通気構造および通気部材
【課題】優れた防水性を備えた通気構造および通気部材を提供する。
【解決手段】通気構造50は、通気用の開口部21を有する筐体20と、開口部21に取り付けられた通気部材10とを備えている。開口部21には、筐体20の内部空間22側から外部空間側24に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパ23が形成されている。通気部材10は、通気膜2、通気膜2を支持している支持体4、支持体4の脚部26の根元に設けられたシールリング8とを備えている。シールリング8は、支持体4と筐体20との間に挟まれることでテーパ23に沿って変形している。支持体4の下面11qと筐体20の表面20pとの間には、開口部21から突出したシールリング8の一部が面している隙間30が形成されている。
【解決手段】通気構造50は、通気用の開口部21を有する筐体20と、開口部21に取り付けられた通気部材10とを備えている。開口部21には、筐体20の内部空間22側から外部空間側24に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパ23が形成されている。通気部材10は、通気膜2、通気膜2を支持している支持体4、支持体4の脚部26の根元に設けられたシールリング8とを備えている。シールリング8は、支持体4と筐体20との間に挟まれることでテーパ23に沿って変形している。支持体4の下面11qと筐体20の表面20pとの間には、開口部21から突出したシールリング8の一部が面している隙間30が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気構造および通気部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ランプ、モータ、センサ、スイッチ、ECU等の自動車の電装部品を収容している筐体には、通気部材が取り付けられている。通気部材は、筐体の内部と外部との通気を確保して圧力変化に基づく不具合を防止するとともに、筐体の内部への異物の侵入を阻止する。そのような通気部材の例が特許文献1および2に開示されている。特許文献1に開示された通気部材を図11に示す。
【0003】
通気部材101は、支持体103と、支持体103の上に配置された通気膜102と、通気膜102を覆っている保護部104とを備えている。Oリング105を介して、筐体106の開口部107に通気部材101が固定されている。通気部材101が筐体106から抜けないように、支持体103の脚部108が開口部107に係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−47425号公報
【特許文献2】特開2007−141629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通気部材には、その用途に応じて高い耐久性が要求される。例えば、自動車の多くの部品および材料には、JIS(Japanese Industrial Standards)等の工業規格によって環境試験が義務付けられている。環境試験の例として、高圧洗車試験が挙げられる。高圧洗車試験で筐体内への水の侵入を防ぐために、通気部材にも高い防水性が要求される。
【0006】
本発明は、優れた防水性を備えた通気構造および通気部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
通気用の開口部を有する筐体と、前記開口部に取り付けられた通気部材とを備えた通気構造であって、
前記通気部材は、(i)前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路が形成された基体部と、前記基体部から延びているとともに前記開口部に嵌められた脚部とを有する支持体と、(ii)前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記基体部上に配置された通気膜と、(iii)前記脚部の根元に設けられたシールリングとを含み、
前記開口部には、前記内部空間側から前記外部空間側に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパが形成されており、
前記シールリングはゴム弾性を有する材料でできているとともに、前記開口部内において前記支持体と前記筐体との間に挟まれることで前記テーパに沿って変形しており、
前記支持体の前記基体部の下面と前記筐体の表面との間には、前記開口部から突出した前記シールリングの一部が面している隙間が形成されている、通気構造を提供する。
【0008】
他の側面において、本発明は、
通気用の開口部を有する筐体に取り付け可能な通気部材であって、
前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路を有する支持体と、
前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記支持体上に配置された通気膜と、
前記通気膜が配置されている側から前記支持体を覆っているカバーと、を備え、
前記カバーは、(a)平面視で前記通気膜の全体を覆っている天井部と、(b)前記天井部の周縁から前記支持体に向かって下に延びている外側庇部と、(c)当該カバーの径方向に関して前記通気膜と前記外側庇部との間に位置するとともに、前記天井部の下面から前記支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で前記通気膜の外周に沿う円弧の形を有する内側庇部と、(d)前記径方向に関して前記内側庇部と前記外側庇部との間において当該カバーの内側と外側とを連通するように前記天井部に形成された通気孔と、を有する、通気部材を提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の通気構造によれば、筐体の開口部にテーパが形成されている。シールリングはゴム弾性を有する材料でできており、開口部内においてテーパに沿って変形している。この場合、シールリングよって形成されたシール面が開口部の中に隠れるとともに、筐体の表面に対して傾いた方向を有するシール面を形成できる。このようなシール面は、筐体の表面に平行な方向から噴射された水に対し、高いシール性を発揮する。
【0010】
さらに、本発明の通気構造によれば、支持体の下面(詳細には基体部の下面)と筐体の表面との間に隙間が形成されている。密閉された空間にシールリングが配置されていると、何らかの原因でシールリングの周囲に侵入した液体の排出が困難となる。液体の種類によっては、シールリングが膨潤したり溶けたりする。つまり、シールリングの劣化が助長され、シール性の早期低下を招来する。例えば、シールリングの周囲に侵入した塩水を放置すると、塩がシールリングの表面ないし通気部材と筐体との間に析出する。析出した塩が、シールリングないし他の部品の表面を荒らし、シール性の低下を招来する可能性がある。
【0011】
これに対し、本発明のように適切な広さの隙間を設けると、シールリングの周囲からの液体の排出を促せる。そのため、上述のような問題の発生を未然に防止できる。したがって、本発明によれば、筐体内への液体の侵入を防ぐ能力が従来品よりも高いにもかかわらず、シールリングの劣化も生じにくい通気構造、すなわち、優れた防水性を長期にわたって発揮する通気構造を提供できる。
【0012】
