説明

通信装置

【課題】 プリンタのIPアドレスの設定手法を変更することに起因して、適切な通信を実行することができない事象が発生するのを抑制すること。
【解決手段】 プリンタは、ユーザから、プリンタの現在のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態で、プリンタのIPアドレスの設定手法をDHCPからStaticに変更するための手法変更指示が与えられる場合(S32でYESの場合)に、プリンタのIPアドレスの設定手法をDHCPからStaticに変更しない(S36をスキップする)。また、この場合に、プリンタは、DHCPからStaticへの変更が推奨されないことを示すメッセージを表示させる(S34)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、通信装置を開示する。特に、IPアドレスの設定手法を選択することをユーザに許容する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、非特許文献1には、IPアドレスの設定手法を選択することをユーザに許容するプリンタが開示されている。即ち、ユーザは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバによって自動的に割り当てられる動的なIPアドレスをプリンタに設定するための自動の設定手法と、ユーザによって手動で指定される静的なIPアドレスをプリンタに設定するための手動の設定手法と、のどちらかを選択することができる。さらに、非特許文献1には、プリンタのIPアドレスの設定手法を、自動の設定手法から手動の設定手法に変更するためのユーザの操作のマニュアルが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“静的IPアドレスをプリンタに割り当てる方法”、[online]、2003年10月30日、Hewlett-Packard Development Company, L.P.、[平成22年3月16日検索]、インターネット、<URL:http://h10025.www1.hp.com/ewfrf/wc/document?docname=c00100455&cc=jp&lc=ja&dlc=ja&product=305980>
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−283497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1の技術では、プリンタのIPアドレスの設定手法が自動の設定手法である際に、プリンタに現在設定されている特定のIPアドレス、即ち、DHCPサーバから割り当てられた特定のIPアドレスが、他のIPアドレスに変更されなくても、プリンタのIPアドレスの設定手法を手動の設定手法に変更することができる。この場合、プリンタは、ユーザからIPアドレスの変更の指示がない限り、DHCPサーバから割り当てられた動的なIPアドレスである上記の特定のIPアドレスを、静的なIPアドレスとして維持する。一方において、DHCPサーバは、他のデバイスからの要求に応じて、上記の特定のIPアドレスと同じIPアドレスを、上記の他のデバイスに割り当てる可能性がある。このために、非特許文献1の技術では、同じIPアドレスが設定されている複数のデバイス(プリンタと上記の他のデバイス)が、同じLAN内に存在する状況が構築され得る。この場合、LAN内で適切な通信を実行することが困難となり得る。
【0006】
本明細書では、通信装置(上記の例ではプリンタ)のIPアドレスの設定手法を変更することに起因して、適切な通信を実行することが困難となる事象が発生するのを抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、通信装置を開示する。通信装置は、メモリと、登録部と、通信実行部と、を備える。登録部は、通信装置のIPアドレスの設定手法を示す手法情報と、通信装置のIPアドレスと、をメモリに登録する。手法情報は、通信装置に自動的に割り当てられる動的なIPアドレスを通信装置のIPアドレスとして設定するための第1種の設定手法を示す第1種の手法情報と、ユーザによって手動で指定される静的なIPアドレスを通信装置のIPアドレスとして設定するための第2種の設定手法を示す第2種の手法情報と、を含む複数種類の手法情報のうちのいずれかである。通信実行部は、メモリに登録されているIPアドレスを用いて、通信を実行する。登録部は、ユーザからの指示に従って、メモリの登録内容を変更する変更部を備える。変更部は、第1種の手法情報と、第1のIPアドレスと、がメモリに登録されている際に、ユーザから、第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態で、第1種の設定手法を第2種の設定手法に変更するための手法変更指示が与えられる第1の場合に、メモリ内の手法情報を、第1種の手法情報から第2種の手法情報に変更しない。
【0008】
上記の構成によると、通信装置は、第1の場合(第1種の手法情報と、第1のIPアドレスと、がメモリに登録されている際に、ユーザから、第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態で、上記の手法変更指示が与えられる場合)に、メモリ内の手法情報を、第1種の手法情報から第2種の手法情報に変更しない。即ち、通信装置は、第1の場合に、通信装置のIPアドレスの設定手法を、第1種の設定手法から第2種の設定手法に変更しない。従って、動的なIPアドレスである第1のIPアドレスが、静的なIPアドレスとして通信装置に設定されている状態で、第1のIPアドレスと同じIPアドレスが他のデバイスに割り当てられるのを防止することができる。このために、通信装置(さらには上記の他のデバイス)が適切な通信を実行することができない事象が発生するのを抑制することができる。
【0009】
登録部は、さらに、第1の場合に、第1種の設定手法から第2種の設定手法への変更が推奨されないことを示すメッセージを、表示部に表示させる表示制御部を備えていてもよい。この構成によると、ユーザは、第1種の設定手法から第2種の設定手法への変更が推奨されないことを知ることができる。
【0010】
