説明

通気孔付きマスカラワイパー

【課題】 マスカラボトルあるいはその他の包装体のためのベント付きワイパーを提供する。
【解決手段】 容器の充填の間において、この通気孔付きワイパーは、ワイパーの内部を介してではなく、マスカラ容器から排出させるものである。本発明は更に、ワイパーを備えた容器のための改良された充填方法を包含するものである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスカラ容器又は他の包装体のためのワイパーに係り、特に、このマスカラ容器への充填に間において、空気がワイパーの内部からではなく、マスカラ容器から排出させるようにしたワイパーに関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラ包装体は一般に、ネジ付き首部を備えた円筒状ボトルの形態をした容器からなっている。この首部は孔口(オリフィス)を有し、これを介してボトルが充填され、かつ、ブラシ・ロッドアッセンブリーが挿入されるようになっている。このブラシ・ロッドアッセンブリーは、ネジ付き首部に嵌合するネジ付きクロージャーから垂れ下がるようにして設けられている。更に、典型的なマスカラ包装体は首部の孔口に配設したワイパーを備えている。このワイパーの目的は、当業者に周知のように、ブラシ・ロッドを、内容物を充填したボトルから引き出したとき、ロッドを清浄すると共に、ブラシから余分なマスカラを除去し、ブラシ上のマスカラを平滑にしてから、ブラシをまつ毛に適用させるようにすることである。
【0003】
典型的な従来のワイパーを図1および図2に示す。概略的に、ワイパー(100)は中空円筒状のものである。特に、典型的なワイパーには、1つの保持ビード(101)が設けられている。ワイパーをマスカラボトル内に完全に装着させたとき、この保持ビードはボトル首部の内側壁面に設けられた相補的溝に嵌合するようになっている。これら保持ビードおよび溝は、例えば、ブラシをワイパーに通過させたときなど、ワイパーの如何なる動きにも対抗してボトル首部内でのワイパーを安定化させるものとなる。ワイパーの下方部(102)はテーパー状となっていて、その径はワイパーの上方部(103)の径よりも小さくなっている。この下方部は下方オリフィス(105)で終わっており、上方部は上方オリフィス(104)で終わっている。一般に使用されているように、下方オリフィスの径は一般に0.139〜0.163インチの範囲内となっているが、その他のサイズのものも使用されることがある。この範囲のサイズのものは現在使用されている殆んどのブラシ・ロッドアッセンブリーを収容させるものとなる。
【0004】
本発明の認識に際し、製造環境における従来のマスカラ充填操作を理解することは有益である。
【0005】
包装体供給者は充填者に対しマスカラボトルを、ワイパーが首部に既に完全に装着させ、保持ビード(101)を首部の相補的溝に嵌合させた状態で提供するであろう。これは、充填者に対し、充填の前に、これら部材を組立てるための時間と労力を節減させるものとなる。殆んどの充填者は、包装体供給者がこのようにワイパーを首部に挿入させることを欲するであろう。なぜならば、何千ものワイパーを挿入させることは、費用のかかるワイパー挿入装置が必要となり、その装置のメンテナンスも必要であり、更に、機械又はオペレータの不具合から生じる損傷部材の費用も充填者が負担しなければならないからである。その他、ワイパーと、ボトルとを充填の現場で組立ててもよい。これは充填者にとって、包装体供給者がこのサービスについて請求するであろうコストを節減させるものとなるが、このことは通常、なされていない。
【0006】
いずれにしても、ワイパー(100)をボトルの首部に完全に装着させたとき、ワイパーのフランジ(106)はこの首部の頂部に載置された状態になる。この位置において、上方部(103)の外側表面はその全周に亘って前記首部の内側壁面と実質的に接触することになる。この接触並びに保持ビード(101)と相補的溝との間の接触によりワイパーと前記首部との間に気密封止が形成されることになる。一般に、この気密封止は完全なものであり、つまり上方部の全周に亘って途切れることがない。しかしながら、例え、この気密封止がほぼ完全なものに過ぎなくとも、この気密封止はワイパーと前記首部との間の空気の移動を妨害するのに十分有効である。ボトルとワイパーとをこのような形態にした状態で、製品充填チューブが上方オリフィス(104)を介して下方に挿入され、ワイパーの下方オリフィス(105)を貫通することになる。このボトルの充填後、充填チューブは除去される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この充填チューブの外径は、充填チューブと、ワイパー(100)の下方オリフィス(105)の周面との間に約0.005インチのクリアランスを残すような寸法となっている。