また、上記本発明の通気部材によれば、通気膜が配置されている側から支持体を覆っているカバーを備えている。カバーは、平面視で通気膜の全体を覆っている天井部と、天井部の周縁から支持体に向かって下に延びている外側庇部とを有する。そのため、上方向および横方向からの液体および小石等の異物から通気膜を適切に保護できる。また、天井部には、当該カバーの内部と外部とを連通する通気孔が形成されている。このような通気孔が形成されていると、カバー内に侵入した水が外部に排出されやすい。しかし、このような通気孔は、カバー内への異物の侵入も許すものであり、通気膜が異物から直接ダメージを受ける可能性も否定できない。
【0013】
本発明では、径方向に関して通気膜と外側庇部との間に内側庇部が設けられている。内側庇部は、天井部の下面から支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で通気膜の外周に沿う円弧の形を有している。内側庇部が防御壁として働くので、通気孔から通気膜に向けて異物が直進しえず、通気膜が異物から直接ダメージを受けるのを防止できる。したがって、本発明によれば、優れた防水性および耐久性を長期にわたって発揮する通気部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る通気構造の分解斜視図
【図2】同通気構造の縦断面図
【図3】通気膜の断面図
【図4】シールリングおよび開口部の各外径を示す分解断面図
【図5】通気構造の部分拡大断面図
【図6】シールリングの潰れ幅を示す概略図
【図7】開口部のテーパと支持体との関係を示す概略図
【図8】図7の概略拡大図
【図9】カバーの下面図
【図10】第2実施形態に係る通気構造の縦断面図
【図11】従来の通気部材の側面図
【図12】従来の通気部材の問題点を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態の通気構造50は、通気用の開口部21を有する筐体20と、開口部21に取り付けられた通気部材10とで構成されている。筐体20は、通気が必要な内部空間22を有する。通気部材10は、通気膜2、支持体4、カバー6およびシールリング8を備えている。通気膜2を通じて、内部空間22と外部空間24との間を気体が行き来できる。
【0017】
筐体20としては、例えば自動車のECU(Electric Control Unit)ボックスおよびランプボックスが挙げられる。ただし、図1および図2には筐体20の一部のみが示されている。筐体20の開口部21には、内部空間22側から外部空間24側に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパ23が形成されている。本明細書では、開口部21の径方向に直交する方向を軸方向、その軸方向に平行かつ開口部21の中心を通る直線を軸線Oと定義する。
【0018】
通気部材10において、通気膜2、支持体4およびカバー6は、それぞれ、平面視で円形の形状を有している。通気膜2、支持体4およびカバー6の各中心を軸線Oが通っている。軸方向に関して、通気膜2が位置している側が支持体4の上面側であり、筐体20に向かい合う側が支持体4の下面側である。また、通気膜2の厚さ方向は軸線Oに平行であり、通気膜2および支持体4の各径方向は開口部21の径方向に平行である。
【0019】
図2に示すように、通気部材10の支持体4は、基体部11および脚部26を有する。基体部11は、通気膜2を支持している部分であり、略円盤の形状を有する。基体部11には、内部空間22と外部空間24との間の通気経路としての貫通孔3が形成されている。脚部26は、筐体20に通気部材10を固定するための部分であり、基体部11に一体に形成されているとともに基体部11から下に向かって延びている。脚部26は、貫通孔3の周方向に沿って複数の部分(本実施形態では3つの部分)に分かれている。通気構造50において、脚部26は開口部21に嵌められている。
【0020】
通気膜2は、貫通孔3を外部空間24側にて閉じるように基体部11上に配置されている。通気膜2は、気体の透過を許容し、液体の透過を阻止する性質を有するものであればよく、その構造および材料は特に限定されない。図3に示すように、通気膜2は、膜本体2aと、膜本体2aに重ね合わされた補強材2bとを有していてもよい。補強材2bを設けることにより、通気膜2の強度が向上する。もちろん、通気膜2が膜本体2aのみで構成されていてもよい。
【0021】
膜本体2aには、撥油処理および撥水処理等の撥液処理が施されていてもよい。これらの撥液処理は、表面張力の小さい物質を膜本体2aに塗布し、乾燥後、キュアすることにより行える。撥液処理に用いる撥液剤は、膜本体2aよりも低い表面張力の皮膜を形成できるものであればよく、例えば、パーフルオロアルキル基を有する高分子を含む撥液剤が好適である。撥液剤は、含浸、スプレー等の公知の方法で膜本体2aに塗布される。
【0022】
膜本体2aの典型例は、フッ素樹脂またはポリオレフィンでできた多孔質膜である。十分な防水性を確保する観点から、0.01〜10μmの平均孔径を有する樹脂多孔質膜を膜本体2aに使用できる。
【0023】
膜本体2aに好適なフッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体が挙げられる。膜本体2aに好適なポリオレフィンとして、エチレン、プロピレン、4−メチルペンテン−1,1ブテン等のモノマーの重合体またはこれらの共重合体が挙げられる。ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリ乳酸を用いたナノファイバーフィルム多孔体を用いてもよい。中でも、小面積で高い通気性が確保でき、筐体の内部への異物の侵入を阻止する能力にも優れているPTFEが好ましい。PTFE多孔質膜は、延伸法および抽出法等の公知の成形方法によって製造できる。
【0024】
補強材2bは、ポリエステル、ポリエチレン、アラミド等の樹脂で作られた部材でありうる。補強材2bの形態は、通気膜2の通気性を維持できるものであれば特に限定されず、例えば、織布、不織布、ネット、メッシュ、スポンジ、フォームまたは多孔体である。膜本体2aと補強材2bとは、熱ラミネーション、熱溶着、超音波溶着または接着剤によって貼り合わされているとよい。
【0025】
通気膜2の厚さは、強度およびハンドリングの容易性を考慮して、1μm〜5mmの範囲にあるとよい。通気膜2の通気度は、JIS(Japanese Industrial Standards)P 8117に規定されたガーレー試験機法で得られるガーレー値にて0.1〜300sec/100cm3の範囲にあるとよい。通気膜2の耐水圧は、1.0kPa以上あるとよい。
【0026】
シールリング8は、脚部26の根元に設けられている。本実施形態において、シールリング8はゴム弾性を有する材料、例えば、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素化ニトリルゴム等のエラストマーでできている。エラストマーに代えて、シールリング8が発泡体のような他のゴム弾性を有する材料でできていてもよい。
【0027】
シールリング8は、開口部21内において支持体4と筐体20との間に挟まれることでテーパ23に沿って変形している。この場合、シールリング8よって形成されたシール面が、開口部21の中に隠れるとともに、筐体20の表面に対して傾いた方向を有するシール面を形成できる。このようなシール面は、筐体20の表面に平行な方向から噴射された水に対し、高いシール性を発揮する。図4に示すように、本実施形態では、シールリング8は、元の形状に復帰した状態で外部空間24側における開口部21の開口径D1よりも小さい外径D2を有する。そのため、通気部材10が筐体20に取り付けられたとき、シールリング8が開口部21の中に入り込める。
【0028】
