通話録音装置及び通話録音システム
【課題】従来は選択的録音ができず全通話録音になり、秘密漏洩の危険や、不要通話録音による蓄積用ハードウェアの肥大を招く。これを防ぐため、電話番号に応じ選択的通話録音可能な通話録音システムを得る。
【解決手段】音声パケット通信ネットワークで伝送される音声データを記録する通話録音システムにおいて、電話番号/アドレス判定手段が通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号の少なくとも何れか一方を抜き出すと共にその電話番号と電話機アドレスとの対応を判定し、録音対象アドレス決定手段が、この判定結果を基に保存すべき音声パケットの電話機アドレスを決定し、パケットフィルタ手段が録音対象アドレス決定手段の判定結果による電話機アドレスと一致する音声パケットを音声データ保存手段に送り保存する。
【解決手段】音声パケット通信ネットワークで伝送される音声データを記録する通話録音システムにおいて、電話番号/アドレス判定手段が通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号の少なくとも何れか一方を抜き出すと共にその電話番号と電話機アドレスとの対応を判定し、録音対象アドレス決定手段が、この判定結果を基に保存すべき音声パケットの電話機アドレスを決定し、パケットフィルタ手段が録音対象アドレス決定手段の判定結果による電話機アドレスと一致する音声パケットを音声データ保存手段に送り保存する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、VoIP(Voice over Internet Protocol)による電話通信システムにおいて通話音声を録音する通話録音システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のIP(Internet Protocol)ネットワークの発展に伴い、音声信号をIPパケット化して伝送するVoIP(Voice over IP)による電話通信が普及し、コールセンタシステムにおいてもVoIP対応の通話録音システムが導入されるようになってきている。従来、このような通話録音システムとして、例えば、特許文献1に示された通話録音システムでは、ロギングサーバがIPネットワークの音声パケットと制御信号パケットを収集して記憶装置に蓄積する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−0302022号公報(段落番号[0016]〜[0022]、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通話を録音する際には、例えば顧客との通話のみを録音して社内の通話は録音しないなど、発信側または着信側の電話番号に応じて選択的に通話を録音したい場合がある。しかしながら、従来の通話録音システムでは、録音を行う対象を選別する手段がなく、全ての通話を録音しており、このような要求に対応出来ないという課題があった。このため、必要のない社内の通話を録音してしまうので、蓄積のためのハードウェアが肥大したり、社外秘の情報が漏洩する危険がでてくる課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが可能な通話録音装置及びこの通話録音装置を音声パケット通信ネットワークに適用した通話録音システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る通話録音装置は、
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備える。
【0007】
また、この発明に係る通話録音システムは、
IP電話機と通話録音装置が接続される音声パケット通信ネットワークで伝送される音声パケットに含まれる少なくとも音声データを記録する通話録音システムにおいて、
上記通話録音装置は
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る通話録音装置によれば、パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかをパケット選別手段で選別し、選別された通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号の少なくとも何れか一方を抜き出すと共にその電話番号と電話機アドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0009】
また、この発明に係る通話録音システムによれば、通話録音システムに用いられる通話録音装置が、音声パケット通信ネットワークで伝送される通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号の少なくとも何れか一方を抜き出すと共にその電話番号と電話機アドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、音声パケット通信ネットワークで伝送される音声パケットに含まれる音声データを電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による通話録音システムの構成図である。
【図2】図1に示す通話録音装置の構成図である。
【図3】IP電話機の外線への発信から通話終了までのSIPによる通信制御パケットのシーケンス図である。
【図4】IP電話機の外線発信時の呼制御サーバへの送信INVITEパケットの内容説明図である。
【図5】録音対象アドレス決定手段の保持するINVITEパケット入力時のアドレス/電話番号対応表の内容説明図である。
【図6】呼制御サーバからIP電話機に転送される200 OKパケットの内容説明図である。
【図7】INVITEの200 OKパケット入力時のアドレス/電話番号対応表の内容説明図である。
【図8】録音対象アドレス決定手段によるレコード対応通話が録音対象であるかどうかの判定フローチャートである。
【図9】パケットフィルタ手段の保持する録音対象アドレス/ポート表の内容説明図である。
【図10】通話終了後、IP電話機から呼制御サーバに送信されるBYEパケットの内容説明図である。
【図11】非通知外線番号からのINVITEパケットの内容説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4による通話録音装置の構成図である。
【図13】実施の形態4によるIP電話機と呼制御サーバとの登録制御シーケンス図である。。
【図14】実施の形態4によるREGISTERパケットの応答である200 OKパケットの内容説明図である。
【図15】発明の実施の形態4による録音対象アドレス決定手段の保持するアドレス/電話番号対応表の内容説明図である。
【図16】発明の実施の形態4によるパケットフィルタ手段が保持する録音対象アドレス表の内容説明図である。
【図17】発明の実施の形態4による録音対象アドレス決定手段による生成または更新レコードが録音対象か否かの判定のフローチャートである。
【図18】実施の形態5による通話録音装置の構成図である。
【図19】発信先電話番号が代表番号の場合のINVITEパケットの内容説明図である。
【図20】この発明の実施の形態7による通話録音システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による通話録音システムの構成図である。図において、通話録音装置1は、LAN(Local Area Network)2上を流れる音声パケット及び通信制御パケットを入力し、録音対象とする通話の音声データとその発信側電話番号、着信側電話番号を保存する。音声パケットは、IP電話機301〜30n間またはメディアゲートウェイ4とIP電話機301〜30n間を送受信される。ここで、メディアゲートウェイ4は、公衆電話網5に接続された電話機501〜50nと送受信する通話音声信号とIP電話機301〜30nと送受信する音声パケットとの相互変換を行う。IP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4のように音声パケットの送受信を行う装置は、音声通信ノードと呼称される。呼制御サーバ6は、LAN2に接続されるIP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4との間でSIP(Session Initiation Protocol)による通信制御パケットを送受信し、各機器の通信制御を行う。なお、この通信制御パケットには通話の開始及び終了時に送受信されるパケットのほか、IP電話機が呼制御サーバに対して自装置の登録を要求する際に送受信される登録制御パケットがある。
【0012】
図2は通話録音装置1の構成図である。図において、パケット選別手段101は、LAN2から入力したパケットが通信制御パケットであればこれを通信制御パケット監視手段102に転送し、入力したパケットが音声パケットであればパケットフィルタ手段105に転送し、入力したパケットが通信制御パケットでも音声パケットでもない場合はこれを廃棄する。音声パケットはRTP(Real−time Transport Protocol)パケットであり、RTPはUDP(User Diagram Protocol)上のプロトコルである。また、SIPについてはUDPのほか、TCP(Transmission Control Protocol)等が用いられるが、本実施の形態においてはUDPが用いられるものとする。なお、通常SIPではIPパケットのポート番号として5060が用いられ、RTPでは5060以外が用いられる。そこでパケット選別手段101の具体的な動作は、入力パケットがUDPパケットでそのソースポート番号又はデスティネーションポート番号が5060であれば通信制御パケット、UDPパケットでそのソースポート番号とデスティネーションポート番号が共に5060以外であれば音声パケットと判定して、それぞれ通信制御パケット監視手段102、パケットフィルタ手段105に転送し、それ以外のパケットを廃棄する。
【0013】
通信制御パケット監視手段102は、入力した通信制御パケットの中から、IP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4が音声パケットの送受信に用いるアドレス情報と電話番号情報との対応付けに関する情報を含むパケットのみを選別して、これを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。具体的には、
(1)入力したパケットがIP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEパケットである場合、
(2)IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEに対する応答の200 OKパケットである場合、
(3)または、IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるBYEパケットである場合、
これを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送し、それ以外のパケットであれば廃棄する。電話番号/アドレス対応判定手段103は、通信制御パケット監視手段102から転送された通信制御パケットより、その通信制御パケットに関わる通話において、IP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4が音声パケットの送受信に用いるIPアドレス及びポート番号と、発信側電話番号及び着信側電話番号との対応を判定し、判定結果を録音対象アドレス決定手段104に出力する。
【0014】
