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速硬性軽量充填モルタルの充填工法
説明

速硬性軽量充填モルタルの充填工法

【課題】
水中の空隙部などに注入された速硬性軽量充填モルタルに含まれる気泡の消滅を抑制し、打設後も注入時に存在する気泡の90%以上をモルタル中に保持する速硬性軽量充填モルタルの充填工法を提供する。
【解決手段】
速硬性軽量充填モルタルの空隙部に対する注入量を2〜20m/hとしたので、水中に存在する空隙部に注入された速硬性軽量充填モルタルに含まれる気泡の消滅を抑制し、打設後も注入時に存在した気泡の90%以上をモルタル中に保持できる。結果、水中であっても安定性が高い気泡モルタル硬化体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は速硬性軽量充填モルタルの充填工法、例えば構築物と地山との空隙部、特に水流が存在する空隙部などに充填しても材料の分離が少ない速硬性軽量充填モルタルの充填工法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にトンネル、橋梁および擁壁などでは、施工される地山との間に空隙部が存在する。この空隙部を埋める従来の技術として、例えば特許文献1のように硬化後の強度が小さく、低コストで、しかも現場での製造が可能な、気泡を含む気泡モルタル(エアモルタル)を裏込め材として利用したものが知られている。
しかしながら、上記空隙部に多量の水が存在する場合、この気泡モルタルでは水との接触により材料分離が発生し易く、気泡の消滅、体積減少が起きて安定した気泡モルタル硬化体が得られなかった。
【0003】
そこで、これを解消する従来技術として、例えば特許文献2の速硬性軽量充填モルタルが開発されている。特許文献2のモルタルは、気泡モルタル中に、硫酸アルミニウム、ミョウバン、塩化アルミニウムなどの水溶性のアルミニウム塩(速硬材)が、アルミナ換算で0.8〜4.5重量%程度添加されている。
使用される速硬材は、現場まで粉体で運搬され、そこで水を加えて攪拌することで速硬材スラリーとし、その後、気泡モルタルがノズルから空隙部に注入される直前に、気泡モルタルに混合される。従来、この水が存在する空隙部に対しての速硬性軽量充填モルタルの注入量は2m/h未満であった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−112911号公報
【特許文献2】特開平7−90837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献2の速硬性軽量充填モルタルの充填工法にあっては、このように水中への速硬性軽量充填モルタルの注入量が2m/h未満と少量であったため、吹き付けられた速硬性軽量充填モルタルの表面で発生する材料分離の影響が大きく、モルタル中の気泡が消滅し、安定性が良い気泡モルタル硬化体を得ることができなかった。
【0006】
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、水中の空隙部に速硬性軽量充填モルタルを注入する際に、速硬性軽量充填モルタルを2〜20m/h注入すれば、水との接触によるモルタル中の気泡の消滅を抑制し、モルタルを打設した後でも、注入時に存在した気泡の90%以上を保持可能であることを知見し、この発明を完成させた。
【0007】
この発明は、水中の空隙部などに注入された速硬性軽量充填モルタルに含まれる気泡の消滅を抑制し、打設後も注入時に存在する気泡の90%以上をモルタル中に保持することができる速硬性軽量充填モルタルの充填工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、気泡を含む気泡モルタルと速硬材とを注入時に混合し、速硬性軽量充填モルタルとして注入する速硬性軽量充填モルタルの充填工法において、前記速硬性軽量充填モルタルの注入量を2〜20m/hとした速硬性軽量充填モルタルの充填工法である。
【0009】
気泡モルタルとは、気泡剤の添加によりエアを含ませたモルタルである。気泡を含ませる方法としては、例えばミキサ内でモルタルと気泡剤とを激しく攪拌する方法、水溶液の気泡剤を空気とともに発泡機内で攪拌し、生クリーム状の泡として連続的に製造する方法などを採用することができる。
気泡モルタルを製造する際の混練水量は、水/セメント比で70〜120%である。70%未満では流動性が不足し、所定の作業時間が得られない。120%を超えると、材料分離、脱気泡が生じ、気泡モルタルの品質が不安定となる。好ましい水/セメント比は、70〜100%である。この範囲であれば、材料分離が少なく、流動性が良好というさらに良好な効果が得られる。