図2および図5に示すように、支持体4の基体部11の下面11pと筐体20の表面20pとの間には、開口部21から突出したシールリング8の一部が面している隙間30が形成されている。このような隙間30があると、密閉された空間にシールリング8が配置されるのを回避できる。そのため、シールリング8に水および油等の液体が付着した場合にもシールリング8の周囲からの液体の排出を促せる。特に、表面張力の低い液体(例えば、自動車の潤滑油)は、僅かな隙間にも毛管現象で侵入することがあるので、排出を促す構造が意義を持つ。
【0029】
図12に示すように、従来の通気構造では、支持体82および筐体84によってシールリング80が扁平形状に圧縮される。シールリング80と支持体82との間に1つのシール面が形成され、シールリング80と筐体84との間に他の1つのシール面が形成される。横から水噴射が行われると、水噴射の方向と各シール面との方向が一致することがある。この場合に、筐体84内への水の侵入を許す可能性が高まる。
【0030】
これに対し、本実施形態では、シールリング8と筐体20との間のシール面が開口部21のテーパ23に形成されている。つまり、シール面が開口部21の中に隠れている。そのため、横からの水噴射に対して高いシール性が発揮されうる。ただし、隙間30が広すぎると、横から噴射された水の筐体20内への侵入を許す可能性が高まる。そこで、本実施形態では、軸方向に関する隙間30の高さhをシールリング8の潰れ幅d未満に調整している。隙間30の高さhを所定範囲に調整すれば、横からの水噴射に対する高いシール性を実現できるとともに、上述した液体の排出を促す効果も得られる。隙間30の高さhの下限に特に限定はないが、例えば0.2mmである。
【0031】
なお、本明細書では「シールリング8の潰れ幅d」を以下のように定義している。本実施形態において、シールリング8は、元の形状に復帰した状態で円形の断面を有している。図6に示すように、軸線Oを含む断面において、支持体4(基体部11および脚部26)およびテーパ23によって囲まれた領域に、シールリング8と同一の線径rを有する仮想円8iを基体部11および脚部26に接するように置く。そして、仮想円8iの半径r/2と、仮想円8iの中心Cからテーパ23までの距離Lとの差{(r/2)−L}を、実際のシールリング8の潰れ幅dと定義する。
【0032】
通気構造50におけるシールリング8の圧縮率は、8〜40%の範囲が適切である。シールリング8の圧縮率は、100×(潰れ幅d)/(シールリング8の線径r)で表される。
【0033】
本実施形態では、軸線Oを含む断面において、テーパ23の表面プロファイルが外部空間24側に向かって凸の曲線を呈している。このような構成によれば、シールリング8とテーパ23との間に形成されたシール面が曲面になるので、シール性の向上を期待できる。もちろん、軸線Oを含む断面において、テーパ23の表面プロファイルが直線を呈していてもよい。
【0034】
本実施形態では、筐体20が金属製であり、開口部21のテーパ23がプレス加工で形成されている。打ち抜きおよび切削等の金属加工方法で貫通孔を形成した後、プレス加工を行うことにより、テーパ23が形成された開口部21を有する筐体20が得られる。特に、本実施形態のように、外部空間24に向かって凸曲面の形状を有するテーパ23を形成するために、プレス加工による手法が好適である。もちろん、切削加工等の他の加工方法でテーパ23を形成してもよい。なお、筐体20が樹脂製の場合には、射出成形法等の公知の樹脂成形方法で通気構造50に用いる筐体20を容易に製造できる。
【0035】
図7に示すように、本実施形態では、外部空間24側における開口部21のエッジ21eが、平面視で支持体4の内側に収まっている。このような構成によれば、水噴射がシールリング8とテーパ23との間に形成されたシール面に直接到達するのを防止でき、通気構造50の防水性を強化する効果が得られる。
【0036】
図8に示すように、軸線Oを含む断面において、シールリング8とテーパ23との間に形成されたシール面(接触面)の下端を基準傾斜位置25とし、その基準傾斜位置25におけるテーパ23の接線を開口基準線TLと定義する。当該断面において、2本の開口基準線TLが定義される。図7に示すように、これら開口基準線TLのなす角度θは、例えば40°〜120°の範囲内にある。つまり、開口部21のテーパ23は、急峻すぎず、緩過ぎず、適切な角度を有していることが望ましい。角度θをこのような範囲に設定すると、通気構造50の寸法拡大を回避しつつ、シールリング8とテーパ23との間のシール面を広く確保でき、ひいては通気構造50の防水性の強化につながる。
【0037】
また、2本の開口基準線TLは基体部11の下面において支持体4と交差している。開口基準線TLと支持体4との交点から軸線Oまでの距離W2は、支持体4の平面視での半径W1よりも小さい。このような構成によれば、シールリング8とテーパ23との間のシール面への直接の水噴射を防止するのに有利である。
【0038】
図2に示すように、本実施形態では、シールリング8の弾性復帰力によって通気部材10が筐体20から脱落する方向に押されている。通気部材10の筐体20からの脱落が阻止されるように、脚部26は、筐体20の内部空間22側から開口部21の周囲部分に係合している爪28を含む。爪28は、径方向外向きに凸の形状を有している部分である。このような構成によれば、通気部材10が筐体20から脱落するのを確実に防止できる。シールリング8が支持体4を上に押し返す力(シールリング反発力)は、例えば20〜350Nである。シールリング反発力を適切に調整することで、通気部材10の回転およびガタつきを防止できる。
【0039】
図2に示すように、カバー6は、通気膜2を覆うように支持体4に取り付けられている。通気膜2とカバー6との間には、空間AR1が形成されている。カバー6の外周部と支持体4の外周部との間にも空間AR2が形成されている。これらの空間AR1およびAR2も内部空間22と外部空間24との間の通気経路として機能する。
【0040】
具体的に、カバー6は、天井部31、外側庇部32および内側庇部34を含む。天井部31は、平面視で通気膜2の全体を覆う大きさを有している。外側庇部32は、天井部31の周縁から支持体4に向かって下に延びている部分である。内側庇部34は、径方向に関して通気膜2と外側庇部32との間に位置しているとともに、天井部31の下面から支持体4に向かって下に延びている。図9に示すように、内側庇部34は、また、平面視で通気膜2の外周に沿う円弧の形を有する。天井部31には、径方向に関して内側庇部34と外側庇部31との間においてカバー6の内側と外側とを連通するように通気孔7が形成されている。
【0041】
カバー6によると、通気孔7から通気膜2に至る経路上に内側庇部34が存在する。内側庇部34が防御壁として働くので、通気孔7から通気膜2に向けて異物が直進しえず、通気膜2が異物から直接ダメージを受けるのを防止できる。言い換えれば、カバー6内に迷路構造が形成されている。通気孔7は支持体4(基体部11)の外周部に形成された斜面37に面している。そのため、内側庇部34に跳ね返された液体が、斜面37を通じてスムーズにカバー6の外に排出されうる。斜面37は、軸方向および径方向の両方に対して傾斜した面である。
【0042】
本実施形態において、外側庇部32および内側庇部34は、それぞれ、支持体4の上面(基体部11の上面)に一致する位置まで延びている。外側庇部32は、支持体4の側面を覆う位置まで延びていてもよい。
【0043】
図9に示すように、天井部31は平面視で円の形状を有している。通気孔7は、天井部31の周方向に沿った複数箇所に等間隔で形成されており、その各々が天井部31の外周に沿った長孔の形状を有している。このような構成によれば、通気部材10の筐体20への取り付け姿勢によらず、通気孔7を通じて、カバー6の内側に侵入した液体をスムーズにカバー6の外に排出できる。
【0044】
