説明

通気されるフィルターエレメントを有するフィルター組立体

フィルター組立体(10)は、中央の直立管(34)を有するハウジング(16、17)、及びフィルターエレメント(50)を取り囲むためのカバー(19)を備える。フィルターエレメント(50)は、濾過媒体のリング(52)及び第1、第2の端部キャップ(54、62)を持つ。第1の端部キャップ(54)に、媒体リング(52)の中央空洞部(53)内への通気オリフィス(61)が形成される。媒体リング(52)の中央に支持コア(70)が配置され、そして第1及び第2の端部キャップ(54、63)間を伸びる。コア(70)は、通気オリフィス(61)と連通し第1の端部キャップ(54)から第2の端部キャップ(62)に伸びている分離かつ独立した流路(88)を備える。第2の端部キャップ(62)は、中央開口(65)、及び開口(65)の境界を定めている環状のシール具(98)を有し、このシール具は直立管(34)を受け入れかつこれをシールし、更に直立管(34)に沿い又はハウジングの下方端部(17)において、コア(70)内の流路(88)と、排出穴(25)への流れの開口(38)とを連通している通過経路(110)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に流体フィルター及び組立体に関し、特に車両燃料システム用の流体フィルター及び組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のようなある種の燃料システムにおいては、タンクからエンジンに至るようなシステムを通して燃料を動かすためにポンプが設けられる。ポンプの下流側(圧力側)の構成要素を保護するために下流側にフィルターエレメントがしばしば設けられる。始動時及び運転中にフィルターハウジング内に空気が押し込まれることがあり得る。空気がエレメントを通して押されることを避けるためにハウジング内にたまった空気を抜くことが望ましい。空気は燃料の給送を不規則にし、下流側の構成要素の性能に影響を与える可能性がある。
【0003】
一つの解決法は、ハウジングの上方部分に通気オリフィスを設けることである。かかる通気オリフィスは、ハウジングが燃料で満たされるとき、空気がハウジングからゆっくりと出ることを許す。通気オリフィスを適切な寸法にし、かつ通気オリフィスをハウジングの上方部分に置くことにより、通気オリフィスは本質的に空気の出ることだけを許すであろう。燃料の損失は実際にごく僅かであり、かつこれを集めて空気によりタンクに戻すことができる。
【0004】
また、中心に置かれた直立管の頂部に通気オリフィスを置き、直立管を通して空気/燃料を排出することも知られている。これは、入って来る汚染された燃料と出て行く清浄な濾過された燃料とを分離するために、上方端部キャップと直立管との間のシールを必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の解決法は、市場ではある程度容認されてきたが、これらは、適正に機能するために、一般に追加の弁、シ−ル、配管、及び/又は比較的複雑な構成要素を必要とする。これが組立体の価格を押し上げ、かつ寸法及び重量を大きくする。更に通気オリフィスはハウジング構造の部分であるため、微粒子状物質が詰まっていないことを確保するために定期的に検査しかつ清掃する必要がある。
【0006】
そこで、空気の排出を必要とする流体用途のためのフィルター組立体及びエレメントであって、フィルター組立体は単純で低価格の設計を有し、また通気オリフィスは詰まりの機会を最小にするために定期的な間隔で交換されるものについての要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様により、第1の端部と第2の端部とを有しかつ中央空洞部を囲んでいる濾過媒体のリング;媒体リング(media ring)の第1の端部に気密に接合され、かつ媒体リングの中央空洞部内への通気オリフィスを有する第1の穴なしの端部キャップ;媒体リングの第2の端部に気密に接合され、かつ中央開口を定めている環状の本体部分を有する第2の穴なしの端部キャップ:媒体リングの中央空洞部内に配置されかつ媒体リングの内側寸法を支持する支持コアであって、第1の端部キャップに向いた第1の端部から第2の端部キャップに向いた第2の端部に伸び、更に流体がコアを半径方向で中央空洞部内に通過するために媒体リングを半径方向に通過することを許す穴あきのフレームを有する支持コア;通気オリフィスに連通した支持コアの第1の端部から支持コアの第2の
