説明

通路開閉装置

【課題】通路開閉装置本体の長さ方向の寸法を小型化すると共に、伸縮機構を単純化してメンテナンス費用を抑制した通路開閉装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る開閉ユニット51は、図示しない開閉駆動機構によって回動される回動軸3と、この回動軸3に固定されて、回動軸3の回動と共に開閉動作する第1の扉部材4と、第1の扉部材4により支持され、且つ回動軸3の回転力を受けて作動する作動機構52と、作動機構52の作動によって第1の扉部材4と並行な方向へ進退する第2の扉部材5と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路開閉装置に関し、特に、扉部材が開閉時に伸縮する機構を有する通路開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、駅舎、遊園地、大規模施設等の出入口には、省力化を目的として利用者の入退出を自動制御するためのゲート装置が備えられることが多い。これらのゲート装置は、入場券又はICカードに記録された情報を読取って入場の許否を判断してゲート装置に設けた扉部材を開閉するように構成されている。また、通路を通過する利用者のために、通路の幅は大人が余裕を持って通過できる寸法に設計されている。従って、扉部材の長さは、通路を閉止したときに通路の全幅をほぼ覆う長さに構成されている。言い換えると、扉部材を開放しているときは、その長さのままの扉部材をゲート装置本体側に収納する必要がある。このため、ゲート装置本体の長さ方向寸法は、少なくとも扉部材の長さ以上必要となる。また、入退出(双方向通行)を1つのゲート装置で行なう場合は、ゲートを約180度の範囲で回動させる必要があるため、ゲート装置本体の長さ方向寸法が更に大きくなり、ゲート装置を設置するために広い場所を確保する必要が生じる。
上記のゲート装置を小型化するために、特許文献1には、ゲート装置の厚み方向の寸法を小型化すると共に、扉に無理な力が加わったときの安全性を確保したセキュリティゲートについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−240281公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、ゲート装置の厚み方向の寸法を小型化して、且つ安全性を確保するために、利用者の進行方向の違いに応じて扉部材の折りたたみ方向を変えなければならず、機構的に複雑となりメンテナンス費用が嵩むといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、通路開閉装置本体によって支持されて通路開放位置と通路閉止位置との間を開閉移動する扉部材を有した開閉ユニットを備え、扉部材は、回動軸を中心として通路開放位置と通路閉止位置との間を回動しながら通路内への突出長を伸縮させることにより、通路開閉装置本体の長さ方向の寸法を小型化すると共に、伸縮機構を単純化してメンテナンス費用を抑制した通路開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、通行対象が通路を通行することの許否を判定し該通路を開閉制御する通路開閉装置であって、少なくとも前記通路の一側方に配置された通路開閉装置本体と、前記通路開閉装置本体によって支持されて前記通路内から退避した通路開放位置と、前記通路内に突出した通路閉止位置との間を開閉移動する扉部材を有した開閉ユニットと、前記開閉ユニットを開閉駆動する開閉駆動機構と、を備え、前記扉部材は、回動軸を中心として前記通路開放位置と前記通路閉止位置との間を回動しながら前記通路内への突出長を伸縮させることを特徴とする。
本発明の通路開閉装置は、通路開閉装置本体によって支持された開閉ユニットを備え、この開閉ユニットには通路開放位置と通路閉止位置に開閉移動する扉部材を備え、この扉部材が回動軸を中心として回動しながら通路内への突出長を伸縮させるように構成されている。即ち、開閉ユニットが通路閉止位置にあるときは、扉部材の突出長を伸長させ、開閉ユニットが通路開放位置にあるときは、扉部材の突出長を縮小させる。これにより、通路開閉装置の長さ方向の寸法を短縮することができる。
