説明

通信装置

【課題】Fコードによる親展通信にて受信した画像データの扱いを、該親展通信の宛先に対応付けられた使用者に委ねることが可能な通信装置を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置4との間でFAX通信を行ったMFP1は、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に、受信した画像データ及び該画像データの属性情報を対応付けて記憶する。その後、ユーザ識別情報としてのIPアドレスが指定されたリスト送信要求をPC2から受信した場合、MFP1は、指定されているIPアドレスに対応付けられた画像データの属性情報からリスト情報を生成し、生成したリスト情報を要求元のPC2に送信する。更に、画像データが指定された画像送信要求をPC2から受信した場合、MFP1は、送信元のPC2に対して、送信を要求された画像データから変換したPDF形式又はTIFF形式の画像データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Fコード通信により画像データを受信し、外部装置から要求された画像データを要求元である外部装置に送信する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ITU−TS(国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ)で標準化されたG3規格に準拠するファクシミリ通信において、サブアドレス(SUB)、選択ポーリング(SEP)、パスワード(PWD)等のFコードを用いるFコード通信が用いられている。例えば、Fコード通信によって親展通信を行う場合、受信側のファクシミリでは、サブアドレスによって指定されたボックスに画像データが格納される。
【0003】
ファクシミリのボックスには、予め20桁以下のサブアドレスが対応付けられ、必要に応じて20桁以下のパスワードが設定される。ボックスに格納された画像データは、ボックスからの取り出しが指定されたときに画像が形成(印刷)されるほか、自動的に区分けされて使用者のパーソナルコンピュータ上のフォルダに転送されることもある(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−54758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような親展通信では、転送されることなくボックスに格納されている画像データの取り出しが指定されてシートに画像が形成された場合、画像の内容が使用者に視認されれば、画像が形成されたシートの保存を要しないことが多く、紙資源の無駄が生じていた。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、Fコードによる親展通信にて受信した画像データの扱いを、該親展通信の宛先に対応付けられた使用者に委ねることが可能な通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る通信装置は、受信データにサブアドレスが含まれるFコード通信を行って画像データを受信するFAX通信部と、前記サブアドレスに対応するユーザ識別情報を記憶する第1記憶部と、前記FAX通信部がFコード通信を行った場合、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に、受信した画像データ及び該画像データの属性情報を対応付けて記憶する第2記憶部と、外部装置と通信する情報通信部と、該情報通信部が、ユーザ識別情報の指定を伴うリスト送信要求を外部装置から受信した場合、指定されているユーザ識別情報に対応付けられた画像データの属性情報を前記第2記憶部から読み出して、リスト情報を生成する生成部とを備え、前記情報通信部は、前記生成部が生成したリスト情報を前記リスト送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、サブアドレスを用いるFコード通信を行って画像データを受信した場合、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に、受信した画像データ及び該画像データの属性情報を対応付けて記憶する。その後、ユーザ識別情報が指定されたリスト送信要求を外部装置から受信した場合、指定されているユーザ識別情報に対応付けられた画像データの属性情報を読み出してリスト情報を生成し、生成したリスト情報を送信元の外部装置に送信する。
これにより、リスト送信要求を送信した外部装置に対して、該外部装置のユーザ識別情報に対応付けられた画像データを指定するリスト情報が返信される。
【0009】
本発明に係る通信装置は、前記ユーザ識別情報は、前記外部装置の宛先情報を含み、前記情報通信部は、前記受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に含まれる宛先情報を用いて、前記第2記憶部が新たに画像データ及び属性情報を記憶した旨を送信するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、受信した画像データ及び該画像データの属性情報をユーザ識別情報に対応付けて新たに記憶した旨を、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に含まれる宛先情報を用いて外部装置に送信する。
つまり、外部装置のユーザ識別情報が対応するサブアドレスが受信データに含まれるFコード通信が行われて、受信された画像データ及び属性情報が通信装置に記憶されたことが、外部装置に対して通知される。
従って、外部装置では、Fコード通信によって画像データが受信及び記憶された旨を、例えばポップアップ等にてユーザに報知することができる。
【0011】
本発明に係る通信装置は、前記FAX通信部が受信した画像データを第2の画像データに変換する変換部を備え、前記第2記憶部は、前記変換部が変換した第2の画像データを記憶するようにしてあり、前記情報通信部は、前記リスト情報を送信した後、画像データの指定を伴う画像送信要求を外部装置から受信した場合、送信を要求された画像データについて前記変換部が変換した第2の画像データを前記第2記憶部から読み出して、前記画像送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、画像データの受信時に、受信した画像データを変換した第2の画像データを記憶する。外部装置へのリスト情報の送信後に、画像データが指定された画像送信要求を受信した場合、該画像送信要求の送信元の外部装置に対して、指定された画像データから変換されて記憶されている第2の画像データを送信する。
これにより、外部装置では、通信装置から受信したリスト情報から指定した画像データについて、例えば、該画像データが表す画像を表示したり、画像データをダウンロードしたりすることができる。
【0013】
本発明に係る通信装置は、前記第2記憶部から画像データを読み出して第2の画像データに変換する変換部を備え、前記情報通信部は、前記リスト情報を送信した後、画像データの指定を伴う画像送信要求を外部装置から受信した場合、送信を要求された画像データについて前記変換部が変換した第2の画像データを前記第2記憶部から読み出して、前記画像送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、外部装置へのリスト情報の送信後に、画像データが指定された画像印刷要求を受信した場合、該画像印刷要求の送信元の外部装置に対して、指定された画像データを第2の画像データに変換して送信する。