前述のように、ワイパーの下方オリフィスの径は通常、0.139〜0.163インチの範囲であり、このことは充填チューブの外径は通常、0.129〜0.153インチの範囲であることを意味している。この0.005インチのクリアランスは、製品充填の間に空気をボトルから逃がすために必要なものである。なお、空気は下方オリフィスを介してワイパーを通って逃げなければならず、完全又は略完全な気密封止のため、ワイパーと、ボトル首部との間から逃げることはできないことに留意すべきである。充填チューブの壁部の肉厚が一般に0.005インチであるとすると、充填チューブのオリフィスの直径は一般に0.119〜0.143インチの範囲とすることができる。これは、充填の間に高粘度の粘着性マスカラを強制的に通過させる断面積に相当するものである。粘性流体の層流の場合、チューブ内の流れ抵抗は、チューブの半径の4乗に反比例する。従って、充填チューブの半径が小さければ小さいほど、マスカラボトルを充填することがより困難となり、コストも高くなる。なぜならば、充填チューブを介してマスカラを強制的に流入させる際の抵抗に打ち勝つために必要な充填圧がより高くなるからである。より高い充填圧は、より大きいエネルギー消費、製造環境での安全管理の増強、ワイパーがボトルから吹き飛ばされラインを遅滞させる可能性の増大などを招くものとなる。より小さい径の充填チューブを使用することの他の不利益は当業者にとって明らかであろう。反対に、充填チューブの孔口を大きくすることができれば、マスカラボトルを充填するのに要する圧力およびエネルギーも減少することになり、ボトルを充填する際の速度および安全性も増大することになる。
【0008】
本発明の主な目的は、マスカラボトルを充填する際のコストを軽減することができる改良されたワイパーを提供することである。
本発明の他の目的は、マスカラボトルの充填ライン速度を増加させることができるワイパーを提供することである。
本発明の他の目的は、マスカラボトルを充填する際に要する圧力を軽減することができ、その消費エネルギーを減少させることができるワイパーを提供することである。
その他の本発明の利点は当業者にとって明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はマスカラボトルのための通気孔付き(排気式)ワイパーを提供するものである。その基本部分は従来技術の説明で記述したものと同じであるが、改良された充填工程の間においてマスカラボトルの内側から外側へ空気を移動させるための1又はそれ以上の手段を組み込むべく有利に改良されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書全体を通して、「含む」、「有する」、「具備する」の用語は、具体的に記述した目的物以外のものをも包含し得ることを意味するものである。
【0011】
説明の便宜上、以下の説明では、本発明の種々の形態を記述するものとして、マスカラ包装体を例示している。しかし、ここに記載したものは全て、本発明をマスカラ包装体に限定することを意図したものではない。図3−5を参照すると、本発明の新規なワイパー(1)は中空円筒体をなしている。この円筒体は、少なくとも2つの部を有する、すなわち、上方部(2)と、この上方部の下に位置するテーパー部(3)とである。この上方部は上方オリフィス(4)で終わっており、下方部は下方オリフィス(5)で終わっている。この上方部は上方周方向ビード(6a)および下方周方向ビード(6b)を支持している。これは、通常、ワイパーが僅か1つの保持ビードを有するものとする従来技術とは区別される。一般に行われているように、下方オリフィスは通常、径が0.139〜0.163インチの範囲のものであるが、その他のサイズが用いられることもある。本発明は下方オリフィスのサイズが特定の範囲のものに限定されるものでなく、そのサイズはブラシ・ロッド・アプリケータ・アッセンブリーの要求される変化に適応するよう調整させることができる。上方部(2)の頂部の全体又は殆んどを囲むようにしてフランジ(8)が設けられている。上述のように、従来のワイパーがマスカラボトル内に挿入されたとき、ボトルからの空気の逃がし(充填の間など)は下方オリフィスを介してワイパーを通ってなされなければならない。その場合の不利益は上述の通りである。この従来技術の深刻な欠点を克服し、新規な利益を得るために、本発明の新規なワイパーには、ボトル内の空気を下方オリフィスを通過することなくボトルから逃がすための1又はそれ以上の手段が設けられている。
【0012】
