説明

通信装置

【課題】簡単な操作で且つ、相手側装置が設置された現地時刻を考慮してデータの送信を行うことができる通信装置を提供すること。
【解決手段】MFP1では、ユーザにより入力されたファクシミリ番号から、相手側装置が設置されている地域を判断し、その相手側装置の現地時刻を算出する。よって、相手側装置の現地時刻を算出する煩雑な作業が不要となる。また、算出された相手側装置の現地時刻が深夜でなければ、そのままデータを送信する一方、深夜であれば、データの送信を行わずに、ユーザに対してデータを送信するか否かの問い合わせ(待機状態)を行っている。よって、相手側装置の現地時刻を考慮して、データを送信するか否かを判断しているので、相手側装置の現地時刻が深夜にも拘わらずデータの送信が行われてしまい、相手先に不快感を与えることを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿に記録された画像を読み取り、その読み取った画像をデータとして記憶し、設定された予約時刻になった場合や、原稿に記録された画像の読み取り後に所定時間が経過した場合に、記憶したデータを送信先に送信するファクシミリ装置が知られている(特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開平8−9127号公報
【特許文献2】特開2002−305637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、設定された予約時刻になった場合や、原稿に記録された画像の読み取り後に所定時間が経過した場合に、記憶したデータを送信先に送信するファクシミリ装置では、相手先のファクシミリ装置が設置された地域の現地時刻を考慮していない。よって、相手先のファクシミリ装置が時差の無い同じ国内や地域に設置されていれば問題はないが、時差を生じる異なる国外や地域に相手先のファクシミリ装置が設置されていると、相手先の現地時刻が深夜であるにも拘わらず画像データが送信されてしまい、相手先に不快感を与えてしまうという問題点があった。
【0004】
また、相手先の現地時刻を考慮して予約をしようとした場合には、全ての相手先の現地時刻との時差を一覧にした表などを用意し、更に、相手先の現地時刻との時差を計算して予約時間を設定しなければならないので、その作業が繁雑となるという問題点があった。
【0005】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡単な操作で且つ、相手側装置が設置された現地時刻を考慮してデータの送信を行うことができる通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載の通信装置は、相手側装置との間でデータの送受信を行うファクシミリ機能を有しており、前記データを送信する相手側装置を特定する特定情報が入力された場合に、その特定情報から前記相手側装置が設置された地域を示す地域情報を取得する取得手段と、その取得手段により取得された地域情報から、前記相手側装置が設置された地域の現地時刻を算出する算出手段と、その算出手段により算出された現地時刻に応じて、前記相手側装置にデータを送信するか否かを判断する判断手段と、その判断手段により前記相手側装置にデータを送信すると判断された場合に、前記算出手段により算出された現地時刻に応じて前記データの送信を行うと共に、前記判断手段により前記相手側装置にデータを送信しないと判断された場合に、前記算出手段により算出された現地時刻に応じたデータの送信を待機する送信制御手段とを備えている。
【0007】
請求項2記載の通信装置は、請求項1記載の通信装置において、前記相手側装置へのデータの送信を待機させる時間帯を記憶する時間帯記憶手段を備え、前記判断手段は、前記算出手段により算出された現地時刻が前記時間帯記憶手段に記憶される時間帯に含まれるかに応じて、前記相手側装置にデータを送信するか否かを判断するものである。
【0008】
なお、請求項2において、時間帯記憶手段は、複数の時間帯を記憶しておき、ユーザが適宜選択可能に構成するものとしても良いし、時間帯記憶手段に記憶される時間帯をユーザが任意に変更可能に構成するものとしても良い。
【0009】
請求項3記載の通信装置は、請求項1又は2に記載の通信装置において、前記相手側装置に送信するデータを記憶するデータ記憶手段を備え、前記送信制御手段は、前記相手側装置へのデータの送信を行う場合に、前記相手側装置が設置された地域の現地時刻に対応した予約時刻を設定する予約設定手段と、前記相手側装置が設置された地域の現地時刻が前記予約設定手段により設定された予約時刻になった場合に、前記データ記憶手段に記憶されたデータを読み出して、その読み出されたデータの送信を行う予約送信手段とを備えている。
【0010】