これにより、外部装置では、通信装置から受信したリスト情報から指定した画像データについて、例えば、該画像データが表す画像を表示したり、表示のためにダウンロードしたりすることができる。
【0015】
本発明に係る通信装置は、画像データに基づく画像を形成する画像形成部を備え、前記情報通信部が、前記リスト情報を送信した後、画像データの指定を伴う画像印刷要求を受信した場合、前記画像形成部は、印刷を要求された画像データに基づく画像を形成するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、外部装置へのリスト情報の送信後に、画像データが指定された画像印刷要求を受信した場合、指定された画像データに基づく画像を形成する。
これにより、ユーザは、外部装置にて画像データが表す画像の内容を確認した後に、印刷が必要な画像を通信装置に形成させることができる。
【0017】
本発明に係る通信装置は、前記第1記憶部が記憶するユーザ識別情報はパスワードを含み、前記FAX通信部がFコード通信によって受信した受信データにパスワードが含まれる場合、前記受信データに含まれるパスワードと、前記第1記憶部に記憶されているパスワードであって前記受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に含まれるパスワードとを照合する第1照合部を備え、該第1照合部にてパスワードの一致を確認した場合、一致したパスワードに続けて受信した画像データと、一致したパスワードを含む属性情報とを前記第2記憶部に記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、Fコード通信での受信データにパスワードが含まれる場合、受信データに含まれるパスワードと、受信データに含まれるサブアドレスに対応して記憶されているユーザ識別情報に含まれるパスワードとを照合して一致したパスワードを、そのFコード通信にて受信した画像データの属性情報に含めて、受信した画像データと共に記憶する。
これにより、Fコード通信の送信元が設定したパスワードを、後の照合に備えて記憶することができる。
【0019】
本発明に係る通信装置は、前記情報通信部は、パスワードの送信要求を外部装置に送信して、外部装置からパスワードを受信するようにしてあり、前記情報通信部が受信したパスワードと、前記第2記憶部が記憶する属性情報であって前記画像送信要求にて送信を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合する第2照合部を備え、前記情報通信部は、前記第2照合部にてパスワードの一致を確認した場合、送信を要求された画像データの表示用データを前記送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、パスワードの送信要求に対する応答として外部装置から受信したパスワードと、画像送信要求にて送信を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合し、パスワードが一致した場合にのみ、前記画像送信要求の送信元の外部装置に対して、送信を要求された画像データの表示用データを送信する。
これにより、Fコード通信の送信元が設定したパスワードが通知されたユーザに対してのみ、Fコード通信にて受信した画像データから変換された第2の画像データが送信される。
【0021】
本発明に係る通信装置は、前記情報通信部は、パスワードの送信要求を外部装置に送信して、外部装置からパスワードを受信するようにしてあり、前記情報通信部が受信したパスワードと、前記第2記憶部が記憶する属性情報であって前記画像印刷要求にて印刷を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合する第2照合部を備え、前記画像形成部は、前記第2照合部にてパスワードの一致を確認した場合、印刷を要求された画像データに基づく画像を形成するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、パスワードの送信要求に対する応答として外部装置から受信したパスワードと、画像印刷要求にて印刷を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合し、パスワードが一致した場合にのみ、印刷を要求されている画像データに基づく画像を形成する。
これにより、Fコード通信の送信元が設定したパスワードが通知されたユーザからの印刷要求に対してのみ、Fコード通信にて受信したFAX受信原稿が印刷される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ユーザ識別情報が指定されたリスト送信要求を受信した場合、指定されているユーザ識別情報に対応付けられた画像データの属性情報からリスト情報を生成し、生成したリスト情報をリスト送信要求の送信元の外部装置に送信する。
これにより、リスト送信要求を送信した外部装置に対して、該外部装置のユーザ識別情報に対応付けられた画像データを指定するリスト情報が返信される。このため、外部装置では、返信されたリスト情報に基づくリスト表示を行った後に、例えば画像データを指定する操作と、指定された画像データに対する処理操作とを受け付けることができる。
従って、Fコードによる親展通信にて受信した画像データの扱いを、該親展通信の宛先に対応付けられた使用者に委ねることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムのネットワーク構成例を示す模式図である。
【図2】MFPの要部構成を示すブロック図である。
【図3】PCの要部構成を示すブロック図である。
【図4】ユーザに係る情報をMFPに設定するための入力画面の一例を示す説明図である。
【図5】第1記憶部に記憶されているユーザ識別情報の内容の一例を示す説明図である。
【図6A】受信した画像データを記憶してその旨をPCに通知するMFPのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図6B】受信した画像データを記憶してその旨をPCに通知するMFPのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2記憶部に記憶されている画像データ、属性情報等の内容の一例を示す説明図である。
【図8A】MFP及びPC間でHTTPのデータを授受する際のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図8B】MFP及びPC間でHTTPのデータを授受する際のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】PCにおける受信原稿のリスト画面の一例を示す説明図である。