効果的にするため、本発明の幾つかの実施例では、変更した充填工程、すなわち、“浮き上がりワイパー充填法(raised wiper filling method)”として以下に参照するところの方法が要求される。これは、充填の前にワイパーをボトル首部内に完全に挿入する又は完全に装着させる従来技術とは区別されるものである。“完全に装着させる”とは、フランジ(8)をボトル首部の頂部に接触させることを意味するものである。“浮き上がりワイパー”とは、下方周方向ビード(6b)が首部の相補的溝(7)に到達する所までワイパーが挿入され、それにより下方ビードを相補的首部溝内に確実に嵌合させること(図6参照)を意味する。この下方ビードの位置は、それが首部溝内に嵌挿されたときワイパーが浮き上がり位置にあるよう位置決めされる。この浮き上がり位置(raised position)において、上方部(2)のかなりの部分が首部の外に留まり、フランジ(8)は首部の頂部(30)上に着座していない。このボトル首部と、この首部内に存在するワイパーの部分との間には気密な嵌合が存在することになる。更に、首部溝内への下方ビードの嵌合は、ボトルの輸送および充填の間においてワイパーを浮き上がり位置にて保持させるのに十分な締付けを果たすものとなる。ボトル首部と、上方部との間の接触および首部溝内への下方ビードの嵌合は、1又はそれ以上の気密封止(A)を形成するものとなる。図面において、“A”はこのような気密封止の全てを個々に、又は集合的に表している。更に、“気密封止”とは、充填の間において、空気が気密封止部分を通過して、製品により置換される空気の速度によって容器の外へ出ることが出来ないことを意味する。ボトルはワイパーが浮き上がり状態で充填され、このことは公知の充填法とは異なるものである。
【0013】
効果的にするため、更に本発明に従って、浮き上がりワイパー充填法は、ボトル首部と、上方部との間の気密封止(A)を妨げるための手段および首部溝内への下方ビードの嵌合のための手段を設けた新規なワイパーと共に使用される。このような手段が設けられた場合、ボトルの内部から置換、排出された空気は、下方オリフィスを通過することなく、逃げることができる。この置換された空気がワイパーの側面から逃げることができるため、充填者は下方オリフィス(5)の直径と実質的に等しい直径を有する充填チューブを使用することができる。もし、このことがなされる場合は、気密封止(又は、気密に近い封止)がワイパーの下方オリフィスと、充填チューブとの間に形成される。しかし、これは問題になるわけではなく、その理由は、置換された空気はワイパーと、首部の内側壁面(31)との間を自由に流れることができるからである。
【0014】
この気密封止を妨げるための1つの手段は、ワイパーの外側壁面に没設された1又はそれ以上の溝(10)を有する新規なワイパーである。1実施例として、1又はそれ以上の溝の夫々の第1の部分は、ワイパーがその浮き上がり位置にあるときに気密封止(A)が生じる高さより下のワイパーの外側壁面に位置するようになっている。他方、1又はそれ以上の溝の夫々の第2の部分は、ワイパーがその浮き上がり位置にあるときに気密封止が生じる高さより上のワイパーの外側壁面に位置するようになっている。
【0015】
例えば、前記第1の部分は前記溝の下端であり、前記第2の部分は前記溝の上端であってもよい。この下端は前記テーパー部の底部と一致させても、あるいは前記テーパー部の底部より上方に位置させてもよい。前記溝の上端は、気密封止(A)の高さより上の任意の位置にあればよく、例えば、気密封止(A)の高さより上であれば、上方ビード(6a)と下方ビード(6b)との間に位置させることができる。その他、前記溝の上端は上方ビード(6a)とフランジ(8)との間に位置させることができる。この場合、上方周方向ビードは中断されるが、この上方周方向ビードが依然としてその保持機能を果たすものである限り、何らの困難をも生じさせることはない。
【0016】
1実施例が図5および6に示されている。この場合、溝(10)はその下端(11)が下方ビードより下のテーパー部の外側壁面に位置し、その上端(12)が上方ビードと下方ビードとの間の上方部の外側壁面に位置している。これらの全ての変形例において、更に、上述の改良された充填工程において、ボトル内の空気は、ワイパーの下方オリフィスを通過することなく、ボトルの外側に流出することができる。前述のように、従来技術との比較において、このことの利点は、充填チューブをワイパーの下方オリフィスと同程度の大きさに拡大することができ、最小クリアランスを必要とするに過ぎない。“最小クリアランス”によって、充填チューブの直径は下方オリフィスのサイズとほぼ同じサイズに増大させることができ、下方オリフィスよりも若干大きいサイズにすることさえ可能である。