請求項4記載の通信装置は、請求項1から3のいずれかに記載の通信装置において、前記送信制御手段によって、前記相手側装置への前記現地時刻に応じたデータの送信を待機した場合に、前記相手側装置へのデータの送信を禁止する送信禁止手段を備えている。
【0011】
請求項5記載の通信装置は、請求項1から4のいずれかに記載の通信装置において、通信装置が設置された地域の現在時刻を記憶する現在時刻記憶手段と、相手側装置および通信装置が設置された地域毎の差分時刻を記憶する差分時刻記憶手段とを備え、前記算出手段は、前記取得手段により取得された地域情報から前記相手側装置が設置された地域を設定し、その設定された地域の差分時刻と通信装置が設置された地域の差分時刻とを前記差分時刻記憶手段から取得し、その取得した相手側装置および通信装置の差分時刻の差と、前記現在時刻記憶手段に記憶されている現在時刻とに基づいて、前記相手側装置の現地時刻を算出するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の通信装置によれば、算出手段により算出された相手側装置の現地時刻に応じてデータを送信するか否かを判断し、相手側装置の現地時刻に応じて、相手側装置へのデータの送信を行うと共にデータの送信を待機する。よって、相手側装置の現地時刻を考慮してデータの送信を行うので、例えば、相手側装置の現地時刻が深夜であるにも拘わらずデータが送信されることを防止できるという効果がある。
【0013】
また、ユーザが相手側装置の現地時刻を考慮してデータを送信しようとした場合には、相手側装置の現地時刻は算出手段によって算出されるので、ユーザが時差の一覧表を用意し、その一覧表から相手側装置の現在時刻を算出する必要がなくなり、その結果、作業が繁雑となることを防止できるという効果がある。
【0014】
請求項2記載の通信装置によれば、請求項1記載の通信装置の奏する効果に加え、相手側装置の現地時刻が、時間帯記憶手段に記憶される時間帯に含まれるかに応じて、データを送信するか否かが判断されるので、例えば、時間帯を深夜とすれば深夜にデータが送信されることを防止できるし、時間帯を営業(就労)時間とすれば一般家庭で不在がちな時間帯にデータが送信されることを防止でき、データが第三者に知られる可能性を防止できるという効果がある。また、時間帯記憶手段を設けることで、用途に応じた時間帯を設定可能となり、使い勝手の良い通信装置を提供することができるという効果がある。
【0015】
請求項3記載の通信装置によれば、請求項1又は2に記載の通信装置の奏する効果に加え、相手側装置へのデータの送信を行う場合に、相手側装置の現地時刻に対応した予約時刻が予約設定手段により設定され、その設定された予約時刻となったらデータ記憶手段に記憶されたデータを読み出してデータの送信が行われるので、相手側装置の現地時刻を考慮した予約送信を行うことができるという効果がある。
【0016】
請求項4記載の通信装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の通信装置の奏する効果に加え、相手側装置への現地時刻に応じたデータの送信が待機された場合には、送信禁止手段によりデータの送信が禁止されるので、例えば、相手側装置の現地時刻が深夜である場合に、データが送信されてしまうことを確実に防止することができるという効果がある。
【0017】
請求項5記載の通信装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の通信装置において、通信装置が設置された地域の差分時刻と相手側装置が設置された地域の差分時刻との差と、通信装置が設置された現在時刻とに基づいて相手側装置の現地時刻が算出される。よって、全ての地域の現在時刻を常に計測しつつ記憶する必要がなくなるので、制御負担を軽減できると共に記憶手段の記憶領域を有効利用することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明における一実施形態の通信装置の一つである多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1について説明する。図1は、MFP1の電気的構成を示したブロック図である。
【0019】
なお、本発明は、相手先装置(例えば、ファクシミリ装置)が設置された地域の現地時刻を考慮してデータを送信するか否かを判断し、且つ、相手側装置の現地時刻に対応した時刻に予約送信を行うことができるMFP1に関するものである。また、以下の説明では、MFP1が日本に設置されている場合について説明する。
【0020】
図1に示すMFP1は、通話機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種の機能を有している。なお、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びコピー機能は、MFP1における公知の技術であるので、その詳細な説明は省略する。
【0021】
MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、操作キー15、液晶表示部(以下、「LCD:Liquid Crystal Display」と称す)16、スピーカ17、計時回路18、スキャナ19、プリンタ20、モデム21、NCU(Network Control Unit)22、及び、送受話器23を主に有しており、これらはバスライン27を介して互いに接続されている。
【0022】
CPU11は、ROM12やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラムに従ってバスライン27により接続された各部を制御する演算処理装置である。
【0023】
ROM12は、MFP1で実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶する書換不能なメモリである。ROM12には、基準時刻に対する差分を示す差分時刻が国毎に設定された国別時刻テーブル12aが記憶されている。
【0024】
RAM13は、各種のデータを一時的に記憶するための書換可能なメモリである。RAM13には、ROM12から読み出された国別時刻テーブル12aが記憶される国別時刻テーブル記憶エリア13aが設けられている。
【0025】
なお、国別時刻テーブル記憶エリア13aは、ユーザによりファクシミリ送信の機能が選択された場合に、ROM12から読み出された国別時刻テーブル12aが記憶され、その記憶された国別時刻テーブルは、ファクシミリ送信の開始または後述する予約送信が設定された場合に削除される。また、MFP1の電源立ち上げ時にROM12から国別時刻テーブル12aを読み出して国別時刻テーブル記憶エリア13aに記憶し、電源が遮断されるまで保持するように構成しても構わない。
【0026】
ここで、図4を参照して、国別時刻テーブル12a及び国別時刻テーブル記憶エリア13aに記憶される国別時刻テーブルについて説明する。図4は、国別時刻テーブルを模式的に示した図である。
【0027】
図4に示すように、国別時刻テーブルは、国毎に、世界標準時刻(Greenwich Mean Time(以下「GMT」と略す))との差分を示す差分時刻と、国を特定する国番号(地域情報)と、その国内の地域を特定するエリアコード(地域情報)とが対応付けされて記憶されている。なお、本実施形態では、国として、アメリカ、イギリス、サウジアラビア、日本が例示されており、アメリカは、更に、太平洋、中部、東部と分けられている。
【0028】
国別時刻テーブルは、各国毎に、GMTとの差分時刻が記憶される差分時刻エリア12a1,13a1と、国を数字で示す国番号が記憶される国番号エリア12a2,13a2と、国内の地域を数字で示すエリアコードが記憶されるエリアコードエリア12a3,13a3とで構成されている。
【0029】
なお、エリアコードエリア12a3,13a3における「N/A」の表示は、何らかのデータが記憶されていることを示しており、具体的な数字は省略している。また、エリアコードエリア12a3,13a3における「・・・・」は、更に、複数の国毎のデータが記憶されていることを示している。
【0030】
差分時刻エリア12a1,13a1は、イギリスのGMTを基準時間(±0:00)として、その基準時間からの時差分を示す値が記憶されている。本実施形態では、アメリカ(太平洋)が「−8:00」に設定され、アメリカ(中部)が「−6:00」に設定され、アメリカ(東部)が「−5:00」に設定され、サウジアラビアが「+3:00」に設定され、日本が「+9:00」に設定されている。
【0031】
国番号エリア12a2,13a2は、国番号を示す数値が記憶されており、本実施形態では、アメリカが「1」に設定され、イギリスが「44」に設定され、サウジアラビアが「966」に設定され、日本が「81」に設定されている。
【0032】
なお、国番号とは、電話やファクシミリの番号の先頭に付される数字に対応している。例えば、ファクシミリ番号(特定情報)が「1−***−****−****」であれば、アメリカに対応していることになる。
【0033】
エリアコードエリア12a3,13a3は、国内の地域を示す数値が記憶されており、本実施形態では、アメリカ(太平洋)が「510,650,951,626・・・・」に設定され、アメリカ(中部)が「615,423,931,865・・・・」に設定され、アメリカ(東部)が「307,202,253,306・・・・」に設定されている。
【0034】
なお、エリアコードは、国番号と同様に、電話やファクシミリの番号に付される数字に対応しており、例えば、ファクシミリ番号が「1−650−****−****」であれば、アメリカの太平洋に対応していることになる。
【0035】
上述したように、本実施形態では、全ての国の現地時刻を常に計測しつつ記憶している訳ではなく、国毎の差分時刻を記憶するだけなので、全ての国の現地時刻を計測して記憶する場合に比べて、CPU11の制御負担を軽減できると共にRAM13の記憶領域を有効利用することができる。