録音対象アドレス決定手段104は、上記IPアドレス及びポート番号と発信側電話番号及び着信側電話番号との対応を判定した結果を入力し、録音対象とする音声パケットのIPアドレスとポート番号及び録音対象から除外する音声パケットのIPアドレスとポート番号とを決定し、その結果をパケットフィルタ手段105に通知する。パケットフィルタ手段105は、パケット選別手段101から入力した音声パケットのIPアドレスとポート番号を監視し、これらが録音対象アドレス決定手段104から録音対象であると通知されたIPアドレス及びポート番号と一致すれば、この音声パケットを音声データ保存手段106に転送し、そうでなければ廃棄する。音声データ保存手段106はパケットフィルタ手段105から転送された音声パケットから少なくとも音声データを部分を抜き出して保存する。ここで、音声パケットはIP(Internet Protocol)ヘッダ、UDP(User Diagram Protocol)ヘッダ、RTP(Real−time Transport Protocol)ヘッダ、及び、音声データから成る。音声データ保存手段106は、この音声データを保存する際、電話番号/アドレス対応判定手段103から音声パケットのIPアドレス及びポート番号とその通話の発信側電話番号及び着信側電話番号との対応を判定した結果を入力し、音声データの保存と共に発信側電話番号と着信側電話番号を関連付けて保存する。
【0015】
以下、通話録音装置1の動作について図2〜図11を用いて更に説明する。図3はIP電話機301が外線に発信してから通話終了するまでのSIPによる通信制御パケットのシーケンス図である。IP電話機301は、外線(電話番号0123−45−6789)に発信すると、図3に示す通りINVITEパケットを呼制御サーバ6に送信する。そして、LAN2上を流れるこのINVITEパケットは通話録音装置1に入力される。
【0016】
IP電話機301から呼制御サーバ6に送信されたINVITEパケットが通話録音装置1に入力されると、このパケットは、まず図2に示す通話録音装置1内のパケット選別手段101に入力される。パケット選別手段101は、このパケットが通信制御パケットであるからこれを通信制御パケット監視手段102に転送する。通信制御パケット監視手段102は、転送されたパケットがIP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEパケットであるため、これを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。
【0017】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、転送されたINVITEパケットから、IP電話機301がこの通話において音声パケットの送受信に用いるIPアドレス及びポート番号と、発信側電話番号及び着信側電話番号とを抽出する。ここで、このINVITEパケットの内容を図4に示す。この図の4行目のFromヘッダ内にある「1001」はIP電話機301の電話番号であり、発信側電話番号となる。5行目のToヘッダ内にある「0123−45−6789」は着信側電話番号となる。15行目(11行目は空欄)のc=行の「192.0.2.101」はIP電話機301が音声パケットの送受信に用いるIPアドレス、17行目m=行の「49172」はIP電話機301が音声パケットの送受信に用いるポート番号となっている。電話番号/アドレス対応判定手段103はこれらの情報を抜き出し、発信側電話番号:1001、着信側電話番号:0123−45−6789、発信側IPアドレス:192.0.2.101、発信側ポート番号:49172という情報を、判定結果として録音対象アドレス決定手段104と音声データ保存手段106に出力する。
【0018】
録音対象アドレス決定手段104はアドレス/電話番号対応表を保持しており、電話番号/アドレス対応判定手段103からの判定結果を入力してこの表を更新する。図5に、録音対象アドレス決定手段104が保持するアドレス/電話番号対応表の内容を示す。録音対象アドレス決定手段104は、電話番号/アドレス対応判定手段103から入力した判定結果より、発信側電話番号:1001、着信側電話番号:0123−45−6789、発信側IPアドレス:192.0.2.101、発信側ポート番号:49172という情報を格納したレコード番号nを新たに追加する。追加されたレコード番号nには着信側IPアドレスと着信側ポート番号が未だないため空の状態となっている。録音対象アドレス決定手段104は、アドレス/電話番号対応表を更新した際、更新したレコード内に全ての情報が揃っていなければこの図5の表の更新のみを行う。
【0019】
IP電話機301が送信したINVITEパケットは呼制御サーバ6によってメディアゲートウェイ4に転送される。このINVITEパケットも通話録音装置1に入力される。通話録音装置1内のパケット選別手段101は、このパケットが通信制御パケットであるためこれを通信制御パケット監視手段102に転送する。通信制御パケット監視手段102は、このパケットが電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する次の3つの条件、
(1)入力したパケットがIP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEパケットである場合、
(2)IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEに対する応答の200 OK応答パケットである場合、
(3)または、IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるBYEパケットである場合、
と合致しないため、これを廃棄する。
【0020】
メディアゲートウェイ4はINVITEパケットを受信すると暫定応答パケットである180 Ringingパケットを呼制御サーバ6に送信する。呼制御サーバ6はこの180 RingingパケットをLAN2を介してIP電話機301に転送する。このパケットは通話録音装置1に入力されるが、通信制御パケット監視手段102において電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する条件に合致しないと判定され、廃棄される。
【0021】
外線側からの応答があるとメディアゲートウェイ4がINVITEパケットの最終応答である200 OKパケットを出力する。このパケットは通話録音装置1に入力されるが、通話録音装置1内の通信制御パケット監視手段102において電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する条件に合致しないと判定されるため廃棄される。更に、このパケットは呼制御サーバ6を介してIP電話機3に転送される。このパケットは通話録音装置1に入力され、通話録音装置1内のパケット選別手段101及び通信制御パケット監視手段102におけるそれぞれの転送条件に合致するため、電話番号/アドレス対応判定手段103に転送される。
【0022】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、転送された上記200 OKパケットから、この通話においてメディアゲートウェイ4が音声パケットの送受信に用いるIPアドレス及びポート番号と、発信側電話番号及び着信側電話番号とを抽出する。ここで、この200 OKパケットの内容を図6に示す。電話番号/アドレス対応判定手段103はINVITEパケット入力時と同様の手順で、図6の4行目のFromヘッダ内にある「1001」、5行目のToヘッダ内にある「0123−45−6789」、16行目(12行目空欄)のc=行の「192.0.2.210」、18行目m=行の「3456」を抜き出し、発信側電話番号:1001、着信側電話番号:0123−45−6789、着信側IPアドレス:192.0.2.210、着信側ポート番号:3456という情報を抽出し、これらを判定結果として録音対象アドレス決定手段104と音声データ保存手段106に出力する。
【0023】
録音対象アドレス決定手段104は、上記判定結果を電話番号/アドレス対応判定手段103より入力すると、その判定結果の発信側電話番号「1001」を持つレコードがあるかどうか図5に示すアドレス/電話番号対応表内を検索する。その結果、レコード番号nが発信側電話番号「1001」であるのでこれに該当し、レコード番号nに新たな判定結果として得られた着信側IPアドレス:192.0.2.210、着信側ポート番号:3456を追記する(追記した結果を図7のアドレス/電話番号対応表に示す)。
【0024】
次に、録音対象アドレス決定手段104は上記レコード番号nの情報が全て揃ったので、このレコードに対応する通話が録音対象であるかどうかの判定を行う。その判定フローチャートを図8に示す。なお、本実施の形態においては外線との通話のみを録音対象とするものとしている。図8において、まず発信側電話番号の桁数が10桁以上かどうかチェックする(S1)。レコード番号nの発信側電話番号はこれに該当しないので、次に着信側電話番号が10桁以上かどうかチェックする(S2)。レコード番号nの着信側電話番号はこれに該当するので、このレコード番号nに対応する通話を録音対象と判定し、このレコード番号nに記録される発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、及び、着信側ポート番号をパケットフィルタ手段105に録音対象として通知する(S3)。なお、発信側電話番号、着信側電話番号の何れの桁数も10桁未満の場合は、この電話番号に対応する通話を録音対象ではないと判断し(S4)、パケットフィルタ手段105への通知を行わない。
【0025】
パケットフィルタ手段105は、図9に示す録音対象アドレス/ポート表を保持しており、録音対象アドレス決定手段104より発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、及び、着信側ポート番号を録音対象として通知されると、表内に新たなレコードを生成してこれらの情報を格納する。図9ではレコード番号mが生成されたレコードである。そして、パケット選別手段101から音声パケットを入力すると、録音対象アドレス/ポート表の発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、着信側ポート番号が、音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号、ソースIPアドレス、ソースポート番号と一致するレコードを検索して、一致するレコードがあればそのパケットを音声データ保存手段106に転送する。
【0026】
また、録音対象アドレス/ポート表の発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、着信側ポート番号に、音声パケットのソースIPアドレス、ソースポート番号、デスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号と一致するレコードがある場合も、その音声パケットを音声データ保存手段106に転送する。具体的には、ソースIPアドレスが192.0.2.101、ソースポート番号が49172、デスティネーションIPアドレスが192.0.2.210、デスティネーションポート番号が3456のパケット、及び、ソースIPアドレスが192.0.2.210、ソースポート番号が3456、デスティネーションIPアドレスが192.0.2.101、デスティネーションポート番号が49172のパケットは音声データ保存手段106に転送される。
【0027】