【図10】BOXに記憶された画像データに基づいて受信原稿を印刷するMFPのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】受信した画像データをPCに転送する実施の形態2に係るMFPのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る通信装置を、MFP(デジタル複合機)に適用した実施の形態について詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る通信システムのネットワーク構成例を示す模式図である。図中1はMFPであり、MFP1は、LAN3を介してPC(パーソナルコンピュータ)2,・・2と通信可能に接続されると共に、PSTN(Public Switched Telephone Network;公衆電話回線網)5を介してファクシミリ装置4,・・4と通信可能に接続されている。MFP1とファクシミリ装置4,・・4とは、例えば、イントラネット又インターネットを介して接続されていてもよい。また、LAN3は、標準的な有線のLAN回線のみならず、無線によるLAN回線であってもよく、LAN3以外の通信回線であってもよい。
【0026】
図2は、MFP1の要部構成を示すブロック図である。MFP1はCPU10を備え、CPU10は、プログラムローダ等の情報を記憶するROM11、一時的に発生した情報を記憶するRAM12、及び該RAM12にロードされるプログラム等の情報を記憶するハードディスクからなる内部記憶装置13とバス接続されている。CPU10には、更に、タッチパネル付きのLCDからなる表示部141、及び主としてタッチパネルにより使用者の操作を受け付ける操作部142を有する操作パネル14と、原稿を読み取って画像データを生成する原稿読取部15と、生成された画像データを一時的に記憶する画像メモリ16と、画像データに基づく画像を形成する画像形成部17とがバス接続されている。CPU10は、上記プログラムローダによってRAM12にロードされた制御プログラムに従って、通信装置としての動作に必要な処理を実行する。
【0027】
MFP1は、また、LAN3を介してPC2,・・2と通信するためのLAN・I/F(情報通信部)18と、PSTN5を介してファクシミリ装置4,・・4とファクシミリ通信を行うためのFAX通信I/F(FAX通信部)19とを備え、これらはCPU10とバス接続されている。ファクシミリ通信では、標準的なファクシミリ通信のほか、サブアドレスが含まれたFコードが用いられるFコード通信(以下、単にFAX通信という)を行って、ファクシミリ符号化データからなる画像データを受信するようになっている。
【0028】
内部記憶装置13には、プログラム等の情報が記憶されるほか、サブアドレスに対応するユーザを識別するためのユーザ識別情報(以下、サブアドレスに対応するユーザ識別情報という)を記憶する第1記憶部131と、FAX通信によって受信した画像データ及び該画像データの送信元、受信日時等の属性情報を前記ユーザ識別情報に対応付けて記憶する第2記憶部132とが、記憶領域に含まれている。
尚、第1記憶部131及び第2記憶部132は、内部記憶装置13の1つの記憶領域によって兼用されていてもよい。また、第2記憶部132には、ファクシミリ符号が復号されたイメージデータからなる画像データを記憶するようにしてもよい。復号は、ソフトウェアで行ってもよいし、図示しないコーデックで行ってもよい。
【0029】
CPU10の各機能ブロックは、ソフトウエアによって実現されるものである。生成部101は、第2記憶部132が記憶している画像データを指定するリスト情報を生成する機能を奏する。変換部102は、ファクシミリ符号化データ又はイメージデータからなる画像データを、PDF形式又はTIFF形式の画像データ(第2の画像データ)に変換する機能を奏する。第1照合部103は、受信データに含まれるパスワードと、受信データに含まれるサブアドレスに対応して第1記憶部に記憶されているユーザ識別情報に含まれるパスワードとを照合する機能を奏する。第2照合部104は、LAN・I/F18を介して受信したパスワードと、後述する画像送信要求にて送信を要求されている画像データについて第2記憶部132が記憶している属性情報に含まれるパスワードとを照合する機能を奏する。
【0030】
図3は、PC2の要部構成を示すブロック図である。PC2はCPU20を備え、CPU20は、プログラムローダ等の情報を記憶するROM21、一時的に発生した情報を記憶するRAM22、及び該RAM22にロードされるプログラム等の情報を記憶するハードディスクからなる内部記憶装置23とバス接続されている。PC2は、また、LAN3を介してMFP1と通信するためのLAN・I/F25と、LCDからなる表示部261に接続するための表示I/F26と、キーボード271及びマウス272と接続するための入力I/F27とを備え、これらはCPU20とバス接続されている。CPU20は、上記プログラムローダによってRAM22にロードされた制御プログラムに従って、MFP1と通信する機器としての動作に必要な処理を実行する。
【0031】
さて、上述した構成において、MFP1がファクシミリ装置4とFコード通信を行って、受信した画像データ、及び該画像データの属性情報を第2記憶部132に記憶する場合、そのときまでに各ユーザのユーザ識別情報が第1記憶部131に記憶されている必要がある。
【0032】
図4は、ユーザに係る情報をMFP1に設定するための入力画面の一例を示す説明図である。図4の画面から、PC2,・・2の各ユーザの名前、会社名、所属部署、電話番号、ファックス番号、メールアドレス、対応するサブアドレス及びパスワード等の情報が入力される。MFP1の使用者(例えばシステムの管理者)が、操作部142から文字、数字等を追加・変更する操作を行って「設定」ボタンを押下することにより、表示されている「名前」によって識別されるユーザに係る各情報のうち、ユーザ識別情報に含まれる情報が第1記憶部131に記憶される。
【0033】
ところで、MFP1は、Fコード通信によって受信した画像データを、受信データに含まれるサブアドレスに対応するFコードボックス(以下、BOXともいう)に記憶する機能を備えている。サブアドレスとBOXとは、予め対応付けが登録されている必要があるが、このような登録の操作は、標準的なMFPにて広く行われているものであるため、その説明を省略する。
【0034】
図5は、第1記憶部131に記憶されているユーザ識別情報の内容の一例を示す説明図である。図5では、ユーザA,B,C,・・Iの夫々について、ユーザ名(名前)、対応するサブアドレス及びパスワード、ユーザのメールアドレス、並びにユーザのPC2のIPアドレスの内容が例示されている。例えばユーザBについては、図4に示した内容が反映されている。パスワードは、Fコード通信において必要な場合にのみ設定されるものである。IPアドレスは、図4に示した入力画面とは異なる画面から別途設定されたものである。これらの項目の一部をユーザ識別子として第1記憶部131に記憶するようにしてもよい。ユーザ識別情報の具体的な内容は一例であるため、詳細な説明を省略する。
【0035】
以下では、上述したMFP1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図6A及び図6Bは、受信した画像データを記憶してその旨をPC2に通知するMFP1のCPU10の処理手順を示すフローチャートである。図6Aの処理は、MFP1にてFコード通信を含むファクシミリ通信(以下、FAX通信という)が可能となったときに起動されて、図6Bの処理に引き継がれる。図6Aの処理が起動される際には、RAM12の記憶内容のうち、後述するパスワードが記憶されるべき所定領域の内容が初期化(例えばゼロクリア)される。