【0006】
請求項2は、前記開閉ユニットは、前記開閉駆動機構によって回動される前記回動軸と、該回動軸に固定されて該回動軸の回動と共に開閉動作する第1の扉部材と、該第1の扉部材により支持され、且つ前記回動軸の回転力を受けて作動する作動機構と、前記作動機構の作動によって前記第1の扉部材と並行な方向へ進退する第2の扉部材と、を備え、前記開閉ユニットが前記通路開放位置にある時には、前記第2の扉部材は前記第1の扉部材と重なった短縮位置に退避し、前記開閉駆動機構が前記通路を閉止する方向に前記回動軸を回動したときに前記退避位置にあった前記第2の扉部材は前記第1の扉部材と共に閉止方向へ回動しつつ、前記作動機構の作用によって前記第1の扉部材から突出した伸張位置に移動することを特徴とする。
本発明の開閉ユニットは、2枚の扉部材と作動機構を備えている。即ち、回動軸に固定されて回動軸の回動と共に開閉動作する第1の扉部材と、回動軸の回転動作を進退動作に変換する作動機構と、この作動機構により第1の扉部材と並行な方向へ進退する第2の扉部材とが一体的に構成されている。この構成により、開閉ユニットが通路を開放しているときには、2枚の扉部材は重なった位置に退避し、開閉ユニットが通路を閉止する位置に回動したときは、2枚の扉部材は閉止方向に回動しながら第2の扉部材を第1の扉部材から突出させる。これにより、開閉ユニットを開放したときに、通路開閉装置本体の長さ方向の寸法を、第1の扉部材の長さまで小型化することができる。
【0007】
請求項3は、前記作動機構は、前記回動軸の回転力を受けて駆動する回転力伝達部材と、該回転力伝達部材からの駆動力を受けて自転するピニオンギヤと、該ピニオンギヤと噛合し該ピニオンギヤの回転力を受けて直線的に往復運動するラックギヤ部材と、一部を前記第1の扉部材により回動自在に軸支され、該ラックギヤ部材の直線運動を揺動運動に変換して前記第2の扉部材を前記短縮位置と前記伸張位置との間で進退させる揺動レバーと、を備えていることを特徴とする。
本発明の最も大きな特徴は、回動軸の回転力を利用して、第2の扉部材を作動機構により進退方向の運動に変換する点である。即ち、作動機構は、回動軸の回転力を回転力伝達部材によりピニオンギヤに伝達する。ピニオンギヤの回転力は、ラックギヤ部により直線的な往復運動に変換される。このラックギヤ部の往復運動の動作範囲は小さいので、揺動レバーにより増幅して揺動運動に変換する。この揺動レバーには第2の扉部材が取り付けられているので、揺動レバーの揺動運動により第2の扉部材を短縮位置と伸長位置との間で進退させることができる。これにより、回動軸の僅かな回転力を増幅して揺動運動に変換することができる。
【0008】
請求項4は、前記開閉駆動機構は、前記回動軸の回動角度に応じて連続的に前記第2の扉部材を前記短縮位置と前記伸張位置との間で進退させることを特徴とする。
回動軸の回転は連続的に回転力伝達部材を介してピニオンギヤに伝達される。従って、回動軸の回転角度の連続的な変化は、そのままピニオンギヤに伝達されるので、第2の扉部材の進退は回動軸の回転角度と連動して連続的に動作する。これにより、第2の扉部材をスムーズに動作させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開閉ユニットが通路閉止位置にあるときは扉部材の突出長を伸長させ、開閉ユニットが通路開放位置にあるときは扉部材の突出長を縮小させるので、通路開閉装置の長さ方向の寸法を短縮することができる。
また、開閉ユニットが通路を開放しているときには、2枚の扉部材は重なった位置に退避し、開閉ユニットが通路を閉止する位置に回動したときは2枚の扉部材は閉止方向に回動しながら第2の扉部材を第1の扉部材から突出させるので、開閉ユニットを開放したときに、通路開閉装置本体の長さ方向の寸法を第1の扉部材の長さまで小型化することができる。
また、揺動レバーには第2の扉部材が取り付けられているので、揺動レバーの揺動運動により第2の扉部材を短縮位置と伸長位置との間で進退させることができる。これにより、回動軸の僅かな回転力を増幅して揺動運動に変換することができる。