唯一要求されることは、充填チューブが、下方周方向ビード(6b)が相補的溝(7)内に嵌合した浮き上がり位置にあるワイパーをその位置から無理に移動させないことである。前述のように、従来のワイパーを用いる従来の充填工程において、充填チューブのオリフィスは直径が0.119〜0.143インチ(約0.060〜0.071インチの半径)であり、0.005インチのクリアランスが維持されている。本発明で行われているように、仮に充填チューブの半径を0.005インチ増大させるとすると、流れ抵抗(チューブの半径の4乗に反比例する)が平均して約27%減少する。しかし、相補的溝のワイパーに対する保持強度が十分に大きく、ワイパーを所定位置に保持させるものであれば、充填チューブの直径をワイパーの下方オリフィスの直径よりも大きくすることも可能であり、その場合、流れ抵抗を更に減少させることができる。
【0017】
上述のこと以外、1又はそれ以上の溝の上端および下端の正確な位置は、コストおよび製造容易性などを考慮して決定することができる。これら溝の上端および下端が上述の規定通りである限り、この溝の全体的形状については、実施的に制限はない。最も単純な溝は直線的で、ワイパーの長手方向軸とほぼ平行なものである。その他、直線的溝はワイパーの長手方向軸に対し或る角度で傾斜させてもよい。例えば、螺旋状溝であってもよい(図7A、図7B参照)。更に、この溝は平坦又は湾曲した底面を有するもの、又は溝は角度を持たせたノッチであってもよい(図8参照)。
【0018】
その他の実施例として、溝の下端以外の或る部分が気密封止(A)の高さよりも下にあり、上端以外の或る部分が気密封止(A)の高さよりも上にあるようにしてもよい。例えば、この溝はU字形であり、このU字形の第1の端部および第2の端部が気密封止の高さより上又は下にあるようにし、U字形の湾曲部がそれぞれ気密封止の高さより下又は上にあるようにしてもよい。その他、溝は明確に画定された端部を全く有しないものとしてもよい。例えば、溝がワイパーの周面に沿って閉じられた幾何学的形状(例えば、のこ歯形状又は正弦波パターンで両端が閉じて繋がったもの)で延出するものであってもよい。各溝の或る部分が、先に規定した2つの重要な領域内に位置している限り、溝の全体的形状については重要ではない。なぜならば、空気はボトルが充填されている間において逃げることができ、空気はワイパーの下方オリフィスを通過する必要がないからである。
【0019】
上述したような溝を、1つのワイパーに対し適当数設けることができる。1つの重要な因子は、ワイパー上での全ての溝の合計容積である。この合計容積は充填の間にボトルから空気を、製品により置換される空気の置換速度と少なくとも同じ速度で、逃がすのに十分なものでなければならない。溝の寸法によっては、1以上の溝を必要とする、又は必要としない場合もある。実際問題として、1つの適当な寸法の溝を任意の公知の化粧瓶ワイパーに配置することができないという理由はない。多くの場合、当業者は通常の実験により溝の必要数を決定することができよう。
【0020】
溝の容積は、その線寸法により決定される。もし、溝が幾何学的に単純であれば、各溝の長さ、幅および深さ、あるいは適当な場合は、長さおよび半径を参照して決定される。指標として、各溝の深さ又は半径をワイパーの肉厚の25%〜75%に制限することが望ましいかも知れない。しかし、ワイパーの一体性が実質的に損なわれない限り、この範囲外にすることもできる。これに関連する寸法については、ワイパーの設計者並びにメーカーなどの当業者により容易に決定することができよう。
【0021】
本発明によるワイパーは従来の材料、例えば、天然又は合成ゴム、シリコーンエラストマー、非シリコーンエラストマー、プラスチックから作ることができる。好ましい材料の例は、高ないし低密度ポリエチレンおよびポリプロピレンである。本発明によるワイパーは従来の成形法で作ることができ、本発明は如何なる特定の製造方法に限定されるものではない。
【0022】
本発明は更に、ワイパーを備えた化粧品包装体を充填する方法、例えば、マスカラ包装体を充填する方法を包含する。この新規な方法において、第1の工程はボトルと、ワイパーとを本発明に従って予備組立てを行い、ワイパーを“浮き上がり位置”に配置することである。この工程は、空のマスカラ容器の首部にワイパーを配置させ、下方周方向ビード(6b)を図6に示すように首部溝(7)内に嵌合させることである。これは、ワイパーのテーパー部(3)を首部オリフィス内に最初に挿入し、下方ビードが首部溝内に配置されるまでワイパーを押圧し続けることにより行われる。この工程がなされたときは、前述のように気密を妨げる部分が存在する箇所を除いて、ワイパーとボトル首部の内側壁面(31)との間に気密封止(A)が形成されることになる。