音声データ保存手段106は、パケットフィルタ手段105から入力する音声パケットから少なくとも音声データを部分を抜き出して記憶媒体に保存する。ここで、音声データ保存手段106は録音対象アドレス決定手段104と同じアドレス/電話番号対応表を保持しており、この表は、電話番号/アドレス対応判定手段103から入力する情報を用いて録音対象アドレス決定手段104と同じ手順で更新される。このアドレス/電話番号対応表から入力音声パケットに対応する発信側電話番号と着信側電話番号とを検索し、これらを管理情報として音声データに関連付けて保存する。
【0028】
次に、図3に示す通りINVITEパケットに対する応答である200 OKパケットがIP電話機301に到達すると、IP電話機301はACKパケットを呼制御サーバ6に送信し、呼制御サーバ6はこれを中継してメディアゲートウェイ4に送信する。これらのACKパケットは、何れも通話録音装置1に入力されるが、通信制御パケット監視手段102において電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する条件に合致しないと判定され、廃棄される。
【0029】
引き続き通話が始まり、メディアゲートウェイ4とIP電話機301との間でRTPパケットの送受信が行われる。IP電話機301からメディアゲートウェイ4に送信されるRTPパケットは、ソースIPアドレスは192.0.2.101、ソースポート番号は49172、デスティネーションIPアドレスは192.0.2.210、デスティネーションポート番号は3456となる。このRTPパケットのソースIPアドレスとソースポート番号は、パケットフィルタ手段105における録音対象アドレス/ポート表内のレコード番号mに格納される着信側IPアドレスと着信側ポート番号と同じであり、デスティネーションIPアドレスとデスティネーションポート番号はレコード番号mに格納される発信側IPアドレスと発信側ポート番号と同じであるので、音声データ保存手段106に転送される条件に合致している。
【0030】
また、メディアゲートウェイ4からIP電話機301に送信されるRTPパケットは、ソースIPアドレスは192.0.2.210、ソースポートは3456、デスティネーションIPアドレスは192.0.2.101、デスティネーションポート番号は49172となる。このRTPパケットのソースIPアドレスとソースポート番号は、パケットフィルタ手段105における録音対象アドレス/ポート表内のレコード番号mに格納される発信側IPアドレスと発信側ポート番号と同じであり、デスティネーションIPアドレスとデスティネーションポート番号はレコード番号mに格納される着信側IPアドレスと着信側ポート番号と同じであるので、音声データ保存手段106に転送される条件に合致している。従って、どちらの方向のRTPパケットもパケットフィルタ手段105において、音声データ保存手段106に転送される条件に合致すると判定され、この通話は録音されることになる。
【0031】
通話が終了すると、図3に示す通りIP電話機301から呼制御サーバ6にBYEパケットが送信される。このパケットは、通話録音装置1に入力され、通話録音装置1内のパケット選別手段101及び通信制御パケット監視手段102におけるそれぞれの転送条件に合致するため、電話番号/アドレス対応判定手段103に転送される。
【0032】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、転送されたBYEパケットから、発信側電話番号と着信側電話番号とを抽出する。図10にBYEパケットの内容を示すが、この図の4行目のFromヘッダ内にある「1001」と、5行目のToヘッダ内にある「0123−45−6789」とを抜き出して、録音対象アドレス決定手段104に通知する。
【0033】
録音対象アドレス決定手段104は、電話番号/アドレス対応判定手段103から入力した情報が電話番号情報のみの場合、通話終了の通知であると判断し、アドレス/電話番号対応表内の対象レコードを削除する。具体的には、アドレス/電話番号対応表を検索して、発信側電話番号が「1001」で着信側電話番号が「0123−45−6789」であるレコード、または、発信側電話番号が「0123−45−6789」で着信側電話番号が「1001」であるレコードを検索する。このBYEパケットを入力した時点では、先に図7に示したように、アドレス/電話番号対応表内には発信側電話番号が「1001」で着信側電話番号が「0123−45−6789」であるレコード番号nが存在するので、このレコード番号nを削除する。更に、このレコードに記録されていた発信側IPアドレス「1192.0.2.101」、発信側ポート番号「49172」、着信側IPアドレス「192.0.2.210」、及び着信側ポート番号「3456」を、削除対象IPアドレス、ポート番号としてパケットフィルタ手段105に通知する。
【0034】
パケットフィルタ手段105は、上記削除対象IPアドレス、ポート番号の通知を録音対象アドレス決定手段104から入力すると、録音対象アドレス/ポート番号表を検索し、通知された情報が格納されたレコードを削除する。この通知を入力した時点では、図9に示した通り、レコード番号mに通知された情報と一致するIPアドレス、ポート番号が格納されているので、このレコードを削除する。
【0035】
以上、図2〜図10を用いて説明した通り、IP電話機301〜30nから外線に発信した場合の通話は録音されることが分る。また、録音対象アドレス決定手段104における録音対象であるかどうかの判定フローチャートは、図8に示した通り、発信側電話番号もしくは着信側電話番号のどちらかが外線番号であれば録音対象となっているので、外線からIP電話機301〜30nの何れかに着信した場合の通話についても録音されることが分る。また、発信側電話番号と着信側電話番号が共に内線番号の場合の通話は録音されないことも図8より明らかであり、外線との通話のみが選択的に録音されることが分る。
【0036】
なお、外線からの着信においてはその外線番号が非通知である可能性がある。この場合、図11に示すようなINVITEパケットがIP電話機301に送信される。通話録音装置1が図11に示すパケットを入力した場合、電話番号/アドレス決定手段103はその番号として「0000−00−0000」を録音対象アドレス決定手段104に通知する。これにより、実際の発信側電話番号は不明であるが、外線通話を録音すること可能となる。
【0037】
また、図1ではLANに複数のIP電話機が接続される構成を示したが、IP電話機は1台であっても良い。このような構成では、例えば、1台のIP電話機と特定の外線番号との通話のみを録音したいという用途が考えられる。この用途に用いる場合、図8に示した通話が録音対象であるかどうかの判定フローチャートを変更し、発信側または着信側電話番号が上記特定の電話番号である場合に録音対象と判定するようにすればよいことは明らかである。
【0038】
以上説明したように、実施の形態1の通話録音システムによれば、通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号を抜き出すと共にその電話番号とIP電話機及びゲートウェイのIPアドレス及びポート番号との対応を判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットのIPアドレスとポート番号を決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0039】
実施の形態2.
なお、パケットフィルタ手段105の動作として、パケット選別手段101から入力する音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号のみをチェックするようにしても良い。具体的には、録音対象アドレス/ポート表の発信側IPアドレス、発信側ポート番号が、音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号と一致するレコードを検索して、一致するレコードがあればそのパケットを音声データ保存手段106に転送する。また、録音対象アドレス/ポート表の着信側IPアドレス、着信側ポート番号が、音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号と一致するレコードがある場合も、そのパケットを音声データ保存手段106に転送する。ソースIPアドレス、ソースポート番号をフィルタ条件に含む場合に比べて、異常なRTPパケットが入力された場合に不都合が生じる可能性があるが、処理負荷を低減することが可能となる。
【0040】
実施の形態3.
また、内線番号計画により、IP電話機301〜30nの内線電話番号は例えば1001〜1999の範囲にするなど、1桁目を0以外の数値に設定するのが通常である。従って、録音対象アドレス決定手段104の録音対象判定方法として、電話番号の桁数を用いるのではなく、例えば電話番号の1桁目が「0」である場合を外線番号と判定するようにしても良い。
【0041】
実施の形態4.
なお、外線との通話を録音する必要がなく、一部の内線通話のみを選択的に録音する必要がある場合もある。即ち、特定のIP電話機に対する内線通話のみを録音する場合である。図12は、この発明の実施の形態4による通話録音装置の構成図であり、この構成によれば一部の内線通話のみを録音することが可能となる。図において、登録制御パケット監視手段107は、通信制御パケットの中から呼制御サーバ6からIP電話機301〜30nに送信する登録制御パケットのみを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。
【0042】
その他の構成要素は図2に示した通話録音装置と基本的に同様な動作を行う。但し一部動作の異なる点もあるので、以下、図13〜図17を用いて詳細な動作を説明する。図13は、IP電話機301と呼制御サーバ6との登録制御シーケンスを示したものである。IP電話機301は起動の際に自装置の情報を登録するためにREGISTERパケットを呼制御サーバ6に送信し、呼制御サーバ6はこれを受け付けると応答として200 OKパケットをIP電話機301に返す。このような登録制御パケットの送受信は一定周期で行われる。図12におけるパケット選別手段101は図2に示した通話録音装置1の場合と同様な動作を行い、入力パケットがUDPパケットでそのソースポート番号又はデスティネーションポート番号が5060であれば通信制御パケット、UDPパケットでそのソースポート番号又はデスティネーションポート番号の何れもが5060以外であれば音声パケットと判定して、それぞれ登録制御パケット監視手段107、パケットフィルタ手段105に転送し、それ以外のパケットを廃棄する。
【0043】
図13に示すREGISTERパケットと200 OKパケットはSIPパケットの一部であるから、何れも登録制御パケット監視手段107に転送される。登録制御パケット監視手段107は、呼制御サーバ6からIP電話機301〜30nに送信されるREGISTERパケットに対する応答の200 OKパケットのみを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。従って、図13に示すパケットの中では、200 OKパケットのみが電話番号/アドレス対応判定手段103に転送される。
【0044】
図14にREGISTERパケットの応答となる200 OKパケットの内容を示す。図において、4行目のToヘッダ内にある「1001」はIP電話機301の電話番号、7行目のContactヘッダにある「192.0.2.101」はIP電話機301のIPアドレス、そして、同Contactヘッダにある「3600」が登録有効時間(単位は秒)である。電話番号/アドレス対応判定手段103は、200 OKパケットからこれらの情報を抜き出して、録音対象アドレス決定手段104と音声データ保存手段106に通知する。録音対象アドレス決定手段104は、図15に示すアドレス/電話番号対応表を保持しており、電話番号/アドレス対応判定手段103からの通知によりこの表を更新する。具体的には、電話番号/アドレス対応判定手段103から通知された情報と同じIPアドレスが格納されたレコードを検索し、該当するレコードがあればそのレコードの電話番号と有効時間を通知された情報で上書きする。該当するレコードがない場合は、新たなレコードを生成して通知されたIPアドレス、電話番号、有効時間を格納する。