端部に伸び、かつ媒体とコアのフレームとを通る流れから分離し独立した筒状流路;第2の端部キャップにより担持されかつ内部の中央開口の境界を定めている環状の弾性シール具であって、媒体リングとフレームとを通る流体から筒状流路を流体的に分離し、かつ筒状流路と第2の端部キャップの中央開口とを相互に流体的に連絡している少なくも1個の貫通流路を有する前記シール具を具備したフィルターエレメントが提供される。
【0008】
本発明は、空気の排出を必要とする流体用途に対し、簡単、低価格な設計を有する新規かつ特有のフィルター組立体及びエレメントを提供する。抜き取られた空気のための排出経路が、エレメントの中央を通って設けられ、より特別には、好ましくはエレメント用の中央支持コアと一体に形成された分離しかつ独立した流路を通って設けられる。この流路は、空気を、フィルターエレメントの上方端部キャップの通気オリフィスから中央直立管を通り又は排出穴に至るハウジングの下方端部を通る排出経路に向ける。通気オリフィスはエレメントと一体である、そしてこれにより、詰まる危険を減らすためにエレメントの交換の際に交換される。
【0009】
本発明により、フィルター組立体は、下方の閉鎖端部と上方の開口端部とを有するハウジングキャニスター;キャニスターの開口端部用の取外し可能なカバー;及び濾過すべき流体をハウジング内に向ける入口穴を備える。カバーは、フィルターエレメントに容易に接近できるようにキャニスターからネジで着脱することができる。ハウジングは、更に、キャニスターの閉鎖端部から開口端部に向かって上向きに突き出ている中央の直立管を備える。直立管及びハウジング下方端部を通る1対の流体的に分離した流路が定められる。第1の流路は、濾過された流体をハウジング外に向けるために、直立管の上方末端に開口し、直立管を通ってハウジングの下端の出口穴に伸びる。第2の流路は、空気(及び若干の流体の漏れ)をハウジングから出してタンクに向けるために、直立管の長さに沿った1個以上の開口から直立管内の分離した流路を通ってハウジングの下端の排出用開口に伸びる。或いは、第2の流路はハウジングの下方端部におけるように、直立管から分離して形成することができる。
【0010】
フィルターエレメントは、第1の上方端部及び第2の下方端部を有しかつ中央空洞部を囲んでいる濾過媒体のリングを備える。媒体リングの第1の端部に第1の穴なしの端部キャップが気密に接合され、これは中央に置かれた通気オリフィスを備える。第2の穴なしの端部キャップが、媒体リングの第2の端部に気密に接合され、更に中央開口を定めている環状の本体部分を有する。
【0011】
媒体リングの中央空洞部内に中央支持コアが配置され、媒体の内側寸法を支持する。流れがコアの内部を通過するために媒体を半径方向内向きに通過できるように、コアは半径方向通路を備える。コアは第1及び第2の端部キャップ間を伸び、そして通気オリフィスに連通した第1の端部キャップから第2の端部キャップに伸びている分離しかつ独立した流路を備える。弾性環状シールが第2の端部キャップにより担持されかつその中に中央開口の境界を定める。エレメントがハウジング内に置かれたとき、この環状シールが、直立管及び又はハウジングの下方端部を受け入れかつ流体的にシールする。シールは、少なくも1個の、好ましくは複数個の、コア内の軸方向流路と直立管の第2の流路に至る第2の開口とを流体的に相互に連結する通過経路を備える。シールの中間部分は、直立管及び/又はハウジングから僅かにずらされ、シールの通過路と直立管の第2の開口との円周方向の整列の如何に拘わらず流体が第2の開口に通過するであろうような円周方向の流路間隙を提供する。
【0012】
上述のシール具は、i)媒体から出た清浄な流れと媒体に入る汚染された流れとを、及びii)媒体を通過する流れと支持コア内の流路とを流体的に分離する。シール具の形状及び直立管の形状が、ハウジング内のフィルターエレメントを軸方向で適切に位置決めす
る。
【0013】