また、回動軸の回転角度の連続的な変化は、そのままピニオンギヤに伝達されるので、第2の扉部材の進退は回動軸の回転角度と連動して連続的に動作する。これにより、第2の扉部材をスムーズに動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の通路開閉装置の一連の動作を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る通路開閉装置の開閉ユニットの動作を説明する図である。
【図3】本発明の作動機構の一例を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る通路開閉装置の開閉ユニットの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0012】
図1は本発明の通路開閉装置の一連の動作を説明する図である。図では、両方向通行可能な通路開閉装置について説明する。本発明の通路開閉装置50は、通行対象7が通路9を通行することの許否を判定し、通路9を開閉制御する通路開閉装置手段であって、少なくとも通路9の一側方(本実施形態では進行方向左側)に配置された通路開閉装置本体1と、この通路開閉装置本体1によって支持されて通路9内から退避した通路開放位置(図1(c))と、通路9内に突出した通路閉止位置(図1(a))との間を開閉移動する第1の扉部材4、及び第2の扉部材5を有した開閉ユニット51と、開閉ユニット51を開閉駆動する図示しない開閉駆動機構(一般的にはモータ)と、を備え、第1の扉部材4、及び第2の扉部材5は、回動軸3を中心として通路開放位置(図1(c))と通路閉止位置(図1(a))との間を回動しながら通路9内への突出長を伸縮させる。尚、通路開閉装置本体1には、ICカードに記録された記録情報を非接触で読取るリーダライタ(又はリーダ)2、6が通行対象7の夫々の入口に近い位置に設置されている。また、通路の右側には通路開閉装置本体1との間で通路9を区画するための壁面8が立設されている。
次に本発明の通路開閉装置50の一連の動作について説明する。
【0013】
図1(a)は通路開閉装置50の開閉ユニット51が通路閉止位置にある状態を示す図であり、このときは、第1の扉部材4は通路開閉装置本体1に対して略直交する位置まで移動しており、第1の扉部材4に支持された第2の扉部材5は最も伸長した位置にあり、通路9を閉止している。その状態で通行対象7が図示しないICカードをリーダライタ6に近接することにより、図示しない制御装置がリーダライタ6から読取った記録情報を検証して通行の許否を判断する。
図1(b)では、制御装置は通行を許可すると、通行対象7が太い矢印の方向(図の下側)から進行すると判断して、図示しない開閉駆動機構を動作させて回動軸3を矢印Bで示す開放方向に回動させることにより、開閉ユニット51が通行対象7の進行を妨げないように開放する。そのとき、第2の扉部材5が矢印A方向(縮小方向)に移動しながら開閉ユニット51が開放する。尚、通行対象7の進行方向の決定は、2つのリーダライタ2、6のうちの何れのリーダライタから記録情報が読取られたかにより判断することができる。
【0014】
図1(c)では、開閉ユニット51は通路開閉装置本体1に完全に収納された状態(通路9から退避した状態)となり通路9が開放状態となる。このときは、第2の扉部材5は最も縮小した状態で第1の扉部材4と重なった状態となる。これにより、通行対象7は通路開閉装置50を通過することができる。ここまでが、一人の通行対象7が通路開閉装置50を正常に通行した場合の動作である。尚、図1(a)で通行対象7がリーダライタ6にICカードを近接して記録情報を読ませた結果、通行が拒否された場合は、その旨を通行対象7に報知して開閉ユニット51は閉止したままにする。
図1(d)では、制御装置がリーダライタ2又は6により記録情報を読取らず、且つ通路9内に通行対象7が存在しない状態が所定の時間継続すると(通行対象7が通路内に存在するか否かは、通路開閉装置本体1に備えたセンサにより検知する)、制御装置は、図示しない開閉駆動機構を動作させて回動軸3を矢印C方向に回動させることにより、開閉ユニット51が閉止方向に回動する。そのとき、第2の扉部材5が矢印D方向(伸長方向)に移動しながら開閉ユニット51が通路閉止位置まで移動する。
