理システムSは、携帯端末1と、電子機器3と、を含んで構成される。この携帯端末1と電子機器3とは、NFC(Near Field Communication)インターフェースを介して非接触で相互にデータの送受信が可能になっている。そして、本実施形態の情報処理システムSでは、携帯端末1から送信される時刻情報を電子機器3で受信可能である。
【0021】
ここで、携帯端末1とは、例えば、一般的にハンズフリー可能な携帯電話機2であり、電子機器3とは、時刻情報を設定可能な家電機器であり、例えば、炊飯器4である。また、時刻情報とは、炊飯器4で設定すべき時刻であり、例えば、時計機能に用いられる現在時刻や炊飯器4が有する所定の機能を所定時刻に動作させるためのタイマ時刻等である。
【0022】
なお、本実施形態の情報処理システムSでは、携帯端末1は携帯電話機2をその一例として、電子機器3は炊飯器4をその一例として説明を行う。
【0023】
[1−1.携帯電話機2の構成及び機能]
次に、図2を参照して、本実施形態における携帯電話機2の構成等について説明する。図2は携帯電話機2内の構成の一例を示す概念図である。なお、携帯電話機における一般的な構成や機能については既に公知の技術であるため詳しい説明は省略する。
【0024】
携帯電話機2は、図1に示すように、所定の情報を表示するディスプレイ2aや情報を入力又は選択するための操作キー2bを備え、更に、図示しないが、アンテナ、スピーカ、マイク、等を備えて構成されている。
【0025】
携帯電話機2は、図2に示すように、時計部5、操作部6、NFCインターフェース部8(本願の通信インターフェースの一例)、及びシステム制御部10を備えている。
【0026】
時計部5は、現在時刻の設定及びディスプレイ2aへの現在時刻の表示を行う。この時計部5は、例えば、標準時刻情報信号を含む標準電波を一定時間ごとに読み取り、自動的に時刻を合わせる時計(電波時計)機能を有しており、刻々と変化する現在の時刻情報を示す現在時刻情報を有している。また、この現在時刻情報は、システム制御部10の指示によって読み出され、NFCインターフェース部8に出力される。
【0027】
操作部6は、操作キー2bによりユーザからの操作(指示)を受け付け、例えば、操作キー2bを用いて選択又は入力されるタイマ時刻情報を受け付け、NFCインターフェース部8に出力する。
【0028】
NFCインターフェース部8は、アンテナ8a及びNFC通信制御部8b等で構成されており、炊飯器4との間で無線通信を行う。具体的には、NFCインターフェース部8は、システム制御部10の制御のもとで、上述した現在時刻情報やタイマ時刻情報を炊飯器4のNFCインターフェース部17に送信する。
【0029】
NFCについては公知の技術であるため詳しい説明は省略するが、本実施形態のNFCインターフェースは、13.56MHz帯の近距離無線通信規格で、異なる機器間において非接触でデータ通信を行うことができる。
【0030】
システム制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、当該CPUが、ROMなどに記憶された携帯アプリ(利用者が携帯電話機上で実行したい作業を実施する機能を直接的に有するソフトウェア等)を読み出し実行することにより、携帯電話機2内の各部を統括制御するものである。
【0031】
本実施形態の携帯電話機2は、前記携帯アプリの一例として時刻設定処理用アプリを有している。この時刻設定処理用アプリは、携帯電話機2を用いて、炊飯器4との間で所定の時刻設定を成立させることを実現するためのソフトウェアである。
【0032】
携帯電話機2のシステム制御部10は、この時刻設定処理用アプリの実行により、時計部5から読み出された現在時刻情報、又はユーザによって入力又は選択されたタイマ時刻情報を、前記NFCインターフェース部8を介して、炊飯器4に送信する。
【0033】
なお、これら時刻情報は、炊飯器4で異なる用途に用いられる時刻情報であるため、予め規定された炊飯器4の動作に応じた識別情報に紐付けられる。この識別情報とは、例えば、現在時刻の設定処理又はタイマ時刻の設定処理に予め対応づけられている番号であって、ディスプレイ2aに表示され、ユーザの選択によって特定される。
【0034】
すなわち、システム制御部10では、これらの時刻情報を紐付けられた識別情報(番号)とともにNFCインターフェース部8を介して炊飯器4に送信する。
【0035】
また、時刻情報が予め規定される用途にのみ用いられる時刻情報である場合には、識別情報に紐付けることなく、時刻情報のみを炊飯器4に送信する。
【0036】
なお、携帯端末の一例として本実施形態では携帯電話機2を適用したが、例えばPDA、ポータブルプレイヤー等にも適用可能である。
【0037】
[1−2.炊飯器4の構成及び機能]