変更部は、メモリに登録されている第1のIPアドレスと、ユーザによって新たに指定される第2のIPアドレスと、が一致するのか否かを判断する判断部を備えていてもよい。変更部は、第1のIPアドレスと第2のIPアドレスとが一致すると判断される場合に、第1のIPアドレスが上記の他のIPアドレスに変更されていない状態であると判断してもよい。この構成によると、第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されたのか否かを適切に判断することができる。
【0011】
登録部は、さらに、メモリの登録内容の変更をユーザに許容するための画面を、表示部に表示させる表示制御部を備えていてもよい。表示制御部は、第1種の手法情報と、第1のIPアドレスと、がメモリに登録されている場合に、第1種の設定手法と、第1のIPアドレスと、を示す第1の画面を、表示部に表示させてもよい。表示制御部は、ユーザから、第1の画面を介して、第1種の設定手法を示す表示を、第2種の設定手法を示す表示に変更するための表示変更指示が与えられる場合に、第2種の設定手法を示す第2の画面であって、第1のIPアドレスを示す値列のうちの少なくとも一部の値が消去された第2の画面を、表示部に表示させてもよい。この構成によると、ユーザは、第1の画面を見ることによって、通信装置に現在登録されているIPアドレスの設定手法と第1のIPアドレスと、を知ることができ、それらを参照しながら、メモリの登録内容を変更するための操作を実行することができる。また、上記の表示変更指示が与えられる場合に、第1のIPアドレスを示す値列のうちの少なくとも一部の値が消去された第2の画面が表示されるために、ユーザが、第1のIPアドレスと異なるIPアドレスを新たに指定する可能性を高めることができる。
【0012】
第2の画面は、第1のIPアドレスのホスト部を示す値を含まず、第1のIPアドレスのネットワークアドレス部を示す値を含む画面であってもよい。この構成によると、ユーザが、第1のIPアドレスのネットワークアドレス部を示す値と同じ値を、新たなIPアドレスのネットワークアドレス部の値として指定し、第1のIPアドレスのホスト部を示す値と異なる値を、新たなIPアドレスのホスト部の値として指定する可能性を高めることができる。
【0013】
変更部は、第1種の手法情報と、第1のIPアドレスと、がメモリに登録されている際に、ユーザから、第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更された状態で、第1種の設定手法を第2種の設定手法に変更するための手法変更指示が与えられる第2の場合に、メモリ内の手法情報を、第1種の手法情報から第2種の手法情報に変更してもよい。この構成によると、通信装置は、第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更された状態では、ユーザからの手法変更指示に応じて、通信装置のIPアドレスの設定手法を、第1種の設定手法から第2種の設定手法に変更することができる。
【0014】
上記の通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記憶媒体も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例の通信システムの構成を示す。
【図2】登録内容変更処理のフローチャートを示す。
【図3】第1実施例で表示される各画面を示す。
【図4】警告メッセージを含む画面を示す。
【図5】第2実施例で表示される画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施例)
(システムの構成)
図面を参照して第1実施例を説明する。図1に示されるように、通信システム2は、プリンタ10と、PC6と、DHCPサーバ8と、を備える。各デバイス6,8,10は、LAN等のネットワーク4に接続されている。各デバイス6,8,10は、ネットワーク4を介して、相互に通信可能である。
【0017】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10の構成について詳しく説明する。プリンタ10は、操作部12と、表示部14と、印刷機構16と、ネットワークインターフェイス18と、NVRAM(不揮発性メモリ)20と、ROM40と、制御部50と、を備える。操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷機構16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。ネットワークインターフェイス18は、ネットワーク4に接続されている。NVRAM20は、複数個の記憶領域22〜30を含む。ROM40は、制御部50が様々な処理を実行するためのプログラム42を格納する。制御部50がプログラム42に従って処理を実行することによって、登録部52及び通信実行部60の各機能が実現される。なお、登録部52は、変更部54と、表示制御部58と、を備える。変更部54は、判断部56を備える。
【0018】
続いて、NVRAM20に含まれる各記憶領域22〜30に記憶される情報について説明する。手法情報記憶領域22は、プリンタ10のIPアドレスの設定手法を示す手法情報を記憶する。本実施例では、プリンタ10のIPアドレスの設定手法として、以下の(1)及び(2)の設定手法が存在する。(1)DHCPサーバ8によって自動的に割り当てられる動的なIPアドレスをプリンタ10に設定するための設定手法(以下では「DHCPの設定手法」と呼ぶ)。(2)ユーザによって手動で指定される静的なIPアドレスをプリンタ10に設定するための設定手法(以下では「Staticの設定手法」と呼ぶ)。DHCPの設定手法を示す手法情報は「0」であり、Staticの設定手法を示す手法情報は「1」である。手法情報記憶領域22は、「0(DHCP」と「1(Static)」とのどちらかを記憶する。
【0019】
DHCP用IPアドレス記憶領域24は、DHCPサーバ8によってプリンタ10に割り当てられたIPアドレス(例えば「192.168.1.10」)を記憶する。手法情報記憶領域22に「0(DHCP」が記憶(登録)されており、かつ、DHCP用IPアドレス記憶領域24にIPアドレスが記憶(登録)されている状態が、DHCPサーバ8によって割り当てられたIPアドレスが、プリンタ10のIPアドレスとして設定されている状態である。なお、この状態では、DHCPサーバ8からプリンタ10にIPアドレスが割り当てられる毎に、そのIPアドレスがDHCP用IPアドレス記憶領域24に記憶される。即ち、DHCPサーバ8からプリンタ10にIPアドレスが割り当てられる毎に、プリンタ10のIPアドレスが更新され得る。