【0045】
このように新たなレコードの生成または更新を行った場合、録音対象アドレス決定手段104はこのレコードに格納される電話番号が録音対象であるかどうかの判定を行う。この判定のフローチャートを図17に示す。録音対象アドレス決定手段104は録音する必要のある電話番号の一覧を録音対象リストとして保持しており、レコードに格納した電話番号が録音対象リストにあるかどうか検索し(S1)、リストにあればこの番号が録音対象であるため、このレコードのIPアドレスを録音対象としてパケットフィルタ手段105に通知する(S2)。逆に、リストにない場合はこのレコードのIPアドレス情報を録音対象外としてパケットフィルタ手段に通知する(S3)。
【0046】
また、録音対象アドレス決定手段104は一定周期でアドレス/電話番号対応表に格納された全レコードの有効時間をその周期分減算する。この処理を例えば1秒周期で行うとすると、表内に登録された全レコードの有効時間を1ずつ減算する。この減算の結果、有効時間が0となったレコードについては、そのレコードを削除すると共に、レコードに格納されるIPアドレスを録音対象外としてパケットフィルタ手段105に通知する。
【0047】
パケットフィルタ手段105は、図16に示す録音対象アドレス表を保持しており、録音対象アドレス決定手段104より録音対象とするIPアドレスを入力すると、これを録音対象アドレス表に追加する。図16ではレコードmが追加された情報である。また、録音対象アドレス決定手段104より録音対象とするIPアドレスを入力すると、録音対象アドレス表内に同じIPアドレスが格納されたレコードがあるか検索し、該当するレコードがあればそのレコードを削除する。該当するレコードがない場合は特に何もしない。
【0048】
そして、パケットフィルタ手段105はパケット選別手段101から音声パケットを入力すると、入力した音声パケットのデスティネーションIPアドレスまたはソースIPアドレスと同じIPアドレスを格納するレコードがあるかどうか録音対象アドレス表を検索し、該当するレコードが存在すれば、その音声パケットを音声データ保存手段106に転送し、そうでなければ廃棄する。音声データ保存手段106はパケットフィルタ手段105から転送された音声パケットから少なくとも音声データを部分を抜き出して保存する。音声データ保存手段106は電話番号/アドレス対応判定手段103からの通知により録音対象アドレス決定手段104と同じ手順で更新するアドレス/電話番号対応表を保持しており、この表を用いて音声パケットのデスティネーションIPアドレスとソースIPアドレスから電話番号を検索する。そして、管理情報として、音声データに関連付けて検索した電話番号を保存する。
【0049】
以上説明したように、図12に示す通話録音装置では、録音対象アドレス決定手段104が録音対象リストを保持しておき、発信側電話番号または着信側電話番号が録音対象リストにある場合はその通話を録音し、それ以外の通話は録音しない。このように、実施の形態4の通話録音システムによれば、登録制御パケットからIP電話機の電話番号とIPアドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットのIPアドレスを決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0050】
実施の形態5.
なお、通話録音装置を図18に示す構成とすることも可能である。図18において、パケット選別手段101、通信制御パケット監視手段102、録音対象アドレス決定手段104、パケットフィルタ手段105、音声データ保存手段106の動作については、図2に示した通話録音装置と同様の動作を行う。また、登録制御パケット監視手段107は図12に示した通話録音装置と同様の動作を行う。
【0051】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、図12に示した通話録音装置における電話番号/アドレス対応判定手段103と同様なアドレス/電話番号対応表を持ち、この表を登録制御パケット監視手段107からの通知により更新するが、更新を行っても録音対象アドレス決定手段104への通知を行わない。電話番号/アドレス対応判定手段103の動作は、基本的には図2に示した通話録音装置における電話番号/アドレス対応判定手段103と同様である。但し、外線からの着信の場合、IP電話機301〜30nに対して、図19に示すようなINVITEパケットが送信される場合がある。図中6行目のToヘッダによると着信先の電話番号は「5555」となるが、これはグループ代表内線番号であり、どのIP電話機に転送される場合もヘッダ内容が変わらない。これは、メディアゲートウェイ4は具体的にどのIP電話機に着信させるか指定せず、呼制御サーバ6がパケットを転送するIP電話機を決めていることから、外線着信の場合の着信先電話番号が固定となっている場合である。呼制御サーバ6がパケットを転送する際に実際の内線電話番号に書き換える場合もあり、実施の形態1ではそのような動作を想定していた。これは呼制御サーバ6の仕様によって異なる。電話番号/アドレス対応判定手段103は、このように発信先電話番号が代表番号となっているINVITEパケットを入力した場合、このIPパケットのデスティネーションIPアドレスから、上記登録制御パケット監視手段107からの通知により更新したアドレス/電話番号対応表を用いて電話番号を得て、Toヘッダから得る電話番号の代わりに用いる。
【0052】
以上説明したように、実施の形態5の通話録音システムによれば、通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号を抜き出してその電話番号とIP電話機及びゲートウェイのIPアドレス及びポート番号との対応を判定すると共に、登録制御パケットからIP電話機の電話番号とIPアドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス判定手段と、この判定結果を基に基に保存すべき音声パケットのIPアドレスとポート番号を決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0053】
なお、上記説明では、INVITEパケットによって発信先の電話番号を取得出来ない場合に図18に示す構成の通話録音装置を適用することを説明したが、INVITEパケットによって発信先の電話番号を取得出来る場合に適用しても良い。
【0054】
また、本実施の形態においては、登録制御パケットを監視することでIP電話機の電話番号とIPアドレスとを取得する例を示したが、登録制御パケットでは無くともIP電話機の電話番号とIPアドレス情報を含むパケットであれば、他のパケットであってもこれを監視することによって、同様の効果を得る通話録音装置を得ることが出来る。
【0055】
実施の形態6.
なお、図19のINVITEパケットにおいて、1行目(リクエストラインと呼ばれる)にはリクエスト転送先の電話番号「1001」が指定されている。よって、通話録音装置1の構成を図2に示す通りとし、電話番号/アドレス対応判定手段103がリクエストラインの電話番号を用いるようにしても良い。
【0056】
実施の形態7.
また、IP電話通信システムが複数の通信拠点に分散配置される場合もある。図20はそのような場合の通話録音システムの構成図である。このような構成では、拠点毎に呼制御サーバが存在するため、通話録音装置11、12が監視出来る登録制御パケットは、自装置が属する拠点のIP電話機と呼制御サーバ間で送受信されるもののみである。従って、通話録音装置を図12またはび図17に示す構成にする場合、図15に示したような登録制御パケットの監視によって更新するアドレス/電話番号対応表は自拠点のもののみとなり、不都合が生じる。そこで、通話録音装置11、12はアドレス/電話番号対応表の情報を交換するようにし、この問題に対処する。
【0057】
以上のように、実施の形態7の通話録音システムによれば、通話録音装置が他拠点の装置とアドレス/電話番号対応情報を交換するようにしたので、システムが複数拠点に分散する場合でも、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0058】
なお、これまでの説明は全て音声信号がIPパケットによって伝送されるVoIP(Voice over Internet Protocol)による電話通信システムにおいて通話音声を録音することを前提としているが、例えばATM伝送などVoIP以外の音声パケット通信システムにも、本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明に関る通話録音システムはインターネット電話システムにおける企業内のコールセンタシステムに適用される可能性がある。
【符号の説明】
【0060】
1;通話録音装置、2;LAN、301〜30n;IP電話機、4;メディアゲートウェイ、5;公衆電話網、501〜50n;電話機、6;呼制御サーバ、101;パケット選別手段、102;通信制御パケット監視手段、103;電話番号/アドレス対応判定手段、104;録音対象アドレス決定手段、105;パケットフィルタ手段、106;音声データ保存手段、107;登録制御パケット監視手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は、VoIP(Voice over Internet Protocol)による電話通信システムにおいて通話音声を録音する通話録音システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のIP(Internet Protocol)ネットワークの発展に伴い、音声信号をIPパケット化して伝送するVoIP(Voice over IP)による電話通信が普及し、コールセンタシステムにおいてもVoIP対応の通話録音システムが導入されるようになってきている。従来、このような通話録音システムとして、例えば、特許文献1に示された通話録音システムでは、ロギングサーバがIPネットワークの音声パケットと制御信号パケットを収集して記憶装置に蓄積する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−0302022号公報(段落番号[0016]〜[0022]、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通話を録音する際には、例えば顧客との通話のみを録音して社内の通話は録音しないなど、発信側または着信側の電話番号に応じて選択的に通話を録音したい場合がある。しかしながら、従来の通話録音システムでは、録音を行う対象を選別する手段がなく、全ての通話を録音しており、このような要求に対応出来ないという課題があった。このため、必要のない社内の通話を録音してしまうので、蓄積のためのハードウェアが肥大したり、社外秘の情報が漏洩する危険がでてくる課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが可能な通話録音装置及びこの通話録音装置を音声パケット通信ネットワークに適用した通話録音システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る通話録音装置は、