【0036】
図1に戻って、MFP(親機)1の電気的構成について説明する。
【0037】
フラッシュメモリ14は書換可能な不揮発性のメモリであり、このフラッシュメモリ14に記憶されたデータは、MFP1の電源オフ後も保持される。フラッシュメモリ14には、現在時刻記憶エリア14aと、予約データ記憶エリア14bと、予約時刻設定値記憶エリア14cと、深夜時間帯記憶エリア14dとが設けられている。
【0038】
現在時刻エリア14aは、計時回路18により算出される現在時刻が記憶されるエリアであり、所定間隔毎(例えば、4msec毎)に更新される。予約データ記憶エリア14bは、データの予約送信が設定された場合に、その送信するデータと、相手側装置のファクシミリ番号と、相手側装置が設置される地域の現地時刻に対応した予約時刻(即ち、相手側装置の現地時刻に対応した予約時刻をMFP1が設置される時刻に変換した時刻)とが記憶されるエリアである。
【0039】
予約時刻設定値記憶エリア14cは、予約送信を行う際の相手側装置への送信時刻が記憶されるエリアである。深夜時間帯記憶エリア14dは、相手側装置へのデータの送信を規制する時間帯が記憶されるエリアである。なお、本実施形態では、予約時刻設定記憶エリア14cには、「9:00」が初期値として設定されており、深夜時間帯記憶エリア14dには、「0:00〜6:00」が初期値として設定されている。また、予約時刻の設定値や深夜時間帯は、複数種類のパターンが記憶されており、任意に選択可能としても良いし、ユーザの操作により変更可能としても良い。
【0040】
操作キー15は、図示しない操作パネルに設けられており、数字ボタンやスタートボタン、機能操作ボタン等から構成されている。ユーザは、操作キー15を操作し、MFP1の電源のオン/オフや、各機能の切り替えや、各種動作の指示を行うことができる。また、操作キー15には、ファクシミリ選択キー15aが設けられており、ユーザによりファクシミリ選択キー15aが操作されると、ファクシミリ機能が実行されるように構成されている。
【0041】
LCD16は、図示しない操作パネルに設けられた液晶の表示部であり、操作キー15の操作に応じたメニューや動作状態などが表示される。さらに、LCD16には、スキャナ機能により読み取られた画像を表示したり、図示しないパーソナルコンピュータから送信されて印刷を行う画像なども表示される。
【0042】
スピーカ17は、状況に応じた各種音声(例えば、操作キー15の操作音やエラー発生時の注意音、着信の呼出音など)を出力するものであり、かかる音声の放音によってユーザに状況を報知することができる。
【0043】
計時回路18は、現在の日時を刻む内部時計を有しており、計時を開始した日時と現在の日時とを比較して所要時間を算出する既知の回路である。
【0044】
スキャナ19は、CPU11からの指示に基づいて、原稿読取台(図示せず)にセットされた原稿から画像の読み取りを行うと共に、その画像をLCD16に表示したりプリンタ20で印刷可能な画像データを生成するものである。このスキャナ19により読み取られた画像データは、MFP1がスキャナモードやコピーモード、ファクシミリモードに設定されている場合には、RAM13またはフラッシュメモリ14における所定の記憶領域に格納される。
【0045】
プリンタ20は、CPU11からの指示に基づいて、給紙カセット(図示せず)内の記録用紙への印刷を行うものである。このプリンタ20は、MFP1がファクシミリモードやスキャナモード、コピーモードに設定されている場合には、上述したRAM13又はフラッシュメモリ14に記憶された画像データに基づいて印刷を行ったり、外部のパーソナルコンピュータから送信された画像データに基づいて印刷を行うものである。
【0046】
なお、本実施形態のプリンタ20は、印刷する画像データに基づいて、選択的にインク滴を吐出することによって、記録用紙上に画像を記録する所謂インクジェット方式の画像記録装置(インクジェット記録装置)で構成されている。
【0047】
モデム21は、CPU11からの指示に基づいて、RAM13やフラッシュメモリ14に記憶される送信データを電話回線網100に伝送可能な画像信号に変調し、NCU22を介して送信したり、電話回線網100からNCU22を介して入力された画像信号を受信し、LCD16に表示したりプリンタ20で印刷可能な画像データに復調するものである。図示しない相手側装置は、電話回線網100を介して接続されている。
【0048】
NCU22は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答、電話回線網100への切断信号の出力などの制御を行うものである。
【0049】