【0020】
Static用IPアドレス記憶領域26は、ユーザによって手動で指定されたIPアドレスを記憶する。手法情報記憶領域22に「1(Static」が記憶(登録)されており、かつ、Static用IPアドレス記憶領域26にIPアドレスが記憶(登録)されている状態が、ユーザによって手動で指定されたIPアドレスが、プリンタ10のIPアドレスとして設定されている状態である。この状態では、ユーザによってIPアドレスを変更する操作(後述の図2のS18でYESと判断される操作)が実行されない限り、Static用IPアドレス記憶領域26の記憶内容が維持される。即ち、ユーザによってIPアドレスを変更する操作が実行されない限り、プリンタ10のIPアドレスが変更されない。
【0021】
サブネットマスク記憶領域28は、ネットワーク4で利用されているサブネットマスク(例えば「255.255.255.0」)を記憶する。DHCPサーバ8によって割り当てられたIPアドレスが、プリンタ10のIPアドレスとして設定されている状態では、サブネットマスク記憶領域28には、DHCPサーバ8から取得されたサブネットマスクが記憶される。また、ユーザによって手動で指定されたIPアドレスが、プリンタ10のIPアドレスとして設定されている状態では、サブネットマスク記憶領域28には、ユーザによって手動で指定されたサブネットマスクが記憶される。
【0022】
ゲートウェイアドレス記憶領域30は、ネットワーク4で利用されているゲートウェイアドレス(例えば「192.168.1.253」)を記憶する。DHCPサーバ8によって割り当てられたIPアドレスが、プリンタ10のIPアドレスとして設定されている状態では、ゲートウェイアドレス記憶領域30には、DHCPサーバ8から取得されたゲートウェイアドレスが記憶される。また、ユーザによって手動で指定されたIPアドレスが、プリンタ10のIPアドレスとして設定されている状態では、ゲートウェイアドレス記憶領域30には、ユーザによって手動で指定されたゲートウェイアドレスが記憶される。
【0023】
(PC6の機能)
PC6には、公知の様々なアプリケーション(例えば、ワープロソフト、表計算ソフト等の文書編集ソフト)がインストールされている。また、PC6には、プリンタ10のためのプリンタドライバがインストールされている。PC6は、アプリケーションによって生成されるデータを、プリンタドライバを用いて印刷用データに変換する。次いで、PC6は、プリンタ10のIPアドレスを取得し(例えばDNS(Domain Name System)サーバから取得し)、取得済みのプリンタ10のIPアドレスを送信先IPアドレスとして設定して、印刷用データを送信する。
【0024】
(DHCPサーバ8の機能)
DHCPサーバ8は、ネットワーク4に接続されている特定のデバイス(例えばPC6、プリンタ10等)からの要求に応じて、上記の特定のデバイスにIPアドレスを割り当てる。DHCPサーバ8が割り当て可能なIPアドレスの範囲は、予め決められている。DHCPサーバ8は、上記の特定のデバイスからのIPアドレスの割り当ての要求に応じて、上記のIPアドレスの範囲内から1個のIPアドレスを選択し、そのIPアドレスを上記の特定のデバイスに割り当てる(送信する)。これにより、上記の特定のデバイスは、DHCPサーバ8からIPアドレスを取得し、そのIPアドレスを自己のIPアドレスとして設定する。通常、DHCPサーバ8によって割り当てられるIPアドレスには有効期限が決められており、上記の特定のデバイスは、自己のIPアドレスに対して決められている有効期限が経過すると、新たなIPアドレスの割り当てをDHCPサーバ8に要求する。これにより、DHCPサーバ8は、新たなIPアドレスを上記の特定のデバイスに割り当てる。なお、DHCPサーバ8は、上記の特定のデバイスに割り当てたIPアドレスであって、有効期限が経過していないIPアドレスについては、それと同じIPアドレスを、他のIPアドレスに割り当てない。ただし、DHCPサーバ8は、上記の特定のデバイスに割り当てたIPアドレスであって、有効期限が経過したIPアドレスについては、それと同じIPアドレスを、他のIPアドレスに割り当て得る。
【0025】
(プリンタ10が実行する通信処理)
続いて、プリンタ10の制御部50が実行する様々な処理について説明する。まず、通信実行部60が実行する通信処理の内容について説明する。上述したように、PC6は、印刷用データを送信する際に、プリンタ10のIPアドレスを送信先IPアドレスとして設定する。通信実行部60は、印刷用データを受信すると、印刷用データが受信されたことを示す確認パケットをPC6に送信する。この際に、通信実行部60は、NVRAM20に登録されているプリンタ10のIPアドレス(手法情報が「0」の場合にはDHCP用記憶領域24に登録されているIPアドレスであり、手法情報が「1」の場合にはStatic用記憶領域26に登録されているIPアドレスである)を、送信元IPアドレスとして設定する。即ち、通信実行部60は、NVRAM20に登録されているプリンタ10のIPアドレスを用いて、確認パケットを送信する。なお、プリンタ10の制御部50は、印刷用データを受信すると、印刷用データを用いて、印刷機構16を駆動する。これにより、印刷用データによって表わされる画像が印刷媒体に印刷される。
【0026】
上記の確認パケットを送信する処理以外にも、通信実行部60は、NVRAM20に登録されているプリンタ10のIPアドレスを用いて、様々な通信処理を実行可能である。例えば、通信実行部60は、PC6からのステータス要求パケットに応じて、自己のステータス(待機状態、印刷中状態等)を示すパケットをPC6に返信する。この際に、通信実行部60は、NVRAM20に登録されているプリンタ10のIPアドレスを、送信元IPアドレスとして設定する。
【0027】
なお、通信実行部60は、DHCPサーバ8によって割り当てられたIPアドレスが、プリンタ10のIPアドレスとして設定されている状態では、プリンタ10の現在のIPアドレス(DHCP用IPアドレス記憶領域24に記憶されているIPアドレス)に対して決められている有効期限が経過することを監視する。通信実行部60は、有効期限が経過すると、新たなIPアドレスの割り当てをDHCPサーバ8に要求する。DHCPサーバ8は、プリンタ10からの要求に応じて、新たなIPアドレスと、ネットワーク4で利用されているサブネットマスクと、ネットワーク4で利用されているゲートウェイアドレスと、をプリンタ10に供給する。この場合、登録部52は、新たなIPアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイアドレスを、それぞれ、DHCP用IPアドレス記憶領域24、サブネットマスク記憶領域28、ゲートウェイアドレス記憶領域30に記憶させる(登録する)。