【0015】
図1(e)では、第1の扉部材4は通路開閉装置本体1に対して略直交する位置まで移動しており、第1の扉部材4に支持された第2の扉部材5は最も伸長した位置にあり、通路9を閉止する。その状態で通行対象7が図示しないICカードをリーダライタ2に近接することにより、図示しない制御装置がリーダライタ2から読取った記録情報を検証して、通行の許否を判断する。
図1(f)では、通行が許可されると、制御装置は通行対象7が、太い矢印の方向(図の上側)から進行すると判断して、図示しない開閉駆動機構を動作させて回動軸3を矢印F方向に回動させることにより、開閉ユニット51が通行対象7の進行方向を妨げないように開放する(図1(b)と逆方向)。そのとき、第2の扉部材5が矢印G方向(縮小方向)に移動しながら開閉ユニット51が通路開放位置まで移動する。この後の動作は、開閉ユニット51が通路9を閉止する通路閉止位置に移動して、通路9を閉止する。
【0016】
このように、本実施形態の通路開閉装置50は、通路開閉装置本体1によって支持された開閉ユニット51を備え、この開閉ユニット51には通路開放位置と通路閉止位置に開閉移動する第1の扉部材4と第2の扉部材5を備え、この2つ扉部材が回動軸3を中心として回動しながら通路9内への突出長を伸縮させるように構成されている。即ち、開閉ユニット51が通路閉止位置にあるときは、第2の扉部材5の突出長を伸長させ、開閉ユニット51が通路開放位置にあるときは、第2の扉部材5の突出長を縮小させる。これにより、通路開閉装置50の長さ方向の寸法を短縮することができる。
【0017】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る通路開閉装置の開閉ユニットの動作を説明する図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。(a)は開閉ユニットが通路閉止位置にある図であり、(b)は開閉ユニットが通路開放位置にある図である。この図では、動作に必要な構成要件のみを記載し、その他は省略している。本実施形態に係る開閉ユニット51は、図示しない開閉駆動機構によって回動される回動軸3と、この回動軸3に固定されて、回動軸3の回動と共に開閉動作する第1の扉部材4と、第1の扉部材4により支持され、且つ回動軸3の回転力を受けて作動する作動機構52と、作動機構52の作動によって第1の扉部材4と並行な方向へ進退する第2の扉部材5と、を備えて構成されている。
【0018】
図2(a)のように、開閉駆動機構52が通路9を閉止する方向に回動軸3を回動したときに退避位置にあった第2の扉部材5は第1の扉部材4と共に閉止方向へ回動しつつ、作動機構52の作用によって第1の扉部材4から突出した伸張位置に移動し、図2(b)のように、開閉ユニット51が通路開放位置にある時には、第2の扉部材5は第1の扉部材4と重なった短縮位置に退避する。尚、図2(b)では、第2の扉部材5が第1の扉部材4と重なった短縮位置にあるときに、第2の扉部材5の先端が長さLbだけ突出しているが、完全に第1の扉部材4と重なってLbをゼロとなるように構成しても構わない。
ここで作動機構52について更に詳細に説明する。作動機構52は、回動軸3の回転力を受けて駆動する回転力伝達部材(ベルト、又はギヤ)10と、この回転力伝達部材10からの駆動力を受けて自転するピニオンギヤ12と、ピニオンギヤ12と噛合しピニオンギヤ12の回転力を受けて直線的に往復運動するラックギヤ部材11と、支点14を第1の扉部材4により回動自在に軸支され、ラックギヤ部材11の直線運動を揺動運動に変換して第2の扉部材5を短縮位置と伸張位置との間で進退させる揺動レバー13と、を備えている。尚、揺動レバー13の一端15はラックギヤ部材11に回動自在に軸支され、揺動レバー13の他端16は第2の扉部材5の適所端部に回動自在に軸支されている。
【0019】