そこで、上述されたフィルター組立体及びエレメントは、空気の排出を必要とする流体用途に対し、簡単、低価格な設計を有する新規かつ特有のフィルター組立体及びエレメントを提供する。通気オリフィスはエレメントと一体であり、そしてこのため、詰まる危険を減らすためにエレメントの交換の際に交換される。
【発明を実施するための最良の手段】
【0014】
本発明は付属図面における例示の方法で線図的に図解される。
【0015】
図面、まず図1を参照すれば、本発明の原理により構成されたフィルター組立体が一般に10で示される。フィルター組立体10は、流体システムから微粒子及びその他の汚染物を除去するに有用であり、特に車両用燃料システムにおける燃料の流れから微粒子及びその他の汚染物を除去するためのフィルター組立体として特に有用である。かかる用途においては、フィルター組立体は、例えばタンクからエンジンに至るシステムを通して燃料を動かすためのポンプの下流側、圧力側に置くことができる。ただし、これはフィルター組立体に対する単なる一つの適切な位置であり、他の位置及び用途が可能であることに注意すべきである。
【0016】
フィルター組立体10は、下方の閉鎖端部17及び上方の開口端部18を有する円筒状のキャニスター16を有するハウジングを備える。カップ状のカバー19がキャニスターの開口端部に取り付けられ、これにより内部室20を定める。カバーとキャニスターとの間に22のような適切なねじが設けられ、これによりカバーをキャニスターに容易にネジで着脱することができる。(例えば、ポンプ又はタンクからの)濾過すべき燃料をハウジング内に向けるためにキャニスターの側面(又は端部の壁17)に沿って第1の穴(燃料入口)23が設けられ、一方、ハウジングからの濾過された燃料を例えばエンジン等の下流部品に向けるために、端部壁17に第2の穴(流体出口)24が設けられる。空気及び組み合わさった漏洩燃料をタンク又は容器に戻すように向けるために第3の穴(排出口)25が端部壁17に設けられる。キャニスターは、通常の工程(例えば、ダイキャスティング、機械加工など)を使って金属又はその他の適切な材料から形成することが好ましい。
【0017】
同様に図2を参照すれば、一般に30で示された直立管組立体がハウジング内部に設けられる。これは、ベース32、及び中央に置かれそしてハウジングの閉鎖端部17から開口端部18に向かって軸方向上向きに伸びている長い直立管部材34を備える。直立管34は、内部が、直立管の上方末端36からベース32に伸びている第1の流路35、及び第1の流路35から流体的に分離されかつ少なくも1個の、好ましくは複数個の第2の開口38から直立管の長さに沿ってベース32に伸びている第2の流路37に分割される。好ましくは、直立管の上方の半径方向に狭い部分40と下方の半径方向に広い部分41とを結んでいる円錐台のテーパー部分39に形成された第2の開口38が設けられる。ベース32はその底面に適切な通路42、43を備え、これらは、直立管34の流路35、37、及び端部壁17の出口穴24、排出口25をそれぞれ別個に連結する。ベース32は、ベースを端部壁17に固定して取り付けできるようにボルト(図示せず)を受け入れる開口46を備える。
【0018】
ベース32及び直立管部材34は、金属又はプラスチックのような通常の材料から、形成工程中に容易に作り得る通路35及び37を有するワンピース(一体品)に形成されることが好ましい。直立管組立体は、一緒に固定された多数の部品から構成することも可能である。例えば、直立管部材34は、これを一体に形成し、そしてベース32に(接着剤又はプレスばめなどにより)取り付けることができる。更に、図6に関連して後で説明されるように、直立管組立体30の全部又は一部を端部壁17とワンピース(一体品)に形
成することもできる。
【0019】
図1−3を参照すれば、フィルター組立体は、いずれの場合も、更にハウジングの内部に置かれ一般に50で示されたフィルターエレメントを備える。エレメント50は、中心軸線を囲みかつ中央空洞部53を定めているリング状のフィルター媒体52を備える。この媒体リングは、特定の用途に適切な有効性及び構造(ひだ、膨れなど)を有する材料から形成される。
【0020】