【0028】
(プリンタ10が実行する登録内容変更処理)
続いて、図2を参照して、制御部50が実行する登録内容変更処理の内容について説明する。なお、以下では、DHCPの設定手法、Staticの設定手法のことを、それぞれ、簡単に、「DHCP」、「Static」と呼ぶことがある。ユーザは、NVRAM20の登録内容を変更することを望む場合に、操作部12に所定の操作を加える。この場合、表示制御部58は、設定画面を表わす設定画面データを生成し、その設定画面データを表示部14に供給する(S10)。これにより、図3(A)に示されるように、設定画面70aが表示部14に表示される。
【0029】
設定画面70aは、設定手法表示領域72と、IPアドレス表示領域76と、サブネットマスク表示領域78と、ゲートウェイアドレス表示領域80と、OKボタン82と、キャンセルボタン84と、を含む。設定手法表示領域72には、プリンタ10の現在のIPアドレスの設定手法を示す文字列(「DHCP」又は「Static」)が表示される。表示制御部58は、手法情報記憶領域22に記憶されている手法情報(「0(DHCP)」又は「1(Static)」)を読み込み、その手法情報が示す文字列(「DHCP」又は「Static」)が設定手法表示領域72に表示されるように、設定画面データを生成する。
【0030】
IPアドレス表示領域76には、プリンタ10の現在のIPアドレスが表示される。表示制御部58は、手法情報記憶領域22に「0(DHCP)」が記憶されている場合には、DHCP用IPアドレス記憶領域24に記憶されているIPアドレスの値列を読み込み、その値列がIPアドレス表示領域76に表示されるように、設定画面データを生成する。また、表示制御部58は、手法情報記憶領域22に「1(Static)」が記憶されている場合には、Static用IPアドレス記憶領域26に記憶されているIPアドレスの値列を読み込み、その値列がIPアドレス表示領域76に表示されるように、設定画面データを生成する。なお、IPアドレスの「値列」は、IPアドレス(例えば「192.168.1.10」等)を示す複数個の数値で構成される文字列を意味する。
【0031】
サブネットマスク表示領域78、ゲートウェイアドレス表示領域80には、それぞれ、プリンタ10の現在のサブネットマスク、プリンタ10の現在のゲートウェイアドレスが表示される。表示制御部58は、サブネットマスク記憶領域28及びゲートウェイアドレス記憶領域30に記憶されている各値列を読み込み、その各値列がサブネットマスク表示領域78及びゲートウェイアドレス表示領域80に表示されるように、設定画面データを生成する。
【0032】
ユーザは、設定画面70aを見ることによって、プリンタ10の現在のIPアドレスの設定手法、現在のIPアドレス、現在のサブネットマスク、及び、現在のゲートウェイアドレスを知ることができる。ユーザは、設定画面70aを介して、様々な操作を操作部12に加えることができる。表示制御部58は、ユーザによって操作が加えられることを監視する(S12)。ここでYESの場合に、S14に進む。
【0033】
ユーザは、例えば、設定手法表示領域72に「DHCP」が表示されている状態で、設定画面70aのうちのボタン74を選択する操作を実行することができる。この場合、表示制御部58は、図2のS14でYESと判断し、新たな設定画面を表示部14に表示させる(S16)。図3(B)は、S16で表示される新たな設定画面70bの一例を示す。新たな設定画面70bでは、設定手法表示領域72に、「DHCP」に代えて「Static」が表示される。新たな設定画面70bでは、他の各表示領域76〜80内の表示内容、及び、各ボタン82,84は、設定画面70aと同様である。即ち、例えば、IPアドレス表示領域76には、プリンタ10の現在のIPアドレスを示す値列の全てが依然として表示される。なお、S16の処理は、表示制御部58が、新たな設定画面70bを表わす新たな設定画面データを生成し、その新たな設定画面データを表示部14に供給することによって実現される。この手法は、後述のS20,S24の処理でも同様である。S16を終えると、表示制御部58は、S12に戻って、ユーザの操作を監視する。
【0034】
また、ユーザは、例えば、設定画面70a,70b、又は、他の設定画面(例えば、設定画面70aからサブネットマスクの表示が変更された設定画面)が表示されている状態で、IPアドレス表示領域76を選択する操作を実行することができる。次いで、ユーザは、操作部12に含まれるテンキーを操作することによって、新たなIPアドレスを指定することができる。この場合、表示制御部58は、図2のS18でYESと判断し、新たな設定画面を表示部14に表示させる(S20)。図3(C)は、図3(B)の設定画面70bが表示されている状態で、S18でYESと判断された場合に、S20で表示される新たな設定画面70cの一例を示す。新たな設定画面70cでは、IPアドレス表示領域76に、ユーザによって指定された新たなIPアドレスが表示される。この例では、ユーザによって指定された新たなIPアドレス(「192.168.1.110」)は、プリンタ10の現在のIPアドレス(「192.168.1.10」(図3(A)、(B)参照))と異なる。S20を終えると、表示制御部58は、S12に戻って、ユーザの操作を監視する。
【0035】