次に、図3を参照して、本実施形態における炊飯器4の構成等について説明する。図3は炊飯器4内の構成の一例を示す概念図である。なお、炊飯器4における一般的な構成や機能については既に公知の技術であるため詳しい説明は省略する。
【0038】
炊飯器4は、図1に示すように、所定の情報を表示するディスプレイ12や情報を入力又は選択するための操作キー13等を備えている。
【0039】
炊飯器4は、図3に示すように、現在時刻やタイマ時刻を設定及びこれらの時刻を表示する時計部15、米を炊く(タイマ時刻の設定により米を炊く制御を含む。)制御を行う炊飯部14、NFCインターフェース部17、及びシステム制御部20を備えている。
【0040】
時計部15は、例えば、標準時刻情報信号を含む標準電波を一定時間ごとに読み取り、自動的に時刻を合わせる時計(電波時計)機能を有しており、刻々と変化する現在の時刻情報を示す現在時刻情報を有している。
【0041】
NFCインターフェース部17は、上記携帯電話機2に搭載されているNFCインターフェース部8と同様であって、アンテナ17a及びNFC通信制御部17b等で構成されており、携帯電話機2との間で無線通信を行う。具体的には、NFCインターフェース部17は、システム制御部20の制御のもとで、携帯電話機2から送信される時刻情報を受信する。
【0042】
システム制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROM等を備え、当該CPUが、ROMなどに記憶された炊飯器アプリ(利用者が炊飯器上で実行したい作業を実施する機能を直接的に有するソフトウェア等)を読み出し実行することにより、炊飯器4内の各部を統括制御するものである。
【0043】
本実施形態の炊飯器4は、さらに、時刻設定処理用アプリを有している。この時刻設定処理用アプリは、携帯電話機2を用いて、炊飯器4との間で所定の時刻設定を成立させることを実現するためのソフトウェアである。
【0044】
炊飯器4のシステム制御部20は、この時刻設定処理用アプリの実行により、携帯電話機2から送信される時刻情報を前記NFCインターフェース部17を介して受信し、その受信した時刻情報に基づいて、炊飯器4の時刻設定処理を行う。この時刻設定処理とは、例えば、時計部15によって設定される現在時刻の設定処理やタイマ時刻の設定処理である。
【0045】
具体的には、炊飯器4のシステム制御部20は、受信した時刻情報に紐付けられる識別情報を読み出して、設定すべき時刻情報の処理形態を決定する。この処理形態には、例えば、現在時刻の設定処理やタイマ時刻の設定処理がある。
【0046】
すなわち、識別情報が現在時刻の設定処理に関するものであれば、携帯電話機2から受信した時刻情報に基づいて時計部15の現在の時刻情報を設定する。一方で、識別情報タイマ時刻の設定に関するものであれば、携帯電話機2から受信した時刻情報に基づいて炊飯部14のタイマ時刻を設定する。
【0047】
また、本実施形態の炊飯器4は、一般的に販売されている炊飯器にNFCインターフェース部17と、時刻設定処理用アプリが記憶されたROMと、を搭載させた炊飯器であって、本願の通信装置は、本実施形態の当該NFCインターフェース部17とROM等が組み合わされることによって機能する。
【0048】
なお、電子機器の一例として本実施形態においては炊飯器4を適用したが、例えば、時計機能を有する電話、FAX機器、オーディオ機器、又は給湯器表示用パネル等、更には置時計や壁掛け時計にも適用可能である。即ち、これらの電子機器に本願の通信装置を組み込むことにより、上述した現在時刻の設定処理やタイマ時刻の設定処理が可能となる。従って、本願の通信装置は、種々の電子機器に搭載可能な汎用性のあるモジュール(装置)として利用(開発)することができる。
【0049】
[2.情報処理システムの動作]
次に、図4を用いて、本実施形態における情報処理システムSの動作について説明する。本実施形態は、携帯電話機から送信される時刻情報に基づいて炊飯器2の現在時刻又はタイマ時刻を設定する一例である。図4は本実施形態における情報処理システムSの時刻設定処理についての処理及び情報の流れ等を示すシーケンス図である。
【0050】
図4において、携帯電話機2を用いて炊飯器4の時刻設定処理を行うために、ユーザによる携帯電話機2の操作により、時刻設定処理用アプリが起動されると(ステップS1)、携帯電話機2のシステム制御部10は、時刻を設定すべき用途の種類及び時刻情報のユーザによる入力又は選択(ステップS2)によって識別情報が紐付けられた時刻情報を炊飯器4に送信する。
【0051】
炊飯器4のシステム制御部20は、NFCインターフェース部17によって携帯電話機2から送信される識別情報及び時刻情報を受信し(ステップS3)、当該識別情報に基づいて、時刻情報を設定すべき処理形態を判断する(ステップS4)。この判断の結果、処理形態が現在時刻の設定処理である場合には、ステップS6に進み、携帯電話機2から受信した時刻情報に基づいて、時計部15の現在時刻を設定し、処理を終了する。この現在時刻の設定処理は、例えば、炊飯器4の時計機能により表示される時刻情報を携帯電話機2から受信した時刻情報に置き換えることにより行われる。なお、この現在時刻の設定処理は、携帯電話機2から送信される時刻情報を用いて処理されれば良く、公知の技術を用いた他の設定方法であってもよい。