送受話器23は、電話回線網100を介して接続された外部の電話装置と通話を行うための装置であり、音声のアナログ信号(音声データ)をデジタル信号(通話データ)に変換すると共にデジタル信号をアナログ信号に変換するマイク(図示せず)と、音声を外部へ出力(放音)するスピーカ(図示せず)とを有している。
【0050】
次に、図2及び図5を参照して、MFP1のCPU11により実行されるファクシミリ処理について説明する。図2は、MFP1のCPU11により実行されるファクシミリ処理を示したフローチャートであり、図5は、LCD16に表示される表示態様の一例を示した図である。
【0051】
ファクシミリ処理は、ユーザによりファクシミリ選択キー15aが操作された場合に実行される処理である。なお、図示はしていないが、ファクシミリ処理が実行されると、ROM12から国別時刻テーブル12aが読み出されて、国別時刻テーブル記憶エリア13aに記憶される。
【0052】
ファクシミリ処理が実行されると、ユーザにより送信先番号としての相手側装置のファクシミリ番号が入力されたか否かが確認され(S101)、ユーザにより送信先番号が入力されるまで待機する(S101:No)。
【0053】
S101の処理で、ユーザにより送信先番号が入力されたことが確認されると(S101:Yes)、その入力された相手先番号から国番号およびエリアコードを取得する(S102)。
【0054】
以下の説明では、送信先番号(ファクシミリ番号)の例示として、「1−650−****−****」が入力された場合について説明する。よって、S102の処理では、国番号として「1」が取得され、エリアコードとして「650」が取得される。
【0055】
S102の処理で、国番号(「1」)とエリアコード(「650」)とが取得されると、その取得した国番号(「1」)とエリアコード(「650」)を検索キーとし、国別時刻テーブル記憶エリア13aに記憶される国別時刻テーブルを参照して、送信先の差分時刻を取得する(S103)。
【0056】
即ち、S103の処理では、図4に示す国別時刻テーブルを参照し、国番号(「1」)とエリアコード(「650」)に対応する差分時刻を検索する。本実施形態では、アメリカ(太平洋)の国番号が「1」であり、エリアコードに「650」が含まれるので、差分時刻として「−8:00」が取得される。
【0057】
S104の処理では、MFP1が設置される送信元の現在時刻および差分時刻とが取得される(S104)。現在時刻は、現在時刻記憶エリア14aから取得され、差分時刻は、国別時刻テーブルの日本の差分時刻である「+9:00」が取得される。
【0058】
S105の処理では、S104の処理で取得された送信元の現在時刻および差分時刻(「+9:00」)と、S103の処理で取得された送信先の差分時刻(「−8:00」)とから送信先の現地時刻を算出する。
【0059】
即ち、S105の処理では、日本に対してアメリカ(太平洋)の時差が、「−17:00」となるので、日本の現在時刻から17時間分を減算することで、アメリカ(太平洋)の現地時刻が算出される。
【0060】
S105の処理で、送信先の現地時刻が算出されると、その算出された現地時刻が深夜時間帯記憶エリア14dに記憶される時間帯に含まれるか否か、即ち、深夜であるか否かが確認され(S106)、深夜でなければ(S106:No)、そのままファクシミリ送信処理を実行して(S109)、本処理を終了する。なお、深夜時間帯記憶エリア14dには、「0:00〜6:00」の時間帯が記憶されているので、現地時間が「0:00〜6:00」の範囲外であれば、そのままデータの送信が行われることになる。
【0061】
一方、S106の処理で、相手側装置の現地時刻が深夜時間帯記憶エリア14dに記憶される時間帯に含まれており深夜であると判別されると(S106:Yes)、データの送信を直ぐに行わずに待機状態となる。
【0062】
そして、S107の処理で、データの送信を実行するか否かの問い合わせをLCD16に表示する(S107)。S107の処理で実行される問い合わせは、図5(a)に示すように、「先方は**時ですが送信してもよろしいですか?」となり、「**」には、S105の処理で算出された現地時刻が表示される。よって、ユーザは、問い合わせに対して、操作キー15を操作して、そのまま送信するか送信しないかの選択を行う。
【0063】
S108の処理では、ユーザによってデータをそのまま送信することが選択されたか否かが確認され(S108)、ユーザによる選択がデータの送信であれば(S108:Yes)、ファクシミリ送信処理を実行し(S109)、本処理を終了する。
【0064】
一方、S108の処理で、ユーザによる選択がそのままデータを送信しないであれば(S108:No)、次に、予約送信の問い合わせをLCD16に表示する(S110)。S110の処理で実行される問い合わせは、図5(b)に示すように、「先方へ明日の**時に届くように送信予約しますか?」であり、「**」には、予約時刻設定値記憶エリア14dに記憶されている時刻(例えば9時)が表示される。よって、ユーザは、問い合わせに対して、操作キー15を操作して、予約送信を実行するかしないかの選択を行う。