【0036】
図6Aの処理が起動された場合、CPU10は、FAX着信が有ったか否かを判定して(S11)、FAX着信が有るまで待機しており(S11:NO)、FAX着信が有った場合(S11:YES)、FAX通信の通信手順を行う(S12)。その後、CPU10は、通信手順における受信データにサブアドレスが含まれるか否かを判定し(S13)、含まれない場合(S13:NO)、標準的なFAX受信を行って(S14)、受信した画像データが表す画像を受信原稿として印刷し(S15)、図6Aの処理を終了する。
【0037】
受信データにサブアドレスが含まれる場合(S13:YES)、CPU10は、受信データに含まれるサブアドレスを一時的にRAM12に記憶する(S16)。次いで、CPU10は、通信手順における受信データにパスワードが含まれるか否かを判定し(S17)、パスワードが含まれる場合(S17:YES)、含まれているパスワードの情報を一時的にRAM12に記憶した(S18)後、パスワードの照合を含めた処理を行うために、図6BのステップS30に処理を進める。
【0038】
受信データにパスワードが含まれない場合(S17:NO)、CPU10は、RAM12に記憶したサブアドレスと同一のサブアドレスが含まれるユーザ識別情報が有るか否かを判定する(S20)。判定対象のユーザ識別情報は、第1記憶部131からその都度読み出してもよいし、判定前に第1記憶部131から読み出してRAM12に記憶するようにしてもよい。
具体的には、例えば受信データに含まれるサブアドレスが「1111111111」である場合、図5より、「ユーザA」を識別するユーザ識別情報に同一のサブアドレスが含まれることが判定される。
【0039】
同一のサブアドレスが含まれるユーザ識別情報が有る場合(S20:YES)、CPU10は、FAX受信を行って(S21)、受信した画像データをPDF形式又はTIFF形式の画像データに変換する(S22)。そして、CPU10は、変換した画像データと、該画像データの送信元、受信日時等の属性情報とを、同一のサブアドレスが含まれるユーザ識別情報に対応付けて第2記憶部132に記憶する(S23)。変換前の画像データは、変換後の画像データと共に第2記憶部132に記憶するが、ユーザ識別情報に対応付けて内部記憶装置13の他の記憶領域に記憶するようにしてもよい。
【0040】
尚、第2記憶部132に記憶される属性情報には、パスワードが記憶されるべきRAM12の所定領域の内容を含めてあるため、CPU10の処理が、ステップS18及び後述するステップS31,S33,S34を経由してステップS21に移った場合、ステップS18でRAM12に記憶されたパスワードが第2記憶部132に記憶される。
【0041】
次に、CPU10は、同一のサブアドレスが含まれるユーザ識別情報からユーザのPC2のIPアドレス(宛先情報)を読み出して、該IPアドレスを有するPC2に画像データを記憶した旨を通知した(S24)後に、図6Aの処理を終了する。MFP1及びPC2間でメール通信が可能な場合は、PC2のIPアドレスに代えてユーザのメールアドレスをユーザ識別情報から読み出して、画像データを記憶した旨をメールにて通知するようにしてもよい。
【0042】
ステップS20で、同一のサブアドレスが含まれるユーザ識別情報がない場合(S20:NO)、CPU10は、同一のサブアドレスに対応付けられたBOXが有るか否かを判定する(S25)。BOXが有る場合(S25:YES)、CPU10は、FAX受信を行って(S26)、受信した画像データをBOXに記憶し(S27)、図6Aの処理を終了する。BOXがない場合(S25:NO)、CPU10は、FAX受信を中断し(S28)、図6Aの処理を終了する。
【0043】
次に、図6Bの処理について説明する。CPU10の処理がステップ
S18からステップS30に移った場合、CPU10は、RAM12に記憶したサブアドレスと同一のサブアドレスが含まれる(即ち、同一のサブアドレスに対応する)ユーザ識別情報が有るか否かを判定する(S30)。ユーザ識別情報が有る場合(S30:YES)、CPU10は、RAM12にパスワードが記憶済み(例えば、ゼロでない値が記憶されている場合)か否かを判定し(S31)、記憶済みでない場合(S31:NO)は、通信手順における受信データにパスワードが含まれない場合と同一の扱いにするために、図6AのステップS21に処理を移す。
【0044】
RAM12にパスワードが記憶済みの場合(S31:YES)、CPU10は、同一のサブアドレスに対応するユーザ識別情報にパスワードが設定されているか否かを判定し(S32)、設定されていない場合(S32:NO)、ステップS18でRAM12に記憶したパスワードを削除した(S33)後、通信手順における受信データにパスワードが含まれない場合と同一の扱いにするために、図6AのステップS21に処理を移す。
【0045】
同一のサブアドレスに対応するユーザ識別情報にパスワードが設定されている場合(S32:YES)、CPU10は、RAM12に記憶したパスワードと、ユーザ識別情報に含まれるパスワードとが一致するか否かを判定し(S34)、一致する場合(S34:YES)、RAM12にパスワードを記憶したまま、図6AのステップS21に処理を移す。これにより、図6AのステップS23では、パスワードが含まれた属性情報が第2記憶部132に記憶される。パスワードが一致しない場合(S34:NO)、CPU10は、FAX受信を中断して(S35)、図6Bの処理を終了する。
【0046】
ステップS30で同一のサブアドレスに対応するユーザ識別情報がない場合(S30:NO)、CPU10は、同一のサブアドレスに対応付けられたBOXが有るか否かを判定し(S36)、BOXがない場合(S36:NO)、FAX受信を中断するために、ステップS35に処理を移す。BOXが有る場合(S36:YES)、CPU10は、RAM12にパスワードが記憶済みか否かを判定し(S37)、記憶済みでない場合(S37:NO)、通信手順における受信データにパスワードが含まれない場合と同一の扱いにするために、ステップS26に処理を移す。
【0047】
RAM12にパスワードが記憶済みの場合(S37:YES)、CPU10は、同一のサブアドレスに対応付けられたBOXにパスワードの設定が有るか否かを判定し(S38)、パスワードの設定がない場合(S38:NO)、通信手順における受信データにパスワードが含まれない場合と同一の扱いにするために、ステップS26に処理を移す。
【0048】
BOXにパスワードの設定がある場合(S38:YES)、CPU10は、RAM12に記憶したパスワードと、BOXに設定されたパスワードとが一致するか否かを判定し(S39)、一致する場合(S39:YES)、通信手順における受信データにパスワードが含まれない場合と同一の扱いにするために、ステップS26に処理を移し、一致しない場合(S39:NO)、FAX受信を中断するために、ステップS35に処理を移す。
【0049】
以上のように図6A及び図6Bの処理では、通信手順における受信データに含まれたサブアドレスと同一のサブアドレスに対応するユーザ識別情報がある場合、又は同一のサブアドレスに対応付けられたBOXがある場合、パスワードが不一致の場合を除いて、受信された画像データが、第2記憶部132又はBOXに夫々記憶されることとなる。
【0050】