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備える。
【0007】
また、この発明に係る通話録音システムは、
IP電話機と通話録音装置が接続される音声パケット通信ネットワークで伝送される音声パケットに含まれる少なくとも音声データを記録する通話録音システムにおいて、
上記通話録音装置は
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る通話録音装置によれば、パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかをパケット選別手段で選別し、選別された通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号の少なくとも何れか一方を抜き出すと共にその電話番号と電話機アドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0009】
また、この発明に係る通話録音システムによれば、通話録音システムに用いられる通話録音装置が、音声パケット通信ネットワークで伝送される通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号の少なくとも何れか一方を抜き出すと共にその電話番号と電話機アドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、音声パケット通信ネットワークで伝送される音声パケットに含まれる音声データを電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1による通話録音システムの構成図である。
【図2】図1に示す通話録音装置の構成図である。
【図3】IP電話機の外線への発信から通話終了までのSIPによる通信制御パケットのシーケンス図である。
【図4】IP電話機の外線発信時の呼制御サーバへの送信INVITEパケットの内容説明図である。
【図5】録音対象アドレス決定手段の保持するINVITEパケット入力時のアドレス/電話番号対応表の内容説明図である。
【図6】呼制御サーバからIP電話機に転送される200 OKパケットの内容説明図である。
【図7】INVITEの200 OKパケット入力時のアドレス/電話番号対応表の内容説明図である。
【図8】録音対象アドレス決定手段によるレコード対応通話が録音対象であるかどうかの判定フローチャートである。
【図9】パケットフィルタ手段の保持する録音対象アドレス/ポート表の内容説明図である。
【図10】通話終了後、IP電話機から呼制御サーバに送信されるBYEパケットの内容説明図である。
【図11】非通知外線番号からのINVITEパケットの内容説明図である。
【図12】この発明の実施の形態4による通話録音装置の構成図である。
【図13】実施の形態4によるIP電話機と呼制御サーバとの登録制御シーケンス図である。。
【図14】実施の形態4によるREGISTERパケットの応答である200 OKパケットの内容説明図である。
【図15】発明の実施の形態4による録音対象アドレス決定手段の保持するアドレス/電話番号対応表の内容説明図である。
【図16】発明の実施の形態4によるパケットフィルタ手段が保持する録音対象アドレス表の内容説明図である。
【図17】発明の実施の形態4による録音対象アドレス決定手段による生成または更新レコードが録音対象か否かの判定のフローチャートである。
【図18】実施の形態5による通話録音装置の構成図である。
【図19】発信先電話番号が代表番号の場合のINVITEパケットの内容説明図である。
【図20】この発明の実施の形態7による通話録音システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による通話録音システムの構成図である。図において、通話録音装置1は、LAN(Local Area Network)2上を流れる音声パケット及び通信制御パケットを入力し、録音対象とする通話の音声データとその発信側電話番号、着信側電話番号を保存する。音声パケットは、IP電話機301〜30n間またはメディアゲートウェイ4とIP電話機301〜30n間を送受信される。ここで、メディアゲートウェイ4は、公衆電話網5に接続された電話機501〜50nと送受信する通話音声信号とIP電話機301〜30nと送受信する音声パケットとの相互変換を行う。IP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4のように音声パケットの送受信を行う装置は、音声通信ノードと呼称される。呼制御サーバ6は、LAN2に接続されるIP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4との間でSIP(Session Initiation Protocol)による通信制御パケットを送受信し、各機器の通信制御を行う。なお、この通信制御パケットには通話の開始及び終了時に送受信されるパケットのほか、IP電話機が呼制御サーバに対して自装置の登録を要求する際に送受信される登録制御パケットがある。
【0012】
図2は通話録音装置1の構成図である。図において、パケット選別手段101は、LAN2から入力したパケットが通信制御パケットであればこれを通信制御パケット監視手段102に転送し、入力したパケットが音声パケットであればパケットフィルタ手段105に転送し、入力したパケットが通信制御パケットでも音声パケットでもない場合はこれを廃棄する。音声パケットはRTP(Real−time Transport Protocol)パケットであり、RTPはUDP(User Diagram Protocol)上のプロトコルである。また、SIPについてはUDPのほか、TCP(Transmission Control Protocol)等が用いられるが、本実施の形態においてはUDPが用いられるものとする。なお、通常SIPではIPパケットのポート番号として5060が用いられ、RTPでは5060以外が用いられる。そこでパケット選別手段101の具体的な動作は、入力パケットがUDPパケットでそのソースポート番号又はデスティネーションポート番号が5060であれば通信制御パケット、UDPパケットでそのソースポート番号とデスティネーションポート番号が共に5060以外であれば音声パケットと判定して、それぞれ通信制御パケット監視手段102、パケットフィルタ手段105に転送し、それ以外のパケットを廃棄する。
【0013】
通信制御パケット監視手段102は、入力した通信制御パケットの中から、IP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4が音声パケットの送受信に用いるアドレス情報と電話番号情報との対応付けに関する情報を含むパケットのみを選別して、これを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。具体的には、
(1)入力したパケットがIP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEパケットである場合、
(2)IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEに対する応答の200 OKパケットである場合、
(3)または、IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるBYEパケットである場合、
これを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送し、それ以外のパケットであれば廃棄する。電話番号/アドレス対応判定手段103は、通信制御パケット監視手段102から転送された通信制御パケットより、その通信制御パケットに関わる通話において、IP電話機301〜30n及びメディアゲートウェイ4が音声パケットの送受信に用いるIPアドレス及びポート番号と、発信側電話番号及び着信側電話番号との対応を判定し、判定結果を録音対象アドレス決定手段104に出力する。
【0014】
録音対象アドレス決定手段104は、上記IPアドレス及びポート番号と発信側電話番号及び着信側電話番号との対応を判定した結果を入力し、録音対象とする音声パケットのIPアドレスとポート番号及び録音対象から除外する音声パケットのIPアドレスとポート番号とを決定し、その結果をパケットフィルタ手段105に通知する。パケットフィルタ手段105は、パケット選別手段101から入力した音声パケットのIPアドレスとポート番号を監視し、これらが録音対象アドレス決定手段104から録音対象であると通知されたIPアドレス及びポート番号と一致すれば、この音声パケットを音声データ保存手段106に転送し、そうでなければ廃棄する。音声データ保存手段106はパケットフィルタ手段105から転送された音声パケットから少なくとも音声データを部分を抜き出して保存する。ここで、音声パケットはIP(Internet Protocol)ヘッダ、UDP(User Diagram Protocol)ヘッダ、RTP(Real−time Transport Protocol)ヘッダ、及び、音声データから成る。音声データ保存手段106は、この音声データを保存する際、電話番号/アドレス対応判定手段103から音声パケットのIPアドレス及びポート番号とその通話の発信側電話番号及び着信側電話番号との対応を判定した結果を入力し、音声データの保存と共に発信側電話番号と着信側電話番号を関連付けて保存する。
【0015】
以下、通話録音装置1の動作について図2〜図11を用いて更に説明する。図3はIP電話機301が外線に発信してから通話終了するまでのSIPによる通信制御パケットのシーケンス図である。IP電話機301は、外線(電話番号0123−45−6789)に発信すると、図3に示す通りINVITEパケットを呼制御サーバ6に送信する。そして、LAN2上を流れるこのINVITEパケットは通話録音装置1に入力される。
【0016】
IP電話機301から呼制御サーバ6に送信されたINVITEパケットが通話録音装置1に入力されると、このパケットは、まず図2に示す通話録音装置1内のパケット選別手段101に入力される。パケット選別手段101は、このパケットが通信制御パケットであるからこれを通信制御パケット監視手段102に転送する。通信制御パケット監視手段102は、転送されたパケットがIP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEパケットであるため、これを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。
【0017】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、転送されたINVITEパケットから、IP電話機301がこの通話において音声パケットの送受信に用いるIPアドレス及びポート番号と、発信側電話番号及び着信側電話番号とを抽出する。ここで、このINVITEパケットの内容を図4に示す。この図の4行目のFromヘッダ内にある「1001」はIP電話機301の電話番号であり、発信側電話番号となる。5行目のToヘッダ内にある「0123−45−6789」は着信側電話番号となる。15行目(11行目は空欄)のc=行の「192.0.2.101」はIP電話機301が音声パケットの送受信に用いるIPアドレス、17行目m=行の「49172」はIP電話機301が音声パケットの送受信に用いるポート番号となっている。電話番号/アドレス対応判定手段103はこれらの情報を抜き出し、発信側電話番号:1001、着信側電話番号:0123−45−6789、発信側IPアドレス:192.0.2.101、発信側ポート番号:49172という情報を、判定結果として録音対象アドレス決定手段104と音声データ保存手段106に出力する。