【0010】
速硬材としては、例えばアルミン酸塩、カルシウムアルミネート系速硬材、炭酸ナトリウムなどを採用することができる。この速硬材は、粉体状またはスラリー状で気泡モルタルに混入される。通常は、あらかじめ速硬材に水を加えて攪拌することで速硬材スラリーを作製し、これを気泡モルタルに加えて混合する方法が採用される。
気泡モルタルと速硬材との混合量は、セメントに対して外割りで5〜20重量%(セメント100重量部に対して5〜20重量部)である。5重量%未満では硬化(凝縮)が遅くなり、水中で空隙部に注入するときに材料分離が生じる。20重量%を超えると硬化が早まり、所定の注入作業時間が得られない。好ましい混合量は5〜15重量%である。
【0011】
速硬性軽量充填モルタルの空隙部への注入量は、前記したように2〜20m/hである。2m/h未満では、材料分離の影響により気泡が消滅する。20m/hを超えると、速硬性軽量充填モルタルの注入口から溢れるおそれがある。また、速硬性軽量充填モルタルの空隙部への好ましい注入量は、4〜10m/hである。
気泡モルタルには、粘結剤を添加した方が好ましい。粘結剤を含んだ速硬性軽量充填モルタルは、混合後、所定の時間内は流動性を有しており、壁面への吹き付け(注入)作業が容易になる。しかも、粘結剤の影響でモルタル自体が粘性を有し、水中でも材料分離が非常に少なく、かつ所定時間の経過後は速やかに硬化する。このような特性を有する速硬性軽量充填モルタルは、その空隙部への注入量が2m/h以上であるので、水中で充填されても気泡が抜けにくく、体積収縮が小さい気泡モルタル硬化体が得られる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記気泡モルタルが、セメント、細骨材および粘結剤を有し、これらに、気泡剤を発泡させたフォーミング状物を混合して得られ、前記速硬材は、水を加えて混練した速硬材スラリーである請求項1に記載の速硬性軽量充填モルタルの充填工法である。
【0013】
セメントとしては、「JIS R 5201」に規定する各種ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、特殊セメントおよび高炉スラグ(水砕高炉スラグ)に、アルカリ性物質を混合したものなどを採用することができる。
細骨材としては、コンクリート用であれば限定されない。細骨材の使用量は、例えばセメント100重量部に対して100〜400重量部である。100重量部未満では、セメントの使用量が増加し、充填材の価格が高価となる。400重量部を超えると、細骨材の使用量が多くなって、所定の発泡量が得にくい。細骨材の好ましい使用量は100〜300重量部である。
【0014】
粘結剤としては、例えばセルロース系およびアクリル系などの市販の有機性粘結剤を採用することができる。例えばセルロースエーテル、メチルセルロースなどが挙げられる。粘結剤の使用量は、セメント100重量部に対して0.5〜2.0重量部である。0.5重量部未満では粘性が不足し、材料分離が発生しやすく、施工時に気泡が抜けやすくなる。2.0重量部を超えると、粘性が大きすぎて、流動性が悪くなる一方、充填材の価格も高くなって経済的でない。粘結剤の好ましい使用量は0.5〜1.5重量部である。
【0015】
粘結剤の中には、水との接触時に粒子の表面のみが溶解し、ゲルを形成して粒子内への水の浸透を妨げ、完全に溶解するまでに長時間を要する現象、いわゆる「ままこ」が発生する。そのため、これを防ぐ処理を事前に施しておいた方が好ましい。また、「ままこ」防止処置の有無に拘らず、粘結剤をセメントなどの粉体とプレミックスしておけば「ままこ」の発生を防げる。
【0016】
粘結剤は、気泡モルタルだけでなく、速硬材スラリー中に添加してもよい。そうすれば速硬材スラリーの粘性が増加し、材料分離が起きにくく、取り扱いも容易となる。さらには、粘結剤と気泡モルタルとの混合も容易になり、モルタル中の気泡が混練時に減少することを防げる。その際の粘結剤の添加量は、速硬材に対して外割りで0.02〜0.5重量%である。0.02重量%未満では、添加量が不足し、所定の粘性が得られない。0.5重量%を超えると、粘性が大きくなりすぎて混合の効果が得られない。粘結剤の速硬材スラリー中への好ましい添加量は、0.05〜0.25重量%である。
【0017】
気泡剤としては、市販されている界面活性剤や動物性蛋白質などを採用することができる。その使用量は、気泡モルタル中の空気量(気泡量)が20〜70%となる量である。気泡量が20%未満では気泡モルタルが重くなり、強度も大きくなりすぎて不経済である。また、70%を超えると、水中で充填材が不安定になる。気泡量の好ましい値は30〜60%である。この範囲であれば軽量で水に浮きにくいというさらに良好な効果が得られる。