【0065】
S111の処理では、ユーザによる選択が予約送信を行うものであったか否かが確認され(S111)、ユーザによる選択が予約送信の実行であれば(S111:Yes)、送信すべきデータと、相手側装置のファクシミリ番号と、予約送信を実行する予約時刻とを予約データ記憶エリア14bに記憶し(S112)、本処理を終了する。
【0066】
なお、S112の処理で、予約データ記憶エリア14bに記憶される予約送信時刻は、MFP1が設置されている日本の時刻に変換した値が記憶される。つまり、アメリカ(太平洋)の現地時刻の9時に予約送信を行う場合には、朝方の4時(9時に対して17時間を加算した時刻)が設定される。
【0067】
一方、S111の処理で、ユーザによる選択が予約送信の未実行であれば(S111:No)、ファクシミリ中止処理を実行して(S113)、データの送信を行わずに(禁止して)、本処理を終了する。
【0068】
なお、上述したように、ファクシミリ処理の終了時には、国別時刻テーブル13aに記憶される国別時刻テーブルは削除される。
【0069】
次に、図3を参照して、ユーザにより予約送信が設定された場合に実行される予約送信処理について説明する。図3は、MFP1のCPU11により実行される予約送信処理を示したフローチャートである。この予約送信処理は、ユーザにより予約送信の設定がなされた後に、所定時間(例えば4msec)毎に実行される処理である。
【0070】
予約送信処理が実行されると、現在時刻記憶エリア14aに記憶される現在時刻を取得し(S201)、その取得した現在時刻が予約データ記憶エリア14bに記憶されている予約時刻となったか否かが確認される(S202)。
【0071】
S202の処理の結果、現在時刻が予約時刻になっていなければ(S202:No)、そのまま本処理を終了し、現在時刻が予約時刻に達していれば(S202:Yes)、予約データ記憶エリア14bから送信先番号および送信すべきデータを取得する(S203)。
【0072】
そして、S203の処理で取得した送信先番号に対して、取得したデータを送信するファクシミリ送信処理を実行し(S204)、本処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態のMFP1では、ユーザにより入力されたファクシミリ番号から、相手側装置が設置されている地域を判断し、その相手側装置の現地時刻を算出する。そして、相手側装置の現地時刻が深夜でなければ、そのままデータを送信する一方、相手側装置の現地時刻が深夜であれば、データの送信を行わずに、ユーザのデータを送信するか否かの問い合わせ(待機状態)を行っている。よって、相手側装置の現地時刻を考慮して、データを送信するか否かを判断しているので、相手側装置の現地時刻が深夜にも拘わらずデータの送信が行われてしまい、相手先に不快感を与えることを抑制することができる。
【0074】
また、相手側装置の現地時刻は、国別時刻テーブルに記憶される差分時刻に基づいて算出されるので、ユーザが国毎の時差を一覧にした表を用意し、その一覧表から相手側装置の現在時刻を算出する必要がなくなり、繁雑な作業を不要にすることができる。
【0075】
さらに、ユーザによる選択が、深夜にデータを送信しない場合には、予め定めた予約時刻にデータを送信するか否かの問い合わせを行い、予約送信の実行を可能としているので、相手側装置の現地時刻に対応した予約時刻を算出する必要がなくなり、予約送信のための煩雑な作業を不要にすることができる。
【0076】
また、ユーザによる選択が、深夜にデータを送信せずに予約送信も行わない場合には、ファクシミリ送信が中止(禁止)されるので、深夜にデータが送信されることを確実に防止することができる。
【0077】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0078】
例えば、上記実施形態では、相手側装置の現地時刻が深夜であれば、データの送信を実行するか否かの問い合わせを表示するものとしたが、LCD16に「先方は**時なので送信できません」と表示して、ファクシミリ送信を中止するように構成しても良い。
【0079】
また、上記実施形態では、深夜時間帯記憶エリア14dには、相手側装置にデータを送信しない深夜の時間帯を記憶するものとしたが、時間帯を営業(就労)時間とし、一般家庭で不在がちとなる時間帯にデータが送信されることを防止して、データが第三者に知られる可能性を防止するように構成しても良い。即ち、時間帯記憶エリア14dに記憶される時間帯を用途に応じて適時変更することで、使い勝手の良いMFP1を提供することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、図3に示す予約送信処理は、ユーザにより予約設定がなされた後所定時間毎に実行されるように構成したが、予約送信処理は常に実行されずに、予約時刻になった場合にのみ実行されるように構成しても良い。例えば、予約時刻になった場合にのみ予約送信処理を実行する方法としては、演算処理装置が有するクロック回路においてカウント数を計測し、予約送信の設定後、カウント数が所定数に達したら予約送信処理を実行するようセットする方法などが例示される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】MFPの電気的構成を示したブロック図である。