図7は、第2記憶部132に記憶されている画像データ、属性情報等の内容の一例を示す説明図である。図7では、FAX通信の時系列順に、受信した画像データの記憶先と、該画像データの送信元、受信日時等の属性情報の内容とが例示されている。属性情報に含まれるパスワードは、通信手順における受信データに含まれていたパスワードであり、上述したステップS23の処理で書き込まれたものである。画像データは、各属性情報に付随するポインタが示す記憶先に記憶されている。画像データを記憶する記憶先は、LAN3に接続された記憶装置(いわゆるネットワークストレージ)であってもよい。
【0051】
第2記憶部132に記憶されている各画像データ及び属性情報は、ステップS23の処理によって第1記憶部131に記憶されている何れかのユーザ識別情報に対応付けられている。ここでは、ユーザ名をキー情報にして対応付けが行われるようにする。即ち、図7では、各画像データ及び属性情報が対応するユーザ識別情報に、ユーザ名が付加されている。但し、対応付けに用いるキー情報は、ユーザ名に限定されない。
このようなキー情報を手掛かりにすることにより、第2記憶部132に記憶された画像データ及び属性情報が対応するユーザ識別情報を容易に抽出することができる。
【0052】
さて、MFP1が受信した画像データ、及び該画像データの属性情報が第2記憶部132に記憶された場合、上述したステップS24の処理により、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザのPC2に対して、画像データが記憶された旨が通知される。PC2では、この通知を受けるための常駐プログラムが予め起動されており、該常駐プログラムによって、例えば、PC2のユーザ宛のFAX受信が完了した旨がポップアップ表示される。
【0053】
上記ポップアップ表示によってFAX受信の完了を認識したPC2のユーザは、ブラウザを起動してMFP1にアクセスすることにより、MFP1に対して、自身宛のFAX通信のリスト表示、指定した受信原稿の表示及び印刷等の処理を要求することができる。
【0054】
例えば、MFP1が、ユーザ識別情報が指定されたリスト送信要求をPC2から受信した場合、MFP1は、指定されているユーザ識別情報に対応付けられた画像データを指定するリスト情報を生成して送信元のPC2に送信する。ここでのユーザ識別情報が複数の情報からなる場合、MFP1が指定されるユーザ識別情報は、ユーザを識別可能な少なくとも1つの情報である。リスト情報を受信したPC2では、リスト情報に基づいて生成されたリスト画面が、ブラウザによって表示部261に表示される。これにより、PC2のユーザは、表示部261に表示させる画像(即ち受信原稿)を表す画像データ、及びMFP1に印刷させる画像データを、ブラウザから選択して指定することができる。
【0055】
以下では、上述したMFP1及びPC2の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図8A及び図8Bは、MFP1及びPC2間でHTTPのデータを授受する際のCPU10及び20の処理手順を示すフローチャートである。MFP1では、初期化の後、図8A及び図8Bに示す処理が常時起動されている。PC2では、ユーザがキーボード271及び/又はマウス272を用いてブラウザを起動させてMFP1にアクセスすることにより、図8Aの処理が開始されて図8Bの処理に引き継がれる。PC2における図8A及び図8Bの処理は、ブラウザとしての処理の一部を、正常ケースについて模式的に示すものである。また、リストからの選択、文字入力等のPC2に閉じる処理は、図示を省略してある。
【0056】
図8Aの処理が開始された場合、PC2のCPU20は、表示部261に表示している画面において、マウス272によるクリック等のボタン操作があったか否かを判定し(S101)、ボタン操作が有るまで待機している(S101:NO)。ボタン操作が有った場合(S101:YES)、CPU20は、操作されたボタンがリスト表示に係るボタンであるか否かを判定し(S102)、リスト表示に係るボタンである場合(S102:YES)、HTTPのリクエストデータとして、リスト送信要求をMFP1に送信する(S103)。
【0057】
一方、MFP1のCPU10は、HTTPのリクエストを受信したか否かを判定して(S40)、受信するまで待機しており(S40:NO)、リクエストを受信した場合(S40:YES)、受信したリクエストデータにリスト送信要求が含まれるか否かを判定する(S41)。リスト送信要求が含まれる場合(S41:YES)、CPU10は、リクエストを送信したPC2のIPアドレスと一致するIPアドレスが含まれるユーザ識別情報を第1記憶部131から抽出し、抽出したユーザ識別情報に対応付けられた画像データの属性情報を第2記憶部132から読み出してリスト情報を生成する(ステップS42)。そして、CPU10は、HTTPのレスポンスデータとして、生成したリスト情報をPC2に送信し(S43)、ステップS40に処理を戻す。
【0058】
具体的には、例えば、リクエストを送信したPC2のIPアドレスが「192.168.100.101」である場合、このIPアドレスが含まれるユーザ識別情報に含まれるユーザ名は、図5より「ユーザA」である。この場合、「ユーザA」をキー情報とする画像データは、図7より画像データ2,4,6であるため、CPU10は、画像データ2,4,6の属性情報を第2記憶部132から読み出して、これらの画像データを指定するリスト情報を生成する。
【0059】
他方、PC2のCPU20は、HTTPのレスポンスを受信して(S104)、HTTPのレスポンスデータに含まれるリスト情報を抽出し、抽出したリスト情報に基づいて、表示部261にリスト画面を表示した(S105)後に、ステップS101に処理を戻す。ここで、リスト画面について説明する。
【0060】
図9は、PC2における受信原稿のリスト画面の一例を示す説明図である。図9に示す画面は、ブラウザのウィンドウに表示されるものであり、8つのタブによってメニューが選択できるようになっている。このうち、図9では、「受信」タブがクリックされた場合の画面例が示されている。この画面では、上述したように、画像データ2,4,6について、図7に示される属性情報の内容が表示されており、画面の左端部には、各画像データを選択するためのチェックボックスが表示されている。尚、本実施の形態1では、「受信回線」は常に「FAX」であり、「文書分類」は常に「Fコード」である。
【0061】
図8Aに戻って、PC2側のステップS102で、操作されたボタンがリスト表示に係るボタンではない場合(S102:NO)、CPU20は、操作されたボタンが原稿表示に係るボタンであるか否かを判定し(S106)、原稿表示に係るボタンではない場合(S106:NO)、操作されたボタンに係る判定を更に行うために、図8BのステップS121に処理を移す。原稿表示に係るボタンである場合(S106:YES)、CPU20は、図9に示すチェックボックスにチェックされた画像データを指定して、HTTPのリクエストデータとして画像送信要求をMFP1に送信する(S107)。
【0062】