気泡モルタルの製造にあっては、まずセメントと細骨材と粘結剤と水とをミキサにより混練し、粘性を有したモルタル(生モルタル)を製造する。一方、起泡剤を例えば発泡機により発泡させ、フォーミング状物を作製する。その後、モルタルとフォーミング状物とを混合し、気泡モルタルを製造する。
【0018】
得られた気泡モルタルに所定量の速硬材スラリーを添加し、ミキサーにより混合することで、速硬性軽量充填モルタルが製造される。
速硬材スラリー中の水量は、水/速硬材比で50〜200%である。50%未満では、水が少なすぎて速硬材スラリーの量が減り、気泡モルタルとうまく混合できない。200%を超えると、水量が多すぎて速硬材スラリーのゲル化が遅れる。好ましい水/速硬材比は、100%程度である。この範囲であれば材料分離が起き難く、気泡モルタルと均一に混合しやすいというさらに良好な効果が得られる。
【0019】
請求項3の発明は、前記速硬材が、アルミン酸塩、炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウムのうちの少なくとも1つである請求項1または請求項2に記載の速硬性軽量充填モルタルの充填工法である。
アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどを採用することができる。RO/Alのモル比は、通常、0.8〜2.6である。モル比が0.8未満では速硬材スラリーのゲル化が速すぎて速硬性軽量充填モルタルを注入できない。また、モル比が2.6を超えれば速硬材スラリーのゲル化がしにくい。RO/Alの好ましいモル比は1.5〜2である。この範囲であれば、速硬性軽量充填モルタルを安定して注入しやすいというさらに良好な効果が得られる。
【0020】
炭酸カルシウムの添加量は、炭酸カルシウム/アルミン酸塩のモル比で1.5〜6である。モル比1.5未満では速硬性が強すぎてすぐに速硬材スラリーがゲル化し、気泡モルタルとうまく混合できない。また、モル比6を超えると速硬成分の量が少なすぎてこのゲル化がしにくい。
【0021】
粉体としての炭酸カルシウムの粉末度としては、ブレーン比表面積で2500〜10000cm/gである。2500cm/g未満では炭酸カルシウムの粉体が粗すぎて材料分離を起こす。また、10000cm/gを超えると、だまになって混ざりにくい。炭酸カルシウムの好ましい粉末度は2500〜8000cm/gである。
【0022】
または、粉体としての炭酸カルシウムの粉末度としては、80%通過粒径が5〜50μmである。5μm未満では炭酸カルシウムの粉体が細かすぎてハンドリング性が悪い。また、50μmを超えると炭酸カルシウムの粉体が粗すぎて材料分離がしやすい。
炭酸カルシウムの粉末の添加は、セメントによる強度増加を抑制するとともに、吸湿による固結を防止し、速硬材のハンドリングを容易にする。また、気泡を含む気泡モルタルに粘結剤が添加される場合、この粘結剤を分散させ、粘結剤の溶解を促進させる。
【0023】
炭酸ナトリウムの添加量は、アルミン酸塩/炭酸ナトリウムのモル比で1〜13である。モル比1未満では水との接触により材料分離が生じる。また、モル比13を超えると速硬材スラリーを1時間放置するだけで速硬材スラリーのゲル化が発生する。
粉体としての炭酸ナトリウムとしては、粒灰(食添用、純度99.0%以上)を使用することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明の速硬性軽量充填モルタルの充填工法によれば、速硬性軽量充填モルタルの空隙部に対する注入量を2〜20m/hとしたので、例えば水中の空隙部に注入された速硬性軽量充填モルタルに含まれる気泡の消滅を抑え、打設後も、注入時に存在した気泡の90%以上をモルタル中に保持することができる。その結果、水中であっても安定性が高い気泡モルタル硬化体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、この発明の実施例1に係る速硬性軽量充填モルタルの充填工法を模式的に示す図である。
この実施例1で使用する材料の一覧を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
また、セメント、速硬材に添加される炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウムの物性を表2に示す。だだし、各粒径の測定は、シーラス社製レーザー回折式粒度分布測定器(HR850)を使用した。