ユーザは、設定画面70a〜70c、又は、他の設定画面が表示されている状態で、NVRAM20の登録内容を変更するための最終的な指示を与えるためのOKボタン82を選択することができる。この場合、表示制御部58は、S22でYESと判断し、S30に進む。なお、上記のS14,S18,S22でYESと判断される各操作以外の操作が操作部12に加えられた場合には、表示制御部58は、S22でNOと判断し、S24に進む。例えば、ユーザは、サブネットマスク表示領域78又はゲートウェイアドレス表示領域80を選択する操作を実行し、次いで、新たなサブネットマスク又はゲートウェイアドレスを指定する操作を実行することができる。この場合、S24では、表示制御部58は、ユーザによって指定された新たなサブネットマスク又はゲートウェイアドレスが、サブネットマスク表示領域78又はゲートウェイアドレス表示領域80に表示された新たな設定画面を、表示部14に表示させる。また、例えば、ユーザは、設定手法表示領域72に「Static」が表示されている状態で、ボタン74を選択する操作を実行することができる。この場合、S24では、表示制御部58は、設定手法表示領域72に「DHCP」が表示された新たな設定画面を、表示部14に表示させる。S24を終えると、表示制御部58は、S12に戻って、ユーザの操作を監視する。なお、キャンセルボタン84を選択する操作が実行された場合には、制御部50は、NVRAM20の登録内容を変更せずに、登録内容変更処理を終了する。
【0036】
OKボタン82を選択する操作が実行された場合に実行されるS30では、変更部54は、DHCPからStaticへの変更操作が実行されたのか否かを判断する。即ち、変更部54は、S14でYESと判断される操作が実行されたのか否かを判断する。S30でYESの場合に、S32に進み、NOの場合に、S36に進む。なお、DHCPからStaticへの変更操作が実行された場合であっても、変更部54は、S30でNOと判断することがある。例えば、手法情報記憶領域22に「1(Static)」が記憶されている状態では、S10で表示される設定画面に「Static」が表示される。この状態で、ユーザが、StaticからDHCPへの変更操作(ボタン74の1回目の選択操作)を実行し、次いで、DHCPからStaticへの変更操作(ボタン74の2回目の選択操作)を実行する可能性がある。この場合、ユーザの最終的な指示は、DHCPからStaticへの変更を意図しているのではなく、Staticを維持することを意図している。従って、変更部54は、手法情報記憶領域22に「1(Static)」が記憶されている状態では、DHCPからStaticへの変更操作が実行された場合であっても、S30でNOと判断する。
【0037】
S32では、判断部56は、DHCP用IPアドレス記憶領域24に記憶されているIPアドレスと、設定画面上でOKボタン82を選択する操作が実行された際に、設定画面のIPアドレス表示領域76に表示されているIPアドレスと、が一致するのか否かを判断する。即ち、判断部56は、プリンタ10の現在のIPアドレス(DHCPサーバ8によって割り当てられたIPアドレス)と、ユーザによって新たに指定されたIPアドレスと、が一致するのか否かを判断する。例えば、図3(A)及び(B)を経て表示される図3(C)の設定画面上で、OKボタン82を選択する操作が実行される場合には、プリンタ10の現在のIPアドレス「192.168.1.10」と、図3(C)の設定画面に表示されているIPアドレス「192.168.1.110」と、が一致しない。この場合、判断部56は、S32でNOと判断する。この場合、S36に進む。
【0038】
しかしながら、図3(A)を経て表示される図3(B)の設定画面上で、OKボタン82を選択する操作が実行された場合には、プリンタ10の現在のIPアドレスと、図3(B)の設定画面に表示されているIPアドレスと、が一致する。この場合、判断部56は、S32でYESと判断する。即ち、変更部54は、プリンタ10の現在のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態であると判断する。この場合、表示制御部58は、警告メッセージを含む警告画面を表わす警告画面データを表示部14に供給する(S34)。これにより、図4に示されるように、表示部14に警告画面90が表示される。警告メッセージは、DHCPからStaticへの変更が推奨されないことを示す。S34を終えると、S36をスキップして、登録内容変更処理が終了する。従って、変更部54は、DHCPからStaticへの変更操作が実行されても、NVRAM20の登録内容を変更しない。即ち、変更部54は、手法情報記憶領域22に記憶されている「0(DHCP)」を「1(Static)」に変更しない。
【0039】
一方において、S36では、変更部54は、NVRAM20の登録内容を変更する。例えば、変更部54は、設定画面上でOKボタン82を選択する操作が実行された際に、設定手法表示領域72に「DHCP」が表示されている場合には、手法情報記憶領域22に「0(DHCP)」を書き込む。この場合、変更部54は、さらに、設定画面上でOKボタン82を選択する操作が実行された際に、IPアドレス表示領域76に表示されているIPアドレスを示す値列を、DHCP用IPアドレス記憶領域24に書き込む。また、例えば、変更部54は、設定画面上でOKボタン82を選択する操作が実行された際に、設定手法表示領域72に「Static」が表示されている場合には、手法情報記憶領域22に「1(Static)」を書き込む。この場合、変更部54は、さらに、設定画面上でOKボタン82を選択する操作が実行された際に、IPアドレス表示領域76に表示されているIPアドレスを示す値列を、Static用IPアドレス記憶領域26に書き込む。上記の処理により、DHCP又はStaticの設定手法を示す手法情報「0」又は「1」と、プリンタ10のIPアドレスと、がNVRAM20に登録される。また、変更部54は、設定画面上でOKボタン82を選択する操作が実行された際に、サブネットマスク表示領域78及びゲートウェイアドレス表示領域80に表示されている各値列を、サブネットマスク記憶領域28及びゲートウェイアドレス記憶領域30に書き込む。これにより、ユーザによって指定されたサブネットマスク及びゲートウェイアドレスがNVRAM20に登録される。
【0040】
なお、DHCPの設定手法を示す手法情報「0」がS36で登録された場合には、S36で各記憶領域24,28,30に各情報が登録されるが、その各情報は、上述したように、DHCPサーバ8から取得される各情報に更新される。一方において、Staticの設定手法を示す手法情報「1」がS36で登録された場合には、図2の登録内容変更処理が再び実行されない限り、S36で各記憶領域26,28,30に登録された各情報が維持される。
【0041】