また、複数の通気孔7のそれぞれに対応する位置に内側庇部34が設けられるように、内側庇部34も複数の円弧状の部分に分かれている。このような構成によれば、内側庇部34の防御壁としての役割を十分に発揮させることが可能であるとともに、互いに隣り合う2つの内側庇部34の間を通じて、カバー6内に侵入した液体をカバー6の外へとスムーズに排出できる。
【0045】
図2に示すように、本実施形態において、支持体4の基体部11は、カバー6を支持体4に固定するための第1係合部4kを含む。カバー6は、また、第1係合部4kに係合する第2係合部6kを含む。第2係合部6kは、外側庇部32から下に突出する形で設けられている。このような構成により、支持体4に対するカバー6の位置決めを行える。
【0046】
なお、支持体4およびカバー6は、射出成形、圧縮成型、切削等の一般的な成形手法により製造しうる。支持体4およびカバー6の材料には、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を好適に使用できる。支持体4およびカバー6の材料は、顔料、フィラー、撥水材等を含んでいてもよい。また、支持体4およびカバー6の表面は、液体の排除を促すための撥水処理が施されていてもよい。
【0047】
(第2実施形態)
図10に示すように、第2実施形態に係る通気構造60は、筐体20と、筐体20の開口部21に取り付けられた通気部材51とを備えている。通気部材51は、V字状の断面を有するシールリング18を備えている。第1実施形態と同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0048】
シールリング18とテーパ23との間に1つのシール面が形成され、シールリング18と支持体4の脚部26との間に他の1つのシール面が形成されている。また、シールリング18の上端は、支持体4の基体部11に接している。シールリング18も元の形状に復帰した状態で外部空間24側における開口部21の開口径よりも小さい外径を有する。このシールリング18によれば、外部から水圧が加わったとき、その水圧でV形状が広がる方向にシールリング18が膨らみ、それにより、シール性の向上を期待できる。
【0049】
各実施形態で説明した通気部材10および51は、テーパ23が形成された開口部21を有する筐体20だけでなく、テーパが形成されていない開口部(つまり開口径が一定の開口部)を有する筐体にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の構造は、ランプ、モータ、センサ、スイッチ、ECU、ギアボックス等の自動車部品の筐体に使用できる。また、自動車部品だけでなく、移動体通信機器、カメラ、電気剃刀、電動歯ブラシ等の電気製品にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0051】
2 通気膜
3 貫通孔
4 支持体
4k 第1係合部
6 カバー
6k 第2係合部
7 通気孔
8,18 シールリング
10 通気部材
11 基体部
20 筐体
21 開口部
22 内部空間
23 テーパ
24 外部空間
26 脚部
28 爪
31 天井部
32 外側庇部
34 内側庇部
50 通気構造
O 軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気構造および通気部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ランプ、モータ、センサ、スイッチ、ECU等の自動車の電装部品を収容している筐体には、通気部材が取り付けられている。通気部材は、筐体の内部と外部との通気を確保して圧力変化に基づく不具合を防止するとともに、筐体の内部への異物の侵入を阻止する。そのような通気部材の例が特許文献1および2に開示されている。特許文献1に開示された通気部材を図11に示す。
【0003】
通気部材101は、支持体103と、支持体103の上に配置された通気膜102と、通気膜102を覆っている保護部104とを備えている。Oリング105を介して、筐体106の開口部107に通気部材101が固定されている。通気部材101が筐体106から抜けないように、支持体103の脚部108が開口部107に係合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−47425号公報
【特許文献2】特開2007−141629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通気部材には、その用途に応じて高い耐久性が要求される。例えば、自動車の多くの部品および材料には、JIS(Japanese Industrial Standards)等の工業規格によって環境試験が義務付けられている。環境試験の例として、高圧洗車試験が挙げられる。高圧洗車試験で筐体内への水の侵入を防ぐために、通気部材にも高い防水性が要求される。
【0006】
本発明は、優れた防水性を備えた通気構造および通気部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、
通気用の開口部を有する筐体と、前記開口部に取り付けられた通気部材とを備えた通気構造であって、
前記通気部材は、(i)前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路が形成された基体部と、前記基体部から延びているとともに前記開口部に嵌められた脚部とを有する支持体と、(ii)前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記基体部上に配置された通気膜と、(iii)前記脚部の根元に設けられたシールリングとを含み、
前記開口部には、前記内部空間側から前記外部空間側に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパが形成されており、
前記シールリングはゴム弾性を有する材料でできているとともに、前記開口部内において前記支持体と前記筐体との間に挟まれることで前記テーパに沿って変形しており、
前記支持体の前記基体部の下面と前記筐体の表面との間には、前記開口部から突出した前記シールリングの一部が面している隙間が形成されている、通気構造を提供する。
【0008】
他の側面において、本発明は、
通気用の開口部を有する筐体に取り付け可能な通気部材であって、
前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路を有する支持体と、
前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記支持体上に配置された通気膜と、
前記通気膜が配置されている側から前記支持体を覆っているカバーと、を備え、
前記カバーは、(a)平面視で前記通気膜の全体を覆っている天井部と、(b)前記天井部の周縁から前記支持体に向かって下に延びている外側庇部と、(c)当該カバーの径方向に関して前記通気膜と前記外側庇部との間に位置するとともに、前記天井部の下面から前記支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で前記通気膜の外周に沿う円弧の形を有する内側庇部と、(d)前記径方向に関して前記内側庇部と前記外側庇部との間において当該カバーの内側と外側とを連通するように前記天井部に形成された通気孔と、を有する、通気部材を提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の通気構造によれば、筐体の開口部にテーパが形成されている。シールリングはゴム弾性を有する材料でできており、開口部内においてテーパに沿って変形している。この場合、シールリングよって形成されたシール面が開口部の中に隠れるとともに、筐体の表面に対して傾いた方向を有するシール面を形成できる。このようなシール面は、筐体の表面に平行な方向から噴射された水に対し、高いシール性を発揮する。