【0029】
【表2】

【0030】
次に、上記表1に示す材料を、表3および表4に示す割合で配合する。
【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
次いで、生コンクリート工場内で、可傾式ミキサーによりセメントと細骨材とに所定量の水を加えて3分間だけ練り混ぜた。それから、このモルタルを図1に示す生コンクリート車10で現場に運び込み、荷台に搭載されたドラム11を使用して、水で10倍に希釈した粘結剤をモルタルに添加し、さらに5分間高速度で練り混ぜて粘結剤混入モルタルを製造した。
【0034】
また、水で10倍に希釈した起泡剤を発泡機で発泡し、これと前記粘結剤混入モルタルとを生コンクリート車10で1分間だけ高速攪拌し、気泡モルタルを製造した。このときの水/セメント比は、表3に示す気泡モルタルの水/セメント比である。したがって、起泡剤を希釈する際には、セメントとの練り混ぜ水量をあらかじめ調整する必要がある。
一方、マキタ電機製作所製のハンドミキサー(1300rpm)を使用し、表4に示す水/速硬材比になるように水と速硬材とを攪拌しながら、これに粘結剤を供給した。その後、さらに2分間練り混ぜ、速硬材スラリーを製造した。
【0035】
次に、生コンクリート車10から供給された気泡モルタルを第1のスラリーポンプ12により吐出する一方、前記速硬材スラリーを第2のスラリーポンプ13により吐出する。これらの気泡モルタルと速硬材スラリーとは、各吐出管の先端が連結されたY字管14によって合流し、直後、スタティックミキサ15により無動力で混合される。こうして、速硬性軽量充填モルタルを製造した。
得られた速硬性軽量充填モルタルを、水が内容積の半分だけ貯液された直径300mm、高さ2mの透明なアクリル管16にホースで注入し、表5に示す試験方法によって試験した。その結果を表6および表7に示す。
【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
表6および表7から明らかなように、この実施例の速硬性軽量充填モルタルの充填工法にあっては、速硬性軽量充填モルタルの注入量を2〜20m/hとしたので、注入された速硬性軽量充填モルタル中の気泡の消滅を抑制し、打設後も注入時の気泡の90%以上をモルタル中に保持することができた。その結果、水中でも安定性の高い気泡モルタル硬化体の打設が実現できた。
また、速硬材の作製工程において、炭酸カルシウムとアルミン酸塩とを、炭酸カルシウム/アルミン酸塩のモル比が2〜4となる分量だけ混合したので、潮解による速硬材のハンドリング性の低下を解消することができた。さらに、炭酸ナトリウムをアルミン酸塩/炭酸ナトリウムのモル比が1〜11となる分量だけ混合したので、速硬材スラリーを長時間放置してもゲル化が起きなかった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施例1に係る速硬性軽量充填モルタルの充填工法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0041】
10 生コンクリート車、
11 ドラム、
12 第1のスラリーポンプ、
13 第2のスラリーポンプ、
14 Y字管、
15 スタティックミキサ、
16 アクリル管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を含む気泡モルタルと速硬材とを注入時に混合し、速硬性軽量充填モルタルとして注入する速硬性軽量充填モルタルの充填工法において、
前記速硬性軽量充填モルタルの注入量を2〜20m/hとした速硬性軽量充填モルタルの充填工法。
【請求項2】
前記気泡モルタルが、
セメント、細骨材および粘結剤を有し、これらに、気泡剤を発泡させたフォーミング状物を混合して得られ、
前記速硬材は、水を加えて混練した速硬材スラリーである請求項1に記載の速硬性軽量充填モルタルの充填工法。
【請求項3】
前記速硬材が、アルミン酸塩、炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウムのうちの少なくとも1つである請求項1または請求項2に記載の速硬性軽量充填モルタルの充填工法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−241752(P2006−241752A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56321(P2005−56321)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】