【0023】
製造者/供給者は、この容器とワイパーとが既にこの予備組立ての形態にあるものを提供することを選択することができる。この予備組立ての形態(本発明の浮き上がりワイパーを備えた空の容器)はそれ自体、新規である。その他、供給者は、本発明の新規なワイパーとボトルとを別々に提供することもあり、これらは充填前に予備組立てを行う必要がある。
【0024】
次の工程である充填工程において、充填チューブをワイパーの上方オリフィス(4)内に挿入し、ワイパーを通して少なくとも下方オリフィス(5)の高さまで降下させる。これがなされたとき、充填チューブは下方オリフィスに対し気密封止を形成させ、あるいは空気が下方オリフィスを通って流れるのを制限して気密封止が効果的に形成されることになる。次の工程は、マスカラボトルに対し所定レベルまで充填することである。これがなされるとき、ボトル内で置換された空気は1又はそれ以上の溝に沿って、気密封止(A)よりも下のレベルからこの気密封止より上のレベルまで移動し、更にボトル外に排出されることになる。次に、充填チューブがボトルから取り出される。次に、ワイパーがその最終位置まで押込まれ、フランジ(8)が首部の頂部(30)に載置された状態でボトル上に完全に装着される。このワイパーを完全に着座させる工程は、ワイパーに対し圧力を直接、印加することにより達成することができる。この工程は充填者にとって、別のワイパー着座操作を維持することが要求される。これは従来では行う必要がなかったことである。しかし、このワイパー着座操作は従来のワイパーの着座操作よりも多少単純である。なぜならば、この場合、充填者はワイパーをボトルの首部に位置決めする必要がないからである。つまり、この位置決めは既になされている。
【0025】
その後、クロージャー(蓋体)がボトルに適用される。フランジが首部の頂部に載置された状態でワイパーを完全に装着したとき、上方ビード(6a)は従来同様に、首部溝(7)内に嵌着された状態になる。首部溝を先に占めていた下方ビード(6b)は、その首部溝から移動してボトルの更に下方に着座されることになる。ボトルおよびワイパーの正確な寸法および形状によっては、ワイパーが完全に着座されたときに、下方ビードはボトルの内部と接触していても、いなくともよい。
【0026】
その他、ワイパーを完全に着座させるために間接的手段を用いてもよい。例えば、クロージャーをワイパー上に配置させてから、圧力をこのクロージャーに適用してもよい。例えば、ワイパー上に一旦配置させた後、クロージャーをネジ込み、クロージャーのネジとボトルのネジとを螺合させる。ワイパーを着座される工程を、蓋締め操作に組み入れることは経済的に好ましい。例えば、従来のマスカラ充填操作は既に、蓋締め操作が組み込まれており、別のワイパー着座工程を含めるべく変更する必要はない。クロージャーをボトル上にねじ込むと、クロージャーがワイパーを強制的に降下させ、その最終の完全に着座した位置まで押込み、上方周方向ビード(6a)が首部溝(7)内に着座されることになる。ワイパーが完全に着座した状態になると、1又はそれ以上のワイパー溝(10)がフランジと首部頂部との間に形成された封止により周囲雰囲気から封じられ、ボトル内の製品が汚染されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】典型的な従来のワイパーを示す図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】没設された排気手段を備えた本願発明の封止ワイパーの非制限的実施例の1つを示す立面図。
【図4】図3のB−B線に沿う断面図
【図5】図3のワイパーの等尺斜視図。
【図6】明細書に記載のように、ワイパーを上昇させた状態でボトル首部に位置させた本発明のワイパーを示す斜視図であって、ワイパーを示すためボトル首部の一部が切欠されている図。
【図7A】螺旋形溝を備えた本発明のワイパーの立面図。
【図7B】螺旋形溝を備えた本発明のワイパーの立面図。
【図8】ノッチ付きの本発明のワイパーの立面図。
【符号の説明】
【0028】
1 ワイパー
2 上方部
3 テーパー部
4 上方オリフィス
5 下方オリフィス
6a 上方周方向ビード
6b 下方周方向ビード
7 相補的溝
8 フランジ
10 溝
11 下端
12 上端
31 首部の内側壁面
A 気密封止

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側壁面を有する中空円筒体を有する化粧品用ワイパーであって、前記外側壁面が:
上方オリフィスで終わっている上方部と;
該上方部の下方に位置し、下方オリフィスで終わっているテーパー部と;