第1の端部キャップ54は穴なしの円形の本体部分56を有し、そして媒体リングの第1の上端に適切なポッティングコンパウンドにより気密に接合される。57のような複数の可撓性フィンガーが本体部分56の外表面上に設けられ、これらはそこから軸方向上向き/外向きに突き出し、カバー19の内表面上の適切な外形(タブ、溝など)と一時的な固定組合いをする(図1参照)。第1の端部キャップの外周の回りを短い環状のスカート58が伸び、そして第1の端部キャップから第2の端部キャップに向かって短い距離だけ突き出て、媒体52の外側に接合されこれを支持する。短い環状のカラー60が本体部分の内表面から媒体の中央空洞部53内に軸方向下向きに伸びる。端部キャップの本体部分56に、好ましくはエレメントの中心軸線に沿い、又は少なくも媒体リング52より半径方向内側に小さな通気オリフィス61が設けられる。これの機能は以下説明されるであろう。この通気オリフィス61の大きさは用途に応じて変えることができるが、一つの用途においては、通気オリフィスは、0.457から0.508mm(0.018から0.020インチ)の間の直径を有する開口である。第1の端部キャップ54は、適切な材料、例えば、プラスチックから通常の方法でワンピース(一体品)に形成されることが好ましい。
【0021】
第2の端部キャップ62は、中央開口65を定めている穴なしの環状の本体部分64を備え、かつ適切なポッティングコンパウンドにより媒体リングの第2の下方端部に気密に接合される。第2の端部キャップの外周の周りに短い環状のスカート66が伸び、そして第2の端部キャップから第1の端部キャップに向かって短い距離だけ突き出て、媒体52に外から接合されこれを支持する。短い環状カラー67が第2の端部キャップの内面から媒体の中央空洞部53内に軸方向内向き/上向きに伸びる。環状本体部分64及びカラー67は、カラーから半径方向内向きに突き出て中央開口65を定めている環状のショルダー68を定める。第2の端部キャップ62も、適切な材料、例えばプラスチックから通常の方法を使用してワンピース(一体品)に形成されることが好ましい。
【0022】
エレメントの支持を提供するために、媒体52の内側に中央コア70が受け入れられる。支持コア70は、媒体の全長に沿って伸びる。さて、図4を参照すれば、支持コア70は、好ましくは74のような一連の環状の横方向支持部材と76のような一連の軸方向の長手方向支持部材とを有する円筒状フレームを備え、これらの支持部材74と76とは、78のような一連の半径方向の流れ開口を定める。横方向支持部材74は、媒体リング52の内側寸法と組み合ってこれを支持するに十分な外側寸法、及び中央の直立管34を受け入れるに十分な内側寸法を持つ。
【0023】
一番上の横方向支持部材79は穴なしの円形の形状を有し、その周囲の境界を定めかつここから外向き(上向き)に突き出ている環状カラー80を備える。図1及び3に見られるように、カラー80は、第1の端部キャップ54のカラー60と媒体52との間に受け入れられるような寸法にされ、そして第1の端部キャップが媒体リングに固定されるときポッティングコンパウンドにより第1の端部キャップに気密に接合される。このように組み立てられたとき、一番上の横方向支持部材79と第1の端部キャップ54との間に、通気開口61と連絡する第1の上方円形室81が定められる。
【0024】
同様に、図4を参照すれば、一番下の横方向支持部材82は、中央開口83を定めている穴なしの環状の形状を有し、かつその周囲の境界を定めかつそこから外向き(下向き)に突き出ている環状カラー84を備える。カラー84は、(図1及び3に示されるように)第2の端部キャップ62のカラー67と媒体52との間に受け入れられような寸法とされ、そして第2の端部キャップが媒体リングに固定されるとき、ポッティングコンパウンドにより第2の端部キャップに気密に接合される。一番下の横方向支持部材82と第2の端部キャップ62との間に第2の下方環状室85が定められる。
【0025】
一連の半径方向支持部材86が、一番下の横方向支持部材82の周りに間隔を空けた配列で設けられ、これらはカラー84から中央開口83に向かって内向きに突き出す。各半径方向支持部材86は軸方向スロットを87のように持つことができ、これは、組立工程中にコア上における下方端部キャップの位置決め、固定及び支持を容易にするために、下方端部キャップからカラー67を受け入れるような寸法にされる。半径方向支持部材86も、以下説明されるであろうように、シール具の位置決め及び支持を容易にする。
【0026】