【0010】
さらに、本発明の通気構造によれば、支持体の下面(詳細には基体部の下面)と筐体の表面との間に隙間が形成されている。密閉された空間にシールリングが配置されていると、何らかの原因でシールリングの周囲に侵入した液体の排出が困難となる。液体の種類によっては、シールリングが膨潤したり溶けたりする。つまり、シールリングの劣化が助長され、シール性の早期低下を招来する。例えば、シールリングの周囲に侵入した塩水を放置すると、塩がシールリングの表面ないし通気部材と筐体との間に析出する。析出した塩が、シールリングないし他の部品の表面を荒らし、シール性の低下を招来する可能性がある。
【0011】
これに対し、本発明のように適切な広さの隙間を設けると、シールリングの周囲からの液体の排出を促せる。そのため、上述のような問題の発生を未然に防止できる。したがって、本発明によれば、筐体内への液体の侵入を防ぐ能力が従来品よりも高いにもかかわらず、シールリングの劣化も生じにくい通気構造、すなわち、優れた防水性を長期にわたって発揮する通気構造を提供できる。
【0012】
また、上記本発明の通気部材によれば、通気膜が配置されている側から支持体を覆っているカバーを備えている。カバーは、平面視で通気膜の全体を覆っている天井部と、天井部の周縁から支持体に向かって下に延びている外側庇部とを有する。そのため、上方向および横方向からの液体および小石等の異物から通気膜を適切に保護できる。また、天井部には、当該カバーの内部と外部とを連通する通気孔が形成されている。このような通気孔が形成されていると、カバー内に侵入した水が外部に排出されやすい。しかし、このような通気孔は、カバー内への異物の侵入も許すものであり、通気膜が異物から直接ダメージを受ける可能性も否定できない。
【0013】
本発明では、径方向に関して通気膜と外側庇部との間に内側庇部が設けられている。内側庇部は、天井部の下面から支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で通気膜の外周に沿う円弧の形を有している。内側庇部が防御壁として働くので、通気孔から通気膜に向けて異物が直進しえず、通気膜が異物から直接ダメージを受けるのを防止できる。したがって、本発明によれば、優れた防水性および耐久性を長期にわたって発揮する通気部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る通気構造の分解斜視図
【図2】同通気構造の縦断面図
【図3】通気膜の断面図
【図4】シールリングおよび開口部の各外径を示す分解断面図
【図5】通気構造の部分拡大断面図
【図6】シールリングの潰れ幅を示す概略図
【図7】開口部のテーパと支持体との関係を示す概略図
【図8】図7の概略拡大図
【図9】カバーの下面図
【図10】第2実施形態に係る通気構造の縦断面図
【図11】従来の通気部材の側面図
【図12】従来の通気部材の問題点を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態の通気構造50は、通気用の開口部21を有する筐体20と、開口部21に取り付けられた通気部材10とで構成されている。筐体20は、通気が必要な内部空間22を有する。通気部材10は、通気膜2、支持体4、カバー6およびシールリング8を備えている。通気膜2を通じて、内部空間22と外部空間24との間を気体が行き来できる。
【0017】
筐体20としては、例えば自動車のECU(Electric Control Unit)ボックスおよびランプボックスが挙げられる。ただし、図1および図2には筐体20の一部のみが示されている。筐体20の開口部21には、内部空間22側から外部空間24側に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパ23が形成されている。本明細書では、開口部21の径方向に直交する方向を軸方向、その軸方向に平行かつ開口部21の中心を通る直線を軸線Oと定義する。
【0018】
通気部材10において、通気膜2、支持体4およびカバー6は、それぞれ、平面視で円形の形状を有している。通気膜2、支持体4およびカバー6の各中心を軸線Oが通っている。軸方向に関して、通気膜2が位置している側が支持体4の上面側であり、筐体20に向かい合う側が支持体4の下面側である。また、通気膜2の厚さ方向は軸線Oに平行であり、通気膜2および支持体4の各径方向は開口部21の径方向に平行である。
【0019】
図2に示すように、通気部材10の支持体4は、基体部11および脚部26を有する。基体部11は、通気膜2を支持している部分であり、略円盤の形状を有する。基体部11には、内部空間22と外部空間24との間の通気経路としての貫通孔3が形成されている。脚部26は、筐体20に通気部材10を固定するための部分であり、基体部11に一体に形成されているとともに基体部11から下に向かって延びている。脚部26は、貫通孔3の周方向に沿って複数の部分(本実施形態では3つの部分)に分かれている。通気構造50において、脚部26は開口部21に嵌められている。
【0020】
通気膜2は、貫通孔3を外部空間24側にて閉じるように基体部11上に配置されている。通気膜2は、気体の透過を許容し、液体の透過を阻止する性質を有するものであればよく、その構造および材料は特に限定されない。図3に示すように、通気膜2は、膜本体2aと、膜本体2aに重ね合わされた補強材2bとを有していてもよい。補強材2bを設けることにより、通気膜2の強度が向上する。もちろん、通気膜2が膜本体2aのみで構成されていてもよい。
【0021】
膜本体2aには、撥油処理および撥水処理等の撥液処理が施されていてもよい。これらの撥液処理は、表面張力の小さい物質を膜本体2aに塗布し、乾燥後、キュアすることにより行える。撥液処理に用いる撥液剤は、膜本体2aよりも低い表面張力の皮膜を形成できるものであればよく、例えば、パーフルオロアルキル基を有する高分子を含む撥液剤が好適である。撥液剤は、含浸、スプレー等の公知の方法で膜本体2aに塗布される。
【0022】
膜本体2aの典型例は、フッ素樹脂またはポリオレフィンでできた多孔質膜である。十分な防水性を確保する観点から、0.01〜10μmの平均孔径を有する樹脂多孔質膜を膜本体2aに使用できる。
【0023】
膜本体2aに好適なフッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体が挙げられる。膜本体2aに好適なポリオレフィンとして、エチレン、プロピレン、4−メチルペンテン−1,1ブテン等のモノマーの重合体またはこれらの共重合体が挙げられる。ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリ乳酸を用いたナノファイバーフィルム多孔体を用いてもよい。中でも、小面積で高い通気性が確保でき、筐体の内部への異物の侵入を阻止する能力にも優れているPTFEが好ましい。PTFE多孔質膜は、延伸法および抽出法等の公知の成形方法によって製造できる。
【0024】
補強材2bは、ポリエステル、ポリエチレン、アラミド等の樹脂で作られた部材でありうる。補強材2bの形態は、通気膜2の通気性を維持できるものであれば特に限定されず、例えば、織布、不織布、ネット、メッシュ、スポンジ、フォームまたは多孔体である。膜本体2aと補強材2bとは、熱ラミネーション、熱溶着、超音波溶着または接着剤によって貼り合わされているとよい。
【0025】
通気膜2の厚さは、強度およびハンドリングの容易性を考慮して、1μm〜5mmの範囲にあるとよい。通気膜2の通気度は、JIS(Japanese Industrial Standards)P 8117に規定されたガーレー試験機法で得られるガーレー値にて0.1〜300sec/100cm3の範囲にあるとよい。通気膜2の耐水圧は、1.0kPa以上あるとよい。