第1実施例の通信システム2について詳しく説明した。仮に、図2のS32でYESの場合に、S36の処理を実行する構成を採用すると、手法情報記憶領域22に「1(Static)」が記憶され、かつ、DHCPサーバ8によってプリンタ10に割り当てられたIPアドレス(即ちDHCP用IPアドレス記憶領域24に記憶されているIPアドレス)が、Static用IPアドレス記憶領域26に記憶される。この場合、図2の登録内容変更処理が再び実行されて、ユーザが他のIPアドレスを指定する操作(S18でYESと判断される操作)を実行しない限り、プリンタ10は、DHCPサーバ8によって割り当てられた動的なIPアドレスを、静的なIPアドレスとして維持する。さらに、DHCPサーバ8は、プリンタ10に維持されているIPアドレス(過去にプリンタ10に割り当てたIPアドレス)の有効期限が経過すると、そのIPアドレスと同じIPアドレスを他のデバイス(例えばPC6)に割り当てる可能性がある。即ち、同じIPアドレスが設定されている複数のデバイス(例えばプリンタ10とPC6)が、同じネットワーク4に接続されている状況が発生し得る。この場合、例えば、PC6は、プリンタ10に印刷用データを送信することができない。
【0042】
このような状況が発生するのを未然に防止するために、本実施例では、プリンタ10は、図2のS32でYESの場合に、S36の処理を実行しない。即ち、プリンタ10は、DHCPの設定手法を示す手法情報「0」がNVRAM20に登録されている際に、ユーザから、プリンタ10の現在のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態(図3(B)の状態)で、プリンタ10のIPアドレスの設定手法をDHCPからStaticに変更するための最終的な指示(図3のOKボタン82の操作)が与えられても、NVRAM20の登録内容を変更しない。従って、プリンタ10が、DHCPサーバ8によって割り当てられた動的なIPアドレスを、静的なIPアドレスとして維持しつつ、そのIPアドレスと同じIPアドレスが他のデバイス(例えばPC6)に割り当てられるのを防止することができる。このために、プリンタ10(さらにはPC6)が適切な通信(例えば印刷用データの通信)を実行することができない事象が発生するのを抑制することができる。
【0043】
一方において、プリンタ10は、図2のS32でNOの場合に、S36の処理を実行する。この構成によると、プリンタ10は、ユーザからの指示に応じて、プリンタ10の設定手法をDHCPからStaticに変更することができる。
【0044】
また、プリンタ10は、図2のS32でYESの場合に、DHCPからStaticへの変更が推奨されないことを示す警告メッセージ(図4参照)を、表示部14に表示させる(図2のS34)。この構成によると、ユーザは、DHCPからStaticへの変更が推奨されないことを知ることができる。
【0045】
また、プリンタ10は、図2のS32において、プリンタ10の現在のIPアドレスと、ユーザによって指定されるIPアドレスと、が一致するのか否かを判断することによって、プリンタ10の現在のIPアドレスが他のIPアドレスに変更された状態であるのか否かを判断する。この構成によると、プリンタ10のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されたのか否かを適切に判断することができる。
【0046】
(第2実施例)
続いて、第2実施例を説明する。ここでは、第1実施例と異なる点を説明する。上述したように、第1実施例では、プリンタ10は、図2のS14でYESの場合に、図3(A)の設定画面70aを、図3(B)の設定画面70bに変更する。図3(B)の設定画面70bでは、プリンタ10の現在のIPアドレスを示す値列の全てが、IPアドレス表示領域76に表示される。
【0047】
これに対し、本実施例では、表示制御部58は、図2のS14でYESの場合に、プリンタ10の現在のIPアドレス(DHCP用IPアドレス記憶領域24に記憶されているIPアドレス)を示す値列のうちの一部が消去された新たな設定画面を、表示部14に表示させる(図2のS16)。図5は、この新たな設定画面70dの一例を示す。具体的に言うと、新たな設定画面70dのIPアドレス表示領域76には、プリンタ10の現在のIPアドレス(例えば「192.168.1.10」)のネットワークアドレス部である最初の24ビットの値(例えば「192.168.1」)が表示されるが、プリンタ10の現在のIPアドレスのホスト部である最後の8ビットの値(例えば「10」)が表示されない。なお、ネットワークアドレス部は、サブネットマスクによってマスクされている部分であり、ホスト部は、サブネットマスクによってマスクされていない部分である。例えば、プリンタ10の現在のサブネットマスクが「255.255.255.0」である場合には、プリンタ10の現在のIPアドレスのうち、最初の24ビットがネットワークアドレス部であり、最後の8ビットがホスト部である。
【0048】
表示制御部58は、図2のS14でYESの場合に、サブネットマスク記憶領域28に記憶されているサブネットマスクの値を読み込み、最初の何ビットがネットワークアドレス部に相当するのかを特定する。次いで、表示制御部58は、プリンタ10の現在のIPアドレスを示す値列のうち、ネットワークアドレス部を示す値のみがIPアドレス表示領域76に表示されるように、新たな設定画面データを生成する。これにより、設定画面70aと比べると、設定画面70dでは、ホスト部を示す値が消去される。即ち、設定画面70dでは、ホスト部に対応する表示領域がブランクにされている。なお、本実施例では、設定画面70dのように、IPアドレス表示領域76においてIPアドレスが適切に指定されていない状態(即ちブランクが存在する状態)では、変更部54は、OKボタン82を選択する操作を受け付けない。即ち、IPアドレス表示領域76に32ビットの値列が表示されない限り、図2のS22でYESと判断されない。
【0049】
本実施例の構成によると、ユーザは、設定画面70dを見ることによって、IPアドレスを新たに指定する必要があることを知ることができる。ユーザが、新たなIPアドレスを指定する可能性を高めることができる。特に、設定画面70dでは、プリンタ10の現在のIPアドレスのうちのネットワークアドレス部を示す値のみが表示されるために、ユーザが、ネットワーク4で利用されているネットワークアドレスを示す値と同じ値を、新たなIPアドレスのネットワークアドレス部の値として指定する可能性を高めることができる。また、ユーザが、プリンタ10の現在のIPアドレスのうちのホスト部を示す値と異なる値を、新たなIPアドレスのホスト部の値として指定する可能性を高めることができる。
【0050】