支持コア70と一体の軸方向流路88が設けられる。流路88は、半径方向の流れ開口78とは流体的に分離かつ独立した流路を定める筒状又は円筒状の本体89により定められる。特に、流路88は、上方カラー80により境界を定められた上方室81内に開口する上方端部90、下方カラー84により境界を定められた下方室85内に開口する下方端部91、及び曲線の頂部から底部まで各横方向支持部材74を通って通過する本体部分92を持つ。
【0027】
流路88は支持コア70の内部にあることが好ましいが、フィルター媒体52の組成に応じて、流路はコアの外面に沿って伸び、或いはこれから(間隔を空けて)物理的に分離してコアの外側とすることも可能である。例えば、媒体が膨らまされ又は形成された媒体である場合は、流路を媒体の内部に形成することができ、そして上方室81と下方室85とを連結するために上下の端部に半径方向流路を設けることができる。
【0028】
いずれの場合も、流路88を有する支持コア70は、適切な材料、例えばプラスチックから通常の方法を使用してワンピース(一体品)に形成されることが好ましく、そして前述のように、媒体の端部においてポッティングコンパウンドにカラー80、84を埋め込むことにより第1及び第2の端部キャップ54、62に固定されることが好ましい。コア70上の横方向支持部材74及び長手方向支持部材76の数は、必要な強度及び組立体を通る所望の流量に応じて変えることができる。流路88の半径方向寸法もまたハウジングから排出される予想空気量に応じて変えられるであろう。支持コア70は、図に示された穴あき形状(即ち横方向及び長手方向の支持部材を有する形状)以外の別の形状になし得ることは勿論であり、例えば円筒状の穴あき管とすることができる。また、媒体リングが十分な内部支持を有する場合は、流路の本体89により支持される上下のカラー80、84を単に備えること、即ち、ある用途ではコアのフレーム部材を無くすことも可能であり、媒体がカラー及び流路により十分に支持されるであろう。その他の変更例も明らかであろう。
【0029】
図2及び5に98で示された環状のシール具がエレメントの下端に向かって提供される。シール具98は、一方の外側端部の半径方向に大きくされたベース部分100、他方の内側端部の半径方向に縮小されたヘッド部分102、及びベース部分とヘッド部分とを連結しかつ(図1に見られるように)直立管の円錐台状の部分39の外側形状に実質的に適合する内側形状を有する円錐台状の中間部分106を持つ。ベース部分100は、平らな底面108、及び下方端部キャップ62のカラー67内に密に適合しかつ半径方向ショルダー68に押し付けられるに十分な外側寸法を持つ。ベース部分100は、開口65内に半径方向内向きに僅かに突き出し、更に直立管32の拡大部分41の外周を密に受け入れ
かつこれをシールするような寸法にされた内側の円筒状の形態を持つ。
【0030】
同様に、シール具のヘッド部分102は、これが開口83を通して挿入されかつ一番下の横方向支持部材82の内部に受け入れることができるような外側寸法を持つ。同様に、ヘッド部分102は、僅かに内向きに突き出し、そしてエレメントが直立管上に受け入れられたときに直立管の細い部分40を密に受け入れかつこれに対してシールするような寸法にされた内側の円筒状の面を持つ。
【0031】
シール具が前述のようにコアと下方端部キャップとの間に置かれたとき、コア70の下方部分の半径方向支持部材56の各々はシール具の外面、特に中間部分106の区域(例えば図3を参照)を支持するような寸法にされた外側のテーパー付きの縁を持つ。これは、組立中のシール具の位置決め、並びに使用中の(下方端部キャップによる)コアと媒体との間の適正な流体シールの維持を容易にする。
【0032】
環状シール具の中間部分106は、これを半径方向及びいくらか軸方向に通過する少なくも1個の、好ましくは一連の通過通路110を持つ。フィルターエレメントの流路88と直立管のベースの排出通路37とを連通させるために、通過通路110は、図1に見られるように中央直立管の開口38を有するカラー84内の下方室85と整列されかつこれと連通する。通過通路110の数は、流路88を通る所望の流量に応じて変えることができる。
【0033】