【図2】MFPのCPUにより実行されるファクシミリ処理を示したフローチャートである。
【図3】MFPのCPUにより実行される予約送信処理を示したフローチャートである。
【図4】国別時刻テーブルを模式的に示した図である。
【図5】LCDに表示される表示態様の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0082】
1 MFP(多機能周辺装置、通信装置の一部)
11 CPU(送信制御手段の一部)
12a 国別時刻テーブル(差分時刻記憶手段の一部)
13a 国別時刻テーブル記憶エリア(差分時刻記憶手段の一部)
14a 現在時刻記憶エリア(現在時刻記憶手段の一部)
14b 予約データ記憶エリア(データ記憶手段の一部)
14d 深夜時間帯記憶エリア(時間帯記憶手段の一部)
S102 取得手段の一部
S105 算出手段の一部
S106 判断手段の一部
S112 予約設定手段の一部
S113 送信禁止手段の一部
S203,S204 予約送信手段の一部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側装置との間でデータの送受信を行うファクシミリ機能を有する通信装置において、
前記データを送信する相手側装置を特定する特定情報が入力された場合に、その特定情報から前記相手側装置が設置された地域を示す地域情報を取得する取得手段と、
その取得手段により取得された地域情報から、前記相手側装置が設置された地域の現地時刻を算出する算出手段と、
その算出手段により算出された現地時刻に応じて、前記相手側装置にデータを送信するか否かを判断する判断手段と、
その判断手段により前記相手側装置にデータを送信すると判断された場合に、前記算出手段により算出された現地時刻に応じて前記データの送信を行うと共に、前記判断手段により前記相手側装置にデータを送信しないと判断された場合に、前記算出手段により算出された現地時刻に応じたデータの送信を待機する送信制御手段とを備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記相手側装置へのデータの送信を待機させる時間帯を記憶する時間帯記憶手段を備え、
前記判断手段は、前記算出手段により算出された現地時刻が前記時間帯記憶手段に記憶される時間帯に含まれるかに応じて、前記相手側装置にデータを送信するか否かを判断するものであることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記相手側装置に送信するデータを記憶するデータ記憶手段を備え、
前記送信制御手段は、
前記相手側装置へのデータの送信を行う場合に、前記相手側装置が設置された地域の現地時刻に対応した予約時刻を設定する予約設定手段と、
前記相手側装置が設置された地域の現地時刻が前記予約設定手段により設定された予約時刻になった場合に、前記データ記憶手段に記憶されたデータを読み出して、その読み出されたデータの送信を行う予約送信手段とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記送信制御手段によって、前記相手側装置への前記現地時刻に応じたデータの送信を待機した場合に、前記相手側装置へのデータの送信を禁止する送信禁止手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信装置。
【請求項5】
通信装置が設置された地域の現在時刻を記憶する現在時刻記憶手段と、
相手側装置および通信装置が設置された地域毎の差分時刻を記憶する差分時刻記憶手段とを備え、
前記算出手段は、
前記取得手段により取得された地域情報から前記相手側装置が設置された地域を設定し、
その設定された地域の差分時刻と通信装置が設置された地域の差分時刻とを前記差分時刻記憶手段から取得し、
その取得した相手側装置および通信装置の差分時刻の差と、前記現在時刻記憶手段に記憶されている現在時刻とに基づいて、前記相手側装置の現地時刻を算出するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−81761(P2009−81761A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250592(P2007−250592)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】