一方、MFP1側のステップS41でリクエストデータにリスト情報の取得要求が含まれない場合(S41:NO)、CPU10は、リクエストデータに画像送信要求が含まれるか否かを判定し(S44)、含まれない場合(S44:NO)、更にリクエストデータの内容を判定するために、図8BのステップS51に処理を移す。画像送信要求が含まれる場合(S44:YES)、CPU10は、送信を要求された画像データについて、第2記憶部132に記憶された属性情報にパスワードが有るか否かを判定する(S45)。パスワードがない場合(S45:NO)、CPU10は、送信を要求された画像データを第2記憶部132から読み出して、HTTPのレスポンスデータとしてPC2に送信し(S50)、ステップS40に処理を戻す。
【0063】
他方、PC2のCPU20は、HTTPのレスポンスを受信して(S108)、HTTPのレスポンスデータにパスワード要求が含まれるか否かを判定する(S109)。パスワード要求が含まれない場合(S109:NO)(ここは正常ケースなので、MFP1から送信された画像データを受信した場合)、CPU20は、受信した画像データに基づいて、表示部261に受信原稿を表示して(S110)、ステップS101に処理を戻す。
尚、ステップS106では、ダウンロードに係るボタンであるか否かを判定してもよい。その場合、ステップS110では、受信した画像データを内部記憶装置23の所定のフォルダに記憶すればよい。
【0064】
一方、MFP1側のステップS45で、属性情報にパスワードがある場合(S45:YES)、CPU10は、HTTPのレスポンスデータとして、パスワード要求をPC2に送信する(S46)。
【0065】
他方、PC2側のステップS109で、HTTPのレスポンスデータにパスワード要求が含まれる場合(S109:YES)、CPU20は、表示部261にパスワード入力画面を表示して(S111)パスワードを受け付け(S112)、受け付けたパスワードをHTTPのリクエストデータとしてMFP1に送信した(S113)後、MFP1からの画像データを待ち受けるために、ステップS108に処理を戻す。
【0066】
一方、MFP1のCPU10は、HTTPのリクエストデータとしてパスワードを受信し(S47)、受信したパスワードと、ステップS45で属性情報に有ると判定したパスワードとが一致するか否かを判定する(S48)。パスワードが一致しない場合(S48:NO)、CPU10は、認証エラー応答を送信して(S49)、ステップS40に処理を戻す。パスワードが一致する場合(S48:YES)、CPU10は、送信を要求された画像データを送信するために、ステップS50に処理を進める。
【0067】
次に、図8Bの処理について説明する。
PC2のCPU20の処理がステップS106からステップS121に移った場合、CPU20は、操作されたボタンが原稿印刷に係るボタンで有るか否かを判定する(S121)。原稿印刷に係るボタンではない場合(S121:NO)、CPU20は、操作されたボタンが、ブラウザの終了ボタンであるか否かを判定し(S122)、終了ボタンである場合(S122:YES)、図8Bの処理を終了する。終了ボタンではない場合(S122:NO)、CPU20は、ボタン操作に係る他の処理を実行して(S123)、ステップS101に処理を戻す。
ステップS121で、操作されたボタンが原稿印刷に係るボタンで有る場合(S121:YES)、CPU20は、図9に示すチェックボックスにチェックされた画像データを指定して画像印刷要求をMFP1に送信する(S124)。
【0068】
一方、MFP1のCPU10の処理がステップS44からステップS51に移った場合、CPU10は、リクエストデータに画像印刷要求が含まれるか否かを判定し(S51)、含まれない場合(S51:NO)、リクエストデータに係るその他の処理を実行して(S52)、ステップS40に処理を戻す。リクエストデータに画像印刷要求が含まれる場合(S51:YES)、CPU10は、印刷を要求された画像データについて、第2記憶部132に記憶された属性情報にパスワードが有るか否かを判定する(S53)。パスワードがない場合(S53:NO)、CPU10は、HTTPのレスポンスデータとして、OK応答をPC2に送信した(S58)後、印刷を要求された画像データを第2記憶部132から読み出して、画像形成部17によって受信原稿を印刷し(S59)、ステップS40に処理を戻す。
【0069】
他方、PC2のCPU20は、HTTPのレスポンスを受信して(S125)、HTTPのレスポンスデータにパスワード要求が含まれるか否かを判定する(S126)。パスワード要求が含まれない場合(S126:NO)(ここは正常ケースなので、MFP1からOK応答を受信した場合)、CPU20は、次のボタン操作を受け付けるために、ステップS101に処理を戻す。
【0070】
一方、MFP1側のステップS53で、属性情報にパスワードがある場合(S53:YES)、CPU10は、HTTPのレスポンスデータとして、パスワード要求をPC2に送信する(S54)。
【0071】
他方、PC2側のステップS126で、HTTPのレスポンスデータにパスワード要求が含まれる場合(S126:YES)、CPU20は、表示部261にパスワード入力画面を表示して(S127)パスワードを受け付け(S128)、受け付けたパスワードをHTTPのリクエストデータとしてMFP1に送信した(S129)後、MFP1からのOK応答を待ち受けるために、ステップS125に処理を戻す。
【0072】
一方、MFP1のCPU10は、HTTPのリクエストデータとしてパスワードを受信し(S55)、受信したパスワードと、ステップS53で属性情報に有ると判定したパスワードとが一致するか否かを判定する(S56)。パスワードが一致しない場合(S56:NO)、CPU10は、認証エラー応答を送信して(S57)、ステップS40に処理を戻す。パスワードが一致する場合(S56:YES)、CPU10は、印刷を要求された画像データに基づいて受信原稿を印刷するために、ステップS58に処理を進める。
【0073】
さて、図6Aに示すステップS27の処理でBOXに記憶した画像データは、BOXを共有するユーザがMFP1の操作パネル14を操作することにより、受信原稿として印刷される。
図10は、BOXに記憶された画像データに基づいて受信原稿を印刷するMFP1のCPU10の処理手順を示すフローチャートである。図10の処理は、BOXが設定された後に起動され、BOXに対する操作を受け付けて処理を終える都度、再び起動される。ここでのBOXは、全てFコード通信のために設定されたものである。また、全てのBOXにパスワードが設定されている場合を例にして説明する。以下では、BOXに画像データが記憶されていることを、BOXに受信原稿があるという。
【0074】
図10の処理が起動された場合、CPU10は、操作パネル14の操作部142からBOXに対する操作が有ったか否かを判定し(S61)、操作が有るまで待機する(S61:NO)、BOXに対する操作があった場合(S61:YES)、CPU10は、印刷を指示する操作であるか否かを判定し(S62)、印刷を指示する操作ではない場合(S62:NO)、指示に対応するその他の処理を実行して(S63)、図10の処理を終了する。
【0075】
BOXに対する操作が印刷を指示する操作である場合(S62:YES)、CPU10は、設定されている何れかのBOXに受信原稿が有るかか否か、即ち画像データが記憶されているか否かを判定し(S64)、受信原稿がない場合(S64:NO)、「受信原稿なし」の旨を表示部141に表示して(S65)、図10の処理を終了する。
【0076】