【0026】
シールリング8は、脚部26の根元に設けられている。本実施形態において、シールリング8はゴム弾性を有する材料、例えば、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素化ニトリルゴム等のエラストマーでできている。エラストマーに代えて、シールリング8が発泡体のような他のゴム弾性を有する材料でできていてもよい。
【0027】
シールリング8は、開口部21内において支持体4と筐体20との間に挟まれることでテーパ23に沿って変形している。この場合、シールリング8よって形成されたシール面が、開口部21の中に隠れるとともに、筐体20の表面に対して傾いた方向を有するシール面を形成できる。このようなシール面は、筐体20の表面に平行な方向から噴射された水に対し、高いシール性を発揮する。図4に示すように、本実施形態では、シールリング8は、元の形状に復帰した状態で外部空間24側における開口部21の開口径D1よりも小さい外径D2を有する。そのため、通気部材10が筐体20に取り付けられたとき、シールリング8が開口部21の中に入り込める。
【0028】
図2および図5に示すように、支持体4の基体部11の下面11pと筐体20の表面20pとの間には、開口部21から突出したシールリング8の一部が面している隙間30が形成されている。このような隙間30があると、密閉された空間にシールリング8が配置されるのを回避できる。そのため、シールリング8に水および油等の液体が付着した場合にもシールリング8の周囲からの液体の排出を促せる。特に、表面張力の低い液体(例えば、自動車の潤滑油)は、僅かな隙間にも毛管現象で侵入することがあるので、排出を促す構造が意義を持つ。
【0029】
図12に示すように、従来の通気構造では、支持体82および筐体84によってシールリング80が扁平形状に圧縮される。シールリング80と支持体82との間に1つのシール面が形成され、シールリング80と筐体84との間に他の1つのシール面が形成される。横から水噴射が行われると、水噴射の方向と各シール面との方向が一致することがある。この場合に、筐体84内への水の侵入を許す可能性が高まる。
【0030】
これに対し、本実施形態では、シールリング8と筐体20との間のシール面が開口部21のテーパ23に形成されている。つまり、シール面が開口部21の中に隠れている。そのため、横からの水噴射に対して高いシール性が発揮されうる。ただし、隙間30が広すぎると、横から噴射された水の筐体20内への侵入を許す可能性が高まる。そこで、本実施形態では、軸方向に関する隙間30の高さhをシールリング8の潰れ幅d未満に調整している。隙間30の高さhを所定範囲に調整すれば、横からの水噴射に対する高いシール性を実現できるとともに、上述した液体の排出を促す効果も得られる。隙間30の高さhの下限に特に限定はないが、例えば0.2mmである。
【0031】
なお、本明細書では「シールリング8の潰れ幅d」を以下のように定義している。本実施形態において、シールリング8は、元の形状に復帰した状態で円形の断面を有している。図6に示すように、軸線Oを含む断面において、支持体4(基体部11および脚部26)およびテーパ23によって囲まれた領域に、シールリング8と同一の線径rを有する仮想円8iを基体部11および脚部26に接するように置く。そして、仮想円8iの半径r/2と、仮想円8iの中心Cからテーパ23までの距離Lとの差{(r/2)−L}を、実際のシールリング8の潰れ幅dと定義する。
【0032】
通気構造50におけるシールリング8の圧縮率は、8〜40%の範囲が適切である。シールリング8の圧縮率は、100×(潰れ幅d)/(シールリング8の線径r)で表される。
【0033】
本実施形態では、軸線Oを含む断面において、テーパ23の表面プロファイルが外部空間24側に向かって凸の曲線を呈している。このような構成によれば、シールリング8とテーパ23との間に形成されたシール面が曲面になるので、シール性の向上を期待できる。もちろん、軸線Oを含む断面において、テーパ23の表面プロファイルが直線を呈していてもよい。
【0034】
本実施形態では、筐体20が金属製であり、開口部21のテーパ23がプレス加工で形成されている。打ち抜きおよび切削等の金属加工方法で貫通孔を形成した後、プレス加工を行うことにより、テーパ23が形成された開口部21を有する筐体20が得られる。特に、本実施形態のように、外部空間24に向かって凸曲面の形状を有するテーパ23を形成するために、プレス加工による手法が好適である。もちろん、切削加工等の他の加工方法でテーパ23を形成してもよい。なお、筐体20が樹脂製の場合には、射出成形法等の公知の樹脂成形方法で通気構造50に用いる筐体20を容易に製造できる。
【0035】
図7に示すように、本実施形態では、外部空間24側における開口部21のエッジ21eが、平面視で支持体4の内側に収まっている。このような構成によれば、水噴射がシールリング8とテーパ23との間に形成されたシール面に直接到達するのを防止でき、通気構造50の防水性を強化する効果が得られる。
【0036】
図8に示すように、軸線Oを含む断面において、シールリング8とテーパ23との間に形成されたシール面(接触面)の下端を基準傾斜位置25とし、その基準傾斜位置25におけるテーパ23の接線を開口基準線TLと定義する。当該断面において、2本の開口基準線TLが定義される。図7に示すように、これら開口基準線TLのなす角度θは、例えば40°〜120°の範囲内にある。つまり、開口部21のテーパ23は、急峻すぎず、緩過ぎず、適切な角度を有していることが望ましい。角度θをこのような範囲に設定すると、通気構造50の寸法拡大を回避しつつ、シールリング8とテーパ23との間のシール面を広く確保でき、ひいては通気構造50の防水性の強化につながる。
【0037】
また、2本の開口基準線TLは基体部11の下面において支持体4と交差している。開口基準線TLと支持体4との交点から軸線Oまでの距離W2は、支持体4の平面視での半径W1よりも小さい。このような構成によれば、シールリング8とテーパ23との間のシール面への直接の水噴射を防止するのに有利である。
【0038】
図2に示すように、本実施形態では、シールリング8の弾性復帰力によって通気部材10が筐体20から脱落する方向に押されている。通気部材10の筐体20からの脱落が阻止されるように、脚部26は、筐体20の内部空間22側から開口部21の周囲部分に係合している爪28を含む。爪28は、径方向外向きに凸の形状を有している部分である。このような構成によれば、通気部材10が筐体20から脱落するのを確実に防止できる。シールリング8が支持体4を上に押し返す力(シールリング反発力)は、例えば20〜350Nである。シールリング反発力を適切に調整することで、通気部材10の回転およびガタつきを防止できる。
【0039】
図2に示すように、カバー6は、通気膜2を覆うように支持体4に取り付けられている。通気膜2とカバー6との間には、空間AR1が形成されている。カバー6の外周部と支持体4の外周部との間にも空間AR2が形成されている。これらの空間AR1およびAR2も内部空間22と外部空間24との間の通気経路として機能する。
【0040】
具体的に、カバー6は、天井部31、外側庇部32および内側庇部34を含む。天井部31は、平面視で通気膜2の全体を覆う大きさを有している。外側庇部32は、天井部31の周縁から支持体4に向かって下に延びている部分である。内側庇部34は、径方向に関して通気膜2と外側庇部32との間に位置しているとともに、天井部31の下面から支持体4に向かって下に延びている。図9に示すように、内側庇部34は、また、平面視で通気膜2の外周に沿う円弧の形を有する。天井部31には、径方向に関して内側庇部34と外側庇部31との間においてカバー6の内側と外側とを連通するように通気孔7が形成されている。