【0052】
一方で、ステップS4の処理による判断の結果、タイマ時刻の設定処理である場合には、ステップS5に進み、受信した時刻情報に基づいて、設定すべきタイマ時刻を設定し、処理を終了する。
【0053】
本実施形態の情報処理システムSは、上記動作により、上述したように上記NFCインターフェース部8、17との間で時刻情報が送受信され、炊飯器4のシステム制御部20は、携帯電話機2から受信した時刻情報に基づいて炊飯器4の現在時刻、又はタイマ時刻の設定を簡単に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態の情報処理システムSは、上記動作により、電波時計の受信状態が悪い場所に炊飯器4を設置した場合であっても、炊飯器4に携帯電話機2を近づけることで、炊飯器4の現在時刻やタイマ時刻を設定することが可能となり、容易に時刻設定することができ便利である。
【0055】
なお、設定すべき時刻情報が予め規定された処理形態のみである場合には、当該ステップS5による判断工程は必要なく、携帯電話機2から受信した時刻情報に基づいて炊飯器4の現在時刻やタイマ時刻を設定すれば良い。これにより、当該炊飯器4の現在時刻又はタイマ時刻を簡単に設定することができる。
【0056】
また、上述した実施形態では、炊飯器4のシステム制御部20は、携帯電話機2のシステム制御部10から送信される識別情報及び時刻情報に基づいて、時刻情報等を設定するようになっているが、これに限られず、例えば、炊飯器4のシステム制御部20から、所定のタイミング(例えば、60sec毎)で携帯電話機2のシステム制御部10に、上記識別情報及び時刻情報の送信を要求する信号を送信(即ち、ポーリング)するようにしてもよい。
【0057】
また、ユーザによる炊飯器4の操作キー13に基づいて、炊飯器4のシステム制御部20から上記識別情報及び時刻情報の送信を要求する信号を送信するようにしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、通信インターフェースの一例としてNFCインターフェースを適用したがこれに限定されず、任意の通信形態を選択することが可能である。例えば、Bluetooth(登録商標)、WIFI(wireless fidelity)等の無線LAN、非接触ICチップ及びリーダライタ装置を相互に備えることによる非接触通信等を適用することができる。
【0059】
以上に説明したように、上記実施形態の情報処理システムSは、NFCインターフェース部8、17を用いて、携帯電話機2と相互に情報を送受信可能であって、携帯電話機2から送信される時刻情報に基づいて、炊飯器4の現在時刻を設定したり、タイマ時刻を設定したりするものであるから、簡易に炊飯器4の所定の時刻設定を行うことができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。例えば、本実施形態の炊飯器4の時計部15は電波時計によって時刻を表示するものであるが、従来から公知の機械時計や電子時計であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
2 携帯電話機
4 炊飯器
8、17 NFCインターフェース部
S 情報処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と時刻情報を設定可能な電子機器との間で通信可能な通信装置であって、
前記通信装置は、
アンテナ及び通信制御部を備え、携帯端末との間で無線通信を行う通信インターフェースと、
前記通信インターフェースを介して前記携帯端末から送信される時刻情報を受信し、その受信した前記時刻情報に基づいて前記電子機器の時刻情報を設定する時刻情報設定手段と、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記時刻情報は、前記電子機器の動作に応じた識別情報とともに前記携帯端末から送信されることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信装置が組み込まれていることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−42315(P2012−42315A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183441(P2010−183441)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】