図1に見られるように、シール具の中間部分106と直立管の円錐状部分39との間に僅かな半径方向間隙112が設けられる。この間隙は円周状の流路を定め、これにより、フィルターエレメントがハウジング内に設置されたとき、流体は、通過通路110と開口38との円周方向の向きとは無関係にこの区域に入り直立管34の開口38に流れることができる。
【0034】
以上から明らかなように、エレメントがハウジングに設置されかつ濾過すべき流体が入口ポート23を経て導入されると、流体はフィルターエレメントの周囲を回り、媒体52を通って半径方向内向きに流れ、ここで微粒子及びその他の汚染物質が分離される。次いで、清浄な流体は、支持コアの開口78を通過し、上昇して直立管34の末端を回り、次いで流体は直立管内の通路35を通過して下降し、そしてベース32内の通路42を出口穴24に通過する。入って来る流体内のいかなる空気も上方端部キャップ54の周囲のハウジングの上方部分に上がろうとし、空気は上方端部キャップの通気開口61を通過し、そして流路88を通って下降し、シール具内の通過通路110を通り、直立管34内の排出通路37を通りベース32内の通路43に至り、そして排出穴25に至る。通気開口61は、空気が排出穴を通過することを十分に許すが、大量の流体の漏洩を防ぐには十分に狭いように適切な寸法にされることが好ましい。開口61を漏洩するいかなる流体もタンクへの排出経路に向けられる。
【0035】
エレメントが効力を失ってエレメントをハウジングから(カバー19を外すことにより)取り出して新しいエレメントと交換するとき、通気オリフィスはエレメントと一体の要素であるため、同様に交換されることは言うまでもない。これにより、オリフィスが時間の経過とともに詰まり、このためハウジング内の空気を通気穴に通気させることを妨害することが減らされる。
【0036】
この場合も、直立管34の高さと寸法、通気オリフィス61の大きさ、流路88の寸法、及びフィルターエレメント及びハウジングのその他の寸法特性は、特定の用途、及びシステムにおける予期される流体と空気の流量に応じて変更し得ることは勿論である。
【0037】
図6に示されたような本発明の第2の実施態様によれば、直立管組立体のベース32を、キャニスター16の下方端部と一体に形成することができる。この場合は、直立管部材34は、ベース32とワンピース(一体品)で形成することができ、或いは図示のようにベースとは別に形成し、次いで接着剤、プレスばめ、又は溶接によるようにして取り付けることができる。この実施態様においては、第2の開口38はベース32の環状の突き出た部分122を通して形成され、そしてシール具98は、環状の突き出た部分122を受け入れかつこの上をシールするために、環状の大きなベース部分100、環状の小さいヘッド部分102、及び側面の中間部分106を有するカップ状の形状を持つ。この場合も、シール具の開口110及び環状の突き出た部分122内の第2の開口の円周方向の向きとは無関係に、シール具の開口110と第2の通路への第2の開口との間の流体の流れを許すために、シール具と直立管組立体との間に僅かな間隙が設けられる。流体の流れを出口及び排出穴に向けるためにベース32に前述の42及び43のような通路が形成される。フィルター組立体のその他の部分は、第1の実施態様に関して前述されたものと実質的に同じであることが好ましく、簡潔のために更に説明されないであろう。
【0038】
上のいずれの実施態様においても、シール具98は、媒体52を半径方向内向きに通過する入口穴23から入って来た汚れた流体と、中央直立管34内に流路78を通って流れ込む媒体の下流側の清浄な流体とを流体的に分離する。シール具98は、流路88を通る流れと、媒体を通過して中央直立管内に入る流れとを流体的に分離する。シール具は、直立管上のシール具の回転方向位置とは無関係に流路を提供するように、中央直立管及びハウジングに対するシール具の適切な封鎖を提供する。直立管及びシール具の形状は、直立管に沿ったフィルターエレメントの軸方向の位置決めも容易にする−エレメントはシール具が中間部分106と組み合うまで直立管上で下向きに適合し、この点においてフィルターエレメントは適正に置かれる。ハウジング内でエレメントを適正に軸方向及び半径方向で位置決めするために、ハウジングの下方端部から軸方向上向きに突き出ていて下方端部キャップと組み合うリブ又はフランジのようなその他の位置決め用構造を設け得ることも勿論である。