【0041】
カバー6によると、通気孔7から通気膜2に至る経路上に内側庇部34が存在する。内側庇部34が防御壁として働くので、通気孔7から通気膜2に向けて異物が直進しえず、通気膜2が異物から直接ダメージを受けるのを防止できる。言い換えれば、カバー6内に迷路構造が形成されている。通気孔7は支持体4(基体部11)の外周部に形成された斜面37に面している。そのため、内側庇部34に跳ね返された液体が、斜面37を通じてスムーズにカバー6の外に排出されうる。斜面37は、軸方向および径方向の両方に対して傾斜した面である。
【0042】
本実施形態において、外側庇部32および内側庇部34は、それぞれ、支持体4の上面(基体部11の上面)に一致する位置まで延びている。外側庇部32は、支持体4の側面を覆う位置まで延びていてもよい。
【0043】
図9に示すように、天井部31は平面視で円の形状を有している。通気孔7は、天井部31の周方向に沿った複数箇所に等間隔で形成されており、その各々が天井部31の外周に沿った長孔の形状を有している。このような構成によれば、通気部材10の筐体20への取り付け姿勢によらず、通気孔7を通じて、カバー6の内側に侵入した液体をスムーズにカバー6の外に排出できる。
【0044】
また、複数の通気孔7のそれぞれに対応する位置に内側庇部34が設けられるように、内側庇部34も複数の円弧状の部分に分かれている。このような構成によれば、内側庇部34の防御壁としての役割を十分に発揮させることが可能であるとともに、互いに隣り合う2つの内側庇部34の間を通じて、カバー6内に侵入した液体をカバー6の外へとスムーズに排出できる。
【0045】
図2に示すように、本実施形態において、支持体4の基体部11は、カバー6を支持体4に固定するための第1係合部4kを含む。カバー6は、また、第1係合部4kに係合する第2係合部6kを含む。第2係合部6kは、外側庇部32から下に突出する形で設けられている。このような構成により、支持体4に対するカバー6の位置決めを行える。
【0046】
なお、支持体4およびカバー6は、射出成形、圧縮成型、切削等の一般的な成形手法により製造しうる。支持体4およびカバー6の材料には、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を好適に使用できる。支持体4およびカバー6の材料は、顔料、フィラー、撥水材等を含んでいてもよい。また、支持体4およびカバー6の表面は、液体の排除を促すための撥水処理が施されていてもよい。
【0047】
(第2実施形態)
図10に示すように、第2実施形態に係る通気構造60は、筐体20と、筐体20の開口部21に取り付けられた通気部材51とを備えている。通気部材51は、V字状の断面を有するシールリング18を備えている。第1実施形態と同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0048】
シールリング18とテーパ23との間に1つのシール面が形成され、シールリング18と支持体4の脚部26との間に他の1つのシール面が形成されている。また、シールリング18の上端は、支持体4の基体部11に接している。シールリング18も元の形状に復帰した状態で外部空間24側における開口部21の開口径よりも小さい外径を有する。このシールリング18によれば、外部から水圧が加わったとき、その水圧でV形状が広がる方向にシールリング18が膨らみ、それにより、シール性の向上を期待できる。
【0049】
各実施形態で説明した通気部材10および51は、テーパ23が形成された開口部21を有する筐体20だけでなく、テーパが形成されていない開口部(つまり開口径が一定の開口部)を有する筐体にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の構造は、ランプ、モータ、センサ、スイッチ、ECU、ギアボックス等の自動車部品の筐体に使用できる。また、自動車部品だけでなく、移動体通信機器、カメラ、電気剃刀、電動歯ブラシ等の電気製品にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0051】
2 通気膜
3 貫通孔
4 支持体
4k 第1係合部
6 カバー
6k 第2係合部
7 通気孔
8,18 シールリング
10 通気部材
11 基体部
20 筐体
21 開口部
22 内部空間
23 テーパ
24 外部空間
26 脚部
28 爪
31 天井部
32 外側庇部
34 内側庇部
50 通気構造
O 軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気用の開口部を有する筐体と、前記開口部に取り付けられた通気部材とを備えた通気構造であって、
前記通気部材は、(i)前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路が形成された基体部と、前記基体部から延びているとともに前記開口部に嵌められた脚部とを有する支持体と、(ii)前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記基体部上に配置された通気膜と、(iii)前記脚部の根元に設けられたシールリングとを含み、
前記開口部には、前記内部空間側から前記外部空間側に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパが形成されており、
前記シールリングはゴム弾性を有する材料でできているとともに、前記開口部内において前記支持体と前記筐体との間に挟まれることで前記テーパに沿って変形しており、
前記支持体の前記基体部の下面と前記筐体の表面との間には、前記開口部から突出した前記シールリングの一部が面している隙間が形成されている、通気構造。
【請求項2】
前記シールリングは、元の形状に復帰した状態で前記外部空間側における前記開口部の開口径よりも小さい外径を有する、請求項1に記載の通気構造。
【請求項3】
前記シールリングが元の形状に復帰した状態で円形の断面を有し、
前記開口部の径方向に直交する軸方向に関する前記隙間の高さhが、前記シールリングの潰れ幅d未満に調整されている、請求項1または2に記載の通気構造。
【請求項4】
前記シールリングがV字状の断面を有する、請求項1または2に記載の通気構造。
【請求項5】
前記開口部の径方向に直交する軸方向に平行かつ前記開口部の中心を通る直線を軸線と定義したとき、
前記軸線を含む断面において、前記テーパの表面プロファイルが前記外部空間側に向かって凸の曲線を呈する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項6】
前記外部空間側における前記開口部のエッジが、平面視で前記支持体の内側に収まっている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項7】
前記シールリングの弾性復帰力によって前記通気部材が前記筐体から脱落する方向に押されているとともに、
前記通気部材の前記筐体からの脱落が阻止されるように、前記脚部が、前記筐体の内部空間側から前記開口部の周囲部分に係合している爪を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項8】
前記筐体が金属製であり、前記開口部の前記テーパがプレス加工で形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項9】
前記通気部材が、前記通気膜の配置側から前記支持体を覆っているカバーをさらに含み、