何れかのBOXに受信原稿が有る場合(S64:YES)、CPU10は、受信原稿が有るBOXの一覧を表示部141に表示して(S66)、表示されたBOXの一覧からBOX番号を指定する操作が有ったか否かを判定し(S67)、操作が有るまで待機する(S67:NO)。BOX番号を指定する操作が有った場合(S67:YES)、CPU10は、パスワード入力画面を表示部141に表示して(S68)、操作部142からパスワードの入力が有ったか否かを判定し(S69)、入力があるまで待機する(S69:NO)。
【0077】
パスワードの入力が有った場合(S69:YES)、CPU10は、番号が指定されたBOXに設定されているパスワードと、入力されたパスワードとが一致するか否かを判定し(S70)、一致しない場合(S70:NO)、表示部141にエラー表示を行って(S71)、図10の処理を終了する。パスワードが一致する場合(S70:YES)、CPU10は、指定されたBOXに記憶されている画像データに基づいて受信原稿を印刷した(S72)後、そのBOXに記憶されている画像データを削除して(S73)、図10の処理を終了する。
【0078】
以上のように本実施の形態1によれば、サブアドレスを用いるFコード通信を行って画像データを受信した場合、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に、受信した画像データ及び該画像データの属性情報を対応付けて第2記憶部に記憶する。その後、ユーザ識別情報としてのIPアドレスが指定されたリスト送信要求をPCから受信した場合、指定されているIPアドレスに対応付けられた画像データの属性情報を第2記憶部から読み出してリスト情報を生成し、生成したリスト情報を要求元のPCに送信する。
これにより、リスト送信要求を送信した送信元のPCに対して、該PCのユーザ識別情報に対応付けられた画像データを指定するリスト情報が返信される。このため、PCでは、返信されたリスト情報に基づくリスト表示を行った後に、画像データを指定する操作と、指定された画像データに対する処理操作とを受け付けることができる。
従って、Fコードによる親展通信にて受信した画像データの扱いを、該親展通信の宛先に対応付けられた使用者に委ねることが可能となる。
【0079】
また、受信した画像データをユーザ識別情報に対応付けて第2記憶部に記憶した旨を、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に含まれるIPアドレス又はメールアドレスを用いてPCに送信する。
つまり、PCのユーザ識別情報が対応するサブアドレスが受信データに含まれるFコード通信が行われて、受信された画像データ及び属性情報がMFPに記憶されたことがPCに通知される。
従って、PCでは、Fコード通信によって画像データが受信及び記憶された旨を、例えばポップアップ等にてユーザに報知することが可能となる。
【0080】
更にまた、画像データの受信時に、受信した画像データを変換したPDF形式又はTIFF形式の画像データを第2記憶部に記憶する。PCへのリスト情報の送信後に、画像データが指定された画像送信要求を受信した場合、送信元のPCに対して、指定された画像データから変換されて第2記憶部に記憶されているPDF形式又はTIFF形式の画像データを送信する。
従って、PCでは、MFPから受信したリスト情報から指定された画像データについて、例えば、該画像データが表す画像を表示したり、画像データをダウンロードしたりすることが可能となる。
【0081】
更にまた、PCへのリスト情報の送信後に、画像データが指定された画像印刷要求を受信した場合、指定された画像データに基づいて受信原稿を印刷する。
従って、ユーザは、PCにて画像データが表す画像の内容を確認した後に、印刷が必要な画像をMFPに形成させることが可能となる。
【0082】
更にまた、Fコード通信での受信データにパスワードが含まれる場合、受信データに含まれるパスワードと、受信データに含まれるサブアドレスに対応して記憶されているユーザ識別情報に含まれたるパスワードとを照合して一致したパスワードを、そのFコード通信にて受信した画像データの属性情報に含めて、受信した画像データと共に第2記憶部に記憶する。
従って、Fコード通信の送信元のファクシミリが設定したパスワードを、後の照合に備えて記憶することが可能となる。
【0083】
更にまた、パスワードの送信要求に対する応答としてPCから受信したパスワードと、画像送信要求にて送信を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合し、パスワードが一致した場合にのみ、画像送信要求の送信元のPCに対して、送信を要求された画像データから変換されて第2記憶部に記憶されているPDF形式又はTIFF形式の画像データを送信する。
従って、Fコード通信の送信元のファクシミリが設定したパスワードが通知されたユーザに対してのみ、Fコード通信にて受信した画像データから変換された第2の画像データを送信することが可能となる。
【0084】
更にまた、パスワードの送信要求に対する応答としてPCから受信したパスワードと、画像印刷要求にて印刷を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合し、パスワードが一致した場合にのみ、印刷を要求されている画像データに基づく画像を形成する。
従って、Fコード通信の送信元のファクシミリが設定したパスワードが通知されたユーザからの印刷要求に対してのみ、Fコード通信にて受信したFAX受信原稿を印刷することが可能となる。
【0085】
尚、本実施の形態1にあっては、MFP1がFAX通信を行って受信した画像データを、PDF形式又はTIFF形式の画像データに変換して第2の記憶部132に記憶したが、他の形式の画像データに変換してもよい。また、第2記憶部132には、変換前の画像データを記憶しておき、PC2に画像データを送信する際に、第2記憶部132から読み出した画像データをPDF形式又はTIFF形式の画像データに変換するようにしてもよい。更にまた、PC2のブラウザを用いた操作により、PC2に送信する画像データの変換形式(フォーマット)を、ユーザが選択できるようにしてもよい。
【0086】
(実施の形態2)
実施の形態1が、MFP1が受信した画像データを記憶してその旨をPC2に通知する形態であるのに対し、実施の形態2は、MFP1が受信した画像データをPC2に転送する形態である。このため、実施の形態2では、Fコードに含まれるべきサブアドレスと、PC2の共有フォルダとを対応付けておく必要がある。共有フォルダを識別する情報は、例えばコンピュータ名及びフォルダ名である。上述した対応付けの実際については、説明を省略する。
【0087】
MFP1がファクシミリ装置4とFAX通信を行って受信した画像データは、例えばPDF形式の画像データに変換される。この場合、通信手順における受信データにパスワードが含まれている(又はいない)ときは、パスワード付きの(又はパスワード無しの)PDF形式の画像データに変換される。変換されたPDF形式の画像データは、通信手順における受信データに含まれるサブアドレスに対応するPC2の共有フォルダに転送される。
【0088】
PDFファイルがフォルダに転送されたPC2では、例えば、ユーザが共有フォルダ内の画像データを示すアイコンをダブルクリックした場合、該画像データが、パスワード付きのPDF形式の画像データであるときに、パスワードの入力が要求される。それに応じてユーザがパスワードを入力することにより、表示部261に受信原稿が表示される。
【0089】