【0018】
録音対象アドレス決定手段104はアドレス/電話番号対応表を保持しており、電話番号/アドレス対応判定手段103からの判定結果を入力してこの表を更新する。図5に、録音対象アドレス決定手段104が保持するアドレス/電話番号対応表の内容を示す。録音対象アドレス決定手段104は、電話番号/アドレス対応判定手段103から入力した判定結果より、発信側電話番号:1001、着信側電話番号:0123−45−6789、発信側IPアドレス:192.0.2.101、発信側ポート番号:49172という情報を格納したレコード番号nを新たに追加する。追加されたレコード番号nには着信側IPアドレスと着信側ポート番号が未だないため空の状態となっている。録音対象アドレス決定手段104は、アドレス/電話番号対応表を更新した際、更新したレコード内に全ての情報が揃っていなければこの図5の表の更新のみを行う。
【0019】
IP電話機301が送信したINVITEパケットは呼制御サーバ6によってメディアゲートウェイ4に転送される。このINVITEパケットも通話録音装置1に入力される。通話録音装置1内のパケット選別手段101は、このパケットが通信制御パケットであるためこれを通信制御パケット監視手段102に転送する。通信制御パケット監視手段102は、このパケットが電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する次の3つの条件、
(1)入力したパケットがIP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEパケットである場合、
(2)IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるINVITEに対する応答の200 OK応答パケットである場合、
(3)または、IP電話機301〜30nと呼制御サーバ6との間で送受信されるBYEパケットである場合、
と合致しないため、これを廃棄する。
【0020】
メディアゲートウェイ4はINVITEパケットを受信すると暫定応答パケットである180 Ringingパケットを呼制御サーバ6に送信する。呼制御サーバ6はこの180 RingingパケットをLAN2を介してIP電話機301に転送する。このパケットは通話録音装置1に入力されるが、通信制御パケット監視手段102において電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する条件に合致しないと判定され、廃棄される。
【0021】
外線側からの応答があるとメディアゲートウェイ4がINVITEパケットの最終応答である200 OKパケットを出力する。このパケットは通話録音装置1に入力されるが、通話録音装置1内の通信制御パケット監視手段102において電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する条件に合致しないと判定されるため廃棄される。更に、このパケットは呼制御サーバ6を介してIP電話機3に転送される。このパケットは通話録音装置1に入力され、通話録音装置1内のパケット選別手段101及び通信制御パケット監視手段102におけるそれぞれの転送条件に合致するため、電話番号/アドレス対応判定手段103に転送される。
【0022】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、転送された上記200 OKパケットから、この通話においてメディアゲートウェイ4が音声パケットの送受信に用いるIPアドレス及びポート番号と、発信側電話番号及び着信側電話番号とを抽出する。ここで、この200 OKパケットの内容を図6に示す。電話番号/アドレス対応判定手段103はINVITEパケット入力時と同様の手順で、図6の4行目のFromヘッダ内にある「1001」、5行目のToヘッダ内にある「0123−45−6789」、16行目(12行目空欄)のc=行の「192.0.2.210」、18行目m=行の「3456」を抜き出し、発信側電話番号:1001、着信側電話番号:0123−45−6789、着信側IPアドレス:192.0.2.210、着信側ポート番号:3456という情報を抽出し、これらを判定結果として録音対象アドレス決定手段104と音声データ保存手段106に出力する。
【0023】
録音対象アドレス決定手段104は、上記判定結果を電話番号/アドレス対応判定手段103より入力すると、その判定結果の発信側電話番号「1001」を持つレコードがあるかどうか図5に示すアドレス/電話番号対応表内を検索する。その結果、レコード番号nが発信側電話番号「1001」であるのでこれに該当し、レコード番号nに新たな判定結果として得られた着信側IPアドレス:192.0.2.210、着信側ポート番号:3456を追記する(追記した結果を図7のアドレス/電話番号対応表に示す)。
【0024】
次に、録音対象アドレス決定手段104は上記レコード番号nの情報が全て揃ったので、このレコードに対応する通話が録音対象であるかどうかの判定を行う。その判定フローチャートを図8に示す。なお、本実施の形態においては外線との通話のみを録音対象とするものとしている。図8において、まず発信側電話番号の桁数が10桁以上かどうかチェックする(S1)。レコード番号nの発信側電話番号はこれに該当しないので、次に着信側電話番号が10桁以上かどうかチェックする(S2)。レコード番号nの着信側電話番号はこれに該当するので、このレコード番号nに対応する通話を録音対象と判定し、このレコード番号nに記録される発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、及び、着信側ポート番号をパケットフィルタ手段105に録音対象として通知する(S3)。なお、発信側電話番号、着信側電話番号の何れの桁数も10桁未満の場合は、この電話番号に対応する通話を録音対象ではないと判断し(S4)、パケットフィルタ手段105への通知を行わない。
【0025】
パケットフィルタ手段105は、図9に示す録音対象アドレス/ポート表を保持しており、録音対象アドレス決定手段104より発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、及び、着信側ポート番号を録音対象として通知されると、表内に新たなレコードを生成してこれらの情報を格納する。図9ではレコード番号mが生成されたレコードである。そして、パケット選別手段101から音声パケットを入力すると、録音対象アドレス/ポート表の発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、着信側ポート番号が、音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号、ソースIPアドレス、ソースポート番号と一致するレコードを検索して、一致するレコードがあればそのパケットを音声データ保存手段106に転送する。
【0026】
また、録音対象アドレス/ポート表の発信側IPアドレス、発信側ポート番号、着信側IPアドレス、着信側ポート番号に、音声パケットのソースIPアドレス、ソースポート番号、デスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号と一致するレコードがある場合も、その音声パケットを音声データ保存手段106に転送する。具体的には、ソースIPアドレスが192.0.2.101、ソースポート番号が49172、デスティネーションIPアドレスが192.0.2.210、デスティネーションポート番号が3456のパケット、及び、ソースIPアドレスが192.0.2.210、ソースポート番号が3456、デスティネーションIPアドレスが192.0.2.101、デスティネーションポート番号が49172のパケットは音声データ保存手段106に転送される。
【0027】
音声データ保存手段106は、パケットフィルタ手段105から入力する音声パケットから少なくとも音声データを部分を抜き出して記憶媒体に保存する。ここで、音声データ保存手段106は録音対象アドレス決定手段104と同じアドレス/電話番号対応表を保持しており、この表は、電話番号/アドレス対応判定手段103から入力する情報を用いて録音対象アドレス決定手段104と同じ手順で更新される。このアドレス/電話番号対応表から入力音声パケットに対応する発信側電話番号と着信側電話番号とを検索し、これらを管理情報として音声データに関連付けて保存する。
【0028】
次に、図3に示す通りINVITEパケットに対する応答である200 OKパケットがIP電話機301に到達すると、IP電話機301はACKパケットを呼制御サーバ6に送信し、呼制御サーバ6はこれを中継してメディアゲートウェイ4に送信する。これらのACKパケットは、何れも通話録音装置1に入力されるが、通信制御パケット監視手段102において電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する条件に合致しないと判定され、廃棄される。
【0029】
引き続き通話が始まり、メディアゲートウェイ4とIP電話機301との間でRTPパケットの送受信が行われる。IP電話機301からメディアゲートウェイ4に送信されるRTPパケットは、ソースIPアドレスは192.0.2.101、ソースポート番号は49172、デスティネーションIPアドレスは192.0.2.210、デスティネーションポート番号は3456となる。このRTPパケットのソースIPアドレスとソースポート番号は、パケットフィルタ手段105における録音対象アドレス/ポート表内のレコード番号mに格納される着信側IPアドレスと着信側ポート番号と同じであり、デスティネーションIPアドレスとデスティネーションポート番号はレコード番号mに格納される発信側IPアドレスと発信側ポート番号と同じであるので、音声データ保存手段106に転送される条件に合致している。
【0030】
また、メディアゲートウェイ4からIP電話機301に送信されるRTPパケットは、ソースIPアドレスは192.0.2.210、ソースポートは3456、デスティネーションIPアドレスは192.0.2.101、デスティネーションポート番号は49172となる。このRTPパケットのソースIPアドレスとソースポート番号は、パケットフィルタ手段105における録音対象アドレス/ポート表内のレコード番号mに格納される発信側IPアドレスと発信側ポート番号と同じであり、デスティネーションIPアドレスとデスティネーションポート番号はレコード番号mに格納される着信側IPアドレスと着信側ポート番号と同じであるので、音声データ保存手段106に転送される条件に合致している。従って、どちらの方向のRTPパケットもパケットフィルタ手段105において、音声データ保存手段106に転送される条件に合致すると判定され、この通話は録音されることになる。
【0031】
通話が終了すると、図3に示す通りIP電話機301から呼制御サーバ6にBYEパケットが送信される。このパケットは、通話録音装置1に入力され、通話録音装置1内のパケット選別手段101及び通信制御パケット監視手段102におけるそれぞれの転送条件に合致するため、電話番号/アドレス対応判定手段103に転送される。
【0032】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、転送されたBYEパケットから、発信側電話番号と着信側電話番号とを抽出する。図10にBYEパケットの内容を示すが、この図の4行目のFromヘッダ内にある「1001」と、5行目のToヘッダ内にある「0123−45−6789」とを抜き出して、録音対象アドレス決定手段104に通知する。
【0033】