以上の説明のとおり、本実施形態の開閉ユニット51は、2枚の扉部材4、5と作動機構52を備えている。即ち、回動軸3に固定されて回動軸3の回動と共に開閉動作する第1の扉部材4と、回動軸3の回転動作を進退動作に変換する作動機構52と、この作動機構52により第1の扉部材4と並行な方向へ進退する第2の扉部材5とが一体的に構成されている。この構成により、開閉ユニット51が通路9を開放しているときには、2枚の扉部材4、5は重なった位置に退避し、開閉ユニット51が通路9を閉止する位置に回動したときは、2枚の扉部材4、5は閉止方向に回動しながら第2の扉部材5を第1の扉部材4から突出させる。これにより、開閉ユニット51を開放したときに、通路開閉装置本体1の長さ方向の寸法を、第1の扉部材4の長さまで小型化することができる。
また、本実施形態の最も大きな特徴は、回動軸3の回転力を利用して、第2の扉部材5を作動機構52により進退方向の運動に変換する点である。即ち、作動機構52は、回動軸3の回転力を回転力伝達部材10によりピニオンギヤ12に伝達する。ピニオンギヤ12の回転力は、ラックギヤ部11により直線的な往復運動に変換される。このラックギヤ部11の往復運動の動作範囲は狭いので、揺動レバー13により揺動範囲を拡大(増幅)して揺動運動に変換する。この揺動レバー13の端部には第2の扉部材5が取り付けられているので、揺動レバー13の揺動運動により第2の扉部材5を短縮位置と伸長位置との間で進退させることができる。これにより、回動軸3の僅かな回転力を拡大(増幅)して揺動運動に変換することができる。
【0020】
図3は本発明の作動機構の一例を説明する図である。図3(A)は、通路開閉装置本体と開閉ユニットとの位置関係を示す図であり、開閉ユニット51が通路開放位置にある場合を0度、180度と表し、開閉ユニット51が通路閉止位置にある場合を90度と表す。即ち、これらの角度は、回動軸3の回転角度を表している。
図3(B)は、各角度におけるピニオンギヤとラックギヤ部の位置関係を示す図である。図3(B)−(a)は、回動軸の角度が0度で開閉ユニットが通路開放位置にある場合の、ピニオンギヤとラックギヤ部の位置関係を示す図であり、図3(B)−(b)は回動軸の角度が90度で開閉ユニットが通路閉止位置にある場合の、ピニオンギヤとラックギヤ部の位置関係を示す図であり、図3(B)−(c)は回動軸の角度が180度で開閉ユニットが通路開放位置にある場合の、ピニオンギヤとラックギヤ部の位置関係を示す図である。
図3(B)−(a)の場合は、ピニオンギヤ12が矢印A方向に回転して、ラックギヤ部11を矢印Bの方向に移動することにより、ラックギヤ部11に回動自在に軸支された揺動レバー13が、軸14を支点として矢印Cの方向に揺動する。このとき、軸15から支点14までの距離と、支点14から図示しない軸16までの距離の比が大きいほど、ラックギヤ部11の移動距離を拡大(増幅)することができる。
図3(B)−(b)の場合は、ピニオンギヤ12が矢印D方向に回転して、ラックギヤ部11を矢印Eの方向に移動することにより、ラックギヤ部11に回動自在に軸支された揺動レバー13が、軸14を支点として矢印Fの方向に揺動する。
図3(B)−(c)の場合は、ピニオンギヤ12が矢印G方向に回転して、ラックギヤ部11を矢印Hの方向に移動することにより、ラックギヤ部11に回動自在に軸支された揺動レバー13が、軸14を支点として矢印Jの方向に揺動する。
【0021】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る通路開閉装置の開閉ユニットの動作を説明する図である。同じ構成要素には図2と同じ参照番号を付して説明する。図4が図2と異なる点は、揺動レバー13の代わりにアコーディオン型伸縮アーム17を備えた点である。この伸縮アーム17は、支点19をラックギヤ部11に回動自在に軸支し、ラックギヤ部11が矢印Aの方向に移動することにより、伸縮アーム17が第2の扉部材5をガイドレール18に沿って閉止方向に移動する。当然、ラックギヤ部11が矢印Aとは反対方向に移動することにより、伸縮アーム17が第2の扉部材5を開放方向に移動する。
【0022】
以上説明したとおり本発明に係る通路開閉装置50は、開閉ユニット51が通路閉止位置にあるときは、第2の扉部材5の突出長を伸長させ、開閉ユニット51が通路開放位置にあるときは、第2の扉部材5の突出長を縮小させるので、通路開閉装置本体1の長さ方向の寸法を短縮することができる。