【0039】
シール具98は、特別な用途に適したいかなる弾性材料又は柔軟性材料で作ることができ、好ましくは弾性材料から形成された部材である。シール具はワンピース(一体品)に形成されたとして示されたが、互いに連結され又は通過経路110を定めるようにベースとヘッド部分との間に空間又は間隙を有して僅かに離された多くの部片から形成することもできる。この場合、シール具の適切な部分が弾性で直立管とのシールを提供する限り、シール具の諸部分を比較的硬い材料で形成するができる。
【0040】
上述のように、本発明は、空気の排出を必要としかつ単純で低価格のデザインを有する流体用の新規かつ特有なフィルター組立体及びエレメントを提供する。抜き出された空気(及びこれに伴う漏洩流体)のための排出経路がエレメントを通って中央に提供され、より特別には、分離し独立した流路がエレメントのための中央支持コアと一体に形成されることが好ましい。流路は、空気を、フィルターエレメントの上方端部キャップの通気オリフィスから中央直立管への排出通路内部に向ける。通気オリフィスはフィルターエレメントと一体であり、フィルターエレメントを交換するとき都合よく交換され、オリフィスが詰まる危険を減らす。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の原理により構成されたフィルター組立体の側方断面図である。
【図2】フィルター組立体の分解図である。
【図3】図1のフィルター組立体用のフィルターエレメントの側方断面図である。
【図4】フィルター組立体の支持コアの部分的に断面における斜視図である。
【図5】フィルター組立体のシール具の部分的に断面における斜視図である。
【図6】本発明の更なる実施態様を示しているフィルター組立体の側方断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央空洞部(53)を囲んでいる濾過媒体のリング(52);
媒体リング(52)の一方の端部に気密に接合された第1の穴なしの端部キャップ(54);
媒体リング(52)の他方の端部に気密に接合された第2の穴なしの端部キャップ(62)であって、中央開口(65)を定めている環状の本体部分(64)を有する前記第2の端部キャップ(62);
媒体リング(52)の中央空洞部(53)内に配置されかつ第1及び第2の端部キャップの間を伸びている円筒状の支持コア(70)であって、媒体リング(52)を内側で支持し、更に流体がコア(70)を半径方向に通って中央空洞部(53)内に通過するために媒体リング(52)を半径方向に通過して流れることを許している穴あきのフレーム(74、96)を有する前記支持コア(70)
を含んでなり、
第1の端部キャップ(54)が媒体リング(52)の中央空洞部(53)内への通気オリフィス(61)を有し;
支持コア(70)内の流路(80)が通気オリフィス(61)と連通している第1の端部(90)から第2の端部(91)に伸び、流路(80)は媒体(52)及びコア(70)のフレーム(74、76)を通る流れから分離しかつこれと独立し;そして
環状の弾性シール具(98)が第2の端部キャップ(62)により担持されかつ内部に中央開口(65)の境界を定め、シール具(98)は媒体リング(52)とフレーム(74、76)とを通る流れから流路(80)を流体的に分離し、更に流路(80)の第2の端部(91)と第2の端部キャップ(62)の中央開口(65)とを連通させている少なくも1個の貫通流路(110)を有する
ことを特徴とするフィルターエレメント(50)。
【請求項2】
支持コア(70)が、複数個の半径方向の流れ開口(78)を定めている相互連結された長手方向及び横方向の支持部材(74、76)のフレームを含んでなり、そして流路(80)がフレームと一体の筒状の形状を有する請求項1のフィルターエレメント(50)。
【請求項3】
支持コア(70)が、i)シール具を位置決めしかつ支持するため、及びii)支持コアに関して第2の端部キャップを位置決めしかつ支持するために第2の端部キャップの対応する位置決め用の特徴部を受け入れるために、一方の端部に位置決め及び支持の手段を備える請求項1又は2のいずれかによるフィルターエレメント(50)。
【請求項4】