前記上方部に位置する上方周方向ビードおよび下方周方向ビードと;
前記円筒体の外側壁面に没設されたワイパー溝であって、該ワイパー溝の第1の部分が前記下方周方向ビードの下方に位置し、その第2の部分が前記下方周方向ビードの上方に位置しているワイパー溝と;
を具備してなる化粧品用ワイパー。
【請求項2】
前記ワイパー溝は、第1の端部と、第2の端部とを有する請求項1記載の化粧品用ワイパー。
【請求項3】
前記第1の端部は、前記下方周方向ビードより下に位置し、前記第2の端部は、前記下方周方向ビードより上に位置している請求項2記載の化粧品用ワイパー。
【請求項4】
前記ワイパー溝は、直線状あり、かつ、前記ワイパーの長手方向軸に平行となっている請求項3記載の化粧品用ワイパー。
【請求項5】
前記ワイパー溝は、螺旋状である請求項3記載の化粧品用ワイパー。
【請求項6】
前記ワイパー溝は、U字形である請求項2記載の化粧品用ワイパー。
【請求項7】
前記ワイパー溝は、端部を有していない請求項1記載の化粧品用ワイパー。
【請求項8】
前記ワイパー溝は、正弦波形状である請求項7記載の化粧品用ワイパー。
【請求項9】
前記ワイパー溝は、のこ歯形状である請求項7記載の化粧品用ワイパー。
【請求項10】
前記円筒体の前記外側壁面に更に1又はそれ以上のワイパー溝が付加的に没設されている請求項1記載の化粧品用ワイパー。
【請求項11】
首部を有するボトルであって、前記首部が該首部の内側壁面に保持溝を形成したボトルと;
該ボトルの首部に配置させた化粧品用ワイパーであって、該ワイパーの少なくとも一部と、前記首部の内側壁面との間に気密封止を生じさせるようにした化粧品用ワイパーと;
を具備してなる浮き上がりワイパーを備えた化粧品包装体であって;
前記化粧品用ワイパーが:
外側壁面を有する中空円筒体を具備してなり;
前記外側壁面が:
上方オリフィスで終わっている上方部と;
該上方部の下方に位置し、下方オリフィスで終わっているテーパー部と;
前記上方部に位置し、前記保持溝内に静置された下方周方向ビードと;
上方周方向ビードと;
前記円筒体の外側壁面に形成されたワイパー溝であって、該ワイパー溝の第1の部分が前記気密封止の下方に位置し、その第2の部分が前記気密封止の上方に位置しているワイパー溝と;
を具備してなることを特徴とする化粧品包装体。
【請求項12】
ワイパーを備えた包装体に充填する方法であって、前記方法が前記包装体内の空気を置換させ、その際に、この置換された空気の少なくとも一部が、前記包装体から排出される前に前記ワイパーの下方オリフィスを介して流出しないようにしたことを特徴とする方法。
【請求項13】
頂部を有する首部を備えたボトルと;
該ボトルの首部内に部分的に位置させ、該首部の頂部より上に部分的に浮き上がったワイパーと;
を具備してなる予備組立て包装体を提供する工程と;
充填チューブを前記ワイパー内に挿入する工程と;
前記充填チューブを介してボトルに充填する工程と;
前記充填チューブを前記ワイパーから除去する工程と;
を更に具備してなる請求項12記載の方法。
【請求項14】
予備組立て包装体を提供する工程が、前記ワイパーの少なくとも一部と、前記首部の少なくとも一部との間に気密封止を形成することを含む請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記充填チューブが前記下方オリフィスに対し気密封止を形成させるようにする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記充填チューブを前記ワイパーから除去した後、該ワイパーを更に前記首部内に押込むようにする請求項15記載の方法。
【請求項17】
ワイパーを更に前記首部内に押込む工程が、ワイパーに対して直接的に圧力を付与することにより行われる請求項16記載の方法。
【請求項18】
ワイパーを更に前記首部内に押込む工程が、ワイパーに対して間接的に圧力を付与することにより行われる請求項16記載の方法。
【請求項19】
クロージャーを前記ワイパーの上に配置させ、圧力をこのクロージャーに適用するようにした請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−531196(P2008−531196A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558045(P2007−558045)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/005550
【国際公開番号】WO2006/093688
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】