また、開閉ユニット51が通路9を開放しているときには、2枚の扉部材4、5は重なった位置に退避し、開閉ユニット51が通路9を閉止する位置に回動したときは、2枚の扉部材4、5は閉止方向に回動しながら第2の扉部材5を第1の扉部材4から突出させるので、開閉ユニット51を開放したときに、通路開閉装置本体1の長さ方向の寸法を、第1の扉部材4の長さまで小型化することができる。
また、揺動レバー13には第2の扉部材5が取り付けられているので、揺動レバー13の揺動運動により第2の扉部材5を短縮位置と伸長位置との間で進退させることができる。これにより、回動軸3の僅かな回転力を拡大(増幅)して揺動運動に変換することができる。
また、回動軸3の回転角度の連続的な変化は、そのままピニオンギヤ12に伝達されるので、第2の扉部材5の進退は回動軸3の回転角度と連動して連続的に動作する。これにより、第2の扉部材5をスムーズに動作させることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 通路開閉装置本体、2、6 リーダライタ、3 回動軸、4 第1の扉部材、5 第2の扉部材、7 通行対象、8 壁面、9 通路、10 回転力伝達部材、11 ラックギヤ部材、12 ピニオンギヤ、13 揺動レバー、14 支点、15、16 軸、17 伸縮アーム、18 ガイドレール、19 支点、50 通路開閉装置、51 開閉ユニット、52 作動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行対象が通路を通行することの許否を判定し該通路を開閉制御する通路開閉装置であって、
少なくとも前記通路の一側方に配置された通路開閉装置本体と、
前記通路開閉装置本体によって支持されて前記通路内から退避した通路開放位置と、前記通路内に突出した通路閉止位置との間を開閉移動する扉部材を有した開閉ユニットと、
前記開閉ユニットを開閉駆動する開閉駆動機構と、を備え、
前記扉部材は、回動軸を中心として前記通路開放位置と前記通路閉止位置との間を回動しながら前記通路内への突出長を伸縮させることを特徴とする通路開閉装置。
【請求項2】
前記開閉ユニットは、前記開閉駆動機構によって回動される前記回動軸と、該回動軸に固定されて該回動軸の回動と共に開閉動作する第1の扉部材と、該第1の扉部材により支持され、且つ前記回動軸の回転力を受けて作動する作動機構と、前記作動機構の作動によって前記第1の扉部材と並行な方向へ進退する第2の扉部材と、を備え、
前記開閉ユニットが前記通路開放位置にある時には、前記第2の扉部材は前記第1の扉部材と重なった短縮位置に退避し、
前記開閉駆動機構が前記通路を閉止する方向に前記回動軸を回動したときに前記退避位置にあった前記第2の扉部材は前記第1の扉部材と共に閉止方向へ回動しつつ、前記作動機構の作用によって前記第1の扉部材から突出した伸張位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の通路開閉装置。
【請求項3】
前記作動機構は、前記回動軸の回転力を受けて駆動する回転力伝達部材と、該回転力伝達部材からの駆動力を受けて自転するピニオンギヤと、該ピニオンギヤと噛合し該ピニオンギヤの回転力を受けて直線的に往復運動するラックギヤ部材と、一部を前記第1の扉部材により回動自在に軸支され、該ラックギヤ部材の直線運動を揺動運動に変換して前記第2の扉部材を前記短縮位置と前記伸張位置との間で進退させる揺動レバーと、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の通路開閉装置。
【請求項4】
前記開閉駆動機構は、前記回動軸の回動角度に応じて連続的に前記第2の扉部材を前記短縮位置と前記伸張位置との間で進退させることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の通路開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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