上記の各実施例の各要素と本発明の各要素の対応関係を記載しておく。プリンタ10が、「通信装置」の一例である。「DHCP」、「Static」が、それぞれ、「第1種の設定手法」、「第2種の設定手法」の一例である。手法情報記憶領域22に記憶される「0」、「1」が、それぞれ、「第1種の手法情報」、「第2種の手法情報」の一例である。図2のS32でYESの場合、NOの場合が、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」の一例である。また、手法情報記憶領域22に「0(DHCP)」が記憶されている状態で、DHCP用IPアドレス記憶領域24に記憶されているIPアドレスが、「第1のIPアドレス」の一例である。さらに、設定画面70a〜70d等でOKボタン82を選択する操作が実行される際に、IPアドレス表示領域76に表示されているIPアドレスが、「第2のIPアドレス」の一例である。
【0051】
また、図3(A)の設定画面70a、図5の設定画面70dが、それぞれ、「第1の画面」、「第2の画面」の一例である。図3(A)の設定画面70a上でボタン74を選択する操作、及び、その操作で表示される図3(B)の設定画面70b上でOKボタン82を選択する操作が、「手法変更指示」の一例である。さらに、図3(A)の設定画面70a上でボタン74を選択する操作が、「表示変更指示」の一例である。
【0052】
上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施例では、プリンタ10は、ユーザがプリンタ10の操作部12を操作する場合に、NVRAM20の登録内容を変更することをユーザに許容する。ただし、プリンタ10は、ユーザがPC6の操作部(図示省略)を操作する場合に、NVRAM20の登録内容を変更することをユーザに許容してもよい。例えば、プリンタ10がウェブサーバ機能を有している場合には、ユーザは、PC6のウェブブラウザを用いて、プリンタ10のウェブサーバにアクセスしてもよい。この場合、表示制御部58は、設定画面70a〜70d(図3(A)〜(C)、図5)を表わす設定画面データ、及び、警告画面(図4)を表わす警告画面データを、PC6の表示部に供給してもよい。即ち、表示制御部58は、プリンタ1の内部の表示部14に画面を表示させてもよいし、プリンタ10の外部の表示部に画面を表示させてもよい。
【0053】
(2)第1種の設定手法は、DHCPの設定手法に限られず、BOOTP(Bootstrap Protocol)の設定手法であってもよい。また、第2種の設定手法は、Staticの設定手法に限られず、RARP(Reverse Address Resolution Protocol)の設定手法であってもよい。
【0054】
(3)DHCP用IPアドレス記憶領域24と、Static用IPアドレス記憶領域26と、の2個の記憶領域を設ける必要はなく、プリンタ10の現在のIPアドレスを記憶するための1個の記憶領域のみを設ける構成を採用してもよい。
【0055】
(4)上記の各実施例では、変更部54は、図2のS32で2つのIPアドレスを比較することによって、プリンタ10の現在のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されたのか否かを判断する。ただし、変更部54は、S32の代わりに、S18でYESと判断される操作が実行されたのか否かを判断する処理を実行してもよい(即ち、変更部54は、2つのIPアドレスを比較しなくてもよい)。
【0056】
(5)登録部52は、図2のS32でYESの場合に、S34の処理を実行しなくてもよい。また、図2のS32でYESの場合に、S34の処理を実行し、次いで、S36の処理を実行してもよい。即ち、一般的に言うと、登録部は、第1の場合に、第1種の設定手法から第2種の設定手法への変更が推奨されないことを示すメッセージを表示させること、及び、メモリ内の手法情報を第1種の手法情報から第2種の手法情報に変更すること、の少なくとも一方を実行すればよい。
【0057】
(6)上記の各実施例では、1個の設定画面70a等内で、各設定項目(IPアドレスの設定手法、IPアドレス等)の内容の変更操作を実行することをユーザに許容する。ただし、例えば、設定項目毎に順に画面が表示される形式、即ち、いわゆるウィザード形式(対話形式)を用いて、各設定項目の内容を変更することをユーザに許容してもよい。
【0058】
(7)第2実施例において、図2のS14でYESの場合に、表示制御部58は、プリンタ10の現在のIPアドレスを示す値列の全てが消去された新たな設定画面を、表示部14に表示させてもよい。
【0059】
(8)上記の各実施例では、IPv4(Internet Protocol version 4)のIPアドレスが利用されるが、上記の各実施例の技術は、IPv6のIPアドレスを利用する場合にも適用することができる。
【0060】
(9)上記の各実施例では、プリンタ10が通信装置の一例である。ただし、通信装置は、サーバ、PC、PCの周辺機器(例えば、スキャナ、電話機、コピー機、FAX)、PDA、携帯電話等であってもよい。
【0061】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0062】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0063】
2:通信システム、6:PC、8:DHCPサーバ、10:プリンタ、70a〜70d:設定画面、72:設定手法表示領域、76:IPアドレスアドレス表示領域、78:サブネットマスク表示領域、80:ゲートウェイアドレス表示領域、90:警告画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
メモリと、
前記通信装置のIPアドレスの設定手法を示す手法情報と、前記通信装置の前記IPアドレスと、を前記メモリに登録する登録部であって、前記手法情報は、前記通信装置に自動的に割り当てられる動的なIPアドレスを前記通信装置の前記IPアドレスとして設定するための第1種の設定手法を示す第1種の手法情報と、ユーザによって手動で指定される静的なIPアドレスを前記通信装置の前記IPアドレスとして設定するための第2種の設定手法を示す第2種の手法情報と、を含む複数種類の手法情報のうちのいずれかである、前記登録部と、
前記メモリに登録されている前記IPアドレスを用いて、通信を実行する通信実行部と、を備え、
前記登録部は、前記ユーザからの指示に従って、前記メモリの登録内容を変更する変更部を備え、