以下では、上述したMFP1の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図11は、受信した画像データをPC2に転送する実施の形態2に係るMFP1のCPU10の処理手順を示すフローチャートである。図11に示す処理のうち、ステップS11からS21、及びS25からS28の処理は、図6Aに示す同符号の処理と処理内容が同一であるため、その説明を省略する。
【0090】
ステップS21でFAX受信を行った場合(S21)、CPU10は、通信手順における受信データに含まれるパスワードをRAM12に記憶済みか否かを判定し(S81)、記憶済みの場合(S81:YES)、受信した画像データをパスワード付きのPDF形式の画像データに変換して(S82)、後述するステップS84に処理を進める。パスワードをRAM12に記憶済みではない場合(S81:NO)、CPU10は、受信した画像データをパスワード無しのPDF形式の画像データに変換し(S83)、変換したPDF形式の画像データを、ステップS16でRAM12に記憶したサブアドレスと対応するPC2の共有フォルダに転送して(S84)、図11の処理を終了する。共有フォルダへの転送は、例えば、SMBプロトコルによる
【0091】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0092】
以上のように、本実施の形態2によれば、Fコードによる親展通信にて受信した画像データの扱いを、該親展通信の宛先に対応付けられた使用者に委ねることが可能となる。
【0093】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
1 MFP(通信装置)
10 CPU
101 生成部
102 変換部
103 第1照合部
104 第2照合部
131 第1記憶部
132 第2記憶部
17 画像形成部
18 LAN・I/F(情報通信部)
19 FAX通信I/F(FAX通信部)
2 PC
3 LAN
4 ファクシミリ装置
5 PSTN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信データにサブアドレスが含まれるFコード通信を行って画像データを受信するFAX通信部と、
前記サブアドレスに対応するユーザ識別情報を記憶する第1記憶部と、
前記FAX通信部がFコード通信を行った場合、受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に、受信した画像データ及び該画像データの属性情報を対応付けて記憶する第2記憶部と、
外部装置と通信する情報通信部と、
該情報通信部が、ユーザ識別情報の指定を伴うリスト送信要求を外部装置から受信した場合、指定されているユーザ識別情報に対応付けられた画像データの属性情報を前記第2記憶部から読み出して、リスト情報を生成する生成部とを備え、
前記情報通信部は、前記生成部が生成したリスト情報を前記リスト送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあること
を特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記ユーザ識別情報は、前記外部装置の宛先情報を含み、
前記情報通信部は、前記受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に含まれる宛先情報を用いて、前記第2記憶部が新たに画像データ及び属性情報を記憶した旨を送信するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記FAX通信部が受信した画像データを第2の画像データに変換する変換部を備え、
前記第2記憶部は、前記変換部が変換した第2の画像データを記憶するようにしてあり、
前記情報通信部は、前記リスト情報を送信した後、画像データの指定を伴う画像送信要求を外部装置から受信した場合、送信を要求された画像データについて前記変換部が変換した第2の画像データを前記第2記憶部から読み出して、前記画像送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2記憶部から画像データを読み出して第2の画像データに変換する変換部を備え、
前記情報通信部は、前記リスト情報を送信した後、画像データの指定を伴う画像送信要求を外部装置から受信した場合、送信を要求された画像データについて前記変換部が変換した第2の画像データを前記第2記憶部から読み出して、前記画像送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
画像データに基づく画像を形成する画像形成部を備え、
前記情報通信部が、前記リスト情報を送信した後、画像データの指定を伴う画像印刷要求を受信した場合、前記画像形成部は、印刷を要求された画像データに基づく画像を形成するようにしてあること
を特徴とする請求項3又は4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1記憶部が記憶するユーザ識別情報はパスワードを含み、
前記FAX通信部がFコード通信によって受信した受信データにパスワードが含まれる場合、前記受信データに含まれるパスワードと、前記第1記憶部に記憶されているパスワードであって前記受信データに含まれるサブアドレスに対応するユーザ識別情報に含まれるパスワードとを照合する第1照合部を備え、
該第1照合部にてパスワードの一致を確認した場合、一致したパスワードに続けて受信した画像データと、一致したパスワードを含む属性情報とを前記第2記憶部に記憶するようにしてあること
を特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記情報通信部は、パスワードの送信要求を外部装置に送信して、外部装置からパスワードを受信するようにしてあり、
前記情報通信部が受信したパスワードと、前記第2記憶部が記憶する属性情報であって前記画像送信要求にて送信を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合する第2照合部を備え、
前記情報通信部は、前記第2照合部にてパスワードの一致を確認した場合、送信を要求された画像データの表示用データを前記送信要求の送信元である外部装置に送信するようにしてあること
を特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記情報通信部は、パスワードの送信要求を外部装置に送信して、外部装置からパスワードを受信するようにしてあり、
前記情報通信部が受信したパスワードと、前記第2記憶部が記憶する属性情報であって前記画像印刷要求にて印刷を要求されている画像データの属性情報に含まれるパスワードとを照合する第2照合部を備え、
前記画像形成部は、前記第2照合部にてパスワードの一致を確認した場合、印刷を要求された画像データに基づく画像を形成するようにしてあること
を特徴とする請求項6に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−156583(P2012−156583A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11161(P2011−11161)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】