第1の端部キャップ(54)及びコア(70)が通気オリフィス(61)と連絡し、かつ筒状流路の第1の端部(90)を有する第1の室(81)を定め、かつ第2の端部キャップ(62)及びコア(70)が流路の第2の端部(91)と連通する第2の室(85)を定め、更に少なくも1個の流路(10)が第2の室(85)と流体的に連結されるようにシール具(98)が置かれている請求項1〜3のいずれかによるフィルターエレメント(50)。
【請求項5】
シール具(98)が、第2の端部キャップ(62)の環状ショルダー(68)により支持される半径方向に拡大されたベース部分(100)、及び支持コア(70)の中央開口(83)により受け入れられる半径方向に縮小されたヘッド部分(102)のある円錐台状の形状を有する請求項1〜4のいずれかによるフィルターエレメント(50)。
【請求項6】
シール具(98)が、ベース部分(100)とヘッド部分(102)とを互いに連結しているテーパー付きの中間部分(106)を有し、そして少なくも1個の通過通路(11
0)がシール具の中間部分に置かれる請求項5のフィルターエレメント(50)。
【請求項7】
請求項1−6のいずれかのフィルターエレメント(50)用のフィルター組立体(10)であって;
閉鎖端部(17)と開口端部(18)と濾過すべき流体をハウジング内に向けるための入口穴のあるキャニスター(16)を有するハウジング;
キャニスター(16)の開口端部用のカバー(19)であって、これと一緒に内部室(20)又はフィルターエレメント(50)を定めているカバー(19);及び
キャニスターの閉鎖端部(17)から離れて開口端部(18)に向かって突き出ている直立管部材(34)、及び直立管組立体(30)を通って定められた1対の流体的に分離された流路(35、37)を有する直立管組立体(30)であって、第1の流路(35)は直立管部材(34)の末端(36)に開口しかつハウジングからの濾過された流体を指向させるために直立管部材(34)を通ってハウジング内の出口穴(24)に伸び、そして第2の流路(37)は直立管組立体(30)に沿って開口しかつハウジングの排出穴(25)に伸びている前記直立管組立体(30)
を備え、
フィルターエレメント(50)が直立管組立体(30)により受け入れられかつ支持され、フィルターエレメントのシール具(98)がハウジング内の直立管部材(34)に対してシールしかつ媒体リング及びコアを通って出口穴(24)に至る第1の流路(35)への流体の流れから第2の流路(37)を流体的に分離し;ハウジング内の空気が第1の端部キャップ(54)の通気オリフィス(61)を通り、第2の流路37を通り、少なくも1個の通過経路(110)を通って排出穴(25)に通過することを許すために、シール用部材内の少なくも1個の通過経路(110)が第2の流路(37)とハウジングの排出穴(25)とを連通させる
フィルター組立体(10)。
【請求項8】
第2の流路(37)が、キャニスターの閉鎖端部(17)に向かう半径方向で大きくされた部分(41)とキャニスターの閉鎖端部から離れた半径方向で狭くされた部分(40)とを相互に連結している直立管部材(34)の円錐台状のテーパー部分(39)内に開口し;更にシール具(98)が、直立管部材(34)の円錐台状のテーパー部分(39)に対応した円錐台状のテーパー部分(106)を有する請求項7のフィルター組立体(10)。
【請求項9】
第2の流路(37)がベース(32)の環状の突き出た部分(122)内に開口し;更にシール具(98)が直立管組立体(30)の突き出た部分(122)に対してシールされた横方向部分(106)を有する請求項7のフィルター組立体(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−501103(P2007−501103A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521929(P2006−521929)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/023646
【国際公開番号】WO2005/011838
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(500207958)パーカー−ハニフイン・コーポレーシヨン (10)
【Fターム(参考)】