前記カバーは、(a)平面視で前記通気膜の全体を覆う天井部と、(b)前記天井部の周縁から前記支持体に向かって下に延びている外側庇部と、(c)前記開口部の径方向に関して前記通気膜と前記外側庇部との間に位置するとともに、前記天井部の下面から前記支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で前記通気膜の外周に沿う円弧の形を有する内側庇部と、(d)前記径方向に関して前記内側庇部と前記外側庇部との間において当該カバーの内側と外側とを連通するように前記天井部に形成された通気孔と、を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項10】
前記天井部が平面視で円の形状を有し、
前記通気孔が、前記天井部の周方向に沿った複数箇所に等間隔で形成されており、その各々が長孔の形状を有している、請求項9に記載の通気構造。
【請求項11】
前記複数の通気孔のそれぞれに対応する位置に前記内側庇部が設けられるように、前記内側庇部も複数の円弧状の部分に分かれている、請求項10に記載の通気構造。
【請求項12】
通気用の開口部を有する筐体に取り付け可能な通気部材であって、
前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路を有する支持体と、
前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記支持体上に配置された通気膜と、
前記通気膜が配置されている側から前記支持体を覆っているカバーと、を備え、
前記カバーは、(a)平面視で前記通気膜の全体を覆っている天井部と、(b)前記天井部の周縁から前記支持体に向かって下に延びている外側庇部と、(c)当該カバーの径方向に関して前記通気膜と前記外側庇部との間に位置するとともに、前記天井部の下面から前記支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で前記通気膜の外周に沿う円弧の形を有する内側庇部と、(d)前記径方向に関して前記内側庇部と前記外側庇部との間において当該カバーの内側と外側とを連通するように前記天井部に形成された通気孔と、を有する、通気部材。
【請求項1】
通気用の開口部を有する筐体と、前記開口部に取り付けられた通気部材とを備えた通気構造であって、
前記通気部材は、(i)前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路が形成された基体部と、前記基体部から延びているとともに前記開口部に嵌められた脚部とを有する支持体と、(ii)前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記基体部上に配置された通気膜と、(iii)前記脚部の根元に設けられたシールリングとを含み、
前記開口部には、前記内部空間側から前記外部空間側に向かうにつれて開口径が拡大するようにテーパが形成されており、
前記シールリングはゴム弾性を有する材料でできているとともに、前記開口部内において前記支持体と前記筐体との間に挟まれることで前記テーパに沿って変形しており、
前記支持体の前記基体部の下面と前記筐体の表面との間には、前記開口部から突出した前記シールリングの一部が面している隙間が形成されている、通気構造。
【請求項2】
前記シールリングは、元の形状に復帰した状態で前記外部空間側における前記開口部の開口径よりも小さい外径を有する、請求項1に記載の通気構造。
【請求項3】
前記シールリングが元の形状に復帰した状態で円形の断面を有し、
前記開口部の径方向に直交する軸方向に関する前記隙間の高さhが、前記シールリングの潰れ幅d未満に調整されている、請求項1または2に記載の通気構造。
【請求項4】
前記シールリングがV字状の断面を有する、請求項1または2に記載の通気構造。
【請求項5】
前記開口部の径方向に直交する軸方向に平行かつ前記開口部の中心を通る直線を軸線と定義したとき、
前記軸線を含む断面において、前記テーパの表面プロファイルが前記外部空間側に向かって凸の曲線を呈する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項6】
前記外部空間側における前記開口部のエッジが、平面視で前記支持体の内側に収まっている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項7】
前記シールリングの弾性復帰力によって前記通気部材が前記筐体から脱落する方向に押されているとともに、
前記通気部材の前記筐体からの脱落が阻止されるように、前記脚部が、前記筐体の内部空間側から前記開口部の周囲部分に係合している爪を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項8】
前記筐体が金属製であり、前記開口部の前記テーパがプレス加工で形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項9】
前記通気部材が、前記通気膜の配置側から前記支持体を覆っているカバーをさらに含み、
前記カバーは、(a)平面視で前記通気膜の全体を覆う天井部と、(b)前記天井部の周縁から前記支持体に向かって下に延びている外側庇部と、(c)前記開口部の径方向に関して前記通気膜と前記外側庇部との間に位置するとともに、前記天井部の下面から前記支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で前記通気膜の外周に沿う円弧の形を有する内側庇部と、(d)前記径方向に関して前記内側庇部と前記外側庇部との間において当該カバーの内側と外側とを連通するように前記天井部に形成された通気孔と、を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の通気構造。
【請求項10】
前記天井部が平面視で円の形状を有し、
前記通気孔が、前記天井部の周方向に沿った複数箇所に等間隔で形成されており、その各々が長孔の形状を有している、請求項9に記載の通気構造。
【請求項11】
前記複数の通気孔のそれぞれに対応する位置に前記内側庇部が設けられるように、前記内側庇部も複数の円弧状の部分に分かれている、請求項10に記載の通気構造。
【請求項12】
通気用の開口部を有する筐体に取り付け可能な通気部材であって、
前記筐体の内部空間と外部空間との間の通気経路を有する支持体と、
前記通気経路を前記外部空間側にて閉じるように前記支持体上に配置された通気膜と、
前記通気膜が配置されている側から前記支持体を覆っているカバーと、を備え、
前記カバーは、(a)平面視で前記通気膜の全体を覆っている天井部と、(b)前記天井部の周縁から前記支持体に向かって下に延びている外側庇部と、(c)当該カバーの径方向に関して前記通気膜と前記外側庇部との間に位置するとともに、前記天井部の下面から前記支持体に向かって下に延びており、かつ平面視で前記通気膜の外周に沿う円弧の形を有する内側庇部と、(d)前記径方向に関して前記内側庇部と前記外側庇部との間において当該カバーの内側と外側とを連通するように前記天井部に形成された通気孔と、を有する、通気部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−52791(P2011−52791A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203963(P2009−203963)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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