録音対象アドレス決定手段104は、電話番号/アドレス対応判定手段103から入力した情報が電話番号情報のみの場合、通話終了の通知であると判断し、アドレス/電話番号対応表内の対象レコードを削除する。具体的には、アドレス/電話番号対応表を検索して、発信側電話番号が「1001」で着信側電話番号が「0123−45−6789」であるレコード、または、発信側電話番号が「0123−45−6789」で着信側電話番号が「1001」であるレコードを検索する。このBYEパケットを入力した時点では、先に図7に示したように、アドレス/電話番号対応表内には発信側電話番号が「1001」で着信側電話番号が「0123−45−6789」であるレコード番号nが存在するので、このレコード番号nを削除する。更に、このレコードに記録されていた発信側IPアドレス「1192.0.2.101」、発信側ポート番号「49172」、着信側IPアドレス「192.0.2.210」、及び着信側ポート番号「3456」を、削除対象IPアドレス、ポート番号としてパケットフィルタ手段105に通知する。
【0034】
パケットフィルタ手段105は、上記削除対象IPアドレス、ポート番号の通知を録音対象アドレス決定手段104から入力すると、録音対象アドレス/ポート番号表を検索し、通知された情報が格納されたレコードを削除する。この通知を入力した時点では、図9に示した通り、レコード番号mに通知された情報と一致するIPアドレス、ポート番号が格納されているので、このレコードを削除する。
【0035】
以上、図2〜図10を用いて説明した通り、IP電話機301〜30nから外線に発信した場合の通話は録音されることが分る。また、録音対象アドレス決定手段104における録音対象であるかどうかの判定フローチャートは、図8に示した通り、発信側電話番号もしくは着信側電話番号のどちらかが外線番号であれば録音対象となっているので、外線からIP電話機301〜30nの何れかに着信した場合の通話についても録音されることが分る。また、発信側電話番号と着信側電話番号が共に内線番号の場合の通話は録音されないことも図8より明らかであり、外線との通話のみが選択的に録音されることが分る。
【0036】
なお、外線からの着信においてはその外線番号が非通知である可能性がある。この場合、図11に示すようなINVITEパケットがIP電話機301に送信される。通話録音装置1が図11に示すパケットを入力した場合、電話番号/アドレス決定手段103はその番号として「0000−00−0000」を録音対象アドレス決定手段104に通知する。これにより、実際の発信側電話番号は不明であるが、外線通話を録音すること可能となる。
【0037】
また、図1ではLANに複数のIP電話機が接続される構成を示したが、IP電話機は1台であっても良い。このような構成では、例えば、1台のIP電話機と特定の外線番号との通話のみを録音したいという用途が考えられる。この用途に用いる場合、図8に示した通話が録音対象であるかどうかの判定フローチャートを変更し、発信側または着信側電話番号が上記特定の電話番号である場合に録音対象と判定するようにすればよいことは明らかである。
【0038】
以上説明したように、実施の形態1の通話録音システムによれば、通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号を抜き出すと共にその電話番号とIP電話機及びゲートウェイのIPアドレス及びポート番号との対応を判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットのIPアドレスとポート番号を決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0039】
実施の形態2.
なお、パケットフィルタ手段105の動作として、パケット選別手段101から入力する音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号のみをチェックするようにしても良い。具体的には、録音対象アドレス/ポート表の発信側IPアドレス、発信側ポート番号が、音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号と一致するレコードを検索して、一致するレコードがあればそのパケットを音声データ保存手段106に転送する。また、録音対象アドレス/ポート表の着信側IPアドレス、着信側ポート番号が、音声パケットのデスティネーションIPアドレス、デスティネーションポート番号と一致するレコードがある場合も、そのパケットを音声データ保存手段106に転送する。ソースIPアドレス、ソースポート番号をフィルタ条件に含む場合に比べて、異常なRTPパケットが入力された場合に不都合が生じる可能性があるが、処理負荷を低減することが可能となる。
【0040】
実施の形態3.
また、内線番号計画により、IP電話機301〜30nの内線電話番号は例えば1001〜1999の範囲にするなど、1桁目を0以外の数値に設定するのが通常である。従って、録音対象アドレス決定手段104の録音対象判定方法として、電話番号の桁数を用いるのではなく、例えば電話番号の1桁目が「0」である場合を外線番号と判定するようにしても良い。
【0041】
実施の形態4.
なお、外線との通話を録音する必要がなく、一部の内線通話のみを選択的に録音する必要がある場合もある。即ち、特定のIP電話機に対する内線通話のみを録音する場合である。図12は、この発明の実施の形態4による通話録音装置の構成図であり、この構成によれば一部の内線通話のみを録音することが可能となる。図において、登録制御パケット監視手段107は、通信制御パケットの中から呼制御サーバ6からIP電話機301〜30nに送信する登録制御パケットのみを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。
【0042】
その他の構成要素は図2に示した通話録音装置と基本的に同様な動作を行う。但し一部動作の異なる点もあるので、以下、図13〜図17を用いて詳細な動作を説明する。図13は、IP電話機301と呼制御サーバ6との登録制御シーケンスを示したものである。IP電話機301は起動の際に自装置の情報を登録するためにREGISTERパケットを呼制御サーバ6に送信し、呼制御サーバ6はこれを受け付けると応答として200 OKパケットをIP電話機301に返す。このような登録制御パケットの送受信は一定周期で行われる。図12におけるパケット選別手段101は図2に示した通話録音装置1の場合と同様な動作を行い、入力パケットがUDPパケットでそのソースポート番号又はデスティネーションポート番号が5060であれば通信制御パケット、UDPパケットでそのソースポート番号又はデスティネーションポート番号の何れもが5060以外であれば音声パケットと判定して、それぞれ登録制御パケット監視手段107、パケットフィルタ手段105に転送し、それ以外のパケットを廃棄する。
【0043】
図13に示すREGISTERパケットと200 OKパケットはSIPパケットの一部であるから、何れも登録制御パケット監視手段107に転送される。登録制御パケット監視手段107は、呼制御サーバ6からIP電話機301〜30nに送信されるREGISTERパケットに対する応答の200 OKパケットのみを電話番号/アドレス対応判定手段103に転送する。従って、図13に示すパケットの中では、200 OKパケットのみが電話番号/アドレス対応判定手段103に転送される。
【0044】
図14にREGISTERパケットの応答となる200 OKパケットの内容を示す。図において、4行目のToヘッダ内にある「1001」はIP電話機301の電話番号、7行目のContactヘッダにある「192.0.2.101」はIP電話機301のIPアドレス、そして、同Contactヘッダにある「3600」が登録有効時間(単位は秒)である。電話番号/アドレス対応判定手段103は、200 OKパケットからこれらの情報を抜き出して、録音対象アドレス決定手段104と音声データ保存手段106に通知する。録音対象アドレス決定手段104は、図15に示すアドレス/電話番号対応表を保持しており、電話番号/アドレス対応判定手段103からの通知によりこの表を更新する。具体的には、電話番号/アドレス対応判定手段103から通知された情報と同じIPアドレスが格納されたレコードを検索し、該当するレコードがあればそのレコードの電話番号と有効時間を通知された情報で上書きする。該当するレコードがない場合は、新たなレコードを生成して通知されたIPアドレス、電話番号、有効時間を格納する。
【0045】
このように新たなレコードの生成または更新を行った場合、録音対象アドレス決定手段104はこのレコードに格納される電話番号が録音対象であるかどうかの判定を行う。この判定のフローチャートを図17に示す。録音対象アドレス決定手段104は録音する必要のある電話番号の一覧を録音対象リストとして保持しており、レコードに格納した電話番号が録音対象リストにあるかどうか検索し(S1)、リストにあればこの番号が録音対象であるため、このレコードのIPアドレスを録音対象としてパケットフィルタ手段105に通知する(S2)。逆に、リストにない場合はこのレコードのIPアドレス情報を録音対象外としてパケットフィルタ手段に通知する(S3)。
【0046】
また、録音対象アドレス決定手段104は一定周期でアドレス/電話番号対応表に格納された全レコードの有効時間をその周期分減算する。この処理を例えば1秒周期で行うとすると、表内に登録された全レコードの有効時間を1ずつ減算する。この減算の結果、有効時間が0となったレコードについては、そのレコードを削除すると共に、レコードに格納されるIPアドレスを録音対象外としてパケットフィルタ手段105に通知する。
【0047】
パケットフィルタ手段105は、図16に示す録音対象アドレス表を保持しており、録音対象アドレス決定手段104より録音対象とするIPアドレスを入力すると、これを録音対象アドレス表に追加する。図16ではレコードmが追加された情報である。また、録音対象アドレス決定手段104より録音対象とするIPアドレスを入力すると、録音対象アドレス表内に同じIPアドレスが格納されたレコードがあるか検索し、該当するレコードがあればそのレコードを削除する。該当するレコードがない場合は特に何もしない。
【0048】
そして、パケットフィルタ手段105はパケット選別手段101から音声パケットを入力すると、入力した音声パケットのデスティネーションIPアドレスまたはソースIPアドレスと同じIPアドレスを格納するレコードがあるかどうか録音対象アドレス表を検索し、該当するレコードが存在すれば、その音声パケットを音声データ保存手段106に転送し、そうでなければ廃棄する。音声データ保存手段106はパケットフィルタ手段105から転送された音声パケットから少なくとも音声データを部分を抜き出して保存する。音声データ保存手段106は電話番号/アドレス対応判定手段103からの通知により録音対象アドレス決定手段104と同じ手順で更新するアドレス/電話番号対応表を保持しており、この表を用いて音声パケットのデスティネーションIPアドレスとソースIPアドレスから電話番号を検索する。そして、管理情報として、音声データに関連付けて検索した電話番号を保存する。
【0049】
以上説明したように、図12に示す通話録音装置では、録音対象アドレス決定手段104が録音対象リストを保持しておき、発信側電話番号または着信側電話番号が録音対象リストにある場合はその通話を録音し、それ以外の通話は録音しない。このように、実施の形態4の通話録音システムによれば、登録制御パケットからIP電話機の電話番号とIPアドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス判定手段と、この判定結果を基に保存すべき音声パケットのIPアドレスを決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0050】
実施の形態5.