前記変更部は、前記第1種の手法情報と、第1のIPアドレスと、が前記メモリに登録されている際に、前記ユーザから、前記第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態で、前記第1種の設定手法を前記第2種の設定手法に変更するための手法変更指示が与えられる第1の場合に、前記メモリ内の前記手法情報を、前記第1種の手法情報から前記第2種の手法情報に変更しない、通信装置。
【請求項2】
前記登録部は、さらに、前記第1の場合に、前記第1種の設定手法から前記第2種の設定手法への変更が推奨されないことを示すメッセージを、表示部に表示させる表示制御部を備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記変更部は、前記メモリに登録されている前記第1のIPアドレスと、前記ユーザによって新たに指定される第2のIPアドレスと、が一致するのか否かを判断する判断部を備え、
前記変更部は、前記第1のIPアドレスと前記第2のIPアドレスとが一致すると判断される場合に、前記第1のIPアドレスが前記他のIPアドレスに変更されていない状態であると判断する、請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記登録部は、さらに、前記メモリの登録内容の変更を前記ユーザに許容するための画面を、表示部に表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記第1種の手法情報と、前記第1のIPアドレスと、が前記メモリに登録されている場合に、前記第1種の設定手法と、前記第1のIPアドレスと、を示す第1の画面を、前記表示部に表示させ、
前記ユーザから、前記第1の画面を介して、前記第1種の設定手法を示す表示を、前記第2種の設定手法を示す表示に変更するための表示変更指示が与えられる場合に、前記第2種の設定手法を示す第2の画面であって、前記第1のIPアドレスを示す値列のうちの少なくとも一部の値が消去された前記第2の画面を、前記表示部に表示させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2の画面は、前記第1のIPアドレスのホスト部を示す値を含まず、前記第1のIPアドレスのネットワークアドレス部を示す値を含む画面である、請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記変更部は、前記第1種の手法情報と、前記第1のIPアドレスと、が前記メモリに登録されている際に、前記ユーザから、前記第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更された状態で、前記第1種の設定手法を前記第2種の設定手法に変更するための前記手法変更指示が与えられる第2の場合に、前記メモリ内の前記手法情報を、前記第1種の手法情報から前記第2種の手法情報に変更する、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
通信装置であって、
メモリと、
前記通信装置のIPアドレスの設定手法を示す手法情報と、前記通信装置の前記IPアドレスと、を前記メモリに登録する登録部であって、前記手法情報は、前記通信装置に自動的に割り当てられる動的なIPアドレスを前記通信装置の前記IPアドレスとして設定するための第1種の設定手法を示す第1種の手法情報と、ユーザによって手動で指定される静的なIPアドレスを前記通信装置の前記IPアドレスとして設定するための第2種の設定手法を示す第2種の手法情報と、を含む複数種類の手法情報のうちのいずれかである、前記登録部と、
前記メモリに登録されている前記IPアドレスを用いて、通信を実行する通信実行部と、を備え、
前記登録部は、前記ユーザからの指示に従って、前記メモリの登録内容を変更する変更部を備え、
前記登録部は、さらに、前記第1種の手法情報と、第1のIPアドレスと、が前記メモリに登録されている際に、前記ユーザから、前記第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態で、前記第1種の設定手法を前記第2種の設定手法に変更するための手法変更指示が与えられる第1の場合に、前記第1種の設定手法から前記第2種の設定手法への変更が推奨されないことを示すメッセージを、表示部に表示させる表示制御部を備える、通信装置。
【請求項8】
メモリを備える通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記通信装置のIPアドレスの設定手法を示す手法情報と、前記通信装置の前記IPアドレスと、を前記メモリに登録する登録処理であって、前記手法情報は、前記通信装置に自動的に割り当てられる動的なIPアドレスを前記通信装置の前記IPアドレスとして設定するための第1種の設定手法を示す第1種の手法情報と、ユーザによって手動で指定される静的なIPアドレスを前記通信装置の前記IPアドレスとして設定するための第2種の設定手法を示す第2種の手法情報と、を含む複数種類の手法情報のうちのいずれかである、前記登録処理と、
前記メモリに登録されている前記IPアドレスを用いて、通信を実行する通信実行処理と、を実行させ、
前記登録処理は、前記ユーザからの指示に従って、前記メモリの登録内容を変更する変更処理を含み、
前記変更処理では、前記第1種の手法情報と、第1のIPアドレスと、が前記メモリに登録されている際に、前記ユーザから、前記第1のIPアドレスが他のIPアドレスに変更されていない状態で、前記第1種の設定手法を前記第2種の設定手法に変更するための手法変更指示が与えられる第1の場合に、前記メモリ内の前記手法情報を、前記第1種の手法情報から前記第2種の手法情報に変更しない、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−235507(P2012−235507A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−156880(P2012−156880)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【分割の表示】特願2010−69387(P2010−69387)の分割
【原出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】