なお、通話録音装置を図18に示す構成とすることも可能である。図18において、パケット選別手段101、通信制御パケット監視手段102、録音対象アドレス決定手段104、パケットフィルタ手段105、音声データ保存手段106の動作については、図2に示した通話録音装置と同様の動作を行う。また、登録制御パケット監視手段107は図12に示した通話録音装置と同様の動作を行う。
【0051】
電話番号/アドレス対応判定手段103は、図12に示した通話録音装置における電話番号/アドレス対応判定手段103と同様なアドレス/電話番号対応表を持ち、この表を登録制御パケット監視手段107からの通知により更新するが、更新を行っても録音対象アドレス決定手段104への通知を行わない。電話番号/アドレス対応判定手段103の動作は、基本的には図2に示した通話録音装置における電話番号/アドレス対応判定手段103と同様である。但し、外線からの着信の場合、IP電話機301〜30nに対して、図19に示すようなINVITEパケットが送信される場合がある。図中6行目のToヘッダによると着信先の電話番号は「5555」となるが、これはグループ代表内線番号であり、どのIP電話機に転送される場合もヘッダ内容が変わらない。これは、メディアゲートウェイ4は具体的にどのIP電話機に着信させるか指定せず、呼制御サーバ6がパケットを転送するIP電話機を決めていることから、外線着信の場合の着信先電話番号が固定となっている場合である。呼制御サーバ6がパケットを転送する際に実際の内線電話番号に書き換える場合もあり、実施の形態1ではそのような動作を想定していた。これは呼制御サーバ6の仕様によって異なる。電話番号/アドレス対応判定手段103は、このように発信先電話番号が代表番号となっているINVITEパケットを入力した場合、このIPパケットのデスティネーションIPアドレスから、上記登録制御パケット監視手段107からの通知により更新したアドレス/電話番号対応表を用いて電話番号を得て、Toヘッダから得る電話番号の代わりに用いる。
【0052】
以上説明したように、実施の形態5の通話録音システムによれば、通信制御パケットから発信側電話番号及び着信側電話番号を抜き出してその電話番号とIP電話機及びゲートウェイのIPアドレス及びポート番号との対応を判定すると共に、登録制御パケットからIP電話機の電話番号とIPアドレスとの対応を判定する電話番号/アドレス判定手段と、この判定結果を基に基に保存すべき音声パケットのIPアドレスとポート番号を決定する録音対象アドレス決定手段とを備えたので、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0053】
なお、上記説明では、INVITEパケットによって発信先の電話番号を取得出来ない場合に図18に示す構成の通話録音装置を適用することを説明したが、INVITEパケットによって発信先の電話番号を取得出来る場合に適用しても良い。
【0054】
また、本実施の形態においては、登録制御パケットを監視することでIP電話機の電話番号とIPアドレスとを取得する例を示したが、登録制御パケットでは無くともIP電話機の電話番号とIPアドレス情報を含むパケットであれば、他のパケットであってもこれを監視することによって、同様の効果を得る通話録音装置を得ることが出来る。
【0055】
実施の形態6.
なお、図19のINVITEパケットにおいて、1行目(リクエストラインと呼ばれる)にはリクエスト転送先の電話番号「1001」が指定されている。よって、通話録音装置1の構成を図2に示す通りとし、電話番号/アドレス対応判定手段103がリクエストラインの電話番号を用いるようにしても良い。
【0056】
実施の形態7.
また、IP電話通信システムが複数の通信拠点に分散配置される場合もある。図20はそのような場合の通話録音システムの構成図である。このような構成では、拠点毎に呼制御サーバが存在するため、通話録音装置11、12が監視出来る登録制御パケットは、自装置が属する拠点のIP電話機と呼制御サーバ間で送受信されるもののみである。従って、通話録音装置を図12またはび図17に示す構成にする場合、図15に示したような登録制御パケットの監視によって更新するアドレス/電話番号対応表は自拠点のもののみとなり、不都合が生じる。そこで、通話録音装置11、12はアドレス/電話番号対応表の情報を交換するようにし、この問題に対処する。
【0057】
以上のように、実施の形態7の通話録音システムによれば、通話録音装置が他拠点の装置とアドレス/電話番号対応情報を交換するようにしたので、システムが複数拠点に分散する場合でも、電話番号に応じて選択的に通話を録音することが出来る。
【0058】
なお、これまでの説明は全て音声信号がIPパケットによって伝送されるVoIP(Voice over Internet Protocol)による電話通信システムにおいて通話音声を録音することを前提としているが、例えばATM伝送などVoIP以外の音声パケット通信システムにも、本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明に関る通話録音システムはインターネット電話システムにおける企業内のコールセンタシステムに適用される可能性がある。
【符号の説明】
【0060】
1;通話録音装置、2;LAN、301〜30n;IP電話機、4;メディアゲートウェイ、5;公衆電話網、501〜50n;電話機、6;呼制御サーバ、101;パケット選別手段、102;通信制御パケット監視手段、103;電話番号/アドレス対応判定手段、104;録音対象アドレス決定手段、105;パケットフィルタ手段、106;音声データ保存手段、107;登録制御パケット監視手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備えた通話録音装置。
【請求項2】
上記電話番号/アドレス対応判定手段は、複数の通信制御パケットに基づいて、電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する請求項1記載の通話録音装置。
【請求項3】
上記電話番号/アドレス対応判定手段は、電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定した結果を、他の通話録音装置の電話番号/アドレス対応判定手段に送信する送信手段を備えた請求項1または2に記載の通話録音装置。
【請求項4】
IP電話機と通話録音装置が接続される音声パケット通信ネットワークで伝送される音声パケットに含まれる少なくとも音声データを記録する通話録音システムにおいて、
上記通話録音装置は
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備えた通話録音システム。
【請求項5】
上記通話録音装置における電話番号/アドレス対応判定手段は、複数の通信制御パケットに基づいて、電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する請求項4に記載の通話録音システム。
【請求項6】
上記通話録音システムは、複数の通話録音装置を備え、
各通話録音装置の上記電話番号/アドレス対応判定手段は、電話番号及び電話番号と電話機のアドレスとの対応を判定した結果を、他の通話録音装置の電話番号/アドレス対応判定手段に送信する送信手段を備えた請求項4または5に記載の通話録音システム。
【請求項1】
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備えた通話録音装置。
【請求項2】
上記電話番号/アドレス対応判定手段は、複数の通信制御パケットに基づいて、電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する請求項1記載の通話録音装置。
【請求項3】
上記電話番号/アドレス対応判定手段は、電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定した結果を、他の通話録音装置の電話番号/アドレス対応判定手段に送信する送信手段を備えた請求項1または2に記載の通話録音装置。
【請求項4】
IP電話機と通話録音装置が接続される音声パケット通信ネットワークで伝送される音声パケットに含まれる少なくとも音声データを記録する通話録音システムにおいて、
上記通話録音装置は
パケットが通信制御パケットか、音声パケットか、または両者以外のパケットかを選別するパケット選別手段と、
上記パケット選別手段で選別された通信制御パケットから、少なくとも、発信側電話番号及び着信側電話番号の何れか一方を取得し、取得した電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する電話番号/アドレス対応判定手段と、
上記電話番号/アドレス対応判定手段の判定結果に基づいて、録音対象とする音声パケットの電話機アドレスを決定する録音対象アドレス決定手段と、
上記パケット選別手段で選別された音声パケット内の通信ノードアドレスを監視し、上記通信ノードアドレスが録音対象アドレス決定手段で録音対象と決定された通信ノードのアドレスと一致する音声パケットを選択するパケットフィルタ手段と、
上記パケットフィルタ手段で選択された音声パケットに含まれる少なくとも音声データを保存する音声データ保存手段を備えた通話録音システム。
【請求項5】
上記通話録音装置における電話番号/アドレス対応判定手段は、複数の通信制御パケットに基づいて、電話番号に対応する音声通信ノードのアドレスを判定する請求項4に記載の通話録音システム。
【請求項6】
上記通話録音システムは、複数の通話録音装置を備え、
各通話録音装置の上記電話番号/アドレス対応判定手段は、電話番号及び電話番号と電話機のアドレスとの対応を判定した結果を、他の通話録音装置の電話番号/アドレス対応判定手段に送信する送信手段を備えた請求項4または5に記載の通話録音システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−147007(P2011−147007A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7132(P2010−7132)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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